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小説(魔法少女リリカルなのは:二次小説)
幕間そのいち 『男の子には、くだらないと思えても譲れない意地がある』:2



「ほらヤスフミっ! これで終わりなのっ!?」

「そう思うなら手加減してほしいんですけどっ!?」





襲い来る戦斧を、アルトを打ち下ろす形で弾く。戦斧と、鉄刀が交差し、火花を散らす。すると・・・フェイトの姿が消えた。

後ろに感じた違和感を頼りに、体を回転させるように斬り付ける。



そこに感じたのは、確かな手応え。・・・フェイトがバルディッシュの柄でそれを受け止めていた。





「そんなことしても意味なんてないよ。・・・ねぇ、今からでも魔導師になるの、止める気ないかな」

「ないっ!!」





柄で、アルトの刃を受け止めながら、フェイトが話し掛けてくる。結構、余裕綽々って感じで。



くそ、やっぱ速いし強いっ! こっちも移動系スキルを使う?

・・・いや、ダメだ。ただ対抗するだけじゃ、勝てない。やるんなら、潰す。そのタイミングを見極めないと。



それに、クロノさんから教えてもらった術の数々は、大きなアドバンテージになる。フェイトには、次の模擬戦の時まで教えるなって言われてるし。

一発使えば、他のもバレる可能性が高いけど・・・それでも充分すぎるくらいに威力がある。いけるはずだ。



フェイトが、バルディッシュを前に押すようにして、アルトを弾く。そして距離を取ると、自分の周囲に魔力スフィアを生成。





≪Plasma Lancer≫

「ファイ・・・」





・・・そこっ!!



その瞬間、僕の身体はフェイトへと向かった。フライヤー・フィンを羽ばたかせながら、全速力で。



そして、左手をフェイトに向ける。



もち、攻撃のために・・・。その瞬間、フェイトがランサーをその場に残して消えた。





「はぁぁぁぁぁっ!!」





後ろから殺気。そして僕はそれに構う事無く撃ち出す。





≪Blast Lancer≫





瞬間、爆発音が辺りに響く。



そう、僕の『背中』から発射された一発の魔法が、『なにか』に命中した証っ! うっしゃ、読み勝ちっ!!



僕は、振り返ることなく、速度を上げて前へ進む。

そして、向けた左手に魔力スフィアを生成。手首と、スフィアを包むように生まれる環状魔法陣。

これらは、別々の補助効果を持っている。手首は『分散』。そして、スフィアは『加速』である。

そうしている間に、僕目掛けて放たれたプラズマランサー目掛けて、僕も放つっ!!





「クレイモアっ!!」





手から放たれるのは、魔力の散弾。それによって、僕に向けて放たれた雷の槍は、それらに貫かれ、全て撃墜。



クレイモア。実際にある兵器の総称。これは、それを参考にして組んだ魔法だ。

砲丸ほどの大きさの魔力スフィアを、パチンコ球サイズの魔力弾へと瞬間的に分散させて、一定範囲に掃射する技。

まぁ、近接戦闘用の射撃魔法だけど、火力は充分だ。弾丸自体も、そこそこな圧縮率で構成されてるしね。

攻撃のみならず、今みたいに、相手の射撃魔法の対処にも有効利用出来るので、僕が好んで使う魔法の一つになっている。



そして、僕は振り返る。そして、アルトで受け止める。金色の鎌を。振るうのは、当然フェイト。

・・・ちっ! ノーダメかっ!! さすがにいい反応してるしっ!!



今フェイトが振るっているのは、バルディッシュの形状変換、ハーケンフォームだ。

電撃属性を持ちあせた圧縮魔力を、先端に集めることで魔力の鎌を形成する。当然、切れ味は推して知るべし。

受け止めたところから、電撃が拡散していく。というか、このままアルトごと斬られそうなプレッシャーがある。





「・・・随分と危ないことするんだね。ちょっとヒヤっとしたよ」

「余裕綽々のくせに何を言いますかっ!!」





鎌を・・・バルディッシュのハーケンフォームを弾く。そして、一歩踏み込んで・・・袈裟切り。



ま、避けられたけど。





「つーかっ! 魔法ってのに、手から撃ったり、正面向いて撃つなんてルールはないでしょうがっ!!」





そう、フェイトの攻撃を防ぐために、後方に発生した殺気に向けて魔法を撃った。

フェイトの長所は、その機動性。なにものも追いつけない縦横無尽なスピードファイター。それがフェイトの戦闘スタイルだ。

つか、僕が攻撃しようとしたら、回避も込みで絶対にああ来ると思ったし。近接攻撃大好き過ぎにも程があるでしょ。





「・・・やっぱり、ヤスフミの魔法の使い方は面白いね。でもっ!!」





フェイトが、右からバルディッシュを振るう。すると、リング状の円輪が、こちらへと襲い来る。色は金色。

そう、魔力で構成された鎌の刃の部分を、発射したのだ。



僕はそれに真っ直ぐに突っ込んで、アルトを上段から打ち下ろす。それによって、金色の輪刃は、真っ二つになり、爆散した。



そして、二、三歩ほどの距離を後退。その直後、バルディッシュが打ち込まれた。鎌は、再びその姿を取り戻していた。

ちょうど、僕が先ほど居た位置目掛けて。真上からフェイトが突撃したきたのだ。



そこを狙って、下がった分踏み込んで、左からアルトを打ち込む。だけど、避けられた。



というか、すっごい遠くに居るしっ!!



フェイトの体が金色に包まれたかと思うと、一瞬で500メートルほど距離を取られた。

つか、ソニックムーブか。だけど、不意打ちじゃなくてああいう形で使ったってことは・・・。





「プラズマ・・・」





フェイトの左手に、魔力が集まる。バルディッシュから、何発かカートリッジがロードされる。

カートリッジとは、いわゆるブースト機構。弾丸に詰め込んだ魔力を使用・・・ロードすることで、術の威力を高めることが出来るのだ。



そして、フェイトの手首には環状魔法陣。足元と正面には、金色のミッドチルダ式の魔法陣。

あの色はフェイトの魔力光。フェイトの髪と同じ色の光。そして、あの体制から打ち出されるのは・・・。



あー、クソっ! やっぱりかっ!! ・・・手札、切るか。





「アルトっ!!」





ジガンスクードから、カートリッジが三発消費される。アルトの指示だ。

僕も、左手に環状魔法陣。まぁ、足元と正面にはなにも発生しないけど。



カートリッジ分の魔力と、僕の魔力が交じり合いながら、フェイトへと向けた左手へと集束していく。青い力を秘めた砲弾へと。

これはクロノさんから教わって、必死に覚えた砲撃魔法。



僕は、魔力量自体は実に平均的。それで、なのはのディバインバスターのように、使用する魔力量が威力に直結するような砲撃魔法は撃てない。

そこでクロノさんと一緒に組んだのがこの魔法だ。



この魔法は、魔力量=威力じゃない。直結するのは、もっと別の部分。これなら、僕でも使える。



フェイトに向けた左手に集まるのは、青い魔力。ただし・・・普通の魔力じゃない。この魔法に使うのは、凍結・冷却属性。

簡単に言ってしまえば、温度を下げたり、物を凍らせたりする魔力で構築されている。

魔力変換、魔力を、電撃や炎熱と言った、自然エネルギーへと変換する技能。

覚えるの、少し大変だったけどね。でもこれなら、魔力量頼みにはならない。



なぜなら、変換された魔力・・・この場合は、凍結属性になるけど、それ自体に高い攻撃力があるからだ。

足りない威力と魔力量の補填には、充分すぎるくらいの効力があるっ!!

そう、冷たき息吹は立ちはだかるものを凍りつかせ、その動きを止める。それこそが、氷結系魔法の真髄。・・・いや、今回は関係ないけど。



そして、カートリッジ分の魔力を足したのは、デフォルトの威力じゃあ、カートリッジを使用したフェイトの砲撃に対処できないから。

でも、これなら違う。対等以上にはなれるはずっ!!





「スマッシャァァァァァァァッ!!」





放たれたフェイトの雷の砲撃と。





≪Icicle Cannon≫

「ファイアっ!!」





フェイトに向けられた僕の左の手の平から放たれた、蒼い凍れる温度を秘めた砲撃がぶつかり合い・・・爆散した。



僕の体を、その衝撃と爆風が襲う。その爆風の温度が、若干低いのは気のせいじゃない。バリアジャケットがあるとは言え、結構キツイなコレ。





・・・やばっ!!





僕は、右へと飛んだ。理屈はない。ただ、たまらなく嫌な予感がした。その場に居てはいけないと、本能が告げた。

そして、僕の今まで居た位置目掛けて、金色の剣が打ち込まれた。



え? ザンバーっ!? つか、あのまま居たら・・・・怖っ!!



そして、その刃を、視線で根本まで辿っていくと、フェイトが居た。そして、バルディッシュがモードチェンジでザンバ―になってた。



そして、こちらに突っ込んできたフェイトが、ザンバーを袈裟切りに打ち込んで来る。あー、ひょっとしてリミットゲージ満杯? 結構やばいかこれ?





≪なに言ってるんですか。やばかろうがなんだろうが、負けるつもりはないでしょ?≫

「もちろんっ! 意地があるのよ、男の子にはねっ!!」










・・・クロノさんは、さっきの砲撃も含めて、僕の短所を埋めるために必死で教えてくれたのだ。

そして、自分のスタンドアロン型魔導師としての技能を叩き込んでくれた。スピードと効率重視な戦い方を。

それだけじゃなくて、相性はいいはずだからと、使っていた魔法も、惜しげも無く教えてくれた。





なんつうか・・・三人目の師匠だよね。試しにそう呼んだら、顔を真っ赤にしてゲンコツしてきたけど。





・・・クロノ師匠、感謝します。おかげでなんとか戦えてます。





荒くなっていた息を整える。と言っても、一回だけ息を吸って吐いてをしただけなんだけど。

そうして気を入れ直してから、アルトを両手で構えて・・・真正面から、ザンバーに向かって打ち込むっ!!





雷と、鉄の刀身がぶつかりあい、辺りに火花を撒き散らす。・・・くそ、やっぱ重い。つか、完全に本気じゃないのさっ!!










「当たり前だよ。さっきも言ったけど、加減なんてしても・・・意味がないよ。
というかヤスフミ、いつの間にあんなの使えるようになったの?」

「クロノさんから教わったの。僕はどういうわけか単独行動が多くなるんだから、これくらいは出来るようになっとけってね」

「・・・そっか。仲良しさんだし、お兄ちゃんだもんね」





そこまで言うと、互いに後ろに飛んで、距離を取る。そして・・・再び、袈裟切りに打ち込むっ!



そして、交差して、互いに振り向きながら、空中で何度も・・・何度も・・・刃をぶつけ合う。



つか、まずい。



僕はさっきから、フェイトの攻撃に対する対処に追われっぱなしで、こちらからは、それほど仕掛けてはいない。つまり、圧されている。

このままじゃ、かなりマズイ。フェイトはまだ全力じゃない。真・ソニックやらを出されたら、そこで終る。



そして、例えアクセルフィンを使ったとしてもそれは変わらない。

フェイトの真・ソニックの、本気のスピードについていけるだけの機動性が、僕には無いのだ。もし出されたら、一方的にフルボッコですよ。





「・・・でも、この仕事は危険だし、危ない目になんてあってほしくないよ」

「今までより危険な目に遭うなんざそうそうないよっ!!」



いや、あっても困るし。



「つーか、試験中にこんな私語をバンバンしちゃまずいでしょうが試験官っ!!」





フェイトと、剣を打ち合わせていく。その度に火花が散り、青い軌跡と金色の奇跡が交差する。



くそ、通常モードじゃギリギリだ。僕の剣筋が、フェイトよりも若干重めだから張り合えるだけで。

なら、ハイブレード・・・だめだ。取り回しに難がある。

通常モードで攻撃スピードに対応するのがギリギリなのに、あんなでかいの使ってついていけるわけがない。



でも、なんとかしないと・・・負ける。マズイ、考えろ・・・考えろっ!!





「大丈夫だよ。向こうには全部聞こえてるし」

「余計まずいでしょうがぁぁぁぁっ!!」

≪全くです≫










そんな会話をしながら、ザンバーモードなバルディッシュと鍔迫り合いなどしているのだけど・・・やっぱ強いわ。



魔力量、身体能力、実戦経験、先天資質、それに戦闘に関してのセンス。・・・今の僕より全てにおいて上ときてる。





・・・アクセルでの加速なら負けてないけど、それはあくまでも直進限定での話。

さっきも言ったけど、僕じゃあフェイトの柔軟な機動性そのものについていけないのだから。





攻撃が当たらなきゃ意味が無い。そして、向こうの攻撃は僕に当たる。それでは勝負にならない。





でも、一撃のダメージ量なら、装甲面の問題で間違いなくこちらが上。クリーンヒットすれば、確実に墜とせる。

なら・・・それを当てることを考えるべきか。





当てるためにはどうすればいい? 簡単だ。相手の動きが止まったところ。もしくは、止めたところを攻撃すればいい。

それに、これは模擬戦。足を確実に止めて、刃を首に突きつけるだけでも勝利になる。・・・完全勝利ってわけじゃないのが辛いけどね。





・・・必中欲しいわっ!! なんで集中しか覚えてないんだよ僕っ!?





つか、フェイトの負けず嫌いな性格を考えるなら・・・。ここから1アクション起こした途端に、真・ソニックが飛び出す可能性が高い。

というか、リミットゲージ貯まってると思う。あとはタイミングを見計らって特殊コマンド入れれば、発動だ。

そんなことされたら、そこで勝負が決まる。つまり、次に仕掛ける時に決めないといけない。





要点だけ言うと、『フェイトが本気を出す前に倒す』ということである。つか、現状でコレだよ? いったいどうすればそんなことが・・・。










「・・・わかった。なら、約束して」

「なにをっ!?」

「この勝負に私が勝ったら、魔導師になるのを止めて、平和に暮らすって。
学校にもちゃんと通って、友達を作って、そんな時間を過ごしていくって・・・」

「・・・バカじゃないの」





その一言に、フェイトの表情は一変。険しいものへと変わる。そう、何かを怒っているかのように・・・。





「バカってなにっ!? 私、すっごく心配して・・・」

「バカだからバカって言ったの。何度もその話したのに、また蒸し返すつもり?」





自然と、アルトを握る手に力が篭る。・・・フェイトには事件が解決してから、魔法を使う事を、魔導師であることをやめないかと言われていた。

まぁ・・・心配してのことだとは思うんだけどね。現に、僕は何度も死にかけてるし。



だけど・・・・僕はそれに頷かなかった。魔導師になってやりたいこと、守りたいものがあるから。



フェイトの言う『平和で普通の生活』の中じゃあそれは出来ない。僕は、嫌だ。

守りたい、壊したいって思うものに手が届かないのは、何も出来ないのは、絶対に。



それに、フェイトやりインが危ない目に遭ってるかもしれないのに、自分だけのうのうと生きる? ・・・出来るわけないでしょうがっ!!



そこまで考えて、考えを改める。いいじゃない、約束してあげようじゃないの。ただし・・・。





「フェイトも何かを賭けて」

「賭けて? ・・・違うよヤスフミ、私は賭けなんて」

「賭けでしょうがっ!!」





フェイトの言葉を、怒号で遮る。そう、これは賭けだ。勝負の勝ち負けで僕の未来を賭けている。

この勝負を・・・いや、ケンカを売ってきたのはフェイトだ。だから僕はそれに乗る事にした。





「今のままじゃ、僕には何の旨みもないじゃない。僕が勝ったら魔導師は続けていいっていうつもりなのかも知れないけど・・・そんなんじゃ足りない。
賭けの代価にならないって言ってるの。それじゃあフェイトの都合を、僕に押し付けてるのと変わらないでしょうが」

「・・・なら、どうすればいいの」

「僕が魔導師を辞めるのと同じくらいの代価をフェイトも賭けて。そうすりゃ、いう事聞いてもいいよ。
そうだなぁ・・・。フェイトが負けたら、僕と婚約してもらおうかっ!!」

「わかった、いいよ。・・・えぇぇぇっ!?」



それは口先から出た適当な言葉。だけど・・・そうだ、らしくなかった。

持ってる技能じゃ足りない。力でも足りない。だったら・・・賭けるしかないんだ。僕のありったけで、立ちはだかる壁を撃ち貫くしかないんだ。



「どーしたの。まさか、自分は何にも賭ける覚悟がないのに、そんなこと言ってたわけ。まーた、随分と腑抜けてるね。
そんなんで人の心なんて、動かせるわけないでしょうがっ!!」

≪全くですよ。あなたの方が確かに強いでしょうね。だけど、勝つのはマスターです≫




・・・そうだ。戦いは強い方が勝つんじゃない。もしそうだったら、僕はここには居ない。

賭けてやる。僕の悪運も、力も、全部賭けて・・・勝つっ!!





「ま、いいか。これでフェイトも未来を賭けてくれるんだしね。さぁ、婚約してもらうよっ!!」

「そんなのだめだよっ!」





フェイトが、無理矢理ザンバ―を振り回して、僕を吹き飛ばす。足元のフライヤーフィンを羽ばたかせて体制を立て直す。



そして・・・アルトを鞘に納める。



その瞬間、カートリッジが三発消費される。フェイトはこちらに来ている。速度を上げて、どっか顔を赤くして。



適当な奇策を使えば勝てるかもしれない。だけど、それじゃ意味がない。・・・くだらないプライドだよ。

でも、それを通したい時だってあるのさ。分の悪い賭けだね。だけど、嫌いじゃない。



そうだ、今だってそれを楽しんでる。・・・分の悪い賭けは、嫌いじゃないっ!!



刀身に付与するのは、凍結・冷却属性へと変換した魔力。それを、いつもの鉄輝一閃と同じように、薄く、砥ぐようにして圧縮して付与する。

生み出すのは、凍れる全てを斬り裂く冷たき刃。いつもの鉄輝一閃よりも火力が高い、僕の新しい攻撃。

鞘に納めたままのアルトの柄に手をかけて、腰を溜める。足に、飛び出すための力を込める。



正直、これでなんとか出来る確立はかなり少ない。アルトのサポートがあってもそれは変わらない。

でもま、いつものことか。・・・楽しいね。楽しすぎて笑っちゃいそうだ。



そんなことを考えながら、僕はフェイトを見据える。叩き伏せる敵は、雷の大剣をこちらに振りかざそうとしていた。



だから・・・飛び出すっ!!





「氷花・・・」





そのまま、上から打ち込んできたザンバ―と。





「一閃っ!!」





僕が、鞘から抜き放ちつつ、そのままの勢いで抜き放ったアルトが。





「瞬(またたき)っ!!」





空中で、その刃をぶつけあった。



一瞬の重い手ごたえのあと、僕はアルトを振りぬく。・・・フェイトはっ!?



横目で見ると・・・ザンバ―が、僕の斬撃・・・居合に弾かれてた。だけど、手から離してない。



僕はというと、フェイトの眼前で、振りぬいた勢いのまま身体を時計回りに回転させ・・・無防備な半身を晒していた。



そこに、フェイトがザンバ―を握る手に力を込めて、再び打ち込もうとしていた。死角を取る必要なんてない。だって、それがもう目の前にあるから。



そうして、雷の刃は、僕へと・・・振り下ろされた。




















◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



ヤスフミ・・・。あんな速い斬撃が使えたんだね。知らなかったわけじゃない。だけど、私が知っているのよりずっと速い。びっくりした。





そういえば、あの人も居合が得意だった。・・・でも、示現流って居合使ったかな? まぁ、一撃必殺だからいいのか。





肉体強化もかけて、全力で打ち込んだザンバ―を、通常モードで弾き返すんだもん。すごいよ。





本当に強くなったと思う。だけど・・・やっぱり、戦って欲しくない。

何度も危ない目にあって、死にかけて。それで、ようやく平和に戻れた。だから、そのままで居て欲しい。

私が、守る。ヤスフミが戦う必要、ないように頑張るから。だから・・・ごめん。





倒すね。それで、終わりにしよう? もう、戦わなくても・・・今の時間は、夢に戻ったりなんてしないから。





そう思いながら、私はバルディッシュを握る手に、再び力を込める。そして・・・ヤスフミに、打ち込む。





目の前のヤスフミは、私に対して左半身を無防備に晒している。わざわざ死角に潜り込む必要なんてない。これで、決まる。





そして、ザンバ―の刃がヤスフミの身体にどんどん迫っていく。





もう、自分でも止められない。このまま、斬るだけ。そう思っていた。だけど・・・そうならなかった。





でも、ザンバ―を振るう手が、止まった。





私が自分で止めたんじゃない。身体を襲う一瞬の衝撃のあと、手が止まった。いや、手だけじゃない。

身体の全てが、その動きを止めた。制限された。





そして、私の身体をきつく縛る感触が伝わってくる。





身体を見ると・・・青い縄が、私の身体を締め付けていた。足元には、青いベルカ式の三角形の魔法陣。

何時の間にか現れた魔法陣から、縄が何本も現れて、一瞬で私の身体を縛り付けていた。





私がそれに驚いていると、金属がぶつかりあう鈍い音が響いた。





それにハッとするようにして手元を見ると・・・バルディッシュ・ザンバ―の鍔の部分に、ヤスフミがアルトアイゼンを打ち込んでいた。

何時の間にか、刃を返して、峰で。





そう、ヤスフミは身体をそのまま独楽のように回転させて、私に二連撃を加えていた。

手に、電気を流し込まれたかのような衝撃が伝わる。私は、それに耐え切れずに、バルディッシュを手放した。





空中に投げ出される相棒と、手を支配する痺れに呆然とする私の眼前に・・・切っ先が突きつけられた。




















◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



≪Struggle Bind≫





聞こえたのは、呻くフェイトの声。僕は身体を回転させてるから見えないけど、成功したみたいだ。

そのバインドは・・・フェイトの足元から生まれている。

そう、いつのまにか足元に現れてた、青いベルカ式の魔法陣から、青い縄が生まれて、フェイトを縛っている・・・はず。



視覚に、フェイトの顔が入る。身体も見える。・・・うん、頑張ろう。ほら、帰ってからね。偶数日だし。

そして、その時見たフェイトの表情は、驚愕に満ち溢れたものだった。そりゃ当然。いきなり縛られたんだから。



・・・これだけじゃ、足りないよねっ!!



僕は一人ごちると、バルディッシュの鍔部分に狙いを定める。

魔力付与は、さっきの一撃で解除になってる。だから、そのままの状態のアルトだ。

だけど、問題は無い。身体を回転させながら、アルトを手の中で返す。いわゆる峰打ちな状態。

そしてそのまま・・・左から、横一直線に、バルディッシュへと、アルトの峰を全力で打ち込むっ!!





「砕(くだき)っ!!」





あたりに、金属同士がぶつかりあう音が聞こえる。つか、ちょっと耳障り。

ぶつかり合ったところから、空気が振動するような衝撃が、音に乗って辺りに響く。だけど、それは空気だけじゃない。



そう、バルディッシュを握っていたフェイトの手も・・・同じっ!!



フェイトは苦悶の表情を浮かべると、バルディッシュを手放した。というか、きっと手が痺れてるでしょ。衝撃が伝わるようにしたし。



空中にいたフェイトから手放されたバルディッシュは、当然のようにそのまま地上へと落ちていった。

・・・まぁ、大丈夫でしょ。あとで謝らないといけないけど。



そして、間をおかずに、フェイトに切っ先を突きつける。





「・・・予想通りってどういうことだろうね。ま、絶対そうくると思ったけど」

「あの、ヤスフミ。これ・・・まさかっ!?」

「そうだよ。ストラグルバインド♪ 事前詠唱してたの」

「・・・やられたね。全部このためだったんだ。居合を使ったのも、死角を晒したのも」



とーぜんだ。実力差が有る以上、全部賭けないと僕は勝てない。卑怯な奇策に走るってのも、アウトにしたしね。



「ギリギリだったけどね。つか、真面目にザンバ―の刃が迫ってきた時には、寒気走ったし」

≪フェイトさん、マスターの高速処理能力を舐めてましたね。アレだけ有れば・・・縛れますよ?≫










今、僕が使ったのは、ストラグルバインドという拘束魔法。これもクロノさんから教わった魔法。





この魔法の最大の特徴は、その副次効果にある。





この魔法は、拘束した対象にかかっている強化魔法等を、強制的に無効化する事が出来る。

そして、フェイトがいともたやすくバルディッシュを手放したのには、ここに理由がある。





強化魔法というと、他者からかけられるとか、防御力が上がるとか、そういう特殊な感じがするけど、実のところそうでもない。

例えば、魔導師が常時かけていると言ってもいい身体能力の強化なども、それに入る。





つまり、その手の魔法は、魔導師や騎士にとって、意外と身近なものだ。

それらが、このバインドに縛り上げられた瞬間にキャンセルさせられるのだ。その威力は推して知るべしだろう。





つまり、縛り上げられた時、フェイトはかかっていた全ての魔法効果をキャンセルされて、素の身体能力しかなかった。

そこに、僕が思いっきり強化魔法アリで打ち込んでやったのだ。そりゃ耐えられないって。





でも、、実はこの魔法、その分詠唱時間と射程、拘束力に劣る部分があるのよね。それらは、今の僕には問題にもなかったけど。





詠唱時間は、事前詠唱だったので問題無し。

射程は、今の距離=零距離である。発動に気づかれないかどうかが問題だったけど、瞬時に攻撃してくれてよかったよ。その隙が突けたし。

強度? 相手の息の根止めるなら、10秒持てば余裕だよっ!!










「さてフェイト♪ 降参する? しないなら・・・このまま、斬る」

「・・・降参する。私の・・・負けだね」










これが決着だった。そう、僕は・・・金色の閃光の女神に、勝利したのだ。


















◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



「・・・と、というか・・・恭文君いつのまにあんなの使えるようにっ!? 砲撃魔法とかもそうだけどっ!!」

「クロノ・・・。そうとう教え込んでたみたいね。まさかあそこまで出来るとは思わなかったわ」

「うわ、恭文くん嬉しそうだね・・・。その代わり、フェイトちゃんが少し不満そうだけど」





や、恭文君・・・勝っちゃった。フェイトちゃんに、見事な逆転勝利です。いや、かなりの博打だったけど。



もしも、フェイトちゃんの斬撃がもっと速かったらアウトだった。

フェイトちゃんに距離を取られてもアウトだった。

そして、あの一撃で恭文君の体制が崩れてもアウトだったし・・・。



いつもの事とはいえ、無茶な悪手打ちにも程があるよ。いや、それくらいしないと勝てないんだけど。





「そうね。全くあの子は・・・あれ? レティどうしたのよ」



レティ提督が、汗をダラダラ浮かべている。そして、視線は画面に釘付け・・・。



「なんというか、アレよね・・・」

「レティ、今さらよ。私達も付いていけないときがあるから、気にしちゃダメよ」

「・・・そうするわ。でも、なかなかにやるわね。色んな意味で凄い子よ」










レティ提督がずり落ちかけていた眼鏡を指で直しつつ、関心しながら言った。

・・・うん、それは思った。クロノ君も恭文君も、訓練内容教えてくれなかったんだもん。ビックリしたよ。

砲撃に、バインドに・・・。恭文君、苦手要素を克服するだけで、オールレンジ戦えるようになっちゃったんだもん。すごいよ。





というか・・・あれ、告白だよね? 恭文君、後先考えなかったね。どうするんだろ・・・。










「とにかく・・・結果発表ね。全く、試験官を叩き伏せる受験者なんて、前代未聞よ」

「手間をかけるわね、レティ」










こうして、恭文君の試験は終了した。色々とあったけど・・・結果はどうなるんだろ?





あー、なんだか私までドキドキしてきたよー!!




















◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



こうして、試験は終了した。





今僕が居るのは、フェイトを拘束した真下となる場所。

そうして、今は少しだけ時間が経った。横で、なぜかフェイトがジト目で僕を睨んでくる。





当然、僕とアルトはそれをスルーしている。そんな状況。





だって、フェイトが不満顔だし。僕は、そんなことをしつつ、夕暮れに染まってきている空を見上げる。

そう、変わらなくてもいい。・・・僕が勝って、フェイトが負けた。この事実も変わらない。しかも、実力で。

僕が未来を手にしたのだ。勝利のために全力を尽くすってのは、基本原則でしょうが。





それに・・・その・・・あれですよ。スルーしないと、プロポーズしたって事実に押しつぶされそうなんだよっ!

どうしよう、これからどうすればいいのっ!? 物の弾みとはいえ、どんな顔してフェイトと居ればいいんだよっ!!










≪・・・まぁ、アレですよ。フェイトさんがマスターを信用していないというのはよく理解出来ましたよ≫



アルトがいきなりそんな話をして静寂を破った。つか、本当にいきなりだよ。



「そんなことないっ!」

≪なら、どうして試験中にそんな話をしたのです。マスターはフェイトさんに約束しているはずですよ?
絶対に、あなたやリインさんを、自分が居なくなるというくだらない理由では、決して泣かせないと≫



そう、約束した。泣かせたくないし、悲しませたくないから。

それなら、普通に過ごせばいいんだろうけど・・・嫌なのさ、それは。守りたいもの、出来たから。



≪なのにまたもや魔導師を続けるかどうかの話を持ち出したのは・・・どうしてですか?≫

「それは・・・」

≪お願いしますフェイトさん。マスターを信じてあげてください。あなたに信じられていないという事実は、マスターを傷つけるのですから≫



フェイトは、完全に言葉を無くしていた。いつものアルトとは違う、どこか真剣さを感じさせる喋り口調だったから。

それは、僕も同じ。たった数ヶ月で、ここまで見抜かれているのかと思ってしまうくらいに、アルトは僕を理解してるように感じたから。



≪なにより、マスターにとって、あなたという存在はとても大事なんです。命を賭けてでも、戦いの舞台に立ってでも、あなたを守りたいんです。
・・・マスターは、あなたが大好きで、特別だから、そう思うんですよ? その気持ち、少しだけでいいからわかってあげてください≫





・・・アルト。つか、さりげなく『好き』とか言うなっ! なに勝手にマスター差し置いて愛の告白してるんだよっ!?

いや、さっきそれっぽいことしたけど。





「・・・そうだね。ごめんヤスフミ、私・・・だめだね。ちゃんとヤスフミのこと、分かってなかった。
たくさん話して、ケンカして、それで・・・ようやく決めたのに」



・・・フェイトとこの話をして、ケンカになったこともあった。まぁ、キツイ言い方しちゃったこともある。

もちろん、守りたいからってのもある。だけど・・・やっぱり、自分の中の力を、戦ったことを、その結果を無かったことにするみたいで、嫌だったから。



「あの、そう思ってくれて、すごく嬉しいよ。だって・・・私もヤスフミのこと好きだから」










え、マジっ!?





フェイトが、笑顔で、優しい声でそう言ってきた。というか、言ってくれた。・・・やった。こんなに早く勝利条件確定?

ひょっとして、さっきのは一種の照れ隠し? あれか、ツインテールだったからツンデレになってたのっ!?





やっほーー! ハッピーウェディングだぁぁぁぁぁっ!! 奇跡起きたぜぇぇぇぇぇぇぇぇっ!!










「だって、ヤスフミは大事な友達で」





グサっ!!





「仲間で」





グサグサっ!!





「家族だもの」





グサグサグサっ!!





「私も、ヤスフミと気持ちは・・・同じだよ。特別だし、大事だし、その・・・大好きだから、守りたい。
だから、私が守る。私が戦うって考えてたの。もう、死にかけたりなんて、してほしくなかったから」

≪あの、フェイトさん。そのあたりで・・・≫

「でも、それじゃあ押し付けだった。ヤスフミのこと、全然見てなかった。なんか、本当にダメだね。
ヤスフミのこれから。ヤスフミのしたいと思うこと。勝ち負けなんかで、決めていいことじゃなかったのに・・・」










ゴーンっ!!










フェイトの言葉が、なぜか突き刺さった。そして、なんかデカイもので頭を叩かれたような衝撃が襲ってきた。





・・・うん、分かってた。分かってたよ。僕、ちゃんと分かってた。なのに、涙が止まらないのはどうしてだろう。





というかさ、同じじゃねぇよってツッコんでいいかな。違うからって言っていいかな。

限りなく遠くて近い勘違いになってるからって、言っていいかなっ!? ・・・え、だめ?





よし、それならちょっといぢめてやる。つーか、少しくらいはいいよね?










「別にいいよ。気にしてないから。それに、心配してくれるのは、ありがたいし」



僕は、フェイトの目を見てそう告げた。そして、もう一つの事実を。



「・・・ま、婚約者に昇格したわけだし、こんなことでケンカするなんて馬鹿らしいよね。きっと、優しさも必要だよね」

「そうだね。私、ヤスフミのこ・・・え? こ、婚約者っ!?」

「だって、僕が勝ったんだから約束は守らないと・・・ねぇ♪」

「だ、だめだよっ! そんな、どうしていきなり婚約なんて・・・」

「ねぇ、フェイト」



僕は、フェイトへ顔を近づけると、ニッコリ笑いながらじっと見つめる。・・・どうして怯えてるんだろ? ま、気のせいか。



「フェイトは、賭けに乗ったよね?」

「あれは、違うよっ! そうしないと話を・・・」

「乗った、よね?」

「・・・いや、だからそれはっ!」

「アルト〜♪」

≪はい≫





そうして流れるのは、ある会話。そう、我が相棒は、実にいい仕事をしてくれたのだ。





『フェイトも何かを賭けて』

『賭けて? ・・・違うよヤスフミ、私は賭けなんて』

『賭けでしょうがっ!!』





フェイトの顔が若干引きつってるけど、気にしてはいけない。そう、記録というのは素晴らしいからだ。





『今のままじゃ、僕には何の旨みもないじゃない。僕が勝ったら魔導師は続けていいっていうつもりなのかも知れないけど・・・そんなんじゃ足りない。
賭けの代価にならないって言ってるの。それじゃあフェイトの都合を、僕に押し付けてるのと変わらないでしょうが』

『・・・なら、どうすればいいの』

『僕が魔導師を辞めるのと同じくらいの代価をフェイトも賭けて。そうすりゃ、いう事聞いてもいいよ。
そうだなぁ・・・。フェイトが負けたら、僕と婚約してもらおうかっ!!』

『わかった、いいよ』





そうして、録音内容の放送は、全て終了した。



いや、実に素晴らしいね。うんうん。





「・・・さて、ハラオウン執務官。なにか意義はありますか?」

「あ、ありません・・・。はい、乗りました」

「なら、問題ないよね♪ フェイト、これからよろしくね」

「は・・・って、違うっ! 問題大有りだよっ!! あの、私達は家族だよっ!?」



予想通りの答えを返してきたのは、パニック状態になりかけの執務官さん。なので、もうちょっといぢめることにする♪



「確かに家族だけど、、僕は養子縁組してるわけじゃないし・・・。問題はないと思うんだけどな」

「あの・・・でもっ!」

「それとも、僕じゃ嫌? ・・・そっか、クロノさんみたいに身長高いほうがいいんだよね。そっかそっか。嫌なんだ。嫌いなんだ・・・」

「違うよっ! その、嫌とかじゃないっ!! 嫌いなんて、絶対思ってないからっ!!
身長も・・・高いほうがいいとか、クロノがいいとかじゃないよっ! そうじゃなくて、だから・・・その・・・。えっと、違う、違うのっ!!」





顔を真っ赤にして、パニックに陥るフェイトを見て、非常に楽しい気持ちになっていた。

・・・あぁ、素晴らしい。フェイトいぢめるの楽しいなぁ〜♪

こう、反応が可愛いし面白いから、やりすぎちゃいそうになるのを我慢するのが大変だよ。





≪・・・あの、会話を録音したり、煽った身分でこう言うのもアレなんですけど、それはどうなのですか?≫

「うん。そう思うから、やめとく。・・・フェイトも頭抱えるのやめてくれないかなっ!? さすがにそんなことやらないからっ!!」

『・・・そうね。そんな形で結ばれても、幸せになれないわよ?』





そんな会話をしているところに突然現れた空間モニター、映るのは・・・リンディさんだ。





「えぇ、そう思うんでやめました。つか、フェイトとそうなるなら・・・」





僕は、戸惑いの色が消えないフェイトの顔を真っ直ぐに見て、口にした。

僕の、正直な気持ちを。





「フェイトが、僕のこと男の子として好きって思ってくれなきゃ、ダメかなって思うから。
こんな形は・・・嫌かな? あの、フェイトの気持ち、無視してるし」

「ヤス・・・フミ・・・」

『ということだからフェイト、今すぐ婚約ってことは、ないみたいよ? あ、私はそうなっても反対しないわね』

「母さんっ! あの・・・その・・・うぅ・・・」










まぁ、フェイトは置いておこう。つか、リンディさんも余計なこと言うなっ!!





・・・数年後、この決断を激しく後悔したのは、言うまでもないだろう。かっこつけずに、手段など選ばずに、婚約してればよかったと。

そして、この時はしたり顔なリンディさんでさえ、ポロっとそう口にしたのは、一つの驚愕の事実として、後世に記録された。

そう、僕は・・・ひょっとしたら、アレが最初で最期のチャンスだったのかもしれないと、枕を露で濡らす夜を過ごす事になるのである。










「それで、結果出たんですか?」

『それは私の方から言うわね。初めまして、レティ・ロウランです』





いきなり横から出てきたのは、眼鏡が似合う知的な女性。

あぁ、この人か。リンディさんの親友ですっごいザルで、酒が入った状態で絡んでくると非常に辛いと噂のノンべ提督は。





『・・・リンディ、あとで話があるわ』

『あぁ、そんなこと言わないでよ』



仲いいなぁ。話に聞いていた通りだわ。



『・・・とにかく、結果を伝えます』

「はい」

『・・・まず、儀式魔法は・・・うん、人には向き不向きってあると思うの』



まずそこからっ!?



『それでね、あなたにはあなたのいいところがあるわ。・・・頑張ってね』

「慰められてるっ!? いや、あの、どうして目をそらすんですか?
ハンカチだして眼鏡を外して、震えながら目元を拭くのはやめてくださいよっ!!」



こ、この人ノリがいい人なのか・・・。硬そうな印象だったのに。



『あなたには負けるわ。・・・手口を見るに、なかなかに狡猾ですしね。パートナーデバイス共々』

「いやぁ、それほどでも・・・」

≪そんなに誉められては照れてしまいます≫

『・・・いい性格してるわね』

「はい。性格がいいとよく言われます」

『意味が違うわよそれっ!
とにかく、なのはさんからも少し話を聞いたけど、私の見る限りでも戦闘技能の点では問題なし』

「ホントですかっ!?」

『えぇ』



レティさんが、レポート用紙をパラパラ捲りながら言葉を続ける。というか、なんでそんなに呆れ気味に?



『まぁ、全体的に運というか、勘というか、そういうのに頼ってる部分は多かったけどね。ここは注意点かしら?
と言っても、あなたは若いんだし、経験を積めば自然と改善出来るわよ。優秀なパートナーも一緒なんですしね』

「・・・はい」

『ただ、戦闘時の読みと魔法の使い方は相当レベル。さすがにSランクレベルな先生達に鍛えられただけのことはあるわね
というより・・・試験官をぶっ飛ばした受験者なんて、あなたくらいよ? これじゃあ文句のつけようがないわ』

「・・・そうなんですか?」

≪そうですね。過去のデータではほとんどないです。試験官というのは、当然受験者より能力が上な人間を使いますから≫





アルトの説明に納得。よく考えたらその通りだ。今日のフェイト然りだし。・・・いやぁ、やっぱり照れてしまうわそれは。





『もちろん、試験中にプロポーズみたいな真似をして試験官を動揺させたりした受験者も・・・あなただけよ』

「・・・戦いは、空しい結果しか残さないんですよ」





そう、誰がなんと言おうと、きっと気のせいだと思うことにする。



勝負とは・・・常に非情なのだ。そうしないと、さっきの衝撃で潰されそうだから。





『まぁ、それだけしたたかなら、実戦でも問題はないでしょ。
・・・恭文君、おめでとう』





レティさんはニッコリと優しい笑顔を僕に向けて・・・こう告げた。





『現時点を持って、あなたは空戦A+ランクの嘱託魔導師として認定されました』

「・・・ありがとうございますっ!!」

≪マスター、おめでとうございます≫

「うん、ありがと。アルト」










・・・うっしゃぁぁぁぁぁぁっ!!





こうして、僕は嘱託魔導師として、クロノさんやリンディさん、レティさんからの依頼で仕事をするようになった。



あとは、特別捜査官として動いていたはやてや、その補佐をしていた師匠の手伝いとかね。





とにかく、この日僕は、魔導師としての新しいスタートを・・・切ったのだ。




















◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



「・・・フェイト」

「なにかな?」

「あの、本当にいいの?」



僕の言葉に、フェイトが笑顔を浮かべながら頷く。大丈夫だよと言いながら。

・・・いや、調子こきすぎたかなって不安がありまして。



「というか、エイミィやクロノ、母さんにアルフや、なのはにはやてにヴィータにシグナムに・・・」

「よし、みんなになに言われた?」

「・・・怒られたの。あんな言い方無いって。アルトアイゼンの言うとおりだって。それで、その・・・一日、ヤスフミとデートしてみればって」










そう、今日はフェイトとデートなのだ。というか、フェイトとは初デート。

・・・なーんで、はやてやらシャマルさんとはするのに、本命とは初なんだろう。おかしい。

いや、フェイトが執務官試験の追い込みや、研修で留守がちだったからだけどさ。僕は逆に家にいることが多かったし。





とにかく、試験終了から二週間ほど経った。





今日は、僕もフェイトもオフ。昨日の夜、いきなりフェイトから誘われたのだ。・・・というか、ちょっとまった。





今の発言の中で、色々と気になる要素が出てきた。そこを問い詰めていこう。










「・・・ねぇ、フェイト」

「うん」

「それって、みんなに言われたからデートするの? ・・・それ、馬鹿にしてるよ。そんなのだったら、嫌だ」

「あの、違う。違うよ? そうじゃないからっ!!」

「じゃあ、どうして?」



ちょっとだけ、言葉がキツくなってるのが分かる。だけど、そんな命令でデートの相手されても、僕としては非常に辛い。つか、嫌だ。

だって、フェイトからしたら、そういうのが無いとデートする相手として見なされないってことだから。



「あの、さすがに婚約者っていうのは・・・無理なの。私もヤスフミも、まだ子どもだし、他に好きな相手が出来るかもしれないし・・・」

「・・・そうだね」



ちょこっとだけ、突き刺さるものがあった。だって、フェイトにも・・・そういう相手が出来る可能性があるんだから。

考えたくなかったけど、そうだよね。その可能性・・・あるよね。



「でも、私ヤスフミに嫌な思いさせちゃったし、どうしたら取り返せるかなってアレコレ考えて、結局わかんなくて・・・。
それで、みんなに相談したの」

「それで、デート?」

「・・・うん。一日だけでもいいから、そういう気持ちで一緒に居て、話したりすれば大丈夫だからって。
あの、みんなに言われたからとかじゃないの。私が、そうしたいなって最終的に決めて、それで・・・」



不安げに僕を見て、アタフタしながら話すフェイト。それを見てたら、毒気が抜かれた。

僕はため息混じりで、フェイトの手を握る。・・・ハグはしたこと、何回かあるのに、これくらいで心臓がドキドキすることにたいして、ちょっとだけ呆れる。

まぁ、こういうのは気持ちの問題か。



「ヤスフミ?」

「・・・ごめん、ちょっと意地悪なこと聞いた。あの、フェイトが自分でそう思ってくれたなら・・・いいから。
というか、嬉しい。その、ありがと」

「ううん、私は大丈夫だから。じゃあ、今日はその・・・」

「・・・一日だけなんて嫌だから」

「え?」





まぁ、ちょこっとだけ勇気を出そう。みんなのことだから、そういうのも含めてアドバイスしてくれたんだろうし。

一人占めにしたい。フェイトのこと・・・我がままだって分かってるけど、フェイトのこと、そうしたい。



握る手に、気持ちを込める。想いが、伝わるように。





「だから、その・・・今日一日だけとかだったら、嫌だ。
また、暇な時はフェイトと・・・デートというか、一緒に出かけたいなって言ってるの」

「ヤスフミ・・・」

「あの、フェイトが僕とは嫌なら仕方ないけど。・・・僕、こういう奴だし」

「ダメだよ、そんなこと言っちゃ。あのね、嫌じゃないよ。その、一緒に出かける機会、作っていこうね。
仕事もあるから、そんなに頻繁は無理だろうけど、それでも、作っていきたいな」

「いいの?」

「うん」





フェイトは、そこまで言うと、繋いだ手を握り返してくれた。気持ちに直接伝わってくるような、暖かな感覚に、心がときめく。

・・・やばい。やっぱフェイト相手には、ツンとかヤンとかクーとかにはなれないのかも。デレデレになっちゃうよ。





「フェイト、ありがとう。・・・その、すごく嬉しい」

「ううん、私もそうしたいなって思ったから。あの、それじゃあまず、今日は楽しく過ごそう? 私、デートプラン考えてきたんだ」

「男としてそれはいいのか、疑問なんですが」

「誘ったのは私なんだから、大丈夫だよ。次は、ヤスフミが考えて欲しいな」

「そーだね。うん、楽しく過ごせるプラン、考えるよ」










・・・そんなことを話しながら、一日かけて、二人で一緒の時間を過ごした。



ウィンドウショッピングしたり、外でご飯を食べたり、ゲームセンターで遊んだり・・・。だけど、そうしながらもずっとしていたことがある。





ずっと・・・フェイトと手を繋いでいた。手の温もりが、とても暖かくて、幸せだった。





そして、そうしている間、フェイトが笑っていてくれたのが、嬉しかった。




















・・・なお、その後のデートに関しては・・・まぁ、たまにという感じですよ。フェイトが、エリオやキャロの世話をするようになったしね。

これに関しては、仕方ないとする。フェイトが、あの子達を守ろうとしてるのは分かるつもりだし。





だけど・・・その後、大体数年ほど、僕はその二人に対して、ヤキモチを妬くことになる。

好きな人を、一人占めに出来ないという、とてもくだらないことが理由の・・・嫉妬の感情を、抱くことになるのだった。




















(本編に続く)




















おまけ:その理由と意味



「・・・フェイトちゃんと恭文くん、今ごろ楽しくやっているかな?」

「さぁ、どうだろうな。恭文は楽しくしているはずだが」





しかし、本当にフェイトに勝ってしまうとは・・・。



まぁ、甘いところは多々あったし、最終的には博打だったが、あそこまで食いつけたことは賞賛するべきだろう。

また、色々教えることにしよう。今度は悪運頼みにならないようにな。僕としては、スティンガースナイプの精度をもう少し上げたい。





「そういえばクロノ君」

「なんだ?」

「よくもまぁ、あの尖がった古き鉄を、あそこまで叩き上げられたよね。見ててビックリしたよ。だって、適正自体はそんなでもないのに・・・」

「まぁな。だが、教えるんであればやりたかった領域だ。あの人やヴィータは、恭文の長所を伸ばしていたしな」

「あぁ、そう言えばそうだったね」










・・・恭文の遠距離攻撃資質は、ハッキリ言って低い。なのはやフェイトとは比べられないだろう。

多弾生成も出来ないし、砲撃に関しても、魔力量=威力のようなものも使えない。魔力変換を交えて、ようやく火力を確保しているような状態だ。





ただ、その差を埋めるものがある。それは、アイツの戦闘センスと、歪な魔法資質の尖った部分だ。





アイツは、飛びぬけた発想力と思い切りがある。それが、アイツの1の魔法の力を、10にも100にもする。

そして、その発想を現実のものとするものがある。、魔法プログラムの、超高速処理能力と、高い魔力のコントロール技術がそれだ。





恭文は、どれだけ魔力量が多くても、魔法プログラムの容量が大きくても、その処理速度が全く落ちない。というより、異常に早い。

本来であれば、大魔力と大容量のプログラムは衝突しあう。それは、詠唱速度や、処理速度・・・発動が遅くなるという形で現れてくる。

だが、アイツの場合はそれでもまったく詠唱・処理の速度が落ちない。

僕でさえ時間のかかるものでも、アイツは瞬間処理・詠唱による、即時発動が可能となる。もちろん、普通のプログラムでも同じくだ。





しかも、魔力のコントロール技術自体もかなり高い。手元から離れると、途端に精度が落ちるという弱点はあったが、それも克服しつつある。

実際、氷結属性への魔力変換も、要領を掴むと高いレベルで出来るようになったしな。

・・・それらがアイツの『手品』レベルの遠距離攻撃を、『魔法』として昇華させていると、僕は思う。





とは言え・・・。










「親しい人間以外には、射撃戦闘のスキルに関しては『持っていない』と答えることにしたがな」

「そうなの? そりゃまたどうしてよ」

「隠し手だよ。よっぽどの相手じゃない限りは、選択肢にも入れないほうがいいと思ってる。そう教えてもいる。
・・・資質の低い部分を知られれば、相手はそこに付け込んで来る」



まぁ、アイツならばそれでもなんとかするだろう。アルトアイゼンという経験豊富なデバイスも付いているわけだし。

それでもだ。初対面の相手の前では、基本的には使わないようにして欲しい。

この辺りは事情込みだ。味方が敵に回る状況も考えた上での処置。・・・初見であれば、アイツの『魔法』は対処が難しいからな。



「なるほどね。それで私達にも黙っていたと・・・」

「すまない。みんなにも、フェイトとの戦闘の時までは知られたくなかった」

「・・あのさ、どうしてフェイトちゃん?」

「簡単だ。・・・男というのは、好きな女の子には簡単に負けたくないものだからな。
やる気を促すために、目標として、打倒フェイトを掲げた。いや、すごい食い付き様だったよ」





・・・フェイトを相手に勝とうと思えば、どうしても遠距離戦もこなせるようになる必要があったしな。

選択肢を多くして、適切なところで適切な手を引き出す。専門家になる必要は無い。その一瞬、それを凌駕する力が出せればいい。

もちろん、恭文が剣術のみならず、そういう戦い方も出来るやつだからこそ、僕も教えたかったんだが。

で、リゲ○ンと冷えピ○を持って、覚悟を決めたというわけだ。・・・リゲイ○3Dで足りてよかったと、改めて思うよ。





「なるほど、それがあの成果ってわけか。ふーん、そうなんだ〜」

「・・・なんで僕をそんなにニヤニヤした顔で見る?」

「いや、クロノ君も、そうなんだって思って。でも、私はクロノ君に勝てないことの方が多いけどなぁ。
魔法は使えないし、執務官試験なんて受けても合格できないだろうし・・・」

「別に君に負けたくないとは言ってないだろうが」

「あ、ひどーいっ!!」





・・・さて、恭文。一応は目標達成だ。だが・・・これからだぞ?



フェイトの今と笑顔を守りたいと思うなら、もっと強くなる必要がある。まぁ、アレだ。



とりあえず、今日くらいは歳相応に楽しむといい。明日からは・・・僕も休みだ。僕達二人とも、地獄が待っているぞ?





とにかく、夕方にリゲイ○を5D買うことにしよう。3Dじゃ足りない気がするから。

エイミィの怒りをなだめながら、僕は心から思った。




















(本当に続く)




















あとがき



≪・・・はい。特別編いかがだったでしょうかっ! いや、フェイトさんのフラグを立たせようとすると疲れますね。
さて、再び登場です。古き鉄・アルトアイゼンです≫

「どもー! セインですっ!! というか、あとがきは初登場ー!! みなさま、幕間そのいち、いかがだったでしょうか?」

≪そんなわけで、今回は隔離施設の面会室から、ガラス越しでお送りします≫

「・・・いや、実際そうなのってどうなんだろうね。しかも、面会時間短いし。
後ろでギンガが『早く終らせなさい』って笑顔でプレッシャーかけてきてるし。というか、私は本編だと一回しか出てないけど・・・いいの?」

≪あぁ、問題ありません。他にいませんでしたし≫

「あ、そうなんだ。・・・私だからとかじゃないんだ」

≪まぁ、そこは置いておきましょう。というわけで、本編書かずになにを書いているんだと思ったそこのあなた。・・・正解ですっ!≫

「自慢気に言わないでっ! でも、どうしていきなりこれなの?」

≪簡単です。それでは、ドラムロールスタートっ!≫

「どうしていきなりそれっ!?」





(そこで、ドラムロールが流れる。証明もそれっぽい形で付いたり消えたり動いたりする。そして・・・発表っ!!)





≪フェイトフラグが立つ話を書きたかったそうです。さすがに、本命フラグほったらかし過ぎだと思った上での行動です≫

「・・・あの、アルトアイゼン」

≪なにも言わないで下さい。えぇ、言いたい事は分かってますから≫

「そうだよね。これ・・・フェイトお嬢様より、なのはさんフラグ立ってるよね。それで、昔に立っても、今に還元されてないよねっ!?
というか、コレで今というのが・・・涙を誘うよ。恭文、可哀想・・・」

≪その通りです。まったく、どんだけ世界を大号泣させたいんですかあの人≫

「仕方ないといえば、仕方ないけどね・・・。恭文、フェイトさんの前だと、ちょっとだけ奥手な男の子になっちゃうみたいだし」

≪あれですよ。やっぱりこう・・・でかいイベントがないとだめですね≫

「そうだね・・・。押し倒すとか」

≪セインさん、その発言は女性としてアウトですから。チンクさんが泣きますよ≫

「・・・そうだね。言って後悔した。私、こんなおっさんキャラ嫌だもん。
とにかく、フェイトお嬢様の話はともかくとして、中身の解説に行こうか」





(シスター、話の中身を確認する。確認部分は、恭文VSフェイトのところ)





「えっと、本編ではまだ登場していない魔法が沢山でたね。・・・というか、おかしいよねこれ」

≪なにがですか?≫

「だって・・・恭文さ、スバルとの模擬戦闘の時『射撃攻撃ほとんどない』とか『砲撃や誘導弾撃てない』っていってなかったっ!?」

≪あぁ、それなら問題ありません。だって、マスターってポテンシャル低めですから≫

「そんなことぶっちゃけないでよっ! ・・・というか、砲撃や誘導弾撃てないっていうのはどうなるの?」

≪あぁ、これは原文をよく見ていただければわかると思います。なので・・・どうぞっ!!≫





(第3話抜粋:僕とアルトは、どっかのエースオブエースみたいにでかい砲撃や、ホーミング性能抜群の誘導弾は撃てない)





「・・・うん、これだったよね。だから、矛盾でてこない?」

≪セインさん、まだ分からないんですか? 矛盾などないじゃないですか。よーく原文を見てください≫

「え?」





(シスター、もう一度原文を見つめてみる。・・・しかし、なにも見つからなかった)





≪・・・分かりませんか。では、こうしたら分かるでしょう≫





(僕とアルトは、どっかのエースオブエースみたいに『でかい』砲撃や、『ホーミング性能抜群』の誘導弾は撃てない)





「・・・アルトアイゼン、言いたい事分かっちゃった。だけどさ・・・詭弁だよね。まぁ、そこはいいよ。
というか、それをどうしてスバルや六課の皆に隠してた・・・って、おまけの通りか」

≪そうです。劇中でクロノさんも言っていましたが、マスターの遠距離攻撃の資質は・・・ぶっちゃけちゃえば高くないです。
クロノさんが根気よく付き合ってくれたお陰で、人並みレベルになったんです。ですがやり口を知られると、不利になる公算が大きいんですよ。
なので、初対面の人間には、その辺りを隠すことにしているんです≫

「そうなんだ、少し納得。でも、スバル怒るよ? 恭文のこと気に入ってるし」

≪残念ですが、そんなのは知ったこっちゃありません。マスターの命とスバルさんの感情。
パートナーデバイスとして、優先すべき事項など、決まっているでしょ≫

「そこまで言いますか。・・・じゃあここからは、劇中で恭文の使用した魔法を紹介するねっ!」










直射型魔法・ブラストランサー

電気属性変換をなされていない部分を覗けば、フェイトのプラズマランサーとほぼ同じ。

ただし、一度に一発だけしか生成・発射できない。というより、恭文は多弾生成が出来ない。なので、その分威力と速度重視のセッティング。





分散掃射魔法・クレイモア

形成した魔力スフィアを、瞬間的に分散・掃射する魔法。今まで何回も名前が出ていたにも関わらず、今回が初登場。

遠隔発動などが出来ないため、基本的には近接戦闘用。大量の弾丸の撃ち落しなどにも威力を発揮する。

なお、鉄球を使用したバージョンもある。ガジェットなどのAMF装備の相手には効果は絶大。しかし、当然のように対人戦闘では使えない。





砲撃魔法・アイシクルキャノン

クロノのブレイズキャノンを参考に組んだ、氷結属性持ちの砲撃魔法。

なのはのディバインバスターのような魔力量=威力のような砲撃ではなく、氷結属性への魔力変換によって、攻撃力を獲得している。

なお、ブレイズキャノンより、発射速度を向上させており、カートリッジによる威力増強が可能。(最大三発)





拘束魔法・ストラグルバインド

『強化魔法等の効果を強制的に解除・無効化する』という副次効果による間接的な攻撃を目的とした魔法。

ただし、詠唱速度・射程・強度に難あり。恭文は、この副次効果に使い道を見出しており、よく使用する魔法の一つに入っている。





氷結属性付与魔法・氷花一閃

アイシクルキャノン習得の際に覚えた凍結・冷却変換を、アルトアイゼンに付与した状態。





瞬(またたき)

これは、魔法というより剣術技能。分かりやすく言うと、居合。

高速でアルトアイゼンを抜き放ち、その勢いのまま相手を斬る超高速の斬撃。

今回は氷花一閃での使用だが、当然鉄輝一閃や、通常時での使用も可能。

『一撃必殺・二の太刀要らず』を理念として掲げる、ヘイハチ・トウゴウの剣技の一つ。

当然、恭文も継承している。・・・が、当然のように、まだまだ師には及ばない。

なお、ヘイハチ・トウゴウは天翔○閃がリアルに使える。





砕(くだき)



これも、ヘイハチ・トウゴウの剣術の技の一つ。

刃ではなく峰での一撃。斬るのではなく、対象の破砕を目的とした破壊の一撃である。

劇中のように、衝撃を伝えることによる振動攻撃も可能とする。










「・・・ね、いらない補足が無かった? てか、天翔龍○使えるって凄いじゃんっ! ちゃんと二撃目もあり?」

≪使えますよ? 実は、今回の止めはそれで行こうかと思ったんですが、パクリなのでやめたのです。
さすがにリスペクトじゃそれは埋められませんでした≫

「うん、それで正解だと思うよ。てか、まんま京都偏の最期だから。
・・・こうして見ると、恭文の魔法って、完全なオリジナルって少ないよね。あ、剣術以外ね」

≪クロノさん直伝ってのが多いですね。あの人と似通ったところ多いですから。ただ、中身は別物ですけど≫

「みたいだよね。三人目の師匠とかって言ってたし。
あと・・・最期なんだけどさ、恭文、嫉妬とかするんだね。そんな感じしなかったのに」

≪まぁ、子どもですから。リリカルなのはは、キャラの精神年齢高いから気づきませんけど、主人公クラスは、大半が10代ですよ?
そりゃ7・8・9のような失敗もすれば、嫉妬だってしますよ≫

「あぁ、そう言われると納得。ルーお嬢様や、エリオとキャロもそうだしね。でも・・・辛そうだな」

≪まぁ、たまに落ち込んでましたね。あの人、フェイトさんにそれをぶつけるような真似はしませんけど、やっぱり来るんですよ≫

「そっか。そう・・・だよね。辛くないはず、ないよね。
とにかく、以上であとがきは終了となりますっ! さて、ここからは本編だよね?」

≪そうですね。なお、これからこの幕間は・・・まぁ、定期的に書きたいと思います。だって、楽しいですし≫

「あ、そうだね。 まぁ、本編は日常話が多いので、こちらは戦闘多めって感じ?」

≪そんな感じにしていきたいですね。というか、本編中で使うかどうかもわからないような魔法を出したいそうです。かなり、沢山≫

「・・・そんなに血に飢えてるの作者さんは」

≪飢えているんでしょう。男は誰しも、血に飢えた狼ですよ≫

「その言い草もどうなのっ!?」





(そうこうしていると、音楽が流れてきた。二人がストップウォッチを確認すると、そろそろEDの時間になっていた。
本日のED:ユーノのキャラソン)






「あぁ・・・素敵な歌声だね。ららら〜♪」

≪というかキャラソンってどういうことですか? そして歌わないでください≫

「いいんだよ。素敵なものは素敵なんだから。それでは、そろそろお別れのお時間になりました」

≪今日はここまでっ! 本日のお相手は古き鉄・アルトアイゼンと・・・≫

「セインでしたっ! それでは、また〜♪」










(古き鉄とシスター、カメラに向かって手を振りながらお別れ。カメラ、ドンドンフェードアウトしていく。
その端に、捜査官、なぜか見切れている。あくびをしている。気づいて慌てる)



















≪というわけで、ここからは拍手のお返事です。みなさん、ほんとうにありがとうございます。作者、とても感激しております。はい≫










※とある魔導師と機動六課の日常、いつも楽しく読ませて頂いています。がんばれ恭文ファイトルートを突き進め。



恭文「ということで、フェイトルートの第1段とも言うべき今回の話、どうだったでしょうか?」

なのは「・・・いや、その・・・なんていうかさ。これ、今に還元されてないよね?」

恭文「おねがいなのは、そこは隠しフラグと言って。お願い、そう信じたいの。信じさせてよお願いだから・・・」

なのは「あの、ごめんっ! お願いだからそんな蹲って黒いオーラを出さないでー!!」

恭文「ちくしょー! やっぱり婚約してればよかったー!!」

古鉄≪あとの祭りですよ≫





※とある魔導師と機動六課の日常 第11話の感想 
やはり、なのはの可愛さはいじめられてこそでしょう。
それ以外だと魔王化でどうにでもなるし、オハナシで。まぁあれですね、守る為に自分無視して暴走するのが高町家クオリティ・・・ヴィヴィオに伝染しないかとマジで心配です。
キャロは絶対美人になると思います、胸は無くとも。
後スバルさん特急なのにKYなのは危険ですよ〜、エアリードのスキルを身につけましょう。
え、次回最終回!?フェイトとの恋の行方は経過も知りたいなぁ、天然フェイトさんにはゲイナー兄さん張りの告白が必要かと思います。
オーバースキルにてミッド中に告白を流して外堀から埋めてしまえ!!!
では、次回が最後でもまだまだ続いても楽しみにしてます、個人的にはもっとみてたいですが。



恭文「もっと見てみたいと言ってくださって、ありがとうございます。
だけど・・・・最終回じゃないですからっ! ただのボケのつもりで言ったのが、ここまで響くとは・・・。
まぁ、今回はワンクッション置く意味も含めて番外編ですけど」

スバル「というか、私空気読め・・・ません。はい、ごめんなさい。というか、あのお仕置きはもうやめてください・・・」

恭文「スバル、それが空気を読むってことだよ? よかったね、僕のおかげで理解できて」(ニッコリ)

スバル「うぅ、悔しいー! でも、なのはさんの家ってそうなの? これ見ると、家族ぐるみでそんな感じっぽいし、しかもヴィヴィオに伝染って・・・」

恭文「真面目に、僕はそれが心配だよ。ヴィヴィオ、なのはに似てるとこあるらしいし。
それに関してはこれ(とらいあんぐるハート3)をやって。そうしたら、高町家がなぜここまで言われるのかがよく分かるから」

スバル「あ、それじゃあ借りるね。というか、これ私がやって・・・うん、気にするのやめようっと。
・・・で、ゲイナー張りの告白ってアレだよね。前にアドバイスされたの(感想掲示板で、鬼丸様が下さった感想の中で、それがありました)」

恭文「・・・それだよ。アニメの中でも3本の指に入ると言われる告白だね。ちなみに、その中の一つはGガンダムです」

スバル「まぁ、アレだよ。私は応援してるからっ! だって、恭文がフェイトさんにデレデレなのを見てるとおもしろ」



(ゴスッ! ボキッ! グキッ! ドガッシャーンッ!!)



恭文「・・・さて、スバルがなぜか居なくなったし、仕事するか。キ〜ング♪ キ〜ング♪ キン○ゲイナー♪」





※コルタタさんへ。 
11話で恭文が魔導師ランクは飾りって言ったのを見て,有名なあのセリフを思い出しました。
「足なんて飾りです!偉い人にはそれが分からないのですよ!!」 
足のところを魔導師ランクて変えて,偉い人のところを恭文に好きなように変えてみて言ってください。



恭文「魔導師ランクなんて飾りですっ! アニメ製作スタッフや局の偉い人や宇宙人や超能力者やアンドロイドにはそれがわからんとですよっ!!」

フェイト「ヤスフミ、それ意味がわからないよっ! というか、ランクは飾りじゃないからっ!!」

恭文「えー。じゃあわかったよ。ランクは飾りじゃないっ! 涙なんだっ!! 高ランクを取得すると・・・出番が減るんだっ!!
それを、タヌキや黒の艦長はわかっとらんですよっ! どげんかせんとあかんっ!! なんやかんやせんとあかんっ!!」

フェイト「それは・・・・わかるけど、そんなこと言っちゃだめっ! というか、どうしていくつもりなのっ!? あと、なんやかんやはわからないからっ!!」

恭文「フェイト、なに言ってるの? なんやかんやは・・・」



バンッ! バンッ! バァァァァンッ!!



恭文「なんやかんやに決まってるでしょっ!!」

フェイト「・・・そ、そうなんだ」





※コルタタさんへ。
示現流ってあれですよね,スパロボで最強の漢って言われているゼンガー・ゾンボルトが使う流派。
ということは恭文もゼンガーのようなしゃべり方をまねしたりするんですか?
「黙れ!!そして聞け!!我が名は恭文!!蒼凪恭文!!我は悪を断つ剣なり!!」とか,
「届け!!雲耀の速さまで!!」とか「刮目せよっ!!これが我が太刀筋なり!!」とか……似合わないすね。うん,似合わないわな。



古鉄「その通りです。グランド・マスターが示現流をベースとした剣術を使っていたため、弟子であるマスターもそうなりました。
一撃必殺・二の太刀要らずを理念とした剣術です。
まぁ、あくまでもベースですから、現実のものと違って、居合なども使うんですけどね。というわけで、どうぞ」

恭文「・・・黙れっ! そして聞けっ!! 我が名は恭文っ! 蒼凪恭文っ!! 我は・・・悪を断つ剣なりっ!!
届けっ! 雲耀の速さまでっ!! 刮目せよっ! これが我が太刀筋なりっ!!」

古鉄≪・・・−20点≫

恭文「マイナスっ!?」

古鉄≪渋さが足りません。あと、身長も≫

フェイト「ちょっと・・・違うかも」

恭文「うん、わかってた。ちょっと違うよね。というか、かなり違うよね。身長とかさ。
でもね・・・やりたかったの。うん、やりたかったの」

古鉄≪お願いですから落ち込まないでください。まぁ、マスターはシリアスやこういうのは似合いませんしね。
どちらかというと、電○的なノリで戦いますから。ということで、これどうぞ。読んでください≫

恭文「え、なになに?
・・・いい? 僕達に前フリは無い。僕とアルトは、最初から最期までクライマックスだよっ!!
お前、僕に釣られてみる? 僕の強さは泣けるよ〜。倒してもいいかな? 答えは聞かないけどっ!!
最初に言っておくっ! 僕達はかーなーり強いっ!!」

古鉄≪・・・70点。キンタロ○さんがちと微妙ですね≫

フェイト「うん、ちょっと恭文らしくなった」

恭文「うん、僕はやっぱりこっちがいいな。あ、でも今回は言ったよ? 分の悪い賭けは嫌いじゃないっ!」

フェイト「それも、このゼンガ―さん絡みだったんだね・・・。
でも、ちょっと運頼み過ぎたかな。まぁ、ヤスフミはそれで勝つのがすごいんだけど」

恭文「なら、それが少なくなるように、もっと強くならないと。フェイト、また訓練付き合ってね♪」

フェイト「うん、いいよ。二人で、もっと強くなろう? それで・・・大事なもの、ちゃんと守れるように、大きくならないとね」

恭文「うんっ!」









恭文「ということで、今回の拍手のお返事は終了になります。みなさん、本当にいつもありがとうございます」

フェイト「それでは、次回に・・・」

恭文・フェイト「テイク.オフっ!!」





(おしまい)







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あきゅろす。
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