小説(魔法少女リリカルなのは:二次小説) 第131話 『EPISODE AIZEN/粋でいなせな蒼いアイツ、降臨』 ラン・ミキ・スゥ『しゅごしゅごー♪』 ラン「ドキッとスタートドキたまタイムー。さてさて、本日のお話はー?」 ミキ「新年、明けましておめでとうございます」 スゥ「今年もよろしくお願い……って、よろしくしてない人が居ますぅー!」 (立ち上がる画面に映るのは、ケバい王様と身長190の……誰っ!) ラン「年明け早々ガーディアンもみんな揃って大暴れっ!?」 ミキ「しかも久々にあの人達との再会もあって、今日も盛りだくさん」 スゥ「それではぁ、本日も元気よくいきましょう」 ラン・ミキ・スゥ『じゃんぷっ!』 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ ――私には拭えない過去がある。今にして思えば余りにも愚かだったと思う過去がある。 そのために私は今、大事な家族との距離に悩み苦しむ日々を送っている。それは年が明けても変わらない。 だがこの苦しみこそが私の罪への断罪だと思い、受け入れて……そして私はまたため息を吐く。 そして時折不安に駆られてしまう。私は本当に罪を償う事が出来るのかと不安に駆られ、一人部屋の中で頭を抱える。 だからこそどうすれば……どうすればいいのだろうかと不安で揺れる心が、悪魔に突け入る隙を与えてしまった。 『お前の望み、我が叶えてやる』 その悪魔は突然私の服の袖口から零れた砂そのもの。 それらは上半身と下半身が分割され、その上で入れ替わった奇妙な怪物となる。 『どんな望みでも――そのためにお前が払うべき代償は、たった一つ』 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ 年は明け、2011年の1月の1日のお昼頃。聖夜市に来て、11ヶ月――もうすぐ1年が経過。 この1年で僕達の周囲の環境や世界の在り方は大きく変わり……でも変わらない事もある。 例えば聖夜市内の神社でフェイトとリインとあむ達と初詣に来た僕が引いたおみくじの中身とか。 ちなみになぜ今の時間かと言うと、妊婦を連れて参拝客でごった返してる2年参りも辛いから。ほら、立ちっぱだしさ。 この間の学園祭の時みたいに座れる場所があればいいんだけど、さすがになぁ。なので参拝客が途絶える時間を見計らって来た。 「やったー! ついに大吉引いたぞー!」 僕は声をあげて、バンザイポーズを取りながら涙を流す。うぅ、こうくると信じてたよ。 だって僕、今年お父さんだよ? それなのにまたアレなんてありえないしさー。 「……あの、ヤスフミ?」 「アンタ嘘ついちゃダメだって。ほら、大凶って」 その瞬間、僕はあむを睨みつけた。するとあむは失礼な事に僕から一歩下がる。 ううん、それは他のみんなも……うーん、どうしてだろう。 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ 「フェイトさん、恭文が怖いよー! というかというか、本気出し過ぎだよー!」 「しかも血の涙を流してるわね。アレ、なに?」 「あの……みんなごめんね。ヤスフミ、おみくじで大吉を引いた事がないの」 『はぁっ!?』 いやいや、そんなのありえないし。だっておみくじってむしろ大吉の方が多いくらいだって……あ、まさか。 あたし達ガーディアンメンバーは全員顔を見合わせて、この11ヶ月のアイツのあれこれを思い出して表情を苦くする。 「まさかその、蒼凪君」 「運が悪いから大凶しか引けないとかですか。いや、いくら恭文君でもさすがにそれは」 「……正解」 フェイトさんの肯定であたし達は固まり、そんなあたし達を嘲笑うように木枯らしが吹いた。 「だから毎年毎年、この時期は本当に気合い入ってるですよ」 リインちゃんがそう言いながら、境内に蹲って泣き始めた恭文を見る。 「特に今年はフェイトさんとの赤ちゃん産まれるですから、余計になのです」 「それで実はお兄様、このために一昨日お百度参りしてましたから」 『はぁっ!?』 ため息を吐きつつそう言ったシオンの言葉にあたし達は驚愕しつつ、改めて落ち込む恭文を見た。 「してたよな。オレが意味分かんないって言っても全然止めねぇし」 「アイツは努力の仕方を激しく間違えていると思う。……はむ」 「そう言いながらお前はどうして餅食ってんだよっ! てーかどっから持ってきたっ!」 いや、それはあの……うん、ショウタロウとヒカリは間違ってない。だっておみくじで大吉引くためにお百度参りはないって。 「それはまた……あ、それなら何回か引けばいいっすよ。おみくじって確かそういうのがOKなルールが」 「あ、それあたしも聞いた事あるっ! ……こら恭文、いつまでも落ち込んでないの。一回目でダメなら」 そのまま恭文の方へ近づこうとしたあたしの肩がフェイトさんに掴まれた。 それで後ろのフェイトさんの方を振り向くと、フェイトさんは非常に困った顔で首を横に振る。 「それ、もうやってる。しかも10回以上」 『……ですよねー』 「ちなみにあんまりに頑張り過ぎると、おみくじマシーンや巫女さんが出してくれるあの箱とかが壊れるです」 「あ、あったあった。おみくじマシーンからおみくじが大量排出されて大騒ぎになった事があるんだ」 『そこまでっ!?』 じゃあ恭文、マジで大吉とか自分で……うわ、そりゃキツいわ。てゆうかコイツ、どんだけ運が無いんだろ。 「あむ、どうする? 私はもうかける言葉が見つからないんだけど」 「あたしも同じく。いや、その……そこまでとは思わなくて。唯世くんー」 「ごめん、実はその……僕も無理っ! だってあんまりにあれ過ぎるしっ!」 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ 「家来達、どうする? そろそろなにか香ばしいほどの黒いオーラが出始めているんだが」 「今年赤ちゃん産まれるのにあれでちからね。正直言葉のかけようがないでちよ」 「あー、じゃあクスクスがやるー。リズムー、付き合ってー?」 「……あー、あれだな。うし、それじゃあ早速」 クスクスとリズムが恭文に近づこうとするが、ある一定ラインで動きを止めて震え出す。 そして素早くこちらに戻って来て、二人揃って首を素早く横に振った。 「「無理っ!」」 「お前達は奴から一体なにを感じたんだっ!」 「じゃあ……ミキ、頑張るでちっ!」 ミキは頷いて恭文のところへ近づき、二人より多少距離を詰めて動きを止める。そしてミキもこちらに戻って来て首を横に振る。 「無理っ!」 「お前もかっ! ミキ、お前が無理では僕達の誰もダメだろうがっ!」 「だってどう言葉かけていいか分からないんだよっ!? どれを言っても墓穴掘りそうだしっ!」 「それは……確かに」 僕は改めて恭文を見るが、半端じゃなく落ち込んでいるのかいつもの覇気がない。 普段は余り気にしていないように見えるが、実のところ……そうではないのだな。うぅ、僕まで泣きそうだ。 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ あたし達がなんか泣きたくなりつつ改めて恭文の方を見ると、少しおかしい事が起きていた。 あのね、恭文の頭上に球体状で金色に輝く光の玉みたいなのがあるの。 それは意を決したかのように恭文の背中に向かって飛び込んで、アイツの身体に吸い込まれた。 その勢いに押されるようにして恭文は前のめりに倒れて、コートとジーンズの袖口から砂が零れ落ちる。 「蒼凪君っ!?」 「唯世、ちょっと待てっ! 様子がおかしいぞっ!」 恭文の身体に蒼い火花が走って、同じ色の光に身体が包まれたかと思ったら……倒れてる恭文の身体が大きくなった。 その上で立ち上がると恭文の身長は、あたし達より――フェイトさんより30センチ近く高くなってた。 というかというか、服もなんかサイズアップして袖口はみ出したりしてなくて完全な大人になっていた。 「あー、やっと良い感じの身体見つかったわ」 その上声が恭文じゃない。なんか大人っぽい声出しながら、その恭文だけど恭文じゃない人はこちらに振り向く。 「もしかしてお前らコイツの友達?」 顔立ちはそれほど変わってないけどやっぱ大人っぽい感じになってて、その人は両手をパンと合わせた。 「悪いっ! コイツの身体しばらく貸してくれっ!」 「いや、貸してくれって……恭文どうしちゃったのっ!? なんか変だよっ!」 「あの、ちょっと待って。あなたもしかして」 「更に悪い、そこを説明してる暇ねぇんだっ! とにかく明日まで……いや、今日中になんとかするっ! ……じゃっ!」 そのまま恭文はフェイトさんの静止も振り切って、あたし達に背中を向けて凄い勢いで走り去って行った。 あたし達は当然置いてけぼりで、困った顔を見合わせて戸惑いを共有し合う。 「え、えっと……フェイトさん。アレは」 「あむちゃん」 あたしの横に居るラン達が困りながらもこちらを見て、声をかけてきた。てゆうか、あたしの前に回り込んでくる。 「あむちゃん、分からない? ほら、ボク達はアレと同じ現象を知ってる」 「え?」 「袖口から砂がぱらぱらーで、金色の光に取り憑かれて身体を貸して……どんぴしゃですぅ」 袖口から砂がぱらぱらで、金色の光に身体を――あたしは嫌な考えを思いついてしまって、顔を青くする。 それは空海となぎひことりま、リインちゃんも同じく。でもあたしは首を横に振ってそれを否定する。 「まさか……ううん、ありえないしっ! だってこっちにはそういうの居ないって言ってたじゃんっ!」 「でも、間違いないよ。うん、間違いない」 フェイトさんは右手でお腹を撫でながら、涙目であたしの方を見下ろした。 「ヤスフミ……イマジンに取り憑かれちゃってるっ!」 「――ありえないしぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃっ!」 All kids have an egg in my soul Heart Egg――The invisible I want my 『とまとシリーズ』×『しゅごキャラ』 クロス小説 とある魔導師と古き鉄とドキドキな夢のたまご/じゃんぷっ!!! 第131話 『EPISODE AIZEN/粋でいなせな蒼いアイツ、降臨』 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ とにかくオレは全速力で街を徘徊して、あのクソ野郎の捜索開始。 こっちは冬なのかやたら寒く感じるが……てーか身体めっちゃ軽いな、コイツ。 もしかして相当鍛えてんのか? オレの動きたいように動けるしよ。 とにかく今日一日だけの事と胸の中で謝りつつ、必死に走り回った末に河原に到着。 なだらかな傾斜を素早く滑り降りて、オレは改めて周囲を見渡す。 「どこだ……どこに居やがる。あぁくそ、やっぱしらみ潰ししかないのかよ」 オレは舌打ちしながらも、改めて川にそう形で全力疾走開始。 オレが止めるんだ。いいや、オレしか止められねぇ。だから……これでいい。 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ 今日は2011年――みんなと初めて会ってからもう4年とかそれくらいになるんだよね。 そんな時間の中で、僕達は毎年恒例なデンライナーでの新年のご挨拶に来ていた。 現在、デンライナーの食堂車の一角にはテーブルをどかした上で畳が床の上に直接置かれている。 「あー、新年っ!」 『明けましておめでとうございますっ!』 「こ、今年もよろしく」 『お願いしますっ!』 その上に全員正座して、新年のご挨拶。これで大事なところは終了。 「さー、挨拶も終わったし飯だ飯ー! ナオミー!」 「はーい。おせち用意してますよー」 『おぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!』 ナオミさんが作ってくれたおせちを入れた赤い五段重ねのお重が僕達の前に置かれる。 それをハナさんが素早く分けると、そこには色とりどりのおせちがたくさん。 「ナオミさん、ありがとうございます」 「いえー」 「じゃあ、早速……せぇの」 『いただきまーす』 全員でお箸を手に取って、自分の小皿に料理を乗せて……まずは栗きんとんだよね。 それを一口食べると、程よい甘さと栗の味がして――美味しい。 「いやぁ、去年も色々あったけどこうやってまた挨拶出来るってのは良いよねぇ」 「そやなぁ。良太郎も怪我治ったし」 「まぁ夏頃の話だしね。あと、恭文君とあむちゃん達の方も無事に片づいたって言うし」 「でもでも、こころのたまごを使って悪い事した奴らは止められたけど、結局エンブリオっていうの見つからなかったんだよねー」 「そうみたいなんだよね」 だから恭文君もフェイトさんも、あむちゃん達の街で暮らしてくらしいし……あぁ、あとアレもあった。 「なぁ良太郎」 「なに、モモタロス」 「せっかくだしよ。青坊主達のとこ行かねぇか? 金髪姉ちゃんと青坊主の赤ん坊見に行ったりよ」 「あー、それ賛成ー! ねぇ良太郎、いいでしょいいでしょー!?」 リュウタロスが僕の両肩を掴んで揺らして……ダメー! ごまめが取れないからー! 「そ、それはいいけど……でもいきなりはダメだよ。妊娠中は本当に大変だし」 「そうそう。男性はともかく、女性は本当にデリケートだから気を使わなくちゃねぇ。 それにリュウタ、今行っても赤ちゃんは生まれてないよ。あと5ヶ月近くは待たないと」 「でもでも、フェイトお姉ちゃんお腹大きくなったりしてるんだよね。僕産まれる前にご挨拶したいなー」 「確かにそうよね。新年の挨拶って事なら」 ハナさんも見てみたいのか、ニコニコして僕の方を見上げる。僕は一旦箸とお皿を畳の上に置いて、少し考えてから頷く。 「じゃあなにかお土産持っていこうか。お祝いって事で。 それであむちゃん達にも、モウリョウ団や夏の時のあれこれのお礼もして」 「やったー! それじゃあ僕……お絵かきするー!」 「うし、じゃあ俺はプリンを」 「先輩、プリンあげてどうするつもり?」 「うっせぇっ! プリンは大事なんだよっ! そんな事も分からないからお前は亀だっつーのっ!」 そこでまた二人が睨み合いを始めて、それを止めるために動こうとした瞬間に場に着信音が鳴る。 「……この妙に気の抜ける着信音は」 「一人しか居ないよねぇ」 「あいかわらず泣けるで」 「良太郎、それダサいよ」 「え、どうしてっ!? せっかく変えたのにっ!」 とにかく鳴っていたのは僕の携帯だから、近くに置いてたジャンパーに手を伸ばして懐からそれを取り出す。 折りたたみ式のそれを開いて画面を見ると、メール――フェイトさんから? 「良太郎、愛理さんから呼び出し?」 「ううん、フェイトさんからなんだ」 「お、じゃあちょうどいいじゃねぇか。そっち行くからよーって返事しといてくれ」 「そうだね。まぁ今日中は無理だろうからまた日を改めて」 言いながらもまずはメールを開いて文面を確認して……固まった。 「……良太郎、どうしたの? また亀の甲羅みたいにカチンカチンな顔しちゃって」 「亀の字、それどんな顔や」 「ごめん、みんな。新年会は切り上げるよ。というか、急いでフェイトさん達のところに行く」 返信画面に切り替えて、素早くメールを打つ。えっと、まずはすぐ行くというのと状況説明をお願いするのが先だね。 「はぁ? いや、いきなり押しかけると金髪姉ちゃん達に悪いってさっき言ってただろうが」 「そうもいかなくなった。恭文君がイマジンに身体を乗っ取られて……行方不明なんだって」 「あぁ、それでか。まぁそれならなぁ」 モモタロスはそこで納得したように頷く。 「イマジンが出たっていうなら、しょうがないよねぇ」 「恭文と嬢ちゃん達のとこは、イマジンも電王もデンライナーもないしなぁ」 「うんうん、それならしかたないよねー」 「イマジン出ちゃったら、それはねぇ」 みんな納得しつつまたおせちを食べ始めたけど、次の瞬間に固まる。 『えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!?』 それで全員立ち上がって僕の方に視線を向けながら叫んだ。……うん、驚くよね。僕も声出しそうになったもの。 でもどうして恭文君達の街にイマジンが? 恭文君達の住んでる地球と僕が住んでる地球、全然違う別世界なのに。 だから向こうにはイマジンなんて本当は居るはずなくて……もしかして、またネガタロスみたいなのが来てるとか。 あぁダメだ。どっちにしても向こうに行かなきゃワケが分からないよ。とにかく急いで返事しないと。 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ あれから寒空の下――しかも街中で説明するわけにもいかなかったので、全員で蒼凪家に来た。 それで首を傾げる唯世くんとややと、家で年末年始をゆっくり過ごしてたシャーリーさん達も含めて事情説明――終了。 「えー! じゃあじゃあ、電王って本当に居るのっ!?」 「うん。どうも私達とは全く違う別世界の『地球』があるみたいで、そこにだね」 「それは驚きでちね」 「しかも恭文達が前々から知り合いで一緒に戦っていたとは……むむむ」 「でもちょっと待ってください。それだとこっちの世界には」 唯世くんは戸惑い気味だけど、もう言ってもアレだからと思っているのかフェイトさんの方を見る。 「うん、そうなの」 フェイトさんは右手でお腹をさすりながらやっぱり困った顔で頷く。 「こっちの世界には電王もイマジンも居ない。だからあんな現象、普通なら起こらないの」 「でもでも、アレはリイン達が今まで見てきたイマジンのあれこれと同じ感じがするです」 「いや、そういうレベルじゃないだろ。あれ俺とかが見てた電王のあれとそのままだしよ」 「てゆうかアイツ、新年早々それって……どんだけ運がないのよ。クロスミラージュ」 ティアナさんは懐からクロスミラージュを取り出して。 「ダメ」 フェイトさんはティアナさんの方を見て首を横に振った。 「私も同じ事を考えて、バルディッシュに探してもらったの」 それから左手を動かして懐からバルディッシュを取り出した。 ……あぁ、サーチでどうこうって話か。あんまりにいきなり過ぎて、ちょっと混乱してたわ。 「あ、そう言えばイースターの事が片づいてから、アイツから返してもらってたんですっけ」 ≪えぇ。ですがサーチでの探知もそうですが、アルトアイゼンとジガンとの通信も繋がりません。 おそらくはイマジンに取り憑かれている影響かと思われます≫ 「ほら、イマジンってサーチ関係に引っかからないでしょ? 相当近くに居るから影響受けてるのかも。もしくは」 「影響を出すくらいに強い力を持ったイマジンかも知れないと」 ティアナさんは自然とフェイトさんの側に居るシオン達の方を見た。でも三人も首を横に振る。 「ダメなんです。私達もお兄様と繋がれなくて」 「こんな事は初めてだ。だが、もう原因は言うまでもないだろ」 「アイツ、多分イマジン取り憑いてるせいで眠った状態なんだよ。 だからオレ達とも繋がれなくなっちまってる。……悪い」 「そう。なら外に出ないとダメですよね。アイツ探すにしても、足使わないと」 頭を右手でかきながらティアナさんがこちらを見るので、あたし達は全員揃って頷いた。 「あたし達も当然手伝います。人多い方がきっと見つかるの早いだろうし」 「ややもややもー! それにそれに、イマジンや電王が居るなら会ってみたいしー!」 「僕も同じくです。というか、さすがに新年早々これを放置は」 「出来るわけがないな。しかも大凶を引いた直後に……アイツ、やっぱり運が悪過ぎだろ」 空海と唯世くんが気まずそうにそう言うと、場が一気に静まり返った。……本日は1月の1日。 年が変わって24時間経ってないのにトラブルに巻き込まれたアイツを思って、あたし達は泣いてしまった。 「確かに捜索の手が多いに越した事はないけど……シャーリーさん」 「みんな引かない感じだし、私とフェイトさんがここからサポートするよ。でもみんな、本当に気をつけて」 シャーリーさんは眼鏡を外して涙を拭きつつ、口調厳しめにそう言って改めて眼鏡を装着。 「イマジンの能力は、スペックだけならフェイトさん達魔導師組より上なの。それこそ超人ってレベル。 キャラなり込みでも大怪我する可能性があるから、戦う場合はティアナとディードに任せて」 「いい? アンタ達は捜索だけやるの。絶対に戦闘はダメ。やるなら……マジで命がけになるから」 「ごめん、みんな。本当は私も行ければいいんだけど」 フェイトさんは不安気に右手でお腹をさすり、私達に頭を下げた。 「ヤスフミの事……お願い。それで絶対に無茶はしないで。人を守るなら、まず自分をだよ?」 『……はいっ!』 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ 現在、デンライナーはとっても大騒ぎです。みんなも僕も右往左往で元旦の予定とか全てすっ飛ばす勢いで慌ててる。 でも僕は落ち着いてメールを……ごめん、無理っ! なんかもう手がガタガタ震えてるのー! 「ど、どういう事ー!? なんでまた恭文のところにイマジン来るのかなー!」 「おいおい、またあのパチもん野郎かっ!? それとも親戚かよっ!」 「先輩、落ち着いてっ! さすがにあれの親戚は僕想像したくないしさぁっ! なによりそれは出現フラグだから、絶対触れちゃいけないとこだってっ! とにかくその……ナオミちゃんごめんっ! おせちはまた後でっ!」 「えー、せっかく作ったのにー! うぅ――しょうがないとは言え寂しいです」 ナオミさんは軽く涙目になりながら、重箱の傍らにしゃがんでおせちを片づけていく。 「ナオミさん、ごめん。あ、後で必ず食べさせてもらうから。栗きんとん本当に美味しかったし」 「良太郎ちゃん……うぅ、そう言ってもらえると嬉しいですー」 ナオミさんに申し訳なくなりつつも、僕達は顔を見合わせて困りながら唸る事しか出来ない。 「しかし年の始まりからこれかい。恭文、やっぱ泣けるで」 「今年お父さんになるのに……ねぇ、今度みんなで厄除けのお守りでも贈らない? 絶対その方が良いって」 「いやぁハナさん、それだと弱いかもよ? だって」 こちらに視線を向けたウラタロスに倣うように、みんなが僕を見る。 「ねぇ?」 「だよな」 「なってまうわなぁ」 「なっちゃうよねー」 「でもほら、こういうのは気持ちからだもの。無駄じゃないと思うわ」 ……あれ、おかしいなぁ。なにかこう、すっごく突き刺さるものを感じてるんだけど。 というかみんな、そそくさと僕から視線を逸らさないでよ。さっきまでジッと見てたよね? 「と、とにかくイマジンだよ。早く恭文君のところへ」 「いいえ、それはダメです」 そう言って運転席側――車両前方の自動ドアを見ると、そこからステッキをつきながら黒い紋付袴姿のオーナーが入ってきた。 『オーナー!』 「はいー。みなさん、明けましておめでとうございます」 「あ、明けましておめでとう……って、今はそんなのどうでもいいな」 モモタロスは一人納得しつつ、オーナーの方へずかずかと踏み込んでいく。 「やい、オーナーのおっさんっ! 青坊主達のとこ行くのがダメってのはどういう事だっ!」 オーナーはモモタロスの突撃を身体を反時計回りに捻りつつサラリと避けて、僕達の方へ更に歩み寄る。 「そうだよっ! フェイトお姉ちゃん達だけじゃイマジン倒せないよねっ!」 「これでまた過去に跳ばれたりしたらお手上げやしなぁ。俺もそれは頷けんわ」 「それでもです。実はターミナルの駅長から緊急の連絡がありまして。 恭文くん達のところに行く前にそちらに寄る必要があります」 「緊急の連絡?」 「えぇ。それはおそらく、恭文くんに取り憑いたイマジンにも関係がある事と思われます」 その言葉で場が一気にざわめき、オーナーはそれに構わず近くの席に座る。 その、なにがあるか分からないけどフェイトさん達にメールを送っておこうと思って、僕はまた震える指を動かし始めた。 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ かなりあっちこっち探したが、やっぱり影も形もねぇ。まさか……いや、そんなはずねぇ。 こっちに逃げてきたのは確かなんだ。オレはアイツの背中追っかけてそのままなんだしよ。 とにかく人気のない住宅街の中を走り回りつつ、辺りを見渡して。 ≪――あぁもうっ! 黙ってられないのっ! こら、そこのあなたっ! もうやめるのっ!≫ そんな時、いきなり謎の声が聴こえた。それでオレは思わず身体をビクつかせながら改めて周辺を見る。 ≪こっちなのっ! 左腕見るのっ!≫ 周囲には誰も居なかったが、声はすっげー近く……オレはまさかと思いつつ、左手を上げてその手首に巻かれてる六角形の時計を見た。 ≪ようやく気づいたのっ!≫ 「うぉっ! 時計が喋ったっ!」 ≪時計じゃないのっ! ジガンなのっ! あなた、主様の身体を返すのっ!≫ ≪あなたはイマジンですよね。この人に取り憑いてなにするつもりですか≫ また別の声がして、オレは身体をビクつかせる。今度の声は胸元――コイツが身に着けてる蒼い宝石からだった。 「今度は宝石が喋ったっ!? おいおい、どうなってんだよっ!」 ≪いいから返してくださいよ。確かにこの人は運が悪いですよ? たまに世界中の不幸を集めてるんじゃないかって思うほどに運が悪いですよ? 今日だって毎年恒例になったおみくじで大凶引くというイベント超えましたし≫ おいおい、それ毎年恒例はおかしいだろうがっ! どんだけコイツ運が悪いんだよっ! ≪でもさすがに元旦でいきなりコレは不憫でしょうがないんですから≫ ≪なのなのっ! 主様は今年お父さんになるのっ! それでなにかあったらどうするのっ!? あなたが奥さんやお腹の子ども達になんの責任が取れるのっ! 取れないならとっとと返すのっ!≫ その言葉が胸を貫き、すっげー痛い感じがしてくる。オレは自然と右手で服の胸元を掴んでた。 「……悪いが無理だ」 なんかよく分かんねぇけど、コイツらはこの身体の持ち主の仲間らしい。だから申し訳なくなりつつ、首を横に振る。 「オレはまだ」 改めて呼吸を整えて、オレはまた……前に踏み出した。 「オレはまだ、やんなきゃいけねぇ事があるんだっ!」 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ 恭文を探すために、あたし達は散らばって行動開始。あたしはティアナさんと二人であっちこっち捜し回る。 ラン達も途中で通りかかった猫や犬達に聞いて回るけど、全く見つからない。しかもその、最悪な事がある。 モモが居れば楽に見つかるだろうけど、なんか向こうも向こうで忙しいらしくて来るのに時間がかかるっぽいんだよ。 頭痛くなりつつもあたし達はこの1月の寒い中必死に走り回って……どうしてこうなったんだろ。今日元旦なのに。 「恭文さーんっ! どこですかぁー!?」 「アルトアイゼンー! ジガンー! 聴こえたら返事してー!」 「こっちのみーずはあーまいぞー!」 「ラン、それは違うわ」 ランがちょっとアレなのは気にしない事にして、あたし達は市街地近くまで出てきてあっちこっち見てるけど……さっぱりだなぁ。 「でもあむちゃん、見事に人気がないわね。ここの辺りは普段なら人通りも多いのに」 「しょうがないよ。だって今日元旦だよ? 普通ならゆっくりしてるって。でも恭文、大丈夫かな」 「まぁ恭文君ならイマジンが実体化した途端に一刀両断しそうだけど」 「確かに……でも、うーん」 それでいいのかなぁと、歩きながら両腕を考えちゃう。そんなあたしの目の前にラン達が回り込んでくる。 「あむちゃん、どうしたのー?」 「いやさ、あのイマジン……本当に悪い奴なのかなーって思って」 「確かに。ボク達に謝ってきたしね」 「もしかして、こっちに来たのもなにか事情があるんでしょうかぁ」 ラン達共々首を傾げるけど、あたしは首を横に振って止まりそうな自分の気持ちを振り払う。 「ううん、ここは今はいいよね。どっちにしても恭文見つけてあのイマジンから話聞かないとさっぱりだし」 でも肝心の恭文がどこ居るかもさっぱりだしなぁ。もしかしてあの勢いで走り回ってるとか? うわ、ありそうだし。イマジンってモモとか亀とか見てるとどうもちょっとバカだしなぁ。 「……あむ」 その声は後ろからかかったもの。あたしは振り返りながらそちらを見ると、ティアナさんが足を止めてた。 てゆうか、一緒に歩いてたのにいつの間にか追い抜いてたっぽい。 「ティアナさん、どうしたんですか? てゆうか、どうしてそんな顔青くして」 ティアナさんはゆっくりと右手を上げて、あたし達の左側にある建物を指差す。 「こんなとこにこんなの、あったっけ」 そこは下はビリヤード場で、2階建ての建物。あ、ビリヤード場の名前は『かもめビリヤード』ってなってるね。 それで2階へ続く階段と思われる通路の横には、どうしてか水玉模様の看板があった。 その看板にはどういうわけか『鳴海探偵事務所』と書かれていた。てゆうか、すっごい見覚えある。 「あのね、私これすっごい見覚えあるのよ。というか、一度来た事がある」 「そ、そうですかぁ。……ティアナさん」 「えぇ」 あたし達は呼吸を整えて、その建物を見上げながら叫んだ。 「「ありえないしぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃっ!」」 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ 風は色んなものを運んでくる。悲しみも喜びも……本当にたくさんのものをだ。 過去には俺達自身が風に運ばれて大騒ぎになった事もあるが、今は遠い昔の事。ただまぁ、アレなんだよな。 シックな色合いが自慢の探偵事務所の中――部屋の奥のデスクに座りつつ俺は、頭を抱えた。 「なんじゃこりゃっ!? どうしてまたこんな事になってんだよっ!」 結論から言おう。ここ風都じゃねぇ。風都自慢の風都タワーとかそういうのがさっぱりなくなってんだよ。 てーかなんでこうなんだ? 年が明けてこの場に居る四人で新年の挨拶してたら、いきなり外がピカーと光ってコレだしよ。 「いやぁー、竜くん怖いー。助けてー?」 「所長、大丈夫だ。俺がついている」 「きゃー、竜くん素敵ー」 そのうちの二人は、白と黒の縞模様のトレーナーとジーンズ生地のミニスカ着てる黒髪長髪の女。 もう一人は赤い革ジャンと革パンに黒のインナー姿というのがデフォになった男。ちなみに夫婦だ。 「こらこらそこのバカップルっ! 結婚したばっかで熱々なのは分かるがこの状況でイチャついてんじゃねぇよっ! あと照井、お前もうハードボイルドじゃねぇわっ! なんかすっげー甘いわっ!」 「翔太郎くん、もしかして独り身で寂しくてヤキモチー? きゃー、男の嫉妬は醜いわー♪ 竜くん助けてー」 「左、絶望が……お前のゴールだ」 「お前らはぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」 この二人の名前は照井竜と照井亜樹子。つい先日結婚したばかりの二人で、俺――左翔太郎の関係者。 亜樹子は元々この探偵事務所の所長だったおやっさん――鳴海荘吉の娘で、現在も所長。 照井はこの街の出身で、警察関係者。『ガイアメモリ』が原因で起こる犯罪の対策班に所属してる。 で、最後の一人は緑と白の縞模様のロングシャツにゆったりとしたズボンを身に纏った男だ。 上着にノースリーブで暖色系のコートを羽織った黒髪のソイツは、右手を口元に当てて興味深そうに二人を見てる。 「なるほど、これがバカップルか。実に興味深い」 「おいフィリップ、興味持ってる場合じゃねぇだろっ! どうすんだよ、これっ!」 「そこについては既に検索済みさ」 そう言って左手でいつも持ってる分厚い洋書を、俺に見せつけるようにかざす。 「どうもこれはまた時間の歪みに巻き込まれたみたいだね」 「時間の歪みっ!? じゃあマジであの時と同じかよっ!」 「あぁ。というか、いつぞやとほぼ同じような現象だしね。そうとしか考えられない」 あの時……あー、もう1年以上前になるんだよな。あの時居なかった照井は首傾げてるが、俺と亜樹子はもう納得だ。 あの時も事務所ごと明治時代に移動して……あぁそうだそうだ。確かそこの二人、俺抜きで牛鍋食べやがったんだ。 なんか思い出したらスッゲームカムカしてつい二人を睨むが、ここは今は関係ないので抑えておく。 「ただその原因についてはさっぱり。それに関しては」 「情報収集してからって事か」 「そうなってしまうね」 あー、フィリップの検索も万能じゃあないからなぁ。まずはこの街がどこかとか、なにか起こってるかとかそういうのを調べてからか。 「よし、それじゃあ」 俺は部屋の奥――白と黒のチェック柄の壁近くにあるデスクから立ち上がり、後ろの帽子かけに手を伸ばす。 だが黒のソフト帽を掴みかけた瞬間、外からノックが聴こえてきた。それで俺だけじゃなく全員が動きを止めてそちらを見る。 「……早速お客さんか」 ソフト帽を右手でそのまま掴んでかぶり、白のシャツの上に巻いているネクタイを改めて正す。 「左」 「俺が出る。照井、お前はフィリップと亜樹子を」 「分かった。だが気をつけろ」 「あぁ」 照井達の脇を通ってデスクの真向かいにある入り口まで近づき、外の気配を探る。 とりあえず敵意の類は感じないが警戒しつつドアを開ける前に、中から声をかける。 「はい、鳴海探偵事務所です。どちらさまでしょうか」 「あー、前に明治時代でここに来た一人って言えば分かる? ほら、あの鳥引き取った」 それであの時の記憶が一気に引き出されて、俺は躊躇い無くドアを開けた。 するとそこには確かにあの時会ったオレンジ髪の女の子と、初見なピンク髪の子が居た。 「おいおい、お前……マジかよっ!」 「それはこっちのセリフよっ! アンタ達マジであの時私やフェイトさん達助けてくれたW!?」 「あぁそうだよっ! なんだよ、やっぱまた電王とかが絡んでんのかっ!」 「――ティアナ・ランスター!」 フィリップが嬉しそうな声を出して、俺の側まで来た。 「えぇ、そうよ。でもアンタ、どうしてそれを」 「蒼凪恭文とその関連項目を検索した時に確認済みだ。君は世界が誇るツンデレ・オブ・ツンデレだと」 「そのデータどこソースッ!? てゆうか削除してくれないかしらっ!」 「それは無理だ。そんな事より君、蒼凪恭文も居るのかい?」 フィリップは嬉しそうに笑いながら、ティアナ・ランスターの両肩を掴む。 「今こそあの約束を守る時だ。僕はこの瞬間がいつか来ると信じていたよ。それで彼は」 「あぁもう落ち着きなさいよっ! てゆうか、アンタ力入れ過ぎだし、それは無理なのよっ! ……アイツ、現在行方不明なのよ。イマジンに取り憑かれてそのまま」 「……え?」 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ とりあえず二人を中に引き入れて自己紹介した上で、改めて事情を聞いて照井にも状況説明。 二人には入り口近くにある応接用の赤いソファーに座ってもらった。俺とフィリップと亜樹子はその向かい側に座る。 それで照井は俺達の傍らに立って驚いた様子を見せつつも納得したらしく、腕を組んで二人――ティアナちゃんとあむちゃんを見た。 「――なるほど、大体の事は分かった。とにかく彼女達はその電王という仮面ライダーの関係者なんだな」 「あぁ。お前が風都に来る前にちょっとあってよ」 「じゃあもう話決まってるじゃないのっ! その蒼凪恭文って子に取り憑いたイマジンが」 「違うと思う」 あむちゃんが戸惑い気味に亜樹子の言葉を否定すると、亜樹子は驚いた顔であの子を見た。 「え、なんでっ! だってイマジンが出てきてあたし達こっち跳ばされて……もう決定だよっ!?」 「アイツ、なんか必死だった。それにあの、恭文の身体使う事をあたし達に謝ったんだよ? そんな奴がなにか悪い事するとはどうしても思えないんだ。そういう感じじゃなかった」 「あむちゃん、それは君の勘かい?」 「うん。結構あやふやだけど、あれが嘘だって思えない」 フィリップの言葉にあむちゃんが頷くが、自分でも確証が持てない……って、持てるはずないか。いきなり過ぎだしなぁ。 「なら、なぜそのイマジンとやらが君の友人に取り憑いたんだ」 「それが全然分からないんです。あたし達もいきなりな事で」 「アイツさらってなにかしようって感じでもないっぽいのよね。てゆうか、そうする理由ないもの。 アイツは別に特異点――あ、電王に変身したり出来る資質のある存在ってわけじゃないし。 しかもさっき話したみたいに契約を迫ってどうこうってのもない。しかも」 ティアナちゃんも困り気味にあむちゃんに視線を向ける。 「あむが感じた事が本当なら……とにかくイマジンのお決まりの行動から外れてるの」 「表面上だけ見ると、イマジンに旨みはないって事か。……フィリップ」 「了解。とりあえず僕は今の情報を元に検索してみるよ」 そう言いつつ俺達は二人揃って立ち上がり、俺は改めて近くに置いてあったソフト帽をかぶる。 「二人とも、悪いが案内頼めるか? この街は俺の庭じゃないしな。地理はさっぱりなんだ」 「え、あの……手伝ってくれるの?」 「もちろんさ」 フィリップは自分を見上げるあむちゃんを見下ろし右手をスナップさせながら、安心させるように笑いかける。 「彼と会わせてもらう事はフェイトさんとの約束だもの。その彼がなにかの危険にさらされているのなら、助けない理由はない」 「ま、しょうがないか」 亜樹子も大きく息を吐きつつ立ち上がり、二人を見てフィリップと同じように笑いかけた。 「そこんとこなんとかしないと、あたし達も風都に帰れないかもだしね。ねぇ竜くん」 「あぁ。なので俺も手伝おう」 「……あの、ありがと。というかその、マジ感謝する。あたし達だけだとどうしようもない感じっぽくて」 あむちゃんがそう言って、少し涙声で頭を下げた。 「礼は必要ない。これは俺達自身のためでもある」 「いや、それでもさ。私も感謝してるし。……でもアンタ達、マジ気をつけてよ? さっきも言ったけど」 「俺達があれだろ? ドラマの主人公になってる……か」 頷くティアナちゃんを見ても信じられなかったが、どうもそういう話になってるらしい。 だからあれだ、そういうドラマのジャンルに『仮面ライダー』があるらしいんだよ。驚きだよな。 「だから下手に変身とかしたら大騒ぎになるし、現時点でもアンタ達はそのドラマの出演者のそっくりさんだもの」 「あ、じゃあもしかしたらサイン求められちゃったりするのっ!? いやー、もうなんか恥ずかしいー♪」 「言ってる場合かっつーのっ!」 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ というわけで、事務所を出てあむちゃんと俺、ティアナちゃんと照井に分かれて捜索開始。フィリップと亜樹子は留守番だ。 こっちでも年明け直後らしく街は静かで、羽織った黒のコート越しにも冷たさが突き刺さる。 「なぁあむちゃん、確か仲間数人がかなり探し回ってんだよな」 「うん。大体10人前後」 「なのに見つからないか」 この近辺だと時期が時期だから人通りが少ないし、居たら絶対目立つはずなんだよ。 てーか改めて考えると、今回のコレを鬼ごっことかに例えると探す方が有利なんだ。 イマジンは多分地理関係とかさっぱりだろうしよ。でもあむちゃんとその仲間達はこの街の住人。 俺にも言える事だが、捜索範囲に土地勘って補正がかかるんだよ。その場合……相手の目的が大事になるが。 「なぁ、そのイマジンはなんか慌ててた様子っつってたよな」 「うん」 「まぁこれは俺の勝手な推測だが、なにかを探してるって事は考えられないか」 「え?」 右横のあむちゃんの方を見ると、あむちゃんは軽く首を傾げてはいた。 「……あ、なんか分かるかも。それで今日中にどうこうとかって言ってたし」 「相当慌ててたとなると、やっぱそこなんだよな。てーかあむちゃんがソイツを悪い奴と思えなかったのもそこじゃないのか」 「うん……そうなの。なんかアイツ、あたしが知ってる『悪い奴』とはまた違う感じがしたから」 納得したらしく何度もうんうんと頷くあむちゃんを見ながら、俺は周囲を見渡す。 ここは住宅街と市街地の合間らしいが、やっぱ人気少ないな。 「なら……えっと、アイツがなにを探してるかで捜索範囲を変えるって感じかな」 「そうなるな。もちろんそれで大きく変わるところはあるが、助かる事に人海戦術が使える」 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ 「――だからそれぞれ手分けして考えられる範囲を捜索すればいい」 「なるほど、それは確かに」 うわ、さすが本職の刑事だわ。私も軽く頭抱えてたのにあっさり解決法打ち立てるし。あー、私まだまだだなぁ。 「その場合考えられるのは」 「大まかに分けて物か場所、もしくは……人よね」 「そうなる」 いやね、イマジンでも人でもなにか探してるならそれによると思うのよ。 でも同時に『どうしてそんな事をするのか』というのが考えられる。で、一つ嫌な考えが思い浮かぶのよ。 「それにイマジンというのは契約に基づいて行動するのだろう?」 「あー、うん。実は私もそれ考えてた。もしもあのイマジンに他に契約者が居て、それと交わした契約にアイツが必要なら」 「そうだ。こんな事をしたのも充分頷ける」 ここが『嫌な考え』よ。それならあむがやたら気にしてた必死な様子にも、一応は説明がつく。 ただなんでこの世界で……またネガタロスとか? ほら、メカネガタロスとかそういうのになって……想像して表情が渋くなってしまった。 「そこも含めると、最優先事項は人だな」 「この場合、イマジン自身がなにか探してる場合は人の多いところ――繁華街とか」 「逆に今言ったようになんらかの目的でこれなら、人気が少ない町外れなどだ。 その方向で探してみよう。ティアナちゃん、すまないが連絡の方を頼む」 「分かったわ」 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ 事務所の地下にあるでっかい車を収容している部屋も、あたし達と一緒に跳ばされてきてた。 少し薄暗い証明に、観音開き式にキャノビーが開いてる車の上に金属製の足場とはしごがかかっている。 入り口の真向かいにはソファーやテーブルにパソコン、白いホワイトボードが置いてある。 その場所は何度来ても少し不思議な空間だと思う。なんかこう、異空間って感じ? 「じゃあフィリップ君、お願いー」 「了解」 留守番を任されたあたしはフィリップ君共々そこに来て、フィリップ君は早速検索開始。 まずは瞳を閉じてゆっくりと開いた右手を左へ振りかぶり、それを振りかぶったのと同じ速度で右に振るう。 「――検索を始めよう」 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ ここは星の本棚――僕の中にある地球のデータベースそのもの。ここではあらゆる情報が入手出来る。 僕達の住む世界とは違うこの場所でも、僕の検索は健在。それも異世界のライダーや人間の情報まで存在している。 ここは以前時間の歪みに巻き込まれた時に証明済み。だからこそ僕は彼らの事を知った。 ただひたすらに広い真っ白な空間に無数の本棚だけが存在する世界は、僕にとってとても心地が良い。 それで自然と緩む口元を引き締めつつ、僕は書庫に眠る知識達にまずワードを一つ投げかける。 「キーワードは蒼凪恭文」 僕の声に合わせて、白い世界の中に大量に存在している本棚がせわしなく動いて一部が消えていく。 「イマジン」 続けてワードを声に出すと、更に本棚がせわしなく動いて整列し、それ以外のものが消えていく。 「聖夜市」 最後にもう一つワードを足して、本棚は10数――本の数にすると100以上の項目が残った。 『フィリップ君、どうー?』 照井亜樹子――アキちゃんの声がマイクを通したかのようなノイズ混じりな感じで聴こえる。 ここは僕の精神世界ではあるけど、外との会話は可能。アキちゃんは僕の側で声をかけてくれている。 「ダメだ。検索範囲が広過ぎる。情報が絞り切れない」 あらゆる情報が存在する星の本棚には、いくつかの制約が存在する。そのうちの一つが今の状況に繋がっている。 必要な情報を出すためのキーワードを僕達が出せないと、情報が絞り込めないんだ。これでは多過ぎる。 「彼はイマジンと前々から関わっている。この街で暮らしている事も同じだ」 『そこキーワードだとダメだーって事かぁ。ならなら、どういうワードがあれば絞り込めるかな』 「例えばイマジンの名前かな。それが無理な場合は、契約者の名前。それがあるだけでも大分違う。 最悪イマジンの目的だろうか。なんのために蒼凪恭文を必要としたかが分かれば」 『そうなると翔太郎くん達の情報待ちだね。分かった。じゃあ二人にそこ連絡しとく』 「よろしく、アキちゃん。僕は現状思いつくワードを組み合わせて、もう少し検索を続けてみるよ」 電王が来れば、そこの辺りもあっさり解決するんだろうが……彼らは彼らで用があるらしい。 なので僕達でなんとかしたいところではあるが、これはどうしたものか。なぜ蒼凪恭文を必要とした? あむちゃんにも詳しく話は聞いたけど、僕や翔太郎の印象としては偶発的という部分が大きいと思う。 なので彼個人が必要ではなく、たまたま彼が選ばれたようにも感じている。 だがそうすると更にイマジンの目的が気になる。……実に興味深い。 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ とりあえず住宅街関係はさっぱり。てーか人の影が本当にない。 なのでオレは公共の掲示板に貼ってる地図を見つつ繁華街を目指す。 いくらなんでもそこだったら人っ子一人くらい居るだろ。そうすりゃあなんか掴めるかも知れねぇ。 とにかく全力疾走を続ける中、急に身体に痛みが走りオレの動きが止まった。 「ぐ……ぐぅ」 オレは右手で胸を押さえて、近くの電柱によりかかる。そしてコートの袖口と両足から砂が零れ落ちた。 痛んでいるのはコイツの身体どうこうじゃない。オレの存在自身……オレは呼吸を整えつつ、その気持ちの悪い痛みに耐えた。 ≪……あなた、どうしたんですか≫ 「へへ、なんでもねぇよ」 ≪よくないのっ! 主様の身体使ってる自覚0なのっ!≫ 「その自覚ならあるさ」 オレは背を伸ばして、呼吸を改めて整えてから繁華街に向かって疾走。 「あるから……とっとと終わらせたいんだよっ!」 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ そうして繁華街にやって来たが、高いビルが立ち並ぶ街中でも人通りは少ない。 そんな中をふらふらしつつも……くそ、こんな早く限界来るのかよ。分かっちゃあいたがキツ過ぎるぜ。 袖口から溢れる砂には構わず、オレは周囲を見渡して人とどんどんすれ違っていく。 それで灰色のコート羽織って髪をオールバックにしたじいちゃんとすれ違って、軽く肩がぶつかった。 「あ、悪」 そのじいちゃんの方へ振り向いて、そう言いかけて言葉が止まった。てーか気づいた。 じいちゃんのコートやスーツっぽいズボンの袖口から、オレと同じように砂が零れ落ちてた。 「……テメェっ!」 オレはそのじいちゃんの胸倉を掴んでソイツを引き寄せる。 「ははははははははははっ! まさかこんなところまで」 だが腹に鈍い衝撃が走り、オレは背中から歩道――コンクリの地面に叩きつけられ転がる。 「追いかけてくるとはなぁっ!」 腹を蹴られたためにゲホゲホ言いながら起き上がると、そのじいちゃんの身体が前のめりに崩れ落ちた。 同時に袖口から一気に砂が噴き出し、それが忌々しいアイツの姿を形取った。 その姿は身体の前後を包む長方形で銀色のアーマーが印象的な――ハートの王様。 前面にはいびつなハートの印が刻まれ、アーマーは肩や両手両足にもあり、各所を丸みを帯びた装甲で包んでいる。 基本体色は赤であり、そこに白の帯が螺旋状に描かれてそこに体色と同じ色のハートが描かれていた。 そのハートの右上と左下には大きく『13』という数字が刻印されていた。つまりトランプで言うところのハートの13だ。 顔はいかつく、W字の口と牙、そして反り返った大きなヒゲ状の装飾が印象的。 最後に頭に装着した金色のけばけばしい王冠だ。ぶっちゃけ、見た目がケバい。 そんな化け物がいきなり現れたもんだから、周囲は一気に大騒ぎ。 悲鳴あげながら男も女子どもも関係なくオレ達から逃げる。 「……なにがおかしいんだよ」 胸の中でコイツに謝りつつ、オレは口元を右手の甲で拭う。 「時代錯誤に人の記憶辿って時間壊そうとする奴が居たら、止めるのは当然だろうがっ!」 「時代錯誤? ふふふふ……はははははははははははははははっ!」 ソイツは倒れてるオールバックの髪のじいちゃんを左足で踏みつけ、俺をその黒い瞳で嘲笑ってくる。 「お前バカかっ! 我もお前も、そのために存在しているのだろうがっ! イマジンはこの虫けら共を食い潰すために存在しているっ! その本分を通してなにが悪いっ!」 「そんな事しなくても生きてるイマジンは居るんだよっ! テメェのわがままを当然のように」 オレはそのまま怒り混じりでソイツに跳びかかる。 「言ってんじゃねぇっ!」 「……ふん」 アイツの胸元のハートマークが輝くと、アイツの周囲に10数体の同型イマジンが出てきた。オレは思わず足を止めちまう。 その姿はアイツ準拠で、顔だけ違っていた。アイツはいかつい顔だが、こっちは普通の口元に銀色のハーフヘルメットをかぶってる。 マークはハートやスペード、クローバーと色々あって、描かれてる数字も同じく。これらは全部コイツの兵隊だ。 それでハートの王様イマジンは、左足をどけてあのじいちゃんを左腕で脇に抱える。 「お前達、遊んでやれ」 その言葉で兵隊達は両手で持っている銀色の槍をオレに向けた。 それでソイツも一気に跳躍して、この場から撤退しやがった。 追いかけたくても向けられている槍のために、オレは動きを封じられた。 その穂先は円錐状になっていて、刺さったら痛そうだ。だがそれに構ってる暇はねぇ。 「へへ、上等だ」 オレは腰を落として、両拳を握り締めて半身になりつつ腕を頭くらいの高さまで上げて構える。 「まずはお前ら片してからだな」 ≪ちょっとあなた、とっとと主様から出てくのっ! そうしたらこんな連中すぐに退散させられるのっ!≫ 「悪いがそれは」 オレが踏み込むと、先頭に居た一体が槍を突き出してくる。それを左に僅かに身を捻りつつ更に踏み込み。 「無理だっ!」 右足でソイツの顔面を正面から蹴り飛ばす。兵隊その1は頭から地面に叩きつけられて動かなくなる。 続けて来た他の連中の刺突をジャンプで避けつつ、その突き出され交差している槍達の上に乗る。 その槍七本の交差部分を足場に跳躍して、素早く右足を動かして右側に居る三人の顔面を蹴り飛ばす。 瞬間的に打ち込まれた三発の蹴りを受けて、そのまま倒れる三人の上を飛び越えて地面に着地。 振り返り左足を上げて、後ろ回し蹴りで真ん中に居た奴の唐竹の打ち込みを払う。 槍の穂先が近くのガードレールをヘコませるのにも構わず、オレは踏み込んで右足で腹を蹴る。 ソイツが吹き飛ぶのにも構わずに足を引いて、右側三人に居る奴の腹にも三連発で蹴りを叩き込んで倒した上で宙返り。 そうして残りの連中が突き出してきた槍を避けた上で背後にある車道に着地。連中は遠慮無くこっちに近寄ってきやがった。 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ メールでフェイトさんに平謝りしてから、僕達はターミナルに向かう理由を改めてオーナーに聞いた。 だってあの、普通に考えても時間のロスだもの。それはオーナーも分かっていたのか、チャーハンを食べつつ説明してくれた。 「――派遣イマジンが消えた?」 「それってあの……テディと同じ」 「えぇ」 オーナーは後部車両へ続く入り口近くの席に座って、ナオミさんが出したチャーハンを見ながら右の袖口からスプーンを取り出す。 ちなみに今日チャーハンの山のてっぺんに立てられている旗の柄は日の丸で、その上に『謹賀新年』と書かれている。 「テディくんのような派遣イマジンは、他にも存在しています。彼らはターミナルを拠点に生活しており」 右手に持ったスプーンを指先で軽く回転させてから、それをチャーハンの山につけてすくう。 「契約者が見つかるとそのイメージによって姿が改めて構築されて、一定期間内を契約者と共に過ごします。 テディくんの場合は未来の時間であなた方の話を聞いていた幸太郎くんのイメージで、あの姿になったというわけです」 「あぁ、そやから青鬼……ん? それやとなんで天丼はこの間のアレで姿変わらんかったんや」 「あー、そうだよね。だってオーナーが契約者になってたのに、青い熊ちゃんは青い熊ちゃんのまんまだったし」 「どうしてでしょうねぇ。そこについては普通の人間ではなく私が契約者だったせいか」 オーナーはそう言いつつ救ったチャーハンを食べて、しっかりと咀嚼。 「もしくは幸太郎くんと過ごした時間――記憶が余りにも強いせいで、イメージが固定化されたかのどちらかでしょう」 「それでその天丼の仲間がターミナルから消えたってのか」 「じゃあそのイマジンが、恭文に取り憑いたイマジン?」 「おそらくは。彼はまだターミナルに来たばかりで、契約者も当然居ない。 今ターミナルに向かっているのは、彼の保護に必要なチケットを取りに行くためです。 みなさん、覚えていますか? 私がテディくんに契約を乗り換えてもらった時にチケットを使ったのを」 えっと、夏頃の話だよね。確か……あぁ、そうだそうだ。オーナーは確かにチケットを使ってた。 それを使ったら幸太郎のところに居たテディがオーナーのところに瞬間移動したっけ。 みんなもその様子を思い出したから、顔を見合わせて『そう言えば』と言いたげにざわめく。 「もし恭文くんがその彼に取り憑かれていた場合、一時的にでも彼と契約してもらわねければ少々マズいですからねぇ」 「マズい?」 「えぇ、マズいんです。ですが問題はまだありまして」 それからオーナーはまたスプーンでチャーハンの山を崩しにかかる。 「その直前、どうもはぐれイマジンがターミナル内に出てきて暴れたようなんですよねぇ」 「……あの、まさかそのイマジンも」 「えぇ、現在逃亡中です。かなり厄介な能力を持ったイマジンだったそうです。 ターミナル内の警備スタッフでは全くと言っていいほど歯が立たなかった」 「じゃあ恭文君が取り憑かれたイマジンが、その暴れたイマジンの可能性もある?」 またチャーハンを一口食べて飲み込んでから、オーナーはスプーンでチャーハンの山を崩しにいく。 「というかオーナー、さっき言ってたマズいってなんですか」 「……気になります?」 「かなり」 「簡単ですよ。もし恭文くん達の世界に派遣イマジンが来ていた場合」 オーナーが僕の質問に答えてる間に、チャーハンの山の崩し方が大きかったせいか――旗が傾いた。 「このままでは彼は……消滅する可能性があります」 そして傾いた旗は、チャーハンの山の上で倒れてしまった。 それはそのイマジンの末路を示しているかのようで……僕は見ていてとても嫌な予感に襲われてしまった。 (第132話へ続く) あとがき フェイト「というわけで、新年早々始まった超・電王編です。今回もやっぱりオリジナルストーリー。 ……ヤスフミどこー!? というか、一体なにしてるのかなー! フェイト・T・蒼凪はここだよー!」 あむ「フェイトさん、落ち着いてくださいってっ! ……あ、日奈森あむです。 それと今回出て来たあのケバいイマジンは、ふしぎの国のアリスのハートの王様がモチーフです」 (そして出てきたのは同じく出てきたトランプの兵隊です。今回はこんなノリで) あむ「それと恭文に取り憑いてるイマジンは……まぁお察しください」 フェイト「もう丸分かりだけど、一応内緒という事で」 (基本戦闘スタイルはあんな感じです。というか、設定に合うのはやはり蹴り技中心かと) フェイト「それでヤスフミは元旦早々トラブルに巻き込まれて」 あむ「その上Wの面々も出てきて……なんかすっごいカオスな」 フェイト「でもこれがとまとの通常運行なんだよね。いつも通りなのがもう……凄いね」 (そして今回は照井竜――アクセルも登場です。なお、EPISODE BLUE編に関しては400万Hit掲載目指して書き書きしてます) フェイト「あ、そうそう。EPISODE BLUEのお話も400万Hit時にまとめて掲載出来るように書いてるんだよね」 あむ「更新控えめなの、そこの準備がメインなんですよね。結構まとめるの難しいらしくて」 フェイト「追加メンバーも居るから……カオスなのが通常運行かぁ」 あむ「基本ですよね」 (とまとはもう、戻れない程にカオスな話になっているのであった) フェイト「さて、それでは次回……なにやらシリアスな匂いも含みつつ、みんなで……ヤスフミどこー!?」 あむ「フェイトさん落ち着いてっ! ハードボイルドハードボイルドッ!」 (ちなみにハートの王様イマジンのイメージCVは関智一さんだったりする。 本日のED:上木彩矢 w TAKUYA『W-B-X〜W Boiled Extreme〜』) ???「つーわけで、拍手印なオレもついに本編デビューだぜっ!」 ???「うー、ズルいズルいー! ねぇフェイトちゃん、わたしも出たいー!」 フェイト「え、えっと……一応考えてるっぽいからその、落ち着こう? ただどういうタイミングで出すかが結構悩んでるみたいだけど。設定は拍手準拠だし」 ???「あ、そうなんだー。よーし、それで(うったわれるーものー♪)より絶対活躍するんだからー!」 ???「へ、お前なんかに負けるかっつーのっ! この汁粉がっ!」 ???「(おれたっちうったわれるーものー♪)ちゃんラリアットっ!」(ぶぉんっ!) ???「ごへっ!」 ???「ぶぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇんっ! 汁粉って言うなー!」 (おしまい) [*前へ][次へ#] [戻る] |