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小説(魔法少女リリカルなのは:二次小説)
第17話 『電王の世界/突き抜けるダブル・ライナー』



フェイト「前回のディケイドクロスは・・・・・・ぐす」

もやし「涙目になるなっ! しっかりあらすじくらい説明しろよっ!!」

フェイト「ヤスフミどこー!? というかモモタロスさんどこー!!」

もやし「結局やらないのかよっ!! ・・・・・・手当たり次第に探してくしかないだろうな。しかしあの蒼チビ、マジで世話が焼けるぞ」

ユウスケ「しかも海東さんにつけ狙われてるしなぁ。出来るだけ早く見つけないと」




















◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



「僕もさぁ、弱い者いじめは趣味じゃないんだよねぇ」





目の前で全身から煙を上げながら倒れている彼にそう言いながら一歩ずつ近づいていく。

さすがに動けないよね? カメンライドで呼び出したサソードにサガと僕とでフルボッコだし。

その上屋上から地面に向かって吹き飛ばされつつ落下して叩きつけられたわけだし。



・・・・・・あ、言っておくけど僕はこんな事したくなかったんだよ? でも無駄に抵抗するからさぁ。





「だから早くデンライナーにファイナルフォームライドしちゃってよ」



ピクリとも動かない彼に近づいて、改めてカードを。



【・・・・・・い、ま】



掠れるような声が聴こえたと思ったその瞬間、彼が素早く動く。



≪Full Charge≫



いつの間にか右手で持っていたパスケースをバックルに当てつつ、彼は一気に起き上がる。

いや、違う。起き上がりながら乱暴に飛び込み、右足を僕に向かって突き出していた。



「・・・・・・うぉりゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」





僕はすぐに下がろうとしたけど、相手の蹴りの方が速かった。

バックルから走るエネルギーを纏いつつ赤く輝く右足は、僕の腹に叩き込まれた。

そのまま僕は吹き飛ばされて、数十メートル転がるハメになる。



彼はまた前のめりに倒れるけど、身体をふらつかせながらも立ち上がり・・・・・・僕を見下ろす。





「あんちゃん、いつまでも調子こいてんじゃ・・・・・・って、なんだ? 今の声は」





起き上がりつつ、左手で腹を抑え彼の方を見る。彼は戸惑いながら自分の両手を見下ろしていた。

・・・・・・あぁ、やっぱりか。さすがは少年君と言ったところかな。まさか本当に意識を取り戻すとは。

でも、どうやらそれはさっきの一瞬で限界だったらしい。中々に負けず嫌いなせいかな。



それがなんだか嬉しくなりつつも、後ろに少しずつ下がっていく。





「君、その身体の本当の持ち主に感謝した方がいいね。今のカウンターは彼のおかげだ」

「なんだとっ!? てーかテメェ、どこ行きやがるっ!!」

「何、どうも君のご機嫌は最悪っぽいからね」

≪ATTACK RIDE≫



ディエンドライバーにカードを左手で挿入。そのまま銃身を操作して姿を消した。



「また出直すだけさ。・・・・・・じゃあね」

≪INVISIBLE!!≫




















◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



「消えやがったっ!? ・・・・・・くそ、なんなんだアイツは」





左手でベルトを外して、俺は変身を解除。だが、そのまま俺は崩れ落ちる。

やべぇ、身体中無茶苦茶痛ぇ。さすがに無茶させ過ぎちまったか。

俺は左手から、生温かい感触を感じた。そちらに視線を向けると、服が赤く染まっていた。



あー、血が出てんのか。まぁそうだよな、リンチかって言うくらいにフルボッコだったしよ。





「ち・・・・・・めんどくせぇなぁ」










立ち上がって、身体をふらつかせながら歩き出す。まぁアレだ、イライラとかはとりあず後だ。





これくらいなら洗ってナメときゃあすぐに治るだろ。つまり・・・・・・そういうこった。




















世界の破壊者、ディケイド。8つの世界を巡り、その瞳は何を見る。





『とまとシリーズ』×『仮面ライダーディケイド』 クロス小説


とある魔導師と古き鉄と破壊者の旅路


第17話 『電王の世界/突き抜けるダブル・ライナー』



















◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



ハナちゃんと士さん達と外に飛び出したのはいいけど・・・・・・うぅ、どうしよ。





アルトアイゼンもサーチがさっぱりなんだよね。私もバルディッシュでやってみたけどさっぱりだよ。





都心っぽい街の中を歩きながら、私はその・・・・・・軽く頭を抱えてました。










「しかしまる子ちゃん」



イキナリ士さんがハナちゃんの方を見ながらそんな事を言った。それにユウスケさん達共々首を傾げる。



「えっと、私まる子ちゃんじゃなくてハナです」

「まる子ちゃん」



あ、分かった。まる子ちゃんってハナちゃんのあだ名なんだね。ちょうど今髪を短めに切ってるし。



「ハナです」

「まる子ちゃん」

「ハナっ!!」

「まる子ちゃん」



反論する士さんはハナちゃんの反論なんて気にせずに、また写真を一枚撮る。

・・・・・・ネーミングセンス、ヤスフミと同じレベルなんだね。あの、納得した。



「その時間の歪み、具体的には何が起こってんだ?
俺達が見たあのモグライマジン一体だけでどうこうってのじゃないんだろ」

「あ、そう言えば俺達まだそこは聞いてなかったな。ハナちゃん」

「えっとですね、どうもそのモグラ達を配下に置いて暴れてるイマジンが居るみたいなんです。
でもソイツ、人から人へ乗り移って私達の追跡から逃げてるみたいで」

「人から人へ? でもハナちゃん、イマジンって特定の個人と契約を結んでどうこうするんじゃ」



今の話は私も疑問に思って、ハナちゃんやオーナーに聞いた事。

でも・・・・・・今回の場合はそのルールが当てはまらないかも知れないんだよね。



「そういう枠から外れる力のあるイマジンが、モグラ達に指示を出してるんです。
それで次々と過去に送り込んで・・・・・・この世界の時間を消そうとしている」

「つまりソイツは、あのモグラ達もヘーこらと指示を聞いちゃうくらいに強いイマジンって事か」

「そうなります」





例えばネガタロスもそれに入るんだよね。普通に電王に変身しちゃったりもしてたわけだし。

あとはギンガの記憶を奪って、ヤスフミに瞬殺されたあの黒い不気味なイマジン。

どうもイマジンの中には契約によって実体を得る過程の中で、普通より強い力も持つ場合があるみたい。



もしリーダー格のイマジンがそういうタイプなら、その力を使えば普通のイマジンを統率する事も可能。



今言った二人もあくまでも一例に過ぎないっぽいんだ。例えばジークさんもそれだってヤスフミが教えてくれたし。





「あー、こんな時にこそバカモモが居たら楽なのに」

「そうなんだよね。こんな時にモモタロスさんが居てくれたら・・・・・・もう本当に」



ハナちゃんと顔を見合わせると、ハナちゃんは軽くため息を吐いた。

そんな私達を見て、士さん達は軽く首を傾げてきた。



「二人とも、それはどうしてでしょうか」

「モモタロスさん、イマジンの気配を『匂い』として捉えて居場所を察知出来るんです。
今回みたいにイマジンの居場所が分からない時とかは、かなり有益な能力で」

「あー、俺も大体分かったわ。だからハナちゃんやオーナー達は、あんなにモモタロスを探す事を一番にしてたわけか」

「モモタロスを見つければ、必然的にそのリーダー格の強いイマジンの行方も分かるかも知れないんですね」



今話したような側面もあるから、余計にヤスフミの行方を捜さなきゃいけないんだよね。

だからハナちゃんと一緒にユウスケさんの方を見て頷いた。



「でもどうやって探すんですか? アルトアイゼンもそうですし、あなたのバルちゃんのサーチもだめなんですよね?」

「・・・・・・バルディッシュです」



バ、バルちゃんって・・・・・・そんな覚えにくい名前かなぁ。後の『アサルト』を除くと普通だと思うのに。



「あ、ごめんなさい」

「いえ。・・・・・・でも、そうなんですよね。普通に探すのはかなり難しいんです。
イマジンに身体を乗っ取られてると、魔力反応もシャットアウトされるらしくて」

「一応目印として、足元から砂が落ちたりはするんですけど」

「・・・・・・あ、そう言えば落ちてました。私達、あの人が憑かれた時にそれ見てます」

「それなんです。でもそれだけだとさすがに難しくて」



ここの辺りは以前のアレコレで確認してる事だから、余計に気分が落ち込んだ。

普段私達が使ってるサーチ関係は一切アウトだから、すぐに見つけるのは無理かも。



「問題ないだろ」



でも、そんな私の方は気にしていない様子で士さんは前に視線を向けつつ歩く。



「バカとバカがコンビ組んでんだ。嫌でも目についてすぐに見つかるだろ」

「バ、バカってなんですかっ!? ヤスフミはバカじゃないですっ!!
ヤスフミはちょっと行動が過激でおかしくてツッコミたくなるだけですからっ!!」

「フェイトさん、それ同じっ! 恭文の事バカって言ってるのと同じだからっ!!」

「違いますっ!!」



それでも士さんは前に視線を向けながら歩く。それを追いかけつつ、士さんの方を軽く睨んでしまった。



「大体、人一人見つけるのって大変なんですよっ!?
私、これでも事件捜査を仕事にしてるから分かるんですっ!!」



地道に聞き込んで、情報を整理して、ここだと思って踏み込んでも空振りな事もある。

そこからまた聞き込んで・・・・・・そういうちょっとずつの積み重ねが必要なんだよ。だからとっても大変。



「あなたはそういう大変さを全く分かってませんっ! なによりその間にイマジンが大暴れし出したら・・・・・・!!」

「そうか、それは悪かったな。だがお前こそ分かってないな」



士さんは唐突に足を止めて、右手をスッと伸ばしてある方向を指差した。



「何がですかっ!?」

「蒼チビは凄まじく運が悪い。それでそんな蒼チビにアイツは憑いている」



私達が自然とそちらの方に視線を向けると、そこは街の中にある公園。

士さんの指はその中の水場を指していた。敷居が低いおかげで、私の背なら軽く中が見えた。



「そんな状態で、俺達の追跡から逃げようってのが無茶だろ」





その水場では、左腕を丁寧に洗う一人の男の子が居た。それを見てとても驚いた。

髪はオールバック気味に逆立っているけど、すぐに分かった。

それは夏海さんとユウスケさんも同じらしく、本当に驚いた顔をしている。



ハナちゃんからは見えないのか、軽く跳躍してたりする。

だから私は少ししゃがんで、ハナちゃんを後ろから抱えて持ち上げる。

ハナちゃんはそれでようやく中を見て・・・・・・驚いたように声をあげた。





『・・・・・・居たっ!!』




















◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



「・・・・・・しかし、悪かったな。無茶させちまってよ」



しゃがみつつ水道の水で傷を洗って・・・・・・あー、でも血が止まらねぇな。こりゃ結構深い傷か。



「だがあん時の声・・・・・・お前か?」



そんな事を言うが返事はねぇ。まぁありえねぇよな。コイツ完全に寝ちまってるしよ。

アレだ、きっと気のせいなんだろ。俺様の天才的なひらめきが声になったと思っておくか。



「ま、もしそうなら礼くらいは言っておかねぇとな。・・・・・・ありがとよ。
うし、そいじゃあもうちょいちゃんと手当てしといてやるか」



・・・・・・一旦腕を引いて、俺は右手でめくっていたシャツを掴む。



「よっと」



シャツを肩から引きちぎって、それをそのまま腕から外す。

その上でシャツを傷口に当てて、少しキツ目に巻きつけた。



「これで問題ないだろ。おっしゃ、それじゃあまたモグラ野郎共を」

問題大有りよっ! このバカっ!!



立ち上がろうとしたのに、なぜか前のめりに倒れた。てーか背中から蹴られたような感触が・・・・・・痛ぇ。

睨み気味に後ろを振り向くと、俺はなぜかみっともなく這いずり回って後ずさりしまくった。



「アンタ記憶失ってるとは言え、恭文君になにしてんのっ!? しかも見る限り他にも怪我しまくってるしっ!!」

「お、お前・・・・・・あの電車ん中に居た暴力女っ!!」

「誰が暴力女よっ! 誰がっ!!」



そのまままた殴りかかってこようとしたが、それを必死に止めるのが居た。

金髪の女と、黒髪のジャンパー着た男だ。二人がかりで腕を引いてズルズルと引きずる。



「ハナちゃんっ! ダメっ!! というかヤスフミに何するのっ!?」

「そうだぞっ! 今身体を動かしてるのはイマジンでも、身体自体は恭文だからっ!!」

「・・・・・・あ、しまった。ついいつものくせで」

「「いったいいつもどういう接し方してるのっ!?」」



へ、なんか分からねぇがこの隙に。



「この隙に逃げよう・・・・・・なんて思っちゃあいないだろうな?」



なんて言って俺の前に回り込んでいたのは、茶髪の男と栗色の髪の女。・・・・・・ち、アイツらの仲間か。



「悪いがお前、ちょっと付き合ってもらうぞ」

「でもその前に傷の治療ですね。・・・・・・わぁ、額からも血が。というかアザとかも見えるんですけど」










結局、逃げ場はなかった。暴れてなんとかしようとしたら、あの暴力女に右拳を腹に叩き込まれてのされた。





・・・・・・ちくしょお、一体なんなんだ。アイツ、下手するとイマジンより強いんじゃねぇのか?




















◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



なんとかヤスフミ・・・・・・というか、モモタロスさんを奇跡的な形で確保。

私は少し苦手なんだけど、治療魔法を使ってヤスフミの身体の傷を癒す。

まず右手をかざして魔法を発動。すると、右手の平から金色の光が生まれた。





本当はこんなところで使っちゃいけないんだけど、もう今更ではあるから。





あの人をベンチに座らせて、その光を身体に当てつつ・・・・・・私は一つお願い。










「・・・・・・あの、お願いですからヤスフミの身体を返してください。
使いたいなら私の身体を使ってもらって構いませんし」

「バカ言ってんじゃねぇよっ! 女の身体なんか気持ち悪くて使えるかっ!!」

「それ男女差別ですよっ!? あの、本当にお願いですからヤスフミを返してっ!!」



そんな時、横でシャッター音が聴こえた。私とモモタロスさんは自然とそちらに視線を向けると、士さんがヤスフミの写真を撮ってた。



「テメェ、いきなり撮ってんじゃねぇよっ!!」

「気にするな。お前が蒼チビから出て行った時にうるさいのは明白だからな。
せめて思い出くらいは残してやろうという・・・・・・俺の優しさだ」

「意味分かんねぇ事言ってんじゃねぇよっ! てーかこの身体は俺にちょうどいいんだよっ!! 大体お前、そう言うなら」



モモタロスさんは立ち上がろうとするけど、それを後ろに居るユウスケさんが肩から押さえて止める。

だからモモタロスさんは、右手だけを動かして懐からあるものを・・・・・・それを見ただけで言いたい事が分かった。



「これ使って『変身っ!!』って出来んだろうなっ!? 出来んだったら遠慮無く使ってやるよっ!!」

「そ、それは・・・・・・無理です」



私は多分特異点でも分岐点でもない。現にさっきウラタロスさんに身体を貸した時、完全に意識を失ってた。

黙ってしまう私を見て、モモタロスさんは苛立ち気味に鼻を鳴らしてそっぽを向く。



「だったらガタガタ抜かすなっ! アイツら全員ぶっ飛ばしたらすぐ返すから問題ねぇだろうがっ!!」

「大有りですっ! ヤスフミの身体、現時点で傷だらけなんですよっ!?」





一体何をどうしたらここまでになるのか、私にはさっぱりだよ。血が流れるような傷、あの腕の傷だけじゃなかった。

あっちこっちに軽度だけど裂傷があって、結構重めな打ち身の痕もある。

私、改めて身体を調べて本当に泣きそうだった。ヤスフミの身体、小さい分壊れやすいのに。



だめ・・・・・・絶対にだめ。これ以上ヤスフミを戦わせたりしたらだめだよ。少なくとも今の状態はだめ。

それだけじゃない。ヤスフミの身体、妙に負荷がかかってるところがある。

そこは今日受けたと思われる傷とは別になんだよ。もしかしたらその・・・・・・あぁ、そうだよね。



世界を旅する中で、強い怪人と戦ったりしてたのかも。ヤスフミ言い訳しない子だし、それはありえる。

そういうので頑張った分の負担が、身体に蓄積し始めてる感じがするって言えばいいのかな。

その上で今日のコレ。改めて考えると、やっぱりここは見過ごせない。今の状態でヤスフミは戦っちゃだめだ。





「私が、士さん達と一緒にイマジンはなんとかしますっ! だから私の事信じてくださいっ!!
・・・・・・絶対に嘘にしません。あなたの身体も、記憶も、取り戻せるように力を貸します。だから」

「お前バカかっ! 信じられるわけがねぇだろうがっ!!」

「お願い、します」



私は一旦治療魔法をストップして、一気に頭を下げる。



「ヤスフミの身体、鍛えてるけど小さい分ダメージが後に響きやすいんです。
何があったか知らないけど、そんな状態で無理したら・・・・・・本当に壊れる」

「は? いやいや、ありえねぇだろ。コイツの身体めちゃくちゃ強いぞ」

「強いけど脆いんです。現にヤスフミの身体、小さいですよね?
それ、戦って怪我したりした影響なんです。決して頑丈なわけじゃない」



両手はスカートを強く握り締め、それでも・・・・・・それでも必死に頭を下げて声を絞り出す。



「信じられないの、しょうがないと思います。初対面に近いわけですし。それはしょうがないと思います。
だけどお願いですからヤスフミを・・・・・・その子を、それ以上傷つけないでください。私、もし何かあったら」

「あーもう、うるせぇっ! 無理って言ってんのが分からねぇのかっ!! ・・・・・・何を信じろってんだよ」



顔を上げると、モモタロスさんはそっぽを向いていた。というか、さっき急に落ち込んだ声になってた。

それがどうしてか分からなくて、私は中腰のまま視線を落としたままのモモタロスさんを見る。



「俺は『俺』ですらなくなったってのに、何を信じろってんだよ。
身体も、記憶も、何もかも無くなっちまったのによ」



・・・・・・その言語を聞いて、自分がまた・・・・・・またバカをやったのを痛感した。

私はまだ、変わり切れてない。私の嫌いな自分をまた出して・・・・・・最低だ。



「・・・・・・ごめん、なさい」

「謝るくらいなら最初から噛みついてんじゃねぇよっ! このバカがっ!!」





そうだ、私はバカだ。どこかで自分が信じられて当たり前だと思ってた。だから『信じて』なんて簡単に言った。

まだ私は、局員で執務官でオーバーSな魔導師だから信じられて当然って・・・・・・ズルしようとした。

みんなや社会や居場所から認められて、愛されて、『フェイト』と呼ばれる自分だから大丈夫って決めつけた。



情けない。私は本当に情けない。殺したいくらい嫌いな自分にまたなろうとしてたんだ。



自分が情けなくて、悲しくて、悔しくて・・・・・・私は視線を落として、左手を握り締めていた。





「・・・・・・ま、アレだ。俺も別にコイツを使い潰すつもりもないしよ。
だからまぁ、ちったぁ気をつけといてやるから安心しろ」

「え?」

「だから安心しろっつってんだよっ! これ以上コイツが怪我しないように気をつけといてやるよっ!!
で、用が済んだらちゃんとお前んとこへ返してやるよっ! だからおとなしく待ってやがれっ!!」

「安心出来るわけがあるか。てーかバカはお前だろ」



呆れたように、モモタロスさんの目の前の士さんがそう言った。

それでモモタロスさんの視線が睨み気味になって士さんに向けられる。



「あぁ? お前、そりゃどういう意味だ。あれか、お前も信じろどうこう言うクチか」

「別に。てーか無理だろ。会って10分も経ってない奴とそんな風になれるわけがない。
あぁそうだな。コイツの言った事はズレまくってるさ。お前が俺達を信じる道理なんざ一つもない」

「士くんっ! さすがにそれは」



ううん、その通りだよ。私は・・・・・・ズルした自分が当たり前になってるんだ。それくらいにバカな時間を過ごして来たんだ。

嫌だ。こんな私は、嫌いだ。こんな私はもう嫌だ。私・・・・・・本当に何やってるんだろ。



「いいだろ。本人が一番分かってるんだしな。・・・・・・だが、お前はそれを含めてもバカだ」

「なんだとっ!!」

「あんな雑魚を一体一体潰してって意味があるのかって言ってんだよ。
・・・・・・もしもお前が倒したモグラ共を統率してる奴が居るって言ったら、どうする?」



士さんの言葉で、モモタロスさんの目が見開いた。・・・・・・あぁ、そっか。そこからの交渉手段があった。

私、やっぱりバカだ。ヤスフミの身体の事がかかってたから、全然冷静じゃなかった。士さん達の方がずっとちゃんとしてるよ。



「ソイツを倒せば、おそらくこの時間の歪みは消える。だが、倒さなきゃマジでエンドレスなモグラ叩きだ。
俺達も実はソイツを追っていてな。で、もしかしたらお前の身体と記憶も元に戻る・・・・・・かも知れない」

「・・・・・・マジか」

「今言ったように『かも知れない』ってのが付くけどな。で、お前にも」

「そうかそうか。だったら今のこの匂いは・・・・・・ソイツかっ!!」



モモタロスさんは、ユウスケさんの手を振り払うように一気に立ち上がった。そのまま辺りを見回し始める。



「あの、あなたまさか」

「あぁ、イマジンの匂いだっ! それも今までみたいなモグラ共じゃねぇっ!! もっと別の匂いがするっ!!」

「よし、ならそこに案内しろ」

「おっしゃっ! 任せとけ・・・・・・って、俺に命令してんじゃねぇっ!!」










私達はモモタロスさんの案内で、その匂いの発生源を追う事になった。





でも、ヤスフミの身体はそのまま。本当は外に出て欲しいのに・・・・・・それは出来ない。





だからせめて、これ以上傷つかないように最大限フォローしようと決めつつ私は走る。




















◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



共通認識がバカの奴の案内で到着したのは、高層ビルと高層ビルの合間。

そこを自転車で全力疾走している子どもが居た。なお、その足元から砂が零れ落ちている。

だから走りながらも砂が撒き散らされてんだよ。アレは蒼チビが身体乗っ取られた時と同じだ。





そのまま追いかけようとするが、一旦止まって俺を追い越そうとしたバカを右手で止めた。










「お前やっぱバカだな。・・・・・・コイツらと一緒に回り込むんだよ」

「だから命令してんじゃねぇよっ!!」



なんて言いながらも、あのバカはそのまま走り出す。その後をユウスケと花まる子ちゃんに夏みかんも追う。

で、当然あの金髪の姉ちゃんも追うが・・・・・・俺は少しストップをかける事にした。



「あぁ、アンタはちょっと待て」

「・・・・・・はい?」

「アンタ、非殺傷設定ってやつで攻撃は出来るよな? だったら一つ頼みがある。
・・・・・・俺達の誰かが一人でも向こうのイマジンに乗っ取られたら、それで遠慮無く攻撃しろ」



少し声を抑え気味にしてそう言うと、金髪の表情が変わった。というか、俺を睨み出した。



「あなた、本気ですか? そんな事出来るわけがないじゃないですか。味方を攻撃するなんて」

「じゃあ蒼チビがこのままでもいいのか?」

「それとこれとは関係がありません」

「いいや、ある。ここでまた見失ったら、次はもっと見つけにくくなる。それくらいアンタだって分かるだろ」





だがその表情はすぐに困ったような顔に変わる。言いたい事は伝わってるらしい。

・・・・・・そのためには、身体を乗っ取られて逃げられるような事になっちゃマジで困るんだ。

だからこそ俺はコイツに頼んでる。俺やユウスケが変身して攻撃するよりはずっと安全だ。



別に信じてるわけでもなんでもない。てーか信じる義理立てもない。ただ、必要だから言ってるだけだ。





「てーか蒼チビなら即行で頷くぞ。アイツは誰かに『信じろ』って言ったら、何があろうとその言葉を貫く。
・・・・・・アイツはバカだからな。今のアンタと違ってグダグダ迷ったりはしないだろ」



あぁ、アイツはバカだな。いつもの調子で抵抗すりゃあいいのに、あっさり身体乗っ取られてやがる。

意識無くしてたって、あの性格の悪さを考えれば問題なくあのバカ追い出せるだろ。もはやここは常識だ。



「もちろんアンタが乗り移られたら、死なない程度に俺が止める。それでアンタも俺に対してそうしてくれていい。
言った以上は俺だってそれくらいは覚悟してるさ。だから、アンタも覚悟を決めろ。アンタはここに何しに来たんだ」

「・・・・・・私は」

「あのバカ追いかけて遥々ここまで来たんだろうが。デンライナーの奴らの助力も断ろうとして、一人で助けようとしたんだろうが。
だったらまず、ここで一つ意地を通せ。アンタはどんな事があっても、絶対にアイツを取り戻したいんだってな」



金髪は本当にちょっとだけ視線を落とした。だがすぐにそれを上げて、俺を見て頷いた。



「分かりました。でもあなた、一つ勘違いしてます」

「はぁ?」

「私はヤスフミを助けて」



金髪はそのまま思いっきり笑ってきた。自信を持って・・・・・・遠慮無くだ。



「抱きしめて一緒に笑いたいんです。二人で、一緒に」





そう言ってから急ぐように走り出した金髪の背中を見送る事もなく、俺は駈け出す。

まずは俺一人でアイツを追う。で、さほど経たずに俺はガキに追いついた。

当然ながらその砂を撒き散らす傍迷惑なガキは、自転車のペダルを必死に回して加速する。



それで振り切ろうとする事自体が油断だとも知らずにだ。だから俺は一人でコイツを追った。

複数で追うと、どうしても警戒されるしな。さっき見た様子だと、俺達に気づかれていない感じだったのも幸いだ。

だからこそ立体交差している通路のど真ん中で、ガキの前方を塞ぐ形でユウスケ達が出てきた。



自転車のガキはブレーキをかけて、音を立てながら急停止。それで俺達を見渡して苦い顔をする。





「へへへ・・・・・・行き止まりだぜぇ」



あのバカ、両手広げて通せんぼ状態でそれはマジでやめろ。てーかめちゃくちゃ悪人じゃねぇかよ。

まぁ図式的にはそうなっても仕方ないんだよな。考えてもみろよ、俺達子ども囲んでにじりよってるんだぞ?



「これじゃあ他の奴には乗り移れないよな。・・・・・・あぁ、そうそう。一つ言っておくぞ。
俺達のうち誰かに乗り移ってみろ。遠慮無く攻撃して叩き出してやる」



すると自転車のガキの動きが一瞬だが固まった。なるほど、やっぱ考えてやがったか。

まぁ身内同士でどつき合いやらせたら隙も出来るしな。狙わない手じゃないか。



「おいおい士っ! マジかっ!?」

「私達が乗っ取られても攻撃するって、そんなのアリですかっ!!」

「マジだ。お前らも覚悟決めろ。ちなみに俺とそこの金髪は決めた。そうだろ?」





すると金髪は返事の代わりにその姿を変えた。

髪型はツインテールで、黒い制服っぽい服の上から白いマントを羽織る。

そして両手には黒色で無骨なデザインのバトルアックス。



・・・・・・大体分かった。あれがバルディッシュの戦闘形態ってわけか。

花まる子ちゃんも同じらしく、両手を上げて構えた。

その姿が俺から見て、妙に頼もしく感じたのは気のせいだとしよう。





「・・・・・・分かった。俺は覚悟を決める。夏海ちゃんもいいな?」

「いいも悪いもないんですよね」

「当然だ。さ、そういうわけだからお前も覚悟を決めろ」



言いながら俺はバックルを装着。右手で変身用のカードを取り出す。



「俺達からフルボッコにされる覚悟をな」



ユウスケも構えてベルトを腰に装着。バカも同じくだ。なお、夏みかんは省く。

ガキはそれを見て、覚悟を決めたように自転車から降りた。そして、前のめりに崩れ落ちる。



「・・・・・・貴様ら、余計な事をしてくれるな」





ソイツから噴きだした砂が、緑色の人型な怪物を形取る。その姿は・・・・・・ワニか?

あぁ、でも大体分かった。コイツで当たりだ。コイツ、今まで見たイマジンとは存在感がまるで違う。

いや、威圧感って言っていいかも知れない。ついでにそれに気づいたのは俺だけじゃない。



ワニ野郎の背後に居る四人も同じだ。姿を見ただけで油断出来ないと思ったのか、空気が一気に引き締まった。





「まぁいい。もうすぐこの時間は消える。・・・・・・いや」



ワニ野郎はそう言ってから俺達を一瞥して鼻で笑った。



「俺様が消してやるっ!!」





次の瞬間、ワニ野郎が虹色の光に包まれて自転車のガキに吸い込まれた。

なお、別にまた取り憑いたとかじゃない。自転車のガキの背中が、気持ち悪い事に開いたんだよ。

開いた中は幾何学的な色合いで、その中に光になったワニは吸い込まれた。



俺達は急いでソイツの方に走り寄るが、ワニ野郎は完全に消えた。





「おいおい、こりゃなんだよ。また取り憑いたのか?」

「違います。コレ・・・・・・過去に跳んだんだ」



金髪が焦り気味にそう言って、花まる子ちゃんの方を見た。

次の瞬間、後ろから何かが弾けるような音がする。そちらを見て、その言葉が事実だと知った。



「ビルが・・・・・・消えました」

「マズい、本気でアイツ時間を消すつもりだぞ。・・・・・・ハナちゃん、こういう時電王はどうするんだ?」

「えっと、まず」

「なぁ、コレとか使ったりするのか?」



懐から、あの空のチケットを取り出した。するとあのバカと花まる子ちゃんは驚きながら俺を見た。



「あ、そうです。それをこの子の額に」



言われた通りに額にチケットを当てると、チケットに絵と日付が浮かんだ。

その絵はあのワニ野郎で、日付は・・・・・・2008年の12月30日。



「でもそのチケット、どうして。普通に出回ってるものじゃないのに」

「さぁな。この世界に来たら、蒼チビのポケットの中にいつの間にか入ってたんだよ。そこのバカに取り憑かれた時に落としたがな」

「そんあこたぁどうでもいいっ! 早くあの野郎ぶちのめしてやろうぜっ!! ・・・・・・変身っ!!」

≪Sword Form≫



・・・・・・ここで変身してどうするんだと思ったが、いきなり出てって相手の前で変身ポーズもアレだと思った。

なので、俺もユウスケと顔を見合わせる。そこから俺達も続く事にした。



「「変身っ!!」」

≪DECADE!!≫



俺達の姿はそれぞれのライダーのものになる。まぁそこはいい。ただ、問題はあのバカだ。



「俺、参上っ!!」



やっぱ蒼チビの身長に合わせた形で変身してんだよ。・・・・・・おかしいだろ、コレ。

あの時は遠目だったし、俺の見間違いかとも思ったんだよ。あぁ、でもアレだ。現実は残酷なものだったんだな。



「・・・・・・あなた、なんか可愛いですね」

「ホントよね。ミニ電王って感じだわ」

「あの、えっと・・・・・・大丈夫です。可愛くもありかっこいいと思いますから」

テメェらうるせぇっ! どういうわけかコイツに憑いたままだとこうなんだからしかたないだろうがっ!!




















◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



イマジンを追って過去に行くためには、デンライナーを使う。ならこの日付入りのチケットはどうするか。

パスに差し込んで、運転席にあるあの蒼チビも乗ってるデンバードにそのパスを差し込むんだよ。

てーかパスがキーとか少しおかしいバイクだとは思ってたが、そこを再現してアレなのかよ。造った奴バカだろ。





そんな訳で俺はデンバードに乗って、目の前のモニターを見ながらアクセルを吹かしている。

だが、バカなのはもっとあるな。なんで運転席にバイクが備え付けてるのかって事だよ。

普段は自動運転に近いらしいが、だからってコレはないだろと言ってやりたい。どんだけ自由な作りしてんだ。





人類の夢、タイムマシンの現実を見てそれに首を傾げていると・・・・・・目の前に赤いチビが出てきた。










「おいっ! お前何普通に運転してんだっ!? そこは俺だろっ!!」

「なんでそう言い切れる。お前記憶喪失だろ」

「あ、確かにそうだな。だがこう・・・・・・って、ごまかしてんじゃねぇっ!!」



赤チビは俺の後ろに回り込んで、いきなり両肩を掴んで揺らしてくる。



「いいからどけっ! なんかお前にそこ座られてんのは激しくムカつくんだよっ!!」

「あぁもううっとおしいっ! お前離れろっ!! てーかお前じゃ無理だろっ! 足つかないだろうがっ!!」

「はぁっ!? テメェ何言ってんだっ!!」



赤チビは軽く跳んで、いきなり俺の後ろに乗ってきた。

そのせいで少しバイクが揺れるが、しっかりとバランスを取る。



「見てみろ、足くらい軽く」



試しに後ろを・・・・・・赤チビの足を見てみるが、ブランブランしている。全くついてない。



・・・・・・つかねぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!!

「・・・・・・悪い。俺もさすがにマジでつかないとは・・・・・・いや、なんか悪かったわ」










そんな事もありつつ、俺達は無事に過去・・・・・・2008年の12月30日に到着。





電車を降り立つとそこにはあのワニ野郎。ワニ野郎はこちらを見ていきなり鼻で笑ってきた。




















◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



さっきと変わらない都心の一角。ビルとビルの間にあるそこそこ広い空間で、ワニ野郎は逃げもせずにそこに居た。





俺は剣を持ち、ユウスケは拳を構え、そして金髪は周囲に四つほど金色の魔力スフィアを出した。










≪Plasma Lancer≫

「あの、私と士さん達が相手をします。だからあなたは出来る限り下がって」

「おい坊主っ!!」

「あ、ちょっとっ!!」



赤チビは躊躇い無くあのワニ野郎の近くまで走って、倒れてたあの自転車のガキの方に近づく。

・・・・・・アイツは問題無さそうだな。意識なくしてるだけらしい。血が出たりしてる様子もない。



「・・・・・・テメェ、こんな子どもまで使いやがってっ!!」

「ふん、それはお前も同じだろうが。このチビ電王が」

「うっせぇっ! コイツはチビに見えるけどな」



赤チビはそのまま突っ込んで、右拳を叩きつける。



「これでも18なんだよっ!!」



だがワニ野郎はそれを左腕で軽く受け止めて・・・・・・ビクともしやしない。



「そうかそうか、それは悪かったなぁ」



すぐにカウンターで右拳を赤チビの腹に叩き込むと、赤チビはそのまま転げた。



チビがっ!!」





・・・・・・凄まじく嫌な予感がしてきたぞ。それはもうめちゃくちゃ嫌な予感だ。

だが、その予感はすぐに消える。あのバカがまだ眠ったまんまだからな。

すぐさま金髪が周囲に展開したスフィア達を撃ち出す。するとスフィアは円錐状の形になった。



そのままワニ野郎を撃ち抜くが、火花を軽く散らせただけで全く効きやしない。



ワニ野郎は嘲笑うように声を上げながら、俺達の方へと一歩ずつ近づいてくる。




「・・・・・・バルディッシュっ!!」

≪Harken Form≫





金髪の斧の姿が鎌に変わったかと思うと、すぐに加速。



その鎌は右薙に振るわれて、ワニ野郎を斬り抜ける。だが、全く効果がない。



ワニ野郎と交差して、距離を取った金髪が驚きながらワニ野郎の方を見た。





「そんな・・・・・・傷ひとつ付いてない」

「おいおい、まさかこれでおしまいか? ありえんだろ」





そう言いながらワニ野郎は少ししゃがんで、地面に手を当てる。その瞬間に両肩に火花が走る。

両肩から生えているワニの尻尾みたいな長い装飾に緑色の火花が走ると、地面から煙が発生した。

その煙はすぐに晴れたが、問題は晴れた後のワニ野郎だ。・・・・・・右腕が巨大化してた。



いや、正確には右腕が巨大なコンクリのグローブに包まれてるって言った方がいいかも知れない。



なぜコンクリだと分かるかは・・・・・・簡単だ。足元のコンクリの地面が、ごっそり削れてるんだよ。





「物質操作による装甲生成っ!? こんな真似まで・・・・・・!!」



金髪が言っている間に、ワニ野郎は俺達に向かって踏み込んだ。当然だがその巨大な右腕を叩きつけてくる。

巨大なくせにスピードは意外とあるせいで、俺達は避けきれずにそのまま吹き飛ばされて地面を転がった。



「おいおい・・・・・・あんなのアリか?」

「アリなんだろうよ」



剣状態のブッカーを銃に変形させて、俺はワニ野郎を起き上がりつつ撃つ。

ワニ野郎は放たれる銃弾を右手のナックルで全て防いだ。だが、コンクリのグローブに穴が開いた。



「ふむ、少々作りが甘かったか。なら」



・・・・・・そう思っていた時期が俺にもあった。ワニ野郎はこちらに歩きながら右手を地面にくっつける。

するとさっきと同じ現象が起きて、コンクリはまたグローブに早変わりだ。



「これならどうだ?」

「くそ、これじゃあキリがないだろ。・・・・・・おい金髪っ!!
お前の魔法でこれはどうにかなんないのかよっ!!」

「分かってますっ! でもこれ・・・・・・高火力の砲撃魔法でも使わないと」

「砲撃っ!? テメェバカかっ! 坊主や他の連中も巻き込むつもりかよっ!!」



そんな事を言いながら赤チビは、またワニ野郎に突っ込む。それで右拳を叩き込もうとするが、その前にワニ野郎が動く。

ワニ野郎は裏拳の要領で拳を振るい、赤チビの胴体を撃ち抜いてまた吹き飛ばした。



「がはっ!!」





転がって地面に倒れた赤チビはアレとして・・・・・・これはマジでどうする。

例えコンクリを砕いても、それじゃあ中にダメージは与えられない。

いや、それ以前にその中身すら硬いんだ。中途半端な攻撃じゃあ通用しない。



普通にこれは詰みだろ。・・・・・とは言え、魔導師アテにしまくるのもアレか。





「ユウスケ」

「分かってる。・・・・・・超変身っ!!」



ユウスケは俺の言いたい事が分かったのか、すぐに紫のクウガになった。

で、次は俺だ。ブッカーからカードを取り出して、すぐにバックルに挿入。



≪KAMEN RIDE・・・・・・KIVA!!≫



で、キバに姿が変わっていく間にまた次のカードを取り出して・・・・・・よっと。



≪FORM RIDE・・・・・・DOGGA!!≫



俺の姿は紫の分厚いアーマーを着込んだキバの姿になる。で、右手の銃もバカデカいハンマーになった。



「力には力ってな。・・・・・・ユウスケ、行くぞ」

「おうっ!!」





俺達は同時に踏み出して、ワニ野郎に接近。まず俺が唐竹にハンマーを叩き込む。

ワニ野郎はそれを右手のナックルで受け止める。コンクリは・・・・・・おいおい、なんか砕けねぇんだけどどういう事だよ。

だが、そこにすかさずユウスケが左から走って、ワニ野郎の腹に右足で蹴りを叩き込む。



ワニ野郎はこの攻撃だとさすがにバランスを崩して、後ろにたたらを踏んだ。俺とユウスケは即座に追撃しようとする。

だがワニ野郎は右足を踏みしめて後ずさりしようとする身体を踏ん張り、一気に右手を左薙に振るった。

俺はそれを見て、即座に同じように拳型のこのハンマーを打ち込む。ハンマーとワニ野郎の拳は正面衝突だ。



互いに衝撃で弾かれ、同時に俺達は少し下がる。だがワニ野郎はまた拳をストレートで打ち込んで来る。

俺は今度は下から打ち上げるようにしてハンマーを振るい、ワニ野郎の手首辺りを狙って攻撃。

拳は俺の狙い通りに打ち抜かれ、上にその軌道を逸らした。そこにユウスケが走り込んで、再び右足での蹴り。



それが命中したと思ったんだが・・・・・・拳は空いていた左手であっさりと受け止められていた。





「ユウスケ、下がれっ!!」



ユウスケが後ろに下がろうとするが、それより早くワニ野郎の腕が動く。まず左腕をオーバーに振るって足を弾き飛ばす。

それによりユウスケの体勢が崩れたところを狙って、右拳を叩きつけてユウスケの身体を吹き飛ばした。



「・・・・・・がぁ」





ユウスケの身体は近くのコンクリの支柱に叩きつけられても止まらない。そのコンクリを砕きつつも飛んでいった。

それで近くにあるビルとビルの間の広場に身体を叩きつけられて、そのまま身を震わせる。

だがそれを何時までも見ている余裕はない。ワニ野郎は俺の方へと迫りながら、また肩の尻尾に火花を走らせる。



すると周囲に煙が立ち上って・・・・・そこから猫背で隊長2メートル50程の巨人が現れた。

色合いは無地の灰色で、胴長で腕が異様にデカい。そして顔らしき部分には黒色の瞳がある。

いや、覗き穴って言った方が正解か。そこからワニ野郎がこっち覗いてんだよ。





「・・・・・・おいおい、マジかよ。それはいくらなんでも反則だろ」

マジだ





ワニ野郎は頭を天井にこすりながら、俺ににじり寄って・・・・・・右拳をストレートに叩きつけてくる。

俺はもう一度ハンマーを右薙に振るい、その拳と張り合う。それでなんとかハンマーを振り抜いた。

だが、すぐに左の拳が飛んで来た。俺は咄嗟にハンマーで防御するが、やはり吹き飛ばされる。



俺ユウスケと同じく、日の当たる広場の方に出る事になった。



ワニ野郎はゆっくりと・・・・・・ゆっくりとこちらに来る。俺とユウスケは起き上がりながら周囲を見渡す。





「士、フェイトさんが言ってた砲撃って・・・・・・ここだとヤバいかな」

「ヤバいんだろうな」



じゃなきゃ、躊躇い無く金髪は撃ってるだろ。つまりそれなりに被害範囲が大きいんだよ。



「てーか考えてみろよ。この調子だと砲撃撃ってもダメージを半減されるぞ」

「あー、そこ俺も考えてた。恭文のアレコレ見てるとな」





俺も実はユウスケと同じく、蒼チビが普段やってる地面から壁を生やしての防御を思い出してた。

あの鎧が砕けても、また別の鎧を生成すればいい。幸いな事に材料はここにいくらでもある。

しかもアイツの鎧、こっちの攻撃に合わせて防御力を上げる事も出来るらしい。また厄介な。



こっちの攻撃をどうにか通さないと、マジでさっき言った通りに詰みだ。だが、どうする? 生半可なのは全部アウトだろ。





「なんだ、負ける相談か?」

「いいや、俺達が勝つ相談だ」










こうなると・・・・・・ま、俺達に出来る範囲で頑張るしかないか。





金髪だって切り札の一つや二つは持ってるだろ。そこもアテにしたいが、その前にまず俺達だ。




















◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



「・・・・・・バルディッシュ、ライオット」





はやてにリミッターは解除してもらった上で来てるし、ライオットも十分に使える。

中途半端な攻撃は出来ない。でも当然だけど高火力砲撃なんてこんな場所では撃てない。

だったらライオットであの装甲ごと中身を斬り裂くしかない。大丈夫、出来る。



ザンバー状態にすればギリギリだけどいけるはずだ。





≪だめです≫

「どうしてっ!?」

≪正確には、Sirが接近攻撃をする事自体を反対させてもらいます。
あの巨体にあのパワー、うかつに近づけば一瞬で叩き潰される≫

「・・・・・・それはそうだけど」



確かにその危険がある。しかもアイツ、あのパワーの上にそれなりに素早い。

かなり的確な士さんやユウスケさんの攻撃、あっさりと捌いた上でカウンターを通してる。



「でも」

≪それでも私は反対です。余りにも危険が大きい。・・・・・・彼ならば別でしょうが≫



私はバルディッシュの言いたい事がすぐに分かった。

だから自然と、起き上がって腰のデンガッシャーを剣にしているモモタロスさんに視線を移した。



「確かにヤスフミなら・・・・・・だけどモモタロスさんがあの調子じゃ」



ハナさんや私が名前を教えても、全くの無反応。本当に全部忘れてしまってるみたいなの。

その上どうやっても私達側からではヤスフミの身体から出す事も出来ない。どうしようもないよ。



≪Sir、射撃と補助魔法による援護に徹してください。接近は厳禁です≫

「・・・・・・分かった」




















◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



「・・・・・・無視してんじゃねぇよっ! このスカシ野郎がっ!!」



後ろから赤チビが三度目の強襲。なお、今度は剣を持って斬りつけていく。

それでもワニ野郎は火花を上げながらこちらに近づいて来ていた。



「バカっ! 無茶すんなっ!!」



言いながらまたカードを取り出して、バックルに挿入。

その間に赤チビは左拳を裏拳で叩き込まれて、また火花を上げながら吹き飛んだ。



「・・・・・・いつまでも」

≪FINAL ATTACK RIDE・・・・・・DOGGA!!≫

「調子乗ってんじゃねぇよっ!!」





俺はハンマーを身体の真正面に構えて、ハンマー後ろのグリップを手前に引く。

すると握られた形のハンマーは、その手を勢いよく開く。

そしてその手の平に刻まれた一つ目の紋様から、紫色の光を放つ。



その光はこちらにゆっくりと近づいていたワニ野郎の動きを止めた。・・・・・・うし、これは効くな。





「ユウスケ、赤のクウガで合わせろっ! 狙うは・・・・・・両肩だっ!!」





ユウスケに声をかけている間に、ハンマーは再び拳の状態に戻った。

そこからまるで幽体離脱でもしたかのように、半透明の全く同じ形状のハンマーが火花を放ちながら抜け出る。

そのままハンマーを反時計回りに振り回すと、その半透明のエネルギー状のハンマーも動く。



それは一回振り回す毎にハンマーから距離を離しながらも、火花を走らせ繋がっているような状態になった。




「・・・・・・分かったっ! 超変身っ!!」



ユウスケは一瞬で赤のクウガに戻って、腰を落とす。



「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」





右足に赤い燃える炎のような光を溜めて、ユウスケはワニ巨人に向かって踏み出した。

そのまま飛び込んで、空中で身を一回転させながら相手の右肩を狙って蹴りを叩き込む。

俺はたっぷり遠心力を乗せた上で、ユウスケとは逆に左肩を狙って袈裟にハンマーを振るう。



俺はこの場から一歩も動いていないが、走る火花で繋がっている半透明のハンマーは確かにアイツの肩を捉えた。





「「うぉりゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」」



次の瞬間ワニ巨人の両肩で爆発が起きる。ユウスケはその勢いに飛ばされながらも、なんとかこちら側に着地。

アイツも爆発の勢いに圧されながら、戒められていた身体を動かし後ろ向きに倒れた。



「・・・・・・貴様ら、好き勝手してくれるな」



ワニ巨人が起き上がろうとするが、その身体はすぐさま瓦礫となって崩れ落ちる。

中身は両肩以外は無事なようで、瓦礫の中からはい出て来て元気な姿を見せてくれたよ。



「ぐぅ・・・・・・!!」



両肩の尻尾から砂が零れ落ちて、瓦礫の上に乗っかる。ワニ野郎はそれが辛いのか、軽く身を震わせる。

・・・・・・やっぱそこが弱点だったか。コンクリを鎧にする時にいちいち光ってたから、怪しいと思ったぜ。



「どうやら、もう鎧は作れないらしいな」

「こっからは俺達と身体張って殴り合いだ」

「・・・・・・貴様ら、楽に殺されると」



ワニ野郎はそれでも身を伏せて、瓦礫を右手に当てる。そこからまた煙が出て・・・・・・グローブ生成だ。

くそ、当たりが浅かったか? 完全に能力封印とはいかなかったか。まぁさっきよりは楽だろうがな。



「思うなよっ!!」

「それ、完全無欠に負けフラグだろうがっ! お前勝つ気ないだろっ!!」




















◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



私は吹き飛ばされて壁に叩きつけられたモモタロスさんの方へ行く。





モモタロスさんは変身こそ解除されなかったけど、そのまま身体を地面に転がして・・・・・・また立ち上がろうとしてた。










「ダメですっ! もう立ち上がらないでくださいっ!!」

「悪いが、そりゃ無理だな。・・・・・・あー、アンタには悪い事したなぁ。もう怪我させねぇつもりだったんだが」

「だから動かないでっ!!」



フラフラで立ち上がって、あの戦いの場へ行こうとする身体を、抱き締めて止める。

でも、それすら痛いのかモモタロスさんはあっさりと崩れ落ちた。



「痛ぅ・・・・・・!!」

「あ、ごめんなさい」



思わず離してしまったから、また立ち上がって・・・・・・あの人は息を吐く。



「悪いが、止まれねぇな」

「ダメですっ!! 後は士さん達が・・・・・・私がなんとかします。だから」

「そういう問題じゃねぇよ」



モモタロスさんは荒く息を吐きながら、あの男の子を・・・・・・自転車に乗っていたあの子を見る。



「悪いがよ、俺の記憶と身体どうこうだけじゃなくなったんだよ。俺ぁあのクソワニが許せねぇ。
人任せになんざ出来ねぇんだ。・・・・・・坊主、もうちょい無茶するぞ。最後まで付き合え」

「あいにくそれは無理だね。君は今からデンライナーになるんだから」



その声は私の後ろから聴こえて来た。私は咄嗟に振り向くと、そこには・・・・・・青い仮面ライダー?



「いや、まさか君まで士達に関わるとは思ってなかったよ。本当にビックリだ」

「あの、あなた」

「俺にデンライナーになれとかワケの分かんない事言う奴だよ」

「ワケが分からないとは失礼だね。君にとって悪い話じゃないはずだよ? 君は実体がない。
だから僕が与えてあげる。そうすれば君はものすごいお宝になれる。ほら、凄いでしょ」



・・・・・・なんだろ、この人の言い方が凄まじく不愉快に聴こえる。どうして・・・・・・あぁ、そっか。

スカリエッティの事思い出したんだ。あのアジトでの挑発を思い出して・・・・・・ならダメ。もっと冷静にだ。



「記憶も身体も、何も取り戻す必要なんてないよ。ただのイマジンが僕の最高のお宝に変わるわけだからさ。
さぁ、喜びたまえ。これで君は今の何者でもない存在しない自分から、『君』になる事が出来るんだからね」

「・・・・・・あなた、何様なの」



私は立ち上がって、こちらに近づこうとするあの人の前に出る。



「そんな事させない。私は・・・・・・あなたの言ってる事が凄まじく不愉快に聴こえる。
自分は、誰かに与えられたりするものじゃないっ! そんな事しても、凄く後悔するだけだっ!!」

「へぇ、邪魔をするんだ。出来れば君は傷つけたくないんだけど」



あの人は右手の銃を構えて私に銃口を向ける。



「大体、後悔するわけないじゃないか。基本タダでなれちゃうんだしさ」

「いいや、後悔するっ! 現に私はしたっ!! 苦しまないで、ズルをして・・・・・・そんな事をしても意味なんてないっ!!
苦しくても分からなくても、自分と向き合って答えを一つずつ探していかなきゃ、私は『私』になんてなれるわけがないのにっ!!」



私もバルディッシュを構えて。



【フェイトの・・・・・・言う通りだ。海東、おのれの出る幕じゃ・・・・・・ない】



でも、あの人と私の動きはその声ですぐに止められた。

だから私は改めてモモタロス・・・・・・ううん、ヤスフミの方を向いた。



「ヤスフミっ!?」

「おま・・・・・・おいおい、マジで起きてんのかよっ!!」

「・・・・・・これは驚いた。まさか思いっきり覚醒するとは」

【うん、バッチリ。どっかの誰かさん達がチビ呼ばわりしてくれた上に、徹底的に痛めつけてくれたしね】



声には明らかな怒気。それを聞いたモモタロスさんは・・・・・・私の顔を見てからすぐに両手を合わせた。



「いや、悪い。こう、つい出来心で」

【だが許さない。あとで絶対ぶっ飛ばす。ま、それよりも今の状況か】



すると、近くから爆発音が聴こえた。私達がそちらに視線を向けると、あの巨人の中からワニのイマジンがフラフラと出てきた。

そこから拳を作ってまた士さん達に突撃。でも、もう巨人になったりはしないみたい。



「あのヤスフミ、実は」

【あー、うん。大体分かってるから大丈夫。なんでフェイトがここに居るのかが非常に疑問だけど。よし、後でぶっ飛ばす】

「どうしてっ!?」

【それで・・・・・・僕の身体を勝手に使ってるバカ鬼】



こちらの驚きなんて無視して、ヤスフミは呆れた声を出しながらモモタロスさんに話しかける。



【なにチンタラやってるのよ。最初からクライマックスが信条じゃなかったの?】

「最初・・・・・・あれ、そういや前に咄嗟にそんな事を言ったような」

【そこも完全に忘れてるんかい。・・・・・・自分が無い? 俺は俺を失った? 嘘だよ、そんなの。
アンタは僕の身体の事、ちゃんと気遣ってくれた。フェイトとの約束を破った事、申し訳なく思ってた】



どうやら本当に大体の事が分かってるらしい。こうやって話し出す前の事まで口にしてる。



【そこで気絶してる子の事、本気で心配して・・・・・・利用された事を本気で怒った。
だから今だって立ち上がろうとした。その行動と、あげた叫びそのものがアンタじゃないの?】

「・・・・・・坊主」

【アンタはここに居る。誰が否定しようと、誰の目にも映ってなくても、ここに居て声をあげてる。叫んで足を動かそうとしてる。
・・・・・・アンタは何も無くしてなんてないっ! ただアンタが自分で自分の事ワケ分からなくなっただけだっ!!】



ヤスフミはモモタロスさんに向かって叫ぶ。でもその叫びが、私の胸にも突き刺さった。

それは・・・・・・そうだ、私にも言える事だからだ。だから自然と私は、気持ちが高ぶった。



【だからイメージしろっ! そして掴み取れっ!! 分からない自分からもう逃げるなっ!!
分からないなら、その中に手を伸ばせっ! 誰かに頼らず・・・・・・自分を見つけ出せっ!!】

「・・・・・・ったくよ、ガキのくせに偉そうに説教タレやがって」



モモタロスさんはそう言ってから改めて身体を起こして、落ちていたデンガッシャーを拾って肩に担いだ。



「まぁいいさ。坊主、テメェ名前は」

【蒼凪恭文】

「あー、長くてめんどくさいな。蒼坊主でいいな。・・・・・・蒼坊主、もう一度言うぞ。
俺に最後まで付き合え。もう泣き言は言わねぇさ。徹底的に・・・・・・俺を通してやるぜっ!!」

【いいよっ! だったらこのまま・・・・・・直進あるのみっ!!】

「おうよっ! 行くぜ行くぜ行くぜぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!!」










叫びながらモモタロスさんは踏み出した。私が止める間もなく、本当にあっという間にだよ。

・・・・・・そうだ、分からないなら手を伸ばすしかないんだ。だって私は、今までみたいなのは嫌だから。

ヤスフミ、ありがと。私・・・・・・なんだか本当に少しだけ、また分かった気がする。





私もモモタロスさんに続くように前に踏み出した。それであの青い人は、いつの間にか姿を消していた。




















◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



ワニ野郎の左足での蹴りに吹き飛ばされて地面を転がり・・・・・・って、今回そんなんばっかだな。

とにかくキバからディケイドに戻りつつ転がり、すぐに起き上がろうとするとブッカーからカードが飛び出した。

俺が咄嗟にそのカードを手に取ると、それは白くボヤけた電王絡みのカード達だった。





そのボヤけた絵はすぐにくっきりとしたものになる。だが、変化はまだ続く。

ファイナルフォームライドのカードは電王とデンライナーの絵なんだが、その中身が変わったんだよ。

デンライナーの絵は赤い黒目の単純そうなバカ鬼に変わった。





それに驚いている間に、前方から火花が走る音が聴こえた。そちらに目を向けると・・・・・・そのバカが居た。










「・・・・・・貴様、また吹き飛ばされたいかっ!!」

【右っ!!】



どこからともなく飛んできた指示に従うようにアイツが身体を動かす。

すると振りかざされた左拳はあっさりと避けられた。



【背中に一撃っ! すぐさま後ろに退避っ!!】



あのバカは剣で右薙に背中に斬りつけた後、一気に後ろに跳ぶ。

アイツが居たところをまた裏拳気味に叩きつけられた拳が通り過ぎた。



【フェイトっ!!】

「うんっ!!」

≪Riot Form≫



即座に金髪が踏み込んで、あのバルちゃんが変わったと思われる金色の剣を使ってワニ野郎の背中に斬りつけた。

ただ、一度じゃない。瞬間的で細かい動きは見切れ無かったが・・・・・・全部で七回だ。



【後ろに下がりつつバインドお願いっ!!】





その指示通りに金髪はすぐさま下がって、左手をかざす。

金髪の手の平の中に金色の魔方陣っぽいのが浮かぶ。

それからすぐにワニ野郎の四肢は金色のリングに戒められる。



なるほど、アレがバインドってやつ・・・・・・いや、それよりも気にする事がある。





「おい士、この声っ!!」

「・・・・・・全く、ようやくお目覚めかよ」



俺達はあの赤チビの方に駆け寄る。で、ユウスケは嬉しそうに赤チビの中に居る奴に声をかけた。



「恭文、お前だよなっ!? ・・・・・・良かったー! これで一安心だっ!!」

【いやぁ、ごめんね。ちょっと時間・・・・・・って、背中叩かないでっ! 身体中傷だらけなんだからっ!!】

「あ、悪い」

「全く、遅過ぎだろ。お前が寝てる間に何回チビチビ言われたと思ってんだ」

【うん、知ってる。だから・・・・・・まずアイツぶっ潰したいんだ



・・・・・・その声に凄まじい寒気を感じてしまった俺は、きっとマトモな感性を持っているが故だと思う。

てーかアレだ、イマジンに身体乗っ取られてなおこれってのはおかしいだろ。身体から瘴気出てるしよ。



「そうか。なら安心しろ」



とにかく俺は、さっき出たカードの一枚をバックルに挿入。



≪FINAL FORM RIDE≫

「これからお前の大好きなフルボッコタイムだ。好きなだけやっていいぞ」



俺は蒼チビの背中に回り込みながら、バックルを両手で操作。



≪DE・DE・DE・DE・・・・・・DEN-O!!≫

「ちょっとくすぐったいぞ」

「へ、いや。お前なにを」





両手を背中に当てて一気に開くと、赤チビの姿が変わった。

というか半透明状の蒼チビが電王の身体から出て地面に転がる。

転がっている間に身体は実体を取り戻して、動きを止めた。



だが唸りながらもすぐに起き上がって・・・・・・しぶとい奴だ。

その間に電王は変化を続ける。まずあれだ、半透明になって身長が伸びた。

意味が分からないだろうが本当なんだよ。ホントに20センチ以上伸びたんだ。



その上で身体に装着してるアーマーやスーツが次々と回転しながら引っ込んでいく。

身体の中にどこへともなく収められて、その代わり姿を表すのは黒い紋様の入った身体の赤い鬼。

二本角のソイツは両手を広げて、自身満々に声をあげた。





「俺・・・・・・参上っ!!」





・・・・・・なんでエコーが響くんだよ。てーかうるせぇし。



バインド砕いてこっちに飛び込もうとしてたワニ野郎まで耳押さえたぞ。



それでその鬼はすぐに両手を下ろして、蒼チビの方に駆け寄った。





「おい蒼坊主、しっかりしろっ!! ・・・・・・悪かったな、無茶苦茶させちまって。あー、金髪姉ちゃんにも後で謝らねぇと」

「モモタロス・・・・・・さん?」

「おう。・・・・・・あんがとよ。お前のおかげで見つけられたし、ぜーんぶ思い出せたぜ」



あのバカ・・・・・・もとい、モモタロスは左手で自分の胸を自信たっぷりに叩く。



「分からねぇ俺の中にある、俺ってやつをよ」



その腕を蒼チビに差し出すと、蒼チビはそれを手に取って身体をゆっくりと起こす。



「立てるか?」

「なんとか。あー、でも身体中ギシギシ言ってるし」

「・・・・・・ヤスフミっ!!」



そこで左側から金髪が走り込んで来て、一気に蒼チビに抱きついた。



「良かった・・・・・・ホントに、やっとだね。私、心配で」

「フェイト、待ってっ! 今はやめてっ!! 痛い、すっごい痛いのっ!!」

「あ、ごめん」

「・・・・・・士、ギンガちゃん居なくて良かったな」

「そうだな。少なくともこの場で修羅場になる事は避けられるさ」




















◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



「モモタロスさん、これ」



懐から改めてライダーパスを取り出して、モモタロスさんに手渡す。

モモタロスさんはそれを右手で受け取ってくれた。



「おう、ありがとよ。・・・・・・さて、パパッと終わらせちまうか」

「ですね」

「ヤスフミだめだよっ! 身体が」

「フェイト」



僕は止めようとするフェイトの方を、安心させるように笑いかけつつ見る。

でもフェイトはどうしてか固まって脂汗を流していく。



僕をミジンコ呼ばわりしたバカをぶっ飛ばしたいの。邪魔しないで

「いや、誰もそこまで・・・・・・ううん、分かった。ならこれ」



フェイトは右手を出して、僕の右手にあるものを手渡してきた。それは・・・・・・あぁ、確かに必要だねぇ。



「ありがと。んじゃ、パパッとやるわ」

≪そうですね。・・・・・・全く、ようやくですか。私の出番遅過ぎません?≫

「いや、ごめんね? でも大丈夫」



僕は手渡された宝石・・・・・・アルトを改めて首元にかけつつ、モモタロスさんと一緒に前に踏み出す。



「ここからは派手に暴れるから」

「そういうこったっ! じゃあ、行くぜ蒼坊主っ!!」

「はい」



モモタロスさんは腰にベルトを装着して、バックルの赤いボタンを押した上でパスをセタッチ。



「おいワニ野郎っ! 今まで散々好き勝手やってくれたなっ!! だがここからはそうはいかねぇっ!!
俺達は・・・・・・最後までクライマックスだからなっ! きっちりカタぁつけてやるぜっ!!」



僕も痛む身体を必死に奮い立たせつつ、同じようにベルトを装着してセタッチ。



「「変身っ!!」」

≪Sword Form≫





僕はいつものように蒼いジャケットを装備。なお、デルタのベルトは使わない。

だってデルタになっちゃったら、相手の能力への対処が出来なくなるしね。

それでモモタロスさんはそのまま電王に変身。装着するのは当然あの赤いアーマー。



最後にあの桃の仮面を装着して・・・・・・声をあげる。





「・・・・・・俺」

≪The song today is ”Double-Action”≫



流れ出した音楽は、当然僕が装着したサウンドベルトから。いや、やっぱこれでしょー。



再び参上っ!!

「・・・・・・さぁ」



その音楽に乗るように僕は左手を胸元まで上げ、一気にあのワニ野郎を指差す。



「お前の罪を、数えろ」



そう、お前には罪がある。だからこそ僕は踏み出して、アルトを抜き放ち右薙に一閃を叩き込む。

一瞬の交差のため、ワニ野郎は反応出来ずにその身を斬られ・・・・・・傷をつけるだけだった。



具体的には、この僕を豆と言った罪をなっ!!

「はぁっ!? 誰もそんな事言ってないだろうがっ!!」



ワニ野郎は僕の方に振り返りつつ、右のナックルを僕に向かって唐竹に打ち込む。それを右に身を捻りつつ避ける。



言っただろうがっ! 身長180センチの僕に向かってっ!!

「サバ読み過ぎだぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」



今度は右切上に振るう。それを後ろに下がりつつ避けて、僕は左手から鋼糸を投擲。

その狙いは振り上げられた右ナックル。コンクリのナックルの上にワイヤーが幾重も絡みつく。



「ふんっ! こんなのでどうにかなると」

≪なっちゃうんですねぇ、これが≫



次の瞬間、大人の胴くらいの太さのコンクリナックルが一瞬だけ輝き・・・・・・粒子に帰った。

当然ながらワニ公の腕はモロ出しですよ。ワニ公はパラパラと落ちるコンクリの粒子を見て驚く。



「なにぃっ!?」

≪この人の前では、あなたの鎧も拳も・・・・・・紙ですよ≫



即座に鋼糸を回収しつつ、二人に指示を出す。



「フェイト、肩の尻尾をライオットでっ! モモタロスさんもっ!!」

「分かったっ!!」

「おっしゃっ!!」



二人はワニ公の背後から接近して、フェイトは左肩の尻尾に向かってライオットを袈裟に叩き込んだ。

モモタロスさんは右肩の尻尾に向かって、デンガッシャーを逆袈裟に叩き込む。



「はぁっ!!」

「よっとっ!!」










するとそれまでのダメージの蓄積からか、尻尾は二つとも簡単に地面に落ちた。





二人はそのまま斬り抜けて、僕の後ろの方に回って距離を取る。




















◆◆◆◆◆◆◆◆◆



「なぁ士、俺達もういらなくね?」

「確かにな。だがそれはムカつくな」

≪FINAL FORM RIDE≫



俺はユウスケの方は見ずにカードを挿入。そのままバックルを両手で操作。



≪KU・KU・KU・KU・・・・・・KUUGA!!≫

「ユウスケ、ちょっと行って来い」

「え?」



俺の隣に居たユウスケは、そのまま素晴らしく身を捩らせて一気に姿を変える。・・・・・・確かに気持ち悪いな、これ。



またこれかよぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!




















◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



フェイトとモモタロスさんが後方に下がった瞬間、ワニ公は声もあげずに反撃を試みる。

至近距離で僕に向かって左で殴りかかってきた。左ナックルはややフック気味に打ち込まれる。

その拳を上に跳んで回避しつつ、巻き戻しておいた鋼糸を再び投擲。そのナックルに巻きつける。





身体を捻りつつも先ほどと同じように、ブレイクハウトを発動。

コンクリの物質そのものに干渉してそれを分解。

ナックルは再び粒子に帰って・・・・・・はーい、これでワニ公は丸裸ー♪





それで僕は着地してすぐに行動開始。まずはワニ公の方に振り返る。










「くそぉ・・・・・・お前、一体何をしたっ!!」

「教えるわけないだろうがっ! このバカがっ!!」

「なんかお前アイツらよりムカつくなっ!!」





苛立ち気味に左足で後ろ回し蹴りを打ち込んで来るので、左に避ける。



次は左右でのワンツーが連続で踏み込みつつ打ち込まれる。



結構速いけど、僕は余裕しゃくしゃくで回避して・・・・・・左薙に胴を一閃。





「くそ、ちょこまかとっ!!」



そのまま斬り抜けると、今度は突撃してきた。僕はまた上に跳んで、両腕を出して僕を捕まえようとしたワニ公を飛び越える。

飛び越えつつ、後頭部に向かって身を回転させながら逆風一閃。ワニ公は火花をまき散らしながら前に倒れた。



「ちょこまか? そりゃ勘違いだわ」





ワニ公はすぐに起き上がって、地面に手を当てるけど当然ながらコンクリは出ない。

なので近辺にあったコンクリの瓦礫を、僕に向かって右足で蹴ってぶつけようとする。

でも僕はその瓦礫を左に避けて回避。続けて飛んでくるものも左右に動いて回避。



瓦礫によるシュートは一発も当たる事なく、距離を詰めた。すかさずアルトの切っ先を突き出す。



アルトの切っ先はワニ公の腹を捉えるけど、貫くところまではいかない。なので続けて魔法発動。





「お前が遅過ぎんだよ、ウスノロが」

≪Break Impulse≫



ワニ公の装甲・・・・・・そして身体にそれを破砕する固有振動が注ぎ込まれて、ワニ公は身を震わせる。



「が・・・・・・がががががががががっ!?」





震わせながら各関節から火花が走り、砂が撒き散らされる。・・・・・・身体を砕く振動を受けてるわけだし、それも当然。

ただこれでも致命傷にならないのがイマジンの凄いところというかなんというか。

振動が止んだ事で、ワニ公はようやく動きを止めた。そこからすかさず踏み込んで両腕を唐竹に振るう。



狙うは零距離に居る僕。でも、僕は当然ながらそれを大きく後ろに跳んでとっくに避けてる。

・・・・・・防御力もパワーもある。一発当たったらそりゃ大ダメージさ。でもいかんせん、動きが単純過ぎる。

何よりもやしやユウスケにフェイトやモモタロスさんはともかく、僕相手なのが運の尽き。



僕の手札であるブレイクハウトやブレイクインパルスは、こういう物理防御の高い相手にこそ使える有効札。

相手の武装を壊し、鎧を砕き、そしてその内部にダメージを与える。そこはイマジン相手だろうと変わるわけがない。

現在の僕とワニ公との距離は、ざっと50メートル。ワニ公は身体を震わせながら右手で腹を押さえている。





「くそ・・・・・・俺の、俺様の自慢の鎧がっ!!」

「・・・・・残念だけど、ヤスフミ相手にそんな鎧は通用しないよ。
あなたとヤスフミとの相性、最悪なんだから」



傍らには、いつの間にかモモタロスさんとフェイトが来ていた。

・・・・・・余計な事をペラペラと喋っているフェイトの胸元を、左手で軽く裏拳気味に叩く。



「フェイト、喋り過ぎ。敵にいちいち情報与えてどうすんのよ」

「あ、ごめん」





・・・・・・あれ、なんで顔いきなり真っ赤になるの? なんかおかしいなぁ。

でも、そこに疑問を持っている暇はなかった。そんなワニ公の腹めがけてゴウラムが突撃。

ゴウラムはその二つの角でワニ公の腹を穿ち、一気に吹き飛ばす。



・・・・・・って、ユウスケっ!? うわ、またあの気持ち悪い変形しちゃったんだっ!!

自然と視線を動かし、右の方からこちらにゆっくりと近づいてくるもやしの方を見た。

もやしはこちらに近づきながら、またなんか妙なカードをバックルに入れてる。





≪FINAL ATTACK RIDE≫

「もやしっ! ユウスケの関節がバキバキしちゃうからダメだって言ったでしょっ!?」

「そんな事一言も言ってないだろっ! てゆうかお前、目覚ましてから全開だなっ!!」



もやしは叫びながらもバックルの両側を両手で押し込み、カードの効果を即座に発動。



≪DE・DE・DE・DE・・・・・・DEN-O!!≫





カードの効果が発動した瞬間、モモタロスさんが持っていたデンガッシャーの刃が強く輝く。

その刃は前方に飛び出して、モモタロスさんがまるでそれに引っ張られるかのように腰を踏ん張る。

それを見て、デンガッシャーで斬りつける俺の必殺技がアタックライドなんだと思った。



多分フェイトもそう思った。でも、そんな甘いもんじゃなかった。だってデンガッシャーの先・・・・・・ゴウラムユウスケのお尻に突き刺さったんだから。





『・・・・・・・・・・・・う』





完全に場が固まった。僕達だけじゃなくワニ公の奴までそちらを見て唖然とした。

場が固まったけどデンガッシャーとユウスケ・ゴウラムは動く。

まず刃は左薙に移動。ゴウラムの角がワニ公の身体を鋭く斬り裂く。



モモタロスさんは片手だけでは操作し切れないのか、咄嗟に左手も出してデンガッシャーの柄をしっかりと持つ。





「ちくしょー! なんか締まらねぇが・・・・・・必殺っ! 俺の必殺技っ!!」



次は右薙。ユウスケ・ゴウラムの角も刃と同じく赤く染まり、閃光となって再びワニ公を斬り裂く。

そしてモモタロスさんは両腕を上げて、一気にデンガッシャーの柄を唐竹に打ち下ろす。



「ディケイド・バァァァァァァァジョンッ!!」



するとユウスケ・ゴウラムの体勢が変わり、角が上から突き下ろされる形になった。

ワニ公は身体から砂や煙を上げながらそれを見上げ・・・・・・でも動く事が出来ない。



「ちくしょぉ・・・・・・! こんな、こんなフザけた奴らにぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃっ!!」





ワニ公はそのまま身体を上から赤い閃光と化したユウスケ・ゴウラムに貫かれ・・・・・・爆発。

その爆発に吹き飛ばされるように、変身解除したユウスケもすぐそばに転がった。

でも起き上がらない。起き上がろうとしても起き上がれずに身を震わせて、その場で目を回した。



デンガッシャーの刃はモモタロスさんの手元に戻ったけど、空気が非常に微妙だ。

フェイトに至っては現実が認められないのか、すっごい涙目でバルディッシュ傍らに置いて両手で顔を覆ってる。

・・・・・・僕は自然と、もやしに視線を向けていた。もやしもこれは予想外なのか固まっていた。



でもそんな事はどうでもいい。とりあえず僕は踏み出して・・・・・・右足でもやしを蹴り飛ばした。





・・・・・・・・・・・・もやしぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃっ!!
なにフェイトにとんでもないもん見せてくれとんじゃコラァァァァァァァァァァァァァァァァッ!!


「ま、待てっ! アレは俺も予想外だったんだっ!! 事故だ事故っ!!」

事故で済んだら管理局も警察も仮面ライダーもいらないんだよっ!!
やっぱお前悪魔だろっ! 主にR18でBL的な意味合いで悪魔だろっ!! しばらく僕に話しかけるなっ!!


「ふざけんなっ! そんな意味合いで悪魔になんざ誰がなるかっ!! てーかお前やっぱ全開だなっ!!」










そう、全開だった。だからこの時はまだよかった。問題はこの後。





僕は突然に前のめりに倒れ、身体が全く動かなくなった。てゆうか・・・・・・いひゃい。




















(第18話へ続く)




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あきゅろす。
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