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小説(魔法少女リリカルなのは:二次小説)
第39話 『願いを言って?』



前回のあらすじ――恭文が世界チャンピオンにリベンジ決定。でもあの、大丈夫かなぁ。応募でどうこうだから、難しいんじゃ。

まぁ本人は楽しそうだからいいか。でも……あたしがあげたカード、全部入れてくれてるんだ。

今ちょうどそれを見せて、コナミさんと話してるからちょい恥ずかしい。というかあの、無駄にドキドキするんですけど。


「これなら1〜2枚入れ替えるだけで対応できるな。エクストラデッキにも余裕あるし」

「ですね。でもこれ……大事にお借りします」


そう言って恭文は、黒いカードを持って深々とお辞儀。なんか凄いカードらしくて、かなり丁寧に扱ってる。


「というかあの」

「どうしたの、あむちゃん」

「あたし達、そろそろお暇した方が」

「……あ、そっか」


さすがの恭文も気づいたっぽい。ほら、あたし達って昔なじみが再会ってところに、お邪魔してるわけじゃん?

これから同窓会っぽい事するみたいだし、部外者が邪魔しちゃ悪いかなーと。まぁその、一応?


「それなら大丈夫だ。むしろジャックが世話をかけたからな。
そのお詫びもしたいし、良ければ食べていってくれ」

「えぇっ! で、でもそれだと」

「家主な遊星もこう言ってるし、大丈夫だって。そっちの世界の環境とかも聞きたいしよ。
てーかあれだ、デュエルしようぜ。ネオスとやってみたいんだよ」


あぁ、逃がしてくれないっ! 他はともかく、コナミさんはもう逃がそうとしないっ! なんか目が燃えてるー!


「えっと、それじゃあ」

「お世話になります」

「あぁ」


こうしてあたし達は、思いっきり部外者なのに夕飯を一緒する事になった。

まずは感謝の気持ちを伝えるために、立ち上がって深々とお辞儀。でもこれだけじゃ足りない。

なんかご飯とかも作るらしいし、しっかりお手伝いしようっと。これでも料理は練習中だし、いけるいける。





『とまとシリーズ』×『しゅごキャラ』 クロス小説


とある魔導師と彼女の機動六課の日常


第39話 『願いを言って?』





◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


というわけであと三人ほど来るらしいので、早速夕飯の準備を手伝う事にする。

とはいえ遊星さんが既に材料を調達していた上に、作るものはバーベキュー。

下ごしらえまでばっちりらしく、やる事がありませんでした。……なんなの、この完璧な布陣。


完全に仕事を奪われた僕達だけど、そこで一つやる事を思い出した。というわけで早速結界を展開。

その上で一旦家の外へ出て、路上で軽くストレッチ。もちろん……あむと一緒に。


「しっかし凄いなぁ、魔法ってのはこんな事もできんのか」

「えぇ。まぁ周りの人をびっくりさせてもアレなんで」

「というか恭文、あたしなにするわけ?」

「当然」


意識を集中し、僕は紫激気を放出。僕を中心に紫の風が吹き荒れ、両足で踏み締めている地面が軽くヘコんだ。


「僕と組手だよ」

「「カルカスカルカスー♪」」

「おぉ、激気かっ! また珍しいもん使えるなー!」


あれ、コナミさんがなんか知ってるっ! なにこの人、なんで遊戯王関連以外の事もOKなのっ!


「でもそれ、普通のとは違うよな」

「えぇ。僕のは紫激気っていう珍しい激気なんです」

「激気? コナミ、それは」

「あー、いわゆるオーラみたいなもんだ。獣拳っていう激気を扱う拳法があってな。一応俺も使えるぞ?」


そう言ってあの人は、身体から虹色の気を放出。……って、僕達のより強そうだしっ!

なんで達人っぽい空気出してるのよっ! マジで何者ですかっ!


「一体どこでそんな技を……いや、もう私は驚かないけど。多芸なのは昔からだし」

「旅してた時、山奥に迷い込んでなぁ。そこで暮らしてた、おかしなじいさんに習った。もしかしてお前らの世界にも」

「いえ、激気はこっちの世界で習ったんです。その獣拳のマスターとたまたま知り合って」

「あたしもその、通信講座みたいな感じで……でも恭文、どうしていきなり」

「旅の目的を忘れた? いやさ、僕もやられたんだけど」


その場で軽く跳躍し、無形の位を取る。それであむは目を細め、腰を落とし左の半身で構えた。


「実戦で使い方を覚えるって方法もあるしねぇ」

「あぁ、そういう事で」

「まぁ最初は軽く流すから、攻めてきていいよ? ただし激気は使うように」

「分かった」


あむは右手を腰に添え、息吹――呼吸音が響くと同時に、あむの身体から白い激気が放出される。


「……あれ、なんか色が変わってるっ!」

「あれ、ダイヤが見たーっていうのっ!?」

「みたい、ね」


そのままあむは地面を踏み砕きながら、一気に突撃。僕に向かって右ストレートを打ち込んでくる。

右手で拳を払いながらあむの側面へ回り込むと、あむは急停止。素早く打ち抜いた拳を裏拳として返す。

裏拳は下がって目の前すれすれで避けると、今度は左フックが右わき腹狙いで打ち込まれる。


右の掌底で軌道を逸らし回避しても、あむは諦めず左右の連打。後ずさりながら左右のスウェーを行い、全て回避していく。

するとあむは右拳を引きつつ身体を伏せ、一気に僕の右サイドを取る。

そうしながら内股を狙って左ローキック。僕はあえて避けず、命中箇所の紫激気を強めてそのまま食らう。



あむの蹴りはそれなりに鋭いはずなのに、僕へはダメージが入らない。あむはそれで苦い顔をして、素早くバックステップ。

でもすぐ踏み込み、ミニスカにも関わらず右ハイキック。それを伏せてかわすと、あむの身が一気に捻られた。

あむの身体はそのまま跳躍し、僕へ迫りながら左後ろ回しげりが飛ぶ。僕は笑いながら踏み込み、左腕でその蹴りをガード。


するとあむは舌打ちしながらもバランスを崩し、一気に地面へ倒れる。でもすぐに起き上がり、大きく後ろへ跳躍。


「……黒とは、また大胆な」

「な……!」


あむは両手でスカートを押さえ、顔を真っ赤にして身を震わせる。それで恨めしげに僕を睨みつけてきた。


「見るな、馬鹿っ!」

「スパッツも履いてないのに、あんな蹴りするから」

「うるさいうるさいっ! このスケベっ! 変態っ!」


そう言いながらもあむは魔法を使用。というか、ジャケット構築?

あむの両足にピンク色の光が生まれ、それが一瞬で黒いスパッツに変化した。


「でも驚いた。まさか旋まで出してくるとはねぇ」

「……アンタがやってるの、何回も見てるし。これくらいできるし」

「そう。だったら、そろそろ攻め込むかな」

「うん」

「そんなに固くならなくても大丈夫だよ。加減はするから」


これはあむの調子を見るのが目的。ガチで叩き潰しにいくわけがないので、安心させるように笑う。

それから一気にあむへ踏み込み、5メートルに満たない距離を一足飛び。まずは右フックを打ち込む。

あむはそれを両手でガードして、表情をしかめた。……僕は構わずあむの右サイドをお返しに取り。


「フィールドの構築が」


後頭部に向かって左フック。


「甘いっ!」


あむは咄嗟にそれをしゃがんで避け、僕の左サイドへと抜けながら左フック。

腹へと打ち込まれるそれに対し、僕は拳を振り切った勢いのまま、身を捻りながら一気に伏せる。

そうしてあむの脇を抜けて背後に回りこみ、右回しげりをあむの背中へ軽めに打ち込む。


するとあむはバランスを崩して前のめりに倒れるけど、うまく前転に持ち込んですぐ起き上がった。


「もっと意識を集中して。フィールド魔法を制御する要領で、いけるはずだから」

「えっと……分かった」

「ならもう一度」


先ほどと同じように拳を打ち込むと、あむも全く同じ体勢でガード。でも結果は違っていた。

激気によるフィールドはさっきよりも硬かったし、あむの顔も普通。むしろ改善ができて嬉しいらしく、笑っていた。


「あ、できた」

「うん、良い感じ。毎日練習してたのが分かるよ」

「……ん」


嬉しそうに笑うあむがちょっと可愛い……いや、落ち着け。そういう状況じゃないから。

あむも激気を使ってるし、おそらく僕相手だから最低限の加減しかしないはず。油断せずいこう。


「やっぱ練習相手がいると、違うなぁ。魔法とはまた違うから、空海やりまへは使い辛いし」

「また休みになったら、いつでも来ればいいよ。僕はちゃんといるから」

「未だにミッドへ戻れないんだ。……ねぇ」

「あむはちゃんと勉強して、やりたい事や未来を少しずつ考えるんでしょ?」


言いたい事が分かって、先にそう返しながら右手をスナップ。


「僕は大丈夫だから。そういう旅を今も続けているし、だからここにいる」

「分かってるよ、そんなの。でも……それだけじゃないって、ちょっとは分かってほしいんだけど」

「そ、そうだね」


不満げなあむにタジタジになりながらも、一度せき払い。それからもう一度右手を横に伸ばし、軽くスナップ。


「んじゃあ、もうちょっといくよ」

「うん」


僕はあむへ踏み込み、もういろんなもの置いてけぼりで訓練継続。身を時計回りに捻り、フライングニールキックを打ち込んだ。


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


「――はいそこまでっ!」


ただひたすらに床を磨いて磨いて磨き抜いた結果……私はふらふらになりながら、あお向けに倒れ込んだ。

こんな全力で、なにも考えずになにかをしたの……いつ以来ぶりだろう。なんか途中から、どんどん気持ち良くなってきた。


「これは驚いた」


そんな私にランさんは近づき、右手でストップウォッチを持って笑いかけてくる。


「一日で1分切れるなんて」

「よしっ!」


起き上がってガッツポーズを取って、改めて自分が磨いた床を見る。

訓練場の床は自分で言うのもピカピカで、曇り一つない。


「しかも磨き方もキチンとしてるし……うん、合格です」

「やったー!」

「じゃあ次は30秒でやってみましょう」


感激で伸ばした両腕をそのままに、私は落胆のまままた倒れてしまう。

そんな……1分だってギリギリだったのに。マズい、喜んだ分落胆がキツい。


「まぁそれはまたやってもらうとして、次の修行へ行きましょうか」

「次のっ!?」


慌ててもう一度起き上がると、ランさんが笑顔で頷いてくれる。それでやっぱりガッツポーズ。

『また』っていうのが気にはなるけど、今は素直に一歩進めた事を喜ぼう。


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


一旦汗を流した上で、ランさんに連れられ外へ出た。と言っても、本社の敷地内なんだけど。

それで案内されたのは、一本のイチョウの木。その前にチェアーとイーゼルを設置して、キャンバスも置く。

それからランさんは、私に薄い木箱を手渡す。なんとなく嫌な予感がしながら、慎重且つ丁寧に箱を開ける。


中にあったのは、ズラッと並んだ鉛筆と消しゴム。手の平サイズの石に……なにこれ、炭?

あとは木の枠にワイヤーを、升目状に張り巡らされているのが二つ。見た事がないもので、軽く首を傾げた。


「それで絵を描いてもらいます。いわゆるデッサンですね」

「はぁっ!?」


いやいや、意味が分からないんだけどっ! さっきのは身体を動かすからまだ納得するとしても……いや、やめよう。

よくは分からないけど、きっと意味があるんだよね。さっきのもなんだかんだで、気持ちがすっきりしたと思うし。


「や、やります」


なので私はこう言うしかなかった。うぅ、軽くヘコんできた。


「よろしい。あー、でもやり方とか分からないでしょうから、恭文くんに聞いていいですよ?」

「既に分からない事前提っ!? あの、私だって中学の時にデッサンくらい」


そこまで言いかけて、私は涙目で蹲ってしまう。ごめんなさい、嘘つきました。

仕事の関係で美術の授業、よくすっぽかしてたなぁ。だから成績も、今ひとつだった。


「……やってないんですね」

「……仕事で」

「なら聞きましょう。じゃないと、1ヶ月かかってもできないでしょうし。私はまたレッスンがあるので、夜になったら見に来ますね」

「レッスン?」

「えぇ。スクラッチで獣拳を習っている子達がいるんです。一応マスターなんで」


なんだろう、凄まじい差を感じてしまう。私だって六課では……駄目だったなぁ。

とにかく悲しみを噛み締めながらキャンバスに向かい、お絵かき開始。……やっぱりヤスフミに電話しよう。


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


あむの右ハイキックを伏せて避けると、突然携帯から着信音。これは……フェイトだね。

僕は右手で携帯を取り、返しの足払いを左足で踏んづけて止める。それを蹴飛ばしながら通話ボタンをポチ。


「もしもし、フェイト? どうしたの」

『ヤスフミ、助けてー! 修行が大変なのー!』

「だが断る」


もう一度通話ボタンを押して電話を切りつつ、あむの右ストレートを左へ回避。

そうしながらも左手で腕をホールドし、時計回りに回転してあむを投げ飛ばし……あ、また着信。


「なにフェイト、修行は自分でやらなきゃ駄目だよ?」

「アンタホント」


次は右ミドルキックを下への掌底で払い、続けてくる左ミドルも同じように……てーか連続で来るか。

僕は後ずさりながら携帯を肩と耳の間で挟んで、両手で連続キックに対処。……これ意外とやりにくいな。


「ナメてくれるねっ! てゆうか電話するなー!」

『あれ、今取り込んでいる最中?』

「あぁ、大丈夫」


七撃目の蹴りを両手で掴み、軽く捻る。それでバランスを崩したところで右足払い。

あむの軸足を刈って地面に転がすと、あむは素早く転がって僕から距離を取った。


「取り込むほども差は縮まってないから」

『そ、そうなんだ。それでその』

「だが断る」


再び右手で携帯を持って、あむの左フックに対処。背を後ろへ逸らしながら拳の下をかいくぐり、あえて倒れる。

そうしながらも身を回転させ、右足であむの胸元に蹴り。上から振り下ろすような蹴りに対し、あむは咄嗟に両手でガード。

それで後ずさってくれたところで、起き上がりながら通話ボタンを押す。……また着信だし。


『お願いだから話を聞いてー! ランさんに電話してもいいって言われたのー!』

「フェイト、嘘つきは泥棒の始まりだよ?」

『嘘じゃないよー!』

「まぁ後で電話するから、待っててよ。それじゃあ」


今度こそ電話を切って、懐に入れ直す。それからすぐにあむのワンツーに対処。

あむの両手首辺りに手刀を打ち込みながら、拳を全部外へと逸らす。そうしながらも両の手刀を右肩へ打ち込む。

その衝撃で動きを止めてから時計回りに回転して、こっちを掴もうと伸びてきた右腕をホールド。


それを脇に挟みながらあむの右足首に右キック。続けて太もも・膝と箇所を上げて連続蹴り。

あむは膝をつきながらも当然反撃に、僕のわき腹へ左フックを連続で打ち込む。

でも……全く効かない。激気の扱いはあむの方が長くても、こういうエネルギーの扱いは僕の方が上。


「ちょ……硬いんですけどっ!」


そのまましゃがみ込んであむの懐へ入り、一気に身体をくっつける。……あ、なんか柔らかい。

久々に感じる温もりにちょっとドキッとしながらも、思いっきり身体を伸ばし。


「わわわわわわっ!」


あむを変則的な背負い投げ。あむはうまく受け身を取った上で、地面に落ちた。僕は素早く左ストレートをあむの顔面へ打ち込む。


「はい、ここまで」


もち寸止めだけど。あむは咄嗟に両手でガードしようとしたけど、僕の方が速かった。

拳を引くとあむは悔しげに呻き、上半身だけを起こして頭をかきむしった。


「あー、悔しいー! 全然相手にならなかったしっ!」

「当然。僕の方が場数は踏んでる」

「へぇ……お前面白いなぁ」


……あ、しまった。コナミさん達とか置いてけぼりだった。

それで恐る恐る左――遊星さん宅の玄関を見ると、コナミさんが感心した顔をしていた。


「合気道やジークンドー……いろいろ混ざった動きだな」

「我流なんです。アクション映画とか漫画とか見て覚えて」

「ヤスフミ、フィジカルな動きはすぐコピーできちゃうんです。だから技も本当に多彩で」

「なるほどなぁ。うし、だったら」


コナミさんは赤い革ジャンを両手で正し、なぜか拳を打ち合わせてニヤリと笑った。


「次は俺とやろうぜっ! これでもリアルデュエルも得意でなっ!」

「これはデュエルって言うんですかっ!」

「コナミ、駄目よっ! みんなが来る前に怪我でもしたらどうするのっ!? いや、今更だけどっ!」


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


言われた通りにじっと待っていると、ようやく着信。私は涙目で通話ボタンを押し、声をあげる。


「もしもし、ヤスフミっ!?」

『そうだよ。で、なにをやるのよ。僕に聞かなきゃいけないとかおかしいでしょ。ラン先生はどうした』

「なんか子ども達と訓練だってー! それでそれで」


ここはかくかくしかじかで説明すると、ヤスフミは納得した様子で声を漏らす。


『あー、なるほどねぇ。確かにフェイトへそこ教えるのはめんどいわ』

「私が逃げられたみたいに言わないでー!」

『フェイト、とりあえず写真機能で器具を撮って、メールで送って』

「え、どうして?」

『使い方も説明もしなきゃいけないし、口頭よりそっちの方が早い。言っておくけど全部だからね?』


なんかよく分からないけど、そういうのが必要みたい。私は一旦電話を切って、言われた通りに写真機能で撮影。

筆記具やキャンバスにチェア、謎のワイヤー器具も全て撮影して、ヤスフミにメールを送る。それで再び電話。


『――結構良い物揃えてもらったじゃないのさ。グリッドまであるなんて』

「グリッド?」

『木箱にワイヤーが張り巡らされているやつ、あるでしょ。それはキャンバスと対象の前に置くのよ。
フェイト、試しに書きたいものがグリッド内へ入るように、設置してみて。そのあとキャンバス』


よくは分からないけどそういうものらしいので、キャンバスと同サイズのそれを持って移動。

やや遠ざかって木が全部入るような位置に設置。その後キャンバスの前に置いて……あぁ、なるほど。


『どこにどれを描けば形になるか、なんとなく見えるでしょ?』

「う、うん」

『絵と対象物との対比は、それで測っていくの。んじゃあそれも使いつつ、まずは外枠だね。描くのはイチョウの木だよね』

「うん」

『葉とかはいいから、まずは絵の外枠を描く。鉛筆は2HとHB、2Bを取ろうか』


箱の中から指示通りの鉛筆三本を、丁寧に取り出す。どうしよう、鉛筆持つのも久々で緊張してきた。

局の仕事は空間モニターやタッチパネルが基本だし、サインもボールペンとかが基本だから。

鉛筆って大人になると、何気に持つ機会が少ないと思う。最後に持ったのはいつか、思い出せない。


『鉛筆の記号は色の濃さを表す。それくらいは分かるよね』

「うん。えっと……Hが薄くて、Bだと濃いんだよね。HBがその中間」

『正解。内容物の割合で、色の濃さが変わってるんだ。輪郭線を描く時は、2Hくらいがいい。
HBと2Bはそれより濃い線――影になっているところとかで使う。
あと大事なのは、線を描く時は立てて使う事。寝かせて描くとスモークっぽくなるから』

「分かった」


試しに一本線を引いてみる。絵を描くなんて久々なので緊張したせいか、線はよれよれ。

でもそれで下の方まで引ききってみると、白いキャンバスに木の輪郭が少し見えた気がする。……消しゴムで修正しようっと。


『線がぶれたでしょ』

「どうして分かるのっ!?」

『そりゃそうだよ。描いてない人は、どうしても途中でブレちゃうもの。まっすぐに書きたい時は、少しずつでいい』

「う、うん」


いや、私が描いた事を見抜いたのも……ちょっと無言だし、当然なのかな。


『輪郭線が全部描けたらまた電話してよ。一度に言っても手順さっぱりだろうし』

「うん。あの、ありがと」

『いいよ、これくらい』


うぅ、それは突き刺さります。私にとってはこれくらいじゃないんだけどなぁ。でも頑張ろう。

私は必死に鉛筆を動かし、キャンバスとイチョウの木と睨めっこを続け……そのうちなにも考えず、ただ没頭していった。


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


「恭文、フェイトさんなんだって?」

「修行で絵を描いてるんだって」

「なにそれっ! 獣拳の修行だよねっ!」

「まぁだからこそなんだけど」


獣拳の修行は独特だしなぁ。ほら、コナミさんもうんうん頷いてるし。そういうものなんだよ、獣拳って。


「カルカルカルー♪」

「カスー! カスー!」


それでカルノ達も興味があるのか、僕達の足元で後ろ足立ち。前足をバタバタさせているその様子に、全員の頬が緩む。


「カルノ達も獣拳、やってみたいようね」

「いや、既に獣を身体で表していると思うんだが」


遊星さん、素晴らしいツッコミです。もしかしたらカルノ達は、既に獣拳をマスターしているのかも。


「でもコナミさんが獣拳修得者とは。ちなみにマスターの名前は」

「ジミー・ファングだ」


その瞬間、僕とシルビィはズッコけてしまう。でもすぐに起き上がり、コナミさんへ詰め寄った。


「マジですかっ! じゃあえっと、熊本っ!?」

「あぁ。なんだ、知り合いなのか」

「いや、これから知り合うんですっ! 僕達、その人へ会いに行く途中だったんでっ!」

「マジかっ!」


そこで僕達は両手を取り合い、無意味に笑ってぶんぶんと振る。まさかこんな偶然があるとは……なんと素晴らしい。


「あー、じゃあ……いや、お前なら大丈夫か」

「え、なんですか。なんでいきなり歯切れ悪くなるんですか」

「……少々変わり者なじいさんでなぁ。まぁ苦労するだろうが、頑張ってくれ」

「不安になるからやめてくださいよっ!」


なんでいきなり肩をバシバシ叩くのっ!? 少しおかしくないかなっ! ……とか思っていると、家の玄関が勢い良く開いた。

そこから龍可さんと同じ色の髪を揺らしながら、男が笑顔で入ってきた。それからもう一人続く。


「遊星、みんな、久しぶりー! てーか遅れて悪いっ!」

「オレもいるぜー!」

『龍亜っ! クロウっ!』


あれは龍可さんとは双子な龍亜。ディフォーマー使いなんだけど……どうしてこうなった。

なんか凄いネタバレを見せられた気持ちだけど、こっちに降りてきてみんなとハグし合うあの人には無粋なだけ。

なのでしっかり胸の中に留めて、もう一人の黒ライダースーツ……こっちもネタバレかー。僕が見てる分だけでは、出てないし。


オレンジ色の毬栗頭に黒バンダナを装着し、顔にはマーカーの後がたくさん。

人懐っこいこの人は……あー、ネットで確認したな。確かプロデュエリストのクロウ・ホーガンだ。

ブラックフェザーってカテゴリーのカード使いで、どっかのチームに入っていたはず。


「久しぶりだなー! てーか龍可、お前また美人になったなっ! 見違えたぞっ!」

「ふふ、ありがと」

「まぁオレがしっかりガードしてるから、安心しろっ!」

「なにをだよ。……で」


それで当然のように僕達へ視線が向くので、まずはしっかりとお辞儀。


「コイツらなに? 遊星のお客さんかな」

「あぁ、彼らは」

「あの、私シルビア・ニムロッ」

「最後まで言わせるかラリアットー!」


僕はシルビィに右ラリアットをかまし、そのまま床に倒しておく。


「ごめんなさい、コイツは妄想癖が激しいので存在から忘れてください」

「存在からっ!? 恭文君、あなたどれだけシルビィさんの扱いが悪いのっ!?」

「まぁいいだろ。……お前ら、聞いて驚くなっ! ジャックの魂が250円だとよっ!」

『そこっ!?』

「「……は?」」


そこで当然のように、『かくかくしかじか』で説明が入り。


「「あはははははは……あはははははははははははははははははっ!」」


結果、二人は大笑いで苦しげに床を転がる。……そこまでかいっ!


「「よし、今度250円って」」

「龍亜、クロウ、それはもうコナミが言ったわ」

「「じゃあ一緒に」」

「ヘコたれてないっ!? ……てゆうか、二人のキーカードだってそれくらいの価格かもしれないのに。ね」


龍可さんがこっちを見てくるので、やや困りながら頷いた。それで二人はギクリとして、こっちに詰め寄ってくる。


「なぁ、そんな事ないよなっ! オレのパワーツールとライフストリームはこう……高いよなっ! めちゃくちゃレアだよなっ!」

「オレのアーマーウィング達がそんな惨状にはなってないよなっ!
ブラックフェザー・ドラゴンは何百万だよなっ! いや、価格なんてつけられないよなっ!」

「ちょ、落ち着いてっ! 顔近いっ! あとそれらは知らないっ!」

「「知らないってなんだっ! オレ達の生命のカードだぞっ!」」

「二人とも落ち着け」


困っていると、遊星さんが助け舟を出してくれる。二人の両肩をぽんと叩き、その動きを止めた。


「俺も興味があって詳しく話を聞いたが、どうやらその……アニメの俺達は大分昔の話をやっているらしい」

「「へ?」」

「ようは二人のカードはまだアニメに出ていないし、カードにもなっていないのよ。……少し変な言い方だけど」

「「……そっかー」」


それで二人は安堵のため息を吐き、両手で僕の肩をパンパンと叩いてくる。


「「いやぁ、悪かったな。まぁあれだ、レアカード化しても泣かないでくれよ?
というわけで……別世界のカード見せろっ!」」

「話の流れがおかし過ぎますよっ!?」

「まさに超展開ですぅ」


まぁ予測はしていたので、二人にデッキを手渡す。二人は大事にそれを受け取ってくれた上で、中身を確認。


「うぉ、ネオスが入ってるっ!」

「マジかよっ!」


やっぱりそこで食いつくんだなーと思い、やや苦笑い。だって二人とも、目をキラキラさせながらネオスを見てるもの。


「ちなみにこれは」

「……三枚300円です」


言いたい事が分かって先を取ると、二人は同情的な顔をしながら僕の肩を叩いてくる。


「まぁ、気を落とすな。価格が全てじゃないんだよ、価格がさ」

「そうそう。大事なのは魂だって」

「あはははは……三人とも、この二人ハリセンで殴っていいですか? なんか腹立つ」

「……許可します」


龍可さんから許可をもらったので、二人の頭をしっかりしばく。そうこうしている間に、もう夕方。

なんだかんだでネオ童実野シティでの一日は、平和に過ぎていった。


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


あれから四苦八苦して、ようやく線が描けた。グリッド越しに何度も絵とイチョウを見比べて、頑張った甲斐はあった。

キャンパスに描かれた線は、ややたどたどしいかもだけど木のラインを写している。

それに満足していると……おかしいな、妙に色が黒い。そこでハッとして、私は周囲を見る。


するともう夕方で、日が沈み始めていた。……あー、それでかー。だとするとこれは。


「あ、綺麗にできてますね」


後ろからやや顔が紅潮したランさんが近づき、私の絵をのぞき込んでくる。それが少し恥ずかしい。


「楽しかったですか?」

「えっと……はい」

「ならよかった。じゃあ明日はこの続きですね。今日はもう暗くなっちゃいますし」

「はい。あの、ありがとうございました」

「いえ」


どうやら明日も絵を描き続けるみたい。だけど……なんでかちょっとワクワクしてる。

拳法の修行とは思えないのに、どうしてだろう。私は未完成なそれを見ながら、その気持ちをかみ締める。

そうしていると、いきなり後ろから鈍い音が響いた。慌てて私達がそっちを見ると、足元に変な石が落ちていた。


いや、これは石って言っていいの? 色は青くて黒い土台があって、形状は人の顔。なんかモアイっぽいの。

その脇には金色で先が丸い鍵が落ちていた。私はなにかと思い、それを拾い上げてみる。


「これ、なんでしょう。さっきまでなかったはずなのに」

「ですよね。それにこの鍵も」


私はそのカギを、石らしきものの額部分にはめてみる。すると鍵はすっぽりと額の穴にはまった。


「ひぃ……ひぃ、いくらなんでも速過ぎざんす」

「見つけた見つけたっちゃー!」


それで2時方向から、胴と銀色が混じったロボット達がやってくる。身体は丸みを帯びていて、顔が二色に分かれている。

一体は小さくて人型の肩に乗っていて、慌てた様子でこっちへやってくる。私達は思わず身構え距離を取った。


「あ、ちょっと待ってざんすっ!」


するとロボット達は右手を挙げて、足を止めつつ私達をなだめるように声をかけてきた。


「私達は怪しいものではないざんすっ!」

「そのとおりっちゃー!」

「いや、どうみても怪しいじゃないっ! あなた達何者っ!?」

「わわ、やっぱり疑われてるざんすっ! ……あ、そうざんすっ! そこの綺麗なお姉さんっ!
そのまま『ガンマガンマドンドコガンマ』と言って鍵を回すざんすっ! そうしたら」

「ガンマガンマドンドコガンマ?」


聞き返しながら軽く鍵を回すと、石が急に光り出した。


「え、なにっ!」

「フェイトさん、なにばか正直に回してるんですかっ! 罠だったらどうするんですっ!」

「罠っ!? これ、罠なのっ!」

「いやいや、違うざんすっ! この方は」


石は私の手を離れ、一瞬で巨大化。すると顔だったものが開き、その全長が伸びる。

そうして石は簡単な展開行動で、青い甲冑を身に着けた巨大な騎士に早変わり。

鍵穴だった箇所はそのまま胸元となり、足は丸く黒い形。それで頭は、金色のトサカみたいなパーツを装着していた。


赤い瞳が薄暗い世界の中で輝き、どう見ても50メートル以上ある巨人は両腕を振り上げた。


「私達のお師匠ざんすっ!」

「ちゃっちゃっ!」

『ガン……マジンッ!』


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


夕方になるという事は、当然ご飯の準備も必要になる。

なので僕達三人は遊星さんを手伝って、使い古されたバーベキューセットを設置。

炭と肉にソーセージと野菜、あとは魚……どんだけ準備がいいんだろう。


あとはご飯も炊いて、ややオープンな感じで食事の準備は完了。それで僕の視線は自然と。


「速攻魔法発動っ! 聖なる太陽っ!」


自分が伏せていたカードに移り、それを展開。現在外で龍亜さん――クロウさんとせっかくなのでデュエル中。

僕に襲いかかってくる攻撃力4800の、暁のシロッコに対してそのカードで対抗。


「聖なる太……はい?」

「このターンのエンドフェイズ時まで、自分のモンスター全てを光属性として扱い、更に攻撃力を500ポイントアップするっ!
僕の場のエアーマンは攻撃力2300、オーシャンは2000となるっ!」

「だがそんなのじゃあ、俺のシロッコは止まらないぜっ! オーシャンはこのまま破壊だっ!」

「ダメージステップ時、なにかありますか?」


クロウさんは一瞬顔をしかめるけど、聖なる太陽でパワーアップした二体を見て頬を引きつらせる。


「ね、ねぇ」

「僕はこのダメージステップ時に、手札にあるオネストの効果発動。手札から墓地へ捨て」


オネストを捨てると、オーシャンは更に輝きを強めながら突撃。両手に持ったトライデントごと、シロッコへと飛び込む。


「エンドフェイズ時までそのモンスターの攻撃力を、戦闘を行う相手モンスターの攻撃力分アップする。よってオーシャンは」

「攻撃力……6800だとっ!」

「このままバトル解決っ! シロッコを撃ち抜け、オーシャンッ!」


その瞬間青の光と黒の拳が正面衝突。光は拳を打ち抜き、そのまま交差。そしてシロッコは一瞬で爆発。


「がぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」


クロウさんは爆発に巻き込まれ、そのままライフを0とする。……僕は荒く息を吐きながら、その場に崩れ落ちた。


「……うし」

「嘘、クロウが負けちゃった」

「あははは、負けちまった」

「いや、負けたもなにもないですって」


僕は右手を横に振って、そのまま後ろに倒れ込む。もう……デュエルしてただけなのに、めっちゃ神経使った。


「もう最初から最後まで押されまくりですし」


プレイングもそうだけど、デッキ構築もかなり練り込んでる。じゃなきゃあんな回らないと思うし。

本当に最後の最後で、聖なる太陽が引けたからなんとかなっただけ。そう、差はたったそれだけだった。

なので次やったら、絶対勝てないと思う。聖なる太陽が僕達の世界のカードで、事前情報がなかったから勝てただけ。


逆を言えば、世界のレベル……あれ、この着信音はフェイト? 絵の事かと思い、僕は起き上がって着信を繋ぐ。


「もしもしフェイ」

『ヤスフミー! あの、その……石が光ってガンマガンマドンドコガンマで、変なロボットが出てきてー!』

「……落ち着けっ! 全く意味が分からないっ!」


一体なんの暗号っ!? てーか慌てすぎだからっ! もう今年で20歳なのに、どうしてそんなとっちらかるのよっ!


『ちょっとあなた達、これはなにっ! 一体なんの罠っ!?』

『だから罠じゃないざんすー! お師匠様、事情説明をー!』

『ちゃっちゃー!』


ランさんもいるのか。それで画面端に銀と銅色の、ロボットがチラリと映る。

ややつり目で顔色が左右に分かれている人型と、それの両肩の……ちょっと待ってっ!

あのランさんから逃げてる二体をよーく見る。特に小型だよ、小型。


「いや、なかなかいいセンスしてるな。もう一戦……どうした?」

「恭文君?」


小型の奴も、顔の色が二色に別れてる。それで胴体に、歯車っぽいのが見えてる。

首元と両肩にフードっぽい金色のパーツを装着してて……間違いない。という事は、もしかして。


「フェイト、さっきなんて言ったっ! ほら、ガンなんとかっ!」

『えっと……ガンマガンマドンドコガンマ』

「それ言っちゃったのっ!? まさか岩みたいなのを見つけて、鍵を差し込んで、そうしたらそれが巨大な騎士になってっ!」

『う、うんっ! どうして分かったのっ!?』

「分かるに決まってるでしょうがっ! まずソイツらは悪い奴らじゃないっ! ソイツらは」


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


「「――ガンマジン?」」

『うん。それでそっちの二人は、執事のアチャとコチャ』

「お、私達の事を知ってるでざんすかっ!」

「これは驚きっちゃっ!」


ちょ、ちょっと待ってっ! 確かここって別世界だよねっ! どうしてヤスフミが……あれ、このパターンはめちゃくちゃ覚えがある。

ランさんも同じ事を思ったらしく、まさかという顔で三人を見ていた。


『とりあえずガンマジン、そのままだと迷惑だから、身体の大きさをフェイト達に合わせてくれないかな』

『ふむ……了解したでござる』


するとガンマジンとやらは青い光をまた放って、一瞬で私と同じくらいの身長になった。

50メートル台の巨体が一気になくなったので、私達は目の前の光景が信じられずついキョロキョロしてしまう。


「フェイト殿、ラン殿、拙者は今ご紹介に与った、ガンマジンと申すでござる」

「「は、はぁ」」

「今回拙者を目覚めさせたのは、フェイト殿でござるな。
フェイト殿、願い事はなんでござろう。どんな願いでも、一つだけ叶えるでござる」

「え?」

『ガンマジンは今本人が言った通りの事ができる。
今回の場合、フェイトが封印を解いたから、フェイトの願いが叶えられるの』


なにそれっ! まるでアラジンの魔法のランプだよねっ! というか、やっぱりだっ!

きっとこれもこう……アラジンジャーとかそっち系統の戦隊だっ! だからヤスフミが知ってるんだっ!


「じゃあこっちの二人は」

「拙者の弟子みたいなものでござる」

「「どうもー」」


えっと、アチャコチャだったよね。二人はこっちに深々とお辞儀してきた。それだけ見ると、どうも悪い人達じゃないみたい。


『で、アチャとコチャ……なんで目覚めさせちゃったの』

「いや、その……いきなり攻撃とかされそうだったんで、ついざんす」

「変に反撃しちゃったら、ガンマジンがめっちゃ怖いっちゃー!
……それより、どうしてアチャとコチャの事を知ってるっちゃ?」

『簡単に言えば、かくかくしかじか――というわけ。だからバラノイア帝国の事も知ってる』

「なんと、左様でござったか」


どうもみんな的には納得らしく、うんうんと頷きながらこっちを見てくる。それがまたちょっと恥ずかしい。


「ヤスフミ、バラノイア帝国ってなにかな」

『……アチャ、コチャ、話していい?』

「いいざんすよ」

『簡単に言えば、昔地球征服を企んでいた悪の組織。いや、実際に半年間だけ征服しきった。
アチャとコチャは、その生き残りだよ。今はガンマジンの弟子みたいになってるけど』

「えぇっ!」


戦隊の人じゃなかったよっ! 戦隊どころか敵役だよっ! ……私達は改めて二人から距離を取った。


「それって私が子どもの頃に攻め込んできてた連中じゃないっ! そうだそうだ、こんなロボット軍団だったっ!」

「待たれよ」


でもそんな私達をなだめるように、ガンマジンが間に入って右手をすっと出してくる。


「アチャとコチャは確かにバラノイアの一員として、地球の人々にヒドい事をしていたでござる。
だが今は人の心を、生命の尊さを学び、みなとの共存を望んでいるでござる」

「ざんすっ! もう地球征服なんて、これっぽっちもっ!」

「考えてないっちゃっ!」

「そう? まぁならいいけど」


ランさん、そこでいきなり警戒を緩めちゃうのっ!? ほら、一応世界征服……やめよう。

そこを言ってもきっと聞いてくれないし。うぅ、私はやっぱり置いてけぼり感が強いです。


「じゃあ恭文くんが知っていたのは」

『バラノイア帝国と戦っていたのは、超力戦隊オーレンジャー。スーパー戦隊の一つですから』

「あぁ、それで見ていたし、アチャとコチャも出てたのね」


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


説明しようっ! 超力戦隊オーレンジャーとは1995年の3月から、1年間放映された番組であるっ!

先日登場した忍者戦隊カクレンジャーの次作品であり、スーパー戦隊としては第19作目に当たるっ!

モチーフは古代文明。6億年前に存在した、超古代文明の副産物である機械生命体が突如反乱。


その暴動は鎮圧されたのだが、それから時が流れて1999年に月面に拠点を置くマシン帝国・バラノイアが宣戦布告。

全面降伏に応じない人類に対して攻撃し、世界の各都市に壊滅的打撃を与えたのだった。

次の標的は日本となったが、人類は古代文明が残した『超力』を武器にバラノイアに対抗。


国際空軍のメンバーから選抜チーム、U・A・O・Hを編成。それが超力戦隊オーレンジャー。

五人の戦士達は超力を操り、敢然とバラノイア帝国に立ち向かったのだった。



◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


「……うあお?」

『絶対言うと思った。『the United Air force OHranger』の略だよ。
ちなみに英語の略語としては、Hがつくのが正しいらしい。Wikiに書いてた』


私はそうツッコまれた瞬間、急に恥ずかしくなって両手で顔を覆う。うぅ、痛い。みんなの視線がどことなく痛い。


「まぁそこは置いといて……願い事って、どんなものでも叶えられるの?」

「もちろんと言いたいところでござるが、それは拙者の気分次第」


そこで私達はズッコけてしまい、慌てて起き上がりガンマジンへ詰め寄る。


「なにそれっ!」

『良識的な願いならOKですから、問題ありませんよ。
破壊活動や誰かを傷つける事が主目的だと、アウトって意味です』

「なるほど、それはまた良識的ね」

「でもいきなり、そんな事言われても……あ、すぐ獣拳を使えるように」

「駄目でござる」


一刀両断っ!? しかもやや呆れた顔してるのはどうしてっ! ものは試しでちょっと言っただけなのにー!


「それはフェイト殿が努力していけば、いつか叶うもの。そんなズルは認めんでござる」

「なるほど、こういうのも駄目なのね。でもフェイトさん」

「ち、違いますー! ほんとにやろうとしたわけじゃないですからー!」

「……あ、それどころじゃないでざんすよっ! 申し訳ないでざんすが、願い事は一旦保留でざんすっ!」

「えぇっ! いや、どうしてかなっ!」


確かに今は思いついてないし、いきなり言われて困ってた部分もある。

でも言い出した本人達からこの提案は、さすがに疑問に思ってしまう。


「お師匠、忘れたでざんすかっ! 地球に来た目的っ!」

「急がないとっちゃー!」

「おぉ、そうであったっ!」


ガンマジンは私に深々とお辞儀して、そのまま言葉を続ける。


「フェイト殿、申し訳ないが今しばらく猶予をくださらんかっ!」

「あの、それはいいの。私もいきなりだと思いつかないし……でもまずは理由を」

「実は……ブルドントJrが、地球に来ているのだっ! 拙者達はあの子を探しに来たでござるっ!」

「ブルドント」

『Jr!? ……あ、そう言えば三人しかいないっ!』


私達は当然さっぱりだけど、ヤスフミは……なんかもう自分が駄目に感じつつも、今驚いたヤスフミに一つ質問。


「ヤスフミ、ブルドントJrってなにかな」

『……バラノイア帝国の生き残りは、アチャとコチャだけじゃない。
オーレンジャーに倒された当時の皇帝と皇妃には、子どもがいるの。
それが皇帝カイザーブルドントと、皇妃マルチーワ』

「えぇっ! で、でもアチャさん達って完全なロボットだよねっ!」

「私達はロボットでざんすが、一応人間と同じように子を成す事もできるでざんす。
……本来ならJrも帝国壊滅の際、オーレンジャーに倒されるはずだったざんす」


アチャはそこまで言って、両手をお腹の辺りでもじもじさせながら、私達に背を向ける。


「でもJrはその当時、まだ喋る事もハイハイもできない赤ん坊。
前皇妃の懇願もあって、ブルドントJrは私達と一緒にお師匠様へ預けられたざんす」

「つまり、オーレンジャーの人達が見逃した? でも」

『悪人の子どもなのにとか言うわけ?』

「いや、そういう事抜きに……完全なロボットが子どもを作って、それが生まれて成長してって図が」


ヤスフミはオーレンジャーを見ていたからいいと思うの。でも私、そういう前知識0なんだよ?

妙な違和感が拭えないのは、許してほしい。私や戦闘機人とはまた違う感じ、だよね?

どっちかというとこう、ガジェット同士がそうなる感じ? ……あ、これは駄目だ。違和感が強くなった。


「拙者達が責任を持って育て、その結果優しい心を持った子に成長したでござる。
地球にいると、なにかと問題になりそうだったでござるから」

「オーレンジャーのみんなは前皇妃に頼まれた以上、自分達でと言っていたでざんすが……さすがに」


侵略者の子どもだから……だね。ここは考えるまでもない。しかも実際に、地球を征服してもいる。

話通りならそれはオーレンジャーって人達が止めた感じだけど、そんな中でその子が地球にいると……確かに問題かも。

だから残党なアチャ達と一緒に、ガンマジンに預けられた感じなのかな。


「ただ」

「ただ?」

「地球という星は、Jrにとって特別な意味のある星でござる。
両親が征服し、そして散っていった星。いつか行きたいと常日ごろ言っていたのでござるが」

「まさか、家出?」

「左様」


それを探しに三人もここへ来て、私達がそれを見つけて……と。うん、大体の事情は納得できた。

とりあえず地球侵略とかしに来たわけじゃないっぽいし、そこは一安心と言ったところ


「そういうわけなので、願い事はJrが見つかり次第必ず」

「……それなら私も手伝うよ」

「えぇっ!」

「えー!」

「なんとっ!」


自然とそう言い出していた事に自分でも驚きつつ、私はランさんの方を申し訳なさげに見る。


「あの……ランさん」

「困ってるみたいだし、放ってはおけないわよ。私も協力する」

「すみません」

「いや、しかし」

「これでも私、ヤスフミが説明したように魔法が使えるんだ。だから、少しは協力できるかなと」


それで三人は深々とお辞儀をしてくるので、私は慌てて両手を振る。


「かたじけないでござる」

「ありがとうざんすっ! うぅ、なんとお礼を言うべきかっ!」

「ちゃっちゃー!」

「あの、大丈夫だから。……ヤスフミ」

『悪いけど僕はなにも手伝えない。さっきも言ったけど、赤ん坊の姿しか見てないから。
そこで最終回になってるのよ。それよりはガンマジン達に情報を聞いた方が早いって』


あ、それは確かに。ついヤスフミを頼っちゃってたけど、証言は新しい方がいいもんね。

ならまずは、三人にもっと詳しい話を聞くところかな。Jrの外見とかも含めて。


「それじゃあ三人とも、一旦スクラッチ本社へ。美希さんにも相談して、捜索開始よ」

「分かったでござる」


まぁこう言ったらあれだけど、アチャコチャみたいに外見が特徴的ならすぐ見つかる……そう思っていた私はまだ甘かった。

この世界には宇宙人とかが普通に歩いていて、物凄くカオスだって忘れてたんだから。


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


結論から言おう。問題の子がいきなり石を投げられたりする心配はなくなった。だって。


「人間の姿になれるのっ!?」

「左様でござる」

「皇妃様から能力を受け継いでいるようで、大体10歳前後の子どもの姿になれるでざんす」

「ちゃっちゃー!」


こういう事になっちゃったんだから。だとすると……いや、それでも基本は変わらないか。

その子の姿が自由自在ならともかく、顔とかが固定だったらまだいけるはず。


「写真とかは」

「こちらに」


アチャから差し出された写真には、黒髪の可愛らしい男の子が写っていた。

身長はエリオとかと同じくらいかな。それで少し寂しい気持ちになっていると、美希さんが写真をのぞき込んでくる。


「へぇ、可愛いわね。うちの娘もこれくらいの時があったなー」

「え、美希さんご結婚……って、当然ですよね」


デスクに家族の写真、飾っているもの。私もやっていたから、ここへ来た時すぐに分かった。


「さて、これをどうやって探したものか」

「……あの、私が願い事でこの子を見つけてほしいってお願いするのは」

「いや、それはやめてほしいでござるっ! たった一度の願いを拙者達のために使うのは、あまりに申し訳ないっ!」


かなり必死に止められたっ!? しかもアチャ達まで頷いてきてるし……これは無理か。

だとすると、どうしよう。基本は警察にも頼んでどうこうって感じなんだけど。


『……フェイト、ランさん、国際空軍に連絡してみたらどうかな』

「国際空軍……え、どうして?」

『さっき話したでしょ。元々オーレンジャーは、そこの所属なんだよ。もし今もU・A・O・Hのメンバーがいるなら』

「あ、捜索に協力してもらえるって事かな」


話通りなら、その人達はJrとガンマジン達には好意的。だったらって事なんだよね。

しかもバラノイアについては私やランさん達より詳しいだろうし、協力者としてはぴったりかも。

……でも戦隊って軍隊なの? 今まで会ってきた人達の事を考えると、どうも違和感が。


『というわけでガンマジン、アチャコチャ、まさか名前とか顔を忘れたりは』

「ないでざんすっ! 自慢にならないでざんすが、1年以上に渡ってドンパチしてきた仲ざんすっ!」

「ちゃっちゃー!」

「なら決まりね。まずはそこへ連絡して、オーレンジャーの人達に相談しましょ」


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


向こうはもう大丈夫っぽいので、電話は終了。でも……いいなぁ、オーレンジャーの人達と会えるんだ。

いやいや、こっちだって負けてない。まぁフェイトもランさんがいるし、僕は僕の旅を堪能しようっと。


「バラノイア……ねぇ。10年以上前に侵略してきた奴らだな」

「そうだな。……なんだかんだでこの世界は、そういうのがよく来る」

「結構慣れちゃったわよねー」


コナミさん、遊星さん、龍可さん、そこ普通にしてるのおかしい。真墨さんでさえいろいろ疑問に思ってたのに。

あれですか、僕がフォーチュンカップしか見てないからですか。だからこんな違和感バリバリなんですか。


「でもアンタ、ほんと詳しいよね。もう息でもするように知識出てくるし」

「そりゃあまぁ、子どもの頃に見てた作品だし」

「やっぱり好きなのね、ヒーロー物」


シルビィ、そう言って後ろから抱きつくな。頭とか撫でなくていいから。


「それじゃあ話もまとまったところで夕飯……って、アキとジャックがまだ来てないなー」

「ごめん、遅れたっ!」


とか言ってたら、早速来るのが世の常。玄関から慌てた様子で、赤髪の女性が入ってきた。

髪は二つ分けで、僕がアニメで見たのよりずっと大人っぽい印象。服は白のコートにオレンジのスーツ。

でも……胸元開いてるんですけど。どう見てもフェイトやシルビィより大きいんですけど。


あれ、シルビィの拘束が強まった。あむもなんか僕の腕をつねってくるんですけど。これは、どういう事?


『アキっ!』

「みんな、久しぶり……あら」


まぁ当然のように僕達を見て首を傾げるので、自己紹介も兼ねて事情説明。

それでアキさんは、実に微妙な顔をしてため息を吐いた。


「ジャック……本当に世界のキングになったっていうのに、一体なにを」

「アキ、それは俺や龍可が既に言っている。……だが久しぶりだな」

「えぇ」


……あれ、どうして二人は見つめ合って微笑むの? なんで空気が甘くなるの?

ヤバい、凄いネタバレを見た気分だ。フォーチュンカップだとあれだったのに……よし、忘れよう。

設定とは投げ捨てるものだって、誰かが言っていたような気がする。大事なのは今だよ今。


「それじゃあアキも来たし、始めるとするか」

「え、いいの? そのキングの人待たなくて」

「アイツが勝手なのは、今に始まった事じゃねぇよ。どうせ匂いにつられてすぐ来るって」

「ほう、言ってくれるな」


それでまた玄関に人影……うん、気配で分かってた。ややうんざりしながらそちらをみると、一日ぶりに奴の姿を見てしまった。


『ジャックっ!』

「……って、なぜ貴様がいるっ!」


それで奴はこっちを見て、やけに驚いた顔を向けてきた。


「一日ぶりだね、バカキング」

「誰が馬鹿だっ! 俺は現キングだと言っているだろうっ! ふ……なるほど、昨日の決着をつけに来たというわけか」

「え、いや違う。それは正解かもだけど微妙に違う」

「わざわざここへ乗り込んでくるとは、いい度胸だ。ならば」


それでデュエルディスクを取り出さないでよっ! 本気出してこないでよっ!


「返り討ちにしてくれるっ!」

「待て待てっ! ジャック、お前ホント馬鹿だろっ! ちげーよ、そうじゃねぇよっ!」

「というか、まずは降りてこようね。私達から少しお説教だから」

「は?」


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


「……どうしてこうなったっ!」

「当たり前だっ! お前、世界のキングってだけじゃなくて、馬鹿もキングかっ!」

「ほんとよ。うまく犯人が捕まったからよかったものの、そうじゃなかったらどうしていたのよ」


現在世界のキングは、床に正座させられた上でお説教されています。そこには威厳とかそういうの0です。


「問題はあるまい。全ての誤解はデュエルで解けている」

「そもそも誤解した事について反省しろよっ!」

「クロウさん、駄目ですよ。こういう時はドギーさんに連絡して」

「反省している、申し訳なかった」


舌の根の乾かないうちに、コロリと意見変えおったしっ! なに、そんなに説教と反省文のコンボは嫌だったのっ!?


「まぁあれだ、もうちょっと考えて動こうな? 250円」

「あぁ」


バカキングはそこでハッとして、自分の左肩を叩いたコナミさんを見上げる。


「待て。250円とはなんだ」

「え、レッド・デーモンズ・ドラゴンの値段」

「はぁっ!? コナミ、冗談も休み休み言えっ! 我が魂がそんな値段なわけなかろうっ!」

「なぁコナミ、どうして恭文がネオスなんて持っていたと思う?」


コナミさんは意地悪げに笑いながら、バカキングの肩に左腕をそのまま乗っけた。


「実は恭文とあむ、シルビィ達はな……こことは違う世界の人間なんだよ。
で、そこでは俺達のあれこれが、アニメとして放映されている」

「遊戯王も普通のカードゲームとして、あるらしいぞー?
だから恭文の持ってるネオスは、いわゆる量産品なんだよ」

「なんだとっ!」


コナミさんと龍亜さんの言葉に信じられないという顔をしながら、バカキングは立ち上がって僕達を見る。


「なのでジャック、お前の魂は……250円なんだとよ。しかも週刊誌の付録だったそうだ。ちなみにネオスは一枚300円」

「ふざけるなっ! 我が魂がブルーアイズ・マウンテンより安いというのかっ!
……ならお前達はどうなんだっ! それならばお前達のドラゴンとて」

「残念だが……俺のブラックフェザー、龍亜のパワーツールにライフストリームは、値段がつけられないそうだ」


嘘は言ってないけど、ややこしい言い方をしないで。それでバカキングは崩れ落ち、腕をわなわなと震わせ始めた。


「馬鹿な……屈辱だ。キングの魂が、250円の付録だと?」

「クロウ、龍亜……というかコナミ、その辺りにしておけ」

「おいおい遊星、俺に絞るのかよ」

「きっかけはお前だろう。あとジャック、気にする必要はない。そもそも二人のカードは」

「こうなれば」


バカキングはすっと立ち上がり、またデュエルディスクを装着して僕を指差す。


「デュエルだっ! 我が魂の価値、貴様にたたき込んでくれるっ! この屈辱、貴様にそっくりそのまま返してやるっ!」

「なんで僕が言ったみたいになってんのさっ! 話の流れおかしいでしょうがっ!」

「さ、焼きましょうか。全員揃ったし」

「そうね」

「アキさんも龍可さんも助けてー! てーかこの馬鹿を止めてっ!」


こうして250円の恨みを抱かれながら、ネオ童実野シティの夜は更けていく。

そんな中僕はいかにバカキングを避けて、肉にありつくかを考えていた。それしか考えたくなかった。


(第40話へ続く)









あとがき


恭文「というわけで、2012年9月19日、午後三時頃に590万Hit達成。
みんな、遅れてごめんね。映像資料の確認がかなり遅れた」

フェイト「オーレンジャー?」

恭文「うん。それでもちょっと確認できたので頑張った。というわけで、お相手は蒼凪恭文と」

フェイト「フェイト・T・蒼凪です。それでドキたま第7巻、なんとか書き上がったんだよね」

恭文「難産だったけどね。だって戦闘シーン、やっぱりフル修正。そして話の流れもやっぱりフルに近い修正」

フェイト「こんなに手直しするのは、予想外だったよ」


(戦闘シーンだけならいつもの事だったのに)


フェイト「もちろん今回はあのフォームやキャラなりも登場するので、お楽しみに」

恭文「そうして拍手でアイディアを頂き、次回から登場するかもしれないJrです。あとはガンマジンとアチャコチャも登場」

フェイト「そういえばガンマジンって、ゴーカイジャーには出てないんだよね」

恭文「出てないねぇ。出たら一発でザンギャックを壊滅できそうだけど」


(奴は強いのです。ちなみにCVは神谷明さん)


恭文「それで次は、ついに600万Hit。……感慨深いなぁ」

フェイト「なんだかんだでこの話も、始めて40話だしね。でも600万Hitはなににしようか」

恭文「フェイトがエロい感じで」

フェイト「セクハラだよー!」


(ばしばしばしー!)


恭文「大丈夫だよ、フェイト。僕はエロいフェイトも大好きだから」

フェイト「そもそも私はエロくないよっ! どういうところでエロいって思うのっ!?」

恭文「だって最近は毎日頑張ってくるし、すぐエロい方向に話持ってくるし」

フェイト「それはヤスフミだよねっ! ヤスフミがエロいんだよっ! 私は普通なのっ!」


(そして後は……お察しください。ちなみに今回は、閃光の女神が勝ちました。
本日のED:速水けんたろう『オーレ! オーレンジャー』)





恭文「もうすぐ10月かぁ。でも……気温はまだまだ30度とか」

フェイト「やや涼しくなってきてるけど、それでも雨のせいとかだしね」

白ぱんにゃ「うりゅー、りゅりゅー」(訳:雨嫌いー。外で遊べないー)

黒ぱんにゃ「うりゅ……♪」(双子と幸せそうに添い寝)

アイリ・恭介(黒ぱんにゃを優しく撫でながらぐっすり)

イカロス「分かりました。では私が雨を止めてきます」

恭文・フェイト「「できるのっ!?」」


(おしまい)





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