小説(魔法少女リリカルなのは:二次小説)
第31話 『Wの世界/Iに包まれて 魔導師、降臨』:あとがき
あとがき
恭文「というわけで、ついに仮面ライダーウィザード(Verとまと)降臨。
デザイン関係は、以前蛇様が送ってくださったイラストからとなっております。
蛇様、改めてイラストを描いていただきありがとうございました」
(ありがとうございました)
恭文「そしてその能力は、お返事した拍手から引用。こちらもありがとうございました」
(ありがとうございました)
恭文「……あれ、なんか敗北感が」
フェイト「ヤスフミ、抑えて抑えて」
(どぉどぉ)
恭文「というわけで、僕達は特になにをするわけでもなく次の世界。こんなんでいいんかい」
フェイト「ど、どうなんだろうね。それでえっと、お相手はフェイト・T・蒼凪と」
恭文「蒼凪恭文です。……奴はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」
フェイト「ヤスフミ、落ち着いてっ! 冷静にっ!」
(どぉどぉ)
恭文「そうだよそうだよっ! なんだかんだで奴を潰せなかったっ! どうしてこうなったっ!」
フェイト「だから落ち着いてー! ……あ、そうだっ! バトルスピリッツ覇王が最終回だったよねっ!」
恭文「……まぁ最近の展開には実は唖然としてたんだけど、だからこそ最終回は……ぐっときたっ!」
(ぐっとっ!)
フェイト「そうだよね。うん、私もあの最終回好きだった。拍手で来てたキズナブレードのコンボ、アニメでやってたし」
恭文「たださ、ちょっと思ったんだ」
フェイト「なにかな」
恭文「あれ、主人公テガマルじゃね?」
(……そうして沈黙)
フェイト「で、でも素敵な最終回だったよね」
恭文「確かに。あのEDへ入る前のどーんって感じが……いいなぁ。
なんだかんだでバトスピ覇王のテーマって、夢ってところだと思うのよ。
夢を追いかけて、頑張って、そうして到達して、そこから先があって、振り返って」
フェイト「うんうん、それは分かるよ。なんだかんだで素敵な一年だったよね」
恭文「だよねぇ」
(ネタバレ防止のため、かなりあやふやです)
恭文「それでどっちもキースピフル出演だったし」
フェイト「バトスピの最終回恒例だよね」
恭文「久々にバゼルも見れたし、もう大満足だよー。あとは……ソードアイズか、うちのメンバーも大量に出るけど」
フェイト「……そういえば、そうなんだよね。ミルヒオーレ姫とかも出るし、新八君もまた出るし」
(『満足するぜっ!』)
フェイト「この人も、出るし」
恭文「ストラクチャーももうすぐ発売だし、楽しみだねー。当然予約してるよ。
そして……ついに始まった仮面ライダーウィザード。こっちもチェックしたけど」
フェイト「アクションカッコよかったよね。よし、私も頑張って」
恭文「フェイト、フェイトには無理だよ。回転する時に足もつれさせて」
フェイト「そんな事しないよー! ヤスフミのバカー!」
(ぽかぽかぽかぽかー!)
恭文「でもあんなスタイルチェンジしまくるとは思わなかった。例年だと」
フェイト「イベントがあって……だしね。1話であんなサクサク進んだのは、意外だったかも。次の話とかどうするんだろう」
恭文「僕頑張るよ?」
フェイト「ヤスフミは違うよっ!?」
(たらたららーたららららー♪ というわけで、来週のニチアサキッズタイムも楽しみだ。
本日のED:仮面ライダーウィザードのBGM『ショータイム』)
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
遠山奈津子は逮捕された。自供もしっかり取っているので、容赦なく裁いてくれる事だろう。
ちなみに動機は本人が言っていたように、出世できない事への恨み。もちろん自業自得レベル。
遠山は勤務態度や仕事内容こそ良いものの、性格的に難があったらしく使いづらいスタッフとして認識されていた。
そのため上の人間は遠山を昇進させる事に、かなり躊躇いがあった。できればクビにしたかった。
番組作りはなにはともあれ、人間関係からだしねぇ。空気を悪くする人間が上だと、良い番組にならないよ。
でも遠山本人の能力が高いせいで、局も手放すのを惜しいと感じた。
だから出世から外し、性格的な面に改善が見られたらと……甘い判断だねぇ。
春香達には口を酸っぱくして言っておこうっと。……それが遠山の『傷』となった。
全てが終わったその翌日――僕は言い渡された書類の残り3分の1を処理していた。
すると春香がやや寂しげな顔をしながら、事務所に入ってきた。
「プロデューサーさん、おはようございます」
「おはよう。てーかどうしたの、また寂しそうな顔して」
「みんな、行っちゃいました。さっき見たら、お店も元に戻ってました」
「知ってる。みんなからも聞いたし、僕も朝に見た」
「あはは、ですよねー」
春香は包みを持ったまま苦笑し、すたすたと僕の方へ歩いてくる。
「そうそう、お昼から束が来るって。また勉強教えてくれるんだってさ」
「ほんとですかー!? うっうー! ドリルのお礼、持ってきてよかったですー! ……でも、ちょっとさびしいです」
「問題ないでしょ、これで平和な生活が戻ってくるんだから。だけど……なんか難しいよね」
僕は書類を書く手を止め、ゆっくり伸びをしながら窓の外を見た。
「遠山は『傷ついていた』。例えそれが逆恨みだとしても、傷になっていた。
その傷から生まれるいろいろな感情が、メモリとの親和性を強くした」
「探偵達が言ってたのだよな。……自分も新聞とかで読んだけど、ありえないぞ。
だってあのADさんにも、悪いとこいっぱいあったんだよな」
「それでも傷は傷――そういう事なんだろうね。まぁでも、大丈夫だよ。遠山の犯行は、確実に死刑レベルだ。
刑が執行されるまで、もう誰もアイツを傷つけない。死なれたら大問題だもの。
腕も足も動かない状態だけど、これからずっと刑務所が守ってくれるんだ。これで満足するでしょ」
「プロデューサー、それは発狂するレベルでは」
「千早、その心配はない。取り調べの様子を聞くに、発狂を通り越して既に壊れてるよ」
なお、その原因が僕にあるとは言う事なかれ……いや、僕が原因だけどさ。
でもあの手のタイプは、逆恨みすると厄介だから。あれくらいしないと、リスティさんや翔太郎達も危ない。
それでもなんか重たいものはあるので、窓の外を遠い目で見てしまう。
「遠山は自分が『傷ついた』という妄想に包まれて、現実から目を背け続ける。
もし再び現実と向き合う時が来るとしたら、それは死刑台に立った時」
「自らを省みず、悪魔に魂を売った者の末路――同情はできませんが、哀れですね」
「はふぅ、大変なの」
「美希ちゃん、それだけで片付けるのは絶対違うよ。でも気をつけておこうっと。
人を疑う前に、まず自分を七回疑う。だよね、真ちゃん」
「そうだね。そうやって自分を省みる事を忘れたら、きっと誰でも傷に囚われる。
自分の傷しか見えなくなって、それだけが全部になって……そういう事なんだよ」
雪歩と真の言葉が少し嬉しくて、頷きながらみんなへ向き直る。
「まぁあれだよ、竜宮小町の事もあって、みんなはこれまでとはまた違う差ができる。
それでもいじめとかやめてね? 人間関係の悪化とかやめてね? 特に春閣下」
「そんな事しませんよー! というか、閣下って言わないでくださいー!」
「そうだぞっ! プロデューサー、自分達をなんだと思ってるさー!」
「それを聞いて安心した。……なによりそんな事をして、ウサを晴らす必要はない。
竜宮小町に追いつけるよう、僕も頑張ってみんなの背中を押すんだから」
「でもプロデューサーさん、いいんですかー? ボディガードだっていっつも言ってたのにー」
やよいの純粋なツッコミに、全力の笑いを返してまた窓の外を見る。
「やよいは可愛いなぁ」
「ふぇっ!? わ、私可愛いって……そんな事ないですー! 春香さん達に比べるとー!」
「高槻さん、多分そういう意味じゃないと思うわ。察するに」
「そんな設定は捨てられてるんだよ。社長によってね」
『……やっぱり』
あぁ、やばい。今すぐ泣きたい。社畜ってこういうのを言うのかな。しかもね、余計辛い事があるの。
ここで普通ツッコむはずの律子さんが、なにも言わないのよ。小鳥さんと揃って顔を背けて、嗚咽を漏らすのよ。もう嫌だ。
「あ、私今日はシュークリーム焼いてきたんですっ! 食べますかっ!?」
泣いてしまいたかった僕に、春香が包みの中身を差し出す。それは紙箱に入っていた、たくさんのシュークリーム。
春香の笑顔とその優しさが嬉しくて、僕はぺこりと頭を下げて手を伸ばす。
「ありがとう、頂くよ。春香のお菓子、実は毎回楽しみなんだよねー」
「えへへ、そう言ってもらえると嬉しいです。あ、みんなの分もあるから食べてねー」
「でも無理してない? お小遣いとか」
「いえ、無理なんてしてませんよー。私の趣味ですし」
シュークリームにかぶりつくと、優しい甘みが口に広がる。というかこのサクサクした感触は、クッキーシューか。また器用な。
「あなた様」
春香のシュークリームの美味しさを堪能し、食べきったところで貴音が僕のところへやってきた。
しかも貴音はやけに真剣な顔をしていて、じっと僕の事を見ていた。
「今回の事でわたくし、一つ気づいた事があります」
「なに、改まって……え、ちょっと待って」
「貴音さん、あなた様ってなんですか。いつもならプロデューサーって」
「わたくしを……あなた様のはーれむに加えていただけないでしょうか」
その瞬間、場の空気と僕の思考は固まり。
『えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!?』
全員で信じられない気持ちを表すように、叫びをあげていた。
「は、はははははははは……春香っ! 今幻聴がっ! 経過の覚えがない結果がっ!」
「プロデューサーさん、お、おおおおおおおお……落ち着いてくださいっ! 呼吸をっ! 深呼吸をっ!」
「幻聴ではありません。わたくしはいたって本気です」
「貴音、落ち着こうっ! あの、本当に落ち着こうっ!」
一旦ハンカチで手を拭き、それから貴音の両肩を掴んで軽く揺らす。それでも貴音の目や表情は、一切変わらなかった。
「てゆうか……なんでっ!? いや、本格アプローチとかした覚えないけど、なんでっ!」
「そうですよっ! そういうのなかったですよねっ! てゆうか、アイドルはどうするんですかっ!」
「なぜでしょう。もしかしたら、母性本能をくすぐられたやもしれません。
そして覚悟を決め、魂の志を貫いたあなた様に……だから」
貴音は僕の手をそっと外し、そのまま両腕を伸ばす。そうして僕は、一昨日みたいに貴音のものにされてしまった。
「あなた様のもっと近くにいられたらと、そう考えております。あいどるもこれまで通り続けるつもりですが、いつかは」
「おぉ、凄いー! お姫ちんが攻め攻めだー!」
「兄ちゃん兄ちゃん、一体なにしたのー!?」
「いや、なにもしてないっ! 僕からはなにもしていないっ! 誰かお願いっ!
どうしてこうなったのかを教えてっ! 身に覚えがないのっ! 全くないのっ!」
あれかな、夏祭りで胸触ったからっ!? お泊まりしたからっ!? お散歩したからっ!?
でもどれもこれも決定打じゃないよねっ! 一体なにがどうしてこうなったんだー!
「恭文君」
……あ、やばい。そこを気にして焦っている余裕はない。僕の左側――律子さんが、席から立ち上がって憤怒の表情を浮かべている。
「ちょっと話をしましょうか。アイドルに手は出さないって、言ってたわよねぇ」
「いや、出してないっ! 出してませんよっ! だから経過がさっぱりなんですってっ!」
「とりあえずその、離れましょうっ! 貴音さん、ここは離れて冷静にっ!」
「そうよ貴音ちゃん、抜け駆けは駄目よー。プロデューサーさんは、私からお嫁さんにしてくれるんだもの」
ソファーに座っていたあずささんが、満面の笑みで更に爆弾投下。
それで律子さんの首が、錆びた機械人形みたいな音を立てて動く。
「どういう事、ですか」
「うーん、私もフラグっていうのですか? 立てられちゃったみたいで。
もっとプロデューサーさんと仲良くなりたいなぁと」
あずささん、今は照れた笑いを浮かべないで。その笑顔が素敵だとは思うんだけど、今はやめて。
貴音に抱かれながら、ガタガタ震えてるの。だって律子さんから、どす黒い瘴気が出てるの。
「えぇっ! じゃ、じゃあもしかしたらプロデューサーが」
「あずささんの運命の人かもしれないのかっ!」
「そうかも。だからお姫様抱っこもされちゃっても、ベッドまで連れていってもらっても嬉しくて」
『ベッドッ!?』
あずささん、それはわざとですかっ! もうそうとしか思えないんですけどっ!
やばい、律子さんがこっちを向くっ! でも見られないっ! 律子さんの顔が見られないっ!
「り、りりりりりりり……律子さん、落ち着いて。ほら、人を疑う前に自分からですよ。
傷という妄想に囚われてたら駄目なんですよ、ちゃんと目を見開いて」
「それとこれとは関係ないでしょうがっ! なにもしてないならこれはないでしょっ!
そう、そんなに腹上死したいのっ! だったら今すぐ私が引導渡してあげるわっ!」
「え、りっちゃんが兄ちゃんを腹上死させるのっ!? 大胆ー!」
「りっちゃんも兄ちゃんにラブラブだったんだー!」
おそらく律子さんは、そういう趣旨で言ったのではない。ガチでDIEさせるつもりだったと思われる。
もうね、瘴気でそこは分かるの。なのに……なんでそこの双子は、更に余計な事言うんだよっ!
ほら、律子さんがなんかこう……ダブルブレイヴした馬神弾みたいになってるしっ! これどうやって止めるのっ!?
「律子……さん、頑張ってなの。美希は応援してるの」
「でもあの、もうちょっと自重した方がいいと思うわ。いや、それはあずささんや四条さんもなんだけど」
「……そんなわけあるかぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」
その瞬間、デスクが律子さんの剛力によってひっくり返され、後がとっても大変だったのは言うまでもない。
それで僕は、これも全部アイツらのせいだと思う事にした。おのれ、ディケイドー。
(おしまい)
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