小説(魔法少女リリカルなのは:二次小説)
第54話:おまけとあとがき
おまけ:今年の恒例行事の結果
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
日奈森あむさん達ガーディアンとの出会いと×たま・・・・・・こころのたまごというものについて知ってから三日後。
あの時の衝撃も覚めやらぬ中、私は聖王教会で騎士カリムの仕事の手伝い。
当然だけどあの時の事は基本内緒にしている。まぁ、基本というか話していない。
私自身がそのしゅごキャラや×キャラが見えなかったのもあるし、今ひとつ半信半疑だった。
・・・・・・そう、半信半疑だった。私はあの時の事がまるで夢のように思っていた。
「・・・・・・予言の解読、大分早くなったわよね。本当に解読スタッフの増員には感謝しないと」
執務室で騎士カリムがデスクに座りながらそう言った。手元には、騎士カリムの毎年の恒例行事の結果。
なお、恒例行事の内容は実に簡単。騎士カリムのレアスキルによる予言詩の作成。1年に一回の大仕事。
「そうですね。やはりJS事件でのアレコレが大きかったのでしょう」
「だと思うと、あまり喜べないわよね。色々な痛みを伴った上での現状ですもの」
「それはそうですが・・・・・・気に病み過ぎるのもいかがなものかと。
また同じことにならないための解読スタッフ増員ですし」
騎士カリムには最短で数ヶ月先に起こる世界規模の事件や災害を、古代ベルカ語で詩文形式で作成するレアスキルがある。
ただし、ミッドの二つの月の魔力を上手く受けた上でないと、予言詩の作成そのものが不可能。
そしてそれが出来るのは1年に一回が限度。その上古代ベルカ語は年代や場所によって意味合いが多種多様に分かれる。
そのために解読が非常に困難。そこの辺りも含めると、予言の的中率は『よく当たる占い』レベル。
ただ、予言解釈をしっかりとした上であるなら相当な的中率がある。現にJS事件はそれ。
JS事件でスカリエッティ一味が中央本部を襲い、ロストロギア・聖王のゆりかごを持ち出す事まで予言した。
そのJS事件でのアレコレのために、騎士カリムの予言詩の重要性は以前よりも価値のある形で認められている。
そのため局からの助力もあって、予言詩の解読スタッフは相当数多くなっている。
騎士カリムが苦い顔をしているのは、そこの辺りの問題で思うところがあるかららしい。まぁ、そこは私も同感。
事件が起きて、予言の通りになる事で有益さが証明される能力。
それはある意味では・・・・・・騎士カリム本人の心に突き立てられる刃でもあるから。
「そうね。未然に止められればそれで良しだもの。・・・・・・あ、それでねシャッハ」
「なんでしょうか」
「解読スタッフも今ひとつ意味が分からない予言が出てるの。
あなたの意見、聞かせてもらっても構わないかしら」
「それは構いませんが・・・・・・私などでよろしいのですか?」
確かに私は教会騎士で古代ベルカ語にも多少は通じているけど、専門家という程ではない。
私はそこの辺りが疑問なので騎士カリムの顔を見る。騎士カリムは・・・・・・軽く頷いた。
「えぇ。というか、解読に必要なのは知識と根気と閃きよ? 今はその閃きが足りてないようなの。
そしてその閃きは皮肉なことに、考えれば考えるほど、知識があればあるほど無くしがちだもの」
「・・・・・・なるほど」
いわゆる発想の転換というものがしにくくなると考えると、一応は分かる。
私の表情からそこが分かったのか、騎士カリムがどこか嬉しそうに頷いた。
「では、非才の身ながら見るだけでも」
「えぇ、お願いね。それで・・・・・・これなの」
私は予言詩が描かれた一枚のタロットカードサイズの紙を慎重に受け取る。
「えっと・・・・・・え?」
「ね、意味が今ひとつ不明でしょう? 私もどう解釈すればいいのか困ってしまって」
・・・・・・人の未来と願いを包むのは柔らかくも硬き心の殻でありゆりかご。
その殻が黒く絶望に染まりし時、それはすなわち人の未来と願いが消え、絶望に埋め尽くされる時。
なによりも強く光り輝くゆりかごを求め、愚者達は他者のゆりかごを蹂躙する。
そして黒き絶望、暗く染まりし夜空を駆け、数多の星の川のように空をその色に染めあげる。
幾万の絶望は悲しき戦慄によって導かれ、一つとなりて強大な嵐となる。
その力、全ての存在の深淵に眠りしものを呼び起こし、癒えし傷から再び血を吹き出させる残酷な叫び。
痛みと悲しみは海と大地と空と人の心を・・・・・・世界の全てを染め上げ、蹂躙する。
その叫び、果ては次元の海すらも超え、世界の全ては痛みと悲しみに包まれる。
その時全ての可能性は地に足をついて崩れ落ち、二度と立ち上がる事はない。未来は砕け闇に消えん。
「・・・・・・これはまた、ストレートに『危険』だと分かる文面ですね」
文面を読み終えて、出てきた言葉はそんな陳腐な言葉。でも、これしか言えない。
細かい意味はともかくとして、普通に危険としか思えないようなものだった。
「えぇ。単純に読むなら、何か世界の危機のようなものが起こる。
それによって次元世界の『可能性』と未来は消えてしまう」
「それで・・・・・・次元の海を超えてとありますね。つまりどこかの世界を中心としてでしょうか」
「恐らくはね。あと分からないのは、心の殻なの。これ、何かのロストロギアかしら」
・・・・・・未来と願いが詰まった心の殻? アレ、なにか引っかかるな。
「殻が黒く染まるということは、それが何かに変化する事だと思うの。
でもそれが夜空を染め上げ・・・・・・『染め上げる』と表現するという事は、どういう事かしら」
「単純に読むなら、それほどに数がある・・・・・・あれ?」
やっぱり何かが引っかかる。心の殻が黒く絶望に染まる?
それはすなわち人の未来と願いが消え・・・・・・それが絶望?
「シャッハ、どうしたの?」
「・・・・・・騎士カリム」
私は半信半疑だった。そうだ、だから今もそれは同じ。でも・・・・・・なんだろう、この嫌な予感は。
つい先日聞いたアレコレとこの予言詩が無関係とは、私にはどうしても思えなかった。
「私はおそらく、この『黒き絶望』について知っています」
「そう。・・・・・・えぇっ!?」
とにかく、驚く騎士カリムに事情説明。そしてすぐに恭文さんとガーディアンの代表者とクロノ提督に連絡。
騎士カリムも私の話を聞いて・・・・・・今の私と同じ感覚を覚えたようで、ここの辺りは話が早かった。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
宿題をやってる最中に、シャッハさんから連絡が来た。
そして現在、僕とフェイトと唯世は僕とフェイトの部屋の中。
クロノさんとも同時に回線を繋いで、緊急会議である。
で、若干動揺気味なカリムさんやクロノさんから話を聞いた。それで・・・・・・僕達も僕達で相談だよ。
『それでシャッハから聞いたのだけど・・・・・・辺里唯世さん、一応確認ね。人のこころの中にはたまごがあるのよね。
夢や未来への可能性が詰まったこころのたまご。そのたまごが何かの原因で黒くなる。それが×たまと呼ばれるもの』
「そうです。えっと・・・・・・グラシアさんで」
『えぇ、大丈夫ですよ。そしてあなた達もそうだし、恭文君やフェイト執務官は地球でそれ関連の事件に対処している』
『その通りです。・・・・・・それで君達三人の意見としてはどうだろうか』
とりあえず唯世にはカリムさんのレアスキルの事も話してる。かなりびっくりしてたけど、口止めもしてる。
この辺り、唯世をガーディアンの代表として認めているからの処置。とにかく僕達三人は顔を見合わせて考える。
「心の殻が僕やフェイトの知っているこころのたまごであるなら、納得出来ます。
つまりこの予言の意味するところは、×たまが空を埋め尽くされる程に大量に出てきてしまう」
「そしてそれが何かの音に導かれて一つになって、地球どころか次元世界そのものを滅ぼすというのか?
確かに×たまは人のこころのマイナスエネルギーの集まりだが、いくらなんでもこれはありえんぞ」
「ですがキセキさん、その可能性はあります。
今までのお話を伺う限り、グラシア理事の予言詩は信用出来ます」
「分かっている。だが・・・・・・くそ、真面目に何が起ころうとしてるんだ」
キセキがシオンの言葉に苦々しくも返す。でも・・・・・・そこは全員の意見だよ。
まさか×たま絡みの事が予言詩に乗るとは思ってなかったもの。それも、JS事件張りの大事だ。
「クロノ、ここは私もヤスフミと唯世君と同じくだよ。もちろん今のままだと断定は出来ないけど」
一応疑わしいだけで、実際どうかは今のところ分かってないしなぁ。でも、疑わしいワードはこころのたまごだけじゃない。
エンブリオやイースターの行動と思われるものまで出てきてる。こうなってくると・・・・・・なんだよなぁ。
『そうですか。でもその×たまは、本来それほどに大量に出てくるものなのですか?』
「いえ、そんな事はないです。その・・・・・・私も何度か見てるんですけど、普通は×たまが出てくる時は自然にです。
自分の夢や可能性が信じられなくて、理不尽な現実に踏みつけられて、大事な夢に×が付いて・・・・・・それで」
『・・・・・・それは悲しい事ですね。本当なら、誰もがそんな事にならないようにするべきなのに』
今のフェイトと同じように、少し悲しげな顔をしながらカリムさんがそう呟いた。
カリムさんも優しい人だから、ここは・・・・・・うん、こうなるよね。
「とにかくグラシアさん、フェイトさんが言うように本来ならこんなのはありえないんです。でも」
『でも・・・・・・予言詩にある『愚者』に相当する何者かが絡むと分からないのですね?
例えば、人のこころの中から無理矢理にたまごを抜き出しているイースター社の方々』
唯世はカリムさんの言葉に少し緊張し気味に頷く。・・・・・・というか、顔が青い。
確かにこれはなぁ。だって、いきなりにも程があるもの。
「はい」
『そしてその結果、何か・・・・・・世界の未来が消えてしまう程の災害が起こる可能性があるという事か。
・・・・・・正直僕も、ブラックダイヤモンド事件が無ければ疑ってしまう所だが、これはそうもいかないな』
「そこは私もだよ。でも・・・・・・これだとあの時以上の何かが起こるかも知れないんだよね」
「ただフェイト、ここはまだ確定じゃないよ。まだこの予言がエンブリオ絡みとは分かってないんだし」
なお、ここはかなり本気。まだここでは決定出来ない。もちろん警戒は必要だけど、それでもだよ。
「でも蒼凪君、これだけ僕達の知っているキーワードに一致する事項があるとすると」
「唯世、さっきの説明もう忘れたの? カリムさんの予言詩に使われてる言語は詩文形式で書かれていて、その上解読は超難解だって」
「・・・・・・あ、そう言えばそうだったね。だから徹底した解読作業が絶対に必要」
≪そうなの。古代ベルカ語は年代や場所によって意味が180度変わる言語なの。
だから解読とその意味付けにも、本当なら相当な時間がかかるものなの≫
カリムさんの予言詩は、唯世とジガンが今言った部分があって初めて信用出来るのよ。
当然だけどこれはこの予言詩に留まらず、他の書き上げられた全てのものに対してもそれが成される。
その中でこの予言詩の文面や解釈が変わる可能性だってあるわけだもの。
確かに警戒は絶対必要だけど、そのために視野が狭くなっても絶対にアウトなのよ。
事が大きいならなおさらハードボイルドを通す必要があるって事だね。
『とにかく僕の方でもイースターの動向に関しては監視を始めている。
なお、今のところは全く動きが無い。だが・・・・・・もしもあるようなら』
「分かってます。僕達ガーディアン全員でイースターを止める」
『そうなるな。・・・・・・こればかりは君達に頼るしかないかも知れん』
『あの、ちょっと待ってくださいっ! クロノ提督、ガーディアンの子達だけでそんな連中と戦わせるつもりですかっ!?』
あ、シャッハさんが今まで空気だったのにいきなり口出してきた。ただ・・・・・・すぐに反省したような顔になった。
『・・・・・・いえ、そうするしかないのですね。現に私は×キャラも×たまも、全く認識出来ませんでしたし』
『確かにそうなのよね。普通の局の人員を投入するにしても、まず相手が見えていることが前提。
そしてこころのたまごやしゅごキャラ関連のものが見える人間は、本当に限られている。ちなみに私は無理』
『というより、それでは戦力そのものを投入出来るかどうかが問題になりますよね』
まー、シャッハさんの言うようにそこが問題だろうね。で、無理だと僕は思う。
てゆうか、出来ればそれは避けたい。だってそれをやるとしゅごキャラがレアスキルか何かに捉えられそうだし。
『しゅごキャラの宿主である辺里さんや恭文さんには悪いのですが、頭の硬い上層部が信じるとは思えません』
「あとは浄化能力です。・・・・・・たまごの中には、未来への可能性が沢山詰まっています。
×たまが大量に発生するなら、私達はそれもちゃんと助けていくべき。そしてその力があるのは」
右隣のフェイトが僕と唯世を見る。それから、やっぱり悔しそうな顔で言葉を続ける。
「こころの中のたまごからもう一人の自分が生まれてくるくらいに輝く夢を持った守護者達だけです」
『普通の魔導師や人間では見る事も、そして助ける事も出来ないでは・・・・・・あぁ、そうなりますね。
私達では守護者にはなれない。シャッハ、あなたは本当に×キャラを認識する事が出来なかったのよね』
『はい。情けない事ですが、恭文さんとあむさんが来てくれなければ生徒に被害を出す所でした』
『そうなると・・・・・・シャッハ』
『えぇ、それしかないかと』
通信画面の一つの中のカリムさんとシャッハさんが顔を見合わせる。そして、強く頷き合った。
それからカリムさんは僕達の方を見て・・・・・・そのまま言葉を続ける。
『クロノ提督、フェイト執務官、恭文君、それにガーディアン・Kチェアの唯世くん。
私達も及ばずながら尽力します。と言っても、きっと予言の解読作業くらいしか出来ないと思いますが』
『相手の知覚と浄化能力の問題点から言っても、聖王教会の騎士団もNGですしね。
いくらなんでも連中を止めるために、いくつあるかも分からない人々の可能性を粉砕し続けるわけにはいきません』
『その通りよ。それでは結果的に予言通りになってしまう。そんなのは絶対に認められない。
ただ・・・・・・そのためにあなた達に相当な重荷を背負わせてしまう事が心苦しくて』
「いえ。あの・・・・・・グラシアさん、ヌエラさん、ありがとうございます」
僕とフェイトに通信画面の一つの中のクロノさんも、倣うようにお辞儀。うん、こういうのは必要なのよ。
もし関連性が確定なら、予言詩があるだけでもそうとうな切り札になる。相手の行動を先読みして潰せるかも。
『いいえ。でも唯世くん・・・・・・本当にいいんですね? もう一度言いますが、これには多大な危険を伴います。
決して華々しくもなく、例え成功したとしても局などからは賞賛もされないでしょう。それでもあなたは』
「やります。僕は・・・・・・僕と蒼凪君に日奈森さん達にフェイトさん達・・・・・・みんなでガーディアンですから」
少し驚いた顔でフェイトが唯世を見る。唯世はそんなフェイトの視線を受け止めながら、軽く苦笑い。
「こころのたまごを、みんなの夢や未来への可能性を守る。それが守護者である僕達のやるべきことです。
だからもし本当にイースターの手で、僕達の目の前でこんな事が起こるなら・・・・・・絶対に止めます」
『・・・・・・そうですか。唯世くん、あなたの勇気と強さに心から感謝します。ありがとう』
「あの・・・・・・いえ。その、恐縮です」
「・・・・・・唯世、盛り上がってるとこ悪いけどさ、あむ達にコレを話すかどうかという選択が残ってるよ?」
そして、全員が『・・・・・・そう言えば』という顔になる。
アレ、ちょっと待ってっ! 普通に気付いてないのはありえないでしょっ!!
「そ、そう言えばそうだったっ! あぁ、キセキどうしよー!!」
「落ち着け唯世っ! 大丈夫だっ!! あむ達もきっと協力・・・・・・してくれるといいなぁ」
「キセキー!!」
・・・・・・こらこら、そこ。しゅごキャラとマンツーマンで話しない。見えてないクロノさん達置いてけぼりだから。
『彼女達には、予言詩の解読がもう少し確定的になるまでは黙っておいた方がいいかも知れないな。
限りなく黒に近いとしても、まだ確定ではない。恭文が先程言ったように、解釈間違いで全く関係がない可能性もある』
この辺り、無用な混乱を避けるためという意味合いもある。あとはイースターの動向に関してだね。
下手に猜疑心や敵対心を煽ると、かえって全員で墓穴を掘る可能性もあるのよ。
『まぁ、騎士カリムや解読スタッフの方々には本当に失礼なお話ではあるのですが』
『いいえ、問題有りませんよ』
「なら・・・・・・唯世君、キセキもそれでいいかな。もちろん、話す時には私とヤスフミも手伝うから」
「・・・・・・でも、日奈森さん達に隠し事は」
苦い顔で唯世が言うのは理由がある。・・・・・・猫男関連でかなり重めな隠し事があるからでしょ。
あーもう、ここも夏休みの間になんとかしたいなと思ってたのに、なんで面倒事が重なっていくのさ。
「唯世、僕もフェイトさんやクロノ提督に同意見だ。その理由は・・・・・・まぁ、今みんなが言った感じだな。
騎士カリムには失礼になってしまうが、万が一という事もある。下手に家臣共を混乱させてもまずい」
≪結果的にそれでこちらの隙を作っても問題でしょ。唯世さん、王様というのは時としてこういう毒を笑って飲む事も要求されます≫
僕、クロノさんやリンディさんの事を怒る権利ないよなぁ。だって僕、あの時の六課後見人と同じことしてるんだもの。
ただ、あの時とはまた違う事がある。それは・・・・・・全員に対してこのまま黙っているという選択が無い事。
≪そしてあなたは未熟だとしても、ガーディアンの・・・・・・この人や私が剣を預けている王です。
なら、覚悟を決めてください。・・・・・・フェイトさんが言うように、私達もみなさんには謝り倒しますから≫
「・・・・・・アルトアイゼン。あの、分かったよ。僕も納得します。
聖王教会の予言解読がある程度確定的になるまでは、日奈森さん達には」
『そうか。・・・・・・大変だとは思うが、しっかりやってくれ。それで騎士カリム』
『分かっています。唯世くん、解読の方はこちらで出来る限り急ぎます。そしてその結果はその都度ご連絡しますから』
「はい。よろしくお願いします」
それで・・・・・・僕はフェイトと念話。しっかりと頭を下げている唯世やキセキはそれとして、話す事があるのよ。
”フェイト、僕はようやく理解したわ。咲耶や恭太郎にリースの滞在がオーナーに認められた本当の理由”
あとはターミナルの駅長がエンブリオ絡みの一件に注目していた理由もだよ。
単純にエンブリオだけであれこれと考えてた僕達は間違ってた。
”うん。多分エンブリオもそうだけど・・・・・・未来のヤスフミはこの予言詩の事も話したんじゃないかな。
いや、きっとそれだけじゃないね。歌唄との一件も含めて、イースターの行動の危険性を訴えた”
”重要だったのは、連中がエンブリオを手にするかどうかじゃなかったのかも”
”そうだね。そこを分かっているようで、私達は全く分かってなかった”
”僕達が本当に気にするべきだったのは、エンブリオを手にするに至るまでの過程”
現在、エンブリオは×たまが大量に出現した場合にのみ出てくると言われている。
つまりよ、当然だけどこれから連中は色んな人達のこころのたまごを、強制かつ大量に抜き出そうとする。
”イースターがエンブリオを出現させるために行う作戦だね。
ただエンブリオを私達で確保するだけでは意味が無いんだ”
現にブラックダイヤモンド事件がそれだった。イースターがこれからその方向で作戦を立ててくるのは、間違いない。
”そうなりますね。これを仮にイースターの作戦によるものの結果だとしましょうか。
連中はエンブリオを手に入れるのと天秤で、地球や次元世界の人間達を危険に陥れてるんですよ”
そして今アルトが言ったように、イースターの作戦・・・・・・過程の段階で沢山のものが奪われて壊れる。
未来の可能性の中には、当然その人の選択肢や時間が存在する。でもこれだと、それが消えてしまうんだ。
”主様、フェイトさん、これとんでもない事になってるの。連中、本気で何考えてるの?
そうまでしてエンブリオを見つけても、世界が滅びちゃったら意味がないの”
”そこまでは全く考えてないんでしょ。・・・・・・つーか、なんですかコレ。
ヴェートルでのアレコレやJS事件の再来ですか。てゆうか、ここ最近はどうなってんのよ”
ここ2〜3年の間に、世界の危機が何回訪れてると? まずはヴェートルでの親和力事件でしょ?
それでその翌年にはJS事件だよ。それ終わって六課解散してからも、鬼退治やらもそうだし他にも色々あったし。
”そのほとんどに私達が関わってるのがちょっとびっくりだけどね”
”・・・・・・確かにね。でも、だからかな”
”・・・・・・うん、だからだよね。だから、こんな状況でも私達は笑っていられる”
隣に居るのが嬉しくて、楽しくて・・・・・・それだけで強くなれるから。
だから僕とフェイトは顔を見合わせて頷き合う。
”フェイト、きっちりクリアしてこうね。だってフェイトは王様から正式にガーディアンに認められちゃってるんだし”
”あ、あははは・・・・・・なんというかそこはちょっとびっくりだよ。でも、いいのかな”
”いいんじゃないの? だって王様のお墨付きだし”
”それもそうだね”
夏休みはまだまだ続く。でも、それを過ごしつつも立ち向かうべき現実が見えてきた。
それはまだまだ先の事かも知れないし、すぐ起こるかも知れない。
そしてその実際のタイミングは・・・・・・誰にも分からない。それが非常に怖くもあったりする。
(本当に続く)
あとがき
恭文「というわけで、拍手のアイディアありがとうございました。おまけは拍手のアイディアを頂いてやっちゃいました」
シルビィ「きっと相当な話数を経て繰り広げられるであろうイースターの作戦のネタ振りよね」
恭文「まぁね。てゆうかさ、原作改めて見直してこりゃあ載るなと。
・・・・・・というわけで、本日のあとがきのお相手は蒼凪恭文と」
シルビィ「次はメルとま更新と聞いているシルビア・ニムロッドです」
恭文「・・・・・・シルビィ、なんでここに居るっ!? ドキたま出てないじゃんっ!!」
シルビィ「もう、何言ってるの? 私は恭文の新・現地妻になったじゃないの。あ、アンジェラはスーパー現地妻ね?」
恭文「それはメルとまのあとがきの話でしょうがっ! でもだからって普通にコレはないからっ!!」
(詳しくはメルティランサークロスを御覧ください。・・・・・・ラストの手直しで若干迷っていたりします。
全話そのまま出してももうOKなのに。あぁ、我ながら迷ってるなぁ)
恭文「とにかく今回はアニメ二期の『しゅごきゃら・どきっ』でもやってたキャラなりのパワーアップだよ」
シルビィ「でも恭文、実際はパワーアップした感じじゃないのよね。
というか、パワーアップすると変身パンクが半分近く縮む。もっと言っちゃうと」
恭文「・・・・・・シルビィ、そこは触れちゃいけないから」
※一期と二期のテレビアニメ『しゅごキャラ』のキャラなりパンクの違い
・それぞれの変身パンクが途中まで共通になった。そのため全員一括が可能。
・例の裸になって一気にキャラなり時の姿になるので、各部位をアップして装着という感じでは無くなった。
・時間で言うと、二期は一期の半分近くにまでシェイプアップされている。
・まぁぶっちゃけいうと、変身バンク短縮とテレビオリジナルアイテム登場のためのパワーア(ry
恭文「・・・・・・ただ、一応パワーアップ描写はあるのよ? あむとかは顕著だから」
シルビィ「というか、これをきっかけにして拍手でいただいたアイディアを還元して行くんでしょ?」
恭文「うん。とりあえずあむでしょ? あとは唯世とかやや?」
(唯世は(ぴー)な感じで、ややは(ぴー)だったりします)
恭文「そこまでガチなパワーアップじゃないから、一種のバージョンアップかな。
あれだよ、言うなら『アミュレットハートVer.2』って感じだね」
シルビィ「でもそれだと本当に作品上の都合・・・・・・いえ、なんでもないわ。
そうよね、これだと普通にテレビアニメもそれなのよね」
恭文「とりあえずアレですよ、詳細が知りたい人はニコ動とかで『キャラなり』で検索してみてください。
すぐ分かりますから。それであとはアレだね、SEI-Oベルトがちょこっとだけ登場だよ」
(ただ、本格稼動はVivid編をやる場合その中です。そして現段階では大人モードにはなってなかったり)
シルビィ「あー、これも楽しみよね。・・・・・・それでヤスフミ」
恭文「うん、何?」
シルビィ「私、いつドキたま/だっしゅに登場出来るの?」
(蒼い古き鉄、そこで机に突っ伏す。そして金馬、普通に首を傾げる)
恭文「なんで登場するのっ!? もう超・電王編で三作品クロスオーバーはしばらくストップって決めたのにー!!」
シルビィ「あぁ、大変だったらしいわね。でも私は大丈夫よ。新・現地妻としてしっかり頑張って」
恭文「だからダメだからー! なんでそうなるっ!? 普通にアウトでしょっ! てゆうか、プロットはっ!!」
シルビィ「えっと、私にしゅごキャラが生まれてヤスフミに相談に」
恭文「無理あり過ぎだからっ!!」
シルビィ「えー、どうしてー? ヤスフミに生まれたなら、私にも生まれていいと思うのにー」
恭文「そっちじゃないからっ! まず身近な人を頼ってっ!? なんでそこで迷うことなく僕に直行するのさっ!!」
シルビィ「大丈夫よ。新・現地妻マジックとすれば」
恭文「納得出来るかぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
(さすがにコレは無理と判断したらしい。うん、てゆうか作者的にももうちょっと展開を考えたい)
恭文「と、とにかく次回から僕達は宿題に追われます。普通に頑張ります」
シルビィ「あー、そうよね。・・・・・・アレ、でも海里君となぎひこ君は?」
恭文「なぎひこは転校してきたタイミングが悪かったから、普通に宿題出てきた。
なお、海里は綺麗に転校したので、宿題無し。だだ、普通に自主勉強するんだって」
シルビィ「あらそうなの。てゆうか、真面目よね」
恭文「海里は基本的に頑張り屋でもあるしね。てゆうか、びっくりしたよ。
普通に僕とかあむとかがやってるのより難しい問題持って来てるし」
シルビィ「・・・・・・生真面目なのね」
恭文「そうだね。まぁそこの辺りも次回からだよ。というわけで、本日はこれまで。お相手は蒼凪恭文と」
シルビィ「ドキたま/だっしゅに出たいシルビア・ニムロッドでした。それではまたー」
恭文「だから出てどうするっ!? ・・・・・・あ、でもメルティランサーメンバーだと誰がデフォで見えるのかな」
シルビィ「うーん、デフォで見えそうなのは私とアンジェラとサクヤとナナちゃんとパティかしら」
(注:メルティランサーのサクヤはとまとの咲耶ではありません)
恭文「あぁ、アンジェラやパティもそうだし、サクヤさんとナナも見え・・・・・・ちょっと待ってっ!?
普通になんでシルビィがデフォで見えてるのさっ! 僕そこ疑問なんだけどっ!!」
シルビィ「あら、問題ないわよ。普通に私はしゅごたま産むんだから」
恭文「マジでやる気なんかいっ!!」
(なんとかして止めたいと思う蒼い古き鉄だが、金馬には勝てそうもなくてちょっと怖い。
本日のED:RIDER CHIPS『Ride a firstway』)
あむ(夕飯終了後)「あー、でもいい部屋だよね。というか局員ってすごいなぁ」
やや「そうだねー。借家でもややの家より広いしー。・・・・・・でも、宿題嫌だなぁ」
あむ「うぅ、あたしもだよ。普通に今年はなんか量多いしさぁ」
やや「というか、荷物の中で一番重かったの宿題だよねー。
まぁここに来るまではこてつちゃんやジガンちゃんにバルディッシュの中に収納してもらってたけど」
あむ「あー、持ち運びは便利だったよね。でも・・・・・・あー、どうすりゃいいのっ!?
毎年のパターンで行くと、また夏休み末の地獄が待ってるー!!」
やや「ややもだよー! うぅ、宿題嫌だー!! やや達子どもなんだから、夏休みくらい勉強しなくたっていいじゃんっ!!」
ミキ「・・・・・・いや、それもまた違うような」
ペペ「ミキ、言っても無駄でち。ややちゃんは基本赤ちゃんキャラでちから」
りま「全く・・・・・・二人とも何言ってるのよ。今年はかなり楽だし救いもあるのよ?」
あむ・やや「「え?」」
りま「いい? まずプログラム式魔導師であるが故に算数関係に強い恭文とリインが居るわ。
その上恭文は歴史に国語、社会学にもそれなりに強い。ダメなのは美術関係だけ」
スゥ「家庭科関係の問題も、恭文さんとリインさんに聞いたら一発ですぅ。二人とも、お料理上手ですからぁ」
あむ「・・・・・・あぁ、そう言えばそうだったね。うん、恭文幕末の事とか詳しかったし、そういうのは頼れるかも」
やや「確かそれなら・・・・・・でもりまたん、恭文って美術関係だめなの? やや、そういうの見た事ないし」
あむ「うん。てーか、ややも知ってるじゃん。アイツのセンスの無さ」
りま「以前粘土細工を作った時なんてヒドかったわ」
やや「・・・・・・納得した。確かにアレはアウトだよね」
りま「そしてフェイトさんになのはさん、ディードさんにリースも揃ってる。後は唯世達よ」
やや「確かに唯世もいいんちょも成績優秀だし、空海に至ってはやや達より上級生だし」
あむ「あと、なぎひこともなでしこと同じく勉強とか出来る感じみたいだし・・・・・・あ、確かに頼れる」
りま「つまり、私達がそれぞれに知恵を分け合ってやれば・・・・・・一人であの量に立ち向かうよりはずっと楽なはずよ」
クスクス「それにそれにー、これなら夏休み終了直後に『宿題忘れたー』みたいな事もないよねー」
やや「うんうん、それならややは納得ー。というか、りまたんもクスクスちゃんも冴えてるー」
あむ「あぁ、それいいかも。対価は払う必要あるけど・・・・・・そっかぁ。今年は違うんだぁ」
ラン「・・・・・・あむちゃん、去年も宿題大変だったしね」
ミキ「うんうん、よく覚えてるよ。夏休み遊んでばっかりだったから」
スゥ「でも、今年はこれで安心ですよねぇ。だってみんなで一緒にですからぁ」
あむ「よーしっ! 宿題なんてちゃちゃっと終わらせて、ミッドでの夏休みを満喫するぞー!!」
やや「おー!!」
りま「まぁ、がんばりましょうか。・・・・・・ミッドのお笑い文化も研究したいし」
(おしまい)
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