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小説(魔法少女リリカルなのは:二次小説)
第13話 『アギトの世界/再会・PROJECT AGITO』



海東「これまでのディケイドクロスは」





◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



「人間が、裏切り者のオルフェノクを助けるか」

「もの好きね。そんな事をする意味があるの?」



レイピア持ちは、そう言いながら身を必死に起こしているタクミを見る。

ううん、それだけじゃなくてさっきタクミを詰ってたバカ共もだよ。



「別にそこでたむろして騒ぐ事しか出来ないバカ共はいいよ。殺したいなら殺せ。
ここで死のうがオルフェノクになろうが、それは自業自得でしょ」

≪被害者でも結局やってる事はあなた達と同じでしたしね。そこまでは面倒見切れません。
ですが、その二人とカメラはやらせるわけにはいきませんね。すみませんが、倒されてください≫





海東は左手で持っていたアタッシュケースを、乱暴にタクミに向かって放り投げた。



タクミは咄嗟に気づいて、それを両手でなんとか受け止める。



ファイズギア、どういうわけか海東が持ってたのには驚きだけどね。でも、ここはいいか。





「あの、これ」

「なに、礼はいらない。ファイズギアより大事なお宝、見せてもらったからね。
だが、そのお宝を守るためにはそれは必要なはずだ。君が使いたまえ」



・・・・・・おのれがもやしからぶん盗った事を棚に上げて何を言ってるっ!? 当然って顔するなボケがっ!!



「人間、失せろ。余計な邪魔さえしなければ命だけは助けてやる」

「助けるつもりもないくせに、なに言っているんだね。
なによりそんなとてつもないお宝の価値が分からない君達は、万死に値する」

「とてつもないお宝? ・・・・・・ふん、そんなカメラやそこの二人がか。
バカバカしい。これから殺される恐怖で、頭がイカれたか」



『怪物』達は、ベルトを装着した上でしっかりとカメラを保持するタクミを見てまた哂う。

それでも僕達は足を止めない。いいや、止める理由もない。怒りを・・・・・・そして自らの矜持を燃やし、歩を進める。



「確かに君達からするとそのカメラも彼女の夢も、特別な価値はないだろうね。そこは僕も同じくさ。
カメラはただの鉄くずだし、夢なんてあやふや過ぎていつ消えるかも分からない。そう思うのはしょうがない事だ」



海東はそう言いながら、左手でカードを取り出してそのまま銃身に挿入する。



「だがおみおつけ君にとっては、そして彼女にとっては違う。
それらは何ものにも変えられない、この世界で一番のお宝だ」



左手で銃身下のグリップを握りながら、銃口の方へ押し込む。



≪KAMEN RIDE≫

「正直君達のような輩は見ているだけで不愉快極まりない。
・・・・・・全てのお宝は、決して失われてはいけない。例えそれがどんなものであろうとだ」

「こんなちっぽけな物のために命を捨てるというのか。全く・・・・・・愚かだな。お前ら、何者だ」

「通りすがりの仮面ライダーだ。覚えておきたまえ」



いや、それ士のセリフ・・・・・・いや、いいか。あのバカまだ来ないし。とにかく、僕も続けていこう。



「てーか、愚かなのはテメェらだ。テメェら、そんな事も分からないくらいに堕ちたか。
・・・・・・ちっぽけだから、壊れやすいからっ! ありったけで守りたいと思うんだろうがっ!!」

≪その心を忘れてしまったあなた達の罪は、余りに重い。だからこそ≫

「さぁ」



僕は左手を伸ばし、そのままあのバカ共を指差す。



「お前達の罪を、数えろっ!!」






◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



海東「というわけで、鬼畜な少年君とかっこいい僕の旅はこうして始まったわけだ」

もやし「始まってねぇよっ! てーか俺が主役だからなっ!? そして前回でもう12話目なんだがっ!!」

恭文「なにより鬼畜って何っ!? このシーンで僕だって相当カッコ良く決めて好評だったんですけどっ!!」

海東「士、分かってないね。時代は僕のようなクールに決められる主人公を求めているんだよ。
現に超・電王TRILOGYを見たまえ。君は全くと言っていいほど関わっていない」

恭文「あ、確かに。・・・・・・もやし、ここからはやっぱり主役交代だね」

もやし「んなわけあるかっ! なによりそれは当たり前だろうがっ!! 俺はもうとっくに絡んでるんだよっ!!
むしろ出てきたら出てきたで、なにやら凄いブーイング来そうな気がするのは気のせいかっ!?」

海東「それで全員揃って『おのれディケイド』と叫ぶわけだね。分かります」

恭文「あ、海東上手い。座布団を二枚あげよう」

もやし「うまくねぇよっ! ちっともうまくねぇからなっ!!」










◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



アギトの世界に移動した直後、栄次郎さんがなんとなしにテレビを点けていた。





もやしと僕は海東のメッセージに軽く頭を抱えていたんだけど、すぐに思考を切り替える事になった。










『・・・・・・今日の昼間、河川敷で出現した未確認生命体は、警視庁の対策班とG3ーXによって無事に処理されました』



聞き慣れたフレーズに、僕達全員の身体は自然とテレビのある食卓の方に向かった。

専用武器であるガトリングガンを乱射して、周囲のパトカーごとグロンギを撃ち抜いているG3ーXが居た。



「な、なんですかアレっ!? あの今撃ち抜かれて爆発したのって、グロンギですよねっ!!」

「あの、まさか私達ユウスケさんの世界に戻ってきたの?」

「いや、そんなはずないっ! グロンギは士と恭文が手伝ってくれたおかげで全滅したんだぞっ!?
それになにより・・・・・・なんだっ! あのメカメカしいライダーはっ!! あんなの俺は知らないっ!!」



それでG3ーXは、周囲の警官に謝り倒してる。文字通り頭下げて謝り倒してる。

どうも見てるとパトカー撃ち抜いたのは、コントロールミスっぽい。挙動からそう見えた。



「・・・・・・あー、みんな落ちついて。ここがアギトの世界なら、こういうのも間違いなくありだから」

「蒼チビ、もしかしてお前の知ってるアギトにもグロンギが出てたのか」

「出てたというよりは、世界観的に繋がってる扱いだった。
テレビのクウガの少し後に、アギトの話が始まるって感じだから」



ただまぁ、テレビの中ではクウガの話はちょっとしか出てこなかったし、グロンギも同じく。

でも首を傾げてる夏みかん以外のみんなは、僕の説明で納得してくれたらしい。



「恭文、それってつまり・・・・・・この世界でグロンギが出たとしてもおかしくないって事か?」

「そうなるね。それでG3ーXもアギトに出てきたライダーだから」

「あ、そうなんだな。・・・・・・そうか、そうだよな。
あれだけ色々あってまた復活してたなんてありえないよな」



ユウスケは安堵の表情を浮かべながら、きっと自分の世界の事を思い出してる。

ただ僕はどっかの豆芝とかと違って空気が読めるので、そこには触れなかった。



『・・・・・・出動の度に被害を拡大させるG3ーXの存在を疑問視する声もあり、波紋を呼んでいます。
G3ーXの開発者である八代警視はインタビューで次のようにコメントしていります』



もう散々過ぎる戦闘映像が、別の映像に切り替わる。そこには報道陣に取り囲まれる一人の女性。

でも僕達はその黒髪で制服姿の女性を見て、驚愕した。



・・・・・・静かにっ! G3ーXは完璧ですっ!!

グロンギ相手でも、あんなに過剰なパワーが必要ですかっ!!

グロンギもパワーアップしていますっ! それに、いつグロンギを超える敵が現れるとも限りませんっ!!

「・・・・・・・・・・・・姐さん」










ここはユウスケの居た世界とは違う。だからあの人は、ユウスケの知ってる姉さんじゃない。





それでも・・・・・・それでもユウスケは幸せそうな顔でテレビを見ながら、笑っていた。




















世界の破壊者、ディケイド。8つの世界を巡り、その瞳は何を見る。










『とまとシリーズ』×『仮面ライダーディケイド』 クロス小説


とある魔導師と古き鉄と破壊者の旅路


第13話 『アギトの世界/再会・PROJECT AGITO』




















◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



「・・・・・・ユウスケさん、落ち着いてくださいっ! あれはあなたの知っている八代さんじゃ」



テレビを見てすぐに、外も夜なのに普通に飛び出そうとした。僕達は当然のように追いかける。

玄関から外に出た瞬間に広がるのは、農場のような・・・・・・え、ここなに。なんか田園風景広がってるんですけど。



「いいや、姐さんだっ!!」

「ユウスケ、まずはお願いだから話・・・・・・って、なんじゃコレっ!!」



外に出てトライチェイサーに乗ろうとするユウスケを止めようとした瞬間に、僕はようやく気づいた。

僕の服装・・・・・・さっきのテレビの中の八代さんとほぼ同じ格好してたのよ。つまり、警官服。



「おいおい蒼チビ、お前がまた警官かよ。お前みたいな性悪が権力持ってもロクな事にならないだろ」

「・・・・・・士くん、そういうあなたはどうして郵便局員なんですか」

「知るかっ! てーかなんだよコレはっ!!」

姐さんっ! 今行きますんでっ!!

『そしてお前は行くなぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!』



僕達がゴタゴタしている間に、ユウスケはどこへともなく走り去ってしまった。・・・・・・僕は左手で頭をかく。



≪あの人、完全に浮かれてますね。まぁしょうがないんでしょうけど≫

「何気に時間経ってないし、引きずってたんだろうなぁ」

「そうだよね。ユウスケさん普段は明るいけど・・・・・・気にしないわけがないんだよね」



僕は軽く息を吐きつつ、心配そうにユウスケが消えた方向を見つめていたギンガさんを見上げる。



「ギンガさん、僕ちょっと行ってくるわ。てーかあのバカ追いかけてくる」

「行ってくるって・・・・・・あ、そっか」



ギンガさんは僕の格好を見て、色々納得してくれたらしい。もやしと格好が違うって事は、そういう事だと思う。



「それはいいけど、あのベルト忘れちゃだめだよ? というか、私も行く」

「大丈夫。既に収納済・・・・・・え、ギンガさん?」

「いいから。私だってユウスケさんの事、心配だもの」

「・・・・・・・・・・・・分かった。んじゃ、二人でだね」

「うん」










というわけで、僕達はタンデムでユウスケの後を追った。なお、行く先に関してはもう分かり切っている。





あのテレビの八代さんに会いに行ったっていうなら、行き先は未確認生命体対策班のある警視庁しかない。




















◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



ユウスケが向かったと思われる警視庁の場所、すぐに分かったから問題なかった。

というか、アルトにサーチしてもらってユウスケのバイクを追跡した。

それでそこの地下駐車場にトライチェイサーは停車していた。なので僕達も普通に突入。





いや、だってこの服装だしさ。ギンガさんも関係者という事で・・・・・・アレ?





僕は駐車場の柱の近くで一旦停車。乗車したまま、前の方を見てみる。










ちょっと、待ちなさいっ!!

もう勘弁してくださいよっ! あんな化物扱うの無理ですっ!!



遠目からでも八代さんと分かる人が声を張り上げながら、こちらに来る。

ううん、正確には逃げるように駐車場の出口に行こうとする男の人を捕まえに来ている。



おい八代、落ち着けって



八代と呼ばれた人の傍らには、ガタイのいい40代の背広の男性。

なお、髪は白髪でスポーツ刈り程度の長さ。でも、その外観に非常に問題があった。



”と・・・・・・父さんっ!?”

”これはまた”

”驚きですね”



八代さんの傍らに居たのは、ゲンヤさんだった。というか・・・・・・うわ、そっくりだわ。



”・・・・・・なぎ君”

”なに?”

”父さんじゃ、無いよね”

”当然でしょ”



あれは別世界のゲンヤさん。というか、別世界でもこういう役職に就いてるんだ。

・・・・・・ギンガさんが嬉しそうな顔してるのを見て、やっぱそういうものなのかなと思ってしまった。



G3ーXの装着者降りるって・・・・・・一体何が不満なのよっ!!

何言ってるんっすかっ!? もう出動の度に上からも横からもマスコミからも怒られっ放しじゃないですかっ!!

ちゃんと戦えたじゃないっ!!



・・・・・・なるほど、大体の話は察した。もやしじゃないけど、察した。

後ろのギンガさんも同じくらしく、自然とデンバードから降りていた。なお、僕もそれに続く。



”なぎ君、あの男の人ってもしかして・・・・・・あの青いライダー?”

”だと思う”



G3ーXは一種のパワードスーツだし、警察が造った装備だから警察官が装備しててもおかしくはない。

でも、アレはちゃんと戦えてないと思う。装着者、完全にパワーに振り回されて被害拡大させてたし。



「そうね。100点満点中・・・・・・43点あげるわ」



僕達がそんな話をしている間に、三人は更にこちらに近づいて・・・・・・あ、ユウスケ見つけた。

ユウスケは僕達と違って柱の影に隠れながら、嬉しそうな顔で(別世界の)八代さんを見ていた。



「八代、それ誉めてないだろ。というかお前、引き止める気ないだろ」

「はぁっ!? なんでそうなるんですかっ! 彼じゃないのにそれだけ出来るんだから充分でしょっ!!」

「・・・・・・もういいっすっ! とにかく、もうこれ以上は付き合え切れませんっ!! 失礼しましたっ!!」





そのままその警察官は半泣きでこちらに走ってきて、歩行者用の外への通路に入った。

八代さんは手を伸ばしかけて、舌打ちしながら苛立ち気味にあのお兄さんが去った方向を見た。

・・・・・・僕はとりあえず、デンバード押しながら近づく事にした。でも、かわいそうだなぁ。



そして僕達、気まずいなぁ。ユウスケ追いかけてきたのに、いきなり修羅場に遭遇だもの。





「・・・・・・八代、気持ちは分かるがG3ーXは見直すべきじゃないのか? 神経断裂弾もあるし、グロンギは倒せるんだ」

「だめですっ! 絶対にG3ーXは必要なんですからっ!!」

「姐さんっ!!」



それでユウスケは空気が読めてない。読めてないから、普通に別世界の八代さんを『姐さん』呼ばわりだよ。

・・・・・・でも、神経断裂弾はあるんだ。あー、だから余計にG3ーXが過剰戦力って叩かれてるのかも。



”なぎ君、神経断裂弾って何かな”

”あ、ギンガさんは知らないか。まぁ簡単に言うと、グロンギを倒せる弾丸だね”



空気の読めないバカスケは、『姐さん』と連呼しながら荒ぶる八代さんの周りに纏わりついてる。

もうアレだね、無視してるけど相当ウザいと思う。それで僕達も少し急ぎ足で近づく。



”グロンギは普通の銃弾は通用しないけど、その弾丸を使えばダメージを与えられるの”



だから原典クウガだと、後半ではクウガじゃない警察官の方々も弾丸を装備してグロンギにダメージを与える場面も多かった。

というか、実際に倒したシーンもあるのよ。警察にとっては対グロンギ戦の切り札って感じだね。



”それでG3は原典だとグロンギ殲滅後に、元々はクウガを参考にして作られたのよ。
グロンギみたいな敵がまた出てきた時のために、クウガに頼らなくても戦えるようにーって”

”そうなんだ。でもなんというか、ガチに質量兵器だよね”

”いや、当たり前でしょ。ここはミッドチルダでもなんでもないし”

”あ、そうだった。・・・・・・だけど、うーん”



”ギンガさんは僕の後ろを寄り添うように歩きながら、荒ぶる八代さんを不思議そうに見ている。



”そうなるとそこもなぎ君の知ってるアギトとの差異になるんだよね。
だってそれだとグロンギがまだ居る段階で、そのG3が出てきてるわけでしょ?”

”そうなるね。でも、連中がもし出てるなら・・・・・・話は変わるかも”

”え?”



さて、そこの辺りの話はまた後だ。今はあのウザスケだよウザスケ。

八代さんのこめかみ、もう面白いくらいにヒクヒクしてるもの。はよ止めんと噴火する。



「・・・・・・だが八代、もう警察内に装着者のなり手はないぞ」

「外部からも装着者を募集します。そうすれば」



へぇ、装着者が居ない程追い詰められ・・・・・・装着者募集っ!? え、なんですかそれっ!!

つ、つまり・・・・・・うしっ! 急いであの夢の舞台へ突撃だっ!!



「姐さんっ!!」

「・・・・・・・・・・・・あぁもうアンタうるさいっ! さっきから何っ!? 大体、私は姐さんなんて呼ばれる程年食ってないっ!!」

「あー、すみませんすみませんっ! そのバカ、僕達の顔見知りなんですよっ!!」



あのウザスケが、僕達を見て驚いたような顔をする。でも、そこはとりあえず無視だよ。



「あらそうなの? というかあなた」

「えぇ、同業者です。なので」



僕はついつい嬉しさのために微笑みながら、八代さん達にこう宣言した。



G3ーXの装着者に立候補しますっ!!

『・・・・・・・・・・・・えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!?』




















◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



・・・・・・ヤスフミの家に到着して、合鍵を使って家の中を捜索して・・・・・・なんというか、ダメだった。

やっぱりない。バルディッシュにもサーチしてもらってかなりの時間探したんだけど、なかった。

その捜索の頑張りは、ヤスフミがR18コーナーに隠していた武器達を見つけた事で評価してもらえると思う。





私は引っくり返した部屋を元に戻すために掃除を初めて、引っくり返すのと同じだけの時間をかけた。

その結果、全て終わった時には午前0時近く。私は隊舎に連絡だけ入れて、そのままヤスフミの部屋で泊まった。

布団にヤスフミの匂いが残ってて、感情が昂ぶって泣いたり色々あったりしたけど、それでも就寝。





それで翌朝の6時に目が覚めた私は、お風呂まで頂いた上で・・・・・・・というか、身体洗いたかった。





とにかくお風呂もしっかり頂いた上で、掃除のし残しがないのを確認した上で六課に戻る事にした。










≪・・・・・・Sir≫

「何かな」

≪これからどうするつもりですか? デンライナーのチケットがない以上≫

「なんとかする。ううん、しなきゃいけない。私は、自分の言葉に嘘なんてつけないから」



それに昨日ヤスフミの事思い出して・・・・・・だし。やっぱり、直接会いたい。触れ合って抱きしめたい。

もうだめなの。身体で、心で・・・・・・ヤスフミの温かいの、いっぱい欲しくなっちゃってる。



「まずはもう一度ラトゥーアかな。もしかしたら」





砂漠の中のダイヤを見つけるという例えがあるけど、今の私はまさにそんな気分だった。



でも、それでも気持ちを奮い立たせて一歩進もうとした時、インターホンが鳴った。



というか、何かが派手にひしゃげて倒れる音が響いた。私はその音のした方へ急いで駆け寄る。





「入るぞーいっ! 恭文、居るかー!?」





それで驚愕した。そこに居たのは、私もよく知ってる一人の老人だったから。



長い白髪に私どころかヤスフミより小さい身長。それで和服の着流しに腰には日本刀。



私は震える声で、その人の名前を・・・・・・あの、かなりの大きさで叫んだ。





「ヘイハチさんっ!?」

「おー、フェイトちゃん。元気そうじゃのー」

「元気そうじゃありませんよっ! というかあの、なにしてるんですかっ!! いきなりドア蹴破るなんてっ!!」



ヘイハチさんは私がそう言うと、軽く周りを見渡して胸を張って笑い出した。



「問題ないわい。アイツが魔法で直すじゃろ。ブレイクハウトで直るレベルにしとるから問題ないわい」

「全てをヤスフミに押しつける気満々っ!? いや、それ以前にどうしてここにっ!!」

「そんなもん、アイツの顔見に来たに決まっとるじゃろ。それと面白いみやげ話を持って来たんじゃ。
いや、アイツは絶対喜ぶと思うんじゃよ。・・・・・・地球には冬木市っちゅう街があってな?」

「あの、今それを私に話されても困りますよっ! なによりヤスフミはギンガと一緒に消息不明なんですからっ!!」



ヘイハチさんは私の言葉に、軽く怪訝そうな視線を向けてきた。なので、私はまぁ・・・・・・頷いて肯定する。



「駆け落ちか。アイツ・・・・・・今頃ギンガちゃんのダイナマイトバストを揉みしだいて遊んでるわけか。よし、潰しておこう」

「違いますっ! あの・・・・・・かくかくしかじかというわけなんですっ!!」

「いや、じゃからそのかくかくしかじかで揉みしだいて遊んどるんじゃろ?
で、フェイトちゃんはその輪の中に混じって三人でエロい事したいから、ここで泊まって昨日一人で自分を慰め」

「見てたんですかっ!?」



・・・・・・あ、しま・・・・・・気にしないっ! 私が気にするべきは、もっと別の事なんだからっ!!



「というか、目的ズレてますからっ! とりあえずエロな事は無くていいんですっ!!」

「またまたー嘘じゃろー? 見てるとずーっとバカ弟子にホの字じゃったくせに」

「それは最近のアレコレで自覚持ってますけど、違いますからっ!!」



というかこの人、普通にあの・・・・・・知ってたのっ!? それおかしくないかなっ!!

私だって・・・・・・私だって、ずっと気づいてなかったのに。もしくは私、分かりやすかったのかな。



「大体そのためにチケット探すっておかしい」





・・・・・・言いかけて、一つ気づいた。チケット・・・・・・デンライナーのチケットを探すために、私はここでお泊りした。

でも、そもそもあのチケットをヤスフミは誰経由で入手した?

それは目の前のおじいさんだよ。だから私はしゃがみつつ、ヘイハチさんに迫っていく。



ヘイハチさんがなぜだか瞳を閉じて唇を突き出してきたので、私は迫りつつ左手でビンタ。





「・・・・・・いひゃい」

「自業自得です。私がキスしたいのは、一人だけなんですから。・・・・・・ヘイハチさん、チケット持ってますよね?」

「チケット? まぁ吉野家の割引チケットじゃったら」

「そっちじゃありませんっ! というか、分かってますよねっ!? デンライナーのチケットの事を聞いてるんですっ!!」



ヘイハチさんは一時期デンライナーに乗車してて、その時にミッドにイマジンが出現した事を知った。

そこから電王がこっちの世界に来て、私達と繋がりを持つようになった。つまり、私が欲しているものをこの人は持っている。



「それなら持っとるぞい。ほれ」



左手で出してきたのは、私がずっと探し求めていたあのチケット。私はそれを見て嬉しくなって目を見開いてしまう。



「あの」

「恭文とギンガちゃんの手助けなら断るぞ? どうせアイツの事じゃから、自分のケンカは自分で始末つけるじゃろ」



・・・・・・あっさり断られてしまった。というか、私の考え見抜かれてたんだ。

というか、ため息吐かないでください。私、別に悪い事を考えてたわけじゃないと思うんですけど。



「なによりワシもワシでやる事があっての。そっちはどうにもならんのじゃ」

「そう・・・・・・ですか」

「そうじゃ。ま、ワシがこのチケットの共用許可を出した上で、フェイトちゃんに貸すのはOKじゃがの」

「ほんとですかっ!?」

「もちろんじゃ。・・・・・・その代わり」



また目の前のおじいさんは瞳を閉じて、唇を突き出す。それだけじゃなくて、両手を伸ばして私の胸を触ろうとする。

私は右手を伸ばして、チケットをふんだくってしっかりと確保した上で、驚いたように目を見開いたおじいさんに笑いかけた。



「プラズマランサー、ファイア」



威力調整した上で、ノーモーションで腹からランサーを射出。それを真正面から受けておじいさんは吹き飛んだ。



「ぐべぶっ!?」



その身体はドアの外に出て、真正面のフェンスに叩きつけられた。私はゆっくり立ち上がり、おじいさんに近づいていく。



「・・・・・・ヘイハチさん、私にキスしていいのもバストタッチしていいのも、一人だけですよ?」

「そ、そうみたいじゃな。てーかフェイトちゃん、なんかこう・・・・・・ツッコミキツくなってないか?
前じゃったら『やめてくださいっ!!』って逃げてたと思うんじゃが。攻撃とかしなかったような」

「気のせいです。それじゃあこのチケットはお借りしますので。これってこのまま」

「あぁ、大丈夫じゃ。ワシがドア開ける時に一緒に入れば、問題ないわい」



言いながらあの人は、軽く起き上がって服を両手でパンパンと払う。・・・・・・ダメージ無いんだよね。

なんというか、この人って本当に凄い人なんだよね。普段はエッチなおじいさんだけど。



「ただのぅ、フェイトちゃん」

「はい?」

「恭文のところに行くなら、それなりに準備してからの方がいいぞい?
そのディケイドというライダーの事はワシも聞いてるが、相当厄介な状況になっとる」





それはそうだよね。だって世界崩壊の危機に立ち向かっているわけだし。

あー、でも準備は確かに必要かも。仮にヤスフミがディケイドと一緒に居たとするよ?

武装関係もカートリッジも、ちゃんと補給出来てるかどうかも分からないもの。



それに私が合流出来ても、そこの辺りで不具合が出る可能性がある。



このまますぐに出発は、やっぱりだめだね。戻れない可能性も考えて、ヒロリスさん達に相談した上じゃないと。





「そこの辺りはきっちりしておきます。というか、聞いてるんですか?」

「まぁのう。もち、テレビの方じゃのうてモノホンの話じゃ。で、こういう話も聞いとるわ」



目の前のおじいさんは、私を見てニヤニヤとしながら続けてこう言った。



「ディケイドに同調しとる、刀持って蒼い光の能力を使う小さい悪魔が居るとな」

「ディケイドに同調・・・・・・悪魔っ!?」



ううん、その前に詳細を考えるにそれ・・・・・・まさかヤスフミ? じゃあヤスフミ、ディケイドと居るんだ。

もしかしたらギンガもそのままかも。ただ、そこまで考えて私は一つ気づいた。それで頭を下げた。



「・・・・・・ありがとうございます」

「ほへ? なんじゃいきなり」

「いえ、あの・・・・・・必要だと思ったので」



だってこの話を知ってたなら、私が事情説明する必要もなかったんじゃないかって思うんだ。

ううん、もしかしたらこの人、私がチケットを必要としているのを知ってて・・・・・・かも知れないし。



「それじゃあ、今日の夕方くらいにまたお会い出来ますか? 私、早急に準備してきます」

「そうじゃな。またここに来るとえぇわい」










まだ完全じゃないかも知れないけど、手がかりが・・・・・・とっかかりがやっと掴めた。





私は自然と右手を上げて、嬉しさを隠し切れずに強く握り締める。





ヤスフミ、待ってて。私、絶対あなたの側に行くから。それで抱きしめていくから。




















◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



蒼チビ達は、結局帰って来なかった。ただギンガマンから、諸事情で警視庁に泊めてもらったと連絡だけは来た。

てーかアレだ、あのG3ーXってライダーの装着者に蒼チビが立候補したらしい。それにユウスケも続いた。

それで二人して、G3ーXの装着者選抜テストに泊まり込みでチャレンジ・・・・・・なんだよコレ、どうしてこうなった。





そこの辺りの不思議に頭を抱えつつも、俺は俺で翌朝から行動開始だ。なぜだか夏みかんもついて来た。





とは言え、俺は郵便局員だぞ? 蒼チビと服装が違っていたし、俺までG3ーXになれというわけではない。










「・・・・・・でも士くん、どうするつもりですか? ユウスケやギンガさんの事、心配じゃないんですか」

「アイツらはアイツで勝手にするだろ。それはアイツらの物語だ。で、俺には俺の物語がある」

「士くんもG3ーXっていうのの装着者になればいいと思うんですけど。そうすればみんな一緒に行動出来ます」

「バカ。そんなワケないだろ。郵便局員の仕事と言えば」



俺はまたまたあの服を着ている。それで肩から下げていたカバンを開いて手を伸ばし、中を探る。

・・・・・・カバンはほぼ空っぽ状態だった。なのでその中で一つだけあったものを取り出し、夏みかんに見せる。



「やっぱりコレだろ」

「手紙ですか。まぁ、確かに手紙を届けるのは仕事の一つですけど」

「だろ? 多分コレを届けろって事だろ」



正確には、他に手がかりが無いと言った方が正解だろう。

まさか郵便局に行って、実際に働くわけにもいかない。



「でも士くん、この手紙」

「あぁ。消印が1年以上前のものになってる」

「それに転居先不明って書かれてます」



唯一の手がかりがコレなために、俺も夏みかんもどうしても首を傾げてしまう。

てーかこれ、普通にこの住所に向かっても無駄なんじゃないだろうか。



「宛名は・・・・・・『芦河 ショウイチ』か。んじゃ、ドンピシャだな」

「士くん、どうしてそう言えるんですか」

「ギンガマン経由で蒼チビに確認しといたんだよ。蒼チビの知ってるアギトに変身するのも、『ショウイチ』って言うらしい」

「・・・・・・士くん、私思うにそういうのってズルなんじゃ」

「気にするな」










それじゃあ早速、この『転居先不明』な住所に行ってみる事にする。





それで『これで手がかり無しならどうする』という話に関しては、一切気にしない事にしようと思う。




















◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



例え部隊員が行方不明になっても、うちは仕事をせなアカン。それはみんなも同じく。それが組織の人間や。

なんちゅうか、六課解散直前にこれって・・・・・・もうマジこの部隊は呪われとるわ。

ちなみにフェイトちゃんに関しては、もう完全に行動の制限はつけない事にしとる。そこはシグナム達にも承知させた。





フェイトちゃんはもう、答え出してるから止まらんやろうしな。組織より、立場より、キャリアより恭文の事が大事。





そう思って自由に踏み出していくフェイトちゃんが羨ましくなりつつも、うちは部隊長室で書類書いてた。










「はやてちゃん、元気かー? 遊びに来たどー」



目の前の扉を蹴り飛ばしながら、平然と私服姿でそんな事を言うおじいさんが入って来るまでは。

うちは一瞬固まって・・・・・・すぐに席から立ち上がって声をあげた。



「ヘイハチさんっ!? アンタ何してくれとるんですかっ!!」

「いや、遊びに来たんじゃが」

「いや、そこちゃうからっ! てーか何普通にドア蹴り飛ばしてくれとるんよっ!!」



ちなみにそのドア、内のデスクの左横のソファーまで吹き飛んで衝突しました。いやぁ、結構な轟音が立ったなぁ。



「問題ないわ。修理するのはここの人間じゃからのぅ」

「アンタの問題どうこうを聞いてるんやないんですけどっ!? てーか何しに来たっ!!
いや、とりあえずドアの事はえぇからアンタの持ってるチケットよこさんかいっ!!」

「はやてちゃん、言ってる事が支離滅裂じゃが・・・・・・飢えてるんか?」

「やかましいわドアホッ!!」




















◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



そしてすぐにかくかくしかじかで説明されて・・・・・・一応落ち着いた。





なお、吹き飛んだドアに関しては気にしない方向で行く。うちはもう触れたくもない。










「・・・・・・なら、マジで恭文はディケイドと居るんですか」

「ワシは見たわけじゃないから、実際どうかは分からんぞ? てーかあんなの根拠0%の作り話じゃし」

「うぉいっ!? なに平然とそんなカミングアウトしてんのやっ!!」

「いや、しゃあないじゃろ? フェイトちゃん、内心相当ヘコんどるみたいじゃったし。ほら、ウソも方便じゃ」



うわ、マジでニコニコしながら言い切ったし。・・・・・・うし、フェイトちゃんには何も言わんとこうっと。



「いやぁ、なんつうかアイツの運の悪さは凄まじいのぅ。ついに世界を股にかける悪魔にレベルアップじゃ」



いや、アンタなに笑うとるんですか。うちらはめっちゃ笑い事やないんですけど。

それにそれアンタの作り話ですよね? めっちゃ作り話やってさっき自分の口で言うてたし。



「てーか世界を移動出来るならはよ助けてくださいよ。それくらいしてもバチ当たらんでしょ」



なお、それでもこういう風に言うのには当然な理由がある。この人なら何でもアリやもん。



「あー、そりゃだめじゃの」

「なんでですか」



まぁここで『世界は移動出来ない』って返答が返って来ないのが怖かったけど・・・・・・触れんとこうっと。



「はやてちゃん、それをワシに言わせるか?」



だってヘイハチさんの表情が、僅かに曇ったんよ。いいや、うちに対して呆れてると見てもえぇかも知れん。



「今アイツがここに戻ってどうなるか一番分かっとるのは、お前さんじゃろ」



その言葉が深く突き刺さって・・・・・・うちは自分の椅子に腰を下ろす。

話が余りにアレで、さっきまで立ちっぱやったんは許して欲しいわ。



「しかし他はともかく、なのはちゃんも困ったのぅ。なんでそこまでここに拘るのか」

「それで事情は全部承知の上ですか」

「フェイトちゃんからチラリとじゃが聞いてるからのぅ」



あー、それでか。それなら知ってても納得やわ。フェイトちゃんは当事者の一人でもあるし。



「人それぞれ道があるって言うのが分からんような子じゃなかったんじゃが」

「しゃあないでしょ。風来坊でデフォルト荷物少なめなアンタとうちらを一緒にせんといてください。
みんなそれぞれやる事があって、それに追われる日々を送ってるんです。世捨て人と一緒にされたら困るわ」

「む、ひどいのぅ。ワシだってそれなりに大変なんじゃぞ?
住所不定無職じゃと、女の子と携帯アドレスの交換も難しいし」

「てーか、アレですよ」



そもそも携帯端末すら捨てて旅に出とるじじいの戯言は、一切気にしない事にした。

うちは目の前で組んだ両手の上に額を乗せた。肘は机の上につく形で、うちは手に頭の重さ全部をかける。



「それはうちのせいです。・・・・・・うちがみんなで見た夢を勝手に改ざんして、こないな部隊にしてもうたから」

「・・・・・・そうじゃな。お前さんはぶっちゃけ裏切り者じゃ。死んで詫びても足りんくらいに罪を犯した。
レジアス中将や最高評議会がやっとった事と、何一つ変わらん。悪を別の悪で断罪したに過ぎん」

「えぇ、知ってます。それが事実です。それでなのはちゃん達を、その共犯者にして利用してもうた。
なのはちゃんがあそこまで『夢の部隊』にこだわるようになったんは、全部うちのせいなんですよ」



ほんま、腹立てるのも馬鹿らしくなるくらいに口出ししてくれるわ。でもまぁ、えぇか。

これくらいボロクソ言われた方が、かえってスッキリするわ。もう評価されればされるほど辛いもん。



「うちが夢を汚い悪に変えた。なのはちゃんは優しいから、『そんな事ない』って言うてくれてるだけなんです。
そんな部隊やから、大事な友達も居場所に出来るし楽しく過ごせると信じてくれとるだけなんです。たった、それだけなんです」

「そうじゃな。なにより自分でもそう信じたいんじゃろ。
ここで自分達の夢は叶ったと信じたいんじゃ」





もうな、なのはちゃんがやたらと『恭文君は六課に居なきゃだめ』とか言うんはそのせいなんよ。

なのはちゃんはきっと、自分のためやのうてうちやみんなのためにそういう事を言う。

色々あったけど、うちの夢は・・・・・・みんなで描いた夢はちゃんと形になってるって、証明したいんや。



それは以前のフェイトちゃんも同じやな。やたらと恭文が六課に馴染む事を望んでたわけやし。

もちろんそこは恭文だけやのうて、他のみんなに対しても同様な部分がある。

うん、もちろん分かっとる。そんなんエゴや。恭文も他のみんなも、そんなんに付き合う義理立てもない。



それでうちはもっと最低や。口ではアレコレ言ってても、そういうんに甘えてた部分あるし。



きっとうちは、今でもあの時描いた夢は叶っとるって信じたいんやと思う。そやから・・・・・・バカやろ、うち?





「まぁアレじゃ、えぇ友達を持ったのぅ。組織人としては失格極まりないが」

「そうですね。そこは・・・・・・ほんまに思います。特に後者」

「やっぱりかい」

「やっぱりですねぇ」



これはもしかしたら懺悔にも似ていたのかも知れん。うちは顔を上げて、優しい顔でうちを見ていたヘイハチさんを見る。

ヘイハチさんはシワが多めな顔を崩して笑ってくれた。なんやろ、少し重いの・・・・・・ほぐれた感じがした。



「とにかく恭文の事は心配いらん。なんだかんだで旅を満喫しとると思うわ」

「ほんまにですか?」



それはフェイトちゃんも言っていた事。そやけどうちは・・・・・・やっぱ色々疑ってまう。



「そうじゃ。・・・・・・旅は、世界はえぇぞい。時に辛い雨が降る時もあるが、広い世界を自分の足で歩く事で見えるもんがある。
ワシもその日暮らしな旅をするようになって長いが、毎日が新鮮じゃ。一歩歩く毎に感動と驚きに溢れとる」



疑ってまうのは事実やけど、それでもあの旅や冒険大好きなチビスケの師匠がそう言うと妙な説得力があるから不思議や。

でも、マジでフェイトちゃんが言うみたいに旅を楽しんでるならえぇんやけどなぁ。そこはホンマにお願いしたいわ。



「そんな感動の前に、局に戻って頑張るー言うんはないですか? リンディさん辺りなら言うでしょうけど」

「絶対嫌じゃな。そもそもこんな老いぼれ今更引っ張り出してどうこうしようと考えるのは、ふぬけてる証拠じゃ。
何より新しい人材を入れる前に、中に居る人材のバージョンアップじゃろ。ぶっちゃけ今局員になろうと思う奴、居ないじゃろ」

「確かに。仰る通りです」



苦笑気味な表情になるんは、マジで反論出来んせい。別にここはヘイハチさんに限った事ちゃうよ。

管理局は一部のエースやストライカーに頼りっきりになる現状をなんとかせんと、ほんま潰れてもおかしくないと思うわ。



「まぁ引退組があんま現状に口出しするのもアレじゃし・・・・・・最後に一つだけ言わせてくれ」

「なんですか?」

「もしまた夢を裏切りたくない思うなら、局上層部の動きには気をつけた方がいいぞい。
何か命令されても、鵜呑みにして聞く事は絶対に勧められん。おそらく使い捨てられるだけじゃ」



突然と言えば突然な発言に、うちは軽く視線を険しくしてしまった。

それでもヘイハチさんはいつも通りに平然としている。



「どういう意味ですか」

「はやてちゃん、ぶっちゃけるが『蒼凪恭文』という存在は複数居る。この世界の外側の世界にな」



今言うてるんが、一種のパラレルワールド的な話なのは・・・・・・まぁまぁ理解した。そこは理解した。

そこはうちかてオタクの端くれやし、そういうSF関係の話は分かるよ。でも、なぜいきなりそこを話すのかが分からん。



「で、ここから話すのはなぜそんな複数居る中でこの世界の『蒼凪恭文』がディケイドと居るかという話じゃ。
もちろんここは、この世界の『蒼凪恭文』がディケイド関係の事件に巻き込まれた言う仮説に基づいてのものじゃが」

「いや、そやからそれは世界崩壊の歪みに巻き込まれて」

「その歪みが起こったのに、キッカケがあったとしたらどうじゃ?
それもこの世界限定で直接的にじゃ。もしくはこの世界にはそれが起こりうる要因が元々あった」



・・・・・・いや、ちょお待って。この人何言うてんの? もしそうやったら・・・・・・アレ、なんかおかしい。

なんかこう、おかしくないか? それやったら恭文とギンガが跳ばされたんは、意図的なものになってまうし。



「ヘイハチさん、何知ってるんですか」

「残念ながらなんにもじゃ。今話したのは、全部ワシの勝手な推測。妄想の類に過ぎんが、これだけは言える。
この世界には、他の世界とは違う要因があるようじゃ。恭文はそのために巻き込まれた・・・・・・はずじゃ」

「また曖昧な。で、その上そこに局上層部が絡んでると?」

「絡んでるというか絡まされているというか、とにかく上層部にキナ臭い空気が流れとる。
どうも水面下で怪しい動き方をしとるのが相当数居るらしい。ワシも実は少し調べてての」



うちは右手で頭を抱えてしまった。てーかなんつうか・・・・・・もう嫌や。

アレだけの事件が起きて、それでまたなんか起こすって絶対間違っとるやろ。



「一応気をつけておいた方がいいぞい。ワシの勘では、この事はキッカケに過ぎん。
いずれこの世界でデカい事が起こるわ。下手すると、JS事件など吹き飛ぶほどじゃ」

「・・・・・・そうですね、気をつけときます。てーか、クロノ君達に相談しときますわ」










・・・・・・ごめん、マジ頭痛い。てーかアレや、規模が大き過ぎて消化出来ん。





恭文、アンタマジで何に巻き込まれた? てーかディケイドが実在してるとして、一体なにやってくれてんのよ。




















◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



翌朝、私は八代さんと父さん似な中島さんと一緒に、警視庁のトレーニングルームに居た。

・・・・・・なぎ君は止められなかった。ユウスケさんも止められなかった。二人揃って仮面ライダー目指して頑張ってます。

昨日の今日で、普通に装着者が集まったのは驚く他ないと思う。まぁ強制招集とも言えるけど。





さて、まずテストは基礎体力を調べるという名目で、候補者六人揃ってロードランナーで走りまくってます。










「さぁさぁっ! もっと気合い入れてっ!!」



ここまでならね、普通だと思うの。普通だと思うの。でも、問題はその速度。

もう全速力って言わんばかりのレベルで、ダッシュしまくってるの。



「・・・・・・G3ーXは、グロンギに単独で対抗出来る唯一の戦闘システム。
言うなれば、その装着者は人類の救世主になるのと同じ」



なんて言っている間に、まず男の人一人がゼーゼー言いながらロードランナーから転げ落ちる。それでそのまま動かない。

続けて二人・・・・・・アレ、何気に痛いのに。私も前にやって、アザ作った事あるもの。



ほらそこっ! なにヘバってんのよっ!! 根性出しなさいよっ!!

こんなの、無理だ

いくら給料もらっても、割に合わねぇよ。なんだよ。この無茶振り



しょうがないとは言え弱気な言葉を聞いて、八代さんの表情がとても険しいものに変わっていく。

隣に居た私はそれを見て、つい慌ててしまう。というか、クウガの世界の八代さんと比べて沸点が低いらしい。



「八代さん、落ち着いてくださいっ! あの、私昨日会ったばっかりですけど、さすがにこれは無茶だって言いたいですっ!!」

「八代、その嬢ちゃんの言う通りだ。お前、最初から飛ばし過ぎだろ」





私は倒れた人達の介抱を始めた中島さんの言葉に全力で頷く。

だって・・・・・・残ってるのはなぎ君とユウスケともう一人だけだよ? その時点で一般レベルを大きく超えてるよ。

なぎ君はヒロリスさん達との修行の成果で相当タフになってるから、平気なだけだもの。



ユウスケさんは、結構辛そう。それでもマスク式の酸素吸入器着けて、頑張ってる。

ちなみにそのもう一人はとっても涼しい顔。なぎ君はその人を横目見て首を傾げつつもやっぱり涼しい顔。

私もつい困った顔で八代さんを見てしまう。すると八代さんは、私より更に困った顔をしていた。





・・・・・・彼ならこのくらい、簡単にこなせるのに

「彼?」

「・・・・・・八代」



中島さんの方を見ると、軽く首を横に振った。まぁその、何か事情があるらしいのは分かった。

触れていいかも分からないし、私はそれ以上はツッコまない事にした。



「「すみません、もうちょっとスピード上げてください」」





そんな事を言うのは、なぎ君と残っているもう一人の人。

なぎ君と同じ黒いスポーツTシャツを着ているその人は、私達の知っている人だった。

八代さんは二人の言葉に頷きつつも、目の前のノートパソコンのエンターボタンを押す。



全力疾走を促していたロードランナーは、更にスピードを上げる。でも、二人は難なくそれについて来ていた。





「ギンガちゃん、あなたの彼氏凄いわね。あんなに小さ」



八代さんが、二人を見ながらさっきまでの不満げな表情を変えて。



誰がドットサイズだってっ!?

「誰もそこまで言ってないでしょっ! いいから集中してなさいっ!!
・・・・・・まぁあの耳はともかく、体力は申し分ないわ」

「ありがとうございます。なぎ君、私なんかよりずっと鍛えてますから。
あと・・・・・・体型の事は触れないであげてください。本人相当気にしてるんです」

「うん、そうするわ。というか、ギンガちゃんもやってみる?」

「いえ、私はその・・・・・・ちょっと前に身体壊してて、激しい運動はまだ禁止で」



まぁやってみたいかなーとは思うの。身体動かすのは、元々好きだし。

ただ、それをやったら絶対になぎ君からお仕置きされる。食事制限とか付けられるからやめておく。



「というか、あと一人もあなた達の知り合い?」

「えっと・・・・・・まぁその、顔を知ってる程度には」



今なぎ君とほぼ同じスピードを余裕で走っているの、実は海東さんなの。

・・・・・・やっぱり普通にこっちの世界に来てた。この場で会って、私達びっくりしちゃったよ。



「俺・・・・・・・俺もお願いしますっ! もっとスピード上げてくださいっ!!」










そう言って更にスピードを上げるロードランナーの上を全力疾走するユウスケさんは、かなり必死。





そしてその他の二人は涼しい顔。・・・・・・とは言え、これでこのテストの合格者は決定かな。




















◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



体力テストに合格したのは、僕とユウスケと海東の三人。これも当然の結果と言えよう。

三人でシャワーを浴びて汗を流して、早速G3ーXを装着してのテストです。

それで現在、職員用の更衣室で改めてお着替え中。何気にいい運動したしねー。





なので当然・・・・・・この何考えてるか分からない男についつい厳しい視線を向けてしまうわけだよ。










「・・・・・・で、海東。おのれは一体何しに来た」

≪またお宝探しですか?≫

「いやだなぁ。少年君も少年君のデバイスも、僕をなんだと思ってるんだい」

≪「お宝命の泥棒」≫



僕達がはっきりそう言うと、なぜか心外と言わんばかりに海東は笑う。

でも、コイツにそんな権利が無い事は、ファイズの世界のアレコレでもう決定済みだよ。



「困るなぁ。僕はただこの『アギトの世界』の平和を守ために頑張りたくなっただけさ」

「うわ、嘘くさ」

「まぁまぁ。恭文も落ち着けって。せっかく三人で合格したんだし・・・・・・な?」

「ユウスケ、僕は冷静よ? 冷静に疑いを持ってるのよ」





そんな僕の言葉になぜか苦笑しつつ、ユウスケはロッカーに衣服を入れていく。

なおそこは、数あるロッカーの中の一番右端の下の方。ロッカー、二段積みになってるのよ。

でもそんな僕達・・・・・・というかユウスケに向かって、慌てて走ってくるような足音が聴こえた。




僕は自然とそちらに視線を向けると、そこには八代さんと中島さんにギンガさんが居た。

八代さんはユウスケの荷物を全部取り出して、そこから少し離れた位置の上のロッカーに全部詰めた。

突然の行動に僕もユウスケも、そして海東でさえ驚いた表情を浮かべる。





「ごめん、ロッカーはこっちを使って? あなた達も」

「・・・・・・八代、そっちはもういいだろ」

「・・・・・・はい」










思わず僕はギンガさんの方を見る。でも、ギンガさんも困惑した表情で首を横に振るだけだった。





ちなみにユウスケが最初に使おうとしていたロッカーは、完全に空。僕もつい首を傾げてしまった。




















◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



この世界の地図を一冊買った上で、俺と夏みかんはようやく芦河ショウイチの家を見つけた。

そこは都心から少し離れた場所にあって、結構山に近い。電車だと大体1時間前後ってとこか?

まぁ駅からはまた少し歩くんだが、中々にいい家だ。コテージみたいに木造りだしな。





ただ、外観がボロボロになってる。家は人が住んでいないと痛むと言うが、本当らしい。





家は2階建てで、本当に立派な作り。正直これは惜しいと思っても仕方ない。










「・・・・・・芦河さーんっ! 芦河ショウイチさーんっ!?」

「士くん、転居先不明なら普通は居ないかと。まぁ、手がかりそれしかありませんけど」



とにかく名前を呼びながら、家の中に入る。家には鍵もかかってなかった。それで家の中は・・・・・・なんだこりゃ。



「なにか、暴れ回ったような」

「だな。とりあえずなんか有ったのは間違いないらしい」





家具やものがひっちゃかめっちゃかになってる。ただしそれらは、昨日今日壊され荒らされた感じじゃない。

それらの間に蜘蛛の巣がかかってたり、埃がかぶってたりするんだよ。それなりに時間は経過してるな。

ただこの様子だと、やっぱりここに目的の人物は居ないと・・・・・・俺は床に落ちているあるものを見つけた。



俺は足を止めて、それを拾いあげる。少し驚きつつもそれを色々な角度から見渡して、確信を持った。





「士くん? どうしました」



後ろから声をかけてきた夏みかんに、俺は振り返りながらそれを投げ渡す。

夏みかんは慌ててそれを両手でキャッチ。そしてそれを見て、先程の俺よりは若干大げさに驚いた。



「あの、士くん・・・・・・これなんですかっ!? 皮の食感からして、りんごっぽいですけどっ!!」

「なら、りんごだろ」

「でもあの、さすがにこんなりんごは無いと思うんですけどっ!!」



夏みかんが言うのも簡単だ。その林檎、捻れてるのかどうかは知らないが、螺旋状に線が出来てるんだよ。

しかも中身は全く壊れたりしてる様子がない。つまりは捻れたりんごが置いてあるわけだ。



「・・・・・・・・・・・・なんだ、お前らは」



家の真ん中の奥側。2階に上がる階段から降りてきたのは、白いトレーナー姿にジーンズを履いた男。

髪は乱暴に伸び、しかも無精髭ボーボーの髭面。外見的には全くいい男じゃない。俺を見習った方がいいな。



「アンタが芦河ショウイチか?」





俺は特に驚く事もなく、その男に声をかける。なお、俺が後ろの夏みかんと違って驚かない理由は簡単だ。



あのりんごは、埃をかぶってるわけでもなんでもなかった。つまりこの家で一番真新しいもの。



てーか、りんごはさすがに腐るだろ。だから誰かしらこの家に居るか、最近出入りがあったものとすぐに気づいた。





「今すぐ消えろ。俺に近づくな」



それで俺の質問には、一切答えるつもりはないらしい。俺はこの男に近づこうとした。

だがその瞬間、何か・・・・・・甲高い高周波のような音を聴いて、俺は頭を抱え膝をついた。



「く・・・・・・なんだ、コレ」

「頭が、割れ・・・・・・!!」



夏みかんも両手で頭を抱えて、崩れ落ちていた。俺はあの男の方も見る。

あの男は苦しげな表情を浮かべてはいるが、それよりも気になる事があった。



「またか・・・・・・! 俺を・・・・・・俺を呼ぶなっ!!」





その音が少しだけ弱まると、外に気配がした。俺は立ち上がりつつ窓から外を見る。



外には黒い肉体を持った、二本の触覚を生やす人型の怪物が居た。



それで胸元の左側には、不釣合いな白い羽のアクセサリーを装着している。





「グ、グロンギっ!?」



俺は外に駈け出しながらバックル取り出してを装着。奴が家の中に入る前に、仕掛ける事にした。

バックルからベルトが展開されてから俺は、左手でカードを取り出してバックルに挿入。



≪KAMEN RIDE≫

「変身っ!!」

≪DECADE!!≫





玄関のドアを乱暴に上げ、姿を変えながら俺は目の前の怪人に右足で蹴りを入れる。

怪人はマトモにそれを食らって、吹き飛ばされた。俺はすぐさま距離を詰めて、起き上がる怪人に掴みかかる。

掴んで押し込み、怪人を家から引き離す。ある程度距離を取った上で、ソイツを投げ飛ばした。



怪人・・・・・・グロンギは転がりながらもすぐに起き上がって、唸りながら俺を睨みつける。





「○○○・・・・・・○○○!!」



俺はグロンギの言葉で『今度はどんなゲゲルを仕掛けているんだ? 教えてくれよ』と聞いてみる。

だがソイツは頭の上に光の輪出して、そこから現れた柄を握る。そこから取り出されたのは、黒いハンドアックス。



「・・・・・・グロンギじゃないっ!?」





待て待て、確かこの手の奴は最初にディケイドになった時に・・・・・・そうだ、思い出した。

コイツら、アンノウンとか言う奴らだ。なるほど、大体分かったぜ。

分かった間に、ソイツは俺にハンドアックスを持って殴りかかってくる。まずは袈裟に一撃。



俺は身を捻りつつも左へ移動し、その斬撃を回避。次に刃を返しての右薙。これも下がって回避。

怪人は踏み込みつつ、次々と斧を振るって俺を斬りつけていく。俺は下がりつつなんとか避ける。

数度目かの斬撃、逆袈裟から来たそれを踏み込んで右腕と肩で柄の部分から受け止める。



すぐに左手を動かして、カードブッカーを取り出す。それを銃に変形させた上で、腹部に銃口を突きつけた。

すぐさま零距離で放たれる弾丸達によってアンノウンの身体は撃ち抜かれ、刃を引き後退していく。

なお、その際に右肩アーマーを軽く引き斬って火花を散らすが、特にダメージになっていないので問題はない。



俺はすぐさまどこからともなくカードを取り出し、バックルに挿入。





「せっかくだ」



すぐさまバックルを操作して、カードを読み込む。



≪KAMEN RIDE・・・・・・FAIZ!!≫



俺の姿は電子音的な変身音を響かせつつ、ファイズになる。で、続けて・・・・・・コレ。



≪FORM RIDE・・・・・・FAIZ ACCEL!!≫





ファイズの胸元にある銀色の装甲が開いて、赤いラインが銀色に変わる。

蒼チビ曰く『10秒間だけの超高速移動による戦闘形態』らしい。

てーかアレだ。アイツが居るとカードの効果イチイチ試す必要がなくて楽なのはいいな。



というわけで、俺は左手首に装着されているデジタル時計のスイッチを右手の人差し指で押す。





≪Start Up≫



次の瞬間、俺の身体は素早く駆け出し、無防備にゆっくり動いているアンノウンの懐に入り込む。



≪9・・・・・・8・・・・・・7≫



そこから素早く左右で胸元を10数発殴りつけた後、右足で蹴りを叩き込んだ。アンノウンは当然ながら吹き飛ぶ。

ゆっくりと・・・・・・まるで宙を浮いているんじゃないかというような速度で、アンノウンは後ろに下がっていく。



≪6≫



俺はすぐさまとどめのカードを、バックルに挿入する。



≪5≫

≪FINAL ATTACK RIDE・・・・・・Crimson Smash≫




















◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



私が慌てて士くんの後を追いかけると、もう戦いは終わろうとしていた。

というかあの、なんか吹き飛んでるグロンギの周囲に赤いスフィアがいくつも展開された。

それが本当にちょっとのラグを置く形で鋭く回転を始めた。そして、グロンギに突き刺さる。




突き刺さったスフィアはすぐさま消え、グロンギは派手に爆発。










≪Time Out≫



その爆発を背にして、ファイズな姿の士くんがどこからともなく現れた。

士くんは変身を解きながら、グロンギが居た方に振り返った。私は士くんの方に駆け寄っていく。



「ま、こんなもんか」

「士くん、あのグロンギ」

「グロンギじゃない」

「え?」

「・・・・・・一体くらい倒したからってなんだ」



その声は私の後ろの方から。そちらを振り向きつつ見ると、あの男の人が居た。

その人は私達を明らかに不快なものとして思っているらしい。表情から分かる。



「奴らに目をつけられたら大変な事になるぞ。さっさと消えろ」




















◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



「消えるさ。てーか俺はただ」



俺はまた肩から下げたカバンから、あの手紙を取り出す。それでそのままソイツに渡す。



「コレを届けに来ただけだ。アンタが芦河ショウイチなんだろ?」



ソイツは俺の質問にはまた答えない。そのまま封筒を見て、鼻で笑った。



「1年前の消印? 今更なんだ」



それですぐに手紙の端と端を握り締めて、真っ二つに破った。



「・・・・・・って、おいっ!!」



ソイツは真っ二つに破った手紙を、俺に突き返してくる。俺はそれを左手で落ちないうちに掴んだ。



「二度と近づくな。さもないと」





言いかけた男が、急に表情を険しくした。というか、また何かが鳴り響く音が聴こえた。

俺はその音が響いてきた方を見ると・・・・・・巨大な十字架のようなエネルギーがこちらに迫っていた。

それはすぐに俺達の頭上を取ると、まるで圧し潰さんばかりに落ちてきた。



俺は咄嗟に隣に居た夏みかんを抱きかかえて、その十字架を避けるように前に跳ぶ。

男も俺達から離れるように跳んだのが見えた。そして次の瞬間、爆発が起こる。

十字架はさながら投下された爆弾。それが落ちた事で地面が抉れクレーターが出来上がる。



俺は夏みかんを抱えたまま地面を転がり、頭を振りつつも辺りを見渡す。

・・・・・・それで爆発の向こうに、金色の刃をした三叉の槍を右手に持つ二本角の怪物を見つけた。

ソイツは頭の上から出た光に飲まれるようにすぐに消えたが、確かに奴は居た。



まだ爆発による炎と煙が立ち上る中、俺は改めて周囲を見渡す。





「な、なんなんですか今のっ!? 士くんっ!!」



俺は夏みかんを話しつつ、あの男の回避先を見た。奴は、もう居なかった。



「・・・・・・さぁな。だが、どうもこの世界も色々あるらしい」





蒼チビに聞けば、アンノウンの目的まで分かるかも知れないな。まぁ参考程度にってのが一番だろうが。

ファイズの世界のベルトの差異だってあるんだ。鵜呑みにするのは絶対違うだろ。

まぁ夏みかんも無事なようなので、俺は左手に掴んだままだった封筒に自然と目を通していた。



・・・・・・しかし、ひどいよな。中身も見ずに破り捨てるってなんだよ。

だが、粉微塵に破られるよりはマシか。これならくっつけるだけで読める。

俺は表だけでなく、封筒の裏を見た。そこには差出人も。





「色々あるのは分かりますけど・・・・・・士くん?」





差出人の名前も、俺が裏の方をちゃんとチェックしてなかっただけでちゃんと有った。



個人情報どうこうが騒がれているこのご時世で、ご丁寧にも分かるように書いてくれている。



俺はすぐに破れた口から中の手紙を取り出して、くっつけた上で中身に目を通す。





「あ、ダメですよっ! 勝手に人の手紙読んじゃっ!!」



騒ぐ夏みかんの手紙を取り上げようとする手は、身を時計回りに捻って回避。

その間に手紙の中身は全部読み終えた。俺は、ゆっくりと手紙を畳んだ。



「・・・・・・・・・・・・大体分かった」




















◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



さてさて、早速G3ーXを装着してのテストである。では、ここで改めてG3ーXの説明。

G3ーXとは、原典ではクウガを元にして警視庁が作った戦闘装甲服。

正式名称は『GENERATIONー3 eXtension』。ちなみに前世代として、Gー1とGー2も居る。





元々はG3で戦っていたんだけど、アンノウンの能力に対応しきれずに強化したのがこのG3ーX。

動力源はバッテリーで、活動時間の限界がある。なんというか、維新組の四神甲冑を思い出してしまった。

そしてG3ーXは、各種専用装備を使っての戦闘を前提としている。ここは重火器が大半だね。





その重火器も八代さんがG3ーXの支援用のトラックであるGトレーラーの端末から、安全ロックを解除しないと使えない。





敵に奪われて火器を使用される事を避けるための処置だね。実際原典アギトでも、そういう場面はあった。










「・・・・・・八代さん、G3ーXって確か装着者の身長に合わせてのオートフィット機能がありますよね」

「えぇ」





G3ーXの装着時のテストのため、僕達は専用の実験室に移った。なお、コンクリ張りの無機質な部屋。

地下に作られたそこは、照明が入っていても少し薄暗い感じがしてしまう。周りの風景のせいかね。

そこで僕は八代さんの隣で端末を見て、G3ーXの性能や機能に装備に確認中。あ、僕は順番的に最後なんだ。



まずはユウスケが装着して、次は何か狙っているであろう海東。最後に僕がテストされるわけ。

だから僕の格好は、装着のための全身黒で無地なスーツ姿。

皮っぽい素材じゃなかったら、きっと傍目には全身タイツの類にしか見えないと思う。



あ、それでオートフィット機能というのは、装着者の体型や身長に合わせてアーマーが変化する機能の事。

だからG3ーXは正式な装着者が今回のように変わってしまっても、特に改修も無しにすぐさま装着出来る。

いや、何気にこれ凄い機能・・・・・・まさか海東、G3ーXを狙ってるとか? これをお宝とするなら、ありえない事ではない。





「だからあなたの身長でも充分に装着出来」



僕の心に、何かが突き刺さった。僕はそのまま・・・・・・我慢せずに涙を零した。



「あの、泣かないでくれる? ほら、自分でそこに触れたんだし」

「すみません、やっぱりなぎ君はこう・・・・・・身長の事は辛いみたいで」





とにかく、涙を拭きながらも次は武装の確認。まずはGM−01・スコーピオン。

サイズとしては巨大な拳銃と言ったところだけど、性能的にはアサルトライフルに近い。

装弾数は72発で並列弾倉式。弾倉は銃身後部にカートリッジとして装着する。



G3ーX装着の時には、右足に装着していつでも取り出せるようになってる。口径は10口径。

次はGG−02・サラマンダー。スコーピオンに連結される形で使用するグレネードランチャーだね。

続いてはGSー02・デストロイヤー。これは超高周波振動ソード。ロボット物でよくあるアレだよ。



ブレード部を振動させ切断する武装で、右腕に装着して使用。

装着してる姿は、ガンダム00に出てくるエクシアのGNソードを想像してもらえると分かりやすいと思う。

でもコレ、劇中では一度も敵に命中・・・・・・いえ、なんでもありません。



続いてはGAー04・アンタレス。これも右腕に装着して使用するアンカー。

ワイヤーで敵を捕縛する武装で、僕向きだね。電撃は使えないだろうけど。

それでこれがG3ーXのメイン武装。GXー05・ケルベロス。



これはG3ーX専用の両手持ちガトリング式機銃。冒頭でパトカーやグロンギ撃ち抜いてたのはこれなんだよ。

特殊徹甲弾を1秒間に30発発射し、G3ーXの武装としては最大火力を誇る。

携行の際はアタッシュケースのような形を取って、暗証番号入力でガトリングモードに変形する。



ようするに、折りたたみ式の武装なんだよ。そこで初めて射撃が可能となる。

弾倉一つあたりの装弾数は120発で、G3ーXは腰部に予備の弾倉を二つ装備している。

それでそのオプション装備的なものがGXランチャー。



これはケルベロスとスコーピオンを連結させて、ケルベロスの砲身の先にGX弾(ロケット弾頭)を装填。

そうして完成するロケットランチャー。確かこれの名称が、ケルベロスファイヤーだっけ。

なお、威力に関しては当然ながら保証済み。普通にこれでアンノウンガスガス倒してたりしてたから。



最後はGKー06・ユニコーン。これはサポート用の武装になるかな。

G3ーX専用の電磁コンバットナイフなのよ。これは左腕の二の腕の部分に装着・携行している。

破壊力はデストロイヤーの半分。G3ーXは装備を見ての通り重火器を用いての射撃戦が主。



だからこれはあくまでもサブウェポンとしての役割なんだ。でもコレもデストロイヤーと同じく一度も命中しなかったような。

あ、忘れちゃいけないガードチェイサーもある。これはGトレーラーに収納されているG3ーX専用の白バイだね。

ちなみにベース車は、その当時HONDAさんから出ていたX4と呼ばれるバイク。詳細はやふってください。でも、楽しいなぁ。



今からマジでG3ーX装着出来るかと思うと、もう楽しくて楽しくて。ついつい武装関係のデータ見ながらニコニコしてしまう。





「・・・・・・なぎ君、楽しそうだね」



なんか後ろでギンガさんと中島さんが、すっごい苦笑いで僕を見てる。僕は軽く首を傾げてしまった。



「お前、やっぱアレか。男だからこういうメカ関係は燃えるってタチか」

「そうですね。えぇ、そんなところです。不謹慎なのは承知で言うと、やっぱりこう・・・・・・来るんです」



まぁそれも本心なので、そういう事にしておく。実際はまた違ってはいるけどさ。

僕達から少し離れて両腕組んで壁に背中預けてる海東まで笑ってるけど、僕は気にしない。



「やっぱりかよ。うちのチビ二人も、同じような感じで『G3ーXになりたいー』って言ってて大変だから、すぐに分かったぞ」

「チビ二人・・・・・・子どもさん居らっしゃるんですか」

「あぁ。昴と銀河・・・・・・お前さんの連れと同じ名前の息子が二人な。これがまたわんぱく盛りなんだよ」



ギンガさんが驚いたように目を見開く。というか、そこは僕も同じ。・・・・・・そこまで同じとは。



「中島さん、私前に写真見せてもらいましたけど・・・・・・確か今は5歳でしたっけ」

「あぁ。来年で小学校だな」

「まだまだわんぱく盛りですね。・・・・・・でも、男の子がそうなる気持ちは私も分かるわ。
前の候補者にそういうメカとか変身物関係が好きで、G3ーX装着したいっての居たから」



そう言っている八代さん的には、そういうのは特に不快というわけではないらしい。

むしろ微笑ましいのか、なんか苦笑い気味だけど温かい視線を僕に向ける。



「まぁ個人の趣味どうこうはうるさく言わないわ。やる事やってくれればこっちは文句ないわけだし。ただ」

「43点は超えるべきですか?」

「当然」

「中々に高いハードルですけど、頑張ります」



・・・・・・さて、さっきも言ったけどもうテストは始まってるわけですよ。僕や海東は順番が最後ってだけで。

こんな会話をしている間に、それなりの時間は立った。でも・・・・・・ユウスケが来ない。



「なぎ君、ユウスケさん遅くないかな」

「だよね。八代さん、G3ーXの装着って時間かかるものなんですか?」

「いや、サポート用に人もつけたからこんなには」



ユウスケは隣の部屋で、G3ーXを装着した上でこちらに来る手はずになってる。

なってるんだけど、来ない。全く来ないから、僕達も軽く首を傾げる。



「あ、もしかして」

「またかよ」



傾げていると、二人が何かに気づいたような顔になった。当然僕とギンガさんは二人に視線を向ける。



「あのお二人とも、ユウスケさんが来ないのに何か思い当たるふしでも」

「まぁな。・・・・・・G3ーXには、戦闘サポート用にAIが搭載されてるんだよ」

「AI?」





あ、それは僕も知ってる。というか、原典でもあったもの。・・・・・・これがG3ーXのメインと言ってもいい。

装着者に適切な戦闘行動を取らせるためのAIなんだけど、これが中々に問題のあるシロモノだった。

AIの指示に同調出来ない装着者には、全く使いこなせないものになっちゃったのよ。まぁ、ここだけならまだいい。



AI自身が些細な事で過剰反応を起こしたり、敵意を持ったりした場合・・・・・・装着者の意思を無視して暴走したりもした。

その結果、敵じゃない相手を攻撃したり装着した人が重症を負ったりした描写も劇中ではあった。

というか、アレなの。装着者自身の意思で暴走もなにも起こさないように倒すには、『無我の境地』になる必要があったの。



もうね、ありえないでしょ? オートフィット機能が無駄なんじゃないかって言うくらいに、人を選ぶスーツになったし。



ちなみに原典でのG3ーX正装着者である氷川誠さんは、G3ーXにパワーアップした際に全く使いこなせませんでした。





「えぇ。まぁ、あくまでもサポート用にだけどね」

「というか、調整失敗して暴走した事もあったよな。周囲の状況の変化に過剰に反応してよ」

「そ、そこはもう解決してます。制御チップは入れてあるんですから」



・・・・・・どうやらここも原典と同じらしい。原典も、そんな暴走を防ぐために制御チップを入れた上で性能を落としたから。



「・・・・・・ただ、それでもやっぱり人によってはダメって場合もあってね」

「AIもそうだが、G3ーXの性能に振り回されて動くのも辛いってのが居るんだよ」

「そうなんですか。ならあの、もしかしてこの状況って私が思うに」



ギンガさんの言いたい事が分かったのか、二人が困った顔で頷いて・・・・・・あ、部屋のドアが開いた。



「あの、大丈夫ですか? もうフラフラですし、無理しない方が」

「いえ、大丈夫ですっ! もう元気いっぱいですしっ!!」



自然と入り口の自動ドアの方を、僕達は全員で見る。

そこにはフラフラで歩くのも辛そうなG3ーXと、心配そうに支える警官が居た。



「・・・・・・やっぱりかよ」

「小野寺君っ! 無理しないでっ!!」

「いや、大丈夫ですっ!!」

「ユウスケさん、大丈夫じゃないですよねっ!? 足がおぼつかないじゃ」



ギンガさんが最後まで言い切る前に、ユウスケはそのおぼつかない足をもつれさせてコンクリの床の上でコケた。

その音が響く中、場が一瞬静まり返ってしまったのは無理がないと思う。もう派手にコケたもの。



”・・・・・・あの人、空回りしてませんか?”



首元にかけたアルトから、そんな念話が来た。それを聞いて僕は・・・・・・まぁその、苦笑いを浮かべました。



”アルト、そこは触れないであげようか。きっとそれが優しさだよ”










もやしももやしで大変だった頃、僕達は僕達で何気に大変だった。まぁ、見ての感じだしね。

ただ、僕は別にノリや勢いでG3ーXの装着者に立候補したわけじゃない。ここに居れば、絶対に遭遇出来ると踏んでの事。

アギトの敵は、グロンギじゃない。アンノウンと呼ばれる神に等しき存在の使いなんだよ。





言うなら天使の如き存在と表現してもいい。奴らは『人間』という枠を超えた存在を消し去ろうと動く。





もしかしたらG3ーXの装着者になってソイツらと接触するために僕は、再び警察官になったのかも。・・・・・・多分。




















(第14話へ続く)




















あとがき



恭文「というわけで、やってきましたアギトの世界です。なお、劇中では当然ながらゲンヤさんは出てきません」

シルビィ「似た感じの素敵なミドルのおじさまは出てくるのよね」

恭文「うん。まぁ今回はファンサービスという事で。それでは本日のあとがきのお相手は蒼凪恭文と」

シルビィ「シルビア・ニムロッドです。それでヤスフミ、アギトの世界ってクウガの世界と地続きなのよね。まぁ劇中でも言われてたけど」

恭文「そうだよ。だから八代さんがテレビのディケイドで出たのも、そのためなんだよね」





(ちなみにユウスケ、マジで劇中な勢いで食いついてました)





シルビィ「でもユウスケの食いつき方もちょっと分かるわ。恋愛感情はともかく、特別な人だったでしょうし」

恭文「それはね? ただ、あのバカスケはもうちょい冷静になった方がいいと思う。
少なくともクウガの世界の八代さんとは別人なんだしさ。まぁ分かってはいるだろうけど」

シルビィ「そうね。分かってるわよね。・・・・・・分かってなかったらどうするの?」

恭文「・・・・・・そうなったら僕は泣くよ。アギトの世界の八代さんにも迷惑だしさ」





(まぁ分かってると信じた上で頑張ろう)





恭文「そんなユウスケの事はともかく、G3ーX楽しみだなー♪」

シルビィ「そう言えばヤスフミでも装着は出来るのよね」

恭文「うん。オートフィット機能ってWikiで見たらあったから」





(というか、無かったら劇中で北条さんとかが装着しないよねー)





恭文「というか、このまま僕はG3ーX頑張るよ。それでユウスケの出番ぶんどるよ」

シルビィ「いや、デルタはどうするのよっ! 前の世界で手に入れたのにっ!!」

恭文「でもさぁ、ユウスケがG3ーXで最終決戦まで行くと、クウガとアギトのダブル変身とか出来ないんだよ」





(拍手でもリクエストやその手の話が来てたのです。アギトの世界で、そのダブル変身や活躍が見れなくて寂しかったと)





シルビィ「ヤスフミ、大丈夫。海東さんが居るじゃない。そうしたらヤスフミもデルタに変身出来るし」

恭文「嫌。アレに負けるとかなんかムカつくし。うし、G3ーXマジで頑張ろう」

シルビィ「負けず嫌いな男の子属性発生っ!?」





(蒼い古き鉄、何気に負けず嫌いキャラだったりします)





恭文「というわけで、次回はこの続き。G3ーXの正装着者は僕でOKとして」

シルビィ「しかももう決定してるっ!?」

恭文「大体分かったらしいもやしがどう動くのかとも気になりつつ、本日はここまで。お相手は蒼凪恭文と」

シルビィ「シルビア・ニムロッドでした。それじゃあみんな、See you Again♪」










(金馬、今日は普通にお姉さんキャラでとっても素敵でした。
本日のED:石原慎一『仮面ライダーアギト』)




















シルビィ「・・・・・・ところでヤスフミ、私は何時出演してヤスフミと一緒に旅をするの?」

恭文「やっぱり普通に終わらなかったしっ! てゆうか、なんでそこで旅するのっ!?」

シルビィ「あら、ヤスフミの第四夫人候補としては当然よ。ヤスフミが困ってたら、何時だって力になりたいもの」

恭文「ちょっと待ってっ!? シルビィ出たら絶対面倒な事になるからっ! 収集つけられないからっ!!」

シルビィ「大丈夫よ。それw解決するいい手があるわ」

恭文「いい手?」

シルビィ「えぇ。・・・・・・このディケイドルートを、私メインのルートに変えればいいのっ!!
そうすれば万事解決よっ! つまりこのルートは今から『ヤスフミ×私+リインちゃん+フェイトちゃん』にするのっ!!」

恭文「あぁ、それは確かに・・・・・・そんなん出来るかぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」(ハリセンぱしーんっ!!)










(おしまい)





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