小説(魔法少女リリカルなのは:二次小説)
第130話 『Dancer came back/たまごの帰る場所』
リズム・てまり・クスクス『しゅごしゅごー♪』
リズム「さー! 今回もスタートドキたまタイム……けどよ、なんかマズくねぇかっ!?」
てまり「なぎひこが今この場で全てを告げるなら問題ないのでしょうけど」
(立ち上がる画面に映るのは、顔を青くしているクイーンでジャック)
リズム「けどよ、なんかそれだけじゃないっぽいぞ」
(そして画面が切り替わり、『たまご』を見て首を傾げるあの子の姿が映る)
てまり「どうやら今回の話も、かなり大荒れになりそうですね」
リズム「だな。まぁ早速」
クスクス「初めまして初めまして初めまして初めまして初めましてー!」
てまり「クスクスさん、どうなさったのですか?」
クスクス「えっとえっと、なぎひこがなでしこだーって隠さなくちゃいけないんだよねー? だから練習してるのー」
リズム「……なんか悪い事してる気分になってきたな」
てまり「確かに。それでは今回は私達で。せぇの」
リズム・てまり・クスクス『じゃんぷっ!』
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
いつも通りな放課後。あたしはロイヤルガーデンの中にあるちっちゃな噴水の水面をじーっと見てた。
あのねあのね、はっぱが水面をすーっと流れてて面白いのー。あの葉っぱはどこへ行くのかなー。
「りっか」
あたしを呼ぶりま先輩の声で後ろを振り向くと、あむ先輩達が紅茶のポットやお菓子の乗ったお皿を持ってこっちを見てた。
「お手伝いはどうしたの?」
「ですです。してくれるんじゃなかったですかー」
「あ、ごめんなさーい」
あたしは駆け足でいつも会議とかする白いテーブルがある方に向かう。というか、いけないいけない。ついついじーっと見てたやー。
「柊さん、噴水のところで何か気になる事でもあった? 掃除はしてるんだけど、どこか汚れてたとか」
「……そう言えばおのれ、ナマズ飼ってるんだっけ。水棲系の動物飼ってる人間から見ると、水質管理に問題があったとか」
「えー!? 恭文先輩なんであたしがナマズ飼ってる事知ってるんですかー!」
という事は……マズいマズいっ! それって先輩にあたしのプライベートが筒抜けって事じゃんっ!
じゃあじゃあ×たま達の事も――あたしは寒気が身体中に走って、恭文先輩から一歩後ずさる。
「いや、この間の学祭で放課後ティータイムのボーカルさんに話してたでしょ」
「ほえ? ――おぉ」
あたしは納得して両手で柏手を打った。というか、そうだよそうだよー。唯さんとお話した時にその話してたー。
「納得しましたー。でもそうじゃなくて――葉っぱが水面をスーって流れて……どこに行くのかなーって」
「それであんなに真剣に見てたと。やっぱり柊さんは集中力は凄いんだよね。気になる事があったらどこまでも追求してく」
「えへへー、誉められちったー」
「でもその代わりその興味が瞬間的に移りやすくて無軌道な上に人の話を全く聞かないけど」
う、恭文先輩が意地悪だ。というかというか、お手上げポーズで呆れたようにため息吐くのやめてー。
「そんな事ないですー! りっかだってちゃんと人のお話聞く……時もあるし」
「りっか、あなた自分で自覚はあるのね。驚きだわ」
「その、前の学校の通信簿にもそういう風に書かれる事が多くて。あの、それと気になってたんですけど」
あたしは視線を左に動かして、一足早く着席して大きくため息を吐いて机に突っ伏したなぎひこ先輩を見る。
「なぎひこ先輩、どうしたんですか? なんか元気ない感じですけど」
「さぁ。あたしもよく分かんないんだよね。朝からあんな感じだし」
「あむ、放っておいてあげましょう。なぎひこだって色々あるのよ。
……それよりややとひかる、遅いわね。花壇の水やりだって言ってたけど」
りま先輩が少し気にしたように紅茶のポットをテーブルに置きながら左側――ロイヤルガーデンの入り口の方を見る。
あ、やや先輩とひかるはあの花壇の方に行ってるらしいんだ。あたしは知らなかったけど。
「そろそろ会議も始めたいし、呼びに行った方がいいかな。じゃあみんな、僕が行くから」
「あー、あたし行きますー!」
唯世先輩が動こうとしたから、その前にその場で軽くジャンプしつつ右手を上げてアピール。
「あたしもお花の様子見ておきたいし……って、あれ? なんでみんなそんなに不安そうな顔であたしを見るんですか」
「……りっか、アンタ今さっきの行動とか会話とか振り返ってみな? そりゃあ不安にもなるって」
「むー! 大丈夫ですってー! りっかだってこれくらい出来ますー!」
「ま、まぁ呼びに行くだけだし……大丈夫、だよね?」
「唯世先輩も疑問符禁止ー!」
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
というわけで、あの花壇でお花の世話をしてるやや先輩とひかるを呼びに行ったあたし。
ロイヤルガーデンを出て中庭を抜け、校舎近くの花壇までの道はもう覚えてるし楽勝楽勝。
……なんて思ってたんだけど、途中で悲しげな声を耳にした。というか、鳥さん?
鳥さんの鳴き声が悲しげな感じがして……うん、あたし動物の言いたい事とかなんとなくだけど分かるの。
さすがに×たまみたいには無理だけどねー。とにかくそれで鳴き声のする方へ方へと入っていく。
そこは中庭の中でも茂みの奥の方で……そこの中の一本の木の上で、鳥さんが鳴いてた。
それはやっぱり悲しげな声で、あたしは周囲をよーく見渡すとはんてん模様の摘めるサイズの卵を見つけた。
それは草の上に落ちていて、あたしはそれを割らないように拾い上げた。
その卵は小さいけどとっても温かくて、鳥さん達はそのたまごをジッと見てる。
この子、巣から落ちちゃったみたい。でも割れなくてよかったー。結構高いところにあるしー。
でも鳥さんだけの力じゃ、この子を巣に戻すのは無理だよね。でもなんで……あぁ、思い出した。
確か鳥さんの卵って、一定時間毎に転卵――卵を引っくり返してあげないと死んじゃうんだよね。
もしかしてその時に間違えて巣から落としちゃった? ヒビとかは入ってない感じだけど、大丈夫かなぁ。
たしか動物図鑑で見た時は、この子みたいにヒビが入ってなくてもちょっとの衝撃で死んじゃう事も……この子はまだ温かい。
確かにもう、この子は生まれてこないかも。でも大丈夫……うん、あたしは大丈夫だって信じる。
それにあたしが頑張らなかったら、本当に大丈夫だったら大変な事になっちゃうもん。あたしは木を見上げて決めた。
「……よし」
あたしは卵をポケットに入れて、木に抱きついて。
「やめんかいバカっ!」
でもそこでいきなり頭をげんこつされた。痛みに呻きながら後ろを見ると……あれれ?
「恭文先輩っ! どうしてここにっ!」
「どうしてもこうしてもないっ! まーた寄り道してやる事忘れるんじゃないかと思って追いかけてみたらこれだしっ!」
「でもでも、この子がー!」
「言い訳は聞かない。てーかおのれはまた同じ事をやるつもりかい」
呆れ気味な先輩に反論しようとするけど、前に木から落ちちゃった時の事を思い出して動きが止まっちゃう。
そう言えばリイン先輩ともども――うぅ、あたしがまた落ちちゃうと思われてるんだ。たしかにこの木、あの時のより大きいし。
「とりあえずおのれには無理だ。あそこまで何メートルあると思ってるの?」
「でもー」
「でもじゃない。それで落ちてその卵が割れたらどうするの。というわけで、ほい」
先輩はそう言って、あたしに右手を出してきた。その意味が分かんなくて首を傾げちゃう。
「その卵をあそこに戻すのは僕でやる。いや、正確には」
先輩は横目で自分の近くに居るシオン達を見た。シオン達は先輩の方を見返して頷く。
「私達ですね。お兄様でも可能ですけど、それだと鳥達を怯えさせますし」
「というわけでりっか、卵をこちらへ」
「安心しろ。オレ達三人で安全確実に戻すさ。約束する」
「……うん、分かった。それじゃあみんなお願い」
シオン達に卵を渡すと、みんなは卵を大事に三人で抱えて木の枝の上にある巣のところに行く。
それでそれで、本当にびっくりするくらいあっさりと卵は巣の中に戻された。
鳥さん達の鳴き声は悲しい声から、嬉しそうな声に変わった。あたしはそれを聞いて自然と笑ってた。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
卵は無事に戻せたので、あたしは改めて先輩と一緒にやや先輩達を呼びに花壇に行く。
鳥さん達はもう悲しそうな声で泣いたりしてない。それが嬉しくてあたしはニコニコ。
「――先輩、前に浄化したこころのたまごはみんな宿主のところに帰るって言ってましたよね」
「言ったねぇ」
「でもでも、やっぱりあたし信じられなくて……えっと、なんでだろうなってずっと考えてたんです」
先輩達の方がたまごの事とか詳しい。でもでも、あたしの家には家に帰ったりしない×たま達がたくさん居る。
この子達も浄化すれば元の場所に帰るのかなーとか考えて……でもなんか納得出来なくてずーっと頭を捻ってた。
「でもさっきのアレでようやく分かった。あたし、たまごが宿主のところに帰ったところとか、一度も見た事ないんです」
「……なるほど」
先輩は怒ったりとかそういうのも無く、納得した感じで頷いてくれた。
「そりゃ道理だわ。いやさ、僕とかあむとかはそういうの見てるのよ」
それから右手で口元を押さえながら、少し考え込むように俯いた。
「例えば宿主が身近に居て、それでたまたま遭遇してーってパターン?
それでたまごが元に戻るとこを見てるのよ。だからそこの辺りは大丈夫って言えるんだけど」
「だがりっかの場合――確かにそうだな。オレ達と会ってから、そういうの見た事ないよな」
「うんー。迷子のたまごって、そのまま迷子なのかな。
宿主の子がその夢を『いらない』って思っちゃったらそのままなのかな」
あたしはなんだか悲しくなって、困った顔をしながら歩きつつ空を見上げる。
「あの鳥さんのたまごみたいにずっと迷子で……寂しくなっちゃうのかなぁ」
だったらうちに居るあの子達は浄化なんてしない方がいいんじゃないかーって思うんだ。だってかわいそうだよ。
浄化しても帰るところもないんじゃ、あの子達はどこへ行けばいいの? それならあたしが……あたしがあの子達と居るよ。
でもでも、もし宿主の子があの鳥さんみたいに悲しく鳴いてたらと思うとなんだかこう、悲しくなってきちゃう。
All kids have an egg in my soul
Heart Egg――The invisible I want my
『とまとシリーズ』×『しゅごキャラ』 クロス小説
とある魔導師と古き鉄とドキドキな夢のたまご/じゃんぷっ!!!
第130話 『Dancer came back/たまごの帰る場所』
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
前回のあらすじ、なぎひこが地雷踏みました――以上。というわけで、緊急作戦会議です。
なぎひこが朝から本気でダウナー入ってたので、放課後にうちに早々に連れてきてフェイトとリインも交えてお話し合いだよ。
りっかの疑問も気になりつつ……まぁ機会があればって感じかぁ。ただ僕としてはそれが無い事も祈りたい。
だってそういう瞬間を見るって事は、やっぱ誰かのこころに×が付くって事だしさ。でも、たまごが帰る瞬間かぁ。
極々普通に見てたけど、かなり凄い事でもあるんだなぁと思いつつ……今はこのヘタレの事だよ。
「というわけで二人とも、なぎひこがここで全部バラすでファイナルアンサー?」
『ファイナルアンサー』
「ちょっと待ってぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!」
うちの客間の床に座って僕とフェイトとリインの目の前で頭抱えてるのは、藤咲なぎひこ。
でも今後はきっとヘタレと呼ばれる小学6年生である。いや、今僕が呼んでるから問題ないか。
「お願いだから協力してっ! まだ……まだ心の準備がっ!」
「いや、無理でしょ。てーか何をどう協力していけと?」
「ですです」
「例えばその……あ、変身魔法っ! それで誰かになでしこになってもらって」
「なぎひこ君、それはダメだよ。そんな事したらますます言い辛くなるよ?」
フェイトの鋭いツッコミよって、なぎひこは胸元を右手で押さえながら崩れ落ちた。
「……えぇ、分かってました。そんな事したらみんなまで共犯にしますしね」
「うん、そうだよ。嘘に嘘を積み重ねても辛いだけだっていうのは、この間のあむを見て分かってるよね? だからここは」
「でも今は辛いんですよっ! 本当は留学して1年かけて心の準備を整えようとしてたのにー!」
そしてなぎひこは床に突っ伏して泣き始めた。……コイツ、やっぱヘタレだ。ヘタするとマダマ以上かも。
その様子を見て、僕は腕組みつつ大きくため息を吐いた。その間にもなぎひこは泣き続ける。
「なぎひこ、悪いけど僕達はあんまフォロー出来ないよ?」
「ですです。というか、そういう事しちゃったら全部バレた時の印象が悪くなるですよ」
あのね、僕達も出来れば助けたいとは思うのよ。なぎひこの気持ちはよーく分かるしさ。
だけど今リインが言ったような事があるから、最低限のフォローしか出来ないのよ。
ただつい先日ど派手にやらかしたあの魔法少女に、なぎひこを責める権利があるかどうかは疑問だけど。
「つまりその、フェイトさんや恭文君達の意見としては」
ここには事情を知っている人間しか居ないので、もう常時登場状態だったてまりが困ったように蹲るなぎひこを見る。
「えっと、てまりちゃんやリズムには悪いんだけど……なぎひこ君、地獄を見ようか。
それが嫌ならもう全部吐き出すしかないよ。もしかしたらコレはいい機会じゃ」
「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」
「ナギー落ち着けってっ! てーかそんなに怖いのかよっ! お前、顔真っ青だぞっ!」
「なぎひこさん、意外とヘタレなのです」
「リインちゃん、それは言ってあげないで? 1年に渡っての積み重ねがあるからどうしてもこうなっちゃうの」
こうして、なぎひこにとっては地獄とも言うべき時間が始まる事になった。……そう、始まるのよ。
嘘の上塗りはダメと知りつつ、それでもヘタレだから現状維持を貫き通してしまうのがなぎひこの弱さだよ。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
少しして、園遊会が行われる三日前。ついになぎひこにとって地獄の時間が始まった。
さすがに放置出来ずに浮き浮き顔のあむに付き添う形で、園遊会の会場にやって来た。
なお、リインは逃げやがった。普通にディードとお買い物するとか言って……ちくしょー。
現在僕達はなぎひこの案内でしだれ桜のセットが綺麗な舞台上に上がった。
場所は聖夜市の中にある多目的ホール。あ、ややが通ってるバレエ教室の発表会もここでやってるんだ。
客席はかなりの広さで、100人単位のお客さんも受け入れられそうな場所になっている。
うん、ここまではいい。問題はどういうわけかそこに三人ほどおまけが居る事だよ。
「なんでおのれら居るっ!?」
「恭文、ひどいわね。そう、私との事は遊びだったのね。私の全てを奪っておきながらそれはないわよ。
あの時のあなたはケダモノみたいだった。でもね、これだけは言っておくわ」
おまけその1はそう言って、僕を右手でビシッと指差す。
「あなたに本当の愛なんて一生掴めないっ!」
「ケダモノケダモノー! ……ねぇねぇ、ケダモノってどういう意味?」
「本当の愛ならおのれに会う前に掴んでるっつーのっ! あとクスクス、意味分かんないなら乗るなっ!」
はい、りまです。服装は白と薄紫のワンピース。普通にここに来やがったし。
というか、りまはある意味当然とも言える。問題は……あの二人だよ。
「あとそこの二人もっ! なんでわざわざこっち来ちゃったっ!?」
「えっと、なぎひこ君から話を聞いて」
「せっかくだからフェイトママやティアナさん達とも会いたくてー」
はい、今満面の笑みなのはなのはとヴィヴィオです。極々普通にやって来ました。うん、驚きだよね。でも一番驚いたの僕だし。
”あとはその……ほら、あむさんはなでしこがなぎひこ君だって知らないんだよね? ちょっと心配にもなって”
”あー、そう言えばおのれとヴィヴィオは知ってたんだっけ”
なんかヴィヴィオも実は極々自然に気づいて、アギトと話したりしたそうだしなぁ。……末恐ろしいぞ、おい。
”でもなのは、分かってるとは思うけど”
”うん、あんまりフォローしちゃダメなんだよね。ホントの事話した時にかえってこじれるから”
”そうだよ。僕達に出来るのは……流れに身を任せる事だけだ”
そう言いながらなのは共々、しだれ桜のセットの綺麗さに目を奪われるあむを見る。
なぎひこに関してはさっきから始終苦笑いしっ放しで、明らかにりまを気にしている。
”でも身を任せたらあっさり沈没しそうなんだけど”
”うん、知ってる。てーか現時点で藤咲号は浸水してるし”
「それでなぎひこ、噂のなでしこさんはどこかしら」
りまのどこかわざとらしい声に、なぎひこの身体が激しく震え始めた。
「そう言えばそうだよね。ねぇなぎひこ」
「ちょっと待っててっ!」
そのままなぎひこは凄いスピードで舞台の下手の方に移動を開始した。
僕となのはとヴィヴィオは、ただただなぎひこに敬礼するのであった。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
舞台に出る際に重要な事は、実は与えられた演目が出来る事じゃない。というか、それは基本だから数に入らない。
全ての行動はそれが出来た上で成り立つ事。ではその上で何が求められるかというと、迅速な行動。
舞台の下手から一気に走り舞台裏手の控え室に戻り、着ていた青と緑の薄手のシャツとジーンズを脱ぎ捨てて服装変更。
上はピンクと白の色合いが美しく、下はフリフリが折り重なるような形の白スカートになっているワンピースを着装。
その上で赤い髪結い布でポニーテールを作って、僕の側に居たリズムが隠れていたてまりとハイタッチ。
「てまり、選手交代だ」
「はいな」
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
「あむちゃん」
僕達が敬礼してから大体10秒後。背後に突然生まれた気配に驚きながら僕達は舞台の上手を見る。
そこには落ち着いた佇まいのなでしこが居た。なのはは仰天のあまりなでしこを指差して口をパクパクさせてる。
「――なでしこぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!」
あむはこちらに歩み寄ってくるなでしこに素早く飛び込んで抱きつき、なでしこは嬉しそうに抱き返す。
「会いたかったよー! なでしこ……本物のなでしこだー!」
「久しぶりね、あむちゃん」
「てまりさんもお久しぶりですぅ」
「はいな」
……あなた達楽しそうだね。でもね、お願いだから僕の近くに居るりまに目を向けて欲しいんだ。
りまがね、こう……あの巨大×キャラの叫びよりも悲しみとか涙とか引き出しそうな黒いオーラを出しまくってるのよ。
”ねぇ恭文君、りまさんがなんか凄い怖いんだけどっ! というか、なぎひこ君どうやってあの短時間でこれっ!?”
”あ、それヴィヴィオも気になるー。恭文みたいにキャラチェンジしたら服装までチェンジとかじゃないよねー”
”まぁ舞台だと舞踊に限らず早着替えの技能が必須だけどさ”
”早着替え? ……あ、そっか。子どもの頃からそこを勉強してたなぎひこ君なら問題なしって事か”
”そうそう”
なので、おそらくなぎひこは舞台近くの控え室かなにかで着替えてこっち来たと思われるのよ。
うん、それは分かる。そもそも舞台ってそういう作りになっているものだしさぁ。でも僕は驚きを隠せない。
”でもコレは早過ぎるでしょっ! だって僕達が敬礼してから10秒経ってないよっ!?”
”なぎひこさん、無駄に全力出してるねー。でもでも、そろそろ気づくべき事があると思うけど”
”そ、そうだね。ねぇ恭文君、もしかしてりまさんってなぎひこ君の事”
「なのはさん、気持ちの悪い事考えないでくれる? 私、嘘つきは嫌いなの」
「なんでなのはの考えてる事が分かるのっ!? だってりまさん今は念話出来な……その殺し屋の目はやめてー!」
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
「――ねぇねぇ、どうして連絡くれなかったのっ!? あたしポスター見てマジびっくりしたしっ!」
「ごめんなさいね。色々と忙しくて……あむちゃん達に会いに行く余裕もなさそうな感じで、かえってがっかりさせちゃうかなと思って」
「そうなんだ。というか、そんな気使わなくてもいいのに。ね、いつまでこっちに居られるの?」
「この公演が終わったらすぐに向こうにって感じかしら。本当はもっと長く居たいんだけど」
藤咲さん、笑顔は変わりませんけど焦っていますね。えぇえぇ、分かりますよ。
私達三人は仲良しなあの二人から、やっぱり殺し屋の目で黒いオーラ出しまくりな真城さんに視線を移します。
「はむ……りま、落ち着……ぼりぼり」
「だからお前はなんでまたこんなとこでポテチ食べてんだよっ! ちったぁ緊張感持てよっ!
なんか映ってるとこでも喋ってないとこでも始終食べまくってるってどうなんだよっ!」
「まぁまぁショウタロス先輩、そういきらずに。ほれ、これを分けてあげよう。美味しいぞ」
「いらねぇよバカっ! てーかその先輩設定まだ生きてたのかよっ! あとオレはショウタロウだっつーのっ!」
「あ、そうだ。なでしこ、紹介するね」
まぁお姉様の相手はショウタロス先輩に任せるとして、日奈森さんが藤咲さんの手を引いてあの黒いオーラの塊の前へ行きます。
若干藤咲さんが頬を引きつらせているというのに……日奈森さん、それはわざとですか?
「この子は、なでしこの後にQチェアになった真城りま。りま、この子が藤咲なでしこ」
そして真城さんは日奈森さんが自分を紹介した瞬間に、黒いオーラを一気に停止。
まるでひまわり――太陽のように明るい笑顔を浮かべて、真城さんは藤咲さんを見ます。
「初めまして、なでしこ。私が現Qチェアの真城りまよ。あ、この子が」
「クスクスだよー。なでしこ、てまり、お久しぶ……じゃなかった。えっと、初めまして」
クスクスさんが頭を下げている様子を見つつ二人は若干顔を青くしています。
それに関してはお兄様達も同じく。なんとも言えない緊張感に気づいてないのは、日奈森さんだけです。
「でも本当になぎひこそっくりー♪ 他人には思えないわー」
「そ、それはその……双子、だから。ね、てまり?」
「えぇ」
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
ごめんなぎひこ――てーかなでしこ、僕達にアイサインで助けを求めないで。
僕達にはどうしようもない。だって何気にりまが僕達にもプレッシャーかけてるの。
「あれぇ、そう言えばなぎひこはどこかしらぁ」
りまは悪魔の如くそこでそれをツッコみ、周囲をキョロキョロし始める。それに倣うようにあむも動く。
「あ、そう言えば……戻って来ないね」
そしてあむの視線が一瞬なでしこから外れた隙になでしこは足音を殺しつつ素早く舞台上からハケる。
「二人とも、ごめんねー」
それから数秒後、下手の方からなぎひこが出てきた。あむ以外の全員があんまりな速度にギョッとそちらを見る。
「りまちゃん、呼んだ?」
「い、いえ。普通よ普通。なぎひこ、あなた自信過剰が過ぎるわ。というか、謝りなさい」
「誰に対してっ!?」
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
は、速い……速過ぎる。だってあの、一瞬目を逸らしてた間にこれなのよ?
ねぇ、実はなぎひこ魔法使えるとかじゃないわよね。それでその、セットアップとか変身とかしたとか。
「――ふふ、早着替えは得意なんだ」
得意げに、あむに聞こえないように小さな声でそう言いつつなぎひこは不敵に笑う。
「そう」
その笑いがムカついたわ。まぁまぁあむにショック与えてもあれだから、遠慮しようと思ってたのに……もういい。
「あれぇー、今度はなでしこが居ないわー」
私の言葉になぎひこはギョッとした顔をして、あむは改めて周囲を見渡し始める。
「あ、そう言えば……なでしこどこー?」
そしてなぎひこはまた舞台の袖にレッツゴー。それを見てから私は恭文達の方を見て笑いかける。
――分かってるわよね、みんな? 下手に手助けしたら……ヒドいわよ。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
”恭文君、りまさんがすっごい怖いんだけどっ! 隣のクスクスちゃんが軽く震えてるんだけどっ!”
”光と闇が融合してるよっ! りまさんはファイナルフォーミュラーの生まれ変わりになってるよっ!”
「呼んだ、あむちゃん」
「あ、なでしこー」
二人が怯えてる間に――ごめん、僕も怯えている間になでしこが来た。
”二人とも落ち着いて。もう僕達に出来る事は”
「あれぇー、今度はなぎひこがー」
”無いと思う”
そして再びなでしこは袖に引っ込んで。
「いやぁ、今日は」
なぎひこにチェンジする。なお、この間僅か2秒。……速度が上がってるっ!?
「なでしこー」
次はなでしこ。次は1びょ――マジどうやってるっ!?
「久しぶりの日本は楽しいわ」
「なぎひこ」
次はなぎひこ。もはや0コンマの世界である。
「はぁ……はぁ……はぁ」
なぎひこは両手を膝の上に置いて前かがみになり、ぜぇぜぇと息を吐く。
それでりまや僕達を見るけど、僕となのは達は命が惜しいので視線を逸らす。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
恭文君はともかくなのはさんとヴィヴィオちゃんまでがー! り、りまちゃんもう許してっ!
若干調子に乗ったような気がしなくも……あ、笑ってくれる。うんうん、そうだよね。やっぱりここまでの。
「な・で・し・こ」
「……くそぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!」
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
「――なぎひこ・なでしこなぎひこ・なでしこ・なぎひこ・なでしこ・なぎひこ・なでしこ」
もはやなぎひこの早着替えは瞬間移動の類に近くなった。つまり既に人間の領域を超えている。
いったいなぎひこの何がそこまでさせるのか、僕達には理解出来ない。でもこれだけは分かる。
”りまさんもうやめてあげてー! なぎひこ君のライフは0なのー!”
なぎひこは間違いなく自分の寿命を縮める勢いでリミットブレイクしてる。これ以上は……命に関わる。
”ママ、念話で言っても意味ないよ。言うなら直接”
”無理だよっ! だって闇のオーラが私達を威圧してるのにっ! 恭文君っ!”
”ごめん、僕も無理っ! てーかなぎひこがなんか調子乗ってドヤ顔するからだしっ!”
現在なぎひこはりまのリクエストに答えつつ『瞬間移動』。若干顔が青くなってるのは気のせいじゃない。
「なぎ」
なでしこ状態ななぎひこは、言葉の頭二つだけ聞いてすぐさま駆け出す。
「なでしこー」
”””フェイントッ!?”””
そしてなでしこはすぐさま戻って来て……おーい、なんか髪がストレートなんだけど−! ポニテじゃないんだけどー!
とにかくなでしこは途中で躓いてこけてしまい、そのまま舞台の上を身体の前面で滑りつつ到着。
「なでしこ、どうしたの? なんかすっごい疲れてるけど」
それでなんでおのれはおのれですっごい疑問顔っ!? 状況見て気づけっつーのっ!
「あははは……稽古の疲れが出てるのかしら」
「そっか。確かに日本舞踊の稽古、大変だもんね」
”あむさん、そこ気づいていいよっ! ねぇ、ワザとっ!? これワザとなのかなっ!”
”いや、天然じゃないかな。ほら、ママだって”
”そこには触れないでー! もうユーノ君との事はママにとって黒歴史同然なのっ!”
うわ、さり気にすっごい事を……まぁ気づかずスルーし続けてアレな点のみだとは思うけどさ。
でもぶっちゃけユーノ先生の事なんざ今はどうでもいい。悲しい事にこの状況であの人が死のうが生きようが関係ない。
問題は、未だに良い笑顔のりまだよ。りまは完全に鬼の首を取ったかの如くなぎひこを弄んでる。
僕はりまにケンカ売るのだけは絶対やめておこうと思いつつ、改めてりまの方を見る。
りまは笑顔で未だになでしこを威圧し続けて……怖いー! てーかコイツどんだけドS!? 今殺し屋の目してるしっ!
「そ、そうだ。散歩にでもいきま……いきましょ? それで……ね」
「なぎひこー♪」
「もう今すぐ散歩に行きましょっ! それでここから離れましょっ!? ほら、早くっ!」
「え、なでしこちょっと落ち着いてっ!? というか、顔真っ青過ぎだしっ!」
あむ、それはしょうがない。だって……ねぇ? 必死にならなくちゃなでしこ死ぬし。
でもこの場を離れたらもう早着替えが出来なくて結局――うわ、どちらに行っても地獄ですか。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
やっぱり素敵な笑顔のりまも一応納得しつつ、僕達は近辺を散歩する事にした。というか、僕今回ギャラリーだよね。
でもね、それはしょうがないの。あの満面の笑みと殺し屋の目の融合は余りに恐ろし過ぎる。
せっかく木々の合間を気持ち良く歩いてるってのに、これはおかしい。
「い、いやぁ。今日は……良い天気だよねー」
「そ、そうだねー。こういう時はその、お散歩楽しいよねー。ねー、ヴィヴィオー」
「いや、ママ達棒読み」
やかましいわボケっ! 正直僕は今日ここに来た事後悔してるくらいに怖いのよっ!
りまー、お願いだからその笑顔はもうやめよー? ほらほら、今だけは笑顔じゃなくていいってー。
「ねぇなでしこ、そう言えばなぎひこは?」
あむが歩道を歩きながらキョロキョロとして周囲を……こらー!
”あむさん、さすがにこれは……でもママやフェイトママという例も考えるとなぁ”
”あぁ、そう言えばあったねー。ヴィヴィオ、ヴィヴィオはママ達を反面教師にしようね”
”それなら大丈夫だよ。ヴィヴィオは恭文一筋だから。将来的には約束通りお嫁さんにもらってね”
”ふざけんなボケっ! そもそもそんな約束した覚えないんですけどっ!?”
「……打ち合わせがあるそうよ」
僕達が互いに顔を見合わせつつ戦々恐々としていると、少し呆れたようなりまの声が場に響いた。
「なぎひこも今回の公演に無関係じゃないもの。そうでしょ」
りまはそう言って横目で、傍らのなでしこを見る。
「なでしこ」
なでしこはその視線を受け止めて、戸惑い気味に頷く。
「あ……えぇ、そうなの」
「そうなんだ。なぎひこもなぎひこで忙しいんだなぁ」
「ぶ、舞台が始まる直前だから」
なでしこが安心した表情であむと会話するのを見ながら、僕はさりげなく羽織っている緑色のコートをなびかせながらりまの隣を取る。
「りま」
「嘘つきのためじゃないわよ。あむのためなんだから」
「そっか」
そう言いながらも、僕は右手でりまの頭を撫でる。りまは僕から少し赤くなった顔を背けた。
とりあえずこれでなぎひこは延命した。うん、春までの命だけどね。……南無。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
なんか恭文やなのはさん達に気を使わせてる感じがするけど、それは気にせずにあたしは久々になぎひこ分を注入。
……あ、違う違う。なでしこだって。いやぁ、なんか双子だからこう……オーラが同じだしなぁ。
「――それでねそれでね、最後はみんなに恭文に力渡してリインフォース・エクストリームにキャラなりしてー!」
現在はラン達が中心になってイースターとの最終決戦について報告会。
なでしこもてまりも歩きつつニコニコしながら聞いてくれるけど、ラン……あの形態の名前、いつ決めたの。
「それで巨大×キャラを止めたら、エンブリオがイースターの御前――ひかる君のたまごで」
「エンブリオ探しは最初からやり直しですけどぉ、それでもみんなでハッピーエンドなのは良かったですぅ」
「ひかる君も今は聖夜小でガーディアン見習いだしね」
「それはそれは――お疲れ様でした」
ラン達はそれとして、あたしの視線はなでしこの方に向いている。
「色々大変だったみたいね。でも実はそれ、私も見てたの」
「え、そうなの? ……あ、でもフェイトさんやシャーリーさんにはやてさん達もその映像が見えたって言ってたっけ」
「えぇ。それで」
なでしこは表情を緩めながら、右手で口元を押さえる。
「ショウタロウの声が聴こえて、私とてまりの力も使ってーって」
「……そっか。じゃああたし達、マジであの時一つに繋がってたんだね」
「そうみたいね」
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
「よく息を吐くように嘘がつけるわね。あの時あなたもあの場に居たじゃないのよ」
ヤバい、りま姫がご立腹だ。また黒いオーラを出して来てるし。
「りま、落ち着いて。あのバカには僕からよーく言っておくから。本当によーく言っておくから」
「あ、私からも言うよ。さすがに……後が大変になるよね?」
「なるよねー。ううん、むしろヴィヴィオはならない理由がさっぱりだよー」
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
「それでね、今はガーディアン見習いがひかる君以外にもう一人居るんだ」
「もう一人?」
「うん。柊りっかちゃんって言って……まぁその」
なでしこから目を背けつつ、あたしはつい……りっかの色んなあれこれを思い出して苦笑い。
「元気いっぱいなのはいいけど忘れっぽいというか」
「てゆうか、落ち着きがないよねー」
「目の前の事に気を取られ過ぎ」
「気になる事があると一直線ですぅ」
「長所と短所が見事な融合を果たしている稀なタイプだと思うわ」
なでしこは軽く苦笑い気味だけど、あたしは……いや、悪い子じゃないんだよ。
ただこの調子で大丈夫かなーって不安が……うん、あたしが言う権利ないよね。分かってたわ。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
今日は休日ー。今日もまたまたお出かけ探検ー。聖夜市って、遊ぶところたくさんで楽しいなー。
でもあたしは、多目的ホール近くの公園の中を歩きながら少し分かんない事があって首を傾げる。
それはこの間鳥さんの卵を戻した時に感じた事。というか、やっぱりうちに居るあの子達の事?
前に恭文先輩は『なりたい自分が増えるだけ』って言ってたけど、そうじゃない人も居るのかなーって……うん、まだ考えてるの。
鳥さんのたまごが帰るとこ見たら、自然と……うーんなんだよねー。もし帰れなかったら寂しいよね。
あの鳥さんのたまごみたいに帰れなくなっちゃう可能性も……そう考えてあたしは自然と俯いてた。
やっぱりうちの子達の事はこのままでいいかなぁ。だってだって、浄化して帰れなくなったらかわいそうだもん。
それならあたしの家でみんな一緒の方がずっといいよね。あむ先輩達には内緒にしておけば……あ、だめだ。
あたしどうして気づかなかったんだろ。だってそれって嘘――そうだよそうだよ。現時点であたしあむ先輩達に嘘ついちゃってるよね。
先輩達に×たまを見かけたら教えてーって最初の時にお願いされてるわけだし。
うぅ、どうしよー。でもみんながちゃんと帰れなかったら嫌だよー。それも分かんないしー。
でもでも、あの子達がうちに居るとあの子達の宿主は夢を見れないかもなんだよね。
だけど――もう頭の中がごっちゃで色々悩みながら歩いてると、頭になにかがコツンってぶつかった。
「あぅ」
『ムリっ!?』
左手で頭のてっぺんをさすりつつ顔を上げると、そこには黒くて白い×の……あ。
「×たまだっ!」
『ムリっ!』
その子はあたしの前からいきなり離れて、近くの木に正面衝突。
『ムリっ!?』
それでちょっとふらふらしながらもどんどんあたしから離れるように動いて……あたしは自然とあの子を追いかけてた。
「待ってー! 逃げないでー!」
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
「――おいヤスフミ」
「×たま?」
「あぁ。全く、せっかくの食事タイムをなんだと……はむ」
そう言って我が家の食いしん坊万歳は、容赦なく両手で持ったアンパンをかじる。
「黙れバカっ! てーかおのれは始終お食事タイム中でしょっ!?」
「恭文、なにを言っているんだ。いくら食べても太らないなら……食べるしかないだろっ!」
「そこでキレる意味が分からんわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ! ……みんな」
なでしこと話し込んでたあむもそうだし、りまもこちらを向いて頷いてくれる。
それに安心しつつ次はなのは達の方。なのはとヴィヴィオは言いたい事が分かったらしくあむ達と同じようにしてくれた。
「私はヴィヴィオと適当なとこで待ってるよ」
「お願い」
「同じくー。というか、あの浄化プログラム持ってればよかったねー」
「ま、まぁこういう状況だとね」
あ、そう言えば説明してなかったかも。例の×たま浄化プログラムに関するデータは全て消去してる。
ここの辺りは元々の約束だしね。だからなのはは例え砲撃じゃなくても、もう浄化は出来ない。
「問題ない。また×たまに向かって砲撃撃とうとされても困るし」
「同感ね。むしろその辺りが無い事を喜ぶべきかしら」
「恭文君とりまさんがヒドいよー! てゆうか、それならあむさんはどうなるのかなっ!
ほら、あむさんのオープンハートだって砲撃だよねっ! 力の奔流がばーってっ!」
「私、決めたわ。魔法が使えるようになっても絶対に砲撃魔導師には……ねぇ?」
「無視しないでー! というか、さり気になのはを否定しないでー!」
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
公園の中を必死に追いかけて出てきたのは、噴水広場。でもでも、あの×たまちょっとおかしい。
噴水の水の中に突っ込んだり、そうかと思ったら地面に堕ちたり――あ、今度はベンチにぶつかった。
それで壊れないのは凄いなーと思いつつあたしは必死に走ってあの子と距離を詰めていく。
その子は怯えたように身体を震わせて……あたしは自然と両手を広げて伸ばした上で、笑ってた。
「ごめんね、さっきはびっくりさせちゃって」
『ムリ』
×たまが黒い光に包まれるけど、あたしは木のベンチの上に居るあの子に手を伸ばし続ける。
『ムリィィィィィィィィィィィィッ!』
「こら、暴れちゃ」
×たまから黒い風が吹いて、あたしにぶつかって……あたしは吹き飛ばされた。
「ふぎゃっ!」
それで芝生な地面に転がって、身体が痛くて少し息が出来なくなる。
顔を上げて×たまの方を見ると、×たまは荒く息を吐きながら汗をだらだら……×たまって、汗かくんだ。
「だい、じょうぶ」
吹き飛ばされちゃったけど、別に思いっきりとかじゃない。あたしがちょっと後ろにコケちゃっただけだし。
とにかく立ち上がって、あたしはまた両手をあの子に向かって伸ばして笑いかける。
「大丈夫……だよ? こっちへ、おいでー」
『……ムリ』
「うん、大丈夫だから。怖がらなくていいよ。りっかのところへ、おいで」
あの子は少し迷うように身体を震わせるけど、でもゆっくりとこっちに来て、あたしの両手の中に収まってくれた。
それに安心して、大きく息を吐く。さっきの鳥さんのたまごに似た温かいこの子の触り心地がとっても気持ち良い。
「ねぇ、アンタはどうして×が付いちゃったの?」
『ムリームリムリ』
「へー、デザイナーになりたいんだ」
『ムリっ!』
あたしの両手の中の×たまは身体を縦に振って頷いた。
『ムリ……ムリムリ』
「不器用でみんなからダメだーって言われて――だから×が付いちゃったんだね。アンタドジだしねー」
『ムリっ! ムリっ!』
「あははー、ごめーん」
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
しゅごキャラーズに案内される形で僕達がホール近くの公園の一角に到着。
するとそこには、青いカーディガンを羽織って下に黒の短パンを履いた子が居た。
それでその子の両手の中には確かに×たま――てーかアレ、りっかじゃないのさっ!
「りっかっ!」
背後から近づきつつあむが声をかけると、りっかがこちらを見て驚いた顔をした。
「あー、先輩達だー! どうしたんですかー!?」
「それはこっちのセリフよ。あなたどうして」
「えっと、お散歩してたらこの子と」
りっかはそう言いながら両手の中の×たまを僕達に見せる。
「鉢合わせというかゴッツンコというか……とにかくとにかく、ぶつかっちゃって。
というかなぎひこ先輩、どうして女の子の格好してるんですか?」
「あ、いえ……えっと」
「りっか、この子は藤咲なでしこ。なぎひことは双子なんだ。それでアンタやあたしの先輩」
「あ、そうなんですかー。えっと、初めましてー。柊りっかです」
「えぇ、話は聞いてるわ。藤咲なでしこよ。りっかちゃん、よろしくね」
若干なでしこが苦笑い気味なのは、多分嘘つく相手が増えたからだよ。僕とシオン達はもう、合掌するしかなかった。
「それでりっか、おのれ怪我とかは」
「あ、大丈夫ですー。この子おとなしい子だったから」
――ほう。なら己の服についてた土とかはいったいなんだったんだろうね。でもまぁ、いいさ。
りっかが大した怪我もなく×たまを確保したのは間違いない。僕は野暮な事はツッコまない事にした。
「それで先輩ー」
「分かってる。りっか、その子から手を離して少しどいて。……変身」
≪Riese FormU≫
蒼い光に包まれて変身すると、りっかは僕の指示通りにしてくれていた。みんなも僕から距離を取ってくれる。
僕を見て少し戸惑い気味の表情を見せる×たまに一度笑いかけてから、僕は刃を抜き放つ。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
いつ抜いたのか分かんないくらいに速く先輩は×たまに向かって斬りつけた。
それでそれで、また蒼い光が刀の刃に纏わりついててキラキラ光ってるの。
「鉄輝一閃――瞬(またたき)」
『ムリィィィィィィィィィィィィっ!』
あの子は真っ二つに斬り裂かれるけど、次の瞬間には白い光に包まれて綺麗なたまごになった。
そのままあの子は空高く飛んでいった。でも……あれ、なんかもやもやする。
それがどうしてか分かんなくて考えていると、自然と鳥さんのたまごの事を……あ。
あたしは見えなくなりかけているたまごを追いかけて、一気に駆け出した。
「ちょ、りっかどこ行くのっ!」
「あの子」
あむ先輩の声は一旦無視で、あたしは全速力でたまごを見上げながら追いかける。
「あの子帰れなくなっちゃうかもっ!」
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
「……あむ、りっかは僕が追いかけるから」
「え?」
「いや、なんとなくだけど分かるのよ。いくよ、三人とも」
シオン達が頷くのを確認してから、変身を解除しつつりっかが消えた方へ走り出す。
そうしてさほど経たずに道路に出て、横断歩道のど真ん中でこけてるあのバカを見つける。
しかも信号が変わる直前だったので、素早く走り込んでしゃがんでりっかを左手で抱えて回収。
その上で再度ダッシュ。空を見上げるとたまごは……僕は横断歩道を渡り切ってから左に走り出した。
「ほえ……恭文先輩っ!? というか、下ろしてー! りっか一人で走れますー!」
「だめっ! てーか暴れるなっ! たまご見失うからこのままいくよっ!」
たまごが戻る速度が意外と速いし、ぶっちゃけ時間がない。なのでここは全速力。
「嫌ー!」
それで腕の中でりっかがもがくので、少しスイッチを入れて笑顔で警告。
「やかましい。暴れるなら気絶させるぞ」
「このままでお願いしますっ!」
りっかが分かってくれたようなので、僕は先ほどよりも速度を上げて周囲に気をつけつつ歩道を走る。
とりあえずたまごを追う事には間違いはないらしいので、このまま全力疾走。
幸いな事に僕は鍛えてるので、りっかを脇に抱えていても全く問題なく走れる。
そうして街の中を走る事10数分――街の中を流れる小川の近くに到着。
そこにはあむくらいの長さの髪の左側を一部サイドポニーにしてる女の子が居た。
年頃は大体中学生か高校生くらい。服装は黒のロングシャツにそれより明るい色合いのロングスカート。
女の子は橋の手すりに両腕を乗せて、憂鬱な目で川の流れをジッと見ていた。
その瞳は何度も見た覚えのある、なにかを――大事な夢や可能性を諦めている目だった。
僕はりっかを抱えたまま、近くの電柱の影に隠れてりっかを下ろしつつ様子を伺う。
そんな女の子にたまごが近づき、その胸元に白く輝くこころのたまごはゆっくりと吸い込まれていった。
「あ……先輩っ!」
「うん」
するとその子の目に光が戻り、その子は縮めていた背をゆっくりと伸ばして息を吐く。
それでさっきとは打って変わってすっきりとした顔になったその子は、そのまま僕達が居る方向とは逆に歩き出した。
その足取りは軽く、僕達はその背中を見送った。りっかはその子の姿が消えてから電柱の影から飛び出す。
「たまご……ちゃんと帰れた。良かった……うん、良かったー」
一人両手でガッツポーズを取って嬉しそうなりっかに僕も背を向けて、静かにみんなのところに戻る。
それにシオン達も続いた。……こういう気持ち、ちょっとだけ忘れてたのかな。なんかこう、胸の中が温かい。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
たまご、ちゃんと帰った。ちゃんと……帰れるんだ。それでそれで、あの……分かったの。
たまごが戻る前のあの人、とっても寂しそうな顔してた。つまんなそうな顔して、見てて辛かった。
もしかしたらあの子達の宿主も今、ずっとあんな顔……しちゃってるのかな。
あたしはなんだか嬉しくてニコニコしちゃってたけど、先輩の事を思い出して後ろへ振り返った。
「アレ、先輩?」
慌てて周りを見渡すけど、先輩どこにも居ない。あれれ、帰っちゃったの?
……まぁいいやー。学校で改めてお礼を言えばいいしー。でもでも、やっぱり先輩って優しい人なのかなぁ。
だったらどうして怖くなっちゃうんだろう。先輩は優しいまんまがいいのにー。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
いきなり飛び出したあのバカから事情説明のメールを受け取ったので、一応は納得しつつあたし達はなのはさん達のところに戻る。
というかね、メール見てなんかこう……良い意味でショックだった。多分それは恭文も同じ。
こうさ、りっかと最初に会った時もちょっと思ったけど、いつの間にかたまごが戻って当然ーみたいな風に考えてたのかなーってさ。
だから、そうなんだよね。浄化してたまごが戻って……それで笑えて、初めて浄化完了なんだよね。
何気にデカい事件超えてく中で調子乗ってた部分があるのかなぁと反省しつつ、あたし達は三人で並木道を歩く。
「でもりっかちゃん、中々に頼りになりそうな子ね」
「そうだね。まぁ落ち着きのなさはかなりアレだけど……うん、そこはね。
あ、そう言えばなでしこ。踊りの方って順調なのかな?」
まぁ公演に出るくらいだし問題ないよねーと思ってたら、なでしこが苦笑した。
「実はね、最近までスランプだったの」
「スランプって、なでしこがっ!?」
「えぇ。自分らしい踊りがなにかわからなくて、私はどうして踊りを続けるんだろうってところまで考えてたの」
あたしの隣を歩くなでしこはそう言って笑って、以前より大人っぽくなった笑顔を見せてくれた。
「でもね、あむちゃんやみんなの事考えてたら……解決したわ。
私は踊りが好きで、もっともっと続けていきたいんだって。うん、だから踊れるの」
「そっか。なら……三日後の公演は期待して大丈夫かな。
あのね、唯世くん達も予定つけて行くつもりなんだ」
「もちろん。あ、でも当日はちょっと顔見せは難しいかもなんだけど」
「ん、大丈夫。あー、でもちょっと残念だなー。あのね、フェイトさんが赤ちゃん出来たから、お腹大きくなってるの。それでね」
なでしこが居なかった間の変化をまた話しつつ、あたし達は三人で歩いて行く。……今日、会えて良かった。
なでしこはなでしこのまんまで、ホントに良かった。うん、ちょっと心配だったんだ。だってなでしこは――あたしの親友だから。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
そしてその三日後、学校終わりに夜行われる公演にガーディアンとうちのみんな総出で観に行った。
舞台上のなでしこは本当に綺麗で、あむに至っては感動の余り泣きむせていた。ただまぁ、そこはいい。
問題はまたまた極々自然に横馬とヴィヴィオが来た事だよ。あんまりに自然に参加してきたから、フェイト共々びっくりしたし。
公演は終わってからその場で解散して、僕達は家に戻ってフェイトと添い寝しつつコミュニケーション。
おはようと行って来ますと行ってらっしゃいのキスをフェイトとした上で今日も学校――は終わり、うちの自室で緊急会議です。
「ねぇ恭文、行って来ますと行ってらっしゃいのキスもそうだけど、おかえりなさいとただいまのキスも一回で良いと思うの。
そこでどうして恭文からただいまってキスをして、フェイトさんがおかえりなさいってキスするの? 二回は余計よね」
「りまー、今そういう話じゃないよねー! というか、それ普通でしょうがっ!」
「そうだよりま、その……夫婦生活を円満にするためには必要なんだから」
「ま、それは確かにね。うちのパパとママにも勧めてみたところ、成果はあったし」
「りまちゃん、そこ納得しちゃうのっ!? というかどうやって勧めたのかなっ!」
フェイトとなぎひこ共々驚きつつ……うん、なぎひことりまも居るの。だってねぇ、問題はなにも解決してないし。
現にあむは『今日飛行機で帰った』というなでしこに想いを馳せてセンチメンタルしてたし……あれは辛い。
「それでなぎひこ、マジどうするのよ。もうすぐ今年終わっちゃうんだよ? 3月までなんてあっという間だよ?」
「この間は私もあむを驚かせたくないから黙ってたけど……このままのつもり?」
「……今言うかどうかは、やっぱり迷ってるんだ。あむちゃんにはまだ」
床に座るなぎひこはそこで苦笑しつつ、目を細める。
「なでしこが必要みたいだから」
「……そう」
「なぎひこ、大丈夫だよ。あむはきっと気づいてるよ。だってあれだけりまに弄ばれて」
笑顔で僕がそう行ってあげると、なぜかなぎひこが前のめりに崩れ落ちた。
「りま、いったいなにしたのっ!? というか弄ぶってなにかなっ!」
「ただなぎひこが居る時になでしこを呼んで、その逆も含めつつ遊んだだけよ。なにも問題ないわ」
「問題あるよっ! 僕あれで本気で死にかけたんだよっ!? しかも恭文君もなのはさん達も助けてくれないしっ!」
「当たり前でしょうがっ! あの時のりまに逆らうのなんて自殺行為も良いとこだしっ!」
こんな感じで僕達は年の瀬を迎え、2010年は終わり2011年となる。でも、僕達はまだ知らなかった。
その前に僕は……とても大切なものを失う事になるのだと、この時はまだなにも知らなかった。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
2010年ももうすぐ終わりな状況で、ヤスフミはその……すっごい落ち込んでリビングで膝抱えて蹲ってる。
ちなみに今日は冬休みを迎えて少し経った日曜日。なお、ヤスフミが落ち込んでる原因は。
「うぅ……メズール様ぁ。てゆうか、ゆかなさんが――ゆかなさんがぁ」
今日の仮面ライダーオーズの放送で、その……ゆかなさんがやってる敵役のキャラが倒されちゃった。
だからヤスフミはそれがショックでテレビが置いてあるリビングで『題名のない音楽会』を見ながら泣いてるの。
「いや、アンタ……いい加減にしないっ!? てゆうか、どんだけゆかなさん好きなのよっ!」
「失ってしまった。とても大切なものを……日曜の朝にゆかなさんの声を聞ける時間を失ってしまったぁ。
ティアナやなのはが婚期を失ったくらいに大切なものを失ってしまった。日曜の楽しみだったのに」
「ぶっ飛ばすわよ、アンタっ! 私はなのはさんと違ってまだこれからだっつーのっ!」
「え、えっと……ヤスフミ、元気出して欲しいな」
私はヤスフミの隣に来て、ヤスフミの事をぎゅーって抱き締めて元気づける。というか、頭も撫で撫で。
あ、ヤスフミがちょっと離れ――お腹を圧迫しないようにしてくれてるんだ。ん、嬉しいなぁ。
「よし、こうなったらゆかなさんのライブDVDで」
「だからどんだけ好きっ!? アンタフェイトさん居るじゃないのよっ!」
「いや、フェイトは永遠の嫁だけどゆかなさんは僕の悠久の嫁だから」
「ふざけるなぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」
ヤスフミが左手で涙を拭いつつそう言ったのを聞いて、ついドキドキしちゃう。
永遠の嫁――つまりその、私はずっとヤスフミのお嫁さん……私は自然とヤスフミを更に強く抱き締めた。
「え、えっと……ありがと」
それだけじゃなくて、ほっぺたに軽くキス。
「私にとってヤスフミは永遠のお婿さんだよ? それでそれで……ずっと仲良くしていこうね」
「……うん」
「フェイトさん、そこ違うっ! そこ怒るとこですからっ!」
「ですですっ! というか、ゆかなさんならリインが居るですよっ!? リインもゆかなさんボイスなのですっ!」
ヤスフミが首をぐるりと動かし、不満そうなリインを見る。リインは鼻息荒くガッツポーズを取った。
「いや、なんか違う。ほら、リインには癒しオーラとかゆかなさん特有のナチュラルドSな空気とかないし」
「ふざけるなですぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅっ!」
「ふざけてないよっ! 僕は真剣なんだからっ!」
「ムカムカなのですー! だったらいいのですよっ! 来年はゆかなさんみたいにボンキュッボンで美人さんになってやるのですっ!」
「リインさん、そこでゆかなさん目指しちゃうんですかっ!?」
こんな感じで、私達の……本当に色んな事があった2010年は終わりを告げていく。
たくさんの出会いやたくさんの衝撃で、少しだけ優しい形に変わった世界。
その中で私はヤスフミと一緒に、ラブラブしながら新しい年をこの街で迎える事になった。
(第131話へ続く)
あとがき
恭文「というわけで、本日のお話はアニメしゅごキャラパーティーの第108話『たまごの帰る場所!』。
そして第109話の『おかえり! なでしこっ!』を元にしております。というか、複合話だね」
フェイト「たまごの帰る場所は、良いお話なんだよね。何気にアニメだと身近で事件が起きるからそういうのかなり見れるけど」
恭文「改めて考えると、たまごが元の宿主にかえって初めて――だしね。
ガーディアンの仕事の原点に帰るにはちょうどいいお話なのですよ。
というわけで、本日のお話はやっぱりりまが最恐だったと思う蒼凪恭文と」
フェイト「フェイト・T・蒼凪です。あ、みなさん、同人版第3巻のお買い上げと感想の方、ありがとうございます」
(後々、誤字報告も……うぅ、申し訳ないです)
フェイト「それで今回のお話は複合だけど、メインはやっぱりなでしこ――なぎひこ君だよね」
恭文「人体の限界超えてたしね。ちなみにアニメだと階段の昇り降りも込みでそれでした」
フェイト「詳しくはアニメの方をご覧ください。あのね……びっくりすると思う。本当に瞬間移動だし」
(藤咲なぎひこはこの時点で、オーギュスト・クロエとかを超えたと思われます。つまりとまと最強)
恭文「でもそんな最強ななぎひこも、りまには勝てないんだよね」
フェイト「なぎひこ君、これから大変だね。だって……あれだし」
恭文「あれだしねぇ。とりあえずなぎひこは本当に早めにお話した方が良いと思うのよ」
フェイト「じゃないとまた……だしね。それで次回のお話は?」
恭文「もち年は明けて平和な日常です。ただ超・電王編もそろそろ始められたらーって言ってた」
フェイト「あ、やるんだね」
(ただ今回はそこまで大掛かりなものではなく、規模を小さめにまとめやすくしたいなーと。
やるなら拍手で出てるあの二人とかも登場させられるようにしたいなと考えています)
フェイト「……あの二人? というか、規模を小さめにって」
恭文「そこに関してはまた考えてるって。とにかく次回は年明け早々……きっとあむが大変になる」
フェイト「あむなのっ!?」
(いや、やっぱあの話がいいなーとか考えてて……ねぇ?
本日のED:MARIA『ツボミ』)
あむ「……ドキたま内だと、今年も終わりかぁ。今年は密度濃かったよねぇ」
唯世「特に蒼凪君とフェイトさん達がこの街に来てからはだね。
魔法の事とかもあったし、ミッドで夏休み過ごしたりイースターと戦ったり」
あむ「でもでも、よく考えたらなでしこが戻って来るまでもう4ヶ月とか切るんだよね」
唯世「え、えっと……うん、そうだね」
あむ「楽しみだなー。あ、そう言えばびっくりする事がどうとかって言ってたけどなんだろ」
唯世「――藤咲君、そろそろ本当に覚悟決めないとマズいよ。あむちゃん」
なぎひこ「分かってる。分かってるからもう何も言わないで。あぁ……辛い。本当に辛い」(崩れ落ちる)
(おしまい)
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