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小説(魔法少女リリカルなのは:二次小説)
第47話 『黄金の王子、来たる』



ラン・ミキ・スゥ『しゅごしゅごー♪』

スゥ「残すところ、あと3話となったドキッとスタートドキたまタイムですぅ。本日のお話は」

ラン「わわわ、なんかヘリがー! 虎がー!!」

ミキ「突如来襲した黄金の王子に、聖夜小は大混乱っ! 巻き起こる嵐に、あむちゃんと恭文達が立ち向かうっ!!」





(立ち上がったモニターに映るのは、黄金の王子と・・・・・・虎っ!!)





ミキ「さぁ、最後の最後までクライマックスでいくよー」

ラン「みんな、最後までついてきてねっ!? 答えは聞いてないからっ!!」

スゥ「というわけで、ドキたま1年目ラストステージへ・・・・・・せーの」





(当然のように、あのポーズを三人で取る)





ラン・ミキ・スゥ『ドッキドキ♪』




















◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



・・・・・・早朝、普通に僕と唯世は近くの林の中に居た。

なお、結界は張ってるので見られる心配はない。

まぁ、少々荒っぽい事するしね。見られると厄介なのよ。





とりあえず、僕は身を捻りながら、唯世の拳を避けていく。










「はぁっ! ・・・・・・はぁっ!!」

「全然ダメ。唯世、もっと振りを小さくして」



とりあえず僕の教えられる範囲にはなるけど、近接戦闘の技術を叩き込む事にした。

唯世に足りないのは、経験と心構え。それが固まるだけでも、かなりのものになるはず。



「唯世、テレフォンパンチって分かる?」

「え?」



唯世には、とにかく僕の上半身に向かって拳を叩きつけろと指示してある。

なので、唯世は変わらずに殴りつけてくる。それを、ひたすらに身の捻りだけで避ける。



「振り被って攻撃・・・・・・とか、今の唯世みたいな行動をテレフォンパンチって言うの。
それをやると、相手に『今からパンチしまーす』って大声出して言ってるのと同じ」

「えっと・・・・・・」



・・・・・・唯世は、飲み込みが早い。普通にどうすれば自分のパンチがそうならないのか、考えたらしい。

だから、振りかぶりが無くなった。腕を振り回していたのが、突きになりかけている。



「そう、それでいい。パンチだけじゃなくて、どんな攻撃行動でもそう。剣撃でも、蹴りでも、射撃でも同じ。
予備動作を相手に察知されないのが、攻撃を直撃させる秘訣なの。・・・・・・そして、その逆もまた然り」

≪唯世君も相手の行動やそのための予備動作を、しっかり観察するの。それが出来るだけでも、色々変わるの≫



なんて言いながらも僕は、ジガンを瞬間的にセットアップ。右のジガンで、唯世の拳を受け止める。



「痛っ!!」



唯世は、顔をしかめる。僕はそのままかがんで、一歩だけ踏み込み・・・・・・抜き放った。



「・・・・・・こんな風にね。まぁ、今のは大分分かりやすくしたけど」



唯世は、動かない。自分の右わき腹に、アルトの刃が当たっているのが分かったから。



「唯世、応用力って言うのは、いわば何でも屋技能なのよ」

「・・・・・・何でも屋?」

「生存能力を上げるための、マルチスキルって言うのかな。唯世のホーリークラウンは、まさしくそれ。
そして同時に、今の唯世の生命線でもある。唯世、戦う時はもっと周りを良く見るの。上も、下も、左右も」



刃を引いて、アルトを鞘に収める。唯世は、ようやく体勢を崩した。



「そして、常に考えて。自分の能力の応用の幅を。どういう風に使えるのか。どういう風に使いたいかを沢山。
唯世の力は、唯世が思ってるよりもずっと、色んなことが出来るよ? あとは、唯世の発想力次第。ま、ここは宿題だね」

「・・・・・・うん」




















◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



というわけで、次の訓練。今度は、防御・・・・・・いや、回避訓練である。

僕が逆に突きを叩き込むのだ。唯世は、ひたすらにそれを避ける。

でも、唯世はやっぱり頭がいい。ちゃんと、僕の動きから盗もうとしてる。





どうすれば隙の無い攻撃になるのか。どうすれば当たりやすいのか、しっかり考えてる。










「・・・・・・そう、それでいい。上半身の動きだけで避けて」



まぁ、多少緩めにはやってるけど、それでも当たったら痛い。

そんな攻撃を、唯世は必死に避ける。先ほどの僕の動きを真似ながら。



「シールドが崩れたら、あとはこういうフィジカルでの回避と防御、それに反応が重要になってくる」

「・・・・・・うん」

「それで」





右の拳を打ち込む。唯世は左に身を捻って、その拳を避けた。

でも、拳は途中で止まる。そこから僕はいきなりしゃがむ。

しゃがんで、身体を時計回りに回転させながら左足で唯世に足払い。



唯世は、そのまま後ろ向きに倒れる。なお、痛そうに唸っている。





「・・・・・・臨機応変に。こういう風に、不意にくる場合もあるから。
特に猫男相手はそう。動きが速い上に、妙なフェイントをかけてくる時もあるから」

「そ、そうだね。気をつけるよ」

「なんというか、壮絶だな」

「これでも、唯世の体力を鑑みてやってるよ。てーかキセキ、しっかりフォローしてね?
ぶっちゃけ、これだって防御技法と同じように、今日やって明日身に付くもんじゃないんだから」



とにかく、訓練はこれで終了。唯世は・・・・・・汗だくだ。普通にぜーぜー言ってる。

学校もあるから、少し抑えめじゃないと唯世が持たないもの。まぁ、これくらいでいいでしょ。



「あぁ、分かっている。だが・・・・・・訓練の様子をしっかり見ていろというのは、どういうことだ?」

「日本武術の稽古の一つに、見取り稽古って言うのがあるの」



人の稽古を見る事も勉強のうちって言うのは、このためだ。見るだけでも、学ぶ事はあるのよ。

キセキには、僕達の動きを第三者の視点から見てもらってた。で、ちゃーんと復習してもらう。



「なるほど、そのためにこれか。だが、なぜフィジカルでの格闘訓練なんだ?
この間のような防御訓練などではないのかが、僕は疑問なんだが」

「ぶっちゃけちゃえば、猫男対策」



僕の言葉に、キセキはハッとしたように目を見開いた。僕を真剣な目で見るので、頷いた。



「この間の戦闘映像とかを見ると、もうちょい格闘戦での基礎を知っておいた方がいいと思って」

≪あとは、ケンカ慣れしておくべきだと言うのが、私達の総合意見です。
格闘戦では、やはり経験が物を言います。今のままでは、あなた一人だと耐える事も出来ませんから≫



クロスレンジでの身体の動かし方は、やっぱりトライアンドエラーで学んで、慣れていくしかないのよ。

至近距離での攻撃察知に関しても、同じ。とりあえず、基本を覚えておくだけでも大分違うかなーと。



「納得した。しかしお前・・・・・・色々と考えてくれているんだな。僕は感心したぞ」

「まぁ、僕も教わった事を教えてるだけだから、アレだけどね。あと、アルトも協力してくれたし」

≪これでも、元教導隊員のパートナーです。多少は分かりますよ≫



でも、色々と収穫はあった。それは、この間の訓練でも思った事。



「一回、唯世にもその辺りやってもらった方がいいかな。
というか、多分唯世はもう一回模擬戦なり見れば、大分よくなるかも」

「そう・・・・・・なの?」



唯世が、息を突きながらもこちらを見上げる。なので、全力で頷く。



「唯世、僕達が思ってたよりも、ずっと学習が速いよ。
自然と人の動きや言葉から、最適な行動を読み取ろうとしてる」



今まで猫男の攻撃とかにも対応出来ていたのは、そこが大きな理由だと思った。

唯世、有りきたりな言い方をすれば、目がいいのよ。だからそれが出来る。



「まぁ、性格的なものがあるせいか、攻撃精度は全然だけどさ」



僕に攻撃を仕掛けた時も、ちょっと及び腰だったから。

ただ、いきなりこんな訓練始めて、即座に攻撃出来る人間の方が少ないからここはいいのよ。



「あははは・・・・・・やっぱ、そこはダメなんだ」

「こればかりは仕方ないよ」



まぁ、そこが唯世らしいかなとは思う。根っこが優しいから、どうしてもそうなっちゃうのよ。



「・・・・・・僕の尊敬する先生も、魔導師としては攻撃関係一切サッパリだったりするから」



ユーノ先生だね。ユーノ先生、マジで攻撃魔法ダメな人だから。

この辺りは、性格だったり適正があるの。唯世だけがだめじゃない。



「人それぞれ、向き不向きがあるのは当然だよ。
第一、唯世は浄化のための能力があるでしょ? 大丈夫だよ」

「うん、でも・・・・・・やっぱり攻撃って出来ないと、まずいよね」

「まぁ、ガチに猫男とやり合おうとするならね。ただ、攻撃って言っても色々種類はあるよ?」



右手を上げて、魔力を集中させる。そうして出されるのは、氷。

手の平の上の空気中にある水分を魔法で操作。そうやって、その水分を凍結させた。



「それ、蒼凪君の得意技の魔力変換だよね」

「そうだよ。敵を凍らせて閉じ込めるって言うのも、手の一つ。
例えば、ホーリークラウンで相手を包み込んで動きを止めるとか」

「あ、それいいかも。・・・・・・蒼凪君」

「分かってる、付き合うよ。ただし、時間無いから、一発で決めなよ?」

「分かった」



・・・・・・・・・・・・なお、相当に効力の高いものを一発で決めたのには、非常にビックリした。

やっぱり、普通に唯世は防御や補助関係に能力が出しやすいのかも知れない。



「唯世・・・・・・やっぱ唯世のホーリークラウンは、こっちの方が適正あるって」

「そ、そうだね。というか、自分でもここまで効果が出るとは思ってなくて、ちょっとビックリしてる」

「そっか。でさ・・・・・・そろそろ解除してくれると、ありがたいかな?
てゆうか、普通にこれ外れないんですけど。あれ、真面目に拘束されてる?」

「ご、ごめんっ! あぁ、これどうすればいいのっ!? 全然・・・・・・外れないしっ!!」

【とりあえず、解除の方法も考えておいた方がいいな。毎回これは、アウトだろう】




















◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



まぁ、そんな事もありつつ学校に行くと・・・・・・歪み無い状況になった。

現在、聖夜小のグラウンドにヘリが数台止まろうとしています。

いや、もうそうとしか言えないのよ。いきなりバリバリーってローター音が聞こえて、これよ。





なので、僕達は授業中だけど当然のようにそっちを見る。全員、窓に走り寄った上で。










「・・・・・・なんですか、あの歪み無い光景は。
そういや二階堂先生、なんか留学生がどうこうって言ってなかった?」

「うん、言ってたよ。今日このクラスに、留学生が来るの。
まぁ、みんなこの調子で、全然聞いてくれなかったけどね」



二階堂が、外のありえない光景を見ながら頬を引き攣らせている。そして、ハッとした顔になった。



「え、まさか」

「そ、そうだよね。僕の考えすぎだよね。
さすがに留学生がヘリに登場なんて、ありえないし」



グラウンドに止まっているのは、輸送用で金色に塗装された、無駄に豪勢なヘリ・・・・・・だけど、大丈夫。

そうだ、大丈夫。僕が今一瞬考えた妄想なんて、ありえないし。



「そうだよ。嫌だなぁ蒼凪君、さすがに冗談が過ぎるって」

「そうだよね」

「「あははははははははっ!!」」



とりあえず、二階堂と二人笑って現実から目を背ける。そうだ、勘違いだ。

勘違いのはずなんだ。だから、二階堂だって笑ってるんだ。



「あ、そう言えば今日だったね」

「唯世くん、あれが何か知ってるの?」

「うん。一応、理事長から聞いてたから。あの中に、さっき二階堂先生が話してた留学生が居るんだ」

「「そうなのっ!?」」





ヘリは、全部で5台。その中央のヘリから出てきたのは、一人の男の子。

褐色の肌に黒い髪、紫の凛とした瞳。髪の一部を、金色の輪状のアクセサリーで結わえてる。

というか、あれ・・・・・・民族衣装? 白の上下に、上から中東風のの羽織のようなものを着てる。



あれ、民族衣装か何かかな? それで首からは、水晶のネックレス。・・・・・・あれ?





”主様、あの子の隣”

”うん、赤い髪に白いコート・・・・・・しゅごキャラ?”

”なんでしょ、このパターンだと非常に厄介なことが待ってそうなんですけど”

”アルト、それはきっと気のせいだよ。うん、気のせいだ”




















◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



・・・・・・理事長室の窓から見えるのは、金色のヘリ。また、派手な塗装だなぁ。

5台ある内の中央のヘリの後部ハッチが開いて、そこから敷かれるのはレッドカーペット。

その上に降り立ち、真っ直ぐに歩くのは・・・・・・あぁ、面影が確かにある。





だけど、僕の知っている王とはまた違う。勇敢で、前に飛び込んで行く強い気持ちが顔にも現れてる。

以前会った時はまだ幼子だったのに、もう少年の顔だ。本当に、月日が流れるのは早いな。

・・・・・・気が遠くなるほどの大富豪であり、中東方面の遠い国のプリンス。彼の名は、シュライヤ。





彼も、ガーディアンのみんなと同じキャラ持ち。ただ・・・・・・なぁ。

虎を連れてくるのは、やめて欲しかったかな。あははは、さすがに怒られるかなぁ。

まぁ、誰か襲ったりしなければ、大丈夫だよね? うん、大丈夫だ。










「とうとう来たか。・・・・・・黄金の王子」




















◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



ガァァァァァァァオォォォォォォォォォッ!!

「こら、よせジンジャー」





僕は、吠えるジンジャーの頭に左手を乗せて撫でる。それで、ジンジャーは叫ぶのを止める。

・・・・・・日本には虎を飼う習慣は無いと言うし、さすがに怯える子も居るかも知れない。

ジンジャーも、ちょっと我慢してもらわないとな。なお、ジンジャーは本当に小さな頃からの僕の友達。



人を襲ったりも絶対にしないし、暴れたりもない。なんというか、元々頭のいい子らしくて、そこはしっかりしてる。





「いよいよだな、シュライヤ」



右からかかる声は、僕のしゅごキャラ。赤い髪に瞳は紫。

額に宝石があり、白いコートを羽織っている。



「あぁ、いよいよ聖夜小に上陸だ。・・・・・・必ず見つけるぞ、ラミラ」

「もちろんだ」




















『とまとシリーズ』×『しゅごキャラ』 クロス小説


とある魔導師と古き鉄とドキドキな夢のたまご


第47話 『黄金の王子、来たる』




















◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



・・・・・・ヘリから降りてきた男の子は、とても遠い国の王子・シュライヤ。

なんでも、ここに未来のお妃を探しに来たとか。なお、それにより女子連中が非常にうるさい。

まぁ、初っ端で全員にバラの花束とか金粉とかまき散らされれば、そうなるんでしょう。





とりあえず、一番気合い入っているのはうちのクラスの山吹紗綾とその取り巻き四人です。










”スゥちゃん曰く、トイレで取り巻きの女の子四人と、どうやってお妃になってセレブ婚するかを会議してたらしいの”



知ってるよ。さっきまで僕の隣でプカプカ浮かびながらも日傘差しつつ、お話してたんだから。



”主様、大変なの。陰謀はトイレで渦巻くの。渦巻いて、女の欲望がドロドロで小学校なのに火曜サスペンス劇場なの”

”・・・・・・浅ましいですね”

”アルト、そう言わないの。人は誰だってお金と地位と権力が大好きなんだから”



むしろ、嫌いなのがマイノリティだと思うんだ。

そして、そのマイノリティが良識派な事が多いのが、人生の哀しい所である。



「・・・・・・はーい、みんながんばってー」





現在、体育の授業で持久走中。みんな、辛そうだねぇ。

黒いジャージ姿の二階堂が、スタート地点でピッピとリズミカルにホイッスルを吹いている。

一見楽そうだけど、実はそうでもない。もうすぐ次の周回なので、僕は二階堂の方を見る。



額と頬から、汗がだらだら・・・・・・なお、今日は真夏日で30度超えです。

僕はなんだかんだで日頃から鍛えてるし、神速使う鬼いちゃんと斬り合いとかでもないので、まだ楽。

だけど、あむもそうだし運動が苦手なりまはかなりキツそう。



で、少し早めの僕のペースに付いてきている子が一人。それは・・・・・・唯世。





「唯世、追いつこうとしなくていいよ? キツイでしょ」

「ううん、大丈夫。その・・・・・・頑張りたいから」

「そっか。でも、無理はだめだよ? 自分の今の限界を見極めることだって、大事なんだし」



超えるにしても、留まるにしても、そのラインが分からないとだめって話ですな。

唯世は僕の幼なじみその4と同じく、その辺りのラインを平気な顔して超えそうで、ちと怖い。



「うん、そうする。というか、ありがとね」

「いいよ、別に。これでも唯世の先生だし、心配するのは当然」



ブラスターとか使う幼なじみその4みたいな事をされるのは、やっぱ嫌なのよ。



「あはは、そっか」




















◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



”そんなこんなで、やっと休憩時間なのー。うーん、みんな頑張ったの”

”あむさんとりまさんは、完全にヘバッてますね。他の皆さんも同じですが”



全員、グラウンドに座り込んで荒い息を突いている。なお、僕だけが立っている。



”やばい、なんか普通に立ってる僕が異常に見えるんですけど。ねぇ、これ気のせいだよね?”

”残念ながら、その認識は間違ってません”





そっかぁ。・・・・・・でさ、さっきから気になってる事があるのよ。

なんか、例の王子が日傘の下で、デカいフリフリの団扇で扇がれてるんだけど。

というか、缶ジュース飲んでるんですけど缶ジュース。



そして、山吹紗綾と取り巻き四人がかしずいてるの。あれ、何?



それで、なんか虎が傍らで寝てるしさ。・・・・・・うわ、なんかムカつく。





”・・・・・・とりあえず、どうします?”

”うんとね、殴る”

”さすがは主様、ドSなの”





というわけで、僕達はあのバカ王子の所へ行く。そう、僕達なのだ。

なぜなら、様子に気づいたあむが何も言わずに僕と一緒に歩いて来たから。

ムカつく。僕は平気なレベルだけど、それでも暑いし喉は渇いてるんだ。



だから、当然のように楽しそうに笑ってる王子様にアプローチを仕掛ける。





「ふん」



右足で、王子がのん気に体重を預けているビーチソファーを蹴る。そうすると、どうなるか。

当然だけど、王子が転げて倒れて痛そうに呻く。・・・・・・よし。



「よしじゃないからっ! アンタ、何いきなり攻撃っ!?」

「え、あむもそのつもりじゃ」

「違うよっ! あたしは普通に話しようとしただけだしっ!!」



そう膨れるように言ってきたあむの肩を右手でポンと叩いて、優しく通告してあげる。・・・・・・真実を。



「あむ、後出しって卑怯だよ?」

「なんで即答であたしの言う事が嘘だって決めつけられるわけっ!? マジ信じらんないんですけどっ!!」

「お前、この僕に対して何をしているっ!!」

「あむ、昔の偉い人はこう言ったよ?」



僕は、何故かプンプンなあむに対して、優しく伝えてあげる。そう、真実を。



「自分が正しいと思った事、それが本当の正義だと」

「意味分かんないしっ! てゆうか、それは今この場の話とは関係ないよねっ!!」

「お前達、僕を無視するなっ! とりあえず二人ともこっちを向けっ!!」



あむと一緒にそちらを向くと、恨めしげにこちらを見ている王子が居た。

なので、僕は王子にも告げてあげる。そう、真実を。



「みんなが炎天下の中地獄を味わってるのに、一人だけ天国だったでしょ?
だから、蹴って天国から転げ落ちてもらって、地獄を味わってもらったんだけど、何か?」

「平然と答えるなっ!!」

「ちょっと、それアンタが言えた義理っ!? そうだよそうだよ、よく考えたらあたしも同じじゃんっ!!」

「やっぱ殴ろうとしてたんだ」

「違うからっ! とりあえずあたしは殴るとかそういうことは考えてないよっ!?
・・・・・・アンタ、コイツ以外は喉渇いて大変なのに」



あむが、さり気なく僕を抜かしたのはきっとイジメなんだろう。僕だって、喉は渇いて大変なのに。



「一人だけ楽とかっておかしいじゃんっ!! なんでそうなんのよっ!!」

「なんだとっ! お前達王子に口答えするのかっ!!」

「王子だろうとなんだろうと、同じ人間じゃんっ! 特別扱い禁止っ!!」

「ぐぬぬぬぬぬ・・・・・・!!」



この王子様、どうやらマジでDQNじゃないらしい。あむの言葉に、納得してる。

で、反論出来無くて悔しがって・・・・・・良かったよ。DQNな王子様なんて、怖いだけだし。



「そもそもお前達、誰だっ!?」

「人に名乗らせるなら、まず自分から名乗ってよ。ほら、それが礼儀よ?」

「そ、そうだな。僕は王子シュライヤ・・・・・・って、朝に挨拶しただろうがっ!!」

「あぁ、そうだったね。・・・・・・僕は聖夜小ガーディアン・ジョーカーVの蒼凪恭文。で、こっちはツンデレ・プリンセス」



ガスッ!!



「・・・・・・あたしは聖夜小ガーディアン・ジョーカーの日奈森あむ。で、こっちは性悪バカ」

「あむが段々暴力的になってきてる。というか、普通に右足を全力で踏まれた。
うぅ、最初に会った時はあんなに健気で優しい子だったのに、どうしてこんな凶暴に」

「うっさいっ! てか、全部声出てるじゃんっ!! もういいからちょっと黙っててっ!?
そして凶暴言うなっ! アンタと付き合ってたら、嫌でもこうなるってーのっ!!」



あむはここまで言って咳払いをして、シュライヤを見る。



「まぁ、そういうわけだから」

「何がどういうわけだっ!? 今のやり取りではお前達が仲が良いということだけしか分からないぞっ!!」

「うっさいっ! とにかく、アンタも今は学校の生徒なんだし、ちゃんとやれってことっ!!」

「そうそう。王子どうこうなんて関係ないよ? 文化的におかしいところがあるとかなら、まだ分かるのよ」



国によっては、食文化や生活パターンに常識とかが180度変わる場合もあるしね。ここ、結構重要。



「でも、そういうわけじゃないんでしょ? 今の授業の中で、特にこれやったら宗教的だったり、生活習慣に引っかかるとかでもない」

「ま、まぁな」

「だったら、ちゃんとやろうよ。もちろん、その辺りで何か引っかかる事があるなら、僕達ガーディアンなり先生なりに相談してもらえればいいし」

「そうか。ならそれで・・・・・・ちょっと待てっ!!」



あれ、なぜシュライヤとあむが僕を厳しい視線で見るのだろう。



「お前、それが分かっていながらいきなり攻撃行動を取ったのかっ!?」

「あぁ、そうだよっ! アンタ、アレはどういうことっ!?」

「あむ、シュライヤ、僕は過去は振り返らない主義なの。オーケー?」

「「オーケーなわけあるかぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」」



とにかく、シュライヤは納得してくれた様子なので、僕も一安心。

なぜかあむの視線とかが厳しいのは、きっと気のせいだ。



「とにかく、そういうことだからっ! ほら、恭文行くよっ!? 何時までも踞ってないっ!!」

「おのれが僕の足を、その重っ苦しい体重全部かけてスタンプしたせいでしょっ!?
何僕が自主的にやってるみたいに言うのさっ! てーか、また太ったでしょっ!!」

「いいから来るっ! あと、太ったって言うなっ! あたしは成長期の真っ最中だよっ!!」



そして、あむは僕の首根っこを掴んでズルズルと引きずっていく。・・・・・・マジで強くなってる。

あぁ、どうしてこうなるの? いつぞやのティアナの姿が、すっごい被るんですけど。



「あ、ツンデレだから反応が似るんですね。分かり」

「また踏まれたいの?」

「ごめんなさい。てゆうかあむ、この対処はどうして?」

「ティアナさんから教わった。アンタに対しては、これくらいした方がいいって。で、見習う事にしたから」

「・・・・・・納得しました」




















◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



「・・・・・・それはまた、大変だったね」

「かなりね。全く、ティアナがあむに変なこと教えるからしっかりお説教されたじゃないのさ。
ティアナ、いたいけな女の子を汚しちゃだめだよ。僕らの知ってる、あの可憐な日奈森あむは死んだよ?」

「私のせいじゃないわよねっ!? もう100%アンタのせいじゃないのっ!!
アンタ、マジで自業自得って言葉の意味を辞書ですぐに調べなさいっ!!」

「それはこっちの台詞だよ」

「私の台詞で合ってるわよっ!!」



夜、夕飯を食べながら、フェイトやみんなに学校のお話。そして、なぜか全員苦笑いですよ。



「でも、更に大変だったのはその後なの」

「・・・・・・りま、私が思うに今の話から更に大変になる要素があるとは思えないんだけど」

「そうだよ。そこからどうやったら大変になるの?」

「ティア、シャーリー、残念ながらそれは勘違いです。それで、その後に×たまが出たですよ。
まぁ、あむさんと恭文さんでサクっと浄化したんですけど、そこをシュライヤさんに見られて」



引きずられながら僕が発見して、あむと一緒に追いかけた。

で、あむがアミュレットハートにキャラなりして、僕がサポートして浄化ですよ。



「ヤスフミ・・・・・・何かまずいことになったの?」

「あむ的にはね。あのさ、さっきシュライヤって婚約者探ししてるって言ったじゃない?」

「あ、言ってたよね」



今日のおかずの里芋の煮っころがしを一つつまんで、口に入れる。・・・・・・あぁ、いいお味だなぁ。

これ、シャーリーが作ったらしいけど、コレは中々。シャーリーの料理の腕、どんどん上がるね。



「あむのアミュレットハート姿や、自分への説教でフラグが立ったらしくて、いきなり求婚してきた」

「あ、そうなんだ。・・・・・・えぇっ!?」




















◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



現在、体育の授業が終わった後。ロイヤルガーデンでは大騒ぎです。

授業とかもすっ飛ばして大騒ぎです。その原因は・・・・・・あむと言い争いしまくっているシュライヤ。

お付きの二人とジンジャーも、呆れ気味にその様子を見てる。というか、唯世達も同じく。





なので僕とリインは、ジンジャーと遊んでるのです。










「ほれほれー、ジンジャーお手」

「ガウッ!!」





おぉ、ホントにお手した。というか、よく躾られてるなぁ。いや、頭のいい子なのかな。

人懐っこいし、自分の力が強いのが分かるのか、そういう部分で加減もしてるみたい。

僕は、左手でジンジャーの頭を撫でる。少しごわごわしてるけど、いい毛並みだよ。



ジンジャーはそれが心地いいのか、目を瞑って僕の撫でる手の感触を堪能している。





「あー、ジンジャーはいい子ですねー。というか、頭のいい子なんですね」



リインが、ジンジャーの背中を撫でながらそうお付きの人に聞く。

シュライヤと同じ色の髪をアップにしたその人は、頷いて嬉しそうに微笑む。



「はい。シュライヤ様が乳子の頃から面倒を見て、躾けて来ましたから」

「なるほど、これはシュライヤさんの影響なのですね」



そう説明したのは、お付きの人その1のパールさん。

シュライヤのお付きさんで、シュライヤの居ない時はジンジャーのお世話も任されてるとか。



「そう言えばパールさん、それって男装ですよね」

「え?」



パールさんの格好は、ノースリーブの白の上下。なお、下はロングパンツ。

普通に見ると、男性に見える。というか、一般的なお付きの男性の服らしい。



「・・・・・・あ、もしかして」

「はい」



もう一人の人は違うけど、パールさんは女性。男性用の服を着てるけど、れっきとしたお姉さんですよ。



「驚きました。あの、どこでお分かりに?」

「勘です」

「恭文さん、元々勘が鋭い方なのです。でもでも、どうして男の人の格好を?」

「こっちの方が、色々と便利なんです。シュライヤ様、活動的な方ですし」



そう言いながら、パールさんは笑う。そして、温かくシュライヤを見る。



「シュライヤ様は、素直な自分を見せるのが少し苦手なだけなんです。
本当はとても優しく・・・・・・そして、勇敢で強い方です。・・・・・・でも」

「アレを見ると、信じられないです」

「そうですね。そこは、私も思います」



言いながら、僕は後ろでまだ言い争っている二人を見る。なお、あむとシュライヤ。

それは同感なのか、パールさんもジンジャーさえも、苦笑いで二人を見ている。



「・・・・・・だから、どうして僕のプロポーズを断るんだっ!? ありえないだろっ!!」

「そっちの方がありえないしっ! てゆうか、あたしは普通がいいのっ!! 王妃なんて絶対嫌っ!!」



あむ、普通がいいなんて理由で求婚を断る女の子は、きっとおのれだけだよ。もうね、賭けてもいい。



「お前のためにドレスを仕立てようっ!!」

「いらないってっ!!」

「金の宮殿も建てようっ!!」

「だからいらないってっ!!」



そしてシュライヤ、きっとそれは国税の無駄遣いだよ。

あぁほら、パールさん達がなんか表情険しくなるし。



「そうか、あの男がいいと言うのだなっ!!」



言いながら、シュライヤが僕を指差す。・・・・・・言っている意味を考えて、気づいた。



「「はぁっ!? なんでそうなるっ!!」」

「その息の合い方だっ! だからお前は、僕のプロポーズを断っているんだろっ!?」

「違うからっ! 大体、恭文は本命居るしっ!! ねぇ、みんなっ!?」










ガーディアンメンバーはそう言われて、『うんうん』と頷いた。・・・・・・ただ、それを見て気づいてしまった。





唯世と海里が、いつぞやの球技大会の時みたいに、ヤンデレな目になっていたのを。ど、どうして?




















◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



・・・・・・ジョーカーが、求婚されている。それも、一国の王となる人物に。

というか、何故だろう。ジガンが来てから、蒼凪さんとジョーカーの息の合い方が更に増したような。

まさか、蒼凪さん・・・・・・ジョーカーを第三夫人にっ!? いや、流石にソレは・・・・・・まて、有り得るのではないかっ!!





あれほどの仲ならば、ハラオウンさんとリインさんも認めて・・・・・・いやいや、落ち着け俺っ!!

そうだ、落ち着け。現に蒼凪さんは戸惑っている。そうだ、有り得ない。有り得るハズが無い。

そうだ、こういう時はアレだ。素数を数えるといいと咲耶さんが教えてくれた。だから数えよう。





数えて・・・・・・数えてどうするっ!? こんなことをしている間に、告白してしまえばいいだけではないのかっ!!




















◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



・・・・・・日奈森さん、断ってるけどきっと内心では嬉しいんだよね。

だって、一国の王子だもんね。将来の王様だもんね。嬉しくないわけがないよね。

というか、断ってる理由ってやっぱり・・・・・・蒼凪君、なのかな。




もしかして歌唄ちゃんと同じように蒼凪君が好きで、第三夫人を狙ってるんじゃ。

ううん、そんなわけないか。日奈森さんがそういうのを出来るとは思えないし。

何より、蒼凪君だって現状で相当戸惑って・・・・・・でも、針が振りきれたら何も感じないって言うよね。





それで、フェイトさんとリインさんも認めるんだ。日奈森さんなら仕方ないって。

そうして無事に第三夫人とかに納まる。・・・・・・・あれ、僕何考えてるんだろ。

だって、日奈森さんは友達でガーディアンの仲間だよ? 好きってわけじゃないし。





そうだよ、僕が好きなのはアミュレットハ・・・・・・でも、アミュレットハートって日奈森さんだよね。

つまり、僕は日奈森さんが好き? でも、アミュレットハートが好きなんだよね。

だけど、アミュレットハートは日奈森さんの一部で・・・・・・あぁ、ここはいいか。





問題は、日奈森さんが蒼凪君の第三夫人になりたいかどうかなんだから。





ここ、後で聞いてみた方がいいのかな。でも、僕が口挟む問題じゃないと思うし・・・・・・うーん。




















◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



”あの、アルトにジガンっ! なんか海里と唯世が怖いんだけどっ!!”

”主様、ようやく気づいたの? さっきからずっとあの状態だったの。
というか、海里君の拳がプルプル震えてるの。唯世君が半笑いで怖いの”

”もしかして、真面目に二人ともあむさんが好きなんですか?”



いやいや、なんでっ!? だって、海里も唯世もそうなる兆候・・・・・・あったね。



”ねぇ、今さら思い出したんだけど、海里が僕とフェイトとあむと唯世の買い物を尾行したのって”

”半分、自覚の無い恋心故だったかも知れませんね。だから、あなたも視線が熱っぽく感じた。
あと、唯世さんはアレですか? おねだりCDの時に助けてもらったのでフラグが立ったとか。・・・・・ただ”

”うん。正直、今さらって考え方もあるよねぇ。
だって、最低なやり方で二回は振ってるわけだしさ”





一度目は、みんなの前で。まぁ、これはランが悪いので言えないか。

二度目は『アミュレットハートに恋してる』発言だよ? これはないって。

で、そこから唯世が好きに・・・・・・唯世、正直僕は見込みないと思うよ?



あむがそれでも大丈夫って気持ちだから、オーケーなのよ? 普通なら可能性消えてるって。





”というか主様、唯世君がヤンデレなの。あの目は、Mなジガンでも快感ではなく恐怖を覚えるの。
もし二人がヤンデレなら、あむちゃんは危ないの。普通にNice boatなの”

”ジガン、いい所突いてるね。僕も全く同意見だよ。
てゆうか、シュライヤなら分かるけど、なんでその視線が僕に向いてるのっ!?”

”あなたが、普通にあむさんと仲良さげだからですよ。
超・電王編を越えてからは特に。それで何か勘違いしてるんでしょ”



しないでよこのバカっ! 海里はともかく、唯世はする権限そのものからないよねっ!?

二度も振ったのはおのれだろうがっ! ヤキモチ焼くくらいなら最初からオーケーしてろってのっ!!



「・・・・・・シュライヤさん、自重するのですっ! 恭文さんは、リインとフェイトさんという愛する二人が居るのですっ!!」

「こらー! なに勝手に三人体制バラしてくれちゃってるっ!? お願いだからやめてー!!
そして、自重するのはおのれの方じゃボケっ! 平然と胸を張るなぁぁぁぁぁぁっ!!」



人が色々恐怖を覚えている間に勝手な発言するのは、マジやめてー! てゆうか、リインはここだと僕の妹なのよっ!?

あぁ、シュライヤの視線も唯世と海里の視線も厳しくなるー! ヤバい、なんかすっごい針のむしろだー!!




「なんだとっ!? ・・・・・・そうかっ! つまりキサマは、日奈森あむを第三夫人にしようとしているのだなっ!!」



爆弾投げるなぁぁぁぁぁぁぁぁっ! ほら、ヤンデレモードが完全ONになってるしっ!! 正直、めっちゃ怖いのよっ!?



「してるわけがあるかぁぁぁぁぁぁぁっ! てーかやめてっ!? もう第三夫人とかハーレムとか無理なのっ!!
僕の許容量は何度も言ってるけど臨界点ギリギリなんだよっ! 普通に無理だからぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」




















◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



「・・・・・・なぁ、日奈森あむ。アイツが泣き崩れてしまったんだが、僕が悪いのか?」

「いや、多分アンタは悪くないと思う。てゆうか、きっと誰も悪くないよ」

「強いて言うなら、恭文さんが現状を受け入れられないのが悪いのですぅ。
フェイトさんともう一人の人も、二人とも好きだって中々受け入れられないですからぁ」



リインちゃんは不満そうだけど、我慢してもらわないと困るって。

リインちゃん、ここだと妹って事になってるんだしさ。ダメだって。



「まぁ、受け入れたらそれはそれで問題と言うかなんというか」





ミキ、良いこと言った。あたしもそこはすっごい思うの。・・・・・・てゆうか恭文、そこまで?

歌唄はあんな感じだし、三人体制もやっぱり辛いらしいってのは知ってたけどさ。

恭文は、シュライヤが飼ってる虎にペロペロ舐められてる。てゆうか、慰められてる。



リインちゃんも、背中をさすってる。だけど、その感触が余計辛いのかすすり泣く声が響く。



・・・・・・歌唄、マジで第三夫人とかやめてあげない? ほら、なんか可哀想になってきたしさ。





「とにかく、プロポーズしてくれるのはありがたいけど、あたしはまだそういうの考えられないし」

「そうか、それほどまでにアイツの事が」

「だから違うっつーのっ!! ・・・・・・だって、あたし達まだ子どもだよ?
結婚とか婚約とか、マジ早過ぎ。てゆうか、無理」



なにより、本命居るし。唯世くん居るし。だから、だめ。



「えぇい、お前は本当に強情な女だなっ!!」

「なにそれっ!? 今の返答からどう繋がったらそんな感想になんのよっ! てゆうか、アンタにそこ言われたくないしっ!!」

「とにかく、僕は諦めないからなっ! 僕はお前みたいに意地っ張りで強情で見所のある女の子は、初めて見たんだっ!!」

「諦めてよっ!!」



・・・・・・あー、なんか心に突き刺さった。てゆうか、そうだよね。あたしも同じだから、言う権利ないよね。



「てゆうかなにそれっ! アンタ、あたしの事何気に貶してるっ!?」

「バカ言えっ! 僕は褒めてるんだっ!!」



そんな風に全く聞こえないから聞いてるんだけどっ!? てゆうか、普通に会話成り立ってないしっ!!



「こらこら、シュライヤ落ち着け。・・・・・・日奈森あむ、すまない。
シュライヤも悪気があるわけじゃないんだ。我が王国は、日本とは色々文化が違っていてな」



そう言って、あたしとシュライヤの前に出て来て言ったのは、シュライヤのしゅごキャラの・・・・・・誰?



「ラミラだ。我が王国では、シュライヤの年齢くらいで将来の相手を決める事もよくある」

「なるほど。シュライヤがここまで力を入れるのは、そういう文化故って事だね。それならボクも納得だよ」

「そう言ってもらえると、助かる。・・・・・・それでシュライヤ、そろそろ本題に入れ」

「本題?」



ラミラがそう言うと、シュライヤが咳払いを一回して、あたし・・・・・・ううん、あたし達みんなに向き直る。

なお、未だにすすり泣く恭文以外。その声にちょっとシュライヤの頬が引きつるけど、気にせず話を進めた。



「僕がここに来たのは、エンブリオを探すためだ」



・・・・・・・・・・・・エンブリオ?



『えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!?』




















◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



「ちょっと待ってっ!? ヤスフミ、どうして王子がエンブリオを探しに来たのかなっ!!」

「そうよっ! まさか・・・・・・そいつ、新しいイースターの手先っ!?」

「あー、違う違う。なんかね、元々シュライヤのお父さんがエンブリオを探しに、日本に2年ほど滞在してたらしいの」

≪シュライヤ王子が生まれる前で、もう20年以上前のお話らしいの≫



鯖の味噌煮をつまみつつ、しっかりと咀嚼しつつ・・・・・・あぁ、美味しい。

うぅ、フェイトの料理の腕も上がったなぁ。僕、追い越されてるかも。



「シュライヤのお父さんである王様って、私も海里から聞いて知ったんだけど、相当立派な国王らしいの。
民の誰からも慕われていて、本当に理想的な王様。その王様が、民のためになればと目を付けたのが」

「エンブリオ・・・・・・なんだね」



フェイトが真剣な顔で聞いて来たので、僕は頷いて答えた。なお、真剣な顔になってる理由は簡単。



≪正解です。なんでも、自国の古い資料にエンブリオの存在が乗っていたとか≫

「・・・・・・それは、あり得ない話じゃないね。明治時代の月夜も、エンブリオの存在を知ってたくらいだから」



だって僕達、そのエンブリオ確保のためにここに居るんだもの。そしてこれは、その仕事絡みの話になるし。



「ただ、シュライヤさんのお父さんは2年間の留学中にエンブリオを見つけられなかったそうです。
その後、19歳で王に即位して現在に至って・・・・・・シュライヤさんが生まれたわけです」

「じゃあ、もしかして王子は王様の命令で?」

「ううん、違うみたい」




















◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



「・・・・・・僕がエンブリオを手にしたらか?」

「うん。ほら、やっぱりそういう願いってあるから探してるのかなーって。
まぁ、あたし達も同じような感じだし、ちょっと気になっちゃって」

「ふ、愚問だな。いいか、まずドラゴンを家来にして世界中を冒険するんだっ!!」

『・・・・・・・・・・・・はぁっ!?』



ドラゴンを家来って・・・・・・それ、マジっ!? あぁ、それでなんか燃えてるしー!!



「ありとあらゆる秘境を冒険し尽くし、手に汗握る大スペクタクルを乗り越えるんだっ!!」

「・・・・・・楽しそう」



恭文は呆れてるあたし達とは違い、キラキラとした瞳でシュライヤを見てる。



「お前もそう思うのかっ!?」

「思う思うっ! そういうのいいよねっ!? すっごく憧れるっ! てゆうか、僕も行きたいっ!!」

「おぉ、お前は見所があるなっ! この話をして、呆れたり笑わなかった奴はお前が初めてだっ!!」



互いに両手を伸ばして強く握手し合う二人を見て、あたし達は・・・・・・ちょっと微妙。

あ、あははは・・・・・・なんか息合ってるなぁ。もしかして、似た者同士?



「なら、これもきっと理解出来るだろうっ! ・・・・・・それから僕は、世界中の女の子を僕の恋人にするんだっ!!」



あたしとガーディアンのみんなは、更に呆れるしかなかった。だ、だって・・・・・・思いっ切り私欲だし。

そして、恭文は凄く嬉しそうに・・・・・・あれ? なんか表情が固まった。



「・・・・・・シュライヤ、悪いけどそこからフェイト・テスタロッサ・ハラオウンの名前は省いてくれる?」

「はぁ? 何を言っているんだ」



うん、マジでそこはあたしも思うわっ! いや、分かるよっ!? 恋人がシュライヤに取られたら嫌だろうしさっ!!



「いや、そもそもそれは誰だ」

「僕の嫁だよ。なお、すっごい美人で優しくて天然で癒されて歩く萌え要素でスタイルいいの。
その上料理は上手だし、いじめると可愛いしやっぱり綺麗だし抱きしめると温かいし」



誉め過ぎでしょっ! アンタ、どんだけフェイトさん好きっ!?



「ふ、なら余計にその者も僕の恋人にしなくてはいけないな。なにせ、世界中の綺麗な女の子は僕の」

「省け」





言いながら、恭文がシュライヤを見る。なお、にっこり笑ってるけど目が全く笑ってない。



というか、握った手がギシギシと音を立ててる。そのせいか、シュライヤの頬が引きつった。



引きつって、そのまま笑顔を浮かべてこう言い切った。





「よし、訂正だ。フェイト・テスタロッサ・ハラオウン以外の綺麗な女の子を全員恋人にしよう。
というか、彼女はお前の嫁だ。誰でもない、お前だけの嫁だ。うん、決定だな」



訂正しちゃったしっ! てゆうか、それ以外はいいんかいっ!!

・・・・・・シュライヤの手が、開放される。痣のようなものが見えるけど、きっと気のせいだよね。



「そう、フェイトは僕の嫁だよ? フェイトは恭文の嫁なんだよ? シュライヤ、分かってるじゃないのさ」



・・・・・・正直、これを『分かってる』なんて表現をしていいのかどうか、あたしには分からない。

いや、マジでだよ? というかさ、フェイトさん以外の女の子はどうなるのかって話が気になってるんだけど。



「そして、日奈森あむも僕のだ。いや、これで解決したな」

「・・・・・・あぁ、そうなるのかな。いや、良かった良かった」

「良くないからっ! てゆうか、何なし崩しにあたしをシュライヤの嫁にしようとしてるっ!? アンタ達マジおかしいでしょっ!!」

「「おかしいのは僕達じゃないっ! 世界の方だっ!!」」

「ハモってとんでもない事言うなぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」




















◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



「・・・・・・アンタ、あむは唯世に首ったけって知ってるわよね?」

「ティアナ、あむの選択はあむだけの物だよ? 僕には何も言えない」



天井を見上げて、僕は思い出す。あのツンデレ・プリンセスを。

そして、僕は微笑みながら見る。あのツンデレ・オブ・ツンデレを。




「だから、僕はフェイトが僕の嫁という事を認めさせたかっただけなのよ。
これは・・・・・・あれだよ、仕方の無い自然な話の流れなんだ」

「いったいどこが自然っ!? それが自然になるんだったら、ミッドの首都なんてジャングルって表現しても差し支えないわよっ!!」

「そうですね。それで、リインの事は数に入れなかったんですよね。
実に自然な話の流れなのに、含めなかったですよね」



そう冷たい声を上げるのは、僕のパートナーである小さな女の子。その子は・・・・・・冷たい目をしている。



「恭文さんは、リインへの愛が欠けているのですっ! つまり、アレですかっ!!
リインが他の男の人に汚されてもいいですかっ!? 恭文さんひどいですっ!!」

「違うわボケっ! 普通に僕達兄妹って事になってんのよっ!?
そこで嫁宣言なんてしたら、完全アウトでしょうがっ! なにより年齢っ!!」



さすがに10歳の子に本気で手を出したら、僕はアウトなのよ。年上として、それはダメなのよ。



「いいじゃないですかっ! 歌唄さんだってやってるですよっ!?
歌唄さんだって月詠幾斗にLOVEじゃないですかっ! あと、年齢は問題ないのですっ!!」

「人のうちは人のうちっ! うちはうちなのよっ!? どうしてそんな風に、よその家の子と自分を比べちゃうのっ!!」

「なぎ君、それは一体どこのお母さんかなっ!? いや、言ってる事は間違ってないんだけどっ!!」



メドゥーサモードなリインは置いておく事にして、僕は話を戻す。

シュライヤのエンブリオ探しの目的だね。ここ、まだ続くのよ。



「てゆうかシュライヤって、どうも父親に対してコンプレックスというか、対抗意識が強いみたいなのよ」

≪シュライヤのお父さん・・・・・・セミオラ国王と言う方は、さっき言った通り相当優秀な王様です。
シュライヤさんの父親へのコンプレックスは、どうもその辺りが原因のように見受けられました≫

「それでそれで、お父さんが見つけられなかったエンブリオを探し出して、鼻を赤してやるとかなんとか言ってたです」




















◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



「じゃあ、シュライヤの国では一夫多妻制が基本なんだね」

「一応な。まぁ、我が家は違うが。だから、別にお前の事が変とは僕は思わないぞ」

「・・・・・・でも、意味合いは違うけど二人とも好きなんだよ?」



しかもおかしいのは、二人ともが『それでいいよ』とおっしゃってる事ですよ。

僕、普通に何か突き刺さる感じがして、結構辛いの。もう何度謝ったか分からないし。



「いいではないか。少なくとも、あのリイン・・・・・・は、妹だったな」

「うん。なんて言うか、僕から言うのもアレだけどブラコンな子なのよ」

≪リインちゃん、お兄ちゃんを取られたくなくて結構アプローチかましてるの≫



・・・・・・ということに、しておこう。だって、リインが僕の嫁その2候補なんて噂が学校に広まったら、まずいし。



「とにかく、例のフェイトさんとあともう一人の子は、納得しているのだろう?」

「しているな。それには僕も唯世達もビックリだ」

「だったら、あとはお前の気持ち次第だ。お前が不誠実な事をしているというなら、我が国の民の大半は不誠実だ。
お前はただ覚悟を決めて、三人で幸せになればいい。なんなら我が王国に来て、見てみればいい。我が王国では、それは普通の事だ」

「・・・・・・なら、もうちょっと考えてみる。シュライヤ、ありがと」

「問題ない」





・・・・・・こんな話をしつつ、僕達三人は聖夜小の資料室の床に座り込んでいる。

そうしながら、シュライヤと一緒にエンブリオの資料探し。なお、あむ達は居ない。

原因は、とっても簡単。シュライヤがみんなに対して、『エンブリオを探すのに協力しろ』と命令したから。



ワガママパワーで王子様キャラ全開でやったから、みんなに凄い反感を買ったのだ。





≪それで、みんな揃って『ワガママ過ぎ』って匙を投げちゃったの≫

≪あなた、物の言い方くらいは覚えた方がいいですよ?
そういうのは心の中だけで思っておけばいいんだから≫

「・・・・・・そうか、覚えておく。しかし、お前の時計やペンダントは不思議だな。しゅごキャラでは無いようだが、会話するのか」

「あぁ。ただし、僕達から見てもかなり自由だがな。・・・・・・恭文、そっちの資料はどうだ?」





言いながら、必死に一冊の本をパラパラとめくっているのはキセキ。

うん、三人目はキセキなの。王子キャラとして、エンブリオ探しに協力しているのだ。

なお、キセキだけしかしゅごキャラメンバーは頑張ってないけど、気にしてはいけない。



まぁ、普段はエンブリオ探しは二の次になってるしなぁ。





「あー、とりあえずこんなの見つけた」



古い伝承の資料本の中から見つけた用紙を、僕はシュライヤとキセキに見せる。

それにシュライヤとキセキが目を見張り、読んでいた本から手を離して僕に近づく。



「恭文、なんだそれはっ! まさか、エンブリオの手がかりかっ!!」

「いや、あむの算数のテスト。なお65点」

「アイツは一体何処に隠しているんだっ! ここは、れっきとした学校の設備だぞっ!?」



てゆうかさ、ここは僕が前に教えた所じゃないのさ。なーんでこれ?

・・・・・・手元の本が読み終わったので、右隣に積んであった未確認の本に手をかける。



「あれだよ、学校を我が家みたいに考えてるんでしょ。いい事でしょ」

「そういう言い方をすれば、よく聞こえるのが怖いな」



王様の言葉に頷きつつも、ページを開く。すると・・・・・・一枚の用紙を見つけた。

それを右手で取って、開く。開いて、僕は驚愕した。



「恭文、どうした。またシリアスな顔で固まっているが」

「まさか、手がかりがっ!?」



僕は、かすれる声で左右から聞いてきた二人に答えた。そう、真実を。



「・・・・・・・・・・・・ややの国語のテスト見つけた」

「「またそれかっ!?」」

「しかも・・・・・・5点」

「「低っ!!」」



このテスト用紙は、とりあえず僕が保管してややに届けてあげることにした。

ほら、ややも学校を家みたいに感じ過ぎちゃって、忘れ物したんだろうしね。



≪いっそこれ、ややさんの家に封書で送りません? ほら、そうしたらきっと楽しくなりますよ≫

「そしてお前のペンダントは普通に怖いことを言うなっ! 僕は何気に恐ろしいぞっ!! ・・・・・・しかし恭文、なぜだ?」

「何が?」

「まぁ、キセキはともかく」



キセキ、僕達の中では一番エンブリオ探しに積極的だからね。

・・・・・・これくらい頑張らないと、ダメなんだろうなぁと、ちょっと思ったりした。



「なぜお前は僕を手伝ってくれる。他の者達はあんな感じだと言うのに」

「んー、まず僕もエンブリオを見つけたいというのが一つ。
あと、シュライヤの国の話とか、聞いてみたいんだ」



ややのテストとあむのテストはケープの内ポケットに収納。

そして、文献資料を見ながらそのまま言葉を続けて行く。



「僕、知らない事とかに触れるの好きなんだ。だから、興味があるの」

「・・・・・・そうか、納得した。だから、さっきからそういう話をしてたわけか」

「まぁね。あと、僕は一応ガーディアンだもの。困った生徒を助けるのは、仕事だしさ」

「更に納得した。よし、ならば褒美に南フランスのプライベートビーチを」

「いらないよ」



右側の、シュライヤの方を見る。シュライヤが一瞬息を飲んだ。



「そんなの、いらない。そんなののためにここに居るわけじゃないし。シュライヤ、そういう時は物じゃなくてもいいんだよ?
たった一言の言葉が、金銀財宝よりも価値を持つ事があるんだから。うん、僕は基本的にそれだけでいい」



だって、自分の勝手でこれだもの。それでプライベートビーチなんて、恐縮しちゃうよ。



「・・・・・・・・・・・・後悔、するぞ?」

「そん時はそん時だよ。自力でプライベートビーチは買うから」

「そうか。なら、これだけで終わらせる事にしよう。・・・・・・感謝する」

「うん」



そんな話をしながらも、資料を見ていく。でも・・・・・・うーん、それっぽいのはあるけど、確定的なのはないなぁ。



≪そもそも、エンブリオが実際に願いを叶えられるかどうかが問題ですよ。
いや、それ以前にそもそもエンブリオの話の出所はどこですか?≫

「確か・・・・・・アルトアイゼンと言ったな。どういうことだ?」

≪いいですか、まずエンブリオの話の根源が、私達には分かっていないんです。
願いを叶えると言うからには、誰かが前に叶えた事あるとは思いますが≫





あぁ、そういう事か。つまり、前に誰かがエンブリオを使った。その話が後世に伝わって、これ。

僕とフェイト、唯世達もイースターも、シュライヤにシュライヤのお父さんも探してるわけですよ。

あと、この間の超・電王編で僕達と戦った月夜だね。うん、月夜もエンブリオの存在を知ってた。



事後にあむから聞いた話では、たまごを目覚めさせるためにエンブリオを探してたそうだから。

つまり、エンブリオ自体は一種の伝説として相当前から語り継がれてる事になるのよ。

なら、エンブリオが願いを叶えられるという情報の出所は? 伝説はどこから始まったのよ。



一体、誰が最初にエンブリオで願いを叶えたのよ。そう考えていくと、エンブリオは謎が多い。



というか、普通になんだか楽しい。なにかこう、大きな謎に触れられてる感じがして、すごくワクワクする。





「なるほど、それは道理だな。そうでなければ、お前達だってエンブリオを探そうとはしないだろう」

「あと、シュライヤもだね。ね、お父さんは国の資料でエンブリオの話を知って、留学したんだよね」

「・・・・・・あぁ。父上の日記では、そう書かれていた」



なんか、勝手にお父さんの日記を読んで、シュライヤもエンブリオの事を知ったらしい。

それで、これですよ。あむ達には勝手に日記を読むなんてと、ツッコまれていたっけ。



「そうなると、確かに気になるな。エンブリオの起源・・・・・・もしかしたら、そこに見つける鍵があるかも知れん。
そして、それはかなりしっかりした形かも知れない。そうでなければ、シュライヤの国に資料が残ってるわけがない」

「だけどキセキ、その辺りって唯世も調べたりしてたんでしょ?」

「出来る範囲でだがな。ただ、どうもさっぱりだったらしい」

「エンブリオの起源・・・・・・くそ、もう少し国の資料を漁るべきだったか?」










三人で、資料を手に持って『うーん』と唸ってしまう。ここ、どうにかして調べられればなぁ。

エンブリオの起源、最初の発見者は誰か。かなり大事なキーだと思うし。

てゆうか、無限書庫にもそれらしい資料はさっぱりだったって言うし・・・・・・どうなってんだろ。





シュライヤの国にも資料が残ってるってことは、シュライヤの言うようにハッキリとした何かがあったのは間違いないのに。

























◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



「なら、そのシュライヤという方は本当に誰かの命令とかではなく、自分の意志でここまでなんですね」

「ですです」

「でも、それって凄いよね。そのためにお付き同伴とは言え、日本にまで来るんだもの。
いや、その行動力は私も見習いたいなー。大人になっちゃうと、中々そういうのは出来ないもの」





シャーリーが感心し気味にそんな事を言う。それは、他の面々も同じ。

つまり、シュライヤは純粋にお父さんへの対抗意識でこれなのよ。

うーん、話だけならマジで非の打ち所の無い人らしいし、そのせいなのかな。



・・・・・・父親が凄くて、それがコンプレックスかぁ。

なんて言うか、僕には縁の無い話だわ。僕の実の両親は、やっぱ最低だったし。

そんな気持ちをかき消すように、白いご飯をほうばる。



その前に・・・・・・また煮っころがしを箸でつまんで、パクリ。

それからご飯をかき込んで、しっかりと咀嚼。なお、ちゃんと50回以上噛むj。

咀嚼しながら、父親の話になった時の苦い顔のシュライヤを思い出す。





「とにかく、その王子は現段階ではイースターの関係者じゃないってことよね」



ご飯を食べつつ、そう聞いてきたのはティア。僕とリイン、りまにクスクスはそれに頷く。

で、頷きつつご飯を飲み込んで・・・・・・と。



「多分、大丈夫なはず。まぁ、一応気をつけておくけどさ」

「とか言いながら恭文さん、シュライヤさんと仲良しになってるじゃないですか」

「あ、そうなんだ。・・・・・・気が合っちゃったのかな」

「うん、なんか気が合っちゃったの。エンブリオ見つけたら、一緒にドラゴンを家来に冒険する約束もしちゃったしさ」

「・・・・・・・そっか。良かったね」










それで、色々話を、聞かせてもらってた。・・・・・・色々と覚悟を決める必要があると、気づいた。

フェイトとリインの二人とも・・・・・・ううん、三人で幸せになるそんな覚悟を、本当の意味で。

そうだよね、覚悟・・・・・・決めなくちゃいけないんだよね。だってもう、答えは出しちゃってるんだし。





僕は、フェイトが好き。それで・・・・・・リインも、好き。二人とも同じくらい大好きで、大事。





意味合いは違うけど、想いの強さと深さは同じで・・・・・・だから、いいよね。二人とも好きで。




















◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



「・・・・・・ルル、ホントにやるだぎゃえ?」



時刻は夜。月は登り、街を照らす。でも、誰も気に留めない。

だって、月よりも街のネオンの方がずっと輝いてるもの。そっちの方が、人は大事なのよ。



「えぇ、やるわ。というかナナ、分かってるわよね? これは大事なことなの」





私達がイースターの人形になると、向こうに強く印象付けないといけない。そのためには、これよ。

私達だけじゃ、エンブリオは見つけられないもの。そのためには、イースターの力は絶対に必要。

フランス支部から誘いがあったのは、渡りに船だったわ。おかげで情報で苦労する必要はなくなる。



というか、絶対見つけるわ。じゃなきゃ、わざわざフランスから来た意味がない。





「まぁ、うちらだけで情報収集ってのも、ちょお無茶だしなぁ」

「そういうこと。1企業としてのイースターの力、利用しない手はないでしょ?」

「それで、美味しいとこは総取りだぎゃな」

「もちろんよ」



そうよ。必ず見つけて、願いを叶える。ふふふ、イースター・・・・・・アンタ達は、徹底的に利用してやるわ。



「ルル、ナナ」





後ろからかかった声は、男の人の声。そちらを見ると、身長170ほどの男性。

黒髪で、顔を覆い隠す白い仮面を付けて、黒いコートを羽織っている。

そして、その隣には銀色の髪に紫色の瞳のしゅごキャラ。服装は、紫のワンピース。



髪をポニーテールにしていて、結構な美少女。





「兄さん、それにインも。・・・・・・侵入経路は」

「確認してきた」



してきたということは、もう一度侵入して・・・・・・え、そこまで私頼んでないんだけど。



「二人にだけ分かるように目印は付けてるから。でも、気をつけて?」

「だがルル・・・・・・ここでイースターの思い通りになれば、もう後戻りは出来ないぞ? ここで引くことも出来るが」

「そのつもりはないわ。というか兄さん、その格好はなんとかならないの?」

「何を言っている。侵入に当たってはこういう格好が基本だ。なにより、カッコいいだろ」

「そ、そう」



・・・・・・兄さんのセンスが、今ひとつ出来ない。似てない兄妹とはよく言われるけど、これは極めつけよ。

兄さん、ごめんなさい。ルルは正直兄さんのセンスは無いと思います。というか、微妙過ぎます。



「とにかく兄さん、行ってきます」

「あぁ。気をつけてな」




















◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



「・・・・・・ねぇ」

「なんだ」

「どうして、イースターはあの王子に目を付けたの?」

「ルルが持っていった『アレ』を作った技術者が、たまたま王子を見かけたらしい」



エンブリオを探していて、その気持ちが強い力を生んでいるとか。だから、閃いた。

その力を何かに利用出来ないかと。だから、上の人間に報告した。



「それで、専務が王子を利用して聖夜小ガーディアンを潰そうと考えたとか。
まぁ、この話が全部本当であるなら、そういうことらしい」

「つまり、本当じゃない可能性もある」

「かなりな。俺達は言うなら、使い捨ての駒だ。それに全部教える道理など、あるとは思えない」

「納得した」





正直、イースターの思い通りに動くのは気が進まない。俺だけならまだいい。

ただ、ルルまで巻き込むのが・・・・・・あぁもう、言ってもしかたない。

向こうはルルの能力に目を付けて、声をかけた。俺はついでも同じ。



そして、これは一種の試験でもある。自分達の駒となり、仕事をきっちりこなせるか。そこが試されている。



俺達は、イースターに・・・・・・あの星名専務に、試されている。





「でも、聖夜小ガーディアンってそんなに強敵?」

「強敵だそうだ。特に・・・・・・コイツか」



俺は、コートの懐から一枚の写真を出す。それは、一人の男の子。

聖夜小ガーディアンのジョーカーV・蒼凪恭文。



「キャラなりとは違う変身能力に、フィジカルでの戦闘も相当腕が立つらしい。
恐らく、俺とお前が相手をする事になる。・・・・・・イン、油断するなよ」

「分かってる。というか、そこは『俺達の敵じゃないさ』とか言うところじゃないの?」

「いいや、それは死亡フラグだから言わないことにする。
こういう所から韻を踏む事が、勝利に繋がっていくからな」

「・・・・・・そう。ヘイ、相変わらず変なとこにこだわるね」

「変とは失礼な」




















◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



・・・・・・イースターの技術部の九十九という男に、私は頼まれた。

今私の手元で妖しく紫に輝く宝石を、目の前でグースカ寝ている王子に渡して欲しいというもの。

これはエンブリオ。ただし、偽物。これは×たまのエネルギーを抽出して、作り上げた偽物の輝き。





確か、二階堂って言ったかしら。そいつの研究データを活用して、作り上げたとか。





てゆうか、下品な輝き。正直持ってるだけで気分悪くなってくるわ。でも、いいか。










「・・・・・・シュライヤ、シュライヤ王子。起きてください」

「ん・・・・・・」



あなたには、これで充分。



「ん・・・・・・な、なんだお前はっ!!」

「夜の雫。・・・・・・夢を追い求める強きあなたに、輝きを授けに来ました」



あなたは、これでいいのよ。偽物と本物の見分けも付かないんだから。



「これは・・・・・・まさかっ!!」

「さすがは王子。お分かりになるんですね。そう、これこそがあなたの捜し物です」










見分けも付かないから、あなたは瞳を輝かせて目の前の輝きに目を奪われ、疑いも持たずに手に取る。

だから気づかない。自分のしゅごキャラのたまごに、ばってん印にテープが張ってあるのを。

ふふふ、これって便利なのよ? 張ると、しゅごキャラが中から出られなくなるんですって。





でも、これからイースターに利用されるあなたほど便利じゃないわよね。





さぁ、踊りなさい? 偽物の輝きに惑わされながら、愚かな踊りを。




















◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



「・・・・・・BY計画?」

「はい」



夜、九十九が私の仕事部屋に来て、そんな話をした。そして、部屋の中に液晶スクリーンを展開。

そこに映し出されたのは、我々の邪魔をする忌々しいガキ共。



「聖夜小ガーディアンの中で一番の戦闘能力を持っているのは彼、蒼凪恭文です。
キャラなりとは違う正体不明の能力を操り、×たまの浄化も可能」

「そうだな。だからこそイースターの実行部隊も一蹴され、怖気付いた」

「聖夜小ガーディアンのここ最近の猛撃と二階堂やほしな歌唄の失敗は、この子の存在が大きいです。・・・・・・そこで、考えました。
専務、二階堂が作成した×ロットのオリジナルバーション・・・・・・いえ、それより上の性能の×ロットを生産せてください」



・・・・・・私が許可を出した量産型ではなく、オリジナルバーションに近い物を作る意図。

それを、私はデスクに座り、腕を組みながら考える。そして、九十九の目を見るが・・・・・・今ひとつ分からない。



「正直、量産型を大量生産しようとこの子は止められません。
現にほしな歌唄の一件で相当数撃破されていますし、ハッキリ言えば無駄です」

「九十九、何が言いたい」

「結論から言います。徹底的に能力の高い×ロットを一体生産して、蒼凪恭文にぶつけるんです。
それで撃破・・・・・・最悪その一体で足止めだけ出来れば、作戦遂行は今よりずっと楽になります」

「なるほど。量より質ということか」



蒼凪恭文を足止めしている間に、作戦を遂行。いや、他のガキ共を叩き潰す事も可能か。



「だが、二階堂が制作したオリジナルバーションは撃破されているぞ?」

「そこは対策を考えています。足止め出来てもその一回だけで倒されては、全く意味がありません」

「そうだ。エンブリオが一回で出てこない可能性もある。なにより×ロットには金がかかる。
作るのであれば、我々がエンブリオを手にするまで働ける人形で無くては困るぞ?」

「もちろんです。なので、今からそこの辺りを説明します。
まず、この×ロットにはオリジナルに無い機能を・・・・・・」










・・・・・・私は、BY計画進行の許可を出した。完成に時間はかかるそうだが、効果は期待出来そうだ。

何より、実に面白い。この愚かな子どもは、自らの影に倒される事になるのだからな。

立場を弁えずに、散々私達イースターの邪魔をした報い、その身をもって受けるがいい。





御前、今しばらく・・・・・・今しばらく、お待ちください。必ずや、エンブリオをその手にお届けいたします。





そのための布石は、揃いつつあります。あの二人に、九十九のBY計画。そして私の・・・・・・DL作戦が。




















(第48話へ続く)




















おまけ:ドキたま電話相談室




















◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



ラン「さてさて、本日もやってきましたドキたま電話相談室ー! それじゃあ、今日の相談者は誰かなー!?」

スゥ「あ、このコーナーは、とまと出演者のみなさんのお悩みをスゥ達が解決するというコーナーですぅ。
それで、今回もこのスタジオから生放送でお送りしたいと思いますぅ」

ミキ「本日の相談者は、Sさんです。Sさん、どうぞ」

S『・・・・・・失礼する』

スゥ「Sさん、Sさんのお悩みは、一体なんですかぁ?」

S『私はSではない。時空管理局所属のシグナム二尉だ」

ラン「Sさんっ! 名前名乗っちゃダメだからっ!!」

S『何を言うっ! 私は名前を隠さなければならないような病ましい事はここ数年した覚えがないっ!!』

ミキ「そういう事じゃないよっ! これ、電話相談室だからっ!!」





(でも、烈火の将は遠慮なく話を進める)





S『私には、相棒となるユニゾンデバイスが居る。名前はアギトと言うのだが』

スゥ「だから、名前出しちゃだめですよー!!」

S『そのアギトが、私とユニゾンするのを・・・・・・楽しくないと言うんだ。私が、ロードなのに。
それなのに、蒼凪の奴とユニゾンして電王なノリで戦う方が楽しいと言うんだ』

ラン「だから、名前・・・・・・あぁ、聞いてないし」

S『実際、楽しそうなんだ。私とユニゾンしてる時とは、気合いの入り方が違うんだ。
何故だっ!? 何故蒼凪とばかりユニゾンしたがるっ! 私だって・・・・・・私だって・・・・・・!!』

スゥ「あ、あの名前は出さない方がぁ」

S『問題ないだろうっ!? これはお前達だけしか聞いていないのだからっ!!』

スゥ「大ありですよっ! これ、生放送なんですよぉっ!? 見てくれてる人達は、みんな聞いてますぅっ!!」





(・・・・・・相談者。というか、烈火の将、電話の向こうで固まる)





S『・・・・・・なんだと?』

ミキ「あの、説明聞いてなかったの? これ、生放送なんです。
それで、相談者のお悩みを解決するという番組で」

S『ふざけるなっ! 貴様ら・・・・・・プライバシーという言葉を知っているのかっ!?
一体何のためにこんな事をするっ! 私に何か恨みでもあるのかっ!!』

ラン「ないよっ! というか、相談者には事前に説明を」

S『許せんっ! 貴様ら一体何処に居るっ!? 今すぐ私がレヴァンティンで・・・・・・ヴィータ、なんでだっ!!
え、やめろ? バカを晒すな? ・・・・・・ちゃんと話を聞かなかった私が悪いだとっ!? どうしてそうなるっ!!』

師匠『なるに決まってんだろうがっ! お前、絶対バカだろっ!! これは、そういうコーナーなんだぞっ!?
なんで相談者なのに趣旨理解してないんだよっ! てーか、理解してないなら相談するなっ!! もういいからちょっとこっち来いっ!!』

S『こら、離せヴィータっ! 私はまだこの連中に色々と話が』





(ツーツーツーツーツーツー・・・・・・)





ミキ「・・・・・・えー、ドキたま電話相談室では、とまと出演者のみんなのお悩みを、バシバシ解決したいと思います」

ラン「えっと、相談者の人達はちゃんとこれが放送されるって事を承知しておいてね?
この間お酒を飲んで相談してきたH・Yさんも、あれ放送されてるんだから」

スゥ「これは、そういう番組なので、相談されてから抗議されてもスゥ達は困ってしまうのですぅ。
みなさん、お願いしますねぇ? 以上、ドキたま電話相談室でしたぁ」










(本日の結論:『番組の趣旨を理解してから、相談しましょう』。
ドキたま電話相談室、次回に・・・・・・続く?)




















あとがき


恭文「さて、ドキたまもあと2話で1年目終了だよ。今回のを入れたら、あと3話だね」

あむ「そうだねー。でも、なんだかんだで長く続いてるよね。・・・・・・あ、こんにちは。日奈森あむです」

恭文「蒼凪恭文ですよ。今回のお話は、TVアニメの第36話『黄金の王子 前編』を元に構築してます」

あむ「というか、49話まではこれなんだよね。でも恭文、時間軸がなんか詰め込まれ過ぎてない? ほら、超・電王編の時はもう7月入ってたしさ」

恭文「あむ、ドラえもんとサザエさんって知ってる? ドラえもんとサザエさんは、基本的にそういう野暮なツッコミをしちゃだめなアニメでね」

あむ「え、あの世界に突入してたのっ!? いつの間にっ!!」





(サーザエさんサザエさん♪)





恭文「そう言えばさ、あむ」

あむ「何? あ、いよいよ歌唄の告白を受け入れて四人体制に入るとか」

恭文「入らないよっ! てーか、入ったら僕絶対ブーイングよっ!? ギンガさんとかすずかさんとか振ってるのにさっ!!」

あむ「でも、意見としては『あまり難しく考えずに、EXフラグが互いに立ってるなら四人で幸せになる覚悟を決めればいい』って」

恭文「それはそうかも知れないけど、難しいってっ!! ・・・・・・あ、拍手で思い出した。
最近、拍手で半角の『?』だけしか書いてないのがあるのよ」

あむ「・・・・・・いたずら?」

恭文「違う。どうも携帯から送ると、そういう誤変換がされちゃうみたいなのよ。
なので、携帯から拍手を送っていただける場合は、注意してもらえるとありがたいです」

あむ「・・・・・・流石にそれを解読って無理だよね」

恭文「出来たら奇跡だよ。てゆか、無理だよ無理」





(うん、さすがに無理です。だって、全部『?』だけなのに)





恭文「それで、色々だっしゅへの伏線も出しつつ、もうすぐ1年目も終わり。・・・・・・感慨深いなぁ」

あむ「そうだね。だって、毎週一回のアニメと考えたら、マジで4クールだもん。なんかすごいよね」

恭文「最初の頃はあむは優しい子だったのに、いつの間にか僕を蹴るんだもんなぁ。汚れたよね」

あむ「嫌な言い方しないでもらえるっ!? てゆうか、アンタがバカなのが悪いんじゃんっ!!
・・・・・・そんなわけで、次回はこの続き。偽エンブリオを渡されたシュライヤ・・・・・・どうなんの?」

恭文「どうなんだろうね。それでは、本日はここまで。お相手は蒼凪恭文と」

あむ「ミッドチルダ・X編が楽しみな、日奈森あむでした。それじゃあみんな、またねー」

恭文「あ、分かった。あむがキラキラのラブマジックを使ってシュライヤを助けるんだよ」

あむ「絶対使わないからっ! そんなのあたしのキャラじゃないのにっ!!」










(それでも、使ってくれると期待する青い古き鉄だった。
本日のED:ELISA:『Real Force』)




















あむ「・・・・・・ブラックヤスフミ、どうなんの?」

恭文「そうなんだろうね。結構見切り発車だから、作者も分からない。
あれだよ、やっぱりしゅごキャラって、主要キャラはみんなハッピーエンドじゃない?」

あむ「あー、そうだね。壊れた×たまとかの事もあるから、マジで主要キャラだけって事になるんだけど。
一応イースターの星名専務とか御前も、アニメや原作だとあんな感じだし」

恭文「どっかのスカリエッティや一部のナンバーズと違ってね」

あむ「そうだね。あ、ブラックヤスフミもそういう救いとか出さなきゃいけないってことかな」

恭文「出すんであればね。ただ、こういうキャラは今までのとまとでは出せなかったから、やりがいはある。
幕間そのきゅうからじゅういちまで出たのは、×ロットに近い感じのコピーであったからさ」

あむ「何にしても、2年目だよね。・・・・・・ミッドチルダ・X編、楽しみだな」

恭文「そうだね。僕も久々のミッドチルダだから、楽しみだわ」










(おしまい)





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