小説(魔法少女リリカルなのは:二次小説)
第12話:あとがき
あとがき
恭文「というわけで、ファイズ編終結です。・・・・・・で、僕は蒼凪恭文なわけだけど、シルビィどうした」
シルビィ「うぅ、いいなぁ。あれはもうフラグよね? この後二人は盛り上がって恋の炎に身を焦がすわけね」
(金馬、冒頭からエンジンかかりまくりである)
恭文「いや、アレで心友コースの可能性も」
シルビィ「いいえ、ないわっ! きっと私達と同じように愛を育んでいくのよっ!!」
恭文「さりげなくまた僕達をカップル扱いするなっつーのっ!! ・・・・・・でもさ、それはないって」
シルビィ「あら、どうして?」
恭文「いや、だって」
(うったわれるーものー♪)
シルビィ「・・・・・・ヤスフミ、そういう夢のない話はしなくていいわ。えぇ、本当にしなくていい」
恭文「あの、真面目にそのKYって言いたげな目はやめて? 僕は多分悪くない。
とにかく、ファイズ編はアレだね。ずっと海東のターンだったね」
シルビィ「そうね。ただ、テレビよりも海東さん推しな感じにするとは聞いてるから仕方ないのよね」
恭文「あぁ、そうらしいね」
(もうアレですよ、Episode Yellow準拠だとそうなりがちなのです)
恭文「まぁこのクロスの方針として、テレビだとユウスケや海東や鳴滝って脇の扱いが今ひとつアレなわけですよ」
シルビィ「そこの辺りを、もうちょっと分かりやすい形にしたいのよね。あとは出番の増加」
恭文「そうそう。まぁ海東はともかくとして、鳴滝とユウスケはひどいよー? 鳴滝はもう色んなものが不明だし」
(ぶっちゃけましょう。冬の映画と夏の映画を見ても全く意味が分からない。どうしてこうなった?)
恭文「あと、ユウスケは何度も話しただろうけどキバの世界超えたらYum chaさんだから。
テレビだとほとんどの世界でYum chaさんで、クウガに変身しない回がほとんどだったから」
シルビィ(参考資料を見ながら)「・・・・・・あ、本当ね。変身出来るのにしないのなんてザラだわ」
恭文「うん。それでライジングアルティメットも登場いきなりなところはあったし、そこもなんとか出来ればしたいなーと」
(具体的には、電撃ビリビリでライジング登場とかですか? とりあえずユウスケの出番はどんどん増やしていきたいなと。
個人的な趣味でクウガの戦いを書きたいというのもありますし、基本ラインは今の感じで進むと思います。・・・・・・多分)
シルビィ「あとは私達も登場よね。うー、楽しみだわ」
恭文「いや、だからそれやるのっ!? まさか全員で旅に乗り込むわけじゃないだろうしっ!!」
シルビィ「あら、そんな事しないわよ。もちろん私だけ」
恭文「それでも来るなっ! あとウィンクしないでっ!?」
(金馬、もうエンジンかかって・・・・・・どうしてこうなった)
シルビィ「ただ、TV本編よりももやしちゃんの出番や見せ場は減る感じ?」
恭文「というか、僕やユウスケや海東がそこ頑張る感じかな。そこは僕だけじゃない感じ。
というかさ、ユウスケはマジでもっと目立っていいと思うの。もう一人の主人公でいいと思うの」
シルビィ「ヤスフミ、かなり推してくるわね」
恭文「推したくもなるって。だって・・・・・・ユウスケ、泣いてるよ? 原典が偉大過ぎて潰されかけてるよ?」
(そう言いながら蒼い古き鉄は、軽く涙ぐむ)
恭文「その上扱いがYum chaで、イチイチ原典と比べられて・・・・・・もうね、不憫なのよ。
いいじゃん、ユウスケ目立ったって。もやしはもやし扱いでいいじゃないのさ。その分ユウスケ目立てば」
シルビィ「まぁ、あの扱いには色々と疑問を感じたけど・・・・・・そうね、目立っていいわよね。というか、他のみんなも目立つべきよね」
恭文「そうだよ、特にユウスケだよ。というかさ、もうこの話はユウスケが主人公でいいんじゃないかな。
僕は今回は脇役でいいよ。今回は空気読んでユウスケに主人公の座を明け渡すよ。だがもやし、お前はだめだ」
シルビィ「おのれディケイドっ!!」
(『なんでそうなんだよっ! てーかアイツの扱いの悪さは俺のせいじゃないんだがっ!!』)
シルビィ「というわけで、ディケイドクロスの主人公がここからユウスケに変わります。
次回はそんなユウスケが主役として頑張るお話よね?」
恭文「そうだよ。だからあれだ、OPのナレーションも変わるから。みんな、次回の『仮面ライダークウガ・新生』にご期待ください」
(なんか勝手にタイトルそのものが変わってるっ!?)
恭文「それでは本日はここまで。とまとは小野寺ユウスケを全面的に応援していきたいと声を大にして伝えたい蒼凪恭文と」
シルビィ「ユウスケ、頑張ってね。私は応援していると伝えたいシルビア・ニムロッドでしたー。それじゃあみんな、See you Again♪」
(仮面ライダークウガ・新生。この番組は、ご覧のスポンサーの提供でお送り・・・・・・って、違うしっ!!
本日のED:ISSA『Justiφ's』)
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
戦いが終わり、写真館に戻ってきたのは日没直後。
そこから夕飯を頂いたり、写真を現像したりでようやく一息だよ。
なんか、一日で1世界ってペースだよね。うん、知ってた。
それで僕は栄次郎さんから機械の手入れ用の機材をもらって、あそこから回収したベルトの手入れ。
「うん、士くんも腕を上げたねぇ」
「ほんとよねぇ。ボケボケなのがくっきりだものー。成長したとしか言うしかないわぁ」
そんな事を言いながら栄次郎さんと沢城みゆきが満足気に見るのは・・・・・・なんだろ、ちょっと悲しくなって来た。
ちなみにその写真は、写真室のタクミの姿を写したもの。ブレもなく本当に綺麗に撮れてた。
「あー、二人共。それ士の写真じゃないから。
士のカメラで、あのゆりちゃんが撮った・・・・・・だよな、恭文」
「そうだよー」
「あ、そうなの? なら・・・・・・こっちのピンぼけのがそれかぁ」
そして二人にもやっぱりもやしの写真の良さが分からないらしい。僕はもやしの写真はどれもいいと思うんだけど。
「やっぱりなぁ」
「やっぱりよねぇ」
「えぇ、やっぱりですよ」
「よしっ! お前ら何か不満があるなら聞くがっ!? てーかピンぼけで悪かったなっ! おいっ!!」
でも、なぜか評価されない不憫な写真の達の中でとびきり素敵な物がある。
それはゆりとタクミの姿を写した写真。うっすらとボケた輪郭の下の方に、カメラが大きく写りこんでる。
そのカメラは当然、ゆりが必死に探してタクミが命がけで守ったあのカメラ。
写真の二人はただ背を向けてるだけじゃなくて、二人で同じものを見ているようにも見えた。
その写真を見て、僕はこう・・・・・・なんだろ。嬉しくなってついつい笑ってしまう。
「・・・・・・なぎ君、それ泥棒だよね?」
なのに普通にそんな僕を見て、隣に座るギンガさんが呆れ気味な表情をしていた。
僕はその写真から一旦目を離して、ギンガさんの方を見た。
「あのね、どう考えても泥棒だと思うの。それってアリなのかな」
「違うよ。拾ったけど持ち主が分からないから、そのまま頂いただけだし」
「そんな最もらしい理由つけてもダメだよっ! というか、それ何かなっ!!」
「仮面ライダーデルタに変身するためのベルトだよ。あ、デルタはファイズに出てくるライダーの一人。
本来僕の知っているファイズに出てくるベルトは、人間には使えないんだ」
まぁ当然と言えば当然なんだよね。そもそも原典ファイズでのベルトの意味は、前述の通りだし。
原典では、そこで敵である人間に変身させる意味がないと思う。デルタのベルトは最初期のものだから、そうなってるだけだし。
「でもデルタのベルトは、一応普通の人間にも使えるようになっている」
まぁ適正がないのに使ったら攻撃衝動が増加されて、性格が凶暴になったりはするけどね。
ただ、ここは言わない。だって言ったところでもう既に意味がない事だもの。
「つまり、これを使えば僕もライダーに変身出来るってわけ。もちろんモノホン」
「ライダーに? じゃああの」
「うん。こっち戻って来る前にちょっと試したら、簡単に変身出来た。
特に変身して副作用みたいなのもなかったし、能力も充分っぽい」
念のために修羅モード発動して、攻撃衝動の増加を防ごうとしてたんだけど・・・・・・意味がなかったとは。
もうね、なんにもないのよ。なんかそういうのを訴えかけられてるみたいなのもないし、攻撃的になってるとかもない。
≪装備もしっかりと使えましたから、この調子なら今までよりは多少楽になりますね≫
そこまで言うとギンガさんは、安心したような顔で僕を見出した。やっぱり心配かけてたらしい。
でも、これで僕もライダーに変身出来るようになるし・・・・・・多少は安心してもらえるかな。
「でもそのベルトや他のベルト、学校にあったんだよね? どうして学校の中でそんな研究を」
「さぁな。ただ、タクミの奴も学校の地下でファイズギアを拾ったらしい。
他のベルトがある事までは知らなかったそうだが」
だからタクミも、他のベルトを見て本当に驚いてた。なお、他のベルトは全てその場に隠した。
誰に利用されるかも分からないし、その場で放置は危険と判断したわけですよ。
全部持ってくのもちょろっと考えたけど、それもまた危険と判断した。ほら、必要になるかも知れないし。
多分海東がお宝の山とか言いながら帝王のベルトしか持っていかなかったのも、それが理由だよ。
だから僕もまぁ、両手を合わせて『使わせてもらいます』とお願いした上で拝借しました。
何気に僕もこれからまだまだ命を賭けたアドベンチャーを突き進む身、かなり考えたけど背に腹は代えられなかった。
現時点でかなり手札を晒してるってのもあるし、それを隠すためにもこのベルトは大事に使わせてもらう。
「もしかしたらスマートブレイン・ハイスクール自体が、昔はオルフェノクに対抗する人材を育てるための学校だったとかかな」
「なぎ君、さすがにそれはないよ。それに話通りだと、オルフェノクしかベルトは使えないんだよね?
それならオルフェノクがあの学校を建てて、そういう人材を育ててた事になるもの」
・・・・・・ギンガさんが呆れ気味にそう言ったのを見て、僕ともやしとユウスケは顔を見合わせてしまう。
それでまぁ、夏みかんまでもが怪訝そうな顔をするわけですよ。
「士くん、ユウスケもどうしたんですか。ちょっと変ですよ」
「・・・・・・それがな、二人共。そのオルフェノクしか変身出来ないであろうベルト、俺や恭文も使えたんだよ」
「蒼チビ曰く、適性が無いのは変身そのものが出来ないベルトもあったそうだが、どれもオールクリアだったんだよ」
「「えぇっ!?」」
・・・・・うん、そうなの。あのね、他のベルトも僕やユウスケが使っても変身出来たのよ。
というか、冒頭で『確認ついでに試した』とか言う話したでしょ? それって、ファイズへの変身なのよ。
『Error』されて弾き飛ばされるのも経験かなと思って、あの場で変身ってやったんだ。
そうしたらまぁ・・・・・・その、ねぇ? 僕はあの時、生きていて本当によかったと思った。
だって普通にCompleteだったんだよ? 両手を上げて大喜びしたさ。でも身長はどういうわけか伸びなかったけど。
それであの場で少し気になって、デルタのベルトもそうだしそれ以外のも実験した。
さすがにカイザのベルトは怖くて試さなかったけど、それ以外のは全部試した結果『Complete』だよ。
サイガのベルトもライオトルーパーも、もちろんファイズのベルトも改めてだよ。その結果には僕達も驚いた。
それでどうしてこうなったのかと考えて、海東が言い残した言葉から・・・・・・まぁ、大体の事を察した。
「海東がね、ベルト見つけてハシャいでた時に言ってたんだけど」
「うん?」
「ファイズのベルトもデルタのベルトも、みんな『かつてオルフェノクと戦うために作られたもの』だそうなのよ。
それだけじゃなくて、ベルトには僕が知ってるような危険はないから安心して使えとも言ってたんだ」
あの時は全く意味が分からなかったけど、なんで海東がそんな事を自信満々に言えたかを考えた。
考えた結果、なんで僕がオルフェノクでもないのにファイズに変身出来たのかという答えも出た。
「それってつまり」
「この世界でのベルト達は、なぎ君が知ってるファイズと違って人間達が作った?
だから人間であるなぎ君やユウスケさんが使って、変身が出来た。それも安全にだよね」
「うん」
僕はギンガさんの言葉に頷いて、その可能性を肯定した。・・・・・・そう考えると、一応だけど辻褄は合わせられる。
だから内心気にはしてたデルタの変身の副作用とかも、全くなかった。だから他のベルトでも変身出来た。
だってアレらは全て、この世界の人間が変身する事を前提とした上で造られたものだから。不具合が出る方がおかしい。
でもそうなるとそんなベルトと研究施設があるあの学校が、とんでもなくウサン臭くなるのも事実だったりする。
もしも連中がそこをなんとなしに嗅ぎつけて、学校を潰すためにラッキークローバーしてたとしたら?
・・・・・・やっぱり通りすがりだね。結局は一時期の問題解決だけで、あとはお任せーって感じだもの。
そこを考えて、少しだけ表情が苦くなってしまうのは許して欲しいと思った。
「アレ、でも待って。それならどうしてオルフェノクであるその子が変身出来たのかな。
だってベルトがオルフェノクに対してのカウンターなら、利用される事は避けようとするはずだよ?」
ギンガさんが言っているのは、僕の知っているファイズとは別の方向になるかも知れないという話だね。
逆にオルフェノクはベルトを使ってライダーに変身出来なくて当然なのに、なんでタクミはファイズになれたのかという話。
≪そこも謎なんですよね。まぁ、もしかしたら≫
「「もしかしたら?」」
≪この世界のベルト達は、身体どうこうでは装着者を判断しないんですよ。
身体ではなくその心が『怪物』に成り下がった奴らには、使えないようにしている≫
アルトはきっと、思いつきで適当に言ったんだと思う。付き合い長いから口調でそこは分かる。
でも僕とギンガさんにもやしとゆうすけは・・・・・・何かこう、ストンと胸に落ちるものがあった。
≪人間だろうとオルフェノクだろうと、ちっぽけな何かを大切に出来る存在を装着者として認めるんです。
コレらを作った人間は、もしかしたらオルフェノクにもそういう存在が居ると知ってたのかも知れませんね≫
ギンガさんも僕も、どう言っていいか分からなくて・・・・・・改めてデルタのベルトを見る。
だとしたら、ちょっとは感謝かな。僕はまだまだ、ちっぽけな人間を続けていけるらしい。
ギンガさんはそっと左手で、僕が磨いたベルトのバックル部分を優しい顔で撫でていく。
僕にはギンガさんがそうしながら何を考えているかは、まぁあまりよく分からなかったり。
「なら、納得かな。きっとファイズの子は、人間だったんだろうから。
ちっぽけなものを大切に出来る、どこにでも居る普通の子。でも、大丈夫かな」
「大丈夫じゃない? ・・・・・・同じじゃなくていい、違っていてもいい。
ただ誰かの一番の味方になればいい。それだけで、その誰かはとっても強くなれる」
ギンガさんが目を開いて、僕の事をジッと見つめてくる。それがなんか照れくさくて、僕はクスリと笑う。
「だから誰かを助けたいと思うなら、その誰かの一番の味方を胸張ってやればいい。
・・・・・・前にね、一緒に仕事した子が教えてくれたんだ。だからきっと、大丈夫」
でも僕は、もう一度ギンガさんに笑いかける。今度は思いっ切り・・・・・・安心させるように。
「タクミには、ゆりっていう一番の味方が居るんだから」
「そうだね。うん、それなら納得かな。きっと・・・・・・大丈夫だよね。だって本当に、本当に強くなれちゃうんだから」
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
「・・・・・・士くん、今の話本当だと思いますか? 私にはどうも信じられません。
というか、話がおかし過ぎます。非科学的ですし、もっと疑問を持つべきです」
「夏海ちゃん、とりあえず空気読めるようになろうか」
「そうだな。夏みかん、お前のそれはもはや病気だ」
「なんでですかっ! というか、みんなひどいですっ!!
私は疑問に思って当然の事を、ちゃんと疑問に持っていこうって決めただけですっ!!」
なんか胸張って自慢気に言い出した。それでユウスケはまぁ恐る恐るだが、異星人夏みかんに接触を試みる。
「夏海ちゃん、それはまたどうして?」
「いえ、まぁ・・・・・・私も反省したんです。士くん達に甘えてたところもあるなぁって」
言いながら夏みかんは、なぜかチラチラとまたベルトを嬉しそうに磨き出した蒼チビを見る。
「だからまず積極的に踏み出して、旅の中での色んな事に疑問を持って考えていこうと思うんです。
疑問を持って、一つ一つ考えて向き合って・・・・・・それがまず私が旅の中でやるべき事かなと」
「そうか。だったらそれは間違いだ。てーかそのために空気読めないのはダメだろ」
「そうだな。その決意は非常に立派だけど、そのために夏海ちゃんはきっと大事なモノを無くしてしまっている。
夏海ちゃん、俺も手伝うからまたよーく考えてみようか。大丈夫、その気持ちがあればきっと道は開けるさ」
「あの、なんかやっぱりひどくないですかっ!? というか私、立派に空気読んでるつもりですけどっ!!」
コイツ、どうした? 蒼チビに対して妙な嫌悪感は出さなくなったと思ったら、今度はKYかよ。
それも強烈にKYだ。まぁまぁ人の言う事鵜呑みしまくりもまた違うだろうがな。
というか、アレだな。今回の話の冒頭で相当KYな事かましたのは、そのせいか。
夏みかん・・・・・・なんて恐ろしい奴だ。何にしても全く加減が出来ないとは。これがゆとりの姿かよ。
俺はこうはならないようにしようと決意しつつ、ゆっくりとコーヒーを飲んだ。・・・・・・うん、いい味だ。
「というか二人共、大樹さんはどうしたんですか?」
「知るか。いいか、アイツはな」
俺がそう言った瞬間に、後ろで何かが落ちた音が聴こえた。その音に全員の視線がそちらに向く。
・・・・・・そこにあったのは、あのロボットバイクや青い蝶の絵じゃなかった。これは・・・・・・なんだ?
「蒼チビ、解説しろ」
「恭文、これなんだ? いや、ライダーどうこう抜きにこの絵は」
「早速僕を頼るのやめてもらえますっ!? ・・・・・・これ、イコン画の一種だよ。
キリスト教の正教会に飾られて、崇拝の対象とする聖画だよ」
「教会・・・・・・あー、そう言えば俺も見た事ある。確かにこういう絵、教会とかにあるよな」
なるほど。つまり次のライダーは・・・・・・そういう事か。大体分かったぜ。
「蒼チビ、次のライダーは仮面ライダー・キリストか? いや、それともイエスか」
「違うよ」
俺は当然のように、呆れた返答によってズッコケる。だがすぐに復活。
「違うのかよっ!!」
「うん。この絵が出てくるって事は、仮面ライダーアギトだね」
「なら、アギトの世・・・・・・ん、なんだ?」
そんなイコン画のど真ん中に、何か貼りつけてある。俺は気になって立ち上がって、それをひっぺがず。
両手でそれを持って読みつつテーブルに戻ろうとしたが、文面に軽く目を通して怒りが込みあげた。
「『士へ、次の世界でもせいぜい僕の足を引っ張らないように。なまこも食べられないくせに。海東』・・・・・・だとっ!?」
「もやし・・・・・・なんで普通に絵にメッセージカード貼りつけてるのよ。てーかアイツは一体いつ仕込んだ」
「知るかっ!!」
俺はそのままカードを捨てようとも思ったが、俺が今読み上げた文面の下にもう一つメッセージがあった。
俺は自然と、そのメッセージが送られた奴の方を見る。ソイツは俺を見ながらキョトンとしていた。
「あー、蒼チビへのメッセージもあるな」
「え、僕宛て?」
「『早く金色の髪の彼女のところへ帰りたまえ。君は本当に大事な事を忘れている』・・・・・・だとよ」
「だから帰り方が分からないと何度言えば分かるっ!? くそ、あのバカやっぱお話出来ないしっ!!」
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
「・・・・・・妙な介入者がまた出てきたな」
「そうですね。ただ、あの予言者よりは心配はないと思います」
今日の昼間、惨劇とも言うべき学校の屋上に僕達は居た。眼下の学校は、本当に静かなもの。
まぁ彼らがここを出てからまた色々と大変だったし、これからも同じとは思うけど。それでも、解決は解決。
「なによりあの子に妙に好意的です。全く、困ったものですね」
「デルタのベルトだな」
「えぇ。まぁあのベルトなら、こちらの計画に支障が出る心配もないんですけど。
あのベルトは・・・・・・この世界のベルトは、『人』を認め守るベルトですから」
あのベルトも確かに『お宝』ではあるけど、ファイズやクウガ、キバのような力はない。
でも勝手に持ち出されるのもそれはそれでダメなんだけどなぁ。僕はそこを考えて、困った顔になってしまう。
「まぁ、事が終わったら返してもらいましょうか。アレをあのままあの子の世界に持ち込むのは、色々マズいですし」
「そうだな」
それで僕達で、改めてベルトをこの世界に返却と。ただ・・・・・・なぁ。
僕は視線を上に上げて広がる星空を見て、やっぱり困った顔になってしまう。
「それまでに、この世界が消えてなければいいんですが」
「大丈夫と信じたいところだな。・・・・・・あと4つか」
「えぇ。あと4つの・・・・・・はずです」
二人で自然と空を見上げると、そこには輝く星々達。明日も、明後日も星は輝くとこの世界の人達は思っているはず。
出来ればその認識を、そのまま揺らがず持っていられるようになって欲しいと・・・・・・勝手ながらに思ってしまった。
(おしまい)
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