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小説(魔法少女リリカルなのは:二次小説)
幕間そのじゅうきゅう 『ばとる・おぶ・えいせす/古き鉄対マテリアル・・・・・・の巻』



古鉄≪というわけで、突如発生した思念体との戦いを描くであろう、幕間そのじゅうきゅうです。
みなさん、おはこんばんちわちわ。古き鉄・アルトアイゼンです≫

フェイト「・・・・・・フェイト・T・ハラオウンです。というわけで、今回は前回からの続き」

古鉄≪ひょんなことから目覚めてしまった思念体。それを止めるために、またまたヤンデレ師匠と戦います≫

フェイト「・・・・・・そう言うと、ゲームが誤解されそうですね」

古鉄≪とにかく、幕間そのじゅうきゅう、始まります。どうぞー≫

フェイト「ど、どうぞー」




















魔法少女リリカルなのはStrikerS 外伝


とある魔導師と機動六課の日常


幕間そのじゅうきゅう 『ばとる・おぶ・えいせす/古き鉄対マテリアル・・・・・・の巻』




















◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



「・・・・・・母さん、恭文には説明しなくていいんですか?」

『私から説明するのは、きっとルール違反よ。はやてさん達の判断に任せるわ。
ただ・・・・・・あの子が勝手に気づく可能性も、なくはないけど』



画面の中の母さんが、とても苦い顔をしてそう言った。確かに、アイツは勘がいいからな。

僕達が何も話さなくても、色々なことに気づいてしまう可能性はかなり高い。



「それもそうですね。とにかく、恭文の方を頼みます。僕にはエイミィが居ますし」

『了解したわ』



海鳴の空の下、恭文とは大分離れた場所で僕は思念体を一体眠らせた。

なんというか、鬱屈な気持ちのまま僕はフェイトに通信をかける。



『もしもし、フェイトです。クロノ、今そっちに向かってるんだけど・・・・・・何があったの?』

「フェイト、落ち着いて聞いて欲しい。闇の書が復活するかも知れない」

『・・・・・・・・・・・・え?』



闇の書、はやてがかつて所持していて、守護騎士のみんながその防衛プログラムを務めていたロストロギア。

当然のように、フェイトは困惑した顔をする。それはそうだ、普通ならありえない。



『ちょ、ちょっと待とうよ。どうして今頃? だって、闇の書事件からもう4年近く』

「今、思念体を三人相手にしていたんだが、一人目はシグナムだった。
そして、シグナムは闇の書の復活を目指していた」



母さんの話だと、恭文が戦ったヴィータも同じ感じだったらしい。さて、ここで疑問が出てくる。



「なお、二人目は君だ」

『私っ!?』

「あぁ。それも・・・・・・昔の、闇の書事件当時の君だ。ザンバーを振り回して、散々暴れてくれたよ」



今回出てきた思念体は、見る限り闇の書事件の関係者ばかり。そして、フェイトに至っては闇の書事件当時の姿。

体格や顔つきも今より幼く、バリアジャケットに至っては全くデザインが違う。少なくとも今出ている思念体は、今の僕達をコピーはしていない。



『じゃあクロノ、三人目は』

「・・・・・・事件当時の僕だった。僕を闇の書の関係者と勘違いして、襲ってきたよ」



フェイトだけならともかく、僕までこれだと、流石に色々と疑いを持ってしまう。

そして全てに置いて、闇の書というワードが出ている。だったらという事だ。



「過去の事件で、破壊されたロストロギアの残留魔力が、関係者の思念を形取った事後余波が起きた事がある。
そうして一つの形を取り、残留魔力は結集して元の形を取ろうとする。ロストロギア関連の事後余波の中では、ありがちなパターンだ」

『それは私も知ってはいるけど・・・・・・つまり、今回もそれってこと?
だから、9歳の頃の私や闇の書のプログラムだった頃の守護騎士のみんなが、コピーされてる』

「そうだ。だが、どうしてこれなのかが分からない」



フェイトの言うように、事件は4年も前に終息している。本来ならこういうのは、事後一週間とかそれくらいに起こり得ることだ。

これだけの時間経過を経てなお、なぜこんなことが起こる? キッカケはあっただろうが・・・・・・一体何だ。



『・・・・・・ねぇ、クロノ』

「なんだ?」

『ほら、ロストロギア・ガイアメモリ。あれがきっかけって言うことは考えられないかな?』



先日、恭文が少し無茶をして封印したロストロギアか。

確か土地の記憶を呼び起こすという、よく分からない代物。



『この間ヤスフミと話してたんだけど、土地の記憶ってその土地で起こった出来事の集合体らしいの』

「どういう事だ?」

『そこで起こった沢山の出来事の記憶、そこに住む人達の感情。
そういうのが長い時間をかけて土地に染み付いて、とても大きな一つの形を取る』



僕はよく意味が分からないが、フェイトはかなり真剣な様子なので、とりあえず話を聞く事にした。



『それが精霊や神様のようなものとしてそこに住む人達からは捉えられて、信仰対象になる。
ほら、日本にも八百万とかそういう考え方があるでしょ? それに近い感じと言えばいいかな』



つまり、僕達とは成り立ちが異なる一つの生命体が居て、その存在が保有する膨大な記憶が『土地の記憶』と。

もし居るとすれば、それはまさしく神様だな。僕達とは違う次元の存在なのは、間違いない。



『そして、今回は海鳴に染み付いた闇の書事件の記憶が呼び起こされた。
多分ガイアメモリの正体は、その土地の神様の記憶にアクセスする端末』

「・・・・・・はぁっ!? いや、フェイト・・・・・・ちょっと待てっ!! 君はまさか」



フェイトは、僕を見ながら真剣な目で頷く。つまり、『土地の記憶』を保有する存在は、確かな形で居る。

その膨大であろう記憶の中から、運悪く闇の書事件の記憶が構成魔力やプログラムと共に呼び起こされている?



『もしも・・・・・・もしもだよ? ガイアメモリで行うアクセスで呼び起こせるものが、記憶なんてあやふやなものだけじゃなかったら?
それに連なる形で、私達が破壊した防衛プログラムの欠片達まで一つの形を取って呼び起こされてしまったとしたら?』

「・・・・・・だから、これか。まるでファンタジーの世界だな」

『そうだね。でも、アレ以外に海鳴でこんな事が起こるきっかけって、思いつかないんだ。
思念体が実体化するにしても、膨大なエネルギーが必要になるわけだから』

「確かにそうだな」





誰かがあれこれ動いたとかだとしても、そうすると今度は別のことが納得出来ない。

それは、闇の書当時の僕達を象った思念体を持ち出す理由だ。そこがどうしても思い当たらない。

例えばだ、僕達の偽物を使って評判を貶めようと考えたとしても、なんでわざわざこんな手間をかける?



何より、思念体一体一体は防御力が非常に低い。攻撃が一発クリーンヒットすれば、簡単に砕ける。



上手いやり方など、他にいくらでもある。普通に人為的なものが理由でこれは、想像がつかない。





『・・・・・・ヤスフミにホントの事全部教えてあげられないの、残念だね。
きっと大喜びするよ? 事情はどうあれ、そういう記憶の集合体が居る事は証明されたんだから』

「そうだな」



そういうものが、この土地に・・・・・・いや、もしかしたら人が住まう全ての土地に存在しているのは、間違いない。

きっと、アイツは目を輝かせて楽しげにする。未知なものに心を踊らせるところは、本当に子どもだ。




『とにかく私達も急ぐよ。クロノも無茶しないでね。最近、ずっと艦長生活なんだし』

「安心しろ。自由研究を恭文に任せっきりにする君に心配されるほど、錆びついてはいない」

『そ、そこは言わないで? ・・・・・・うぅ、どうしよう。
エリオの世話も局の仕事も放り出せないし、学校は行きたいし』



まぁ、我が妹の苦悩は放置しておこう。というより、恭文は・・・・・・アレだな。

普通にお父さんみたいな発言をしているな。こういうのも、フラグが立たなくなる要因じゃないのか?



「あぁ、それとフェイト」

『なにかな』

「恭文がもしかしたら思念体との遭遇で、はやてや守護騎士の出自に気づくかも知れない」



通信を切ろうとしていたフェイトの動きが止まった。だから、今度は僕が頷いて返す。



『引いてもらった方がいいのかな。今回のこと、ヤスフミには無関係なんだし』

「闇の書の事後処理になるのなら、僕達の領分だしな。だが、それはもう無理だ」

『そうだね。きっと、納得なんてしてくれない。うん、するわけないよね。もう・・・・・・関わっちゃったんだから』










とにかく、こうして僕達の長い夜は始まった。空気を読まずに呼び起こされた闇は、未だ広がり続ける。

土地の記憶・・・・・・恭文があれこれ気にしてはいたが、まさかこんな形で転がるとは。

・・・・・・リインフォース、安心してくれ。仮にコレが本当に闇の書の復活だとしても、必ず止める。





あなたがここから去った想いと決意を、絶対に無駄になどしない。




















◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



「・・・・・・結界、突入成功」



なんとか海鳴に戻ってきて、まず結界の一つに突入。だけど・・・・・・え?

その中心に居た思念体は、青いジャケットに硬き盾に、古き鉄を持っていた。



「・・・・・・拭えない」



それは、ヤスフミだった。うそ、だって・・・・・・ヤスフミは闇の書事件には、関わってないはずなのに。



「どんなに洗っても、どんなに忘れようとしても、拭えない。奪った記憶が、消えない」



・・・・・・ううん、キッカケならある。ヤスフミは、ガイアメモリの発動地点に居た。

それがきっかけで、ヤスフミの記憶まで闇の書の欠片に混じったとしたら?



「・・・・・・ヤスフミ」



私は、ゆっくりと降り立ちながら、ヤスフミの側に行く。ヤスフミは、私に視線を向ける。

その視線の色に、覚えがあった。・・・・・・最初の頃の、何も寄せ付けない拒絶の色。



「・・・・・・誰?」

「あなたの、友達だよ」

「嘘だよ」

「嘘じゃないよ」

≪Stinger Ray≫



瞬間、夜の闇を斬り裂く青い閃光が走る。私は右手のバルディッシュを、前にかざす。



≪Defensor≫



そうして、ヤスフミの放った攻撃を防御する。・・・・・・うん、今のはヤスフミなの。

左手を上げて、躊躇いもなく私を撃った。いつものヤスフミと、全く違う攻撃だった。



「嘘だ。僕に友達なんて、居ない」



ううん、私はこの殺気と、躊躇いの無さを知ってる。『敵』と戦う時のヤスフミだ。

・・・・・・やっぱり、身内には甘いって事なのかな。ここまでの殺気をぶつけられた事、一度もないもの。



「友達なんて・・・・・・もう、居ない」



それで・・・・・・あぁ、そうだ。本当に最初、私達とヤスフミが会った時の記憶なんだ。

だから、私の事も知らないし、友達なんて居ないと言い続ける。



「間違えて、傷つけた。殺した事は、一欠片だって後悔なんてしてない。
自分で選んだ。だから、そんな権利なんてない。でも、殺して傷つけたことが、悔しい」



大事な友達の笑顔を守れなかった事、それが・・・・・・ヤスフミを苦しめていた。

だから、今苦しんでる。無表情だけど、泣いてる。涙は、心の中で流し続けてる。



「だから、友達なんて居ない。嘘を、つくな」

「嘘じゃないよ」



バルディッシュを、両手でもって前にかざす。・・・・・・ごめんね。

私は、苦しんでるあなたを抱きしめられない。こうやって、眠らせる事しか出来そうにない。



「嘘になんて、絶対にしない。今までも、これからも・・・・・・絶対に。
苦しいなら、言い訳してもいいよ。私は、それも全部認める」

「出来るわけ・・・・・・ないだろうがっ! 綺麗事ばかり抜かすなっ!!」



右手の刃を、ヤスフミは振りかぶる。そして、突撃してきた。



「そんなの、力が有る奴の台詞だっ! 見下してんじゃねぇよっ!!」



突き刺さった言葉は、とりあえず伏せておく。私は・・・・・・ランサーを大量生成。



「・・・・・・それでも思うんだ。苦しむあなたを、見ていたくなんてないから」

≪Plasma Lancer≫



油断は禁物だけど、これで一気に終わらせる。



「あなたには、ずっと笑っていて欲しいから。・・・・・・好きなんだ。あなたの、笑顔が」

≪Fire≫










掃射された雷撃の槍は、ヤスフミを撃ち抜き続けた。そして・・・・・・砕く。





やっぱり、思念体は本物よりも力が劣るらしい。だから、本当にアッサリ勝負がついた。




















◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



「じゃあ、私の胸の柔らかさの感想はっ!?」

「マシュマロみたいな感じで、それでいて張りが有って揉み心地がとてもいいっ!!」

「じゃあじゃあ、一緒にお風呂に入った時の体勢はっ!?」

「シャマルさんが後ろから僕を抱える形っ!!」



本物だという証明のために、僕とシャマルさんしか知らない事を、ひたすらに確認し合う。

だけど疲れる。こうまでしないと、この人は僕を本物と認識出来ないの?



「なら、私と恭文くんが初めて唇でキスしたのはっ!?」

「してるかボケっ! てーか僕まだ12歳だからっ!! そんな事出来ないしっ!!」

「・・・・・・この引っかけ問題にも正解するなんて」



何をどう引っかけたっ!? こんな問題に引っかかる奴なんて、いるわけないでしょうがっ!!



「なら、私と恭文くんが初めてキスするのは何時っ!?」

「未来永劫ないっ!!」

「不正解よっ! 14歳の誕生日に、私は恭文くんを大人にしてあげるんだかっ!!」

「ふざけんなっ! 普通に人の貞操を狙う計画立ててんじゃないよっ!!」

≪・・・・・・あなた方、何時まで続けるつもりですか。というか、バカバカしいですから≫




















◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



「・・・・・・見下してんじゃ、ねぇ。その悲しそうな目・・・・・・やめろ。その目で・・・・・・嘘を、吐き続けるな」

「見下してなんて、ないよ。嘘になんてしない。私は力になりたいから」

「力になれるだけの『力』があると自負してるのが、見下してるっつってんだよっ!!」



あの子の身体は私のランサーに撃ち抜かれて、身体が白い破片に変わっていく。

消えゆく間際の咆哮に、私は何も反論出来なかった。



「僕はお前を認めない。お前が言うような綺麗事は・・・・・・絶対、認めない。
お前になんて、守られたくない。力になって欲しくなんてない」



言葉は続く。敵意は、消えなかった。ただひたすらに、私に対してそれを向け続ける。



「お前は偽善者だ。自分に力があると自惚れて、全て分かったような顔して、その証明のためにそんな事を抜かす。
お前はただ誉められたくて、認めてもらいたくて、嘘の感情で人を助け続ける。あぁ偽善者だ。最低最悪の、嘘つき女だ」



・・・・・・全部否定された感じがした。執務官をしている事も、エリオの世話をしていることも、全部。

それが悔しい。でも、もっと悔しいのは、それに対して反論出来ない自分が居る事。それがすごく悔しい。



「・・・・・・悔しい」



だけど、更に悔しい思いをしてる子が、目の前に居た。

その子に比べたら、私の悔しさなんて・・・・・・陳腐なものだ。



「お前みたいな奴に・・・・・・悔しい」



敵意が、自身への悔しさに変わった。だから、私への視線が少しだけ緩んだ。

その瞬間にも、身体の破片化は止まらない。腰から胸元、そして首へと到達する。



「もっと、もっと・・・・・・力が、あれば・・・・・・何もかも、壊せる・・・・・・のに」



そして、その身体の全てが破片になって、夜の闇に消えた。破片の一つ一つも、粒子化して消えていく。

・・・・・・私はだた、バルディッシュを強く握り締めるしかなかった。



「何も、反論出来なかったな。なんていうか、思念体でも手厳しいのは相変わらずか」



ヤスフミは、いつもそう。私の常識とか、考えてる事とか、簡単に壊しちゃうの。

その度にさ、思うんだよ? 悔しいなって。私は・・・・・・ヤスフミみたいに強くないから。



「・・・・・・見下していても、偽善者でも、嘘つき女でも・・・・・・だめ、なのかな」










そう呟いてみても、胸の中の敗北感は消えなかった。





だから、一人その場でしばらくの間、呆然としていた。





うん、負けたんだ。反論出来なかったから、これは私の・・・・・・負け。




















◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



≪そして、それから1時間後。ようやくバカルさんは、私達が思念体でないと分かりました≫

「バカルってひどくないっ!? 私、バカじゃないもんっ!!」

「よーしアルト、さっきまでの会話内容をぜーんぶみんなに報告しようか。それで、公開裁判で判断してもらおう」

「やめてー! お願い、はやてちゃん達には内緒にしてっ!? 私がバカだったと思うからー!!」



あー、疲れた。すっげー疲れた。てゆうか、これで1時間かかったってのが、信じられない。

だめだ、この人マジでダメだ。てゆうか、やる気が回転しすぎてマイナスになってるし。



「うぅ、ごめんなさい。そうよね、現地妻1号として私は失格よね」

「その前に大人として失格ですよ。もう変態ですよ変態。僕はまだ子どもなのに、今のうちから狙うなんて」

「違うもんっ! 私は変態じゃないもんっ!! ただ・・・・・・頑張り屋なだけなんだからっ!!」



頑張り方のベクトルを激しく間違えてるからっ! くそ、マジではやてに相談して対処するわっ!!

さすがに貞操の危機を感じてるんだよっ!? 押し方ちょっと怖いからっ!!



「・・・・・・シャマルさん、とりあえずアレですよ。この調子だと、みんなが来ても同じことになるんじゃ」

「無視ってひどくないっ!? うぅ、恭文の鬼畜で外道っ! そうやって、いつも私を弄んでっ!!」



人聞きの悪いこと言うなっ! 僕はシャマルさんを弄んだ覚えなんてないしっ!!



「でもそうね。バリアジャケットや外見が変わってるフェイトちゃん達はともかく、私達守護騎士メンバーは危ないかも」

「いきなりテンション戻さないでもらえますっ!? 僕が疲れるんですけどっ!! ・・・・・・あ、そうだ」



僕は、懐からあるものを出す。それは小さな小袋。そこから出すのは、黒いリボン。

なお、両端が金色に染まっているので、正しくフェイト的なデザイン。



「恭文くん、それは?」

「フェイトへのプレゼントです」



ヘコんでたから、そのフォローのために買って来たのよ。一目見て、フェイトに似合うってピンと来たから。



「シャマルさん、バリアジャケットを一部変えて、これと同じものを身体のどこかに巻いてください。出来るだけ分かりやすいところに」

「・・・・・・あ、なるほど。そうして思念体とのデザインの差で、本物かどうかの見分けを付けるということね」

「はい」



万が一、思念体が真似とかしてきたら、アウトだけど・・・・・・あれは、記憶を元に構築されてるわけでしょ?

思念って言うくらいだしさ。だったら、上手くいけばこれで同士討ちは避けられるかも。



「あぁ、さすが恭文くんだわ。私、またフラグ立っちゃったかも」

「フラグ立たなくていいから、早くしてください。というか、みんなに連絡を」

「そうね」





そして数分後、みんなに連絡を取って、全員からオーケーが出た。

ただ、一応本人かどうかあらゆる手段を用いて確認することが義務付けられた。

そこは、僕も同じだね。・・・・・・フェイトが僕の思念体に、早速遭遇したらしい。



とりあえず、僕は後ろ髪の一部をポニーにして・・・・・・いいの、分かりやすいんだから。



そして、シャマルさんは首元にちょうちょ結びでチョーカーにする。





「・・・・・・せっかくだから、恭文くんに巻いてもらう方が良かったかな。
それで、私は名実ともに恭文くんのものになるの」

「さてアルト、次はどこだっけ」

≪北へ200メートルですね≫

「あぁんっ! 無視しないでー!!」










当然のように僕は無視して、次の地点に向かう。なお、シャマルさんも一緒。





一人だと危ないと言う判断だけど、まぁ・・・・・・いいか。僕はもう何も言わない。




















◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



「・・・・・・なんつうか、分かりやすいくらいに分かりやすいですね」

「そうね」





山間部の真上。その結界の中に居たのは・・・・・・はやて。

ただし、僕が知っているのよりも大分小さい。そして、当然のように問題もある。

それは、僕達に対して殺気を向けているということ。というか、僕に対して。



普通にはやては、僕に対して怒っている。だけど、理由が分からない。





「・・・・・・アンタか、うちの子達を消したんは」



はぁっ!? いやいや、うちの子達ってそもそも誰っ!!

・・・・・・いや、考えるまでもない。多分、師匠達だ。



「居ない、どこにも居ないんや。なぁ、返してや。うちの子達を返してや。あの子達が何したん?
何もしてないやろ。確かに闇の書は、そのプログラムであるあの子達は悪い事したかも知れん。けど」

「とりあえず、その『うちの子』はいきなり僕に対して、『ミンチにしてやる』って言ってくれたんですけど?」

「たったそれだけやのに消したんかっ! それは、ただアンタの事が好きなだけやろっ!?」



あぁ、確かにそうかも。それは僕が悪い・・・・・・って、んなわけあるかいっ!!



「やかましいっ! あんな正真正銘で殺気の隠った殺し文句なんて、僕は認めないっつーのっ!!」

「てゆうか、それ以前にシャマルっ! なんでアンタはそっちに居るんやっ!!」



え、今さらそこっ!? いやいや、もっと早くにツッコむべきだったよねっ!!



「ごめんなさい、はやてちゃん」



言いながら、シャマルさんは右手を突き出した。というか、チビはやての胸元から右手が飛び出してきた。



「・・・・・・これは、夢なんです。だから、眠ってくださいね?」



シャマルさんは、自分の手と一緒に飛び出してきた小さな光を掴んで、そのまま腕を引く。

そして、生えてた腕はなくなり、はやてはそのまま力なく墜落。落ちながら白い破片に変わっていく。



「・・・・・・容赦ないですね」

≪というか、空気を読んでいませんって≫

「いいの。というより、あまり時間もかけられないし、ここはさくさく行きましょ?」

「それもそうですね。どっかの誰かさんのせいで、1時間は無駄にしてますし」

「あーん、そこは言わないでー!?」










とにかく、次だ次。この調子でどんどん片付けていかないと・・・・・・でも、うーん。

闇の書ってフレーズがやたらと出てくるな。師匠、シャマルさん、はやてと続いた。

・・・・・・この思念体に共通している部分は、そこだ。他に遭遇しているのがどうかは、分からないけど。





というか、さっきのシャマルさんの速攻も、チビはやてに余計なことを言われないようにさせるようにも見えてた。





もしかしてこの異変は、その闇の書ってフレーズがキーワードになってる?




















◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



恭文からの提案を受けて、僕もバリアジャケットを一部デザイン変え。

今までの物より若干簡素な感じのデザインにした。

もっと言えば、事件当時の僕のジャケットのデザインに近い。





もちろん、提案されたリボンも装着している。首元に蝶結びなら、誰でも気づくだろう。

とにかく、フェイトが少し動けなくなってるので、僕達が頑張る事にする。

・・・・・・恭文の思念体から、相当辛辣な事を言われたらしい。アースラに居るアルフとエイミィがお冠だった。




もちろん、二人も恭文当人ではなく、思念体の恭文が言ったのは理解している。

なので、怒りの対象はその思念体だ。というより、これを本人ぶつけたら、恭文は躊躇い無く二人を殴るだろう。

そんな事を考えつつも・・・・・・結界に突入。中心部の思念体の反応を目指して、真っ直ぐに飛行。





もちろん、警戒することも忘れない。そうして目に付いたのは、剣の騎士。

ポニーテールのリボンが、僕の首元のそれと同じ。だが、反応も思念体と同じ。

なので当然のように、僕は彼女の前に降り立ってデュランダルを向ける。





そうする理由は、もう言うまでもないと思う。










「・・・・・・先程、ザフィーラの思念体を眠らせた所です」

「そこに僕が飛び込んで来たということだな。だが、おかしい。
今の君の反応は、思念体のそれと全く同じなんだ」



普通なら動揺するところだと思う。ただ、彼女は静かに納得したように頷いてくれた。



「目印もありますが」

「そうだな。ただ、これだけではどうしても判断出来ない。
思念体が、対応策として今の僕達の姿を取り出した可能性もある」

「でしょうね。事件とは関係の無い蒼凪の思念体も出てきている以上、今おっしゃったように対応してくる可能性は、考えられます」



だから、ゆっくりと腰の相棒を抜き・・・・・・正眼に構える。



「すまないな。少しだけ付き合ってくれ。そうすれば、嫌でも分かるはずだ。
思念体ならば君は必ず僕に負ける。それもあっさりとだ」



何故なら思念体は、本物の剣の騎士シグナムより弱いからだ。

恐らく、これが1番簡単であり手っ取り早い確認方法になる。



「問題ありません」










・・・・・・というわけで、僕は本物であろうシグナムと戦闘に突入してしまった。





しかし、今さらだが単独行動はかなり危険なのでは。




















◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



チビはやてと遭遇して、フェイトが戦闘不能になったりクロノさんが身内同士で削り合いしている間にも、僕達は直進。





ここに来るまでに、数々の強敵が待っていた。というか、大変だった。なので、それをダイジェストでお送りします。










「駆けろ、隼っ!!」

「駆けさせるかボケっ!!」

「ぐぁぁぁぁぁぁぁっ!!」



いきなりボーゲンフォルムで攻撃かまそうとしたシグナムさんを、右薙にぶった斬る。



「血が・・・・・・血が足りんっ! 貴様の血を、肉を・・・・・・我によこせっ!!」

「今すぐ肉屋に直行しとけボケっ! クレイモアッ!!」

「がぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!?」



本能的なお食事タイムに突入していたのか、僕を食事的な意味合いで食べようとしていたザフィーラさんをクレイモアで蜂の巣。



「その人と居るということは、まさかあなたも闇の書のプログラ」

「ぶすっ!!」

「きゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」



チビなのはの胴体を、またまたシャマルさんの右手が貫通した。

・・・・・・また、闇の書ってワードが出たし。



「てめぇ、ミンチに」

「それはもう聞き飽きたっつーのっ! 飛天御剣流、双龍閃・・・・・・雷もどきっ!!」

「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」



またまた登場した、ヤンデレ師匠を、もどき剣術で一蹴。

そうして・・・・・・その後に3連続でヤンデレ師匠を撃破。だから、僕はこう言うのだ。



「やってられるかボケっ! つーか、キリ無さ過ぎっ!!」



さすがに連続であんな求愛されたら、さすがに参るわっ! 大事なことだから、『さすがに』って2回言っちゃったしっ!!

てーか、アレなにっ! 普通に、なんで数有る中であれを連続で引き当てるっ!? 絶対おかしいからっ!!



≪確かに、全く前に進んでる感じがしませんね≫

「というより、恭文くんだけヴィータちゃんと5回遭遇って・・・・・・師弟の絆かしら」

「こんなヤンデレで死亡フラグに満ち溢れた絆、いらないんですけどっ!? てゆうか、これどうなってるんですかっ!!」



とりあえず、一旦足を止める。というか、ちょっと休憩だ。

この調子でやってても、全く意味がない。リンディさんに連絡を取って、現状をちゃんと把握する。



『はい、リンディです。・・・・・・大分苦戦してるようね』

「苦戦はしてませんよ。適当に叩けば消えちゃうんですから。
そこで一つ確認です。思念体の数、減ってます?」

『それが全く。新しい結界と思念体が次々と発生し続けてる』



くそ、やっぱりかい。そうだよね、分かってたわ。だって、あれから大分時間が経ってるのに、進展無しなんだよ?

戦線離脱したフェイトはともかく、なのはにはやてに師匠達、クロノさんまで投入して、全く解決しないんだもの。



『というより、今問題になってる事がまだあるの。
・・・・・・たった今まで、クロノとシグナムさんが戦闘していたわ』

「その言い方だと・・・・・・本物同士が、ですよね?」

『えぇ』



リンディさんは、言いながら僕の言葉に頷いてくれた。

・・・・・・あはははは、なんですかそれ。せっかく対策整えたってのに。



『それだけじゃなくて、なのはさんとヴィータさんもね。
互いに勘違いで、かなりガチにやったそうよ』

「・・・・・・僕のアイディア、役立たずですか?」



くそ、やっぱ対策が甘かったのか? うー、この現状で身内同士の削り合いとか、やめて欲しいのに。

普通にそんな事で時間をロスしている間に、思念体が増殖し続けるんだもの。ダメだって。



『いいえ、そういうわけではないの。ただ、色々と事情が絡んだせいでこうなって・・・・・・うーん、これはだめね』

「いっそ、ツーマンセルで動いた方がいいかも知れませんよ?
単独で居るから、余計に間違えられやすい」

『そうね。なら、早速チーム編成に入る事にする』



そう言った時、僅かにリンディさんの顔が困ったようなものになった。

その理由を考えて・・・・・・いや、考えるまでもないか。だから、僕はツッコむ。



「つーか、フェイトはまだ休憩中ですか? ティータイムにしては、ノンビリし過ぎでしょ」

『・・・・・・えぇ。今はアルフが側についてる。フェイト自身は、もう大丈夫と言ってるんだけど』

「傍目から見ると、大丈夫そうじゃないと。つーか、ぶっちゃけフェイトはもう出せない」



通信画面の中のリンディさんは、困ったような顔で頷いた。



「相当アレなんですか?」

『と言うより、動揺を認めようとしないの。でも、完全に押し殺せない。
それがダメだと思うから、また押し殺そうとする。でも、押し殺せない』

「それが堂々巡りの悪循環で、結果的にダメージを自分で深くしてると」

『正解よ』



・・・・・・フェイトが下がって、既に2時間。フェイトは、悪循環を続けていたわけですか。

つーか、マジで僕の思念体は何を話した? さすがに気になってくるし。



『とにかく、フェイトを出すのは危険。私とクロノ、あとエイミィはそう判断したわ。
それにバルディッシュもね。・・・・・・あなたの思念体が、これだけとは限らないもの』

「また同じようなこと言われて、動けなくなる可能性・・・・・・あぁ、ありますね。
現に私達も、ヤンデレヴィータちゃんに複数回『ミンチにしてやる』と言われてますから」

『なのはさん達の方は、7回連続でザフィーラと遭遇。お前らの血と肉を味あわせろと言われたそうよ』



・・・・・・あぁ、アレか。あのキャラも濃いよなぁ。ある意味新境地だけど、あれが7回はもはやギャグだって。



≪出現頻度というか、遭遇する思念体に偏りが出てますね≫

「リンディさん、マジで今フェイトは出さない方がいいです。
普通に僕も、師匠に『ミンチにしてやる』で求愛されまくって、もう怖くて怖くて仕方ないんですから」

『・・・・・・そうね。というか、これはダメよね』



フェイト、少なくともハードボイルドキャラじゃないしなぁ。ポーカーフェイスとかは苦手なの。

どうして事件捜査になんて関わってるのかって言うくらいに、優しい穏やかな子だもの。



「でも、僕は謝りませんよ? だって僕、何を言ったかすら分からないですし」

『分かってるわよ。あ、アルフもお怒りモードだけど、ちゃんと納得してる。
怒ってるのはあなたじゃなくて、あなたの思念体に対してだから』

「当然でしょ。これで僕に怒られたら、遠慮なくぶん殴りますって」



とにかく、戦えなくなったフェイトはここではいい。僕が何言ったとかも、いい。

問題は・・・・・・どうすればこの現状が解決するかだよ。



「リンディ提督、そちらの調査ではその・・・・・・何か分かった事はないんですか?
私も色々考えてはいるんですけど、どうしてもさっぱりで」

『一つだけあるわ。あくまでも推論にはなりますけど』

「なんですか?」

『思念体の中心部分・・・・・・ようするに、核となるポイントがある』




















◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



しばらく戦った結果、ようやくシグナムが本物だと分かった。そして、もう一つ。

元々闇の書のプログラムだったシグナム達は、欠片に接触すると一つの変化を起こす。

思念体のエネルギーに汚染されて、一時的に欠片と同じ反応を持ってしまうらしい。





なお、そこはシャマルやザフィーラ、なのはと勘違いで戦ったヴィータも同じくだった。

守護騎士のみんなには、単独行動を控えてツーマンセルで動いてもらう事にした。

シャマルは恭文が居るからいいとして、ザフィーラははやてとリイン、ヴィータはなのは。





そして、丁度いいのでシグナムは僕とだ。・・・・・・正直、分散して対処が望ましくはある。

たがそれをやるのは、呆れ顔のエイミィと母さんから止められた。原因の一つは僕達だ。

まず、恭文が勘違いをしたシャマルに襲われて、危うくリンカーコアを抜かれかけた。





その上同時に二箇所で、身内同士で削り合いが起こった。

それも、きっちりと見分けがつくように処置をした上でだ。

それを聞いて、発案者の恭文が頭を抱えていたとか。





・・・・・・それを聞いて、さすがに申し訳ないと思った。

こうなった以上、そこは僕達も納得した。納得した上で、話が進む。

エイミィが無限書庫のユーノやはやて達と協力して、色々調べてくれた。





そうして出てきた一つの可能性がある。そしてそれは、ある意味では当然だった。










「闇の書の構築体マテリアル?」

『そうだよ。そのマテリアルを中心核として、闇の書の闇は復活しようとしてるんじゃないかって話が出てるの』

「・・・・・・なるほど。私達がこれまで倒してきたのは、あくまでも欠片に過ぎない。
その欠片の中心となり、闇の書の闇となる存在が居たとしても、不思議ではありません」





闇の書の能力の一つは無限再生プログラムだ。この機能は、元々は普通の物だった。

夜天の書の自動修復機能が、歴代の保有者によって改悪された結果生まれた機能。

その自動修復は、夜天の書が保有した魔導の知識や技を、後世にちゃんと伝えるためのもの。



だが同時に、闇の書を闇の書として足らしめる要因の一つ。だからこそ僕達も、この話に納得出来る。

元々、思念体達がこのプログラムに乗っ取って復活しようとするところまでは、考えていた。

だが、その中心核・・・・・・あぁ、そうだな。十二分に有り得る話だ。





『そして、そのマテリアルが欠片の発生源になってる可能性もあるんだ』

「・・・・・・つまり、マテリアルは今までの思念体達とは違うということだな」

『クロノ君正解。そうだよ、あくまでも推測になるんだけどね。
マテリアルが居るとするなら、きっと自分の意志で中核になろうとしてる』





・・・・・・更に納得した。つまり、そのマテリアルが一連の事態を動かしているわけか。

自分が核になるのもそうだが、その力となる思念体達の発生まで請け負っている。

そして、マテリアルを倒せば、欠片の発生速度が低減するかも知れない。



いや、もしかしたら欠片自体の発生も、ストップするかも知れないと。





『ただ、気をつけて? 欠片達の中心部になる以上、当然のように他の欠片より能力は高いはずだから』

「了解した。僕達はマテリアルの捜索と、排除に当たる。シグナム、すまないが付き合ってくれ」

「はい、お供します」

『うん、お願い。・・・・・・それと、身内同士での削り合いはもうダメだよ?
特にさっきみたいな壮絶などつき合いは禁止だから』



若干睨み気味にエイミィにそう言われて、僕とシグナムは頬を引き攣らせる。

画面に映る瞳を見て分かった。エイミィは、怒っている。



『何のために恭文くんがリボンのアイディア出したのか、意味が分からないもの。いい?』

「「・・・・・・はい」」




















◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



≪とにかく、周囲の思念体を吸収して、何かに変身しようとしてるのが居ると≫

「それが構築体マテリアル

『そういうことね。とにかく、ここからは少しミッション内容を変更よ。
欠片に対処しつつ、マテリアルの捜索と排除を最優先に』

「・・・・・・リンディさん、とりあえず今は捜索する必要ないです」

『え? ・・・・・・まさか』



僕とシャマルさんは頷いて、5時の方向を見る。

そこは、海鳴の街中。特に何かするわけでもなく、普通に気づいた。



「今までの欠片達より強い反応、現れました。それも、私達のすぐ近くに」

「つーわけで、早速行ってきます。うし、派手に暴れるか」

『分かったわ。気をつけてね』



通信画面が消える。僕とシャマルさんは・・・・・・真っ直ぐに、その方角を見据える。



「恭文くん」

「ほい?」

「フェイトちゃんにフォロー、しなくていいの?」

「しようが無いでしょ。僕、思念体の僕が何言ったかすら分からないんですよ?
つーか、グダグダ言われたくらいで戦えないって言うなら、別にそれでもいいですよ」



お手上げポーズで軽く言うと、シャマルさんの表情が険しくなる。でも、すぐに苦笑することになる。



「あとでリボン渡して、ちゃーんと話しますし」



だって、僕はこう言うから。そしてシャマルさんは、苦笑しなかった。

どこか嬉しそうに微笑んでくれた。・・・・・・予想、外れたな。



「・・・・・・そっか」

「いや、ダメだ。これ死亡フラグだし。あぁ、だめだだめだ。普通にお亡くなりコースだよ」

「そこは気にしなくてもいいんじゃないかなっ!? ほら、きっと大丈夫よっ!!」




















◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



とにもかくにも、僕達はマテリアルが居ると思われる結界内部に突入。

街中で鼻歌なんて歌っていたのは・・・・・・え?

結界内部に居たのは、僕達の良く知る姿。でも、細かいところが違ってた。





青い髪のツインテールに紫の瞳に青いリボン。白いマントに黒い制服チックな上着とスカート。

髪の中程から色が濃くなってて、青というより藍色に近い色合いのツインテールが、風に靡く。

左手の小手に、右手には閃光の戦斧。ただし、金色のはずのコア部分が、青色になってる。





僕達に気づいたのか、紫色の瞳が楽しそうにこちらを見る。僕達は、そいつの前に来た。

とりあえず、ワケが分からない。なんでここに・・・・・・フェイトが居る。いや、それ以前におかしい。

確か、守護騎士メンバーはともかくなのはやはやて、フェイト達はどういうワケか9歳当時の姿だったはず。





でも、今目の前に居るのは明らかに今のフェイトの姿だ。そして、その風貌にかなり差異がある。





だからだろうか。一瞬で気が引き締まったのは。










「疑問という顔だね、古き鉄」

「・・・・・・誰のことよ、それは」

「君だよ君。今、ボクがネーミングした。うん、バッチグーだね」



そう言って、笑う。フェイトの顔をしながら・・・・・・そいつは、本当に楽しげに。



「つーか、なぜにその格好? 偽物やるにしても、再現度が中途半端でしょうが」

「理由は一つ。当時の彼女の記憶と、君の記憶が混じり合った結果さ。
君、ボク達が目覚めた場に居たよね? だからさ。あと、髪の色とかはボクの趣味」



目覚め・・・・・・ガイアメモリの発動の事か。アレがきっかけなのは、リンディさん経由で聞いてる。

あぁそうだ、確かに居た。そして、コイツらは他の欠片より強い力を持ってる。



「・・・・・・左様で」



だから、今までみたいなチビなのはやはやてじゃなくて、今のフェイトの姿ってわけか。

こりゃ、他のマテリアルも同じ可能性があるな。もちろん、他のマテリアルがフェイト達の姿を象っている事前提だけどね。



「あなたがマテリアルなのよね? こういうのは近所迷惑だから、止めて欲しいんだけど」

「それは無理だよ。闇の書の復活のために、必要だから。
そう、必要なんだよ。止む事のない殺戮と血の雨の世界を作るには」



フェイトの顔で、ソイツは笑う。楽しそうに・・・・・・そして、世界の全てを嘲るように。

両手を広げて、自分に酔っているように笑う。てか、また闇の書ってワードが出てきた。



「そうして、ボク達は永遠の闇になる。さぁ湖の騎士、もう一度一つに戻ろう?
こうやって本来消えたボク達が目覚めたのは、そうなる運命だったからさ。だから、受け入れろ」

「・・・・・・その名を、この子の前で出さないで。この子には、何の関係もない」

「そうかそうか。それは悪いことをした。そして理解したよ」



そいつは、右手のバルディッシュらしきものを、両手で持って構える。



「悲しいかな、ボク達は戦わなくちゃいけないらしい。まぁいいさ、君達をあの艷やかな闇の一部にしてあげよう。
ボクは君達を、闇の書の復活の糧とする。そうしてボクは、永遠の闇の中を飛ぶ。・・・・・・さぁ、始めようか」



シャマルさんが飛び出そうとするけど、僕は右手で制した。



「シャマルさん、ちょっと下がっててもらえます? コイツ、僕が潰しますから」

「あはははは、面白い事を言うなぁ。古き鉄、それは無理だよ」

≪Sonic Move≫



青い光に、目の前の女が包まれる。そうして、僕の後ろを一瞬で取った。

それだけじゃなくて、駆動音が聞こえる。そちらを見ると、青い鎌が生まれた。



「この雷刃の襲撃者とバルニフィカスの速さ、君には捉えられないよ」



振るわれる鎌の切っ先を僕は・・・・・・アルトの柄尻で受け止めた。

柄尻と刃の切っ先が衝突し、火花を散らす。



「なんだとっ!?」

「・・・・・・遅い」

「遅いだとっ! そんなわけがないっ!!」

「遅いよ。フェイトは、お前の3倍は速い」



雷刃の襲撃者・・・・・・あぁ、長い。フェイトもどきでいいや。

フェイトもどきは、後ろに大きく飛んで距離を取る。そして、デバイスが変化した。



≪・・・・・・いきなりザンバーですか≫



どうやら、真面目に潰すつもりらしい。いきなりザンバーフォーム出してきた。

ただし、刃は青。魔力の光も、コイツの趣味で変わってるらしい。



「フェイトが元だしね。しゃあないでしょ」



そして、周囲には青いプラズマランサーが出現。数は、8発。当然のように、僕を狙ってる。



「ねぇ、僕の姿をした思念体が、何言ったか知ってる?」

「君の思念体? ・・・・・・あぁ、アレかな。君、相当強い後悔を持ってたんだね。
その子が言ってたよ? 彼女を自分が誉められるために戦う、偽善者だと」



それだけで、色々察した。・・・・・・だから、振り切れた。

どこかで引っかかっていた刺を振り切って、目の前の事に集中する。



「そう、ありがと」

「え? ・・・・・・い、いやその・・・・・・どういたしまして」



あ、なんかお礼言ってきた。・・・・・・何気にノリがいい子?

うむぅ、フェイトもこれくらいだったら、丁度いいのになぁ。



「素直でいい子だね。正直、僕はおのれみたいな子は、タイプだよ?」



無形の位のまま、一つ魔法を発動。



「ボ、ボクはいい子なんかじゃないやいっ! そうだ、すっごく悪い子なんだからっ!!
ボクは深き深淵の闇を生み出す、力のマテリアルだぞっ!? いい子なんて言うなー!!」

≪Flier Fin≫

「関係ないよ、そんなの」



両足に生まれるのは、青い翼。それが羽ばたき、夜空に同じ色の羽を撒き散らす。



「愛に性別や種族、生まれなんて関係ないんだから。・・・・・・よし、決めた。
僕が勝ったら、デートしてよ。おのれと色々遊びまわるのは、楽しそうだ」

「デートッ!?」

「恭文くん何言ってるのっ!? 私と言う現地妻がありながら・・・・・・!!」

「はい、そこ黙れっ!? 普通に僕は現地妻なんて囲ってないしっ!!
・・・・・・とにかく、話は決まったね。それじゃあ、行くよ」



僕は、フライヤーフィンを羽ばたかせて、真っ直ぐに前に突っ込んだ。



「こ、こらー! 勝手に話を決めるなー!!」



青いザンバーを持ったまま、あの子は僕に向かって突っ込んでくる。そして、右に振りかぶる。

僕も、同じようにアルトを右に振りかぶり・・・・・・衝突する。



「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」










長い夜の終わりは、まだ見えない。ただ・・・・・・一つだけ光が見える。





目の前の子は面白いので、これから楽しめそうなのが、嬉しい。




















◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



『・・・・・・エイミィさん、失礼します。恭文くんがマテリアルの一体と戦闘に突入しました。
それがその・・・・・・フェイトちゃんの姿なんです。それも事件当時ではなく、今のフェイトちゃん』

「うん、こっちでも観測してるよ。というかね、シャマル」

『はい』



アースラの管制室で、他のみんなの様子を見てる。見てるけど・・・・・・どう言おうか、これ。



「なのはちゃんとヴィータが、マテリアルの一体と戦闘に突入してるの。
それで、それも今のなのはちゃんの姿を取ってる」





画面に映るのは、紫色のジャケットを来たショートカットの女の子。

手に持っているのは、同じ色に染まったレイジングハート。

瞳と髪の色は・・・・・・あぁ、ここはなのはちゃんと同じ。フェイトちゃんのマテリアルは違ってたのに。



その子がレイジングハートそのままなデバイスを使って、砲撃や射撃弾を撃ちに撃ちまくってる。



なのはちゃんとヴィータの二人がかりでも、苦戦してる。・・・・・・ここまでなんだ。





『・・・・・・やっぱり、そうなんですね』

「うん」





あの青いフェイトちゃんにそっくりな子が言った事、どうやら本当みたいだね。

ガイアメモリで呼び起こされたのは、闇の書事件当時の記憶だけじゃない。

そこに発動時に側に居た、恭文くんの記憶が混じってるんだ。



だから闇の書事件当時、魔導師でもなんでもなかった恭文くんの思念体まで出てきてる。

あぁもう、もうちょっとちゃんと調査してればよかった。まさか、こんな事になるなんて。

効果が今ひとつ不明だけど、無事に封印出来たってことで、私達みんな油断してた。



というか、無茶苦茶だよ。土地・・・・・・ただの場所に呼び起こせるだけの記憶が、力や形が遺ってるなんて。



これは魔法どうこうじゃない。まさしくオカルトやファンタジー。神咲家の薫さんや那美さんの領域だよ。





「とにかく、恭文くんの方をお願い。他のマテリアルが増援に来る可能性もあるし、そこは絶対」

『了解しました。それで・・・・・・フェイトちゃんは』

「だめ、出せない。あのね、本当に・・・・・・本当にヒドイこと言われてたの。
私、聞いてて恭文くんに怒りを覚えたくらいなんだ。・・・・・・理不尽だよね」



恭文くん本人が、言ったわけじゃない。あの時の恭文くんなら、フェイトちゃんの出自の事も知らない。

だから、私が感じた怒りは理不尽なの。これを恭文くんにぶつけたら、それは最低だよ。



「あと、一応気をつけて? 恭文くん、妙に勘のいいところがあるから」

『分かってます』










・・・・・・どうして、今頃なのかな。もう終わった事件のはずなのに。





そんな事件のために、どうしてフェイトちゃんが傷ついて、恭文くんが戦わなくちゃいけないんだろ。





おかしいよ、こんなの。絶対・・・・・・おかしい。




















◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



「・・・・・・雷刃衝っ!!」



アルトを振りかぶって、突っ込む僕に向かってランサーは放たれた。

僕は左手にカードを同じ数だけ持って、それをランサーに向かって投げ放つ。



「ネーミングが厨二過ぎるわボケっ!!」



ランサーに接触すると同時に、カードはランサーも巻き込んで大きな氷となる。

そのまま、氷は街中に落ちて行く。僕はその間に、距離を詰めてる。



「うるさいっ! ワケの分からないコトを」



フェイトもどき・・・・・・ううん、雷刃の襲撃者はザンバーを右に引いて、僕に突っ込んでくる。

スピードは確かに速い。その勢いのまま、ザンバーを右薙に振り抜く。



「言うなぁぁぁぁぁぁぁっ!!」





少し軌道を落として、身を伏せるようにしながら僕はその斬撃を避ける。

そして、刃が返る前に零距離に踏み込む。そのまま、平突きでアルトをを突き出す。

雷刃の襲撃者はザンバーを振り抜いた勢いを活かして、身体を回転させる。



そうしながら、自身の身体を左に捻る。捻って、僕の突きを避ける。



避けながらも追撃で来るのは、やっぱりザンバー。





「はぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」



ザンバーが迫る前に、僕は突き出したアルトを右薙で打ち込む。

その刃が、雷刃の襲撃者の胴に迫る。迫って・・・・・・障壁が生まれた。



≪Defensor≫





局所的に発生させた、青い防御魔法によって、僕の斬撃は防がれる。

僕は咄嗟に刃を引いて、今度は下に急降下。

スレスレじゃ、きっと軌道を変えられてそのまま斬られる。だから、思いっ切り距離を取る。



フィンを羽ばたかせながら数十メートル下がり、放つのは射撃魔法。





≪Stinger Ray≫



数発連続で放った青い閃光が、雷刃の襲撃者へと迫る。

それを雷刃の襲撃者は、振り抜いたザンバーを担ぎ直して全て斬り払う。



「電刃衝っ!!」



その間にも、僕は急降下。そんな僕を狙って、ランサーがまた生成されて放たれる。

数発ではなく速度重視で。フェイトと僕も使う、単発発射型。



≪Stinger Ray≫





それを同じくスティンガーで撃ち抜く。僕達の間で、爆発が起こる。

その間に、僕は市街地まで降りてきた。結界内だから、人は0。

そんな僕を狙うように、スティンガーとランサーの爆煙を突っ切る閃光が生まれた。



青い、雷撃を秘めた砲撃。・・・・・・プラズマスマッシャーかい。

僕は12時方向に真っ直ぐ飛行し、それを避ける。砲撃は、コンクリの路面を派手に砕いた。

続けて飛行する僕を撃ち抜くように、上空からランサーが放たれる。



当然のようにそれらは、地面に当たり続ける。僕はなんとか回避し続ける。

・・・・・・僕の周囲に、青色の輪状の魔法陣が生まれる。僕は、一気に下に下がった。

輪状の魔法陣は集束するけど、何も起きずにそのまま消える。



多分あれ、設置型のバインドだ。警戒しておいて良かった。

さて、次に来るのは・・・・・・前、だよね。

地面スレスレまでに降りた僕を狙って、青い雷光が走る。



その雷光は僕の前に来たかと思うと、上段から刃を振り下ろす。

左に大きく飛びながら、それを回避。巨大な刃が、地面に真っ直ぐな亀裂を刻む。

当然のようにそれは、雷刃の襲撃者。すぐに僕に向かってランサーを生成。



数は8発。僕はと言うと、後ろに下がりながらも近くのビルの壁に足を着けていた。

ランサーが放たれる。一気に右に跳んでそれを回避。8発のランサーは次々にビルに着弾し、壁を粉々に撃ち抜いた。

僕に追従するように、雷刃の襲撃者が来る。にやりと笑いながら、僕に向かってランサーを至近距離で発射。



アルトを逆袈裟に振るって、ランサーを斬る。

目の前に爆煙が巻き起こり、そこに雷刃の襲撃者が突っ込んでくる。

ザンバーの切っ先を突き出して、ザンバーごと突っ込んできた。



僕は身を反時計回りに捻って、それを避ける。避けて、雷刃の襲撃者と交差した。





「飛天御剣流、龍巻閃もどき」



雷刃の襲撃者はビルに衝突。僕の後ろで爆発が起きて・・・・・・その中から、平然と出てきた。

そして、口元を歪める。どこか楽しげに、口元を歪める。大事なことだから、二回言ってみた。



「・・・・・・回転しながらの、回避も込みの斬撃によるカウンター。また面白いことするね」



雷刃の襲撃者の左脇腹には、小さな傷。マントも、その近くの箇所が斬り裂かれてる。

僕の斬撃・・・・・・今度は通ったから。でも、笑っている。僕と同じように。



「そっちこそ。小型のスフィアを仕込んで、突撃混じりに発射なんて、よくやるよ」



かく言う僕も、右脇腹に裂傷。深くはないけど、ジャケットが避けて素肌が見えてる。

小型で視認し辛い貫通力重視のランサーを、僕の斬撃に合わせてぶっ放したのよ。



「おかげで、仕留められたと思ったのに掠りだけだし」

「それはこっちの台詞だよ。アレで腹を撃ち抜けるかと思ったんだけど。
・・・・・・君、いいね。戦うことに迷わないし躊躇わない。闇の書の糧とするには、充分過ぎるよ」

「そう。だったら、デートは考えて欲しいな。糧の前に、愛を語らう方が楽しいと思うし」





言いながら、僕達は互いの得物を構える。・・・・・・やばい、楽しいわ。最初はフェイトと同じかと思ってた。

だけど、全然違う。コイツはコイツだ。フェイトより遅くても、ノリと勢いと容赦の無さはこっちが上。

いいね。中身が違うだけでこうも変わってくるとは。他のマテリアルも同じ感じなら、是非戦いたいよ。



戦闘者として考えるなら、本物よりコッチの方が僕の好みだわ。遠慮なく、全力でやれる。





「・・・・・・君、やっぱり面白いね。ボクは敵なんだよ?」

「面白い子と仲良くなりたいと思って、何が悪いの?」

「あははは、そういう子なんだ。・・・・・・でも、残念」



雷刃の襲撃者は、ザンバーを右の肩に担ぐようにして構える。



「ボク達は、今のままでは手を取り合う事が出来ない。もしも出来るとしたら、それは闇の中だけだ」

「なるほど。つまり暗い部屋で二人っきりで愛を語らいたいと」

「そうそう。・・・・・・違う違う違う違う違うっ! どうしてそうなるっ!?」



僕は、そんな会話をしながらも無形の位。こりゃ、時間かけるとヤバい感じだから、札を一つ切る。



≪High Blade Mode≫



アルトが青い光に包まれる。そうして生まれるのは、僕の身長と同じくらいの刀身の大太刀。

ハイブレードモード。アルトの形状変換で、何気に久々の登場。



「さぁ、続き・・・・・・行くよっ!!」



雷刃の襲撃者は、担いだザンバーを袈裟に、全力で叩き込んでくる。

僕は・・・・・・右手でザンバーに向かって、横薙ぎに大太刀アルトを叩き込んだ。



「ふんっ! そんなのでボクの攻撃が」



ザンバーに大太刀アルトの刃が接触する瞬間、僕は身を捻る。

捻って、左足でアルトの刀身を蹴る。



「なっ!!」



蹴られた刀身は、勢いを増してザンバーに打ち込まれる。そして、思いっ切り横に弾いてやった。

でも、それだけじゃない。大太刀アルトの重さと蹴られた勢いを活かして、一気に斬りかかる。



「はぁぁぁぁぁぁぁっ!!」



雷刃の襲撃者は咄嗟にザンバーの刃を返して、僕に打ち込んでくる。

ジガンのカートリッジを、3発ロード。大太刀アルトの刀身が、青く染まる。



「氷花・・・・・・!!」



大太刀だろうと、打ち上げるのは薄く鋭い、全てを斬り裂く刃。例えザンバーだろうと、関係ない。



「一閃っ!!」



右から襲ってくる刃と、大太刀アルトの刃がもう一度接触する。

いや、その前に向こうのバルディッシュのカートリッジが、3発ロードされた。



「くぅ・・・・・・!!」



輝きを増した青い刃は、同じ色の雷撃を撒き散らす。そんな刃と、大太刀アルトは接触。

火花を散らしながら、互いを真っ二つにしようと力をぶつけ合う。だから僕は・・・・・・もう一度、足を動かす。



「蹴撃・・・・・・刀勢もどきっ!!」



本来なら、パワー負けするのはこちら。体格でも力でも、僕はフェイトには勝てない。

でも、大太刀アルトでこの技を使えば、僕でも力による粉砕が可能になる。



「うぉりゃぁぁぁぁぁぁぁっ!!」





僕は、左足をもう一度アルトの峰に叩き込んだ。そうして、足と刃を一気に振り抜いた。

本来は、防御に近い斬撃。カートリッジで力を増していたとしても、それは変わらない。

打ち抜くつもりで叩き込んだ斬撃とは、質が違う。だから、僕の攻撃と差異が生まれる。



向こうの青いザンバーにヒビが入り、そのまま・・・・・・中程から砕ける。

ザンバーを構成する魔力は、何かの破片のようにビル街に舞い散る。

その勢いのまま、僕は身体を回転させる。もちろん、前に踏み込みながら。



ザンバーによる引っ掛かりにより、その速度はさっきよりも上がった。



その斬撃を・・・・・・雷刃の襲撃者は、避けた。





≪Sonic Move≫





青い光に包まれて、閃光は上に跳び上がる。僕は、一旦刃の動きを止める。

長さが倍加している柄を脇に挟んで・・・・・・僕は、左に動いた。

上から、何時ぞやと同じようにランサーが打ち込まれた。



それは、地面に激突する前に輪状魔法陣に包まれて、方向転換。

僕に向かって、真っ直ぐに飛んでくる。・・・・・・またまた、カードを取り出す。

後ろに下がりながらも、カードを投擲。それにより、ランサーを氷漬けにした。



そして、僕の後ろを取る気配が一つ。僕は、大太刀アルトの刃を返す。

魔力を再装填して、宿すのは凍れる魔力。

後ろを見ると、青い鎌から・・・・・・ハーケンセイバーか。



回転しながら迫る魔力の刃目がけて、刃を振り上げる。

ただし、右足でアルトの峰を蹴り上げながら。

そうやって、力ずくで青いハーケンセイバーを真っ二つにする。



真っ二つにされたハーケンセイバーは爆散して、僕の眼前を爆煙が邪魔する。

アルトの刃を、もう一度返す。右手で柄をしっかり持って・・・・・・唐竹に叩き込んだ。

爆煙を斬りながら捉えたのは、一人の女の子。当然、雷刃の襲撃者。



スピード勝負で出していた鎌で、大太刀アルトを受け止める。でも、無駄。





「氷花一閃」



僕は左手で、アルトの峰に掌底を打ち込む。

それにより刃はまたまた加速し、力でその鎌ごと雷刃の襲撃者を叩き切る。



「掌破・・・・・・刀勢もどきっ!!」



青い閃光・・・・・・いや、破壊は、雷刃の襲撃者の右の肩口を捉えた。

捉えて、そのまま一刀両断に斬り裂き、そのまま吹き飛ばす。



「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」



雷刃の襲撃者は地面に叩きつけられ、それを削るように滑る。滑って、その衝撃と痛みで顔をしかめる。

10メートル程滑走した所で、停止した。僕は一気に突撃する。突撃して、上段から刃を叩き込んだ。



「・・・・・・・・・・・・なぜ、止める」





スレスレで刃を止めていた。雷刃の襲撃者の鼻先に、アルトの刃がある。

僕は、ゆっくりと刃を引いた。そして、構えを解いた。

雷刃の襲撃者は地面に埋まるようにして、仰向けに倒れていた。そして、ジャケットは半壊。



僕の斬撃のせいで、肩から胸元、そして腰までのジャケットが、破けてる。

マントは当然吹き飛んでるし、インナーはギリギリオーケーだから、裸ではない。

だけど、それでもダメージはダメージ。そして、もう立てない。動かそうとしても、出来ない。





「ここで殺しちゃったら、デート出来無くなるでしょ」

「あ、あははは・・・・・・君は、やっぱりおかしい子だよ。ありえないし。
というか、あんな力技でボクが叩き潰されるなんて・・・・・・悔しいなぁ」

「力技じゃないよ。アレは倭刀術の中にあるんだから」





倭刀術というのは、中国に伝わる倭刀という武器を扱う術。

その中に、あるのよ。掌底や蹴りで、斬撃の力や勢いを増す技が。

香港の警防で美沙斗さんと弓華さん経由で、教わったの。



僕のパワー不足を解消する方法の一つとして、練習はしてた。で、ちょっと実験させてもらった。





「でも、残念だ」



その子の身体が、足元から割れていく。白い破片になって・・・・・・そう、他の思念体のように。

やっぱりそうなるのかと、右手を強く握り締める。



「ボクは、消える。そして、もう戻らない。ボクはあの温かな闇にはなれなかったから」

「そっか。それは残念だ」

「ねぇ、もしボクがこうならなかったら、真面目にデート・・・・・・するつもりだったの?」

「するよ。僕、お前みたいな子はむしろタイプだから」



アッサリそう言い切ると、雷刃の襲撃者が笑う。笑って、空を見上げる。

結界の中の、幾何学的な色の空を・・・・・・楽しげに見ている。



「君は本当に、面白い子だな。・・・・・・楽しませてくれたお礼に、一つ教えてあげよう」

「なに?」

「覚えておくといい。闇の書のマテリアルは、ボクだけじゃない。
他のマテリアルが、きっと闇を・・・・・・復活させる」



そして、雷刃の襲撃者はその全てを破片に変えて・・・・・・空に還っていった。もう、どこにもいない。

あの子が居たという証明は、この結界内の惨状だけが示している。あとは、僕とアルトの記憶の中だけ。



『・・・・・・恭文君、大丈夫?』



突然開いた画面の中に映るのは、リンディさん。なので、アルトを通常モードに戻す。



「大丈夫ですよ。とりあえずは、これで一人・・・・・・ですよね」

『えぇ』



僕は、そのままアルトを鞘に納める。納めて・・・・・・息を吐く。



『ねぇ、あまり気にしなくていいのよ? あなたは同じ間違いを繰り返したわけじゃない。
アレはフェイトの姿を、ただ形取っただけの存在だもの。言うなれば、フェイトの偽物』

「違う」



自分でもビックリするくらいに、僕は鋭く言い放っていた。

そして視線は・・・・・・あの子が倒れていた場所に釘付けになってる。



「あの子は、雷刃の襲撃者って名前がちゃんとある。絶対にフェイトの偽物やコピーなんかじゃない」



僕も最初はそう思ってた。でも違った。だから、リンディさんの言葉を真っ向から否定する。

・・・・・・悪いけど、そんな事は誰にも言わせない。だって、戦って分かったから。



「あの子はあの子だ。ちゃんとフェイトとは違う心が、想いがあった。だから・・・・・・違う」

『・・・・・・そう。ごめんなさい、失言だったわね』

「とにかく、シャマルさんに回復してもらって次に向かいます」





リンディさんに視線を向けずに、僕は言い放つ。僕はただ、あの子が居た場所を見る。

まだ終わりじゃない。他のマテリアルを止めないと、真面目にどうしようもなくなる。

あぁ、それに思念体も排除出来るならしていかないと。



やることはまだ沢山だ。全く、時間だけがどんどん過ぎていくね。





『了解したわ。・・・・・・あ、それと言い忘れてた。
思念体の出現頻度、あなたがあの子を倒してから、すぐに下がった』

「ならよかった。これで正解ってことですか」

『そうなるわね。それじゃあ、気をつけてね?』



通信は、そこで消える。僕は・・・・・・空を見上げる。



「アルト」

≪はい≫

「これで、いいよね」



あの子はあの子で、僕は・・・・・・壊した。また奪った。だから、背負っていく。

罪は、過去は・・・・・・数えて向き合う必要があるもの。新しい一歩を、踏み出すためにさ。



≪いいんじゃないですか? あなたがそうしたいのなら、それが正解ですよ≫

「・・・・・・うん、そうだね」










こちらに降りてきたシャマルさんを見ながら、ちょっとだけ残念だなと思った。





あの子ともっと話せたら・・・・・・仲良く、なれたのかなと考えたから。




















(幕間そのにじゅうに続く)




















おまけ:もしも遭遇したのが、あの子やあの子だったら?




















◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



※もしも遭遇したのが、礼儀正しいあの子だったら?





・・・・・・結界内部に突入して、一つの影を見つける。その子・・・・・・え?

暗めの紫のバリアジャケットに、これまた紫に染まった不屈の心。

不釣合いなくらいに明るい青い空色の瞳はどこか冷たく、結界の中でショートにした栗色の髪が揺れる。





そして、降り立つ僕とシャマルさんを見て・・・・・・嬉しそうに、微笑んだ。










「・・・・・・来ましたか。湖の騎士に・・・・・・あぁ、強い騎士も居るのですね」



背丈は、僕が魔王といじめる女の子と同じくらい。というか、バリアジャケットのデザインが全く同じ。

そのまま・・・・・・あの子は、僕達を見ている。穏やかな声だけど、どこか冷たさも感じる。



「その身に鉄を宿した古き騎士、こうやって出会えたこと・・・・・・幸運と呼ぶしかないでしょう」

「あいにく、僕は騎士じゃない」



・・・・・・迂闊には近づけない。僕の予想通りなら、コイツ・・・・・・相当強い。

距離としては、400メートル以上は取る。迂闊に近づけば、即やられる。



「てーか、お前誰よ」

「これは申し遅れました。私は闇の書の残滓・・・・・・『理』のマテリアル。
そうですね、星光の殲滅者とでもお呼びください」



星光・・・・・・殲滅・・・・・・あぁもう、間違いない。コイツ、なのはの姿を借りてるんだ。

てゆうか、何故に今のなのはの姿? さっきのチビなのはとは違うし。



「この姿は、あなたの記憶が原因です」



僕の思考が読み取れたように、その子は口にする。僕とシャマルさんは、驚きを隠せなかった。

それを読み取ったのか、その子はまた微笑む。その微笑みを堪能出来ないのが、悲しいところだよ。



「どういう、意味?」

「さぁ、どういう意味でしょう。・・・・・・ただ、そこは重要ではありません。あなた達に聞きたいのは、ただ一つだけ」



言いながら、そいつは紫色のレイジングハートを構える。

構えて、周囲にはバリアジャケットと同じ色の魔力弾。



「闇の書の糧になるかどうか。この一点です」

「・・・・・・よくもまぁ、ストレートに言うわね。中々図太い神経だこと」

「湖の騎士、あなたにそれを言う権利はありません。あなたは、私達と」

「黙りなさい」



言いながら、怒りの表情を浮かべながらシャマルさんが構える。僕より先・・・・・・やっぱりだ。

シャマルさん、僕に余計な情報を与えないよう与えないように動いてる。今だってそうだよ。



「とりあえず、僕達・・・・・・いいや、僕の答えは決まったかな。答えは、NOだ。
てーか、男口説きたかったらもうちょい言葉を選びなよ。そんなんじゃ、本人と同じくIKIOKUREだよ?」

「そうですか、これは失礼しました。では、我が身に宿る魔導で全てを決しましょう」

「いいね。相手してあげるよ。・・・・・・そして、ぶっ潰す」










開戦の合図は、あの子の周囲の20発のシューターが僕達に殺到した事で告げられた。





こうして、僕はなのは似のあの子と戦うことになった。




















◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



※もしも遭遇したのが、王様キャラなあの子だったら?





「・・・・・・な、なんじゃこれっ!?」

「何、この結界。今までのと全然違う」





僕とシャマルさんは、ただただ唖然と周りを見渡すしかなかった。

だって、四方八方が黒色。ところどころ青い雷撃が走る。

ここは街の上のはずなのに、街が見えない。これ、普通の結界じゃない。



ううん、結界って言っていいのかな。ここだけ別世界が作られてるような感じがする。





「・・・・・・小虫が入り込みおったか」



僕達は、咄嗟に左右に飛ぶ。シャマルさんは左に。そして、僕は右に。

その間を、黒い砲撃が通過した。そして、その発射元を僕達は見る。



「アレは・・・・・・はやてちゃんっ!?」





そう、はやてだ。ただ・・・・・・外見がおかしい。髪は白く瞳は翡翠色。

そして、白を基調としているはずのバリアジャケットは、黒になってる。

金色の十字槍も、黒い表紙の夜天の書も、紫に染まっている。



それに・・・・・・何? この妙な圧迫感は。





「口を弁えろ、湖の騎士。我は貴様らの母体ぞ」

「・・・・・・違うわ。私の主は、はやてちゃんよ。あなたじゃない」

「そうか。ならば、その間違いをその身に叩き込んでやろうか」



そうして、そいつは笑う。シャマルさんを・・・・・・いいや、きっとそれだけじゃない。

自身が至高の存在で、絶対的であると言わんばかりに、全てを嘲笑う。



「あのような愚図の小娘を主と呼ぶなど、愚かな」



何かがキレた。だから僕は、一歩踏み出していた。



「貴様らが居るべきは闇。深遠なる永遠の闇こそが、貴様らの帰る場所だ」

「・・・・・・黙ってろ」



そいつは僕の方を振り向く。そりゃそうだ。いつの間にか後ろに居たんだから。

だから僕は、その胸元にアルトの刃を突き出した。ソイツは、苦しげに息を吐く。



「お前にはやてを・・・・・・僕の友達を、愚図なんて言う権利はない」



やっぱりそうだ。こいつ、はやてそのものを借りてるんだ。技能も、経験も、力も。

だから、隙を突けた。動きも反応速度も、はやてと全く同じだったもの。



≪Struggle Bind≫



一応普通に防がれるのも警戒してたのに、あっという間に串刺しだもの。

考えながらも、魔法発動。目の前の子の足元に発生したベルカ式魔法陣から、青い縄が生える。



「バカじゃないの?」



何本も生まれた縄は、一気にこの子を縛り付ける。それにより、動きを完全に止めた。



「いくらお前が強くたって、たった一人で僕とシャマルさんに勝てるわけがない」



はやては、単独戦闘さっぱりな子だもの。だから、今だってザフィーラさんとリインと一緒に居る。

・・・・・・そいつは口から血を吐き出しながらも、右腕を動かそうとする。だから、左手でその腕を掴む。



≪Break Impulse≫



その瞬間、何かが砕けるような音がする。

そして、はやてもどきの右腕は下がり、十字槍を下に落とした。



「ぐぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」



それからすぐに刃に凍結魔力を注ぎ込む。それにソイツはまたも目を見開いて、口を開ける。

理由は簡単。身体の中から・・・・・・凍結魔力で凍らされていってるのよ。



「氷花一閃」



僕は、アルトの刃を胸元から抜いた。その傷口から血と一緒に、白い破片が溢れる。



「・・・・・・な、なぜ」

「まぁ、強いて言うならあれだ」



言いながらも刃を返す。信じられないという顔をしているので、頭から唐竹に刃を叩き込む。

それに耐えきれず、その子は真っ二つになり・・・・・・白い破片となり、虚空に消えた。



「王様キャラらしく、慢心と油断しまくりだったこと?」










・・・・・・とりあえず、アレだ。はやての姿を取ったのが失敗だったね。





せめてこれがなのはとかフェイトとかだったら・・・・・・相性って、大事だもの。




















(本当に続く)




















あとがき



あむ「・・・・・・恭文、アンタ普通に口説くの、マジやめない?」

恭文「口説いてないからっ!! ・・・・・・とにかく、マテリアル戦に突入した幕間そのじゅうきゅう。
如何だったでしょうか。本日のあとがきのお相手は蒼凪恭文と」

あむ「日奈森あむです。で、色々変わってるとことかあるんだよね」

恭文「そうだね。ゲームだと、9歳時のなのはやフェイトの姿だけど、ここでは全部今の姿。
なお、理由はこの通り。そして、大人版雷刃の襲撃者は素敵だと思うの」





(アホの子だけど、とっても面白いのです。だから、やるなら出したかった)





恭文「とりあえず、アレですよ。実は僕のマテリアルって言うのも、アイディアであったんです。というか、拍手でなんか来た」

あむ「来たのっ!?」

恭文「で、もしやるんだったら・・・・・・こんな感じ?」





◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



※ なるほど!ポータブルのなのは達の偽物達は性格が逆になってるんだな?
じゃあ恭文の偽物はどれくらい良い子が出てくるんだろう?byとまと検証委員会





恭文「・・・・・・嘘、僕のマテリアルまで」

鉄輝の破壊者「あ、あの・・・・・・抵抗、しないでくださいね? しなければ、戦ったりとかないですから。
僕、暴力・・・・・・嫌なんです。大丈夫です、闇の書の闇の中なら、すごく幸せになれますし」

フェイト「・・・・・・ヤスフミ、なんかおかしいんだけど。なんでそんなですます口調?」

鉄輝の破壊者「つまり、あの・・・・・・ようするですね? 話し合いましょう。そうすれば、平和的に解決出来ると思うんですよ」

恭文「ふざけるな。話し合いたかったら、復活は諦めろ」

鉄輝の破壊者「そ、それは困ります。というより、闇の書の闇の中なら」

恭文「選べ。・・・・・・僕に壊されるか、大人しく諦めるか。さぁ、選べ」

鉄輝の破壊者「ひ・・・・・・こ、怖い目はやめてくださいっ! 僕・・・・・・・僕・・・・・・えぐ」

恭文・フェイト「「泣き出したっ!?」」

星光の殲滅者「・・・・・・鉄輝の破壊者、しっかりなさい。
仮にもあなたは、闇の書の闇を司る『願』のマテリアルでしょう」

鉄輝の破壊者「で、でも・・・・・・あの人怖いんです。無理、僕もう無理です」

星光の殲滅者「本当にこの子は・・・・・・あなた、一体どういう性格をしているのですか?」

恭文「へ?」

星光の殲滅者「私達の人格の基本ベースは、この身の本来の持ち主です。
そしてこの子は、あなたを正反対に写している。おかげで全く戦おうとしない」

恭文「いや・・・・・・え?」

星光の殲滅者「平和主義で暴力嫌いで、その上所謂『いい子』。本当にどうしてこうなるのかが不思議です」

フェイト「つまり、それってヤスフミが・・・・・・えっと」

星光の殲滅者「戦うことが大好きで、平和主義者ではなく、性格も悪いということですね」

恭文「どういう意味だよっ! それはっ!!」





◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



あむ「・・・・・・普通にさ、暴走してるよね」

恭文「うん。でも、これ以外はキャラ立たないのよ。フォン・レイメイみたいな感じももうアレだしさ。
で、中途半端だと他の二人がアレだから・・・・・・ご愁傷さまと」

あむ「キャラ的にね。あー、でもそうなるのか。影が薄くなると」





(そう、究極のプラスがダメなら、究極のマイナスしかないのです)





恭文「とにもかくにも、次回が最終回だよ。いや、全くゴールが見えないね」

あむ「確かにね。それでは、本日はここまで。お相手は日奈森あむと」

恭文「蒼凪恭文でした。さぁ、次回はどうなるかな。うーん、ドキドキだ」

あむ「てゆうか、これ3話でカタつくの? ・・・・・・あ、付けるんだって」










(そこはちゃんと頑張るらしいので、現・魔法少女は安心。
本日のED:水樹奈々『Silent Bible』)




















恭文「・・・・・・アルト」

古鉄≪はい?≫

恭文「みんな、僕に隠してる事あるよね。もちろんアルトも」

古鉄≪そうですね≫

恭文「認めるんだ」

古鉄≪もうピースが出揃ってますから。否定しても意味がないでしょ。・・・・・・教えましょうか?≫

恭文「いや、自分で組み立てるわ。てゆうか、もう組立て始めてる」

古鉄≪分かりました。なら、ヒントは出さないことにします≫

恭文「うん、それでいいよ」










(おしまい)





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あきゅろす。
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