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小説(魔法少女リリカルなのは:二次小説)
第63話 『Start search/『祝福』の真の形』



リズム・クスクス・ダイチ『しゅごしゅごー』

クスクス「さー、ドキッとスタートドキたまタイムだよー? うぅ、マリアージュ怖いよー。
というかというか、あむちゃんもヘコんだままだし・・・・・・普通にまずいよー」

ダイチ「確かにな。でも、空海達が覚悟決めてんのに引くわけにはいかないだろ。
何より俺もこのまんまなんて納得出来ねぇ。出来る事、やれる事、きっちりやってこうぜ」

リズム「その通り。オレ達しゅごキャラは、いつだって宿主の一番の味方だしな。
さぁ、オレ達全員のビートで、マリアージュに一発ドでかいカウンターをかましてやろうぜっ!!」





(立ち上がる画面に映るのは、執事姿のあの子や沢山の本)





リズム「ドキたま/だっしゅも2クール目突入っ! OPとEDも変わって更にぶっ飛ばしてくぜー!!」

ダイチ「・・・・・・いや、それ小説には関係な」

クスクス「そうだそうだー! クスクスだって頑張るよー!? マリアージュになんて負けないんだからー!!」

ダイチ「いや、普通に無視すんなよっ! それ小説だと関係な」





(というわけで、いつものポーズである)





リズム・クスクス『だっしゅっ!!』

ダイチ「だからお前ら俺を無視すんなぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ! てーか置いてくなぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」




















◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



現場の方で少し休ませてもらって、それでなんとか落ち着いた。

そこからあたしは恭文達に引き連れられるようにして家に戻った。

それであたしは・・・・・・二階のベランダに出て、空を見ている。





もうみんな寝静まっているような時間で、少し肌寒い。だけどあたしは・・・・・・全然眠れない。

初めてじゃない。あたし、ちゃんと分かってるよ。月夜のアレは、死んだんだって。

今日見た事だって、きっと同じだ。だけど・・・・・・重い、なぁ。恭文、アンタこんなの何回も見てるんだよね。





場合によっては、自分の手でそれを背負ってる。あたし、ダメだな。





普通にただ見ただけなのに、心が潰れそうになるくらいに・・・・・・重いんだ。










「・・・・・・やっぱ眠れないか」



後ろから声がかかった。ハッとしてそっちを見ると、青いストライブのパジャマ姿の恭文が居た。

恭文はベランダの窓を開けて、そのままこっちに来る。それで・・・・・・あ、マグカップ。



「ほい、ホットミルク。あったまるよ〜」



あたしの右隣に座りながら、左手に持ったカップを差し出す。あたしは・・・・・・両手でそれを受け取る。



「・・・・・・あり、がと」



あんまり上手く笑えてないのは、許して欲しい。それでもあたしはちょっとずつホットミルクを飲む。

・・・・・・温かくて、甘い。ママが作るホットミルクより甘めかも。恭文、甘党だからなぁ。



「・・・・・・恭文」

「何?」

「こういうの、慣れないね。月夜で経験してるハズなのに」

「・・・・・・慣れるわけないでしょ」



空を見上げながら、厳しいけど優しい言葉をあたしに届けてくれる。『それでいい』って、背中を押してくれた。



「人が・・・・・・何かが死ぬのは、僕やフェイトでも慣れない。慣れちゃいけないとも思ってる。
多少はそういうのとうまく付き合えるようになるだけで、重さとかは変わらないんだよ」

「・・・・・・そっか。それ聞いてちょっと安心しちゃった。あたしだけじゃないんだよね」

「そうだね。うん、そうなるわ」

「それでさ、恭文・・・・・・行くんだよね」



恭文がビックリした顔をした。なのであたしは、背中を窓に軽く預けて星空を見る。

あれからあたし達が帰るまでの間に雨は止んで・・・・・・ほんとに不安定な天気だね。



「行かないよ。だって今は夏休みだし」

「でもケンカ売られた。楽しみにしてたエビチリは食べ損なったし、目の前で・・・・・・人を一人簡単に殺された。
あたしの知ってるアンタはさ、それで黙ってるような奴じゃないもん。マリアージュっての、ぶっ飛ばすんでしょ?」

「・・・・・・あぁもう、見抜かれてるってどういう事さ」



少しそれが誇らしくて、悔しそうな恭文に向かって勝ち誇ったように笑う。まぁ、アレだよね。

ここは止めるのが正解なんだろうけど・・・・・・ごめん、あたしはそんな気起きないわ。



「だったらさ、あたしの分まで・・・・・・預けちゃっていい?」

「・・・・・・僕なんかに預けていいの?」

「いいの。・・・・・・悔しいんだ。あんなの、あんなのもう嫌なのに・・・・・・何も出来ない」



あたしは今のところ魔法なんて使えなくて、しゅごキャラが居ても基本普通の女の子で・・・・・・だけどなんだ。

だけどあたし、普通にこのままなんて嫌だ。でも今のところなんとか出来そうもなくて・・・・・・あはは、ホントマジだめだめだし。



「だから、お願い」

「・・・・・・嫌だ」

「・・・・・・恭文」

「あむの荷物はあむのもんでしょ。てーかそういうのであれこれは基本嫌いだし。
・・・・・・ぶっちゃけちゃえばこれは八つ当たりもいいとこだもの。僕の勝手な私闘」



なんて言いながらも、恭文が左手で拳を作ってあたしに向ける。



「ま、それでも・・・・・・肩くらいは貸しましょ」

「・・・・・相変わらず素直なキャラじゃないし」

「うっさい。僕は十二分に素直だっつーの」



だから・・・・・・あたしは自分の右手を見る。あたしの手は弱くて、小さい手。

でも、今のあたしが詰まっている手。それを握り締めて、軽く恭文の拳にぶつける。



「んじゃ、行ってくるわ」



恭文はそのまま立ち上がって、伸びをしてそのままベランダから出ようとする。



「あ、カップは流しに置いておいてね」

「うん、分かった。恭文・・・・・・気をつけてね」

「うん」



そのままベランダはあたしだけになった。あたしは・・・・・・また空を見る。

空は雨が上がって澄んだ空気のせいか、とても綺麗に星や二つの月が見えた。



「ミキ」

「あむちゃん、何かな」

「アンタ、恭文について行きたいんだよね」



ミキはランとスゥと一緒にずっと近くに居てくれて・・・・・・でも、恭文がマリアージュを止めるって言った時から様子が変わった。



「・・・・・・うん。もしかしたらボクとのキャラなり、役に立つかも知れないから」

「そっか。じゃあ行って来ていいよ」

「えっ!? で、でもそれは」

「いいから。・・・・・・でも、怪我とか絶対無しだよ?」



それだけは毎回マジでお願いしたかったりする。普通にさ、心配だし。



「それでもし必要なら、気合い入れてぶっ飛ばしてけばいいから」

「・・・・・・うん。じゃああむちゃん、ちょっと行って来るね。あ、ランにスゥ・・・・・・あむちゃんの事、お願い」

「うん、分かった。あの、ミキも気をつけてね?」

「恭文さんの事、お願いですよぉ」










そのままミキも家の中に戻っていく。あたしはもう一度夜空を見上げる。・・・・・・ホント、ダメだな。

あたし、もっと強くなりたい。こんな悲しいことを止められるくらいに。

あたしに出来る事なんて本当にちっぽけだろうけど・・・・・・うん、それでいいんだよね。





あたし一人で全部なんて無理なんだから。だからこそ、そのちっぽけな事がちゃんと出来るようになりたいよ。




















『とまとシリーズ』×『しゅごキャラ』 クロス小説


とある魔導師と古き鉄とドキドキな夢のたまご/だっしゅっ!!


第63話 『Start search/『祝福』の真の形』




















◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



夜が明ける直前に、静かにパジャマ姿から着替えて家を出る。なお、フェイトは疲れたのか寝付いてる。

他のみんなも同じく。・・・・・・とりあえず、心の中で軽く謝っておく。

悪いね。こう・・・・・・アレなのよ、やっぱりケンカ売られたのに引くのはらしくないしさ。





とりあえずマリアージュにもそうだし、操ってる奴がいるならソイツにもこのツケはきっちり払わせる。





とにかく僕は玄関を出て、僕と同じくケンカをかまそうというバカのところへ同じように準備したリイン共々急ぐ。










「・・・・・・むー、恭文もリインさんも遅いよ。ヴィヴィオ待ちくたびれちゃった」

「ごめん。気付かれないように抜け出すのが大変だった」

「ヴィヴィオ、ごめんですよー」



それはヴィヴィオ。普通に『ヴィヴィオ達もケンカやろうよ』と言って来たので、巻き込む事にした。

とは言え、ヴィヴィオは現段階では戦闘関係はちとアウト。SEI-Oベルトもなのはの許可がないと封印状態だしね。



「あー、フェイトママと同じ部屋だもんね。ママ、大丈夫だった?」

「まぁね」

「というか、ディードさんは」

「大丈夫。あむの事をお願いしてるから」



気晴らしが必要なら付き合って欲しいとも頼んでる。あむだけじゃなくて他のみんなに対しても。

やっぱり事件の衝撃は大きいわけだし・・・・・・そこはまぁ、しっかりとね。あ、リースにも同じ頼みをしてる。



「なるほど。色々後をお任せしちゃったと」

「そういう事だね。てゆうかヴィヴィオはいいの?」

「いいの。ヴィヴィオにだって出来る事、やれる事はあるもの。うん、それに言い訳したくないんだ」

「・・・・・・そっか」



やっぱバカだとも思う。ただ、その昔から今までそのバカを通してる僕にそこを言う権利はなかったりする。



「んじゃ早速」

「恭文」



後ろから声が聴こえた。それは・・・・・・あれ、ミキだ。ミキが玄関の方からそのままこっちに来る。



「・・・・・・って、ヴィヴィオちゃんも?」

「ミキちゃん、どうしたの?」

「えっとあの、ボクもマリアージュとケンカしたいなーなんて」



はぁっ!? ケンカって・・・・・・待て待てっ! 普通に参加してキャラなりでもするつもりかいっ!!



「ミキ」

「ミキさん、さすがにそれは・・・・・・今回は危険が伴いますし」

「ですです。さすがにミキがいつもの調子は難しいですよ」

「そんなの分かってるよ。いいから行かせて? ・・・・・・ボクだってパートナーなんだよ?
恭文が『魔法使い』として、自分として戦うなら、ボクも一緒に飛び込むって言ったじゃん」



その言葉に僕は何も言えなくなる。それでヴィヴィオとリインとシオンの方を見ると、三人はお手上げポーズ。

つまりアレだ、僕に覚悟を決めろと。仕方ないので・・・・・・僕は大事なパートナーを巻き込む事にした。



「分かった。じゃあミキ、悪いけど付き合ってもらうよ」

「了解。それでどうするの? リインはともかく、まさかヴィヴィオちゃんまで鉄火場に乱入とかじゃないよね」

「ある意味それだけど少し違う。まずは」

「・・・・・・『まずは』じゃないよ」



後ろから声がした。それに僕とリインとヴィヴィオとミキは顔を引きつらせる。

そして恐る恐るそちらを見ると・・・・・・外行きな格好のフェイトとなぎひことりまと空海が居た。



「フェ、フェイトママになぎひこさんにりまさんに空海さんっ!!」

「あ、あはは・・・・・・こんな所で奇遇だね。どうしたの? フェイト達も朝の散歩かな」

「ヤスフミ、ウエバー執務官から任せるようにって言われたの、忘れたの?
私となのはもそう言ったよね? 今回はみんなに任せようって」



あぁぁぁぁぁぁぁっ! なんか普通にバレてるっ!? というか、なんかフェイトが『当然』って顔してるしっ!!



「というかヴィヴィオちゃんまで・・・・・・なのはさん、心配するよ?」

「ホントよ。しかもこんな早くから出歩くなんて。みんな揃って悪い子ね」

「ま、悪いな。さすがにちょっと見過ごせなくてよ。で・・・・・・ヴィヴィオ、お前まで何やろうとしてんだ」

「いやあの、ヴィヴィオは第四夫人目指して恭文と朝のデートを。そしてリインさんとそこの辺りで協議を」



何言ってるっ!? 普通に僕がロリコンと思われるからやめてー!!



「全く・・・・・・本当に悪い子達だよ。さ、車出すからどこに行くか早く教えて?」



その言葉に、またヴィヴィオ共々固まる。そしてフェイト達を見て・・・・・・あ、フェイトが笑った。



「というかヤスフミ、水臭いよ。なのははともかく、どうして私にまで内緒だったのかな。
私、ヤスフミが本当に納得出来ないっていうなら、何があったって手伝ったのに」

「いやあの・・・・・・フェイト、局員でしょ? それで無理矢理介入は」

「そんなの関係ないよ」



そのままフェイトが少し走り込んで、飛び込むようにして僕を捕まえる。というか、抱きつく。

とりあえず倒れこまないように、僕はフェイトをしっかりと受け止めた。



「私だってヤスフミが戦うなら、背中を押していきたいよ? それで一緒に戦いたいんだから。
・・・・・・あとでお仕置きだからね? 心配してくれたのは分かるけど、それでもこれは嫌だった」

「う、うん。あの・・・・・・ごめん」

「ん、いいよ。それじゃあなぎひこ君、りまと空海君は」

「僕達も行きます。あ、ちなみにこれがガーディアン全員の総意ですから。ね、相馬君」

「当然。日奈森や恭文にケンカ売って来たなら、それは俺らガーディアンにも同じくって事っすよ」



えぇっ!? 待て待て、普通に来て・・・・・・うん、止められないよねっ! 分かってたわっ!!



「このままケンカを売られっ放しって言うのも、性に合わないしね。・・・・・・そうよ、納得出来ないわ。
今回は前に出ていつも通りに出来なくても、普通に恭文達の手伝いくらいは出来るわよ」

「そうそうー。クスクスも頑張るよー」

「オレも同じくだぜ。てーかナギナギ、オレもアレはムカついてんだ。少し手伝わせてくれよ」

「俺だってあのエビチリは楽しみにしてたんだぞ? それなのに・・・・・・くそ、お持ち帰りも時間無かったし」



あー、僕達が居たビルでも火災起きたせいで、色々お流れになっちゃったしねぇ。

とりあえず僕は僕を抱きしめるフェイトを見る。フェイトは頷いて・・・・・・優しく微笑んでくれた。



「・・・・・分かった。まぁ手数も必要だと思ってたし、空海、なぎひこ、りま。
ダイチ、リズム、クスクス・・・・・・ちょっと付き合ってもらうよ」

『了解っ!!』

「フェイト、フェイトも・・・・・・お願い。一緒に戦って」

「うん、当然だよ。それでヤスフミ、まずはどうするつもりだったの?」

「無限書庫に行く」





まずは情報面だよ。幸いな事に僕とヴィヴィオはそこの辺りの調査が大得意。

『マリアージュ』と『イクス』と『トレディア』、それに古代ベルカにおけるあの手の特攻兵器関連。

それだけ情報があれば、僕達の検索能力ならパパっと情報が出せると思う。



ジンとかは普通に忙しい感じで、前線から離れられる事はちょっと無理。つまりジンは書庫に行けない。

だったら僕達だ。こうなると相手の正体を掴む事がマリアージュを止めるキーになると言ってもいい。

でも少し前に説明したように、今の情報だけでは『普通』は難しい。それこそ無限書庫をひっくり返す必要がある。



無限書庫での検索は、某YahooとかGoogleとかみたいにはいかない部分があるのよ。

魔法での検索を行う場合、どうしても術者のキャパシティに検索量が左右されてしまう。

ようするに術者が検索プログラムの処理が下手だと、ちょっとずつしか調べていけないのよ。



だからこそ書庫の司書には高度な魔法プログラムの処理能力とある程度のノウハウが求められる。

ここの辺りが12年前まで無限書庫がほぼ手付かずの状態だった要因のひとつになってるのよ。

でも僕とヴィヴィオなら・・・・・・ここの問題を難なく解決出来る。無限書庫をひっくり返すような検索も可能。



特に僕の能力は、そこに特化してるようなもんだしね。で、そこ活かして情報面から捜査を手伝う。

それで僕の出番がなくてあっさり解決したとしても、それはそれでよし。

というか、それが最上の結果ってやつでしょ。不満を言う必要も理由もどこにもない。



人の命がかかってる以上、それならそうなる方が絶対にいいに決まってる。

大事なのは、僕達が『敵』に対して嫌がらせが出来るかどうかという事。

連中の目的や犯行を止められる事が、その嫌がらせに繋がるのはもう言うまでも無いと思う。



というわけで無限書庫でそこの辺りを検索だよ。一種の適材適所ってやつだね。





「無限書庫? なんだよそれ」

「あ、空海君達は知らなかったね。・・・・・・無限書庫は本局にある巨大なデータベースなんだ」

「・・・・・・あ、私知ってる。確か前に恭文が言ってた」

「ヤスフミ、そうなの?」



僕はフェイトがこっちを見てそう聞いてきたので、頷いて答えた。えっと、りまのお笑い好きが分かった時だね。

その前にそういう話をした事がある。僕がついついアルトとの会話でそこを喋ってたから。



「なら納得だよ。あのね、無限書庫は次元世界の歴史と知識の全てが入ってると言われてるんだ。
膨大な書庫とそのデータが無限書庫には詰まっている。私も仕事で良くお世話になってるの。つまりそこで」

「そこで僕達は『マリアージュ』と『イクス』、あと『トレディア』の事を調べる・・・・・・でしょうか」

「そうだよ。んじゃフェイト、そういうわけだから」

「うん、分かった。じゃあみんな、すぐに車に乗って?
・・・・・・私達の目的地は、時空管理局・本局の無限書庫」










というわけで、フェイトの運転で僕達は全員ミッドの中央本部に向かった。





そこから直通の転送ポートで本局に乗り込んで、歩くこと10数分。





もう完全に朝日も出ようかという時間に、ようやく無限書庫に到着した。




















◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



「・・・・・・うわ、すげー! ここが無限書庫っすかっ!!」

「というか・・・・・わわわ、なによこれっ!!」



あ、りまがあらぬ方向に飛んでいってる。僕は軽く足を動かして、りまの軌道上に先回り。

それでりまと肩に掴まっていたクスクスをキャッチして・・・・・・良しっと。



「む、無重力っ!? 恭文君、フェイトさんにヴィヴィオちゃんにリインちゃんもこれはっ!!」

「あ、無限書庫は基本こういう感じなんです。それで、検索魔法で資料を探して」

「それをまた魔法でこちらに引き寄せるなり、この空間を移動して回収して・・・・・・という感じだね」

「それが無限書庫の司書の人達の仕事でもあるのです。だからとっても大変だったりするですよ?」

「へぇ、それはまた・・・・・・すごいな。ワンダホーだぜ」



なぎひこ達が無重力空間に漂いながら、無限書庫を見渡す。

本とどこまでも続く空間の中は、何かこう・・・・・非日常的な色をかもし出す。



「・・・・・・わぁ、凄い。凄い・・・・・・こんなに本が沢山。恭文、これ全部読んでいいの?」

「うん。資料を大事に扱うならね。でもミキ・・・・・・覚悟した方がいいよ?
一生かかっても読み切れない可能性があるから」



僕の右肩に掴まる形のミキは、瞳を輝かせながら書庫を見る。・・・・・・思い出すなぁ。

僕もこんな感じだったもの。うん、普通に初めて来た時はドキドキがいっぱいだった。



「そんなに沢山あるの?」

「あるよ。無限書庫はフェイトが言ったように、次元世界全ての知識が詰まっていると言われているから」



そのドキドキは今でも来る度に感じる。本当にね、ここにはひとつの世界があると思うの。

どれだけ通っても、潜るようにして過ごしてもそこが見えない世界。それが僕にとっての無限書庫。



「そっか。それはワクワクだね。・・・・・・というか、それならエンブリオの事とか」

「それが見つかってないんだよ。ヴィヴィオや知り合いの司書さんにも協力してもらってるのにさっぱり」

「・・・・・・あれかな、そういうのに頼らないで自分で見つけろって事なのかな」

「そうかもしんないね」



とりあえずエンブリオの事は置いておく事にして・・・・・・そっか、ここは考えてなかった。

みんな無重力空間なんて初めてだろうし、普通に移動が困難だよね。



「恭文、りまのことお願いね。私は空海君をサポートするから。あ、ヴィヴィオはなぎひこを」

「分かった」



・・・・・・あれ、なんかおかしくない? 普通に僕がフェイトの婿でフェイトが僕の嫁なのに。



「了解。さ、なぎひこさん、ヴィヴィオの手しっかり掴んでてくださいね」

「う、うん」

「空海君も。手を繋ぐくらいなら遠慮しなくていいから」

「分かったっす」



あ、あぁ・・・・・・フェイトの手が空海と・・・・・・い、いいもん。うん、分かってるもん。

その、これでヤキモチなんてみっともないし・・・・・・うん、納得するもん。



「・・・・・・恭文、悪い。ちょっとフェイトさん借りるな」

「うん、いいよ。ただしレンタル料は命だね。空海、もう二度と朝日は拝めないと思った方がいいな」

「頼むからそれはやめてくれっ! すぐに一人でも移動出来るようになるからよっ!!」



うーん、おかしいなぁ。僕は軽めのジョークのつもりだったのに、空海がすごい必死だ。なんで?



「恭文・・・・・・もしも『ジョークのつもり』とか思ってるなら間違いよ? ジョークになってないから」

「思いっきり本気だったよねー。クスクスクスー」



とにかく僕達は入り口から少し下の方に進んで・・・・・・・あれ? なんですかあの子。

栗色の髪にショートカットで、執事服来て歯車形のテンプレート・・・・・・って、思いっきり知り合いだしっ!!



『オットー!!』



ヴィヴィオとフェイトとリイン共々声を揃えて言うと、その子が僕達に気づいてこちらをみた。

そしてそのまま、温和な顔で微笑んでくれた。



「恭文やフェイトさんの知り合いなの? ・・・・・・あれ、オットー? アレ、ボクどっかで聞いたような」

「恭文、それってまさか・・・・・・前に話してたディードさんの姉妹っ!?
おいおい、なんかディードさんと比べてこう・・・・・・似てねぇんだけどっ!!」

「相馬君、それは色々セクハラだよ? でも、どうしてそんな人がここに」

「・・・・・・あ、そっか」



とにかく僕達はそのままオットーの方に降りる。で、オットーが・・・・・・あれ、少し怪訝な顔をしたな。



「恭文、フェイトお嬢様とリインさんもお久しぶりです」

「うん、オットー久しぶり」

『姉妹もフェイトお嬢様っ!?』



・・・・・・あ、そっか。みんなはフェイトが『お嬢様』と呼んでるのがディードだけだと思ってたんだ。



「ですが聖王陛下まで・・・・・・こんな時間にどうなされたんですか?」

『聖王陛下っ!?』

「オ、オットー! お願いだからそれはやめてっ!? みんなの前なんだからっ!!」

「それは申し訳ありませんでした、聖王陛下」

「だからやめてってばー! ヴィヴィオはごく普通の初等部2年生の8歳の女の子なのっ!!」



・・・・・・オットーはヴィヴィオを聖王陛下って呼ぶのよ。まぁ色々諸事情込みでね。

ちなみにディードも最初の時は呼びかけていたけど、さすがに自重したらしい。



「それにその子達は」

「僕の学校の友達だよ。話は聞いてるんでしょ?」

「・・・・・・あぁ」



ねぇ、おかしくないかな? 一応僕達あそこには仕事で居るんだけど。

それなのになんでオットーはすぐに納得しちゃうのさ。



「でもだったら余計に分からないな。どうしてその子達や聖王陛下まで連れてここに?
というか・・・・・・何かな。その小さな子達は。もしかして新型のユニゾンデバイス?」



新型・・・・・・小さな? え、もしかしなくてもオットーって。



”フェイト”

”多分ディードが見えてるのと同じ理由だよ”



オットーもしゅごキャラのみんなの事、見えてるんだ。



「・・・・・・おいおい、まさかコイツ俺達の事が」

「えーえー! ディードさんと同じく見えてるのー!?」

「これはまた、すごいシンパシーだぜ」

「いや、ある意味姉妹だから当然・・・・・・なのかな?」

「見えてるだけじゃなくて会話も聴こえているよ」



あぁやっぱりだっ! うん、なんかここは予測出来てたわっ!!



「オットー、そこの辺りについてはあとで説明する。で、成果はどう?」

「どうって?」

「マリアージュに関して調べてたんでしょ? グラース・ウエバー執務官からの捜査資料の調査依頼で」





現在オットーは女の子だけど、カリムさんの執事として聖王教会で働いている。

そして元々の能力を活かして、局だったりとかから古代ベルカ関連で教会が調べ物を頼まれた時はそれを担当する事も多い。

こんな時間に執事服着てあれこれ調べてるし、もしかしてカマをかけたら普通にビンゴである。



オットーが軽く目を見開いて・・・・・・呆れ気味に僕を見出した。というかため息吐いた。





「フェイトお嬢様、聖王陛下、リインさん、恭文は今度は一体どういうタイミングで巻き込まれたんですか?」



吐いた後で、こんな事を言いつつも『またか』という目で僕を見出した。



「まぁまぁいつものパターンで言うと、いずれ関わるんじゃないかとボクは思っていましたけど」



ちょっと待ってっ! コイツ僕に対してどういう認識持ってるっ!?

そしてそんな巻き込まれて当然みたいな言い方するなー!!



「「「あははは・・・・・・・その、つい昨日に」」」

「三人も答えなくていいからっ!! ・・・・・・とにかく、僕達はそこの所調べに来たのよ。
マリアージュには僕だけじゃなくて、みんなにもちと借りが出来てね」

「それを返すため彼らも一緒と。全く・・・・・・本当に君は相変わらずだよ。
・・・・・・本来だったらボクやウエバー執務官に任せてと言うところだけど、丁度いいのかな」



あれ、なんか反応が柔らかい。もうちょいつんけんされると思ったのに。

少し予想外で、フェイトとリインも軽く驚いてるみたい。



≪丁度いい? どういうことですか、それ≫

「実はボクの検索能力ではかなり時間がかかりそうで、聖王陛下にご協力をお願いしようと思っていたんだよ」



僕達は顔を見合わせて、それからヴィヴィオを見る。それでその原因について考えて・・・・・・うん、気づいた。



「あ、リイン分かったです。『イクス』と『トレディア』についてですね」

「えぇ。それも含めた上で検索しようとしたんですけど、先程話した通りで」

≪オットーさん、年代や地域の搾り出しなどは≫

「恥を晒すようだけど、それもまだなんだ。古代ベルカ関連なのは間違いないと思うんだけど。
とにかくボク一人でこれ以上の調査は無理だと思っていた。それで聖王陛下ならと」



ただ、ヴィヴィオはまだ子ども。明日の朝一番で連絡しようと思っていたとか。



「あと、実は詩文もありまして」

「詩文?」

「えぇ。現場に血文字で壁一面に書かれていたものです」



マリアージュがミッドで初めて起こした事件の現場にそれが残されていたらしい。

古代ベルカ語で書かれていて、そこの解読はバルゴラがパパっとやっちゃったとか。



「ただこっちも調べてはみたんですけど、該当データが無くてちょっと困っていたんです。
考えられる方向としては二つ。ボクの調査がまだ足りていないか、書いた人間の創作か」

「で、そこの辺りもまだ絞り込めてないか。・・・・・・うし、じゃあそっちも僕とヴィヴィオで一緒にやっちゃうよ」



オットーが『自分だけでは手が足りない』と言った理由は、その詩文にもあるみたいだね。

何にしてもどっちにもある程度の確証が得られない。結果的にそれで時間がかかってたんだよ。



「オットー、その詩文のデータがあるならアルトにすぐに送って。一気に調べてパパっと結論つけちゃおう」

「じゃあ・・・・・・ま、それもお願い。ただ、あんまり無茶な事はやめてもらえるとうれしいな。
ディードを任せている身としては、色々と心配なんでね」

「そこの辺りは・・・・・・まぁ善処しとく。でも、言い訳しちゃうと消えちゃうものもあるんでね。あんま大人にはなれないかも」

「・・・・・・そっか。うん、納得だ」



なんにしても色々と都合がいい展開ではあったんだね。

それならすぐに解決出来る。ヴィオもそうだし、僕も居るんだもの。



「それなら・・・・・・ヤスフミ、ヴィヴィオ、お願いね」

「「はーい」」



僕はりまと、ヴィヴィオはなぎひこと手を離して、少しだけ上に上がる。

りまが少しそれでふらつくけど、なぎひこが即座にりまを受け止める。



「りまちゃん、大丈夫?」

「・・・・・・別に」





なぎひこ、ほんのちょっとの遊泳だけで普通にここでの飛び方を覚えたらしい。中々やる奴である。

とにかく僕達は魔法陣を展開。僕は足元に蒼いベルカ式魔法陣。

そしてヴィヴィオは自身の周囲に、合計13個の虹色のミッド式魔法陣を展開。



なお、これから行使するのは検索魔法。僕達はもう、そのためのキーワードを入手してるもの。





「オットー、オットーはフェイトママとなぎひこさん達と一緒に資料集めお願いねー」

「僕とヴィヴィオで資料は一気に検索するから。リイン、みんなのバックアップお願い」

「分かりました」

「了解ですよー」



ヴィヴィオと顔を見合わせて、右腕を軽く左に振る。そしてゆっくりと右薙に振るった。



「・・・・・・検索を始めよう。ワードは書籍全文検索」

「無限書庫の端から端まで徹底検索だよー」



そう言った僕の言葉にヴィヴィオが続けていく。そしてそれぞれの魔法陣が回転を始める。



「まずキーワードの一つは『マリアージュ』」

「二つ目のキーワードは・・・・・・『古代ベルカ関連の量産兵器』」



これはマリアージュとの邂逅で得られた情報。そして僕達は少し考えて・・・・・・最後のワードを決めた。



「「三つ目のワードは・・・・・・『イクス』ッ!!」」



魔法陣の回転がどんどん早まり、この広大な書庫から一つの答えを探し求める。

それが記されている書物関係をいっさいがっさい引っ張り出す。



「「フルドライブッ! オープンッ!!」」



・・・・・・お、出てきた出てきた。反応は・・・・・・あー、あんま多くないか。でも・・・・・・あれ?



「恭文」

「うん、分かってる」



イクスとマリアージュに関しての情報、さすがに少ないけどそれでも出てきてるのよ。

少ないのは、ある意味ではいいことだよ。ピンポイントで情報が載ってる可能性が高いから。でも、問題がある。



「古代ベルカの戦乱期・・・・・・中期から末期かぁ。ということはこれ」

「うん、僕達だけで調査はちと難しいかも」

「恭文、そうなの?」



右肩に掴まったままだったミキがそう聞いてきたので、僕は頷く。



「そうなの。ここの辺り、少し問題があってさ」




















◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



・・・・・・恭文君とヴィヴィオちゃんの能力は、検索魔法を使うのに凄く適しているらしい。

だから本当に沢山の本の中から、すぐに資料を検索する事が出来た。とにかく僕達も動く。

無重力空間での遊泳のコツが掴めてきた僕達は、そのままお手伝い開始。





フェイトさんやオットーさん、リインちゃんと一緒に資料を集める。

まぁ僕達は三人が魔法で引き出した本の整理だね。

無限書庫が広過ぎて、直接取りに行くのは危ないらしいから。





それで信じられない事に迷子になる人もかなり多いらしい。

ちなみにりまちゃんと相馬君の反応は『・・・・・・さすがにありえない』と言うものだった。なお、僕も同じ。

でも・・・・・・あの、不謹慎なのを承知でここに居るのはかなり面白いかも。





無重力空間を『とぶ』のなんて、簡単には出来ないもの。うん、貴重な経験だ。










「オットー、詩文の方も検索終わったよ」

「恭文、お疲れ様」



恭文君はもう一働きして、現場に残っていたという詩文を調べていた。

でも・・・・・・魔法ってすごいよね。普通にこういう事も出来ちゃうんだ。



「それで結果は?」

「うーん、ちょこちょこ細かく調べてみたけど該当データは無しだね。
無限書庫にデータが無いとかじゃなければ、これは創作で確定だと思う」

「そう。ならそうすると・・・・・・誰が何のために詩文を書いたか、だよね」




















◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



≪確かにその問題が残りますか。創作でこんなの書く心境が今ひとつ分かりませんしね≫



僕も調べててそこは思った。だって書いたと思われる時の状態が異常極まりないのよ?

火災現場で、人が何人も死ぬような状況でこれは普通はないって。



「現在分かってるマリアージュの情報からすると、ダイイングメッセージとも取れるよね。
でもそれなら壁一面に書くのが不自然だし・・・・・・やっぱり犯人かな」



フェイトが両腕を組みながらそう言った。僕とオットーとリインは軽く顔を見合わせて・・・・・・あぁ、それしかないよね。

もっと言うと『被害者が火災現場で壁一面に血文字で創作の詩文を書く理由』ってのが全く分からないのよ。



「一種の犯行予告とかそういう形ですかね。
マリアージュか、もしくはマリアージュを操っている人間が居るとしたら、その人が」

「多分そっちの方向だと思うな。でも、もしそうだとしたら少し警戒が必要だね。
私はこの詩文から読み取れるものを鵜呑みするのは、やめた方がいいと思う」

「ボクもフェイトお嬢様と同意見です。一種のミスリード的な要素があるかも知れないですし。
まぁ詩文に関してはまた後でもいいでしょう。問題は・・・・・・資料本の方です」




















◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



「・・・・・・とにかく資料はコレで全部っすよね。また少ないな」



確かに・・・・・・本当に数冊って感じだしなぁ。これだけ本があるのに、これは意外。



「条件をかなり絞り込んでるもの。・・・・・・みんなありがとね。私もヤスフミ達もかなり助かったよ」

「まぁそう言ってもらえると・・・・・・でも、何書いてるか分かんねぇし。
フェイトさん、恭文やヴィヴィオはこれ分かるのか? 俺や空海は当然だけどさっぱりだ」

「ちなみにボクもさっぱり。・・・・・・・うぅ、全然読めないよ」



ダイチとミキがそう聞くと、恭文君とフェイトさんにヴィヴィオちゃんにリインちゃんとオットーさんまで首を横に振った。

・・・・・・え、ミッド関係者は全員だめっ!? あの、それはさすがに予想外だったんですけどっ!!



「私達もさっぱりだよ。というかこれ・・・・・・古代ベルカの文字なんだ」

≪古代ベルカ時代の文字は、年代や地域によって同じ言葉でも意味合いが180度変わる事が多いんですよ≫



そのために古代ベルカ文字の解読に関しては、ちゃんとした知識を持った人が居ないとダメらしい。

意味付け自体もちゃんと出来ないと、言葉だけでなく文面自体の意味合いまで大きく変わるから。



「ボクもその辺りに詳しい聖王教会の人間で、そこについては勉強はしてるけど・・・・・これは難しい。
君達は当然知らないだろうけど、この辺りの年代は特に翻訳が難しいんだ」

≪戦乱時代の中期から末期というのは、以前話した聖王による統一戦争が始まる前なんですよ≫

≪あ、お父さんもそう言ってたの。戦乱期に名乗りを上げた王様同士の覇権争いのせいなの。
ただでさえ難解だった言語が、王様が支配する地域毎に更に細分化されちゃったせいなの≫



そのせいで難解な古代ベルカ語の中でもこの辺りの年代は、一番翻訳が難しい年代らしい。

とりあえず僕達はそこの辺りは専門家じゃないけど、分かった事が一つある。



「つまり・・・・・・私達がこれ以上調査しようと思ったら、古代ベルカ語の専門家が必要って事よね?」

「その専門家が居ないと、どの資料も俺達には読めないのか」

「あちゃぁ・・・・・・バットだぜ。ここまで来て頓挫かよ」

「アルト、アルトでも無理だよね」

≪大体なら翻訳は可能ですよ? でも今回は相当な正確さが要求されますし・・・・・・難しいですね≫



事件調査のための資料だもの。正確じゃなくちゃ意味がないよ。



「あ、それならクスクスがやるー。・・・・・・うーん、うーん・・・・・・だめだった」



とりあえず頭から煙を出したクスクスを見て、僕達はため息を吐く。・・・・・うん、まぁ分かってたよ。



「ユーノが居ればまだ良かったんだけど・・・・・・ヴィヴィオ、ユーノって出張中なんだよね」

「うん。かなり忙しいらしいし、これを頼むのは無理じゃないかなぁ。
でもでも、他に古代ベルカ語の正確な翻訳が出来る人なんて・・・・・・あ」



ヴィヴィオちゃんがそこまで言いかけて両手でポンと柏手を打った。

それからすぐに通信画面を立ち上げて・・・・・・え、誰にかけてるの?



「うーん、留守電かぁ。まぁ時間も時間だしなぁ。仕方ないよね」

「ヴィヴィオ、誰にかけてるですか?」



リインちゃんがそう聞くのは当然だよ。それは僕達みんなの疑問だもの。



「えへへ、こういう時に頼れる人だよ。というか、普通に『いつでも頼ってくれていい』って言ってくれたし」



なんとなく嫌な予感がしてきたのは僕だけなのかな。てゆうかあの・・・・・・アレなの。

ヴィヴィオちゃんがすっごい笑顔なのに、それを素直に受け止められない。どうしてなのかな。



「あ、もしもし? 早朝に恐れ入ります。高町ヴィヴィオですー。えっと、悪いんですけどこれを聞いたらすぐに無限書庫来てもらえますか?
なお、来ないととっても大変な事になりますよ? アルトアイゼンがあなたの恥ずかしい過去をバラしちゃったり」










その言葉が僕的には色々と怖かった。というか普通にヴィヴィオちゃん・・・・・・強い子だよなぁ。





そしてそんなヴィヴィオちゃんを見ながら恭文君とフェイトさんは苦笑していた。まぁ、色々あるんだよね。




















◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



「・・・・・・なるほど、用件は分かった。そのために俺をわざわざ呼び出したと」

「はい♪」

「『はい♪』じゃねぇよっ! ヴィヴィオちゃん、マジでやっさんやアルトアイゼンみたいな事はやめてくれー!!
確かに俺は『何かあるならいつでも頼ってくれ』とは言ったが、あんな頼り方しろと言った覚えはないぞっ!!」

「そうでしたっけ? うーん、ヴィヴィオ子どもだからよく分からないです」

「あぁぁぁぁぁぁぁっ! なんか小狡い逃げ方覚えてるしっ!!」



その人は無重力空間の中で頭を両手で抱えてかきむしる。相当イライラしているらしい。



「まぁまぁサリさん、いいじゃないですか。いつもの事なんですし」

「黙れよこのバカがっ! てゆうか大方の予想の斜め上を行く形で全力全開で巻き込まれやがってっ!!
俺らの心配という名のテンプレ通りな人生生きてんじゃねぇよっ! ちょっとは反抗しようとか思ってくれよっ!!」

「うっさいよボケがっ! てゆうか普通に僕だってこんな直で来るとは思ってなかったつーのっ!!
てーか常日頃から反抗してこれなんだから文句言われても困るっつーのっ!!」

「俺が悪いみたいだからちょっと涙目になるんじゃないよっ! お前に泣く権利なんてないからなっ!? 
泣きたいのは俺の方なんだよっ! あぁ、まさかヴィヴィオちゃんにまでこんな事されるとは思ってなかったー!!」

「あぁ、ヤスフミもサリさんも落ち着いてっ!? ハードボイルドハードボイルドッ!!」



・・・・・・なんだかんだでもう陽が昇り切ってるような時間。そんな状況でサリさんが増援として来てくれた。

もちろんそこには、ヴィヴィオの誠意あふれる説得があった事は言うまでもない。



「・・・・・・で、サリさん。解読の方なんですけどどうですか?」

「・・・・・・これくらいならすぐに出来るぞ」

≪私もお手伝いしますし、さほど時間はかからないかと≫

『おぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!』



さすがはサリさんだっ! こういう時にすっごいアテに出来るのが嬉しいよっ!!



「ただし、出来ればもう一人・・・・・・いや、二人くらい手が欲しいな。
この手の作業で重要なのは、色々な視点から文面を見る事だ。正確に読むなら余計にな」

「つまりサリエルさんや金剛みたいな専門家をもう二人・・・・・・恭文君、それってかなり難しい?」

「・・・・・・いや、こういう時にアテに出来るのが二人ほど居る。ヴィヴィオ、ヴィヴィオはアギトに連絡取って」

「アギトさん? ・・・・・・あ、そっか。アギトさんも専門家だもんね。じゃあもう一人は」

「そこも大丈夫」



とにかく僕は通信をかけて・・・・・・まぁ、事件に巻き込むのは少し心苦しいけどさ。

とりあえず頼める様子だったら、お願いしようっと。・・・・・・あ、繋がった。



『はい』



紫色の長い髪を真ん中に分けて、白のパジャマを羽織ったその子は僕の顔を見て嬉しそうにする。

初めて会った時に比べると、本当に沢山笑うようになった。それで表情豊かにもなってる。



「ルー、久しぶり」

『お父さん。・・・・・・うん、久しぶり』

「ごめんね、朝早くに。寝てたかな」

『ううん。少し前に起きた所』





この子の名前はルーテシア・アルピーノ。現在、JS事件でのアレコレの影響で開発途中の無人世界に島流し中。

ただ、母親であるメガーヌさんや召喚獣達とも一緒なので、さほど寂しくはないとか。

通信環境もメガーヌさんの親友であるヒロさんが思いっきり頑張りに頑張って、相当いい感じに仕上がってる。



そのため、普通にウィハンプレイしてたりネットショッピングしてたりニコ動見てたり・・・・・・あれ、なんかおかしいな。





『というか寂しかったよ。最近あんまりお話出来なかったから』

「あー、ごめん。あの・・・・・・まぁかなりゴタゴタしててね」

『そっか。ね、それってお父さんの両肩に乗ってる小さい子達関連?』



そしてコイツも見えるんかいっ! 普通に僕はビックリなんだけどっ!!



『そっちの翠の髪の子は、この間通信かけてきてくれた時にも見えてたから。
そっちの青い髪の子は・・・・・・もう一人の子の仲間かな』

「ま、まぁそんなとこだよ。それでルー、そこについての説明はとりあえず後で。早速だけどちょっと頼みがあって」

『うん、いいよ。・・・・・・私、お父さんのお嫁さんになればいいんだよね。
お父さん、大丈夫だよ? 私もうお父さんの子どもも産めるし、胸だってかなり大きくなったし』

「全然違うからっ! てゆうか、どうしてそうなるっ!? そしてそういう生々しい話はやめてー!!」



あぁ、背中からフェイトの視線が突き刺さるー! でもね、これは僕のせいじゃないのよっ!!

普通にメガーヌさんの影響でコレなんだよっ!? 僕はノータッチなんだからっ!!



『もう・・・・・・冗談だよ。フェイトさんやリインさんとの仲、引き裂きたくないもの』



だったらまずそんな冗談を言わない事を覚えてー!? てゆうかメガーヌさん教えてあげてー!!



『それでお父さん、頼みごとは何かな。というかそこ、無限書庫だよね』

「あー、うん。実はまぁ・・・・・・かくかくしかじかというワケなんだ」



この表現って便利だよね。本当に色々な事に使えるしさ。



「ただ、僕達じゃ翻訳作業が出来無くて」

『確かにそれは・・・・・・ね、他にはデータはないの?』

「ある。『トレディア』ってのが、マリアージュって兵器を見つけた人だって書いてる」



でも兵器自体の詳細がさっぱり分からないのよ。だからこそルーに頼んでいるわけだったり。



「・・・・・・うーん、難しい? というか結構血生臭い話になるし、もし嫌なら関わらなくても」

『分かった、やるよ』



即答っ!? それもなんかすっごい嬉しそうだしっ!!



『お父さんや後ろに居るお父さんの友達がそんなのにケンカを売られたなら、その借りを返す手伝いが出来るなら、私やるよ?
というか、遠慮しないで欲しいな。ホントのお父さんじゃないけど、私にとってはお父さんはお父さんなんだから』

「・・・・・・ルー、あの・・・・・・ありがと」

『ううん。というか実はね・・・・・・お父さん、私そのイクスについて知ってるの』



あぁ、そうか。それならよか・・・・・・え?



『えぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!!』



ちょ、ちょっと待ってっ! イクスについて知ってるってなにっ!?

思わず全員揃って声出しちゃったしっ! これ一体どういうことー!!



「ルーテシア、イクスについて知っているってどういうことっ!?」



フェイトが僕の後ろから身を乗り出すようにして、画面の中のルーに顔を近づける。

さすがにこれは驚きだもの。僕も軽く身を前に乗り出してる。



『あのね、フェイトさん。私ヴィヴィオやキャロにお父さんから色々本もらってるよね? もちろんフェイトさんも』

「あ・・・・・・うん」





元々ルーは知識欲が旺盛らしい。だからスカリエッティに居た時も、スカリエッティやナンバーズを先生に色々勉強していた。

ただ、そこが古代ベルカ語や魔法関係の専門知識だったので、情緒関係の成長に繋がらなかったのが悲しい所。

でも、それでもルーがそういう関係の事が好きなのは変わらない。なので僕達周囲の人間もそこに協力しているの。



見つけたいい資料本とかがあったら、定期的に送るようにしてるの。それでね、なんだかキラキラしてるんだ。

そういう話をする時のルーは、穏やかだけど楽しそうで・・・・・・あ、そっか。

ルーはしゅごキャラのみんなが見えてて当然なのかも。どこかで『なりたい自分』がちゃんとあるんだ。



色々と不遇な状況だったのは否めないから、少し心配な部分もあったんだけど・・・・・・これはよかったかも。





『知ってるというのは正確じゃないんだけど・・・・・・この間キャロが送ってきてくれた貴重な掘り出し物の本があるの』

「キャロが? ・・・・・・ルーテシア、もしかしてその中に」

『うん。その中にイクスとマリアージュについての記述があったと思う。
まだしっかり読んでないから確認は必要だけど・・・・・・多分間違いない』

「そうなんだ。あははは・・・・・・ヤスフミ、すごい偶然だね」

「うん、僕もちょっとビックリしてる。これはキャロに後でお礼言っておかないと」



というかキャロ・・・・・・色々空気読んでるよなぁ。何気にハイスペックになってます?



「・・・・・・なんだ、ルーテシアちゃんもだったのか」

『え?』



全員がそう言ったサリさんを見る。そして当然だけど瞳に『まさか』という色がこもっていた。



「まさかサリさん」

「まだ断定じゃないけどな。古代ベルカでの『イクス』なら、一つ思い当たる節がある。
そして『イクス』の発見者・・・・・・トレディアについても実は覚えがある」

『はぁっ!?』



ちょ、ちょっと待ってっ! それどういう事っ!? 普通に僕達驚きまくりなんですけどっ!!



「あのサリさん、それってどういう事ですかっ!? イクスだけじゃなくて、トレディアも知ってるってっ!!」

「悪いフェイトちゃん、そこを答えるのはもうちょい待ってくれ。
そこはこっちの資料と、ルーテシアちゃんの資料との照らし合わせをしてからだ」

『そうですね。まだ確定じゃないですし・・・・・・それじゃあ私はサリエルさんと』

『アタシと両方の資料の解読作業だな。でもトレディア・・・・・・うーん』



あ、アギトだ。というか新しいモニターが立ち上がった。後ろを見ると、ヴィヴィオがピースサインしてた。

どうやら交渉は実に上手く言ったようである。・・・・・・うし、これでまた一つ進展だ。



『ま、ここはいいか。サリエルさん、アタシとルールーの方に文面データ送ってもらえますか?
それでルールー、久々な上に通信越しだけど、一緒にちょっとした謎解きだ』

『了解。アギト、しっかりやろうね』

≪あ、お父さんお父さん、それならジガンも手伝うの。
古代ベルカ語の知識はデータベースに少しだけ入ってるの≫

≪私もグランドマスターから多少は教わっていますし、仕方ないですね。手伝いますか≫



そう言ったのはアルトとジガン。なのでサリさんは僕・・・・・・というか、二人を見て頷いた。



「んじゃ金剛の方でライン繋ぐから、少し頼むぞ。ルーテシアちゃんも手持ちの資料のデータをすぐに」

『了解です。・・・・・・うん、こっちにも届きました。じゃあアギト、サリエルさん』

「あぁ。・・・・・・・さてと、まずはどうしたもんかな」










とりあえずまず僕は・・・・・・色々巻き込んだのに快く協力してくれたみんなに頭を下げた。





というか、普通にフェイトやなぎひこ達も倣う。もちろんミキとシオンも。





まぁ何はなくとも・・・・・・うん、この辺りはとっても大切なのですよ。




















◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



『・・・・・・終わったよ』

『早っ!!』



え、頭下げてる間にだよっ!? いくらなんでも早過ぎるでしょっ!!



『サリエルさんとアギトが手伝ってくれたから。
あ、もちろん金剛とアルトアイゼンとジガンスクードもだね。ありがと』

≪いえ。問題ありません≫

≪まぁ私にかかればこれくらいは朝飯前ですね≫

≪わーいわーい。ジガン誉められたのー。ドMだけどそれでも嬉しいのー≫



あははは、そこで性癖の暴露はしなくていいのよ? ほら、ルーテシアが普通に首傾げてるから。



「それでサリエルさんにアギトさん、あと・・・・・・えっと、恭文の長女」

「空海、その認識間違ってるからっ! あくまでも愛称としての『お父さん』なんだからねっ!?」

「そ、そうだよ。ヤスフミはその・・・・・・私の婿なんだから」

『でも私、本当にお父さんの娘になってもいいよ? もちろんお父さんがお母さんをお嫁にもらうことが条件だけど。
それが無理なら・・・・・・やっぱり私がお嫁さんかな。あのねお父さん、お母さんが教えてくれたんだ。夫を『お父さん』って呼ぶお嫁さんもアリだって』

「「それはどっちも色々アウトだからー! そしてあの人は何教えてるっ!?」」



あぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ! 絶対にパワーアップしてるっ!! メガーヌさんの影響で確実にパワーアップしてるしっ!!



「それで解読の結果ってどうなんっすか?」



そんな動揺しまくりな僕とフェイトをさて置く形で空海が話を進めた。・・・・・・ちべたい奴。

恨めしい視線を送っても、軽くスルーしやがったし。何気に図太い奴だ。



『・・・・・・うん。ただその、なんて言うか』

『少し仰々しいっつーか、文面が不吉っつーか物騒っつーか。
出来ればお前らには聞かせたくない内容だな。なぁ、ここで回れ右ってのは』



言いながらアギトがなぎひこと空海とりま、リズムとダイチとクスクスを見る。

というか、僕の肩に掴まってるミキとシオンも。そしてため息を吐いた。



『・・・・・・ないよなぁ。てーか、そういうの覚悟でここに居る目だし。あぁもう分かった。
出来るとこまでしっかり事実を見据えろ。ただし、それで人生観変わっても責任持たないからな?』

『はいっ!!』

「で、とりあえず俺の知っている『イクス』とやっさん達が聞いた『イクス』が符号したのは間違いない。
まずはみんなが見つけた資料の方だな。・・・・・・読み上げるぞ」



言いながら、サリさんが自分の前に展開していた画面の中を見る。ただし、表情はどこか苦い。



「死者達によって構成される多数の軍列。死した敵兵を喰らい、その数を増やし、戦場を焼け野に変える」



死した・・・・・・・え、ちょっと待って。僕はフェイトとリインは顔を見合わせてしまう。

というか、ヴィヴィオとオットーもだね。空海達は少し首を傾げてるけど、なぎひこが表情を苦くしてる。



「それがマリアージュ。イクスによって構成された軍列は無限に増殖し続け、その進軍を止めることは不可能」

「・・・・・・えー、なにそれ。クスクスわかんないー」

「俺もだぜ。てゆうか、もうちょい分かりやすくならないのかよ」



クスクス、ダイチ・・・・・・仕方ない事とは言え、やっぱこういう作業は苦手なんだね。うん、分かってた。



『いや、お前ら・・・・・・これは充分分かりやすいだろうが』

「そうだね。・・・・・・恭文君、これってつまり・・・・・・その、アレだよね」



考え込んでいたなぎひこが僕達の方を見る。瞳は揺れていて、今ひとつ信じられないという顔だった。



「マリアージュって言うのは、古代ベルカであった何かしらの理由で増えていく兵器って事かな」

「・・・・・・そうだよ。文面通りなら無限に増殖する戦闘兵器だよ。それがどういうわけか現代に蘇ってる」

「古代ベルカにそんな技術が・・・・・・本来であれば中々信じられないものですが」



オットーが驚きを隠せずに吐息多めにそう声を漏らす。見ると、フェイトやりま達も同じくみたい。



『ただよオットー、アルハザードとかも現役で存在してたっていう時代だぞ?
あとはもうちょい後だがゆりかごとかだな。そこから考えると、決して無茶じゃねぇよ』

「それになにより・・・・・・『ありえない事なんてありえない』もの。
どこぞのホラーではあるけど、それでも出来る環境はあったと思う」



死者蘇生やプロジェクトFの基板となったクローン技術。そういう生命関係もそうだし、ゆりかごみたいな戦艦の類もあった。

古代ベルカ時代はオーバーテクノロジーの見本市とも言うべき時代だったもの。これくらいは不思議じゃない。



「それを言われると・・・・・・まぁ、確かに」

「それでルーテシア、ルーテシアの資料の方はどうだったですか?」

『私の資料の方だけど・・・・・・そっちの小さい子達も安心して欲しいな。
こっちはかなり詳細に載ってたから、多分今のよりすごく分かりやすいと思う』



そう言われてミキ達が軽く半笑いで顔を見合わせている。



『こっちに載っていたのは、マリアージュの王様の詳細データ。
その名は・・・・・・冥府の王・冥王イクスヴェリア』



イクスヴェリア? ・・・・・・え、ちょっと待って。『イクス』ってのはまさかその王様の事?



「冥王? ・・・・・・ね、ルーテシアって言ったわよね。それって何よ」

『先史古代ベルカ時代の王様の名前。えっと、あなたや他のみんなは聖王や古代ベルカの統一戦争とかって』

「そこは恭文から聞いてる。・・・・・・あぁ、なるほど。
つまりそういう王様の一人で、その戦争の中で戦った人なのね」

『そうだよ。自分と同じような他の王様と覇権争いを繰り広げ、そして結果的に敗れ去った王の一人』



でも冥王・・・・・・聞いた事ないな。どうしても戦乱時代を終わらせた英雄である聖王が目立ちがちだから。



「なら・・・・・・ヤスフミ、試しにこの名前で絞り込み検索、出来る?」

「大丈夫」



僕は即座に検索魔法を発動。それで・・・・・・あ、出てきた出てきた。



「もうやったから」

「さすが。・・・・・・それで?」

「ん、かなり詳しいとこまで出てきたよ。冥王イクスヴェリア。先史224年生誕。
古代ベルカ、ガレア王国の君主。戦乱を好んだ暴虐の王」

「お兄様、冥王というのは中々にハードコアな趣味をお持ちの王様なんですね」

「確かにね。で・・・・・・サリさん、ルー」



僕はとりあえずサリさんと画面の中のルーの方を見る。サリさんは僕の視線を受け止めながら頷いてくれた。

どうやら僕の調べたので間違いはないらしい。いや、良かったよ。



「あぁ、それで間違いない。イクスヴェリアは人の屍・・・・・・死体を利用して生み出すインスタント兵器を使っていた」

『それにより近隣諸国を恐怖のどん底に叩き込んでいたんだ。
そしてそれが古代ベルカ語で『人形』を意味する』

「マリアージュってわけっすか。つまりこの事件の犯人は、マジでその無限に量産可能な兵器」

「そうだ」



それがマリアージュの・・・・・・連続殺人事件の本当の正体。でもちょっと待って?

そんなのがどうして古代ベルカ産の品を扱う連中を襲ってるのよ。理由が分からないって。



「けど死体を利用して生み出すって、そんなのアリなんっすか?
さっきの話でアギトさんも恭文もオットーさんも『不思議はない』って結論つけてたっすけど」

「まさしくバットクールだぜ。てゆうか、これはオカルトだろ」

「私もこの手のものは詳しくないのですが・・・・・・お兄様、エグザさん、これは本当にありえることなのですか?」

「そうだよ。死体を使ってどうこうなんて、まるでゾンビかなにかじゃん。ボク、さすがに怖いし」



シオンとミキが少し困惑顔でそう聞くので、僕達は・・・・・・頷いた。



「アリだな。さっきもアギトとやっさんが少し言ってたが、古代ではいわゆるオーバーテクノロジーってのが大量にあったんだよ。
ロストロギアがその遺産でもあるのは聞いていると思うが、そこから考えれば死体から兵器作るくらいの事は出来るだろ」

「確かに恭文が歌唄と戦った時に封印したブラックダイヤモンドも、携帯型の人体自動改造装置だって言うし」

「そこから考えれば、これくらいはアリ・・・・・・あぁ、でも怖いってー。
それだとそのゾンビ達が街中うろちょろしてるんでしょ?」



ミキが僕の肩に捕まりながら身を震わせる。というかミキ、それだけ聞くとB級ホラーに聴こえるからやめて。



『それでね、その製法自体が一種のロストロギアとされているみたいなんだ』

「そういうオーバーテクノロジーが駆使されて作られたものだから・・・・・・だよね。
でもミッドチルダ・・・・・・僕達の前にそれは出ている。ならもしかして」

「なぎひこ君、中々聡いな。これで被疑者候補の出来上がりだ」

「あー、オレもナギーやサリが言いたいこと分かったぜ。
ようするに誰かがマリアージュを作る方法を知っちまったって事か? で、それが」

「多分エグザさんが知っているというトレディアって人だよ。
マリアージュを発見した人はその人らしいし。それでサリエルさん、その人は」



なぎひこの言葉に頷きつつも、サリさんが画面を出す。・・・・・・壮年の男性? でも、どこか精悍な顔立ちしてる。



「トレディア・グラーゼ。オルセアの内戦地域で活躍した活動家・・・・・・という名の屑だ。
ソイツが新暦59年に最初のマリアージュを発見した。今から18年前の話だな」



言いながら、苦々しい顔でそう言い切った。その言葉に、思わず僕達はサリさんを軽く驚いた目で見る。



「コイツは次元世界全体の革命ってのをずっと夢見ててな。そのためになら何を犠牲にしてもいいとか考えてやがる。
痛みを知って欲しい。知るべきだ。そう言って何の関係もない人間を巻き込んでテロを起こす。・・・・・・マジで最低な野郎だ」

「あの、サリさん」



フェイトがさすがに見かねて声をかける。だってサリさん、普通に苦々しさが増していってたし。



「・・・・・・あぁ、悪い。現役時代にコイツが起こしたバカの後始末をした事があってな。
俺と・・・・・・あとヒロからすると、いわゆる因縁の相手って奴だ」

「・・・・・・そうですか。でもそれなら今回の事は」

「このトレディアって人がやってるんだよねー。うぅ、クスクス許さないー」

「でもクスクス、これで動機とかも絞り込めたわ。この人にはマリアージュを動かす理由があるもの。
この人、いわゆるテロリストって言うのよね? ならこの事件はテロの一つにならないかしら」

「あ、そうだよねー。りま冴えてるー」



りまが今言った理由も、一応は納得出来る。ただ、普通にターゲットがおかしい。

マリアージュが自爆も可能な特攻兵器の性質を持つなら、もうちょっとやりようがあるもの。



「そうだな。その可能性もあるとは思う。ただ問題があるんだよ」



言いながらもサリさんは苦い顔を収めて、僕達の方に向き直る。



「まずトレディアはここ数年行方が分からなくなってる」



サリさんいわく、ここ数年で表立って『トレディア・グラーゼ』という人物が動いた形跡は無いらしい。

ただ、偽名を使って身分を隠した上であっちこっちで動いていた可能性はあるとか。



「活動家ってのはりまちゃんの言うように過激なテロリストもどきなのも居るしな。当然だが恨みを買う部分もある。
俺はてっきりそういう連中に痛い目に遭わされかけて、それで命惜しさに目立たないように『地下』に潜り込んだと思ったんだが」

≪また出てきたという事でしょうか。あぁ、そしてもう一つ気にするべき事項があります。
マリアージュがどうやって作られているかが、現段階では分からないんです≫

「分からないって・・・・・・でもそれって、この人があれこれしてるならあまり関係ないんじゃ」

「ミキちゃん、そういうわけにはいかないんだよ。いいか、例えば大掛かりな装置が必要だったとする。
それならどこかにアジトみたいなものがあるかも知れない。でも、そうじゃない場合だってあるんだ」



サリさんの言葉をミキは受け止めつつ考えて・・・・・・答えを出した。

両手で柏手を打ちながらハッとした顔でサリさんを見る。



「そっか。もしあっちこっち移動しながらそういう携帯出来る装置でマリアージュを作ってるなら、捕まえるのが難しい」

「そういう事だ。まぁ小さな事だが、どうやってマリアージュを作っているのかとかが分かると多少は今後の調べも楽になる」

「そこが分かると相手の行動範囲やパターンも決まってくるでしょ?
例えば材料となる死体をどうやって調達しているのか。例えば指示出しはどうしているのか」



戦場ならこのマリアージュという一つの生産システムはかなり有効だと思う。

だって、死体なんてそこら中に転がってるだろうし。でも普通に作ると難易度はかなり高いね。



「だから捜査活動ではこういう事が重要なの。私やヤスフミだってこういう所は気を付けてるもの」



空海とりま、なぎひこにクスクス達も納得してくれた。だから出来るならここも知りたいんだけどなぁ。



「だがさっき金剛が言ったように、俺でも詳細は分からない」

「ねーねー、それならクスクスやりま達みんなで見つけた資料はー? さっき読んだのが全部じゃないんだよねー?」

「残念ながらこの資料の中にも載ってない。簡単な概要だけなんだ」

「がーん」

「まぁ、当然と言えば当然だけどな」



そりゃあなぁ。話通りならマリアージュはイクスヴェリアにとって切り札も同然でしょ?

それをわざわざ『こういう風に作りました♪』なんて事を外に迂闊に出すわけがないって。



「ならサリエルさん、そこの女の子とアギトさんはどうだ?
二人はその・・・・・・古代ベルカだったよな。それに詳しいんだろ?」

「ダイチ、二人も同じなんだ。ルーテシアちゃん、そうだったよな?」

『はい。私の手元の本にもそこは・・・・・・アギトも同じくです。・・・・・・アギト、どうしたのかな』



そういやアギト、さっきから黙りっ放しだったよなぁ。何気に空気になっていたアギトの方を僕達は見る。

でもアギトは・・・・・・ずっと唸ったままだった。唸って考え込んで、いきなり声をあげた。



『あぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ! 思い出したっ!!』

「びっくりしたっ! なんだなんだ、アギトどうしたっ!!」

『どうしたもこうしたもないってっ! ルールー、アタシ達そのトレディア・グラーゼって聞き覚えあるじゃないかよっ!!』

『え?』



あぁ、まぁそれならあるだろうなぁ。サリさんの話振りからすると、相当に悪名高い活動家らしいし。



『ほら、あの変態ドクターのところっ!!』



ただ、そんな僕達の認識はその一言で大きく変わった。変態・・・・・・ドクター!?



『・・・・・・あ、そう言えば』

『そうだよそうだよっ! 確かマリアージュで協力とかイクスがどうとかって言ってたじゃんっ!!』

「ちょっと待ってアギトっ! アギトの言う『変態ドクター』って・・・・・・まさかっ!!」










フェイトが動揺し気味に画面の中のアギトに詰め寄る。そしてアギトは頷いた。





変態ドクター・・・・・・なんでそんなのがいきなり絡んでくるんだよ。いや、理由ならある。





アレも今の世界の中で祭りを・・・・・・『革命』を望んだ愚者だから。




















(第64話へ続く)




















おまけ:ドキたま電話相談室




















◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



デネブ「みんなー、お久しぶりー。今日もドキたま電話相談室の時間がやってきたよー?
ここではとまと出演者のお悩みをズバっと解決するからよろしくっ!!」

侑斗「・・・・・・おいデネブ、なんで俺達がこんな事しなくちゃいけないんだよ」

デネブ「え、だってランちゃん達が『私達今すっごくピンチで、今手が離せないんですー』ってお願いされちゃって。
イルちゃん達も同じくらしくて、それなら俺と侑斗でズバッと解決しちゃおうって事になったんだ。・・・・・・分かった?」

侑斗「分かるかバカっ! てーか俺帰るからなっ!! あとはお前一人でなんとかしろよっ!!」

デネブ「あぁ、ダメだ侑斗っ! もう収録は始まってるんだぞっ!?」

侑斗「こら、離せデネブっ! なんで俺がこんな事しなくちゃいけないんだっ!? 絶対嫌だからなっ!!」





(・・・・・・しばらくお待ちください)





デネブ「えー、それでは侑斗が納得して・・・・・・くれたところで、お悩みを解決していきたいと思います」

侑斗「・・・・・・普通にこれ、おかしいだろ。なんだよこれは」





(なお、二人ともとっても息荒めだったりします。相当暴れたらしい)





デネブ「というわけで本日の相談者は、K・Hさんです」

侑斗「あー、もうなんでもいいからとっとと解決するぞ。・・・・・・聞こえるか?」

K・H「聞こえる。・・・・・・すまない、どうすればいいのか色々と悩んでしまっていて」

デネブ「むむ、深刻そうだなぁ。あの、一体どうされたんですか? ・・・・・・ほら、侑斗も聞いて」

侑斗「バカ。お前が聞いてるのに聞く必要ないだろ」

K・H「・・・・・・まぁ簡潔に言うと・・・・・・パパと呼ばれないんだ」

侑斗・デネブ「「は?」」





(普通にその単語だけでは事情が良く分からないので、二人首を傾げてしまう)





K・H『僕には二人の子どもが居るんだが、仕事上の問題でたまにしか会えなくてな。
結果、僕の弟のような奴をパパと呼び、僕はいつでも『おじさん』呼ばわりなんだ』

デネブ「そ、それは・・・・・・また」

侑斗「中々重いな」

K・H『これでも努力はしてきた。会えないなりにコミュニケーションを取ろうとした。
・・・・・・だがダメなんだっ! もうどうしていいのか・・・・・・本当に分からないんだっ!!』

侑斗「そりゃアンタの努力がまだ足りないからだろ」





(普通に相談者の胸に何かが突き刺さる)





デネブ「ゆ、侑斗っ!? だめだ、そんな事言っちゃっ!!」

侑斗「いや、事実だろ」

デネブ「確かにその通りだけど、それでも悩んでる人にそんな事言っちゃだめだっ! うん、絶対だめっ!!」





(そしてまた突き刺さる。・・・・・・あ、なんか嗚咽が聴こえてきた)





侑斗「あぁもう、アンタも親やってんなら泣くなよっ!!
・・・・・・てーか、アンタはパパと呼ばれたいから親やってんのか?」

K・H『え?』

侑斗「違うだろうが。そのチビ二人の事が大切で、好きだから親やってんだろ?
その弟がどんだけパパ認識かは知らないが、それでもアンタがチビ達の親だろうが」

K・H『・・・・・・そうだ。あの子達は僕の大事な子ども達だ。そして宝だ』

侑斗「だったら胸張って堂々としてろよ。それでアンタなりの気持ちを伝えていけばいいだろ。
卑屈にすがるようにしなくたっていい。そういうのは行動で、背中で語っていくもんだ」





(お、なんか良い事言った。あ、嗚咽も止まってる)





デネブ「あの・・・・・・俺もそう思います。多分その子達はしっかりとあなたの事を見てると思いますし。
別に威張り散らす必要はないけど、ある程度どっしり構える事は必要じゃないかなぁ・・・・・・と」

K・H『・・・・・・そうだな。すまない、君達のおかげで少し吹っ切れた。
僕はあまりの事態に少し動揺していたようだ。よし、どっしり構えていこう』

侑斗「ようやく落ち着いたか」

K・H『あぁ。・・・・・・そうだな、どっしり構えて父親としての背中を見せていけばいいんだ。そうだ、それで乗り越えられるんだ」

デネブ「うんうん、その意気だー! 頑張れー!!」

K・H「出産の時にどういうわけか妻とそういう関係でもないアイツが立ち会い、アイツが初めてあの子達を抱いたりしたのも超えられる』

侑斗・デネブ「「え?」」





(二人とも、普通に驚く。だってそこは聞いていない)





K・H『アイツが二人が生まれてから子育てを手伝ってくれていたとしても、大丈夫だ』

侑斗・デネブ「「はぁっ!?」」

K・H『僕は僕なりにどっしり構えて対処すれば・・・・・・そうだ、大丈夫なんだ』

侑斗「ちょ、ちょっと待てっ! お前、俺もデネブもそこは聞いてな」

K・H『二人とも、感謝する。いや、思い切ってかけてみてよかった。よし、これからも頑張っていこう』

侑斗「話聞けよっ! お前、さすがにそれは」





(・・・・・・ツーツーツーツー)





デネブ「侑斗、電話切れちゃったね」

侑斗「そうだな」

デネブ「というかあの人・・・・・・ちゃんとその子達に父親として認識されるのかなぁ」

侑斗「・・・・・・多分俺達のアドバイス通りだと、絶対無理だな」

デネブ「やっぱりかぁ」





(でも、もう遅い。だってそういう気持ち固まっちゃったんだから)





デネブ「えー、ドキたま電話相談室では、みなさんからのお悩みを募集しております。
あ、宛先はここね? ほらほら、下の方にテロップが出てるから」

侑斗「・・・・・・デネブ、俺なんかすっげー疲れた。てゆうか帰るわ」

デネブ「あぁ、侑斗待ってっ! もう少し、もう少しだけっ!!」




(言いながらも両手で相手の右手を掴んで必死に止める)





侑斗「なんだよ、まだなんかあんのかっ!?」

デネブ「もちろんっ!! ・・・・・・みんな、俺と侑斗が出ている映画が公開されているぞ。
2週間だけしか放映されないから、もし予定があるならぜひ劇場に来てくれ」

侑斗「宣伝っ!?」

デネブ「『超・電王TRILOGY ゼロのスタートウィンクル』、ぜひ見てくれよなー!!
あ、俺達でうたってる『Action-Zero 2010』も発売されてるから、そっちもCDショップで」

侑斗「デネブ・・・・・・まさかお前、このためにこれ引き受けたのかっ!?」

デネブ「うん、そうだけど」

侑斗「・・・・・・デェェェェェネェェェェェブゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥッ!!」





(言いながらもコブラツイストをかける)





デネブ「ゆ、侑斗っ!? あの、どうして怒ってるんだっ! というか痛いんだけどっ!!」

侑斗「やかましいっ! お前、色々反省しろよっ!!」

デネブ「なんでだっ!? 宣伝は大事なんだぞっ!!」

侑斗「それでもなんだよっ! うぉりゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」










(本日の結論:『どっしり構えているだけではなんともならないと思います』
ドキたま電話相談室、次回に続く・・・・・・?)




















あとがき



恭文「というわけで、色々と分かってきた第63話です。みなさん、いかがだったでしょうか?
本日のあとがきのお相手は・・・・・・あぁ、今日のおまけは安心出来たと思った蒼凪恭文と」

歌唄「月詠歌唄よ。てゆうか恭文、これどうなってるのよ。何か色々繋がってきてるけど」

恭文「みんなの協力のおかげでね。僕一人だったら絶対無理だった」





(蒼い古き鉄、そこはしっかり念押ししておきたいらしい)





恭文「フェイトやオットーやリインにルーやサリさんにアギトだけじゃない。
なぎひこ達も背中押してくれて、ようやくだもの。うん、みんなのおかげ」

歌唄「そうよね。アンタ普通にヘタレなんだもの。一人じゃなんにも出来ない」

恭文「ほっとけっ! てーかヘタレって言うなー!!」





(普通にここは不満らしい。でも、ドS歌姫はなんだか嬉しそう)





恭文「ちなみに、2クール目からのイメージOPはHearts Growさんの『そら』。
イメージEDは・・・・・・てーか歌唄のキャラソンの『Heartful Song』です」

歌唄「・・・・・・そのネタまだやるのね」

恭文「もう引けないしね。まぁ単純にお薦め曲紹介的な要素もあるわけですよ」





(特に『そら』は好きなのです。というか、NARUTOのOPだった『ゆらゆら』もいい曲です)





恭文「とにかく今回はドラマCDで言うと、ディスク2の3分の1程度終了ですよ。うーん、やっぱりスロー展開かも」

歌唄「でも抜かせる部分でもないのよね。結構色々な事が分かるシーンだから」

恭文「まぁね。まぁそれでもこれ自体は後4話もあればドラマCDの話は終了だけどね。
というか、もうそこまで書き上がってる。あとはラストシーンだけですよ」





(ラストシーンが中々に難しかったりします。だって・・・・・・ねぇ?)





歌唄「でもアレよね、ただの連続殺人事件じゃなくて、テロの可能性が出てきてるのよね」

恭文「そうだね。でもまだ不透明な部分がある。そこの辺りもまた次回ですよ。で・・・・・・あの、歌唄」

歌唄「何?」

恭文「・・・・・・ごめん。僕その、色々中途半端で。それであの、これからもっと歌唄と」

歌唄「ばか、別にいいわよ。うん、別にいい。答えを期待してるわけじゃないから。
私は私の勝手で、背中を押していきたいってだけの話。だから・・・・・・謝らなくていい」





(ドS歌姫、なんだか嬉しそう。うーん、なぜだろう)





歌唄「とにかく次回はこの続きね。まだまだ事件捜査のシーンは続くと」

恭文「だね。僕ももうちょい検索頑張らないと。それでは本日はここまで。お相手は蒼凪恭文と」

歌唄「月詠歌唄でした。それじゃあみんな、またね。・・・・・・ね、恭文。キスしていいかな」

恭文「いきなりなにっ!? というか、答えは求めてなかったんじゃないんかいっ!!」

歌唄「答えは求めてないけど、したくなっちゃったの。問題ないわよね? だって拍手でしちゃってるし」

恭文「拍手の世界は拍手の世界でまた特殊だからだめー!!」










(というわけで、ドS歌姫が楽しそうな様子を映しながら今回はお別れ。
本日のED:Hearts Grow『そら』)




















なのは「・・・・・・フェイトちゃんと恭文君とリインが居ない。なぎひこ君と空海君とりまさんも居ない。
というか、ヴィヴィオも居ない。さて・・・・・・ディード、リース、これはどういう事かな」

リース「え、えっと・・・・・・その、色々ありまして」

ディード「そうです。色々ありまして」

なのは「その色々についてかなり詳しく聞いてるんだけど? 私、もうすぐ出勤時間だから早めにお願いしたいんだけど」

やや「た、唯世・・・・・・なのはさんすっごい怒ってるよねっ!? というかやや怖いよー!!」

唯世「結木さん落ち着いてっ!? 大丈夫、大丈夫だからっ!!」

ペペ「どうして恭文がなのはさんを『魔王』って言ったのかよく分かったでちっ! あの黒いオーラはまさしくそれでちっ!!」

あむ「え、えっと・・・・・・どうしようか。事情説明したら多分更に怒る・・・・・・よね?」










(おしまい)






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