小説(魔法少女リリカルなのは:二次小説)
第38話 『W(ダブル)で超・クライマックスッ!! 前編』
ラン・ミキ・スゥ『しゅごしゅごー♪』
ミキ「ドキっとスタートドキたまタイムっ! さぁ、超・電王編も、ついに最終決戦だよっ!!」
ラン「燃え上がり始める京都の街。それを食い止めるために動く良太郎さんとフェイトさん達。
さらわれたあむちゃん達を助けるために、巨大牛車に乗り込む恭文とリースさんと私達とダイヤ」
スゥ「それにそれに、驚きつつも現場に到着したゼロライナーのみなさん。全員一丸となって、全力全開で戦うのです」
(お馴染みな画面に映るのは、暴れまわる現・魔法少女。そして・・・・・・進化する剣)
ラン「さぁ、頑張るよー! ここからはクライマックス、超えるんだからっ!!」
ミキ「唯之介君とかえでさんも、同じくだね。このままになんて、絶対にさせない」
スゥ「というわけで、本日もスタートなのです。・・・・・・せーのっ!!」
ラン・ミキ・スゥ『ドッキドキ♪』
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時間は、少しだけ遡る。全力全開で上空を飛んでいると、ジガンが気配を掴んだ。
それは、こちらに同じように全力全開で近づいてくる気配。
≪主様っ! こっちに急速接近する機影が二つなのっ!!≫
「よし、レールガンで一気に撃墜するっ!!」
≪ダメなのっ! というかこれ≫
「じいちゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁんっ!!」
・・・・・・声のした方を見る。それは、僕の左側。ジャケット姿の恭太郎と・・・・・・はいっ!?
う、歌唄がセラフィックチャームになって、クラウンドロップなりまを担ぎながら、飛んできたっ!!
「・・・・・・恭太郎っ!!」
とりあえず、僕は恭太郎に向かって全力飛行。そして、右拳で顔面を打ち抜いた。
「げぼぶぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅっ!?」
「どの面下げてここに来たんだおのれはぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
そして、恭太郎は吹き飛び、星になった。・・・・・・あのバカ孫は、マジで地獄へ落ちてろ。
「・・・・・・いきなり容赦ないわね」
「まぁ、当然よね。大半の原因、恭太郎なんだもの」
「で、なんで当然って顔してりまと歌唄まで居るのっ!? てーか、マジでどうしたっ!!」
・・・・・・顔を見合わせて、二人揃って首を傾げないでっ! 僕は、真面目に話してるのよっ!!
「当然、救援に来たのよ。・・・・・・事情はよく分からないけど、たまご関連の事件になってるのよね?」
【エル達、あの空飛ぶ牛車の中から、変なたまごの気配を感じたのです】
【それで、恭太郎に付いて来てもらって、ここまで来たのー】
「私は飛べないから、歌唄に連れて来てもらったけど。というか、恭太郎やティアナさんに文句言うの、なしよ?
私達の時代にもあの連中の仲間っぽいのが襲って来て、残るのはかえって危険になっちゃったんだから」
りまがそう言ったのを聞いて、目を見開いてしまった。
・・・・・・待て待て、昨日の連中の会話で、それっぽいのがあったな。
「りま、それ本当なの?」
「本当よ。恭太郎とティアナさんが撃退してくれたから、無事だったけど」
「ちなみに、今京都の街を焼こうとしているあの緑色のゾンビも居たわ」
なるほど、じゃあアイツらの仲間を撃退したのは、恭太郎とティアナか。
僕達は普通に出っ放しだったから、そこまでは分からなかったよ。
「間違いなく、連中の仕業よ。それで恭文、アンタは何してるのよ」
「・・・・・・あむが、さらわれたの。で、それを助けに行くところ」
「「はぁっ!? アンタ、なにしてんのよっ!!」」
「とにかく、時間がないから移動しつつ話すっ! あと・・・・・・恭太郎っ!!」
後ろから、顔面を押さえながらこっちに戻ってきた恭太郎に、視線を向けずに怒鳴る。
うん、怒鳴るのよ。今回のコレに関しては、かなり怒ってるから。
「な、なんだ?」
「かえでも、多分あそこに居る。だから、恭太郎が責任持って助けて、守れ。
・・・・・・恭太郎の価値を認めて、好きだって言ってくれた女の子なんだからさ」
あぁ、視線が痛い。りまとか歌唄とかアルトとかジガンの視線が痛い。『お前が言うな』って声が聞こえる。
でも、そこは思うの。自分の事を棚に上げっぱなしだけど、思うの。お願い、その冷たい視線はやめて?
「・・・・・・あぁ、分かってる。じいちゃん、悪い」
「謝るなら、僕じゃなくてかえでとリース、あと未来の時間のみんなに謝れ。・・・・・・いくよ」
「おうっ!!」
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とにかく、僕達は上へ飛ぶ。そうして、ミキ達のナビの下、辿り着いたのは、操舵室っぽいところ。
牛車の前方、赤い宝玉のようなものが付いていた。内部サーチを走らせた上で、位置関係を確認。
あむが尻尾で吹き飛ばされ、それでも立ち上がる。だけど、逃げない・・・・・・らしい。
だから僕は、マントを靡かせる。全力で飛び、操舵室の前に来る。
そして、右手でコインを取り出す。・・・・・・腕に迸るのは雷撃。狙うのは、あむに迫り来る尻尾。
大丈夫、殺しはしない。ただ、この場で壁を壊して助けて・・・・・・なんて、余裕もない。
お前、尻尾が全部なくなるくらいのこと、覚悟しろ。てーか、うざったいから全部潰す。
「とールガンっ!!」
親指で、コインを弾く。電撃によって発生した力場に作用され、コインは超高速で射出された。
壁を撃ち抜き、狙い通りに尻尾をぶっ潰す。だけど、まだ全部じゃない。狐女は、まだ動く。
だから、続けて腕に雷撃を迸らせる。当然、コインを新しく出した上で。
・・・・・・電気の魔力変換を用いた攻撃。そう、これはレールガン。某御坂さんの攻撃である。
魔力変換を用いて、色々実験した結果、切り札の一つとして構築したのだ。というわけで、もう一発。
発射されたコインは、衝撃波を撒き散らしながら、尻尾を吹き飛ばす。でも、まだ全部じゃない。
なので、まだまだやるのである。・・・・・・ただ、弱点がある。それは、威力が大き過ぎること。
マッハな単位で飛ぶコインなど普通の人間が食らったら、ブッチギリで死ぬ。非殺傷設定は、無意味。
そんなわけで、フェイトやティアナにシャーリー、なのは達からも使用禁止と言われた。
でも、練習はしてたんだよねー。普通に威力調整くらいは出来るようになりたかったしさ。
≪もう一発、いくのっ! というか、三発目なのっ!!≫
放たれた閃光は、尻尾の残りを撃ち抜き、砕いた。・・・・・・血とかは、出てないみたい。
もしかして、本物の尻尾じゃなくて、キャラなりの能力で構築された装備品になるのかな?
「アンタ、なにやってんのよ」
「私、知ってる。確かそれ、試しに撃ってフェイトさん達から怒られてたのよね」
≪この頃からレールガンを習得されていたんですか≫
「じいちゃん、過激だって。てーか、それはあむ達も衝撃波食らうじゃねぇか」
みんなが何か言ってるけど、気にしなーい♪ とにもかくにも、四発目。
今度の狙いはキュウビじゃない。・・・・・・舵だ。現在、牛車は京都の外に向かってる。
これで舵を壊せば、京都に降りられる心配はない。てーか、アレだよアレ。
なんかキュウビが舵に手を伸ばそうとしてるので、希望を破壊することにした。
「・・・・・・あむ、よく吼えた。さすがは主人公キャラ」
放たれたコインは、壁を貫き、舵を粉砕した。その次の瞬間、牛が吼える。
吼えて、身体を模ってた炎が少しずつ崩れ始めた。牛車自体も、なんか燃え始めてる。
僕は、それから壁に向かって突撃して、両足で蹴りをかます。
壁は、レールガンに貫通された衝撃で脆くなっていたのか、いとも簡単に壊れた。
そのまま、僕は滑り込むように中に突入する。
「でも、これじゃあ僕のかっこよさが半減じゃないのさ。もうちょい配慮してくれると、嬉しいんだけど?」
「うっさい。配慮して欲しかったら、もうちょい早めに来てよ。あたし、超ヤバかったんだから」
「悪いね、ちょっと時間がかかった」
・・・・・・いつもの調子だと思った。でも、少し違った。
あむの瞳の中に、僕のよく知る感情の色を見つけてしまった。
それは、強い怒り。人の心すらも歪めかねない程に、強烈な色。
仕方ない、のかな。昨日の唯之介の話とか、警官の事とか、ショックの強いことばかりだったし。
ダイヤ、あとラン達に歌唄にりまに恭太郎。あむのことは、任せる。僕は・・・・・・少し、コイツと『お話』だ。
「・・・・・・キュウビっつったっけ?」
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『あむっ!!』
『あむちゃんっ!!』
斬撃の嵐に見惚れていたあたしに、声がかかる。
そして、そちらをハッとした顔で見る。・・・・・・そこには、よく知った顔があった。
「・・・・・・ラン、ミキ、スゥッ! というか、歌唄にりま、イルにエルにクスクスも・・・・・・どうしてっ!!」
りまもクラウンドロップに、歌唄もセラフィックチャームにキャラなりして・・・・・・いやいや、マジでどうしたっ!?
だ、だって歌唄もりまも、あたし達の時間に居るはずじゃっ!!
「バカ、助けに来たに決まってるじゃない。私達、時間の歪みの影響を受けてなかったのよ。だから、唯世のこともちゃんと覚えてる」
あたしは、驚きを隠せなかった。だけど、二人はそんなあたしを安心させるように、頷いてくれた。
【それでゼロライナーに乗って、時間を越えてきちゃいましたー! クスクスクスクスっ!!】
「全く、ようやく到着してみたら、アンタまでさらわれてるって、どういうことよ。
私、恭文から話を聞いて、本当にビックリしたんだから」
【そうなのですっ! あむちゃん、ちょっと油断し過ぎなのですっ!!】
「ま、アタシらが来たからにはもう安心だぜ? 下の方も、ゼロノスやNew電王やらが暴れてるしな」
歌唄に抱えられる形で、りまが空を飛んできた。というか、普通にりまもラン達を抱えてた。
というか、恭文がターミナルで連絡を取ってたゼロライナーってので、来たって・・・・・・マジ?
ううん、多分そうだ。ティアナさん達やリインちゃんが、こっちに来れるかも知れないって言ってたから。
でも、なんで歌唄? りまはともかく、歌唄が居る意味が分からないんだけど。
「「かえで(ちゃん)っ!!」」
でも、それだけじゃなかった。もう三人ほど、飛び込んで・・・・・・って、恭太郎っ!?
「唯之介っ!!」
「リースッ! それに恭くんもっ!!」
「・・・・・・チアキっ!?」
恭文が開けた穴から更に飛び込んできたのは、恭太郎とリースと知らないしゅごキャラ・・・・・・え?
ツインテールの髪に、黄色の服に・・・・・・ダイヤっ! え、ダイヤまで来てるのっ!?
「あむちゃん、お久しぶり。・・・・・・もう、こんな事になっちゃってるから心配で、おちおち寝てもいられなかったわ」
「ダイヤ・・・・・・!!」
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
「恭くん・・・・・・」
「・・・・・・このバカ。心配させんじゃねぇよ」
「ごめん」
あぁ、なんかリースの視線が痛いっ! てか、チアキまで睨んできてるー!!
あぁ、そうだよなっ! 今回は俺が悪者だから、言う権利ないもんなっ!! うん、分かってたよっ!?
「悪かったな」
「え?」
「傷つけてたよな。それで・・・・・・凄く嫌な想い、させてたよな」
振り返り、見据えるのはキュウビという女。じいちゃんの話だと、キャラなりした状態がアレとか。
もう、四の五の言ってる場合じゃねぇ。この状況だ、例のプログラムを使っても、オーナーもきっと許してくれるだろ。
「俺さ、マジでお前の気持ち・・・・・・嬉しいんだ。もう、すっげー嬉しいの。
ただ、なんか俺はまだ自分が定まってなくて、まだあやふやで」
左腰に差してある蒼ビルトを、俺は右手で逆手に持ち、抜く。
「正直、自信ないんだ。誰かと一緒に生きてくとか、繋がって気持ちを育てるとか、出来る自信がなくて・・・・・・逃げてた」
同じように、金ビルトも逆手で柄を持ち、抜く。
「多分、それは今も変わらねぇ。俺、お前の気持ちにどう応えたらいいか、分からないんだ。
いや、お前だけじゃない。咲耶だったり、他の連中だったり。みんな、同じ」
「恭くん、あの」
「だけど、守るから」
俺は、そのままビルトを構える。左手を前にし、右手を後ろに引いて、構える。
「お前は、俺の大事な荷物の一つだ。だから、守る。
・・・・・・悪い、こんな応え方しか、今は出来ねぇや」
そのまま、俺は飛び出す。じいちゃんと斬り合ってたキュウビがじいちゃんと距離を取り、俺に踏み込む。
「また・・・・・・また邪魔な童がっ!!」
「そうだな、俺はガキだよっ!!」
高速で突き出された刃を、俺は身を捻って避ける。そしてそのまま、右拳を引いた。
「んなこと、てめぇに言われるまでもなく・・・・・・!」
引いた右拳を、全力で叩き付ける。狙うは、キュウビの顔面。
拳に、確かに命中の手ごたえ。俺は、そのまま拳を振り抜いた。
「やんなるくらいに分かってんだよっ!!」
吹き飛ばされながらも、キュウビは刃を俺の側頭部目掛けて打ち込んでくる。
それを、俺は身を引き、金ビルトの刃で受け止めた。一瞬だけ、刃が摩擦する。
じいちゃんは、俺を見てポカーンとしてるので、右手でサムズアップしてやった。
で、じいちゃんも同じように左手で返してくれた。・・・・・・それが、嬉しかった。
「じいちゃん」
「なに?」
「俺、強くなるわ」
まだまだ弱くて、青い果実だから、強くなる。でも、どんな風に?
そんなの、もう決まってる。俺のこころは、その形を定めた。
「自分を信じて、想ってくれる人と一緒の時間を考えて、それを現実に出来るくらいに。
・・・・・・いや、俺が惚れた女と一緒の時間を紡いでいけるくらいに」
「・・・・・・そっか」
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
リースとかえでさん、唯之介と、なんか知らないしゅごキャラが抱擁して・・・・・・あれ、これなに?
で、恭太郎は恭太郎でなんかキレて、キュウビのことぶん殴っちゃうし。
な、なんか状況が一気に進み過ぎてるような・・・・・・あぁ、もう訳分かんないしー!!
【ねね、りまー。恭太郎が、なんか本気モードだよー?】
「かえでのこと、相当責任感じてるのよ。というか、感じなきゃだめって話もあるけど」
【そうですね。理屈はどうあれ、男として感じないとダメなのです】
今の恭太郎は、恭文が本気で怒ったり、戦うって決めた時と同じ空気を出してる。
それに、恭文の姿が被った。・・・・・・あぁ、そうか。恭太郎、本当に恭文の孫なんだ。
「私達も負けていられないわね。あむちゃん、キャラなり出来る?」
でも、ダイヤにそう言われた瞬間に、思考が固まった。
「キャラなり?」
「えぇ」
ということは、もしかしてたまごを浄化・・・・・・そこまで考えて、また止まった。
あの人のたまごを浄化する理由、あるのかなと。だって、キュウビはあんな感じで、とっても最低で。
「あむちゃん、あなたは悪人のたまごだから助けないとでも、言うつもり?」
こころの内を見透かすようなダイヤの言葉が、胸に突き刺さった。
・・・・・・そうだ、あたしそう言おうとした。こんなひどい事をする人を助ける理由があるのかと、迷ってる。
「あむちゃん、彼女は確かに最低で最悪かも知れない。
だけど、それは本当に、あむちゃんが何もしない・・・・・・ううん」
ダイヤは、真剣な顔で言い直した。それが、あたしの胸に更に突き刺さった。
「あなたが彼女を、あのたまごを見捨てる理由に、なるのかしら」
「ダイヤ・・・・・・」
「だけど、それでも・・・・・・決めるのは、あなたよ。だから、私はなにも言わない。・・・・・・どうする?」
あたし達の目の前で、恭文がキュウビとまた斬り合い始めた。一歩も引かずに、躊躇わずに。
ただ壊すためじゃない。ただ、傷つけるためじゃない。今を覆し、未来を守るために。
いつも通りの、恭文の戦い方。恭文なりの、現実との関わり方。それを、今も通してる。
その姿を見て、あたしは・・・・・・立ち上がる。
「・・・・・・弱かったり、運が悪かったり、何も知らないとしても」
前に、恭文が言ってた言葉。戦うのは怖くないのかと、聞いたことがある。その時、恭文はこう答えた。
怖くても、何もやらない言い訳なんて、見過ごす言い訳なんて出来ない。
だから、自分に出来る最大限の無茶を通す。それが、自分にとっては戦うことだって、教えてくれた。
まぁ、それが『僕より強くて優しい人達』の受け売りって聞いた時は、ちょっと笑ったけど。
「何も、やらないことの言い訳にはならない。・・・・・・前に、恭文が言ってたんだ」
「・・・・・・そう」
さっきまでの怒りを一旦納めて、拳を握り締める。あぁ、そうだ。あたしは言い訳してた。
この場で何もしない言い訳を、見捨てる言い訳を、しようとしてたんだ。
「・・・・・・正直、あたしはあんな人嫌い。助ける理由なんて、ないとさえ思った。ううん、今でも思ってる」
「彼女が、憎いのね」
「憎い? ・・・・・・そうだね、憎いんだ。憎くて憎くて、許せないと思ってる」
自分でもビックリするくらいに、キレてる。人を、何かを憎むって、こんな気持ちなんだ。
こんなに苦しくて、悲しくて、そして・・・・・・どうしようもない気持ちだったんだ。あたし、知らなかった。
「だけど、これは・・・・・・あたし自身の言葉を、嘘にする気持ちなんだ」
だから、飲まれかけた。憎くて、見捨てていいとさえ思ってた。だけど・・・・・嫌だ。
あたしは、嫌だ。こんな気持ちに負けたくなんて、ない。今までの自分を、嘘にしたくない。
こんな気持ちに負けていたら、あたしはきっと、敵同士だった歌唄と友達になれなかった。
二階堂のことなんて、ずっと嫌いなまんまだったし、新しいものなんて、何も生まれなかった。
何もしなかったら、手を伸ばさなかったら、きっと今という時間は成り立たない。
きっと、今だって同じだ。あたしは、言い訳しちゃいけない。そして、したくない。
あたしなりの現実との関わり方を、あやふやでもここで通す必要があるんだ。
「これは、手を取り合う事を、許すという未来への可能性の一つを壊す、悲しい気持ちなんだ」
いつの間にか俯いていた顔を、上げる。そうだ、無価値なものなんて、どこにもない。
綺麗ごとかも知れないけど、キュウビのたまごだって、同じなんだ。
だったら、助けよう。ここがどこかとか、何時かなんて、関係ない。あたしは、あたしだ。
迷えるたまごを、なりたい自分を守るのが、あたしのやりたい事。それを、通すだけ。
「ラン、ミキ、スゥ、ダイヤ。それに歌唄、りま・・・・・・お願い、力を貸して」
あたしがそう言うと、みんなの表情が明るくなった。・・・・・・これで、いいんだよね。
あたしの言葉を、嘘にしないために。あたしの『なりたい自分』に、嘘つかないために。
あたしの『なりたい自分』は、こんな感情に負けて、誰かを見捨てるようなことは、しないから。
そのまま、全力で走る。全力で走って、キュウビとの鍔迫り合いから距離を取った恭文の隣に来る。
恭文はビックリした顔してるけど、気にせずにいつものように笑いかける。・・・・・・あ、返してくれた。
「恭文、さっきの青いのどーん・・・・・・超電磁砲だっけ?」
後日、超電磁砲の性能を詳しく聞いて、寒気が走った。
だって、普通にありえないもの。てーか、それを使うって、危な過ぎだし。
「アレは、もう無し。あんなのまた撃ったら、あの人死んじゃうよ」
「・・・・・・助けるつもり?」
「助けるよ」
あっさりと、言い切る。もう、迷いはなかった。
それよりも強い気持ちが、あたしの中には、ちゃんとあるから。
「自分で言ったこと曲げたら、あたしのキャラがすたるじゃん。だから、協力して。
あたしだけでも、恭文だけでも、ダメだから。恭文やみんなの力が、必要なの」
「・・・・・・そっか。んじゃ」
アルトアイゼンを一旦鞘に収めながら、呆れたように言ってきた。
でも、不安はない。だって、あたしはもう分かってる。恭文は、必ずこう言ってくれるんだから。
「一緒に、やるよ」
・・・・・・と。だからあたしは、力いっぱいに頷いた。
「娘、まだ・・・・・・邪魔をするかぁっ!!」
「・・・・・・アンタの考えになんて、あたしは一ミリだって譲れない。
そのたまごがどんだけ大切か知らないけど、それでも絶対に譲れない。てーか」
右手で、ビシッとキュウビを指差す。で、そのまま・・・・・・全力全開で吐き出す。
「ウジウジすんなっ!!」
これ、自分に対しても言ってる。そうだ、あたしはさっきまでウジウジしてた。
あたしは子どもで、普通の女の子。出来ることなんて、限られてるに決まってる。
でも、負けたくない。逃げたくない。知らなかった現実にも、そんな自分にも。
だからあたし、ウジウジするな。今自分のやれること、精一杯やればいいだけじゃん。
「ネガティブキャラになるにしたって、そこまで行くなんて絶対おかしいじゃんっ!!
・・・・・・だから、止めるよ。この街の人達も、アンタも、もう誰も泣かなくていいように、絶対に」
ほら、恭文もせっかくだからやっちゃって? こういうのは、アンタだって得意でしょうが。
「いい? 僕達に前振りなんてない」
右手で、またキュウビを指差す。そして、恭文は言い放った。
「今日は全員揃って、W(ダブル)で超・クライマックスだ。僕達のノリ、神様だって止められないね」
「いやいや、なにそれっ!? ・・・・・・あ、超・電王だからか」
「そういうこと。・・・・・・ミキ」
「分かってる。恭文、やろう? ボクも・・・・・・戦う」
恭文がミキの方を見る。ミキは、力いっぱいに頷いた。
「ラン、行くよ」
「うんっ! 行っくよー!!」
そうだ、一人じゃない。あたしの隣には、こんなに頼れる仲間が、友達が居る。
・・・・・・迷わないで。躊躇わないで。そして、止まらないで。
今、あたしがやらなきゃいけないことは、絶対にそれじゃないからっ!!
「あたしのこころ・・・・・・!!」
「僕のこころ・・・・・・!!」
あたしは、ゆっくりと両手を前に持っていく。そして、指を広げる。
あたしは、閉じかけていたこころの鍵を、一気に開け放った。
『アンロックッ!!』
開かれた鍵の力で、あたし達は姿を変える。なりたい自分の姿に。
あたしは、毎度お馴染みのピンク色のチアガールの姿に。
恭文は、『魔法』が使える、青い魔法使いの姿に。
薄暗い操舵室を照らすように輝いていた、青とピンク色の光が、『パン』と音を立ててはじける。
二色の光の羽が、あたし達の周囲に舞う。それにキュウビも、かえでさんや唯之介君も、見惚れてるようだった。
【「キャラなりっ! アミュレットハートッ!!」】
【「キャラなりっ! アルカイックブレードッ!!」】
キュウビが、あたし達の姿に目を見開く。それに、恭文とあたしは不敵に笑う。
≪もちろん、ジガンも主様と一緒にキャラなりなの。というか、キャラなり初参加なのー♪≫
へ? ・・・・・・あ、ホントだ。アルカイックブレードのガントレットの形が、この間までと変わってる。
これ、ジガンがパワーアップしたからなんだ。というか、また普通に喋ってるし。
≪当然、私もです。・・・・・・さすがにもう慣れましたよ≫
あははは、なんて言うか緊張感ないなぁ。なんか、羽とか・・・・・・あれ?
てゆうか、えぇっ!? この羽なにっ! なんか演出がパワーアップしてるんですけどっ!!
「はわわ、超・電王編だから、パワーアップしてるですかぁ?」
「それとも、あむちゃんが啖呵切りまくったからなのかしら」
え、これそういうことなのっ!? だからこれなのっ!?
「・・・・・・キャラなりって、奥が深いなぁ」
【そういう問題なのかなぁ】
【まぁ、今年20歳の恭文がボクとキャラなり出来るくらいだしねぇ。当然かも】
ランも恭文もミキも、感心してる場合じゃないからっ!! と、とにかく・・・・・・いくよっ!!
そうして、恭文とあたしはキュウビに向かって踏み込んだ。こんな悲しい状況を、終わらせるために。
『とまとシリーズ』×『しゅごキャラ』 クロス小説
とある魔導師と古き鉄とドキドキな夢のたまご
第38話 『W(ダブル)で超・クライマックスッ!! 前編』
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「人間風情が」
キュウビは、両腕を顔の前へ持っていき、クロスさせた。そのまま、叫ぶ。
「童の城で、好き勝手するなぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
叫びながら腕を上げると、生えてきたのは9本の尻尾・・・・・・って、再生可能かいっ! また無茶苦茶だなぁっ!!
その尻尾が僕とあむ目がけて飛んでくる。それを、左右に分かれて跳んで避ける。その間を、キュウビは突っ切った。
「あぁ、外にっ!!」
・・・・・・アレ? なんかすっごい爆発音が周りから聞こえてるんですけど。
「そのまま、死んでしまえっ!!」
外から、遠く声が聞こえた。・・・・・・それに、僕達は顔を見合わせる。
普通に自分の居城を放棄しやがったっ! 完全に見境無くしてるっ!?
「あむ、追うよっ!!」
「うんっ!!」
「恭太郎、リースっ! かえでと唯之介や歌唄達のこと、お願いっ!!」
「いや、お願いって・・・・・・あの、じいちゃんっ!?」
そのまま、返事は聞かずに僕達は飛び出した。風を切りながら、僕達は高速で落下していく。
でも、僕は普通に飛べるので問題なし。・・・・・・あれ? そう言えばあむって。
【・・・・・・ね、あむちゃん】
「なにっ!?」
【私とキャラなりしてたら、普通に空飛べないんじゃ。というか、ここからは高過ぎるよ】
ランが、非常に困った声でそう言った。そして、気づく。アミュレットハートは、飛べない。
「飛べ・・・・・・ない?」
【うん、飛べないよね】
空中で滑空出来たり、動きの制約が少ないというだけで、飛べるわけじゃないのだ。
そして、風を切り裂きながら、増していく落下スピードの中、あむの顔が一気に青くなった。
「あぁっ! わ、忘れてたー!!」
「そこ忘れるって、どういうことっ!? いや、僕も一瞬忘れてたけどっ!!」
「・・・・・・恭文、私も」
で、横を見ると・・・・・・きゃー! りままで飛び出してたー!!
「りまっ! おのれまで何やってんのっ!?」
「仕方ないでしょっ!? なんかこう・・・・・・勢いでやっちゃったんだからっ!!」
やるかぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ! てーか、ほんの数話会ってない間にキャラ変わってないっ!?
もしかして、キャラなりじゃなくて、キャラチェンジしてるんじゃないだろうねっ!!
【恭文のせいだよねー。侑斗さんや幸太郎達も、この状況は恭文と野上良太郎さんの運の悪さが二乗されてるのが原因だって言ってたし】
落下しつつ、自分もろともりまがミンチになる可能性が出てきてるのに、クスクスはいつも通り。
・・・・・・って、やばい。早く何とかしないと、普通に史上最大のグロシーンを描く羽目になる。
「何でもかんでも僕と良太郎さんの運の悪さのせいにするの、やめてもらえますっ!?」
幸太郎も侑斗さんも、あとで覚えておけよ。絶対怒ってやる。普通に怒ってやるんだから。
と、とにかく・・・・・・今はりまの対処だ。このままじゃ、りまはリアルにミンチになってしまう。
「・・・・・・りま、とりあえずごめんっ!!」
僕は、りまに手を伸ばして、りまの左手を掴む。そのまま抱き寄せて、思いっきりハグ。
・・・・・・少し僕の落下軌道が乱れるけど、身体を縦に一回転させて、安定させる。これで、よし。
「・・・・・・ありがと」
「いいよ、別に。嫌じゃ、ない?」
「大丈夫。・・・・・・マジで、大丈夫だから」
りまが、抱き返してくれた。強く、まるで僕を安心させるように。
その感触が温かくて、柔らかくて、ちょっとドキっとした。
「私は、過去なんて気にしない。今目の前に居る恭文しか、私は知らないもの。
そして、今の恭文は、過去も全部含めた恭文のはず」
「え?」
風を高速で切り裂きながら、僕達は落下する。だけど、そんな中でりまの声は、ちゃんと伝わってる。
「だから、そんな不安そうな顔も、妙な気遣いもしなくていい。・・・・・・恭文の手、温かいから好き」
「・・・・・・そっか」
・・・・・・状況を読まずに、ついついやってしまった。昔からある癖の一つ。
りまは頭のいい子だから、色々見抜かれるらしい。ちょっと、反省した。
【ちょっと恭文っ! それならあむちゃんと私はどうなるのっ!? 感動ムードなのはいいけど、私達も助けてー!!】
「あわわわわ・・・・・・あたしも抱きついていいっ!?」
「「だめ。定員オーバー」」
ごめん、意地悪とかじゃなくて、二人とか抱いた上で飛ぶとかって、きついの。
特にアルカイックブレードは高機動で、ピーキーだから余計無理。
「そんなぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
恭太郎は、かえでを担ぐ形で。リースは、唯之介を抱きしめながら脱出。歌唄も、ちゃんと居る。とりあえず、あっちは大丈夫。
牛車は、青い炎に包まれながら、山に滑るように落ちていく。いや、焼き尽くされていく。こっちも、大丈夫。
そして、キュウビは・・・・・・山の中腹。広場のようになっているところに降り立ち、僕達を睨み付ける。
ちょうどいい、あそこなら人は気にしないで派手に暴れられる。・・・・・・京都の方は、大丈夫。
フェイトやスバル達も居るし、侑斗さん達だって来てくれた。だから、大丈夫だ。
【あ、なら歌唄ちゃんに手伝ってもらおうよっ!!】
「必要ないっ! ・・・・・・あむ、すぐにアミュレットダイヤなり飛べる形態にキャラなりっ!! そうすりゃ、問題ないでしょっ!?」
僕の言葉に、あむがハッとした顔で何度も頷く。・・・・・・おーい、そこ気づかないのは色々とやばいよー?
よし、あむにはマルチタスクの訓練も少しずつやってもらおう。じゃないと、色々と不安だ。
「ダイヤっ!!」
「分かったわ。ラン、チェンジよ」
【了解っ!!】
次の瞬間、あむが金色の光に包まれた。その間に、僕はりまを抱えた上で着地。りまを、地面に下ろす。
ずっと後ろの方では、歌唄とリースと恭太郎が着地。・・・・・・こっちを見て、頷いてる。
「りま」
「安全圏まで下がっててなんて言うのは、なしだから。・・・・・・ここまで来た意味、分かってるわよね?」
「・・・・・・怪我しても、責任は取らないよ? 僕、三人体制でもうアップアップなんだから」
「必要ないわよ。私、男に頼った生き方するの、嫌いなの」
言いながら、りまは僕に背を向けて、後ろに下がる。とりあえず、後方支援に終始するつもりらしい。
「嫁にもらって欲しかったら、勝手に第四夫人か現地妻を名乗ってるから」
「待って待ってっ! 第三夫人誰っ!? いや、それ以前に勝手に名乗るのやめて欲しいんですけどっ!!」
「冗談よ。あと、第三夫人は歌唄よ」
「きゃー! そこだけはもしかしなくても冗談じゃないのっ!?
ねぇ、お願いっ! お願いだからそこも冗談って言ってー!!」
だけど、りまはそのまま何も答えずに後ろに下がり、歌唄と少し話したかと思うと、すぐにこちらに向き直る。
で、即座にピンを、大量生成。その瞳には、強く・・・・・・揺らがない決意の色。でも、『冗談よ』とは、言ってくれない。
【恭文、一夫多妻制は、構成される全員の総合的な許容量の問題だって言うよ?
つまり、恭文の許容量がアウトでも、それをフェイトさんやリイン、歌唄が補えるなら】
「お願い、何も言わないで。マジで何も言わないで。
というわけで、別の話をしよう。・・・・・・ミキ、アレやってみようか」
僕は、左のカードホルダーから左手で、1枚のカードを取り出す。それは・・・・・・Qのカード。
【アレ? ・・・・・あ、アレだね】
「そう、アレ。んじゃ、早速」
そのQのカードを、右のガントレットのカードリーダーに通す。
≪Absorb Queen≫
「せっかくの超・クライマックスだ。いい機会だし、見せてあげるよ」
Qのカードの効果は、進化。まぁ、本家本元だったら左腕にパーツ装着なんだけど。
アルカイックブレードは、いつも通り右手のリーダーですよ。
【アルカイックブレードは・・・・・・恭文の『なりたい自分』は、どこまでだって進化し続けるんだから】
で、次に取り出すのは、Jのカード。なお、Jは鳥・・・・・・イーグルの絵が描いてある。
≪さぁ、その目に焼き付けなさい。私達の、止まる事のない鮮烈な進化の証を。というわけで、ジガン≫
≪はーい、派手にやっちゃうのー≫
ただし、その翼は、虹色をした6つの刃になっていた。
その絵柄のカードを、そのままスラッシュ。ジガンボイスで、進化の始まりを告げた。
≪Fusion Jack≫
その瞬間、僕の身体に纏うジャケットが金色の光に包まれて、その色を変える。
両肩と両手の甲にあるスペードの装飾が輝き、それまでの色から、光と同じ色になる。
それからジャケットの左の胸元に、Jのカードの絵柄のエンブレムが付く。なお、これも金色。
それだけではなく、ジガンが変形している流線型のガントレットの縁取りも、金色になる。
あとは、僕が首にかけているマフラーとロングパンツにも、同じ色のラインが入った。
・・・・・・そして、最大の変化は背中だ。右のリーダーのクリスタル部分から、一つの光が発生する。
いや、左腰に差していたアルトも光になり、それらが重なり、融合する。融合して、一つの大きな光になった。
その光は、七つに分裂し、僕の背中に装着されていく。一つは、白銀色のホルダー。
そして残るは・・・・・・そう、セブンモード状態のアルトだ。一鉄から六鉄までを、ホルダーにフル装着。
模様を変えたマフラーの裾が、どこからか発生した金色の粒子を含んだ風に靡く。
その風を切り裂くように、僕は右手を振るう。風は二つに切り裂かれ、後方へと流れた。
【「・・・・・・キャラなり、アルカイックブレード」】
・・・・・・これが、アルカイックブレードの形態の一つっ! 名前はもちろん、これっ!!
【「ジャックフォームッ!!」】
そう、ご覧の通りアルカイックブレードのジャックフォームは、セブンモード形態なのよっ!!
≪わーい、パワーアップなのパワーアップなのー♪≫
≪まぁ、能力的には変わりませんから、実はパワーアップというよりはスタイルチェンジと言った方が正解ですけど≫
アルト、そこはツッコまないで。ここでそれを言うのは、スバルレベルで色々KYだから。
まぁ、確かにジャックフォームというより、ジャックスタイルって言った方が、シックリ来るけどさ。
【「・・・・・・キャラなりっ! アミュレットダイヤっ!!」】
上から、声がした。そちらを見ると、アミュレットダイヤ形態のあむが居た。
で、着地してから安心したように息を吐いてから、ビックリした顔になり、こっちを見てる。
「恭文、それって・・・・・・セブンモードっ!? てゆうか、なんかパワーアップしてるしっ!!」
【それも、ブレイドというライダーの形態なのかしら】
【ダイヤ、そこまで知ってたんだ】
【あら、あむちゃんのしゅごキャラとして、これくらいは見れば大体分かるわ】
ダイヤの発言は、正直よく分からない。うん、かなりね。
てーか、マジでどこのディケイドだよ。・・・・・・まぁ、一応簡潔に説明だけしておきますか。
「そうだよ。元々ジャックフォームは、ブレイドのパワーアップ形態の一つなの」
僕は、一鉄アルトをホルダーから引き抜く。・・・・・・刃は、思いっきり虹色だった。
いや、一鉄アルトだけじゃない。六鉄までが、全部虹色状態なのよ。
背中の刃全てが虹色に輝き、まるでJのカードの絵柄のように、翼を模っている。
・・・・・・あぁ、かっこいい。フェイトやティアナには『微妙』とかって言われたけど、これはかっこいいと思うの。
【ボクもこの間恭文と一緒に試してみて、ビックリしたんだけどね。
でも、アルカイックブレードのジャックフォームは、元のブレイドとはまた違うみたい】
≪キャラなりの場合は、セブンモード発動状態になるんですよ。なので、私もこれです≫
【これも、やっぱり恭文のイメージが元になってるんだろうね。それよりも・・・・・・来るよ】
だろうね。普通に尻尾が飛んできたもの。・・・・・・僕は、一気に前に突っ込む。
突っ込んで、その内の一本を左に避けて、そこから一鉄アルトを逆袈裟に叩き込む。
「はぁっ!!」
虹色の刃は、見事に尻尾を中ほどから斬り裂いた。斬られた尻尾が、地面を転がる。
それに声も上げずに他の尻尾が殺到してくる。そして、地面に巨大な穴を開ける。
「・・・・・・遅いよ」
それを、僕は少し上から見てた。うん、跳んで避けたの。
【アルカイックブレードのスピード、ちょっと舐め過ぎじゃないかな】
≪ジャックフォームになっても、そこの辺りは健在なのっ!!≫
その間に、僕は二鉄を左手でホルダーから抜いてる。それをそのまま、一鉄アルトの前面に合体させた。
【というわけで・・・・・・鉄輝っ!!】
合体し、片刃形状のようにも見えるようになったアルトを、上段から打ち下ろす。
両手でしっかりと柄を持って、全力全開の一撃である。
【「一閃っ!!」】
密集していた尾の全てを、容易く叩き斬った。・・・・・・いや、一本避けた。
その一本が、僕の腹目掛けて襲ってくる。左手で逆手で三鉄を抜く。
抜いたまま、僕は尻尾の切っ先に殴りつけるように、三鉄で切り込む。
虹色の刃は、尻尾を見事に両断して・・・・・・キュウビが、叫び声を上げる。
僕は、三鉄をそのままアルトに合体させる。次は、左手にアルトを持ち替えてから四鉄を引き抜く。
それも、合体。残るは、五鉄と六鉄。とりあえず、五鉄だけ側面に合体させて、左手で六鉄を持つ。
そんなことをしている間に・・・・・・キュウビが、こちらを凄い目で睨み始めた。
【もう、尻尾でズドーンは通用しないよ? ・・・・・・絶対に、止めるから。
こんな悲しい事は、あむちゃんだけじゃなくて、ボクも恭文も、アルトアイゼンもジガンも嫌いなの】
「てーか、言ったでしょうがっ! 今日は全員揃って」
【「W(ダブル)で超・クライマックスだってっ!!」】
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
「・・・・・・かえで、少しリース借りるぞ」
「え?」
かえでをお姫様抱っこして、何とか着地。じいちゃんとあむにりまは、戦闘に突入してる。
じいちゃんとミキが、めちゃくちゃ気合い入ってんだ。俺も、ボヤボヤしてらんない。
≪恭太郎、エンジンかかりましたか?≫
「何言ってんだ、俺は元から全開バリバリだってーの」
てーか、一気に決めてやる。・・・・・・シャーリーさん振り切って出てった以上は、あんま無茶も出来ないけど。
「でも恭くん、なんでリース?」
≪かえでさん、忘れたのですか? 私の力が有れば≫
「あ、そっか。・・・・・・リースっ!!」
「はい。恭太郎さん、ビルトビルガー、私の力、あなた達にお貸しします」
俺は、一旦ビルトを待機状態に戻す。そこにリースが触れると、リースの身体が紫色の光に包まれる。
そして、ビルトも同じ色の光に包まれる。リースはそのまま・・・・・・声を上げた。
「・・・・・・ビルトビルガーッ! コード・ドライブッ!!」
≪Cyclone Blade≫
「エンチャント・ユニゾン、セットアップッ!!」
リースがビルトに吸い込まれるようにして、姿を消す。いや、ビルトと同化する。
それから再びビルトは、二刀の刃となる。ただし、蒼ビルトも金ビルトも紫の光に包まれたまま。
そして、銀色の刃が粒子になり、虚空に消えた。刃は、柄と鍔だけになる。
その鍔元から、光が生まれていく。色は紫・・・・・・リースの魔力光。属性は、風。
紫色の光は、元の銀色の刃と同じ形を成し、二振りの刃となった。
柄尻の青と金の宝玉の色が、変わる。半分が、紫の色になった。
刀身から、紫色の風が巻き起こる。その風が、俺達の周りで渦巻く。
≪・・・・・・エンチャント・ユニゾン、安定しています。リース、そちらはどうですか?≫
【問題ありません】
これは、ビルトの機能。魔導師・・・・・・ロードではなく、デバイスにユニゾンした状態。
名づけて、エンチャント・システム。いわゆる武器化だな。
この状態だと、俺の能力自体は素と変わってない。強化されるのは、ビルトの力だ。
常にそのユニゾンデバイスの能力がプラスされる形になる。当然、攻撃の威力も上がる。
【恭太郎さん】
「なんだ?」
【本当に、お願いしますね? もう少しだけ・・・・・・かえでちゃんや、咲耶、みんなの気持ちに向き合ってください】
「分かってるよ。俺、変わるから。変わって・・・・・・必ず、答えを出す」
【はい】
俺は、そのまま踏み込んだ。目指すは、ただひたすらに前。
迷うな、躊躇うな。そして、決して止まるな。
俺が、そして俺達が今やらなきゃいけないことは、絶対にそれじゃないから。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
・・・・・・さて、これなら私も色々とやりようはあるわよね。だって、相手はキャラ持ちだもの。
とりあえず、大体の事情はさっき空中で恭文から聞いた。
あのキュウビって奴が親玉で、そのたまごを浄化するのが、あむと恭文のやること。
というか、私達のやること。・・・・・・だったら、気合い入れるわよ。
あぁ、それとあむ。アイツ・・・・・・アンタのこと信じてたわよ?
『あむなら、絶対浄化するって言い出すに決まってる』って。そして、その通りだった。
らしくもないキャラ見せてたから、ちょっとどうなるかと思ったけど・・・・・・まぁ、一応合格ね。
「りま、あむと恭文と恭太郎の援護、お願い」
「言われなくてもやるわよ。それで、あなたはどうするの?」
「もちろん、歌うわ」
不敵な笑みを浮かべつつ、りまの言葉に私はこんな風に返す。
「私のありったけで、歌をうたう。・・・・・・このために、密かに練習もしてたしね」
「そう。なら・・・・・・任せるから」
そう言いながら、その子は前に出る。
ちょうど、私とあむ達の間くらいを陣取り、ジャグリングのピンを、大量生成。
【それじゃあ、一旦交代ですね。イル、あとは頼むですよぉ】
「オーケーっ! ノリノリでやってやろうじゃねぇかっ!!」
そして、私の身体を赤い光が包む。・・・・・・身を包むのは、赤いボンテージ。
小悪魔をイメージしたような姿になり、私はそのまま・・・・・・歌をうたう。
【「キャラなりっ! ルナティックチャームッ!!」】
ずっと、考えてた。イクトの次に好きなアンタのために出来ることを。私なりの、借りの返し方を。
アンタが戦ってる時、私が何が出来るかを、ずっと考えてた。・・・・・・私には、力がない。
フェイトさんみたいにアンタの隣を守ることは、出来ない。リインみたいに、一つになることも出来ない。
そんな私に何が出来るか。アンタが戦ってる時、何をしたいか、やっと答えが出た。
私は、歌う。ありったけの想いを込めた歌を、アンタに届ける。そうやって、戦う。
恭文・・・・・・私は、アンタが好き。アンタは、私に大事なものをくれた。思い出させてくれた。
知ってる? アンタは、私に時間をくれたの。今、私が私で居られる時間をアンタがくれたの。
だから、惹かれてる。こんなにも力になりたいと、思ってる。私は弱くて、自分すら守れなかったのに。
でも、答えは聞いてないから。私、アンタに死ぬまで関わる覚悟、もう決めてるの。
アンタが今みたいに、一歩も引かずに悲しい今を覆し続けるなら、私は・・・・・・背中を押し続ける。
アンタが立ち止まりそうになるなら、ハッパをかけて、無理矢理にでも立ち上がらせる。
そうするって、決めた。私は、アンタの輝きに惹かれ続けてる。恨むなら、自分の輝きを恨みなさい。
だから・・・・・・死ぬまで、自分らしく戦ってなさい。どこに居ても、いつまでもずっと、見ててあげるから。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
鳴り響くのは、音楽。というか、僕が良く知ってる音楽。
というかこれ・・・・・・『Cyclone Effect』!?
後ろを見ると・・・・・・う、歌唄がルナティックチャームにキャラなりして、固有結界発動させながら歌ってるっ!!
てーか、どうしたっ!? 普通に歌唄が他の人の歌うたうなんて、信じられないんだけどっ!!
「歌唄ちゃん、戦闘中の恭文さんの力になりたくて、シャーリーさんから処刑用ソングって言うのを教えてもらって、ここに来るまでに聴きまくったんです」
そう言って来たのは、傍らに飛んできたエル。
・・・・・・だ、だからこれ? 歌唄、歌手としてのプライドがあるだろうに。
「仕方ないのです。歌唄ちゃんの歌のレパートリーには、処刑用ソングになりそうなのは、ほとんどなかったですから」
【そんなプライドより、恭文の力になりたいって気持ちが、ずっと強かったんだよ。
・・・・・・恭文、ちゃんと応えてあげなくちゃだめだよ? とりあえず】
「うん、分かってる」
僕だって、バカじゃない。歌唄にここまでやらせて、負けましたなんて言うつもりないさ。
・・・・・・歌唄の気持ち、すっごい伝わって来てるよ。一緒に、戦おうとしてくれてんだよね。
歌唄の歌で、背中押されてる感じがする。サウンドベルトとはまた違う趣の力で、心が満たされてく。
ありがと、歌唄。でも・・・・・・第三夫人は、無理だから。
「・・・・・・童がっ!!」
キュウビは、もう尻尾での攻撃が通用しないと踏んで、両手で金色の剣を出し・・・・・・突っ込んでくる。
【悪いけど、ボク達は絶対に負けない】
歌唄の歌が響く中、僕もまた・・・・・踏み込んだ。
『なんかちょっとなんかずっと感じてる』
キャラなりの能力を使ってるせいか、マジで力が溢れてくる。
ううん、それ以上に・・・・・・歌唄の気持ちが、すごく嬉しい。
【・・・・・・あむちゃんに、怪我しないって約束してるから】
≪なにより、あのプライドの高い人にここまでさせてるんです。負けるわけには、いかないでしょ≫
キュウビは、こちらに真っ直ぐに突っ込んでくるのを狙うように、僕達の後ろからピンが飛ぶ。
『あと少し一欠けら探して・・・・・・Puzzle』
「ジャグリング」
そう、当然のように、りまの攻撃だ。
「パーティー!!」
光の粒子で構築された軌跡を描きながら、12本のピンは飛ぶ。そしてキュウビは・・・・・・刃を振るう。
「童如きが、賢しいわっ!!」
飛び込みながらも、袈裟、右薙ぎ、刺突と払われる金色の刃が、ピンを真っ二つにしていく。
僕は、合体アルトと六鉄を両手に持ち、キュウビを狙う。歌唄の歌は、変わらずに響き続ける。
「その賢しい童に・・・・・・」
合体アルトを持ったまま、僕は踏み込む。山間の真ん中、開けた場所で合体アルトと六鉄を持って、突撃。
合体アルトを右手で持ったまま袈裟に打ち込む。キュウビは少し後退して、それを避けた。そして、踏み込む。
キュウビは、合体アルトを足場にして少し跳び、右の刃で刺突を放つ。僕は、左に身を捻り、後方に下がりつつ避けた。
キュウビは、着地しながらも身体を捻り、刺突を放った刃を右薙に打ち込んでくる。それを、六鉄で受け止める。
虹色の刃と金色の刃が火花を上げながら摩擦する。そして、刃が振り切られた。
その勢いを生かしたまま、左の刃の先が襲ってくる。僕は、六鉄で刺突を叩き込んだ。
再び、虹色の刃と金色の刃がぶつかる。今度は刃の切っ先が衝突し、火花を散らす。
「お前はもう、とっくに負けてんだよっ!!」
互いに切っ先を引き、後ろに跳ぶ。そして距離を取り、対峙する。
また、飛び込む。袈裟に打ち込んだ合体アルトを両の刃で受け止め、弾く。
弾いて左の刃を突き出す。それを六鉄で左薙に払う。
刃を返し、右薙に六鉄を打ち込む。袈裟に打ち込んできた刃を、そうして払う。
そのまま身体を回転させて、合体アルトを右薙に叩き込んだ。
キュウビは、それを両の刃で受け止める。受け止めるけど、僕はそのまま振り抜く。
キュウビは吹き飛ばされ、地面を滑る。滑りながら、両の刃を僕に投擲した。
それを合体アルトを盾にする形で、防ぐ。防ぎながら、二鉄をパージ。二鉄が、上に飛ぶ。
パージしながら、六鉄を側面に合体させる。・・・・・・もうちょい、リーチと重さが欲しいので。
キュウビは、風を切りながら踏み込む。当然のように、両手には刃。距離は、すぐに零になる。
合体アルトを両手で持ち、撃ち込まれる二刀を払い続ける。左の刃が顔に向かって突き出される。
左に避けるけど、そこから縦に打ち込まれた。肩とジガンの装甲を、刃が斬り裂く。
痛みが走るけど、大丈夫。この程度じゃ、止まらない・・・・・・けど、やっぱ装甲薄いなぁ。
今ので、ジャケットの右肩の上部分が裂けたし。キュウビは、それを隙と捉えてすぐに突っ込んでくる。
・・・・・・上から、パージされた二鉄が落ちてくる。僕は、それを左手を上に伸ばして、逆手で受け止めた。
逆手に持った二鉄を、切り抜けるようにしてキュウビの腹に叩き込む。そのまま、僕は身体を回転させた。
【「鉄輝・・・・・・!!」】
二鉄と合体アルトの輝きが、強くなる。虹色の閃光・・・・・・ううん、旋風が、キュウビを斬り裂く。
二鉄が腹を斬り裂き、金色の刃二つを、合体アルトが砕く。そして、キュウビの胸を斬り裂いた。
【「双閃っ!!」】
キュウビは、二つの斬撃を食らい、吹き飛びながら地面に叩きつけられる。
それでも、地面を滑りながらも起き上がり、立ち上がる。腕を振るい、また剣を出す。
【あぁもうっ! 普通に強過ぎないっ!?】
≪クレイモアに耐えてる時点で、それは明白なのっ! 今更なのっ!!≫
確かに、その通りだわ。なら、もうちょい火力上げないとだめってことか。
「違う」
キュウビは、僕に向かって、刃を振るう。刃を包む光が高速で斬撃波となって、僕に飛ぶ。
それを、合体アルトと二鉄で斬り払う。その間に、キュウビが踏み込んできた。
「童は・・・・・・あのような虫に負けてなどいないっ!!」
瞬間、風が生まれた。その風は、キュウビに向かって飛び込み、蹴りを放つ。
地面を切り裂きながら飛び込む風の蹴りを、キュウビは避けられずに、左側頭部に食らう。
「いいや、大負けだっ!!」
言いながら飛び込んで来たのは、恭太郎。両手には、二振りの刃。
・・・・・・って、なんですかっ! その紫色のビルちゃんはっ!!
「そろそろ、負けたって自覚持てよっ!!」
≪真面目にそこはお願いしたいですね。普通に、迷惑です≫
キュウビは、吹き飛びながらもまた受身を取る。そして、腹立たしげに恭太郎を見る。
「なお、俺はもう持ってるっ!!」
ただ愚直に、ただひたすらに前へ踏み込んだ新しい古き鉄は、右の蒼ビルトを逆手のまま打ち込んだ。
それを、キュウビは右の刃で受け止める。瞬間、刃の接触点から風が吹き荒れた。
「リースっ! ぶっ飛ばしていくぜぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!!」
刃を引き、今度は左の金ビルト。恭太郎は止まらずに、ビルトビルガーを振るい続ける。
【はいっ! ・・・・・・先日の借り、今ここで返しますっ!!】
金色の光と紫の風が、その場で幾重にも振るわれ、ぶつかり合う。てゆうか、リース?
光と風が周囲の地面をも切り裂きながら、ぶつかる。恭太郎の薄手のジャケットが、少しずつ裂けていく。
それでも、一歩も引かない。頬や二の腕、太ももから血が流れ、自慢の髪が少し斬られようとも、一歩もだ。
そう、恭太郎の両腕が動く度に、風は進化を始めていた。それは、嵐。
逆手に持った両の刃が打ち込まれる度に、嵐は空間に吹き荒れる。
そして、少しずつ。本当に少しずつだけど、キュウビが圧され始めていた。
一歩ずつ、後ずさりを始める。その分、恭太郎が前へ踏み込む。
「うぉりゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
【負けるかぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!】
キュウビが、両手の刃を上段から打ち込む。それに対し、恭太郎は左の刃を動かす。
紫色の刃が輝き、その刃を同じ色の風が纏う。風は薄く研ぎ澄まされ、強き刃となる。
【「風迅っ!」】
瞬間、風が空間を薙いだ。もう、そうとしか表現出来ないような状況。
打ち込まれた二振りの金色の刃は、恭太郎の金ビルトでの一撃で中ほどから真っ二つにされた。
でも、風はまだ止まない。恭太郎は蒼ビルトを順手に持ち替えて、袈裟に叩き込んだ。
そう、刃を断ち切られ、振り抜いた直後で隙だらけのキュウビに向かってである。
【「双閃っ!!」】
キュウビの黒い瞳が見開く。瞬間、キュウビの身体を金色の障壁が守った。
刃は、紫色の風を撒き散らしながらもなおも責める。・・・・・・少しずつ、障壁にヒビが入る。
恭太郎は歯を食いしばりながら、刃をそのまま打ち込む。いや、引き斬る。
障壁は、袈裟から真っ二つにされた。そして、光の粒子となり砕け散る。
恭太郎は振り切った刃のその切っ先を、キュウビに向かって叩き込んだ。
「はぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
キュウビは、両手を前に出し、そこからまた金色の刃を生み出した。
それを交差させ、その部分で恭太郎の刺突を受け止める。
瞬間、風が『ボン』と音を立てて爆ぜた。恭太郎とキュウビは、反発し合うように吹き飛ばされた。
キュウビの刃は砕け、金色の鎧は身を包む紫の風によって、幾重もの傷が刻まれた。
そして、恭太郎は地面を滑り、転がって、りまの横まで吹き飛ぶ。
で、そこから立ち上がろうとするけど・・・・・・立てない。
そ、そういやなんか怪我してるって言ってたような・・・・・・まさか、そのせいっ!?
「ふ、ふふふ・・・・・・そうじゃ、それでよい」
未だに立てない恭太郎を見て、安堵するようにキュウビが吼えた。
そして、僕を見る。両手を広げ、また例の刃を出す。そのまま、踏み込んできた。
「そうだ、童とこの子が下等な輩に負けるはずがなかろうっ! 嘘を申すなっ!!」
まだ・・・・・・抜かしやがるかっ! このアマっ!!
【嘘じゃないよっ! というか、その子にもうひどい事をしないでっ!!】
身体が動く。僕は合体アルトを。女は、金色の刃を。互いに右手の得物を袈裟に叩き込んだ。
刃がぶつかり合い、衝撃が世界を埋め尽くす。ほぼ零距離での斬撃のぶつかり合い。
キュウビも、僕も、一歩も引かない。引く理由は、もう互いに一つたりともない。
刃のせめぎ合いの中、僕の中のミキが言葉を続ける。
【どうして、その子が泣いてるのが分からないのっ!? ううん、ずっと泣いてたはずなのにっ!!】
【そうよ。それ以上やるというのなら】
星の光が、螺旋を巻いてこちらに迫っていた。僕は後ろに飛んで、それを避ける。キュウビも同じく。
そちらを見ると、マイクを両手で持ってこちらに向けていたあむの姿があった。
【全力で止めるわ。少し、頭を冷やしてもらった上でね】
「ちょっとダイヤっ! そういう横馬みたいなことはなしっ!! 普通に怖いよっ!?」
その後ろから、またジャグリングパーティー。ピン達が、キュウビを襲う。キュウビの両手が動く。
先ほどと同じように・・・・・・いや、怒り交じりに、刃が振るわれる。斬撃の盾により、ピン達は微塵にされる。
「そのようなこと」
キュウビの左手が動く。金色の剣は砲弾に一瞬で姿を変え、力ある奔流となった。
「させるわけがなかろうっ!!」
そして、どこぞの魔王張りの砲撃となり、あむに放たれた。
【あむちゃんっ!!】
「分かってるっ! ・・・・・・シューティングっ!!」
マイクの先に、金色の星の光が集まっていく。それは粒子となり、力の奔流となって放たれた。
「スターシャワーッ!!」
場違いにも、マジで魔法少女だと思ってしまった。
だって・・・・・・星の形のエネルギーが、そのまま放たれてるんだもの。
そして、そのエネルギーがキュウビの砲撃とタメを張っている。
タメを張りながら、あむが言葉を続ける。真剣で、どこか・・・・・・優しい言葉を。
「・・・・・・悲しかったんだよね」
星と光は、せめぎ合う。一方は、邪魔なものを壊すために。もう一方は、それとは全く違う。
二つの力はせめぎ合いながら、世界を照らす。昼間なのに、ここだけ違う色に変わっていた。
「たまごに×が付いちゃったのが、本当に悲しかったんだよね。
だから、助けたいと思って、なんとかしたいと思って、こんな事をした」
もう一方は・・・・・・あぁ、そうだ。きっと止めるためだ。
そして、伝えるためだ。こんなこと、悲し過ぎるだけなんだと。
「あたしも、たまごに×を付けちゃった事があるから、アンタの気持ち・・・・・・ほんのちょっとだけ、分かる」
「なら・・・・・・なぜ、童の邪魔をするっ! 分かるというなら、童の礎となり、お前のたまごを差し出せっ!!」
破壊をもたらす光が、星を圧し始めた。でも、僕は手出ししない。
だって、最初に言ったでしょ? 勝負は、もうとっくについてるのよ。
「そんなの・・・・・・決まってるっ! こんな事を繰り返しても」
あむの叫びに応えるように、奔流を構築する星の一つ一つが輝きを増す。
そして、破壊の光を飲み込む。それに、キュウビが瞳を見開く。見開くけど、もう遅い。
「アンタのこころの×は、一生取れないからだよっ!!」
キュウビは星の光に飲み込まれ、星の光の結界に、その身を閉じ込められた。
身体の動きを戒められた金色の獣は、身体を震わせるだけだった。
いや、結界にヒビが入り始めてる。これは・・・・・・ダメ押しが必要だな。
だから、僕はカードをスラッシュする。その数は、五枚。時間がないから、かなりスピーディーに。
≪Spade 10・Spade Jack・Spade Queen・Spade King・Spade Ace≫
右のガントレットに埋め込まれている青い宝石から、五つの虹色のエネルギー球体が出る。
それが全て、僕より一回り大きい青いエネルギー状のカードに変化する。
そして、僕の前に並ぶ。順番は、お馴染み10・J・Q・K・Aの順。
二鉄を合体アルトの前面に、再び装着。合体アルトは、七鉄アルトへと進化した。
それを両手で持ち、腰だめに構える。そして、キュウビを見据える。
・・・・・・僕は、そのまま走り出した。キュウビに・・・・・・目の前のカードに向かって。
瞬間的に、5枚のカードの全てを突き抜ける。僕の身体を、カードと同じ色の輝きが包んだ。
≪J・Loyal Straight Flash≫
なお、『J』はジャックフォームのジャックの略なので、あしからず。
ひび割れていく結界の中でキュウビが目を見開く。でも、もう遅い。
【「いっけぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!!」】
左薙に、光り輝く七鉄アルトを叩き込み、キュウビを結界ごと斬り裂く。
巨大な虹色の閃光が、キュウビの金色の装甲を吹き飛ばす。キュウビは、そのまま地面に倒れた。
そして、そこに再び星の光がキュウビを覆う。・・・・・・普通に、あむが容赦ない。
≪ダイヤさんのせいですね≫
【あら、失礼なことは言わないで欲しいわ。やるなら徹底的にというだけよ】
「あ、あははは・・・・・・」
あむが苦笑いだ。普通に、こういうのは慣れないらしい。まぁ、そこがらしいのかね。
魔法少女は、どこぞの横馬の如く徹底的な力押しなんて、基本的にNGだもの。
「・・・・・・恭文さん、あむさんっ!!」
「恭さまっ!!」
「悪い、ちょっと遅れた・・・・・・って、もう終了モードかよっ!!」
5時の方向から、声。なお、上から降りてくる感じ。その声は、僕達のよく知っている声だった。
上を見ると、白、金色、赤のバリアジャケットを来た女の子が三人。
【リインに咲耶さんに・・・・・・アギトさんっ!?】
「はわわ、やっぱりアギトさんは、イルにそっくりなのです」
「エル、言いたいことは分かるけど違うから。てーか、おのれが言うには、今更過ぎでしょ」
そのまま、三人は地面に降り立ち、僕達のところへ来る。
「・・・・・・というか、なんかアルカイックブレードがパワーアップしてるですっ!!」
「色々あってね。ね、リイン。京都の方は」
「それなら、大丈夫です。良太郎さんとフェイトさん達が、頑張ってるですから」
「アタシらは、向こうをちょっと手伝ってから来たんだよ。でも、遅かったか?」
言いながら、アギトがキュウビを見る。リインと咲耶も、同じく。
結界の中で倒れ、それでもなおこちらを見るキュウビの瞳には、怒り。
そして、理不尽な嘆き。なぜこんな目に遭うのか、本気で分からないらしい。
右手には、例のたまご。だけど・・・・・・まだ、×が取れてない?
「いや、そういうわけじゃなさそうだな。
・・・・・・全く、相変わらずあの手のとは、縁が深いよな。お前」
「どうもそうらしいね。んじゃま、続き・・・・・・行くかな」
だから、また僕は七鉄アルトを構える。もう一発、ブチかます必要があるらしいから。
「待って」
いつの間にか、僕の隣に来ていたあむは、そんな僕を手で制して、声をかける。
だから、僕は七鉄アルトを一旦下ろす。・・・・・・あむに、任せることにした。
「・・・・・・もう、やめよう?」
「勝った・・・・・・つもり、か」
地面を伏せながら、忌々しげにあむをキュウビは見る。その言葉に、あむは首を横に振る。
「勝つとか、負けるとかじゃないよ。そんなの、どうだっていいじゃん」
少しずつ、少しずつあむは前へ歩く。
「あたし、アンタに勝ったつもりなんて、これっぽっちもないし。ただ、言いたいだけなの」
両手を伸ばして、まるでキュウビを安心させるかのように。
「もう、アンタ一人で泣かなくていいの。ここは、アンタ一人だけの世界じゃない」
「嘘じゃ」
「嘘じゃないよ。・・・・・・まぁ、かなり乱暴なやり方しちゃったしね。
うん、そこは反省だ。こんなことしても、分かり合えるわけがない」
あむ、おのれは本当に良い子だね。そのセリフ、是非とも横馬に聞かせてあげて?
「だから、もうこういうのはおしまいにする。アンタが苦しいの、よく分かった。
・・・・・・助けるよ。あたしが、あたし達が・・・・・・絶対に助けるから。アンタも、アンタのたまごも」
「・・・・・・嘘じゃ」
ゆっくりと、キュウビが立ち上がる。立ち上がり、あむを見る。そうしながら、たまごを両手で守るように抱きしめる。
・・・・・・やばい、コイツ。この状況に置かれてなお、敵意が消えてない。
「嘘じゃないよ」
「嘘じゃっ!!」
そして、黒いオーラがそのたまごから噴き出し、再び身体を金色の装甲が包み込む。
まるで、キュウビの拒絶の言葉に呼応するように、たまごは再び僕達に、力を見せつける。
「下民は、いつもそうじゃっ! いい顔をしていても、童を・・・・・・童を心の内では恐れておったっ!!
童の側に居たのは、いつも人ならざる妖だけっ! そして・・・・・・この子だけじゃっ!!」
黒いオーラを、僕やあむが何度も目にした事のある黒い風を抱きしめるようにしながら、キュウビは否定する。
【・・・・・・仲間はずれに、されていたの?】
「そうじゃっ! 童は人間ではなく、化け物だと言われ続けていたっ!!
人とは違う力があるというだけで、童は存在する事すら否定されたっ!!」
「そんな・・・・・・」
「この子だけじゃったっ! そんな童を認めてくれたのは、『化け物じゃない』と言ってくれたのは、この子だけなんじゃっ!!」
だから、目の前のあむの言葉より、過去の否定の言葉の方を選んだ。
そう、選んだ。この女にとっての真実は、今より過去にあるから。
「童の一体何が悪いっ!? 人は踏みつけ、壊すっ! 自分と違う存在を探し出し、断罪するっ!!
童が悪というのなら、お前らもまた悪よっ! この、偽善者共がっ!!」
【違う・・・・・・それは違うよっ! それなら、君は少しも悪くないのっ!?
全部誰かのせいにして、自分を顧みないで・・・・・・そんなの、きっと違うよっ!!】
「黙れぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!!」
風が、その身を戒めていた結界を吹き飛ばす。ミキの言葉も、届かない。
いや、多分もう・・・・・・誰の言葉も、届かない。あの女は、とても固い殻の中に、閉じこもってる。
『・・・・・・許さん』
そして、金色の身体を、黒い風が侵食していく。あっという間に、金色の狐は、黒い狐になった。
赤い瞳が怪しく輝き、顔を上げながらキュウビは咆哮をあげる。
『童の世界を、童の大事なものをあざ笑い、壊そうとする貴様ら人間など・・・・・・全て殺してやるっ!!』
そう、殺意という名の感情のこもった叫びを上げる。
あむはただ、伸ばした両手を下ろすことも出来ずに、立ち尽くすだけだった。
(第39話へ続く)
あとがき
あむ「というわけで、三部作な最終決戦です。今回は、あたしと恭文側を描きました。
あと、『歌をうたう』は誤字ではなく、とらハで使っている書き方です」
恭文「あと、キュウビの一人称はもうあれでいきますので、慣れてください。というか、感じてください。
そう、全てはインスピレーションの世界。読むのではなく、感じて。そこに次元世界の真理はあります」
あむ「恭文、それは普通に宗教っぽいからやめない? なんか、洗脳してるのと同じだって」
恭文「てーか、MS-IMEが悪い。普通にアレしか変換で出なかったんだもの。それで僕達にどうしろと?」
あむ「いやいや、修正すればいいじゃんっ!!」
恭文「だって、普通に妾とか字が悪いんだもの。もういいのよ。
これは個性なのよ。とまと色なのよ。そしてグーグルの日本語入力は素晴らしいのよ」
あむ「いやいや、いきなりなにっ!?」
恭文「・・・・・・というわけで、グーグル日本語変換の素晴らしさに触れて、ホクホクな作者を見てるとなんだかうれしい蒼凪恭文と」
あむ「ジャックフォームの次は、きっとキングフォームだと思う日奈森あむです。
・・・・・・なんか、グーグルの日本語入力ソフト、すごいらしいね」
(そう、すごいのです。もうMS-IMEなんて、使えない。
てーか、学習するほど誤字変換多くなるってどんな仕様だろうか)
恭文「パソコンが新しくなって、OSがXPからVistaになって、更にひどくなったしね。
だけど、グーグル日本語入力は、すごいんだよ? 普通に『日奈森あむ』がタブ変換出来るんだから」
あむ「あー、そう言えばグーグルにするまでは、辞書登録してたんだっけ。日奈森あむの『ひ』が変換出来なくて」
恭文「うん。それでそれで、『月詠幾斗』も一発変換よ? もちろん、『歌唄』も」
(グーグル日本語入力は、グーグルで検索されたデータを元にした変換ソフトなのです。なお、無料)
恭文「あれだよ? 『まほうしょうじょ』と入力したら、『魔法少女リリカルなのは』が変換候補に出てくるんだから。
学習能力もMS-IMEの比じゃないし、すっごい使い易い。誤字変換もぐんと少なくなったしさ。ただ、『妾』は一発変換されないのよ」
あむ「いやいや、それが変換されても嫌じゃん。だって、それだとグーグルで検索された単語とかが元になってるんでしょ?」
恭文「うん。だから、結構コアなネットスラングとか、普通の変換ソフトに入ってないようなものもある。
『みっくみくなレイティアさん』とか、『ロストロギアメモリー』とか」
あむ「・・・・・・いやいや、後者は二次創作だよね? 二次創作の小説のタイトルだよね?」
(それに、青い古き鉄は頷く)
恭文「ちなみに、『二次創作データベース』なんてのも、タブ変換で出てくる。
『かめんらいだーぶ』まで入れたら、候補の中に『仮面ライダー剣』が出てくるし」
あむ「『アルトアイゼン・リーゼ』とかも出るよね。あと、『ふじさきな』って入力したら」
恭文「『藤咲なぎひこ』と『藤咲なでしこ』の両方が出てくる。あと、あれだよ?
侑斗さんの名前も、『さくらいゆうと』って入力したら、一発で出るから」
(MS-IMEでは、パッド入力で文字検索しないと、一つ目の文字も出ません)
あむ「もうグーグル変換気に入ってるって感じだよね。
でも、普通にそういう用語が入ってるのは、楽だよね」
(『そういうゲームじゃねえからこれ』とか『それでもボクはやってない』とか『大事なことなので二回言いました』とか『ググレカス』とか『竜騎士07』なんてのも、出ます)
恭文「ティアナと同じ声の竜宮さんも、竜宮レナと竜宮礼奈の両方出るのよ。
なお、『とらいあん』だけで『とらいあんぐるハート』が候補に乗ります」
あむ「あ、それってリリカルなのはの元ゲームだよね。・・・・・・でも、あたしはやったことない」
恭文「いやいや、やっちゃダメだから。あむがやるのは、6年後だって」
あむ「でも、別にそんな変にエッチとかじゃないんでしょ? むしろ、真面目に恋愛してる」
恭文「まぁ、エロシーン無くても成り立つ感じではあるよね。特に3とかはそういう傾向が強い。でも、ダメだから」
(青い古き鉄、大人としてここは見過ごせないらしい)
恭文「あれだよ、どうしても見たいなら某動画サイトで『とらいあんぐるハート』って検索しな?」
(青い古き鉄、色々とダメな発言を小学生にしている)
恭文「サイト自体がエロ禁止だから、そういう部分はカットになった上でプレイ動画がアップされてる」
あむ「そっか。・・・・・・でも、あたし用のパソコン無い」
恭文「そういう時は、モバイル会員だよ。携帯のアプリの性能さえ足りていれば、いい感じよ」
あむ「あー、でもあたしの携帯大丈夫かなぁ。ママが小学生だから、色々機能いらないとか言って選んだものだし」
恭文「なるほど、そういうのがあるか。・・・・・・ね、うち来る? 普通に見る分なら、大丈夫だよ」
あむ「そうだね、そうしようかな。やっぱさ、興味あるんだよね。なのちゃんとか、すっごくカワイイって言うじゃない?」
(そう、なのちゃんです。なのはさんではない。そして、『なのはさ』まで入力すると、『なのは様』なんて候補が出る人でもない)
恭文「そうだね、かわいいね。ぶっちゃけ、作者はあんななのはを目指してるけど、その領域に辿りつけてないのよ」
あむ「そっかぁ。・・・・・・とにかく、今回はここまでかな」
恭文「だね。話長くなったし。それでは、本日はここまで。次回は、フェイトと良太郎さん達の方を書くそうです。あのフォーム・・・・・・出るかも」
あむ「予定は未定ですけど、お楽しみに。それでは、本日はここまで。お相手は日奈森あむと」
恭文「グーグル日本語入力でも候補には出てこない、蒼凪恭文でした。・・・・・・もっと、頑張ろう」
あむ「まぁ、出てきてもまた怖いけどね。ロストロギアメモリーとかみたいには、まだいかないんだよ」
恭文「確かにね」
(というわけで、今日はグーグル日本語入力のお話でした。
本日のED: Labor Day『Cyclone Effect』)
リイン「・・・・・・な、なんですかあれっ!?」
アギト「どす黒くて、なんかすっげーゴチャゴチャしてて・・・・・・かなりヤバイだろ、アレっ!!」
咲耶「ミキさま、すみませんが私達と交代を。あなたはあむさまの方に、ついていてあげてください」
ミキ【わ、分かった】
恭文「ミキ、あむの方お願いね? さて、みんな・・・・・・もう一頑張りだ」
古鉄≪私達はここからが本番ですね。・・・・・・全く、ラスボスの再生は恒例イベントとは言え、これは骨が折れそうですよ≫
恭文「アルト、僕も同感。でも・・・・・・止めるよ」
あむ「・・・・・・お願い、もう・・・・・・やめよ? 辛いことや悲しいこと、いっぱいあったのは分かったよ。
そんな時に、その子が助けてくれたんだよね? だから、アンタもその子の事、助けたいんだよね?」
ダイヤ【・・・・・・あむちゃん】
あむ「でもさ、こんなことしても、こんなこと続けても・・・・・・アンタもその子も、絶対変われないじゃんっ!!
なんでそんな風になっちゃうのか、あたしマジで分からないよっ! 本当にお願いだから・・・・・・もう、やめてよっ!!」
(おしまい)
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