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小説(魔法少女リリカルなのは:二次小説)
とある魔導師と閃光の女神のえ〜すな日常/すとらいかーず・パイロット版Ver2 後編

※TURN04→05


恭文

ライフ×4 リザーブ×0 トラッシュ(コア)×3 コア総数×6

バースト×1

手札:四枚 デッキ:31枚

ライト・ブレイドラ・レベル1(コア×1) ちびき・レベル2(コア×2 疲労状態)
                 ↓
                 ↓
TURN05メインステップ開始時

ライフ×4 リザーブ×4 トラッシュ(コア)×0 コア総数×7

バースト×1

手札:五枚 デッキ:31枚

ライト・ブレイドラ・レベル1(コア×1) ちびき・レベル2(コア×2)


デュークモン

ライフ×3 リザーブ×0 トラッシュ(コア)×9 コア総数×12

手札:二枚 デッキ:34枚

スピリット:ジーク・クリムゾン・レベル2(コア×2)

ブレイドラ・レベル1(コア×1)


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


「スタートステップ、コアステップ――なるほどねぇ、攻撃をあえて受けたのは……転召のためか」

「そういう事だ。……ジーク・クリムゾンは我が写身」


デュークモンは表情を緩めながら、自分の脇に立つジーク・クリムゾンを見上げた。


「カードゲームをお遊びだと思っていた私が、使ってみたいなどと思ってしまったカードだ」

「うんうん、分かるよっ!」


その気持ちは僕にもよく分かって、つい前のめりになってしまう。


「僕もスピリット達と出会えた時、めちゃくちゃわくわくしたっ!
みんなとバトルフィールドで一緒に戦えたら、どんなに楽しいかってさっ!」

「それでお前は今も、楽しんでいるのだな」

「もちろんっ!」

「……ならば帰れ」


デュークモンは視線を厳しくし、僕に対して固い声でそう告げた。

それは厳しさや怒りなどではなく、むしろ……温かな優しさそのものだった。


「貴様にとってバトルは楽しいものなのだろう? だが私達にとっては違う。
お前はこんな戦争などに関わらず、楽しくバトルができる場所へ帰ればいい」

「嫌だよ。だって僕」


胸を張りながら、右手を拳にしてデュークモンへ突き出す。その時僕は当然ながら、笑っていた。


「バトルを通じて――勝ち続ける事で、バトスピが楽しいものだってこの世界へ教えるんだから。
バトスピは対話で、世界中を元気にするもの。それが戦争に縛られているって言うなら、僕がぶち壊す」


デュークモンはそんな僕を見て呆れたのか、しばし固まる。それでも納得したように笑い、視線を落とした。


「おかしい奴だな、貴様は」

「それはどっちかな。戦争する相手に、あんな優しい言葉をかけるんだもの」

「……お前のターンだ」

「そうだね。……ドローステップ」


引いたカードは……来てくれた、赤のキースピリットに選んだ一枚。

でも……今は守りを固めるの優先だ。コア数も少ないし、ここは自重っと。


「リフレッシュステップ、メインステップ――まずは守護天使のブレイドラをノーコスト・レベル1で召喚」


場に生まれたルビーの輝きから、ひとつの影が飛び出してくる。それは白い甲冑を身に着けたブレイドラ。

毛並みは黄色く、ライト・ブレイドラの隣に着地した守護天使は、顔を見合わせてキューキューと鳴き合う。


「続けて炎盾(えんじゅん)の守護者コロナ・ドラゴンをコスト1・レベル1で召喚」


次に生まれたルビーの輝きから、巨大なサークルシールドを持った竜人が飛び出る。

赤いたてがみと白いシールドを輝かせながら、その竜はデュークモンへ吠える。なお体長は2メートル弱と行ったところ。

「それじゃあターンエンド」


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


守護天使のブレイドラ(とまとオリカ)

スピリット

1(赤1黄1)/赤/翼竜・天霊

<1>Lv1 1000 <2>Lv2 2000 <3>Lv3 3000

Lv1・Lv2・Lv3
このスピリットは黄のスピリットとしても扱う。

Lv2・Lv3
このスピリットに系統「想獣」を加える。

Lv3
このスピリットに系統「戯狩」を加える

シンボル:赤
テキスト:
生前散々苦労したブレイドラの魂は神に召し抱えられ、
天使になった。今の仕事は神様の命令で働く天国の
パシリみたいなもの……って扱いあんまり変わってない!?


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


※TURN05→06


恭文

ライフ×4 リザーブ×1 トラッシュ(コア)×1 コア総数×7

バースト×1

手札:三枚 デッキ:31枚

ライト・ブレイドラ・レベル1(コア×1) ちびき・レベル2(コア×2)

守護天使のブレイドラ・レベル1(コア×1) コロナ・ドラゴン・レベル1(コア×1)


デュークモン

ライフ×3 リザーブ×0 トラッシュ(コア)×9 コア総数×12

手札:二枚 デッキ:34枚

スピリット:ジーク・クリムゾン・レベル2(コア×2)

ブレイドラ・レベル1(コア×1)
                 ↓
                 ↓
TURN06メインステップ開始時

ライフ×3 リザーブ×10 トラッシュ(コア)×0 コア総数×13

手札:三枚 デッキ:33枚

スピリット:ジーク・クリムゾン・レベル2(コア×2)

ブレイドラ・レベル1(コア×1)





バトルスピリッツ――通称バトスピ。それは世界中で愛されているカードホビー。

だが異界・ミッドチルダで現在バトスピは、古代のように至高の決闘として存在していた。

人間とデジモン、それぞれの思惑が交錯する中、カードバトラー達は文字通り、魂と魂をぶつけ合う。


新暦75年――壊れ始めた世界の命運を賭けて、カードバトルによる1年戦争が開戦する。


『とまとシリーズ』×『バトルスピリッツブレイヴ』 クロス小説

とある魔導師と閃光の女神のえ〜すな日常/すとらいかーず・パイロット版Ver2

Brave02 『繋がるZ/天星降臨』





◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


第6ターン――デュークモンはジーク・クリムゾンをレベル3・BP11000へアップ。

続けて黄色のネクサス・黄道(おうどう)の虚空をコスト3・レベル2で配置。



◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


「――ではアタックステップッ! ここで黄道の虚空、レベル1・2の効果が発動っ!」


デュークモンの背後で咲き乱れる黄色の花達が、淡い輝きを放つ。

その光がジーク・クリムゾンの身体からも放たれ、竜騎士は歓喜の声をあげながら槍を構えた。


「自分のフィールドに系統『龍帝・竜騎・虚神』を持つスピリットがいる間、自分のスピリット全てをBP+2000!
よって竜騎と龍帝を持つジーク・クリムゾンは、BP13000となるっ! ブレイドラもBP3000となるっ! 進撃せよ、ジーク・クリムゾンッ!」


ジーク・クリムゾンがフィールドを踏みしめ、どしどしとこちらへ近づいてくる。

でもそれだけではなく、槍の切っ先から黄色い旋風が生まれた。

その風がジーク・クリムゾンを包み込み、フィールドの地面すら削り上げる。


「そしてジーク・クリムゾン、レベル3効果っ! このスピリットのアタック時、BP+5000!
よってジーク・クリムゾンのBPは18000として扱うっ! が……フラッシュタイミングッ!」


デュークモンが出したカードにより、空に暗雲が生まれる。そこから放たれるのは当然、雨のような矢達。


「サジッタフレイムをコスト3で発動っ! 不足分のコアはジーク・クリムゾンからっ!
よってジーク・クリムゾンはレベル2、BPは10000にダウンッ!
コロナ・ドラゴンと二体のブレイドラを破壊させてもらおうっ!」


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


「待て、奴はなぜスピリットを弱くしたんだ」

「サジッタフレイムの効果だな。BP5000になるまで、相手スピリットを好きなだけ破壊できるんだ。
だからちびき以外の全てを破壊すれば、守りが薄くなるだろ?」

「もちろんちびきでは、普通ならBP勝負にもなりませんわ。それに」


黄道の虚空・レベル2の効果もあります。確かあれは……低スピリットを展開する事も多い恭文さんからすると、少しキツいですわね。


「なるほど、それでか。……って、納得しては駄目だろうっ! それでは弟君が危ないぞっ!」

「……確かにそうですわねっ! あぁ、どうしましょうっ!」

「お嬢様、もう遅いかと」


ガオモンが言うように、空から見慣れた矢達が降り注ぐ。それが恭文さんの場を蹂躙し、爆炎を生み出す。

当然その犠牲者達は、あの可愛らしいスピリット……あぁ、ちびきが驚いて、また泣き出してますわ。


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


「コロナ・ドラゴン、レベル1・2・3の効果、発動っ!」


降り注ぐサジッタフレイムに顔をしかめるけど、すぐに気を取り直す。僕の宣言に合わせて、爆炎が一気に振り払われる。

それを成したのは……盾をかざし、ブレイドラ達の前に立っているコロナ・ドラゴンだった。

盾の表面から赤い炎が噴き出し、それがブレイドラ達を守る障壁となっていた。


でもみんなはその中で膝をつき、荒く息を吐く。それに伴い、プレイ板上のカード達も疲労状態となる。

……あー、でもちびきは違うな。みんなが無事で、嬉しそうにはしゃいでる。


「コスト3以下の自分スピリット全ては相手の効果で破壊された時、疲労状態でフィールドに残る事ができるっ!」

「なんだとっ! では」

「みんな、まだまだ頑張れるって事っ! そのアタックはライフでっ!』


低コストスピリットの比率が多めだから、念のために詰んでて正解だったー。ワン・ケンゴーと迷ったんだけどね。

とにかくジーク・クリムゾンはちびき達を押しのけるようにして、僕へと迫る。

既にレベル3じゃないから旋風は消え去っているけど……それでも強烈な槍の一撃が襲う。


周囲に展開したにじ色のライフが二つ、折り重なるようにして障壁へ変化。

打ち込まれた刺突を受け止めると、身体に凄まじい衝撃が走る。

それで僕は障壁が砕けるのと同時に、ボードごと吹き飛ばされ地面を数メートル滑る。


「……ジーク・クリムゾンはダブルシンボル。ライフは二つもらうぞ。
そしてネクサス、黄道の虚空・レベル2効果により」


トラッシュが黄色の輝きで満たされ、使用された事で送られたはずのサジッタフレイムが浮かび上がる。

デュークモンはそれをキャッチし、そのまま手札へ戻す。


「転召を持つジーク・クリムゾンは、光芒の効果を与えられている。よってサジッタフレイムを回収だ」

「じゃあ効果処理も終わったところで……バーストを発動っ!」


浮かび上がったカードをキャッチし掲げると、崩れ落ちていたライト・ブレイドラが立ち上がる。

そうしてひと鳴きし、自身の身体から赤い閃光を照射。それは僕が持っているカードへ当たる。

でもそれでカードが焼けたりはせず、むしろその輝きをより強める結果となった。


「またまた三札之術っ! BP4000以下のスピリット一体を破壊……だけど、ここで強化(チャージ)発動っ!」

「チャージ?」

「ライト・ブレイドラ、レベル1・2・3の効果だよ。ライト・ブレイドラは、BPによる破壊効果の上限を1000上げる事ができる。
まぁ三札之術みたいに、ちゃんとカードで破壊数値が決まってないと適用されないんだけど」


ここもイベント会場で説明したから、よく覚えてる。例えばジーク・ヤマト・フリード。

あれは自身のBPを参照として、破壊数値が変わる。だから強化(チャージ)の効果対象にはならない。

でもサジット・アポロドラゴンみたいに、BP10000以下と数値が決まっているものには適用される。


今回の場合……まぁ意味はないけど、一応説明しておかないと。


「今回の場合、ライト・ブレイドラが一体いるので1チャージ追加。
よってBP5000以下のスピリット一体を破壊できる。
……あ、強化(チャージ)持ちのスピリットが複数いれば、その分効果は上乗せされるから」

「なるほど……だが今は意味がないな」

「そう言わないでよ、一応説明しとかないといけないんだから。じゃあブレイドラには燃えてもらおう」


最初に発動した時よりも強い炎が、ブレイドラを包み込み焼き払う。あぁ、やっぱりあの泣き声は胸が痛む。


「更にコスト2でフラッシュ効果を発動。デッキから二枚ドローし」


リザーブのコア三個のうち、二個がトラッシュへ送られる。それから宣言通りにドローし、デッキトップをオープン。

そこに描かれていたのは、鋭角的な赤い竜。……今は出しても、あんま意味のない感じかな。


「デッキトップをオープン。……赤のブレイヴ、ホットジュピタードラゴン。条件から外れるため、デッキへ戻す」

「ではターンエンドだ。しかし……いちいち驚かせてくれるな」

「それがバトルのだいご味だよ。あと、それはこっちの台詞。
さっきのサジッタと黄道の虚空、それにジーク・クリムゾンとのコンボは、ちょっとドキッとした」

「そうか」


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


「光芒……なんだ、それは」

「バトスピにはな、色ごとに限定された効果ってのがあるんだよ。
光芒は黄色のカードにしかない効果で、マジックの再利用ができる」

「黄道の虚空はレベル2時、条件を満たすものにその効果を与えるのです。
……明らかにジーク・クリムゾン強化のカードですわね」

「なるほど。だが相手の場はがら空きだ、これなら弟君は勝てるだろう」

「今のままじゃ無理だ」


ヴィータさんがそう言い切ると、やはりシグナムさんが驚いた顔を……なりますわよねぇ。

わたくしも一瞬これならと思いましたし、そう判断してもおかしくない場ですから。


「なぜだ、全員でかかれば」

「サジッタフレイムの効果、さっき見ただろうが。あれは当然の事だが、恭文が攻撃した時にも使える」

「その場合、光芒は発動しないがな。あれはあくまでも、アタックした時のものだ」


ヘイアグモンがそう言って腕組みしながら、やや困った顔……違いますね。恭文さんはやはり、バトルを楽しんでいる。

痛みもあるはずなのに、それでも笑っています。……信じていますのね。

バトルの先には、夢と笑顔があると。その姿を見て、わたくし……とても安心しました。


こんなおかしい状況でも、やっぱり恭文さんは恭文さんだったから。


「もちろんスピリットのレベルを上げ、BPアップした上で……という手もある。
だがそこにつけ込んで、他のカードを使われる危険もある。逆に攻め込み辛い」

「その場合、今度は恭文君がノーガードに追い込まれますから。しかも残りライフは二つです。
効果破壊ならスピリットはコロナ・ドラゴンで守られますけど、それでも疲労状態にはなる。
デュークモンはサジッタフレイムで、恭文君にプレッシャーをかけているんです」

「下手に攻め込めば、今度は……たった一枚カードを使っただけだぞ? なのにそれほどの戦略になるというのか」


なってしまうのが、カードゲームの恐ろしさ。しかも恭文さんの場は……いえ、それでもコアが溜まっています。

今ならマ・グーを出せる時でしょう。ここからが正念場ですわ。


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


炎盾の守護者コロナ・ドラゴン

スピリット

3(2)/赤/星竜

<1>Lv1 2000 <3>Lv2 3000 <4>Lv3 4000

Lv1・Lv2・Lv3
コスト3以下の自分のスピリットすべては、相手の効果で破壊されたとき、疲労状態でフィールドに残ることができる。

Lv2・Lv3『自分のアタックステップ』
系統:「星竜」を持つ自分のスピリットすべてをBP+2000する。

シンボル:赤

イラスト:浅川圭司

フレーバーテキスト:
燃え盛る炎の国に代々伝わる槍を受け継ぎし者。
彼は落下する隕石を防ぎ、私達の身を守ってくれた。


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


※TURN06→07


恭文

ライフ×2 リザーブ×1 トラッシュ(コア)×3 コア総数×9

手札:五枚 デッキ:29枚

ライト・ブレイドラ・レベル1(コア×1 疲労状態) ちびき・レベル2(コア×2)

守護天使のブレイドラ・レベル1(コア×1 疲労状態) コロナ・ドラゴン・レベル1(コア×1 疲労状態)
                 ↓
                 ↓
TURN07メインステップ開始時

ライフ×2 リザーブ×5 トラッシュ(コア)×0 コア総数×10

手札:六枚 デッキ:28枚

ライト・ブレイドラ・レベル1(コア×1) ちびき・レベル2(コア×2)

守護天使のブレイドラ・レベル1(コア×1) コロナ・ドラゴン・レベル1(コア×1)


デュークモン

ライフ×3 リザーブ×1 トラッシュ(コア)×6 コア総数×13

手札:二枚 デッキ:33枚

スピリット:ジーク・クリムゾン・レベル2(コア×3 疲労状態)

ネクサス:黄道の虚空・レベル2(コア×3)


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


第7ターン――恭文は焔竜魔皇マ・グーをコスト4・レベル1で召喚。

ちなみに守護天使のブレイドラ、黄色のスピリットっぽく見えるが立派な赤のスピリット。

もちろん効果により、黄色としても扱えるが……まぁそれはさておき、バーストをセットしてアタックステップへ移行。


おなじみの効果によりコアを回収し、マ・グーはレベル3へアップ。ここでターンエンドと思いきや。



◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


『マ・グーでアタックッ!』

「おい、平然と攻撃したぞ。サジッタフレイムを使われるのでは」

「使わせるのが目的なんです」


なのはさんがそう言って、軽く唸りながらデュークモンを見ます。デュークモンも意図が分かるらしく、少し困惑気味。


「さっきもヴィータちゃん達が言ってましたけど、光芒は自分がアタックしている時じゃないと発動しません。
なので今サジッタフレイムを使うと、トラッシュから戻ってこない。しかもデュークモンの手札は……一枚」

「ドローソースでもない限り、スピリットの展開は難しくなりますわね。でもそれだけではありませんわ、うまくいけば、ここで全てのライフを削れます」

「どういう事だ」

「マ・グーは今、ジーク・クリムゾンと同じダブルシンボルで、BPも5000以上だ。
だからな、サジッタフレイムを使っても止められないんだよ。しかもちびきがいる」


シグナムさんが、訝しげにちびきを見ます。弱いスピリットですから、ちょっと不思議そうにしていますわね。


「つまりこうです。マ・グーでアタックし、ライフを二つ削る。その後でちびきでアタックすると、当然サジッタフレイムが飛んでくる。
アタック中にちびきを破壊すれば、バトルを終了させられるはずですから。でもそこでちびきの効果が発動し、別のスピリットを召喚。
しかもBPの関係で、ブレイドラ二体とコロナ・ドラゴン、最低一体は残ります。……あ、コアはマ・グーから使えばいいので」

「だが削れない場合もあるだろう。そうなったら損では」

「削れない場合でも、残り一枚の手札を引き出せるので損ではありません。
そうなった場合でも、手札はサジッタフレイム一枚だけって分かってますし」

「恭文さんのアタックはライフを狙うように見せかけて、実は手札の中身確認を兼ねているのですわ。あとはデュークモンがどう反応するか」


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


「む……!」


マ・グーを飛翔させ、デュークモンへ突撃――デュークモンは苦い顔をしながら、カードの一枚を出す。


「ちぃ……マジック、サイレントウォールを発動っ!
コストは黄道の虚空からっ! よってネクサスはレベル1にダウンっ!」


リザーブから一個、ネクサスからコア三個が送られ、僕の場を覆うように白いオーロラが出現。

それが他のみんなの行く手を阻んでしまう。ち……やっぱ持ってたか。


「そのアタックはライフでっ!」

「マ・グーはダブルシンボル――ライフを二つもらうっ!」


マ・グーが右薙の斬り抜け――振るわれた鎌での一撃を、デュークモンは折り重なった障壁で受け止める。

走る火花に顔をしかめながら、デュークモンは吹き飛ばされつつ声を張り上げた。


「サイレントウォールの効果により、これで貴様のアタックステップは終了だ」

「ターンエンド」


本当はサジッタ使わせたかったんだけど……しょうがない。サイレントウォールを引き出せた事、素直に喜ぼう。

それに奴の手札はサジッタ一枚。じわじわとだけど……確かに僕が追い込んできてる。よし、油断せずにいこう。


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


※TURN07→08


恭文

ライフ×2 リザーブ×0 トラッシュ(コア)×0 コア総数×10

バースト×1

手札:五枚 デッキ:28枚

ライト・ブレイドラ・レベル1(コア×1) ちびき・レベル2(コア×2)

守護天使のブレイドラ・レベル1(コア×1) コロナ・ドラゴン・レベル1(コア×1)

マ・グー・レベル3(コア×5 疲労状態)


デュークモン

ライフ×1 リザーブ×2 トラッシュ(コア)×10 コア総数×15

手札:一枚 デッキ:33枚

スピリット:ジーク・クリムゾン・レベル2(コア×3 疲労状態)

ネクサス:黄道の虚空・レベル1(コア×0)
                 ↓
                 ↓
TURN08メインステップ開始時

ライフ×1 リザーブ×13 トラッシュ(コア)×0 コア総数×16

手札:二枚 デッキ:32枚

スピリット:ジーク・クリムゾン・レベル2(コア×3)

ネクサス:黄道の虚空・レベル1(コア×0)


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

さて……奴のリザーブにはコアが13個。これだけあれば、結構なんでもできるのが怖い。


「マジック・エクストラドローをコスト4で使用。デッキから二枚ドローし」


そう思っていると、二枚目のエクストラドローが発動。これでリザーブの残りは九個。

奴は残り一枚となった手札を、ドローにより三枚へ戻す。それから右手をデッキトップにかけて、ゆっくりと開いた。


「デッキトップをオープン。赤のスピリットならば手札に加える。
私が引いたのはブレイドラなので、手札に」


デュークモンは手札を四枚に増やし、場とそれらを見比べる。数では僕が上だけど……さぁ、どうする。

ここが正念場だって感じがしてるんだ。なにが来てもいいように、高ぶる気持ちを抑えていく。


「ブレイドラをジーク・クリムゾンのコア一個で、レベル1で召喚」


ジーク・クリムゾンからコアが振り分けられて、ブレイドラが登場。

でもジーク・クリムゾンはコア二個からレベル2扱いなので、ダウンはなし。

よってリザーブも変化は……しかしここで手札補強できるんだから、デュークモンの運命力も大したものだ。


「続けてモルゲ・ザウルスをコスト1・レベル3で召喚」


また可愛らしいモルゲが出てから、デュークモンは一枚のカードを場に置く。


「そして三枚目のエクストラドローを発動。コストは2だ」

「な……ほんと運命力半端ないねっ!」

「デッキから二枚ドローし、デッキトップをオープン」


手札をまた三枚へ戻してから、デッキトップをオープンん。そこに描かれていたのは、ステゴサウルスっぽい竜人。

赤い二本の剣を持つその姿は、とってもキュート。あれ……確かストラクチャーに入ってるカードだよね。


「剣竜人ステゴラスを手札へ。ジーク・クリムゾンをレベル3へ上げ、ターンエンドだ」


動きはなし……って、当然か。しかしこれで場を立て直しにくるのが凄い。

しかもここに来て、六枚ドローだもんなぁ。……これじゃあセットしたバーストも出番ないかな。

なんにしても、次のターンが正念場。ここで一気に決めてみせる。


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


※TURN08→09


恭文

ライフ×2 リザーブ×0 トラッシュ(コア)×0 コア総数×10

バースト×1

手札:五枚 デッキ:28枚

ライト・ブレイドラ・レベル1(コア×1) ちびき・レベル2(コア×2)

守護天使のブレイドラ・レベル1(コア×1) コロナ・ドラゴン・レベル1(コア×1)

マ・グー・レベル3(コア×5 疲労状態)
                 ↓
                 ↓
TURN09メインステップ開始時

ライフ×2 リザーブ×1 トラッシュ(コア)×0 コア総数×11

バースト×1

手札:五枚 デッキ:28枚

ライト・ブレイドラ・レベル1(コア×1) ちびき・レベル2(コア×2)

守護天使のブレイドラ・レベル1(コア×1) コロナ・ドラゴン・レベル1(コア×1)

マ・グー・レベル3(コア×5)


デュークモン

ライフ×1 リザーブ×0 トラッシュ(コア)×7 コア総数×16

手札:四枚 デッキ:26枚

スピリット:ジーク・クリムゾン・レベル3(コア×4)

ブレイドラ・レベル1(コア×1) モルゲザウルス・レベル3(コア×4)

ネクサス:黄道の虚空・レベル1(コア×0)


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


「メインステップ――それじゃあデュークモン、そろそろ終わらせようか。僕もデッキ調整したいしさ」

「ふ、言ってくれるな。だが簡単に終わると思うな」

「終わらせるよ、今ここで。赤のキースピリットに選んだ一枚……いくよっ!」


カードをかざすと、それが白色に輝き天を星空に変える。その中で描かれる星座は――ペガサス座。


「天翔ける星よっ!」


ペガサス座が輝く下で、僕はカードを左へ振りかぶり。


「光り輝く竜の導となれっ! コスト4・レベル3で召喚っ!」


一気にプレイ板へと投てきする。


「天星龍ペガ・ジークドラゴンッ!」


それに合わせて、ペガサス座の輝きがより一層強くなる。そこから飛び出してきたのは、巨大な白色すい星。

それは錐揉み回転しながら自らの光を払い、マッシブな竜へと変化。

その姿は白いジーク・アポロドラゴン――ただし翼の形状だけは、大きく変わっていた。


翼は鳥のような形になっていて、こちらへ近づくたびに羽根が舞い散っていく。

そうして竜は僕の頭上で、その翼を羽ばたかせながら急停止。

すると舞い散った羽根が、まるで雪のように辺りへ降り注ぐ。その姿はもはや天使の降臨。


星の輝きと羽根のきらめき――その全てが僕の頭上にいる竜を照らし出していた。

そんな中竜はフィールドへと前進し、ドシンと音を立てながら降り立つ。


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


天星龍 ペガジーク・ドラゴン(とまとオリカ)

スピリット(光)

6(赤2白2)/赤/星魂・星竜

<1>Lv1 5000 <3>Lv2 8000 <4>Lv3 11000

Lv1・Lv2・Lv3『このスピリットのアタック時』
回復状態の相手スピリット一体を指定し、アタックできる。
または自分のデッキを上から2枚オープンする。
その中の【強化】を持つコスト7以下のスピリットカード/ブレイヴカードを好きなだけ
コストを支払わずに召喚する。残ったカードは破棄する。


Lv2・Lv3【強化】
自分の「BP破壊効果」の上限を+1000する。


Lv3
このスピリットの効果で自分のカードが破棄されたとき、その中の
1枚をトラッシュから自分の手札に戻す。この効果でコスト6以上
のカードを手札に戻した時、このスピリットは回復する。

シンボル:赤
テキスト:
天翔ける星よ、光り輝く竜となれ!

―探究者ヤズミ『新訳八十八星夜話』ペガサス座―


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


「来た来たー! よろしくね、ペガ・ジークドラゴンッ! まずコスト4はマ・グーから」


コア四個がマ・グーからトラッシュへ送られるけど……それじゃあレベル3には遠い。なのでみんなの力を借りる。


「そして維持コアはリザーブ、マ・グー、守護天使のブレイドラからそれぞれ一個ずつ。ちびきから一個使うっ!
守護天使のブレイドラ、ちびき、ごめんっ! 力を借りるよっ!」


二人がこっちを見て……あぁ、ちびきが涙目で手を振ってくる。守護天使が消えていく。そんな二人を見て、胸が痛くなった。

それでもレベル3になったし、あとは……僕は自分のデッキを見る。そこから感じるのは、確かな鼓動。

うん、大丈夫。ここからは運試しだけど、きっといける。僕は……一緒に戦うみんなを信じる。


「それじゃあアタックステップッ! マ・グーの効果発動っ!」


マ・グーの周囲にコア四個が展開し、そのまま吸収。それに合わせてトラッシュのコアもマ・グー上へ移動。


「トラッシュのコア四個を載せ、マ・グーはレベル3・BP13000となるっ! ペガ・ジークドラゴン、行ってっ!」


ペガ・ジークドラゴンはまた翼を羽ばたかせ、一気に飛しょう。前のめりになりながら、デュークモンへ飛びかかる。


「ペガ・ジークドラゴンのレベル1・2・3のアタック時効果っ!
回復状態のスピリットへ指定アタック、または自分のデッキを上から二枚オープンできるっ!
今回はデッキオープンの効果を発動――デッキから二枚オープンッ!」


デッキトップが白く輝き、僕の場にカードが二枚展開。その中の一枚は……赤と金に彩られた、両刃剣。

鍔元は円形だけど、幾つもの線が放射状に入っていた。それはまるで、輝く光を表すかのよう。


「その中の強化を持つ、コスト7以下のスピリット、またはブレイヴカードを好きなだけ、コストを支払わずに召喚っ!
残ったカードは破棄するっ! 今回出たカードは……コスト7、輝きの聖剣シャイニング・ソードッ!」


これは最近出たストラクチャーについている、ソードブレイヴの一本。僕が引いたのとはまた違うカードなんだ。

それに続いたもう一枚は……マ・グーと同レベルで付き合いの長い、パートナーだった。


「そして美の覇王セイバー・ネロ・クラウディウスッ! セイバーを破棄し」


セイバーから恨めしそうなオーラを感じつつも、トラッシュへ破棄。その様を見ながら、シャイニングソードをしっかりキャッチ。

右に振りかぶると、カードに赤い炎が走る。それはすぐに集束し、鋭い刃となった。


「強化を持つこのブレイヴカードを召喚するっ! ――光よ、絆を紡ぎ剣となれっ!」


刃を左薙に振るい、そのまま回転しながら頭上へ掲げる。すると刃は天へ上り、空へ突き刺さる。

そこから生まれる炎が巨大な剣となり、ペガ・ジークドラゴンの行く手を阻むように突き刺さる。

でもそれは決して邪魔するためじゃない。『一緒に戦え』って、剣がそう言っているんだ。


僕は場に置いたカードを、そのままペガ・ジークドラゴンのカード上に載せる。


「ソードブレイヴ、輝きの聖剣シャイニング・ソード――光来っ! ペガ・ジークドラゴンへブレイヴッ!」


カードに赤い螺旋が走ると、ペガ・ジークドラゴンは目を輝かせながら、手を伸ばす。


「輝け」


両手で地面に突き刺さった剣――シャイニング・ソードを一気に引き抜き、身体に埋め込まれている宝玉達を赤く染め上げる。

ソードを振り上げてからペガ・ジークドラゴンは、それをサンライズ的に構えた。


「ソードブレイヴスピリットッ! 輝きの聖剣シャイニング・ソードの召喚時効果発動っ!」


宣言すると黄金色の刃から、赤い炎が噴き出し始める。


「BP3000以下の相手スピリット全てを破壊するっ!」

「ではブレイドラは」

「おっと、強化(チャージ)を忘れてもらっちゃあ困るね」


その炎に、合計三つの閃光が加えられる。発生源はライト・ブレイドラとペガ・ジークドラゴン。

そしてソード自身――力を注ぎ込まれて炎は、より激しさを増しながら鍔元へ集束。


「ライト・ブレイドラ、レベル2以上のペガ・ジークドラゴン、そしてシャイニング・ソードの合体時効果――合計3チャージッ!」

「な……そのドラゴンにもチャージ効果があるのかっ!」

「破壊効果はBP6000以下となるので、ブレイドラとモルゲザウルスは破壊っ!」


ペガ・ジークドラゴンがソードを地面へ突き立てると、鍔元から赤い奔流が放たれる。

それは場を埋め尽くすかのような勢いで広がり、ブレイドラとモルゲ達を一気に焼き払う。


「そして二体破壊したので、デッキから二枚ドロー!」


四枚となっていた手札を補強すると、今度はトラッシュに光が宿る。そこへ手を伸ばし、効果宣言。


「続けてペガ・ジークドラゴン、レベル3効果発動っ!
このスピリットの効果で自分のカードが破棄された時、その中の一枚をトラッシュから自分の手札に戻すっ!
美の覇王セイバー・ネロ・クラウディウスを手札へっ!」


浮かび上がってきたセイバーをキャッチし、手札へ。これにより手札は、合計七枚となる。

でもそれだけじゃない。セイバーのカードとペガ・ジークドラゴンが赤い光に包まれ始める。


「この効果でコスト6以上のカードを手札へ戻した時、このスピリットは回復するっ!
今回戻したセイバーはコスト7! よってペガ・ジークドラゴンは回復っ!」


カードが回復状態に戻ると、ペガ・ジークドラゴンが剣を引き抜き振り被りながら突撃。

白い羽根をまき散らしながら飛ぶ様に、つい見入ってしまう。さぁ……どうする。


「これがメインのアタックだっ!」

「……ジーク・クリムゾンでブロックッ!」


袈裟の一撃をジーク・クリムゾンはシールドで受け止め、それを流しながら身と槍を一緒に引く。

そうしてペガ・ジークドラゴンに刺突――その一撃に対し、ペガ・ジークドラゴンは翼を羽ばたかせ上昇。

槍を飛び越えるようにして避け、それを足場にして更に跳躍。白い羽根をまき散らしながら身を捻り、再び袈裟の一撃。


ジーク・クリムゾンは慌ててランスを左薙に打ち込み、その斬撃を払う。

それから背中から炎の翼を生み出し、羽ばたかせながら突撃。シールドをかざしながらペガ・ジークドラゴンへ突撃。

ペガ・ジークドラゴンはそれを受けて体勢を崩し、フィールド上を滑る。でも器用に身を捻って、起き上がりながら停止。


その間にジーク・クリムゾンは踏み込み、盾をかざしながら槍の切っ先を向ける。

あれは……るろ剣の雨水もやっていた構えか。盾で相手の攻撃を捌き、カウンターでランスでの刺突を打ち込む。

ペガ・ジークドラゴンは剣の切っ先を下げ、そのままどすどすとフィールドを踏みしめる。


そしてシャイニング・ソードでの刺突が放たれる。当然それはシールドに防がれ、ジーク・クリムゾンの左サイドへ流される。

そこでカウンターの刺突が、ペガ・ジークドラゴンの腹へと打ち込まれる。

でもそこでペガ・ジークドラゴンは身をわずかに逸らし、スレスレで刺突を回避。


同時に流されたソードを手放し、左腕でランスを抱えるようにホールド。

すかさず右手を伸ばし、シールドの橋を掴んで脇へずらす。

そうして組み合った状態で、ペガ・ジークドラゴンの目が強く輝く。


その口が開くと、星の輝きのような吐息が収束――ジーク・クリムゾンへ、一気に吐き出される。

至近距離で放たれた星のブレスを受け、ジーク・クリムゾンは雄たけびをあげる。

そうして打ち込んだ右ミドルキックにも耐え、ペガ・ジークドラゴンは更にブレスを放射。


結果ジーク・クリムゾンは爆散――その炎を左腕で払いながら、ペガ・ジークドラゴンが地面を踏みしめる。


「我が写身が……バカな。この私が、手も足も出ないだと」

「そんな事ない」


既に勝利の芽は絶たれた。そう言わんばかりに瞳を揺らすデュークモンに、僕は否定の言葉をかける。


「お前のアタックにプレイング――どれも僕の心にビシビシ伝わってきた。
お前が本当は悪い奴じゃないんだって、お前もこんな事は嫌なんだって、しっかり確かめられた。
もしも今日、こんな結果で終わった事に原因があるとしたら」

「なんだ」

「それはお前に、迷いがあるからだ」


デュークモンはその瞳を驚がくの色に染めながら、大きく見開いた。どうやら思い当たるフシがあるらしい奴に笑いかける。


「迷いがあるなら、こんな事やめた方がいい。さっきの言葉、そのまま返してあげるよ」

「私に、迷い……ふ、そうかもしれんな」


ペガ・ジークドラゴンのカードを横に倒すと、二足で立っていたペガ・ジークドラゴンが吠え、翼を広げながら飛しょう。

そのまま飛びながら、地面に落ちたままのシャイニング・ソードを拾い上げる。


「さぁ、一緒に飛ぶよっ! ペガ・ジークドラゴンッ!」


あかね色の空を飛ぶペガ・ジークドラゴンは、ループを描きながらその身を炎に包み込んでいく。


「……ライフで受けよう。撃ち抜いてみせろ」


ペガ・ジークドラゴンはそのまま急降下し、デュークモンへ迫っていく。翼は煌めきを生み、炎は刃へと収束される。

デュークモンは両手を広げ、胸元を張り、自分の命を襲い来る竜に差し出した。


「強きカードバトラーよっ! もし私に迷いがあるというのなら、それを撃ち抜いてみせろぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!」

「そうさせてもらうっ! そのための」


そして障壁が展開――ペガ・ジークドラゴンはシャイニング・ソードを唐竹に打ち込み、二重に展開されたライフを斬り裂く。


「バトスピだっ!」


火花と音を走らせながら拮抗はしばらく続き……ある瞬間、あっさりと砕け散った。

ペガ・ジークドラゴンはその瞬間翼を大きく羽ばたかせ、僕の方へと後退していく。

デュークモンの周囲に赤の破片が舞い散り、ボートは吹き飛ばされながらも地面へ墜落。


滑るようにして停止する中、デュークモンは膝をついていた。

これが勝負の決着――デュークモンはあお向けに倒れそうになるけど踏ん張って、その場に留まる。


「それじゃあ終わりだ。再就職先はしっかり紹介してあげるから……僕達に協力してもらうよ」

「……魂と魂をぶつけ合った先の結果だ。家臣達の安全も保証するなら、素直に受け入れよう。だがお前は、何者だ」


デュークモンは荒く息を吐きながら、よろよろと身体を起こす。それで僕に対し、疑問の視線をぶつけてくる。

そこにはもう、さっきまでの敵意はない。人間に対しての嘲りもない。……いや、最初から奴はそんなの持っていなかった。

あったものは、僅かな迷いや戸惑い。幾ら口ではどう言おうと、それは隠し切れていなかった。


でも今はもう、それを隠そうとはしていない。だから僕を見据え、優しい声で語りかけてくる。


「こんなカードバトラーがいるなど、聞いていない。……カウンターを恐れぬアタック。
かと思えば緻密に相手を追い込む戦略と、デッキを――仲間達を信じての賭け。
確かにそうだな、私もお前の事がよく分かった。だからこそもう一度聞く。お前は……何者だ」

「そりゃそうでしょ。僕は『いた』んじゃない」


軽く答えながらも、僕は不敵に笑う。


「来たんだ」


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


やや薄暗いラボの中、俺達は空間モニターを黙ってみていた。そこに映っているバトルを見て、胸が疼く。

歴史は繰り返される……いや、違うか。ここは俺の世界じゃない。一人自重している時、隣の男がおかしそうに笑った。


「いたじゃなくて、来たか。……懐かしいかね」

「まぁな。だがアンタ達はこれでいいのか。
『異界化』したせいで、ミッドチルダは混乱に陥っている」

「局に協力を求めろと?」

「そうだ。今ならアンタの話を信じてくれるはずだ」

「それはやめておいた方がいいわねぇ」


ラボの入り口が開くと、中から眼鏡の女性と、うさみみの女性が入ってくる。

一人おかしいが、俺はあの人に関して特徴を求められたら、一番にうさみみと言うしかない。


「そんな事したら私達ぃ、まず拘置所へぶち込まれちゃうものぉ。私達は局にとって恥部。
話をする前にそういう扱いを受けて、人間とデジモンとの争いは加速するわぁ。それにぃ」

「局の上層部、今ひとつ信用できないもんねー。最高評議会の事もあるし。
だっくん的には納得できないかもだけど、もうちょっと様子を見た方がいいよ」

「クアットロ、束、戻っていたのか。それで首尾は」

「そこはバッチリ。もう向こうにも情報が伝わってるはずだよ。……箒ちゃんを引っ張り出せば」


箒……確かうさみみこと束の妹だと聞いている。束は身内には相当甘いらしく、かなり自慢げに話をされた。

だから彼の事も、まぁ……気の毒と言うほかないレベルで説明された。いや、そこは本当に。


「それでー、やっくんのバトルはどうだったかなー。デュークモンとやり合ってたんだよねー」

「見事に勝った。しかも新効果のカードまで使って、実に楽しそうだった」

「へー、それはなかなかー」

「まぁ君曰くの『だっくん』から見れば、甘いところもあるだろうが」


白衣姿の男――ドクターがこっちを見てそんな事を言うので、軽く笑っておく。

ただ腕前どうこうは抜きにして、少し懐かしくなった。それだけは……確かだ。


「でもドクター、よろしいんですかぁ? これなら抜け駆けして、独り占めにしちゃえばいいのにぃ」

「クアットロ的には、それで局と取り引きとかかな。相変わらず腹黒いねー」

「うるさいわよっ! ラスボス女は口を挟まないでっ!
……そうすればぁ、ドクターが世界の覇者になるのも夢ではありませんよぉ?
世界を救った『英雄』となるわけですしぃ、それ相応の報酬や立場も得られますしぃ。
そういうのを抜きにしても、最低でも私達の身辺保護だけは保証されますぅ」

「それも考えたが、駄目だ。……これを見てくれ」


ドクターが別のモニターを開き、指でそれを叩く。するとなにかのバイオグラフと、数字の羅列が一気に出てくる。


「これはぁ」

「今周囲で起きている異変。そして彼が所持していた一枚のデータを元に、ミッドチルダ崩壊までの時間を予測してみた。
……科学者の観点から言えば、『十二宮Xレア』は非常に興味深い。全部揃えて、じっくり研究したいとも思う」

「そのお気持ち分かりますぅ。ただのカードにあんな……え、ちょっと待ってください」


クアットロと束も気づいたらしく、数字の部分に注目する。それは……一種のリミット表示。

日数と時間が表示され、それが少しずつ削られている。それは大体、300日前後。


「ドクター……私も見間違いでしょうかぁ。これ、1年もないようなぁ」

「その通りだ。君達が動いてくれている間に、また次元震が起きてね。
ミッドとその周囲への影響はなかったが、そのデータを元に再計算したら……これだ」

「俺も驚いたよ。……で、どうする? 覇者になるって言うなら、止めないが」

「……あぁもう、あなたも相当底意地悪いわよねっ! 滅びる世界の覇者になんて、なっても意味ないしっ!」


さすがに事態は分かるらしく、クアットロは軽く頭をかいて唸り出す。……正直、これは俺達だけじゃ無理だしな。

以前十二宮Xレアを探した時とは、明らかに難易度が違う。しかも……俺は一枚のカードを取り出す。

それは身体を赤く染め上げ、通常時より小さめの弓を構えたサジット・アポロドラゴン。


俺が前の世界で使っていたコイツも、こんな状態だしな。本気で時間が足りないんだ。


「とにかく……全員でカードを探すのは、納得しますぅ。
この調子だとカードを独り占めした瞬間、世界崩壊ってのもありえそうですしぃ」

「更に早まる可能性もあるからね。とにかく差し当たっての問題は、イグドラシルだろうか。
せめてこの件が解決してから、改めて侵略などしてほしかったんだが」

「予想よりもかなり早く動いてたしねー。さてさて……だっくん、どうする?
一応状況経験者だし、束さん達的にもいろいろアドバイスが欲しいかなーと」

「そうだな、まずは」


俺はそれで少し考えたが、言いたい事はほとんどない。思うにみんな、できる事を全力でやってくれている。

だとすると……そう考えて俺は自然と、画面内の彼とペガ・ジークドラゴンを見ていた。


「彼とバトルがしたい」


そうして口を出てきたのは、そんな一言だった。あぁ、そうだ。

驚いてるみんなには悪いが、この高ぶる気持ちは……抑えられそうもない。


「あらま……それはまた」

「はぁっ!? あなた、なに言ってるのぉっ! 局の関係者のところへ行ったら、普通に捕まるわよぉっ!
……言っておくけど、『異界化』も幾つかの問題があるわぁ。妹達が必死に動いて、それを覆い隠しているだけでぇ」

「心配してくれるんだな」

「してないわよぉっ! 作戦遂行に支障が出たら、嫌だって言ってるのぉっ!」

「まぁまぁ、いいじゃないか」

「ドクター!?」


クアットロを諌めるドクターに驚いていると、彼はまた不敵に笑った。何気に笑顔が多い奴だと思う。

ただ……俺が無茶を言っているのは事実なので、さすがに念押しで確認してしまう。


「いいのか?」

「あぁ。気になるのだろう」


だがそんなの、必要なかった。ドクターは全部分かっていると言わんばかりの顔で、俺と同じものを見る。


「彼は……以前の君そのままだ」

「……すまない」

「構わないさ」


そうだ、あれは以前の俺だ。だからこそ確かめたいし、バトルしたい。

バトルの中で語っていた事が本当かどうか、実際に戦う事で知っていきたい。

俺はサジット・アポロドラゴンの欠片を見つめてから、それをデッキケースに戻す。


そうだな、いたんじゃなくて来たんだ。じゃあ来た者同士、いいバトルをしようじゃないか。


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


今日の一枚――天星龍ペガ・ジークドラゴン。新たな戦いに望む恭文が手にした、キースピリットだ。

そのモチーフはペガサス座。ちなみに天星龍は公式には他に二体いるが、関係性はないとか。

強化を持つスピリットはともかく、ブレイヴ自体がかなり少ないので、今回のような運用は稀だろう。


だがレベル3効果による破棄は、合体したブレイヴの効果によるものでも有効。

更に破棄の条件も手札・デッキ・バースト・オープンの全てに対応するため、様々なコンボが可能となる。

例えば以前アントニーが使ったデス・ヘイズと組んだ場合、状況次第で無限復活が可能だそうだ。


……そしてこのカード、読者アイディアを元としたオリカとなっています。なので実際には売られていません。

元となったアイディアは下記の方となっております。アイディア、ありがとうございました。



DIOです。すとらいかーずで十二宮Xレア争奪戦を
すると言う事なので、その時の主人公用のカードを提案します。

星座の戦いと聞いてフォーゼか聖闘士星矢しか思い浮かばない辺り
我ながら悲しいですがこういうのは案外ベタなほうがいいと思うので。
byDIO

◆◆◆◆
天星龍 ペガジーク・ドラゴン
スピリット(光)
6(赤2白2)/赤/星魂・星竜
<1>Lv1 5000 <3>Lv2 8000 <4>Lv3 11000

Lv1・Lv2・Lv3『このスピリットのアタック時』
自分のデッキを上から2枚オープンする。その中の【強化】を持つ
コスト7以下のスピリットカード/ブレイヴカードを好きなだけ
コストを支払わずに召喚する。残ったカードは破棄する。


Lv2・Lv3【強化】
自分の「BP破壊効果」の上限を+1000する。


Lv3
このスピリットの効果で自分のカードが破棄されたとき、その中の
1枚をトラッシュから自分の手札に戻す。この効果でコスト6以上
のカードを手札に戻した時、このスピリットは回復する。

シンボル:赤
テキスト:
天翔ける星よ、光り輝く竜となれ!

―探究者ヤズミ『新訳八十八星夜話』ペガサス座―


(言わずとしれた聖闘士星矢の主役、ペガサス座のカードです。
天星龍はこれ以外に公式で2体いますが関係はありません。

Lv3効果は合体したブレイヴによる破棄にも有効で、さらに破棄の条件も
手札・デッキ・バースト・オープンの全てに対応するので色んなコンボが
出来ます。デス・ヘイズと組むと状況次第で無限復活が可能です)


(パイロット版Ver2――おしまい)


















あとがき


恭文「というわけで、お待たせしました後半です。まぁこんな感じで大暴れ……絶対カオスになるから、じっくり温めよう。
そして皆様のアイディアによって、このお話は生まれました。アイディア、ありがとうございます」

(ありがとうございます)

フェイト「そ、そうだね。現段階でも、ねぇ。それでお相手はフェイト・T・蒼凪と」

恭文「蒼凪恭文です。もうすぐ3月……いよいよ新しいストラクと、パックの発売月っ!」

フェイト「その前に各ドラゴンスタイルのテーマソング発売だけどね。あとはビーストのテーマソング」


(こちらも注目です)


恭文「というか、こっちはあしたか。さてさて、そんなわけで今回使用したデッキです」


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


恭文デッキ Verすとらいかーずその2

※スピリット×21

ライト・ブレイドラ×3

守護天使のブレイドラ×2(とまとオリカ)

ぷちどる・ちびき×1(とまとオリカ)

炎の守護者コロナ・ドラゴン×2

カグツチドラグーン×3

ヤシウム×2

ペガ・ジークドラゴン×1

焔竜魔皇マ・グー×2

龍の覇王ジーク・ヤマト・フリード×1

刀の覇王ムサシード・アシュライガー×2

美の覇王セイバー・ネロ・クラウディウス×1(とまとオリカ)

激突の覇王ジーク・バシンドラゴン×1(とまとオリカ)


※ブレイヴ×6

獣装甲メガバイソン×1

騎士王蛇ペンドラゴン×1

ホットジュピタードラゴン×2

輝きの聖剣シャイニング・ソード×1

黒虫の妖刀ウスバカゲロウ×1


※マジック×13

三札之術×3

絶甲氷盾×2

双光気弾×2

秘剣燕返×1

リバイヴドロー×2

ストームアタック×2

インビジブルクローク×1


(デュークモンデッキ『http://www.battlespirits.com/mydeck/decksrc/201206/1340749686.html』)


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


恭文「まぁデュークモンデッキは変わらずですね。それで僕のデッキは……赤黄にするつもりかい」

フェイト「これならガブリエレン入れて、エンジェリック・フェザーでもいいかもしれないね。
でもあれだよね、ワン・ケンゴーがないと、ちょっと辛いって作者が」

恭文「激突は便利な効果だしねぇ。でもカグツチがいるし、それでなんとかなるでしょ」


(カグツチ、やっぱりうい奴うい奴)


恭文「そしてホットジュピタードラゴン……あれ便利だよねー。作者的には、フェニック・キャノンより合ってる」

フェイト「ドロー加速にも使えるしね。今日は出番なかったけど」


(カグツチと合体させると、ドローしまくりです。え、バルガンナー? それは使い分けで)


恭文「そしてペガ・ジークドラゴン……実はこのデッキだと、まだまだ力が活かせていないという」

フェイト「えっと、カード破棄のギミックだよね。スピリット効果だから、ブレイヴでタイミングを選ぶ事もできるし」

恭文「だから赤紫もありかもしれない。デス・ヘイズでこう、スターダスト・ドラゴンの如きドM龍に」

フェイト「それ失礼だよっ!? アイディアカードなのにっ!」


(でも攻撃を受けても復活って、やっぱりあれが思いつくの)


フェイト「でもどうしてシャイニング・ソード? ほら、あれならウスバカゲロウでも。
デュークモンはライフ残り一つだったし、指定アタックとか激突とかなくても、普通に」

恭文「……効果をフルに使うとなると、ああなってしまった。よし、闇の赤きソードアイズに期待だ」

フェイト「なにかほうり投げたっ!? あ、でもストラクに入ってるんだよね、ダークネスファング」

恭文「紹介文がネタバレだけど、そこは触れない感じで」


(あれは……忘れていこう)


恭文「あ、でもダーグが喜んでたなぁ。地竜関係が強くなるかもーって言ってたから」

フェイト「……ダーグはそうだね」


(奴は……がっつりですから。てーか存在自体が地竜みたいなものですから。
本日のED:カラス『free』)


恭文「とにかくあれだ、このデッキはまだ調整の必要があるね」

あむ「勝った早々なにっ! ……確かにペガ・ジークドラゴンを活かそうと思うと、難しいところがあるよね」

恭文「破棄のギミックをうまく使い……だしね。ただこれをやると、いわゆる破棄メタもすり抜けられるから。
そういうのは大体デッキから破棄ってパターンが多いけど、デス・ヘイズみたいな手札破棄はあんまないはずだし」

あむ「あぁ、そう言えば……でも無限復活は怖いな。セイメイみたいだし。……あ、それはそうと来週のソードアイズで」

恭文「ついにアリサ、伊織、シャナと言った面々がバトルデビューだよ。楽しみだよねー」

あむ「なんかたくさんっ!?」

古鉄≪しょうがないんですよ。うちの話、くぎみーボイス多いですし≫

神楽「わたしもアルな。ペニ(うったわれるーものー♪)を世界一カッコよく着こなせるヒロインの格、見せてやるネ」

あむ「馬鹿じゃんっ!? そんなの着こなさなくていいしっ! ていうか、それつけてる時点でヒロインじゃないしっ!」

スゥ「そうですぅっ! それはあむちゃんみたいなヒドインの仕事ですぅっ!」

あむ「ちょっとー!?」


(おしまい)






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