小説(魔法少女リリカルなのは:二次小説) Bonus Track07 『積み重ねられていく未来へのF/試験後なのにみんな大変』 前回のあらすじ――僕とラウラが現実に戻ったら、なんか修羅場でした。てゆうかマズい。これは絶対にマズい。 簪の今の状況が状況だから、専用機持ちなみんなには極力頼らないようにって思ってたのに……こんなとこで鉢合わせするとは。 とにかくそのままだとお店に迷惑をかけちゃうので、お店の壁際の丸テーブルに全員着席。ここから緊張でいっぱいの会議開始です。 「ま、まず簪はみんなの事知ってるんだよね」 「うん」 「知らないはずないだろっ! 特にこの」 「伏せ」 椅子に座ったまま伏せをした簪のパートナーデジモンらしいこの子は、バランスを崩してそのまま床に倒れた。 「ふぎゃー!」 「私は1年4組の更識簪」 ≪簪さん、平然と話を進めますか≫ ≪意外とパートナーの扱いに容赦ないの≫ だよね。モノドラモン目回してるのにね。中々に強烈な。 「この子は」 「モノドラモンですわね」 「……そうだけど、オルコットさんどうして」 「実はガオモンから聞いていますの」 セシリアは軽く握った右手を口元に当て、クスリと笑う。 「少しやんちゃなデジモンが居ると」 「私もファンビーモンとロップモンから聞いている。そのパートナーがお前である事もな」 「そう。だったら自己紹介とか必要ないかな」 そこで簪が僕の方を見る。僕もセシリア達と同じくなので、しっかりと頷いた。実は僕も……ヒメラモン達からそれとなくね。 やんちゃだけど人に迷惑をかけるような事はしない子だと聞いている。そんな子がこうなる原因は、やっぱり織斑一夏だよ。 「織斑一夏――織斑君、さっきはごめんなさい。この子にはよく言っておくから」 「いや、怪我とかもないし……つうかオレなにかしたかな」 織斑一夏は戸惑い気味に右手で頭をかく。そりゃあ自覚があるわけがない。厳密には関係ない話だし。 「さっきから色々考えたんだけど、君と会うのも初めてだし当然その子も同じく。でも同じ学校だし」 「謝らなくていい」 少し鋭い簪の声で、織斑一夏の言葉は止められた。 「あなた個人が悪いわけじゃない。だから、謝らなくていい」 「あ、あぁ。それでその、ラウラやセシリアは知ってる感じだが……お前も」 そこで織斑一夏は言葉を止めて、首を傾げ始めた。 「あれ、確かあの時の山田先生の話だと専用機が完成していないとかなんとか」 「……うん」 ヤ、ヤバい。このまま話が進むと間違いなくとんでもない事になる。僕は慌てて。 「ま、まぁそれはいいじゃないのっ! 今は休日なんだし、せっかくだし一緒に仲良く遊ぶ方向で……ねっ!?」 会話を止めようとしたところ、リンが先んじてそれをやった。しかも妙に慌てた様子を浮かべたので、少し不思議に思う。 「お兄様」 そんな時、いつの間にか姿を消していたシオン達が僕の傍らに戻ってきた。 「凰さんに事情説明は完了しました」 「これでお前は一人じゃないぞ。リンなら空気読んでくれるだろ」 「二人とも……グッジョブッ!」 「そうだな。ならそれで」 「ダメだっ!」 そこでまた聴こえて来たのは、椅子を直してその上に乗ったモノドラモンの声。 「お前達とかんざしとが仲良く出来るわけないだろっ! お前達は敵だっ!」 こらー! お前は空気を読めー! ここで話をまとめてタイトルコールでいいじゃないのさっ! 「敵とは……また穏やかではないな。一体どういう事だ」 「そうだぞ。なぁ、いったいなにがどうしてそうなったのか教えてくれないか?」 「とぼけるつもりかっ! そんなの分かりきっているだろうっ!」 「……分かるわけがあるかっ!」 そこでなんで篠ノ之箒もキレちゃうのっ!? なに火に油注いでるのよっ! 「お前はさっきからなんだっ! ただ自分の都合だけを見て喚き散らすだけっ! それで人との対話が成り立つと思っているのかっ! いい加減にしろっ!」 「うるさいっ! おれはかんざしのために」 「それが本当にマスターのためになると思っているのかっ! だとしたら勘違いだっ! お前がそうやって声を荒らげる度に、彼女は一体どうしていたっ! 彼女がお前を困った顔で見ていたのに、どうして気づかないんだっ! お前はパートナーだろうがっ!」 一息にそう言い切った事で、モノドラモンが身を震わせた。そして俯き、悔しげに下ろした両手を握り締める。 「……私は逆恨み同然な感情を抱いて、ずっとお前達デジモンを嫌っていた。侵略者だとさえ思っていた」 その様子を見ながらため息混じりに、篠ノ之箒がそんな事を言う。 同時に店内という事もあって、こっちを何事かと見ているお客の視線にバツが悪そうにしている。 「私はどうしてそうなってしまうのか知りたいという仲間の声も聞かず、ただ自分の中でその感情を膨らませ続けていた。 でもだからこそ、お前の今の態度がダメだと分かる。それでは誰もお前がなぜ怒っているのかも分からない。 お前自身も救われない。それが本当に大事な誰かのためになるのか? もう一度言うが、お前のマスターはそれをよしとはしていない」 篠ノ之箒はそこで自嘲の笑みを浮かべた。それは……臨海学校までの自分を振り返っての笑み。 そこにはモノドラモンを黙らせるだけの確かな説得力があった。 「もし私達が知らず知らずのうちにお前のマスターやお前を傷つけていたのなら、謝りたいんだ。 それでもしお前が、抱えている怒りに震え苦しんでいるのなら……助けたい。 だがそのためにはお前がなにを考えているのかが分からなければダメなんだ。頼む、教えてくれ。お前はなにをそんなに怒っている」 「……お前、名前は」 「篠ノ之箒だ。箒でいい」 「ほうき……その、悪かった。怒鳴り散らしてばっかで」 「いや、いい。私も怒鳴ってしまったからな。おあいこだ」 そう言って安心させるように笑う篠ノ之箒を見て、モノドラモンは表情を緩めた。それで多分全員が驚愕していると思う。 だって今の篠ノ之箒は、以前までのそれとは別人だもの。やっぱり人間って……変われるものなんだなぁ。 「それで」 「私から話す。まず私の専用機が完成しない事が、モノドラモンが怒った理由。 それで完成しない原因は、開発元が専用機の製造を放り出したから」 「放り出した? ちょっと待って。君はぼく達と同じ代表候補生だよね。 専用機は開発元の新技術を試すためのチャンスでもあるのに……それを放り出すなんてありえないよ」 「……それは」 「ありえるんだよ。簪の専用機を作ってたところが倉持技研ならね」 言いにくそうな簪を見かねて、僕が答えを告げる。それで全員ハッとした顔をしながら僕を見る。 「八神、それは本当なのかっ! そこは確か」 「一夏の白式を作った研究機関だな」 「そうだよ」 あー、みんなやっぱ驚くよね。僕も本音から話を聞いた時、全く同じような顔してたと思う。 それで肝心要の織斑一夏は……若干顔色を悪くしながら右腕の待機状態な白式を見ている。 今までのモノドラモンの態度とかが一気に結びついたのが衝撃になってるらしい。 『とまとシリーズ』×『IS』 クロス小説 とある魔導師と閃光の女神のえ〜すな日常/いんふぃにっと Bonus Track07 『積み重ねられていく未来へのF/試験後なのにみんな大変』 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ 「――ここまで言えば、どうして代表候補生である簪の専用機が放り出されたか分かるんじゃない? ここで重要なのは、一度進んでいた話がこの件でストップして放り出されて……そのままって事だよ」 「男性でISを動かせる織斑さんの方を今なお優先して……なんですの、それ。あまりにバカにしています」 やっぱりありえないと思っていてくれるのか、全員不快感を隠さない。そう思ってくれるのが、僕にとっては救いだよ。 これ以上空気悪くならなそうだし。そんなみんなの視線の中、簪は困った顔で織斑一夏を見る。 「だからあなたが悪いわけじゃない。モノドラモンが言っているのも、逆恨みに近い。モノドラモン」 「……ごめん。おれ、ほうきに叱られてすっげーぐさーって来た。ほうき、叱ってくれてありがと」 「いや、その……礼などいい」 篠ノ之箒は隣の織斑一夏をチラチラと見る。でも当の織斑一夏も……相当困り果ててるなぁ。 直接的にはなにもしてなくても、自分が原因このありさまだしなぁ。そりゃあ織斑一夏には突き刺さるよ。 「でも倉持技研かぁ。あそこのスタッフだったらそういうのやりかねないわ」 そんな空気を吹き飛ばすようにリンは腕を組み、呆れたようにそう言う。 「いやさ、この間突然学校に来た時も相当横柄な態度取ってたっぽいのよ」 「凰さん、そうですの?」 「そこは山田先生と世間話程度にね」 そう言えばおのれ、僕達に迷惑かけた後は山田先生と二人で学園戻ったんだっけ。その時にって事か。 話の中身はリン的にも不快感を隠し切れないものらしく、右手でお手上げポーズを取って首を横に振る。 「あれよ、研究だけは一流だけど人間としてのあれこれはちょっとってやつ? そんなのが多く居るとこだから、そういう恥知らずな真似が平然と出来るのよ」 ≪リンちゃん、そこまでなの?≫ 「そこまでよ」 そこでなぜか篠ノ之箒が身体になにかが突き刺さったかのように、軽く呻いて背を丸めた。 ……あー、そういやおのれのお姉さんもあれだしなぁ。ちょっと考えるところがあるのか。 「だけどやっぱりありえないよ。代表候補生は国家的にも大事な人材なはずなのに」 「ありえないわよねー」 リンはマジで空気が読める。そしてしたたかだ。今のやり取りだけで『諸悪の根源は倉持技研』という空気を完全に固めた。 これで織斑一夏へのダメージも多少は緩和される……といいなぁ。このふやけたパスタ、根がやたら善良だから気にしそうだけど。 「更識さん、その事を正式に抗議したりとかは」 シャルロットの問いかけに、簪は首を横に振る。 「え、してないのっ!? それはだめだよっ!」 「ううん、一応はしてる。こういうのも権利だし、行使出来る時にしておかないとなめられちゃうから」 「そっか。なら今のは」 抗議はしたけどごらんの有様という意味だね。どうやら国の方も織斑一夏の事に比重を置いてしまっているらしい。 僕の方は身内のコネやツテのおかげでそういう形では迷惑かけずに済んだけど……あぁ、気まずい。なんかまた気まずい空気が流れてる。 「けど……もういいの。自分で完成させるって、決めたから」 「え、自分でIS作ってるのっ!? ぼく、さすがにそれは驚きかもっ!」 「でも0からじゃないから。元々7割方は完成していたし、あとは……なんとか」 簪、嘘をつくな。そこから止まって苦戦しているのが現状じゃないのさ。 ……このままだと簪の居心地が悪くなりそうなので、ここに来た目的を達成する事にした。 「よし、じゃあ大体の事情も分かったところで……とりあえずこの話はまた後日にしておこうか」 そう言って両手をパンと合わせると、全員の視線がこっちに向いた。 「そうよそうよ。今は休日なんだし、楽しく遊びましょ」 リン、ほんとグッジョブッ! もうこういう時にはマジおのれは頼りになるわっ! お礼として今度バカやった時のお仕置きはほんの少し緩めにしてあげようっ! 「そう言えばここに来たって事は、更識さんもバトスピやるの?」 「ううん。私はカードゲームは遊戯王オンリー」 「かんざしはE・HERO使いなんだぜー! それで中学までは負けなしなんだぞー!」 なぜかモノドラモンが胸を張ってそう言ったのを聞いて、僕は驚きの表情を浮かべてしまう。 まさか簪がカードゲーマーだったとは……ううん、それ以上の驚きがある。 ≪E・HERO……という事は≫ 「なんだ、更識さんもなんだ」 「なんだ、お前もE・HERO使うのか」 「なんだ、それではそっち関係で恭文と知り合ったのか」 ほぼ同時に似たような事を言ったリンと織斑一夏とラウラが驚きながらそれぞれを見る。その様子を見て、簪が首を傾げた。 「どういう事? 私もって」 「あれ、知らないの? 教官も遊戯王やってて、E・HEROデッキ使いなんだから」 「しかもやたら強いんだよ」 「そうなんだ」 そこで簪は僕を見て、興味深そうにしながらも口元を緩める。 「それは……知らなかったかも」 「僕も。そういやそういう話してなかったしね」 「うん」 でもまさかE・HERO使いとは。E・HERO、最近ネオスとかが出たけどまだまだデッキパワー弱いのに。 あぁ、良かった。まさか僕と同じ仲間……そっか。だからあの時ちょっと見えた本の中身がアレだったのか。納得したわ。 「なんだ、そうなのか。だったらお前達はどういう縁で知り合ったのだ?」 「あ、それぼくも気になるかも。やっぱりデジモンのパートナー同士だからとか」 「まぁそんなところ。それで私が今日ここに来たのは」 曖昧に話をボカした簪は自分の7時方向へ振り向き、あの巨大モニターの中で行われているバトル達を見て表情を緩めた。 「あのバトルフィールドシステムが気になって。開発者の陽昇夫妻のレポートとかも読んだ事あるし、一度見たかったんだ」 「それでなのか。実は私やオルコットも似たようなものだ」 「カードゲームはやっていないのですけど、織斑さんに案内されて……本当に凄いですわよね。 一体どうやって作っているのか不思議ですわ。まるでスピリット達が本当に生きているようですもの」 「それは私も不思議。それぞれリアルタイムで演算してると思うんだけど、普通はこれだけやったら処理が重くなったりするはずなのに。 でもね、なによりも凄い事は別にあると思う。……あれで遊んでいる子達も、見ている子達も、みんな笑っているから」 簪は控えめながらもあのシステムに感銘を受けているのか、たくさん喋っていく。その様子を見ながら、モノドラモンがニコニコしていた。 どうやら今の簪の様子は、パートナーから見ると嬉しいものみたい。確かにこの子、物静かでこんな喋る印象ないしなぁ。 今は気分良いのかも。でも好きな事になると饒舌になるタイプ……あれ、なんかすっごい覚えがあるぞ。 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ とにかく話も終わったので、まずは店内散策。僕は早速カードを見る事にした。 ……ラウラのあれで初期デッキのままじゃアウトだって分かったしね。自分なりにデッキを組み直す事にした。 なのでフィールドの順番待ちしてる間に陳列棚に飾られるカードを見て……うーんと唸る。 実はどうしたものかと悩んでいたりするんだよねー。使ってみたいカードはあるんだけど……普通に組んでもあれには対抗出来ない。 なにかこう、突き抜けるものが必要だ。それでやっぱり赤デッキにこだわる僕は、きっと真性主人公なんだと思う。 「お兄様、かなり悩んでますね」 「当然でしょ。今度は絶対勝つんだから」 「いやいや、お前勝ってるだろ。むしろ一夏のセリフだろ、それ。 アイツブレイヴにもバーストにもメタ張られて凄い事になってたぞ」 「僕だって負け越してるんだから同じだよ。しかも相手の札が悪かったのが要因だし」 つまりデッキがちゃんと回っていたら……なので負けた時の事を思い出しつつ、足りないものを噛み締めながらカードを見ていく。 でもこう、ピンと来るのがないなぁ。もっと突き抜けるような感じが欲しいんだけど。 「恭文さん……やっぱり独り言が多いように聴こえます」 「……セシリア、お願いだからそれは言わないで」 なお、セシリアも一緒に見てくれてる。でもセシリアも楽しんでくれてるようで……良かったなぁ。 単純に遊ぶの抜きでも、綺麗なイラストも多いから、ここは狙い通り。でも早めに切り上げようっと。今日は僕だけじゃないし。 「でも色んなカードがありますわね。というか……カードによって枠の色が違ったりするのはなんでしょう」 「あぁ、それはカード毎の属性だよ」 「属性?」 「バトルスピリッツって、赤・青・緑・黄・紫・白と六つの属性があるんだ。全部のカードはその色のどれかに当てられてる。 それでそれぞれのカード毎に特徴があるんだ。攻撃が得意とか、防御が得意とか。基本は同じ色のカードを多めにしてデッキを組むの」 「あぁ、それでですのね」 ここの辺りは今なお世界的な人気を誇るマジック・ザ・ギャザリングとかと同じだね。 あれもカードの特性分かれてたりするから。えっと、確かバトスピのデザイナーがマジック・ザ・ギャザリングにも関わってるんだっけ。 それで色ごとの特性は……まず赤が攻撃力とドロー力。そして歴代バトスピアニメの主人公が使う色。 バトルスピリッツは某遊戯王みたいに特定のカードをデッキから抜き出すいわゆるサーチカードはない。 ここはデザイナーの方針かららしい。それで試合中のシャッフルとかもないから、デッキの底にキーカードが寝たら寝っぱなしという危険もある。 その代わりにデッキからカードをドロー出来るカードがかなりあるんだ。その大半を赤のカードが占めている。 攻撃やスピリット破壊に関する効果を持つカードも多い。攻撃と破壊は赤の専門と言ってもいい。 青がネクサスと呼ばれる……まぁ遊戯王で言うところのフィールド魔法と考えればいい。そっちで強力なカードが多い。 でも青の一番の特徴は、専用効果である『粉砕』だよ。その中身は相手のデッキのカードを墓地送りにするもの。 バトルスピリッツでは、その色でしか使えない専用効果というものがカードによっては付与されている。 さっき説明した赤で言うなら、こっちが攻撃した時、相手にブロック出来るスピリットが居るなら必ずそれで防御をさせる激突とかだね。 青の粉砕もそれに当たるんだけど……バトルスピリッツのデッキ破壊は相当豪快なのよ。 条件さえ整えば一度に10〜20枚は余裕だから。しかもルールでは、デッキが0枚で自分のターンを迎えたら負けになる。 正確には自分のターンを迎えた時点でデッキからドロー出来なくなったらって感じだね。 やられると相当悔しいんだよなぁ、あれ。でも勝ち方としては爽快で魅せる部分があると思う。 そして緑がコアブースト。バトルスピリッツはどのカードを使うのにも、毎ターン必ず一個は増えるコアを使う。 カードの左上に書かれている数字が、そのコアの使用数。そのコアをトラッシュという専用のゾーンに規定数置かないと、カードが使えない。 バトルスピリッツにおいてコアの管理も含めた上でのプレイングは重要で、同時にゲームの楽しさでもある。 緑のカードはそのコアを効果で増やす事が得意なんだ。あとは相手スピリットを疲労させるのも得意。 バトルスピリッツでは自分のスピリットで相手プレイヤーないしスピリットを攻撃して破壊されずにバトル終了すると、疲労という状態になる。 ゲーム中はそういうスピリットは分かりやすいように、縦にしてあるカードを横向きにするんだ。 この状態になると、基本的に相手の攻撃をそのスピリットで防ぐ事は出来ない。ここがキモの一つ。 スピリットを攻撃させる際は、相手の手札や場の状況を鑑みた上でさせないとあっという間にやられちゃう。 だから召喚するだけして攻撃しない事とかもかなりありえる。もちろん攻撃しても全部のスピリットがそれに加わらない時もある。 そういうのもあってこのゲームは、毎ターン積極的に攻撃してダメージを与えていくゲームにはなっていない。 序盤はともかく中盤以降は自分が確実に相手を仕留められる状況になるまで待って、それが来たら一気に仕掛けるゲームだよ。 だからこそ緑の専用効果である『暴風』――相手のスピリットにブロックされた時、他のスピリットを疲労させる効果は強力。 それで相手の防御陣形を崩して、一気にダメージを与えられる可能性が大きくなるんだから。 あとは神速っていうこっちの攻撃フェイズ中にスピリットを召喚出来る能力も中々。奇襲性があるしね。 そのかわり全体的にパワーが低いスピリットが多い。でもその分コアを増やし、手数を多く展開出来るのが緑の強さかも。 それを最大限活用するための疲労効果と考えるなら、コレが中々。まぁ赤の除去マジックには気をつけましょう。 黄色は強力なマジックカードが多いかな。マジックカードは遊戯王で言うところの読んで字の如くなのであしからず。 あとはトリッキーな効果持ちでもある。例えばバトル中に使用したマジックを手札に戻す黄専用効果である『光芒』。 相手ライフを減らした時に自分のライフを回復する同じく専用な『聖命』とか。でもそれは一番の特徴じゃない。 一番の特徴は……いわゆる美少女カードが多い事だよ。天使的なカードがかなりの数居るの。 禁止カードになっているミカファールもそうだしさ。それで紫は黄とは別の意味でトリッキー。 スピリットを場に残すためにはカードの上にコアを置く必要があるんだけど、そのコアを外したり出来るの。 コアがなくなるとカードは破壊された扱いになって、どんなに強いスピリットでもそのままやられちゃう。 しかもこの時は……えっと、普通に戦闘によって破壊されたのとは違うから、破壊された時に使える効果が発動出来ないんだっけ。 そしてスピリットやあの時ジーク・アポロドラゴンに合体していたブレイヴと呼ばれるスピリットにより、手札を増やす事にも長けてる。 それで出てくるスピリットもいわゆるアンデットや闇属性的なのが多く……うん、紫ってそういう色だよ。 専用効果は自分のアタックをブロックしたスピリットを、バトルの勝敗の結果に関係なく破壊する『呪撃』。 例えば思いっきり強いスピリットにこの効果を持っているスピリットが破壊された。 その場合、思いっきり強いスピリットをそのまま道連れにするように破壊する。これが呪撃の効果だよ。 ね、闇属性っぽいでしょ? もちろんそんな属性的な能力である『不死』という効果もあったりする。 これは特定のコストを持つスピリットが破壊されてトラッシュ――墓地へ行った時、スピリットが復活する効果。 ここも例えないと分からないか。コスト4――コアを四個使わないと出せないスピリットが、バトルした結果トラッシュに行ったとする。 その時トラッシュの中に『コスト4のスピリットがトラッシュに落ちたら、墓地に居るこのスピリットが復活します』という効果持ちが居た。 そうしたらその効果持ちスピリットは条件を満たした事で、場に召喚が可能になる。これが不死の能力だよ。 もちろんここはカード同士のシナジーを考えた上で組むなら、かなり頻繁に発動出来る。これも紫の特性。 それで白は……簡単に言えば防御に長けた色。何回か話に出てるスピリットの防御に関係した効果持ちが多い。 あとは相手のアタックステップ――攻撃フェイズを強制終了させたり、ライフへのダメージを減らす効果持ちも多い。 そんな白の専用効果は『装甲』と『氷壁』。装甲は指定された色のカードの効果の影響を受けないというもの。 例えば赤のマジックを使って白のスピリットを倒そうとした時、そのスピリットが装甲を持ってたらソイツは倒せないの。 装甲はマジックだけじゃなく、そういう相手スピリットになにか仕掛けるようなスピリット・マジックの効果も防ぐ。 ただしカード効果で指定された色限定だから、それ以外は普通に通用するけどね。ちなみに最近それの強化版が出たりした。 それで氷壁は相手ターン中にマジックを使われた時、この効果を持つスピリットを疲労状態にする事でその効果を無効にするもの。 こういう感じで白は防御に特化した能力持ちが多い。そのかわりドローソースとなるカードが少ないから、そこは苦手項目。 バトルスピリッツは長短様々ある色のカードを使ってデッキを組んで、最初は5つあるライフをスピリットを攻撃させて削っていくゲームなんだ。 さっきも話したように、そのゲーム性はいかに自分のデッキを回して決められる状況を作るかというところにある。 遊戯王とかとはまた違ったゲーム性だから、そういうところにこのゲームの楽しさがあるのではないかと僕は思う。 「さっきからここに来ている人達の会話の中に赤使いとか緑使いとかそういう用語が聴こえてたのですけど」 「どの色をメインに使っているかーって話だね」 「そう言えばヤスフミ、これってやっぱり同じ色同士で組まないとダメなのか」 「デッキにもよるかな。でもたくさん色が入るのは辛いと思う」 さっきも話したように、それぞれの色は長短ある。だから別の色のカードを組み合わせて使う混色デッキもあり。 それで長所を伸ばしたり、弱点を補強したりするの。例えば白に赤のドローカードを入れるとかね。 ただこの時注意しなければならないのは、同じ色のカードを使うからこそ得られる利点を消さないようにする事。 実はカードを使う上でのコストは、ものによっては減らす事が出来るんだ。そこはコスト表記の横に表示がある。 そういうのを軽減コストっていうんだけど……例えばコストが5で軽減が3のスピリットカードがある。 そこでカードの右下に描かれている宝石の絵柄――シンボルを持つカードが、場に三枚あったとする。 そのコスト5のカードは軽減コストが場に存在してるから、コアを二個使うだけで場に召喚出来る。 そうしたらコアは三個得した事になって、その分他のカードを使うのに回せる。 もちろん今出したスピリットにシンボルがあるなら、そのシンボルも加算してよりカードが使いやすくなる。 これもバトルスピリッツの特徴であり、同じ色のカードを使う利点だね。大体軽減コストというのは、同じ色のカードが対象。 赤いカードなら赤のシンボルがくっついてるのが普通なのよ。ここは例外もあったりするけど、基本はこれ。 だから色があんまりにバラバラだと、プレイ中に使うコアの消費量が半端なくなる。結果カードを使える機会が少なくなる。 使ったコアは次の自分のターンで使用可能になるけど、それでも1ターンの間に使える絶対数は変わる。 だからこそ同じ色のカードでデッキを組むのよ。その最大の利点は、コア使用の効率化。 軽減コストも考えた上で、より強力なカードを少ないコストで使える使用出来るようにしていく。もちろんここにはプレイングも必要。 そうするとデッキの回転効率上昇にも繋がるんだ。だから混色デッキと言ってもたくさんの色は入らない。 メインの色はひとつで、それがうまく回るように他の色のカードも入れる感じだね。 軽減コストも白のカードなのに赤が入ってたりするのがあるし、そういうのを使うと一応シナジーが取れる。 一応僕が使ってるストラクチャーデッキもそのパターン。ここは最近の流れを鑑みてだね。 「恭文さんは何色を使うんですか?」 「メインの色は赤色だね。さっきスピリット同士を合体させてた子と同じ色。というか、買ったデッキがそれだから」 「赤……わたくし、てっきり青かと思っていましたわ」 右横を見ると、セシリアはどうしてか僕を見ながらくすりと笑っていた。 「疾風古鉄も蒼色ですし、恭文さんの力の色もそれですから」 「確かにね。……なら青のカードも使うかなぁ」 「あ、それはいいかも知れませんね。恭文さんには合っているかと」 「それだったらセシリアだって同じでしょ」 でも青でデッキ破壊もいいかもなぁと思いながら一旦身を起こし、右手を上げて人差し指をぴっと立てる。 「ほら、ブルー・ティアーズだし」 「ふふ、確かにそうですわね。……そう言えばあの合体したのはなんですの? 最初普通のスピリットでしたのに」 「ブレイヴだね」 「ブレイヴ?」 頷きながら、ちょうどブレイヴのカード達が目の前にあるのでそれを指差す。 セシリアは身を屈めてそれを覗き込み、小さく声を漏らした。 「これ、先程画面の中に出てきた」 「うん、同じのだよ。ブレイヴはセシリアが見たみたいに、別のスピリットと条件付きだけど合体できる能力をもった特殊なスピリット。 最近の環境の主流で、かなり強いの。合体する事で攻撃力や効果が増強されるから。大体のデッキには入ってるんじゃないかな」 ブレイヴは実はかなり厄介なカード。まず攻撃力――バトスピの場合はBPって言うんだけど、それが大きくなると戦闘破壊が難しくなる。 もちろん呪撃みたいなのなら問題ないけど、そうじゃないならって事だね。あとはスピリットもなぁ。 ブレイヴと合体する事で本領発揮と言わんばかりに効果を発動するタイプのスピリットも居るんだ。その対処も大変。 ただ、そういうブレイヴを狙い撃ちするような効果を持ったスピリットやネクサスもあるけど。 一応カウンターカードはあるから、出したら絶対勝てるってものでもなかったりする。 それがないなら、ブレイヴと合体したスピリットには同じ合体スピリットをぶつけた方が早いとまで言われている。 まぁセシリアにいきなり専門用語並べ立てても分からないので、ここは僕の胸の中だけで……するとセシリアがいきなり僕を疑わしそうに見ていた。 「……恭文さん、始めてひと月経ってないのによく知っていますわね」 「当然だよ。だって」 苦笑気味に顔を上げ、織斑一夏達が居る方を見た。みんなはせっかくだからって事で、織斑一夏とラウラの対戦を見てる。 「織斑一夏を嫁という奴があれだし、織斑一夏もブレイヴ使ってるし」 「な、納得しました。でもボーデヴィッヒさん、本当に上級者の風格ですわね」 「だよねー。僕はカードゲームに触れたばかりの初心者がどうしてああなれるのか理解に苦しむよ。てゆうか、ホントいくら使ったんだろ」 ついラウラのお財布の具合が心配になりつつも僕はケースの中に集中。 うーん、ピンとこない。そもそも改良って言っても方向性もなしじゃあ……あれれ。 「恭文さん、どうしましたの」 足を止めて三枚のカードをじーっと見る。それは赤のスピリットで……あ、そっか。 これがこうしてああなってと頭の中で計算をまとめ、僕はバっと身を起こしながらなぜか微笑ましげにこっちを見ていた店員さんに話しかける。 「あの」 「はい、どうされました?」 「これと……あとこれとこれ、三枚ずつください。あー、それとこれとこれも」 「はいはーい。お買い上げありがとうございますー」 えっと……結構飛ぶけどお小遣いの範囲内。それに襲撃のおかげで収入も増えてるから、これくらいは余裕かな。 あとはデッキ組み直して回してみて……いやぁ、楽しくなるなぁ。これでラウラに吠え面かかせてやる。 「ヤスフミ、決まったか」 「ですがそれらは……いったいどうするつもりですか?」 「とりあえずって感じだけど、僕が思い描いている通りの事が出来るかも。いや、楽しみだなー」 「そりゃあ楽しみだろうねー。結構なロマンデッキになるし」 中程からウェーブがかかった髪を揺らしながら、店員のお姉さんが人懐っこく笑ってきた。 「どういうの組もうとしてるのか分かるんですか?」 「分かる分かるー。てゆうか、最初に選んだのがそれだしねー。もしかしてあれ? 運命の一枚ってやつ?」 「……実は。初めて見た時にびびーって来ましたし」 照れながら笑ってしまうのは、あれに運命感じてしまったから。あぁ、こういうのはネオス以来……ドキドキしてしまう。 店員さんは僕に笑顔を返しながら視線を動かし、セシリアの方を見た。 「そっちの彼女さんもどうー?」 「え、いえ……わたくしは今のところは」 「そっかー。せっかくいいもの作ったんだけど」 そう言って店員さんがしゃがんで、下から取り出して来たものを僕達に見せる。 それはなにやら手作り感あふれながらもかなりしっかりとした箱。サイズ的には手の平に収まる感じかな。当然のように僕達は揃って首を傾げた。 「これは?」 「うちのお店オリジナルのストラクチャーデッキ」 「オリジナルッ!? お店でストラクチャー作ったんですかっ!」 「まぁ中古カードの寄せ集めって感じ? ばら売りするだけじゃあ中々ねー」 また商魂たくましい……一応さ、お店オリジナルのパックとかはあるのよ。そういうの僕も見た事はあるの。 でもそれっていわゆる『市場的』なレア度が低いものを中心に利益が出るように売りさばいているんだ。 例えそれが『公式的に』レア度の高いカードばっか入ってると触れ回っていても、決して期待してはいけない。 そこにカードゲーマーが求めているようなレアカードはない可能性の方が大きいから。 実際に入っていても、封入率は低め。一種のくじびきなんだよね。 でもそういうのじゃなくてストラクチャーとは……ホントに聞いた事がないので、驚いてしまう。 「まさかくじ引き形式でちゃんとしたデッキはいくつもある中でひとつだけとか」 「ないない。そんな事やったらうち警察に怒られちゃうから。絶対捕まって臭い飯食べちゃうから。 価格は公式なものより少しお高めだけど、これ一式を0から揃えるよりは安く済むんだ。しかも強い」 「……そこ言い切りますか」 「初心者が下手に組むよりはね。とりあえず『これがデッキだー』っていうのが分かるようにはしてるの。それでキースピリットは」 それで店員さんはその箱をひっくり返し、裏面を僕達に見せてきた。 「これっ!」 そこに映るのは青い装甲を身に纏い、赤い瞳を輝かせ金色の角を逆立てる龍……いや、巨人。 その右手には黒いトライデントが握られ、巨体には妙な威圧感が漂っていた。 「これ、北斗七星龍ジーク・アポロドラゴンじゃないですかっ! また良いの出しますねっ!」 「いや、実はこれうちで余ってたのよ」 そう言って店員さんはなぜか涙目になり、俯いた。 「みんな大体赤とか白とかいっちゃってー。しかも保管するのにもやっぱり場所取るのよ。 バースト入ったから環境変わるし、今後売れる見込みあるかどうか分からなくて」 「……もしかしてそれを処理するための」 「オフコース♪ もちろん市場価格より多少抑えめだけどね。そこは良心設定」 「あの」 なんてたくましいと思っていると、セシリアが右手を上げて疑問の表情を浮かべながらデッキが入っている箱を見る。 「これって先程の試合で出ていた四つの腕のドラゴンとは違いますわよね。なのに同じ名前ですの?」 「あ、そっか。お嬢さんは知らないか。これね、プロモーションカードなんだ」 「ほら、前に限定的にーって話したよね。それがこのカードなんだよ」 具体的にはあのデートでリンと山田先生と遭遇する前だね。それでセシリアは納得した様子で息を吐いた。 「それでこれは六色それぞれのデザインが違うの。赤の北斗七星龍はセシリアが見た通りだけど、青はこっち」 「もち性能は同じだけどね。まぁどんな色を使う人でもやれるようにって感じかな」 「あ、それでですのね。……でもそれって売り方としてはいいんですの? わたくし、もっと限定的なのを想像していたのですけど」 「そうでもないよ? 北斗七星は強いカードだけど、うちで1000円以上買い物すれば一枚進呈ーってタイプだから。 まぁこれは作り過ぎだけど……高過ぎて本当に欲しい人に手に入らないよりはマシかぁ」 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ 一夏とボーデヴィッヒの対戦を見せてもらい、デュノアからルール説明などもされて……大体の事は分かった。 ただ自分の番が来る度に突撃していくのではなく、いかに相手のライフを減らせる状況に持っていくかが重要なのだな。 特にコアが毎ターン最低一個は増えるのが怖いな。あとはライフを削られるとそれがそのままコアとして使えるのも怖い。 その場合、あえて攻撃を受けて早めにコアを貯める事で強力なスピリットやマジックを使えるようにする戦術も取れる。 もちろんそれはこちらも同じではあるが。しかしこれは様々な要素が詰まっているな。 コアの運用にスピリット達の配置。そしてネクサスによる後方支援まで含めると、やっている事は一軍の将と同じだ。 現代風に言うならコアが軍資金でスピリットやマジックが戦車や戦闘機。ネクサスがそれを支援する軍事基地と言ったところか。 これはたかだか遊びと思ってはいけないな。私は自分の認識を改めた。なにより……楽しそうなんだ。 ボーデヴィッヒもそうだがゲームに興じる一夏は、IS学園の中では私が今まで見た事のない顔をしていた。 そう言えばIS学園に入ってからは騒動続き……そこは私が大きな要因を担ってはいた。ここは言う権利がないか。 とにかくそのせいで、級友とこのように学校を離れて遊ぶ余裕もなかった。あとは環境も特殊だからな。 一夏自身も女性ばかりという事もあって部活に入ったりこういう遊びを学校の中でするのをためらっていたし……こういうのはいいな。 今羽を伸ばして遊んでいる一夏の楽しげな顔を見ていると、安心してしまう。それで改めて自分の罪に気づいた。 私は一夏のこういう顔も、こういう時間も一緒に守ろうとしていたか? いいや、していない。 IS学園の事はともかく、一夏が前の学校などでは今の時間を日常としていた事は容易に想像出来たはずなんだ。 それなのに私は……守るという事は、誰かのためになにかを成すという事は難しい。それがよく分かった。 私には先程のようにモノドラモンに説教をする権利などない。なぜなら私はずっと目を閉じていたからだ。 目を見開いて物事を知ろうとしなくては、それは成せないのにな。ならば……私が目指す強さは、まずそこなのだろう。 今までのように閉じていてはいけない。まず目を開いて、知る事。弱さを振り切るためにはまずそこから。 私はそれが正しい道だと信じている。なぜなら今、私は今まで見えていなかった一夏の一面と時間に触れられた。 それで今の一夏も、私が守り支えたい一夏だと感じられた。今日……ここに来てよかった。 私はここに来た意味があった。ここには――今の一夏の姿には、私が強くなって守りたいものがたくさんある。 たくさん……そこまで考えて、なにかが引っかかった。なんだ、この気持ちは。私は……最近もこんな気持ちを感じたような。 「――それではアクア・エリシオンでアタック」 デジャヴを感じている間にボーデヴィッヒが水色で丸っこい騎士のカードを横にする。 どうも相当強い効果を持つカードらしく、一夏は散々好きにやられて……そして今もまた、苦々しい顔をした。 「ラ……ライフで受ける」 そして一夏のプレイマットの上の生命を示す青色のコアは、その下のリザーブと書かれている場所に指で移動。 これで終わりらしく、一夏は頭を抱えて悔しげに唸る。だが負けた悔しさすらも、一夏はどこか楽しんでいるように見えてしまった。 「くそー! また負けたー!」 「まだまだだな。それでは私の嫁は務まらんぞ」 それでコイツはなに当然と言った顔で言い切っているんだっ! 一夏はお前の嫁では……いや、そこもおかしいが他にももっとあるぞっ! お前この手のゲームに触れてからまだひと月も経ってないのに、なぜ自分が先輩な顔をするっ! それはおかしいだろっ! 「むしろそこクビになりたいんだがっ! なぁ、辞表出すのは許されるかっ!?」 「無理だな」 「頼むからそこ言い切るなよっ! オレにだって一応オレの嫁を選ぶ権利はあるぞっ!」 「あははは……ごめんねイチカ。ぼくもさすがにどうかと思って止めたんだけど、さっぱりで」 ボーデヴィッヒと共同戦線を組んでいると思われるデュノアでさえそれか。まぁ……男で嫁だしなぁ。 私だってそんな事……身体の奥が一気に熱くなってしまって、私は首を横に振る事でその熱を振り払う。 「箒、どうした?」 「い、いや……なんでもない」 ずっと一夏の傍らに居た私は、両手を横に振って大丈夫とアピールする。 それで動揺を悟られないように呼吸を整え、改めてさきほどまで激戦が行われたプレイマットの上を見た。 「しかし一夏、お前よくこんな難しいゲームが出来るな。これならふやけたパスタの代名詞は返上出来るだろ」 「ホントよねー。だってこれって、コアの消費とかも考えた上でデッキ組むんでしょ?」 「まぁな。そうしないと絶対勝てないからさ」 一夏はまず、コストが少ないスピリットやネクサスを使っていた。基本戦術はそこになるようだ。 そうやってシンボルを場に残し、それによってコストを軽減させて強いカードを出していく。 もちろんボーデヴィッヒも同じだ。だからこそ軍資金などと大仰な例えを先ほど使ってしまった。 それでスピリットの場合、持っているシンボルの数だけ相手のライフを削れるのだったな。 だからスピリットのシンボルがブレイヴなどで増える場合、攻撃が相手プレイヤーに直接当たれば二つ三つ平気で減るとか。 というか、さきほどの一夏がそれだった。そう考えるとボーデヴィッヒがこのゲームで強いのも当然か? ボーデヴィッヒは普段の電波バカ具合からは想像出来ないが、これでもドイツ軍所属で部隊の隊長でもある。 限られた資材で兵を効率よく運用する術は、おそらく身についているのだろう。……絶対に才能の無駄遣いだろうがな。 「でも……すっかりオレの代名詞になってんだな、それ」 「教官に感謝しないとねー。おかげでアンタはみんなから大人気だし」 「いや、むしろ説教してやりたいぞ。……ただこれだって慣れだぞ? 最初は同級生の奴らやアニメ見ながらなんとかって感じでな」 そう言いながら場に何枚も置かれているカードを束ね、二人はしっかりとあと片づけ。 コアに使ったカットされたビーズも丁寧に拾い集め、専用の入れ物に入れていく。 しかしこれ、今にも無くしそうだな。サイズ的には1センチあるかないかという感じだから、管理が大変そうだ。 「やっぱりイチカは学習能力が高いんだね。篠ノ之さんと凰さんも幼馴染なら、そこは触れてる感じ?」 「それはあるな。剣道の訓練の時もそうだが、昔から鍛錬さえ怠らなければ要領を掴むのは早かった」 だからこそ……学園に来た当初、一夏に稽古をつければすぐに皆に追いつくと踏んでいたんだ。 もちろんそのやり方は今思うと恥ずかしくて切腹したくなるほどにありえないものだが。 「でもコイツ、必要に迫られないとサボるのよねー。この間話した宿題の時もそうだしさ」 「うむ。だからこそついつい世話を焼いてしまうんだ。コイツは見ていないとすぐだらけるからな」 「あ、ひでぇな。オレだってしっかりしてただろ?」 そこで私は凰と顔を見合わせ、表情を崩して首を横に振ってしまった。そんな私達を一夏は困った顔で見る。 その視線も、こうやって穏やかな気持ちで話せる時間も……なにもかもが嬉しくて、私は笑う。 「否定されちゃったね」 「く……覚えがあるだけに反論し辛い」 「というかイチカ、そのストライクヴルム・レオは二体居たら無限攻撃とか出来るんじゃ」 デュノアがそう言いながら見ていたのは、さっきまで一夏が使っていたライオンのカード。 白銀の装甲を持つロボットにも見えるそれは、今も一夏の手の中で綺麗に光輝いていた。 「ダメだ」 「どうして?」 「これは取っておきの一枚だから、デッキには一枚だけって決めてるんだ。てゆうか」 一夏はデュノアから視線を逸らし、こっちが嫌な動機に襲われそうなほどに疲れきった顔をした。 「無限アタックには少し嫌な思い出があって」 「そ、そっか。あのイチカ、お願いだからその顔やめない? なにがあったか凄く気になるし」 『――うぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ! すげー!』 なんか凄い完成が8時方向から聴こえた。なので私達は全員何事かとそちらを見る。 「これで10連勝だぜっ!」 「てゆうか、アフローヌとかなんとか言ってた人とタイじゃねっ!?」 「おじさん強いねっ!」 「ふふふー、そんなの当然♪ だってドクターはぁ、天才なんですものぉ」 「いやいや、君達だって中々だったよ。年を忘れて楽しんでしまった」 そう言って子ども達に囲まれながら憧れの眼差しを向けられるのは……なんだアレは。 白衣に黒のグラサンをかけた青髪の男? それにその隣には秘書っぽいスーツを来た二人の女……見るからに怪しい。 「みんな、おじさんに付き合ってくれてありがとう。おかげでルールはばっちりだ。なぁ、ウーノ」 「えぇ。本当に感謝します。それではドクター、そろそろ順番ですので」 「そうか。ではみんな、悪いがおじさん達もあれを楽しんでくるよ」 『はーい』 それで囲んでいた子ども達が道を開け、秘書の一人とドクターと呼ばれた男が輪の中から出る。 そこにちょうどなぜかホクホク顔で袋を持った八神とオルコットが通りがかって……二人は咄嗟に足を止めた。 「あ、どうぞ」 「すまないね。これで」 二人は道を譲った八神に礼を言って……固まった。それから八神に顔を近づける。 「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」 「……あなたは」 「嘘っ! サンプ……げほげほっ!」 突然声をあげた三人を見て、私達や八神だけでなく子ども達までが驚いてそちらを見た。 「あの、僕がなにか」 「い、いや……なんでもない。なんというかその、知っている子に似ていてね。すまんすまん」 「それだけ、ですので。あの、お気になさらずに」 だが動揺は見て取れるので、私達もそうだし八神とオルコットも疑いの視線を向けてしまう。 それでも二人があの画面の方に近づこうとしたところ……突然男が足を止めた。 「そうだ」 そのまま立ち去るかと思ったらあの怪しい男は足を止め、素早く踵を返し八神へと近づいた。 「君もバトスピをやるのか?」 「えぇ、まぁ。始めたばっかりですけど」 「そうかそうか。では」 男はなぜかオーバーリアクションにも両手を広げてから、八神を見て笑った。目は見えないが、口元の動きだけはしっかりと見えた。 「どうだろう、今から私とあそこでバトルしてみないか」 『――えぇっ!』 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ 本来はウーノとやるつもりだったが、思いつきで予定変更だ。ただ彼はデッキを組み直すつもりだったらしい。 最初は断られたのだが、ウーノと彼には無理を言って相手をしてもらう事にした。なお、デッキは早急に調整中だ。 彼の中では既にイメージがあるらしく、もうすぐ終わりそうな感じだ。ただ私は、それを遠目で見ている。 そこは単純に彼のデッキの中身をのぞき見してはいけないというのがある。 あともう一つは、うちの娘二人に壁際に追い詰められて正座しているせいだ。 ”ドクター、どういうつもりですかぁっ!? よりにもよってサンプルHー1と紙切れ遊びなんてっ!” ”彼から私達の情報がフェイトお嬢様や局に伝われば、問題になります。……もちろん変装もしていますが” そうだな。そのために君も眼鏡をかけているし、クアットロも髪を下ろしているんだ。 言いたい事は分かる。念話だが相当に怒ってるのも分かる。だが落ち着いて欲しいと私は思う。 ”と、とにかく落ち着け。これは……必要な事だ” ”どこがどう必要なんですかぁ? ……あ、あの子どもをさらって実験台にしちゃうとかぁ。 他のガキンチョ共も専用機持ちですしぃ、そういう事なら納得ですぅ” ”そんな事はしない。クアットロ、今の我々の現状は以前とは大きく違っているんだぞ? そんな危険は犯せない。今彼に手を出せば、間違いなく局は我々を疑って大捜索に取りかかる” ”それ以前に戦闘要員であるトーレ達を置いてきている時点で彼には勝てない。 あなただって古き鉄が既存の魔導師のラインからどれだけ外れているかは分かるでしょう?” クアットロが苦々しい顔をするのは、まだこの状況で管理局打破などと考えているせいだろう。 そこについては改めて説得するとして……私は横目で彼の方を見る。 あの満足そうな顔から想像するに、もう終わりらしい。デッキを組み直し初めてたった5分で完成とは、また手早い。 ”ならこうやって接触を持つのもアウトのはずですが” ”そうでもないさ。……噂の古き鉄と本気の勝負が出来るんだ。こんな機会を逃す手はあるまい” そこでウーノとクアットロは私を見下ろしながら、大きくため息を吐く。 ”ドクター、いつもの欲望病ですか” ”そんなところだ。というか……今後の予定を考えれば、いずれ接触するのは決定だったろうが。なぜそれで動揺する必要がある” ”それは……確かにぃ。ならいいですけどぉ、あんな虫けらブチッと潰しちゃってくださいねぇ? 無限の欲望がただの子どもに負けるなんてぇ、ありえませんからぁ” ”それが出来ればいいのだがな。まぁ頑張ってくるさ” ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ 「……うし、これでOK」 スリーブにもしっかり入れたNEWデッキを蒼のブレイクハウト製デッキケースに収めて、準備完了。 いやぁ、店員さんと話してる間にデッキイメージ固めてたおかげで、意外と早く出来たなぁ。僕はそのまま席から立ち上がる。 「ヤスフミ、あの人って知り合い?」 「いや、知り合いにあんな怪しい格好した人は居ないはずなんだけど」 ただそうしている間にも、みんな揃ってあの不審者達をじーっと見ていた。でもみんな、見過ぎだから。逆にみんなが怪しいって。 「前にぶちのめした犯罪者や悪いデジモンでも、あそこまでのはないって」 「だが一応気をつけた方がいいな。向こうはお前の事を知っている様子だった。 いきなりバトルを申し込んで来たのにも、なにか理由があるはずだ」 「そうする。てゆうかそこは心配ないよ。……アルト」 というわけで、胸元で待機状態になってるアルトに一つ質問。 ≪聞き耳はバッチリ立てていましたよ≫ 「おぉ、さすがー。それで結果は?」 ≪全く聴こえませんでした。でも逆にそれがおかしいんですよ。なのに話進めちゃってる様子なんですから≫ ……念話の類か? 考え過ぎかも知れないけど、注意はほんとにしておこうっと。 それで僕は横で心配そうな顔してるセシリアの頭を左手で撫でてあげる。セシリアはそれで安心したのか、少しだけ表情を緩めた。 「まぁいいや。それじゃあサクッと勝ってくるわ」 「八神……手札事故らないようにな」 「初手でなにが来ても動揺だけはするな。いつも通りでいいんだ」 「織斑一夏もラウラもそういう不吉な事言わないでくれますっ!? あとその優しい顔もやめてっ!」 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ 八神はモニター前の広いステージ上に移動。あの男もほぼ同じタイミングでそこに上がった。 二人が立った場所はイベント用のスペースでもあるらしく、私達が居るプレイスペースとは二段ほど違う高さになっている。 「えっと……ホントにいいんですか? 順番譲ってもらっちゃって」 「えぇ。ドクターがそれを望んでいますし」 「いや、ドクターって」 「私は実は医者でね」 そう言って男は笑いつつ、左手でサングラスを正す。 「まぁ病院勤務などではなく、研究畑の方なんだが……今日は噂のバトルフィールドを体感しに来たんだ」 「あ、それって」 「私と同じ」 「ただまぁ、ウーノとは練習のために何度もやっているしね。 どうせなら初めての相手とやってみたかったんだよ。 ……私も初心者なので色々迷惑をかけると思うが、よろしく頼む」 そう言ってあの明らかに怪しい男は八神の方へ向き直り、礼儀正しく頭を下げてきた。 どうやら外見はともかく、礼儀作法はキチンとしているらしい。……私も見習おう。 「いえいえ。僕の方こそよろしくお願いします」 『はい、それじゃあ準備はいいわねー』 八神がそれに同じく礼を返したところで、ここの店員と思しき女性の声が響いた。 『例のセリフをどうぞー』 「「――ゲートオープンッ! 界放っ!」」 二人揃ってそのワードを呟いた事で、二人の足場から虹色の光が立ち昇り一気に姿が消える。 そして二人の姿は、画面の中に広がる近未来的なフィールドの中に出現した。二人の姿はほぼ同じ。 ノースリーブの赤のブレストアーマーに黒を貴重としたゆったり目のスーツと白い手甲と具足を装備。 手甲の手首側には青く大きな宝玉が埋め込まれ……いや、宝玉はそれだけじゃないか。 ブレストアーマーの少年に、五つの小さな青い宝石が入っているのが分かる。おそらくあれがライフだ。 二人は円形で窪地状のフィールドを挟むように、プレイ用の台座に立っている。だが……八神はどうしたんだ? 八神のアーマーはよく見ると赤ではなかった。それは疾風古鉄と同じ蒼色。おかげで若干ライフが見難いときてる。 まぁそれ以外は普通か。まず透明なアクリル板のようなプレイ用の台座の右上にはデッキとやらが置かれている。 その下がトラッシュであり、トラッシュの下がターン中に使用したコアを置く場所。 そこからプレイの際にスピリットやネクサスを置くゾーンを挟んで左側に、ライフを示す五つのコアが置かれた。 そのコアの下にはリザーブと書かれたゾーン。そこにも四つコアが現れる。ゲーム開始当初のコア数はあのように決まっているそうだ。 それがターンを重ねる毎に一つずつ増え、ライフでダメージを受ければライフもコアとして扱われる。 カードを使用してコストを支払った場合には、トラッシュの下に……あそこもトラッシュだったか? 初心者なのでまだちゃんと覚えていないな。まぁそこは一夏に確認しつつ見ていけばいいだろう。 「だが一夏」 「なんだ、箒」 「あのセリフは言わないとダメなのか?」 「……ダメだ。アニメではあれだからな」 「アニメだからあれなのかっ!?」 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ 「――うお、これ凄いしっ!」 どう少なく見積もっても200メートル以上はありそうなフィールドに、直立プレイも余裕なプレイ用の台座。 もちろん右横には持ち手もある。これは『衝撃』に耐えるために絶対に必要なのよ。 それでコアも自動的に出てきたし、これ凄い技術だなぁ。マジどうやって作ったんだろ。 とにかくまずは初手だよ。僕とあのドクターとやらはそれぞれデッキの上から四枚カードを引く。 バトルスピリッツではゲーム開始当初は『ライフ五個・リザーブのコア四つ・手札四枚』と決まっているんだ。なのでここは絶対。 「凄いものだな。もうちょっとバーチャル的なものを考えていたんだが」 「ですよねー。なんか風みたいなのも感じるし」 「まぁ感動は戦いながらやるとして……先攻は譲ろう。無理を聞いてくれたせめてものお詫びだ」 「ありがとうございます」 とは言え先攻は色々省略されてしまうところもあるから、完全有利ってわけじゃない。まぁそれでも勝つけどさ。 それで手札の中身は……あはははは。やっぱりこれか。まぁ分かってはいたわ。 「それじゃあ行きます。僕のターン」 (Bonus Track08へ続く) あとがき 恭文「というわけでもうすぐFate/Zero一期もおしまいですね。そんな中で始まった……実はとまと初な直接対決です」 フェイト「そう言えばマダマとヤスフミが直接っていうのは今までなかったしね」 恭文「でしょ? というわけで蒼凪恭文と」 フェイト「フェイト・T・蒼凪です。それで今回は冒頭から一つお返事です。これは急いだ方がよさそうだしね」 ※御剣澄和です。 遊戯王は無印以来GX辺りからはキャラクターはある程度は知ってはいましたがゲーム(GBAまでは経験有り)やアニメは殆ど手をつけていなく シンクロ召喚やらチューナーやら魔力カウンターやらシグナーやらさっぱりです。 ですが最近懐かしくなり、PSPで5・6年振りの遊戯王をプレイしようと思ったのですが殆ど初心者同然となっている僕ですがTF6でも大丈夫でしょうか? TF1(GX編)かTF4(5D's編)からプレイした方が良いのでしょうか。(中のストーリー的に) ご意見宜しくお願いします。 恭文「はい、というわけで御剣様いつもありがとうございます。結論から言えば、TF1とかはやらなくていいです。TF6まででOKです。 TF6だと、9月段階のカードがほとんど入っていますし現行ルールで遊ぶ練習には持って来いです。 ストーリー? その辺りはアニメ見るなりWikiなりでOKです。TFはデュエルシミュとしての役割が大きかったり」 フェイト「確かに……そうだよね。お金もソフト代以外はかからないし」 恭文「そこ大事だよね」 (節約は大事なのだ。そしてCPUでも相手が居るのは良い事なのだ) 恭文「というわけで今回のお話に戻ろうか。今回はバトスピ……でもね、まぁその」 フェイト「なにかな」 恭文「バトル作るのが凄い大変っ!」 (実は次回は既に書き上がってたり……てゆうか、最後まで通しで書いたら余裕で次々回に飛び込んだ) 恭文「まぁ自分がバトルの流れとか読み合いとかコアの使い方とか勉強するつもりで作者は書いたそうなのよ。 そうしたら……使ったコアの数とかトラッシュやリザーブに移動した数とかスピリットやネクサスにいくつ乗ってるとかを計算しつつやって」 フェイト「結果小説として分かるようにってしたらもの凄く大変なんだね」 恭文「うん。結構コアの移動とかが多いからなぁ。普通にやってる分には大丈夫だったんだけど……あ、そう言えば一つ疑問が」 フェイト「なに?」 恭文「あのね、こういうシチュだとどうしたものかなぁと」 キャンサード・レベル2で攻撃され、ライフが減る ↓ キャンサードのレベル2効果で、ライフが更にひとつ削られる。 フェイト「あ、12宮Xレアの話だね」 恭文「そうそう。でもここに」 キャンサード・レベル2で攻撃され、ライフが減る ↓ バースト発動っ! ジーク・ヤマト・フリード登場っ! ↓ キャンサード、ブレイヴを残し破壊っ! ↓ キャンサードのレベル2効果でライフがひとつ削られ……あれ、キャンサード居ないからもしかしてなし? 恭文「この場合はどうしたものかなと」 フェイト「でもキャンサードが居なくなったなら追加ダメージはないんじゃ」 恭文「でもキャンサードが居る時に受けた攻撃だし……しかもネットやWikiで調べてもそれっぽいの載ってなくてさぁ。 もし知ってる人が居たら教えてもらえるとありがたいです。それが無理なら……やっぱり問い合わせておこうっと。土日休みだから月曜日に」 フェイト「でもヤスフミ、それでバンダイの人も『裁定中』とか言ったらどうする?」 恭文「……どうしようか」 (カードゲームの裁定って、難しいよね。実際Wiki見ててもよく分からない事とかあるし。 本日のED:GACKT『Graffiti』) 一夏「でも八神、ぶっつけ本番か。いつぞやのあれを思い出すな」 セシリア「最初の白式と疾風古鉄ですわね。……そう言えばリンさん、ショウタロウ達は」 鈴「一緒に居るわよ? それでのんきに観戦ムードだし」 ショウタロウ「シオン、この勝負どうなると思う?」 シオン「お兄様が手札事故さえしなければなんとかなる……と言いたいところですが、予測がつきませんね。 相手のやり口やデッキ内容が分かるのならともかく、そうではありませんから。しかもお兄様もデッキを組み直した直後」 ショウタロウ「やっぱそうか。……出来れば長引いて欲しいがな。これで手札事故で瞬殺とかなったら、目も当てられない」 (おしまい) [*前へ][次へ#] [戻る] |