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小説(魔法少女リリカルなのは:二次小説)
第37話 『侵攻し、暴走するキュウビ』



ラン・ミキ・スゥ『しゅごしゅごー♪』

スゥ「ドキっとすたーとドキたまタイムですぅ。今回のお話はぁ」

ミキ「もちろん、超・電王編の続き。・・・・・・ついに現れる戦うべき敵と、始まる最終決戦」

ラン「まさしく、超・クライマックスな勢いで、最後までいっちゃうよー」





(お馴染みな画面に出てくるのは、一人の女性と金色の獣。そして、緑色の長い髪の女性)





ミキ「そしてそして、あむちゃんの身に大変な事が・・・・・・」

ラン「急展開の超・電王編、ここから一気にお話は加速するよ。それではせーの」





(当然のように、例のポーズである)





ラン・ミキ・スゥ『ドッキドキ♪』




















◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


・・・・・・夜、唯之介君の話を聞いてから、あたし達は白べこの店主の冴さんや、唯之介君が寝泊りしている寮に入った。

それで、そこの二階の通路からぼーっと・・・・・・月を見ている。明るい、月を。なんか、眠れなかった。

タイムスリップして、いきなり剣持った人達と乱闘して、牛鍋食べて・・・・・・あぁ、なんかすごく濃い一日だった。





だけど・・・・・・まさか唯之介君、かえでさんが捕まるところを見てたなんて。










「それで、連中に襲われて、なんとか逃げて」

「その時に、チアキさんと逸れちゃって・・・・・・今、どこに居るか分からないって言ってましたねぇ」

「やっぱり、変な事してる人達がいるんだよね。そのせいで・・・・・・唯世くんまで消えて」



それだけじゃない。あの子、本当に大変な目に遭って、あたし達よりずっと悲しい事もあって・・・・・・。

そんな人達が、沢山死んじゃうんだ。絶対に、絶対に・・・・・・だけど、あぁムカつくなぁ。



「あむちゃん、どうしたの?」

「なんだか、怒ってるように見えますぅ」



ミキとスゥが、あたしの右側に浮かびながら、そんな事を言って来た。

・・・・・・怒ってるか。うん、怒ってる。自分にもそうだし、今の状況にも。



「あたし、何にも出来ないと思って」





あたしは、そりゃあまぁ・・・・・・キャラなり出来るし? そこそこは動けるとか言われたよ?

だけど、それだけ。恭文や電王みたいに戦ったりなんて、出来ない。仕方のないことだけど、辛い。

多分あたしが出来るのは、ミキを通じて恭文に力を貸す事だけ。そう、本当に・・・・・・それだけなんだ。



あたしは、この状況で有効な手とかを、何も打てない。それが、かなり悔しい。あとは、もう一つだね。





「なんかさ、ここって、あたしが居る今と全然・・・・・・違うなって思って。
普通に戦争みたいな事があって、それで人が死んだりして」

「確かに、日本の中でそういうことって、無いよね。私達、すごく平和に暮らしてる」

「だけどあむちゃん、別にそういうのが全く無いわけじゃないんだよ? ほら、テレビでもやってるよね」



ミキが、少しだけ嗜めるように言って来た。・・・・・・うん、分かってるよ。

あたし達の『世界』と今という時間は、完全に平和じゃない。



「ボクも見てるけど、外国では戦争とかがまだあって、それでやっぱり・・・・・・死んじゃう人も居たりして」

「悲しい事は、世界中に沢山ありますから。やっぱり、泣いている誰かも居ますぅ」

「・・・・・・そうだね。あー、なんだかダメだな。あたし、そういうの分かってるようで分かってなかったんだ」



だから今、ショック受けてるんだ。現実を本当に間近で見ちゃったから。

別に、それが嫌とかじゃなくて・・・・・・なんて言えばいいんだろ。



「・・・・・・あむさん、どうしました?」



横から、声がした。それは・・・・・・ディードさん。白の寝巻き姿で、髪をアップにしてる。



「ディードさん。・・・・・・いえ、ちょっと」

「悩み事でしょうか」

「そうですね」



ディードさんは、あたしの隣に来て、一緒に月を見上げてくれる。



「実は、少しだけ聞いてしまいました」



あたしがビックリしてディードさんを見ると、ディードさんが、申し訳なさそうに、頷いた。



「私の身体は、人より強いんです。聴覚も、鋭い。・・・・・・ショックだったんですよね」

「・・・・・・はい」



ディードさんが言っている意味はよく分からなかったけど、頷いた。

話を聞いてたなら、嘘付いても意味がないと思ったから。



「あむさんは、本当に普通の、平和な時間の中で生きていますから、当然なのかも知れません」

「だけど、あたし・・・・・・それだけしか見てなかった感じがして、今苦しいんです。
うまく言えないけど、もやもやして、それが情けなくて・・・・・・腹が立って」

「なら、それとどう関わるかではないでしょうか」



ディードさんは、俯くあたしの手を握った。安心させるように、優しく、強く。



「いいえ、あむさんがどう関わりたいかどうかです」

「あたしが、どう関わりたいか?」

「知ってしまった現実に、自分の感情に、目を伏せる事など、誰にも出来ません。もちろん、私にも。
あむさんがこれから、それとどう関わりたいか、どうしたいか。全ては、そこからではないでしょうか」



・・・・・・左手で、自分の胸に手を当てる。そして、握り締める。あたしは、ただの女の子だ。

恭文みたいに強くないし、フェイトさんみたいに立場や権限もない。そんなあたしが・・・・・・どうしたいか。



「ディードさん、あの・・・・・・ありがとうございます」

「少し、吹っ切れましたか?」

「いいえ。・・・・・・向き合って、全部持ってく覚悟が出来ました」



あたしがそう言うと、ディードさんがおかしそうに笑った。・・・・・・え、なんで?



「あ、すみません。恭文さんと、同じような事を言うんだと思って」

「あははは・・・・・・そうなんですか。なんでだろ、友達だからかなぁ」

「多分、そうでしょうね。・・・・・・では、早くお休みになってくださいね? 明日から、忙しくなりますから」

「はい。あの、ありがとうございました」



ディードさんは、手を振りながらそのまま寝室に戻った。あたしは、もう少しだけ月を見て・・・・・・背伸びをした。

背伸びをして、深呼吸をする。それだけで、世界の色が少しだけ明るく見えた。



「・・・・・・そろそろ、寝ようか」

「うん、そうだね。それでそれで、早く唯世君を助けないと」

「キセキのこともね」

「スゥも頑張るですよー」

「よし、みんなで頑張ろー!!」





・・・・・・だめだな、まだ上手く言えないや。もうちょっと考えれば、分かるかな。

あたしが、知った現実とどう関わりたいか。あたしが、どう向き合いたいのか。

とりあえず、答えを出すのはこれからにして、寝室に戻るために、廊下を歩き出した。



出したんだけど・・・・・・耳にある音が入ってきた。





「・・・・・・これ、何の音ですかぁ?」

「尺八・・・・・・みたいだけど」



尺八って、和楽器の一つだよね。あの、笛みたいなの。

・・・・・・って、あれ?



「なんか・・・・・・頭が」

「ふらふら、しますぅ」

「あむちゃん・・・・・・だめ、聴いちゃ、だめ」










ごめん、ラン、ミキ、スゥ。遅かった。あたしも・・・・・・同じ。





次の瞬間、あたしは・・・・・・意識を手放した。




















『とまとシリーズ』×『しゅごキャラ』 クロス小説


とある魔導師と古き鉄とドキドキな夢のたまご


第37話 『侵攻し、暴走するキュウビ』




















◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



夜、フェイトと相部屋になってしまった。なんか、冴さんがニヤニヤしながら色々気を使ってくれた。

なので、変身魔法を解除したフェイトの髪を撫でながら・・・・・・あの、向かい合わせに座っていた。

和服・・・・・・寝巻き姿のフェイトは、やっぱり綺麗で、可愛くて、ギュっとしたくなった。まぁ、ここまではいい。





問題は、それを実行に移そうとした瞬間。聴こえて来たのは、尺八の音色。悲しげな旋律を描く音。





それを聴いた瞬間に、意識が持っていかれるかのような衝撃を受けた。










「く・・・・・・ぅ・・・・・・!!」

「・・・・・・ヤスフミ、どうしたのっ!?」



頭が・・・・・・ボヤけ、意識が、切れ・・・・・・って、やられるかっ!!

本能的に、脳内のスイッチを入れる。危機的状況を感じた僕の中の獣が、鎖を噛み砕いた。



「・・・・・・ヤ、ヤスフミ?」



荒い息を突きながら、フェイトを見る。フェイト、少し身体が震えていた。たぶん、恐怖。

そりゃ・・・・・・そうだよね。いきなり、修羅モード発動しちゃったんだもの。



「ごめん、フェイト。怖い・・・・・・よね」



そう僕が言った瞬間、フェイトがハッとした顔をして、涙目になりながら僕を抱きしめた。

強く、安心させるようにギュッと抱きしめ、沢山撫で・・・・・って、あの何をしていますか?



「怖く、ないよ? 怖いわけ、ない。ちょっとビックリしただけだよ。
あの・・・・・・ごめん。傷つけたよね。だけど、怖がったりなんてしてないから」

「・・・・・・あの、フェイト。そこはありがたいの。だけど、違うから」

「え?」



とりあえず、両手でフェイトの肩を掴んで、優しく身体を離す。

てーか、ヤバかった。もうちょっとで意識が持ってかれるとこだったし。



「尺八の音、聴こえない?」



なお、僕には今も・・・・・・いや、もう音が途切れた。

フェイトは、僕の言葉に戸惑いながらも、首を横に振った。



「・・・・・・ううん、私にはなにも」

「じゃあ、僕だけってことか。・・・・・・アルト、バルディッシュ。ついでにジガン」

≪私にもそのような音は探知出来ませんでした。バルディッシュも同じくですよね≫

≪あぁ。蒼凪氏、一体どういうことですか。なぜ、Sirと甘い空気中に修羅モードを発動したんですか≫

≪ジガンも同じくなの。・・・・・・というか、ジガンだけついで扱いはひどいのー。もっと愛をぷりぃずなの≫



とりあえず、ジガンは無視。でも、そっか。まずそこから順を追って説明しないとダメだよね。

荒い息を突きながら、頭の中で状況を整理する。整理しつつ、みんなに話す。



「まず、尺八の音がさっき聴こえたの」



フェイトやアルト達は、聴こえてないみたいだったけど。



「そうしたら、急に頭の中にモヤみたいなのがかかり出して、意識が切れそうになって」

「それで、修羅モードを発動? ちょっと待って、ワケが分からないよ」

≪私は分かりましたよ。あなた、催眠操作を受けかけたんですね≫

「多分ね。発動してからは、平気になったから」



修羅モードは、ただのぶち切れモードじゃない。僕の自己催眠による潜在能力の開放状態を指す。

そして、僕の自己催眠は相当に高いレベルらしくて、外部からの暗示や催眠を全く受け付けなくなる。



「でも、私にはその尺八の音が聴こえないんだ。今も、聴こえる?」

「いや、今は無くなってる。でも、なんで僕だけ?」

≪いや、あなただけじゃないみたいですよ≫



・・・・・・アルト、どういうことさ。



≪今、周辺を軽くサーチしたら・・・・・・あむさんと唯之介さんが、居なくなってます≫

「はぁっ!?」

≪それだけじゃないですね。数人の子どもが外をうろついています。その中に≫

「二人が居るってことっ!? ・・・・・・ちょっと待って。
ヤスフミとあむに唯之介君、これらに共通していて、私は除外されるのは」



子どもってのはナシだ。だって、僕はもうすぐ20歳なんだから。

このあるなしクイズの答えは、ただ一つ。



「「キャラ持ちっ!!」」

≪正解でしょうね。・・・・・・良太郎さん達を起こして、追いかけましょう。絶対に何か釣れます≫




















◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



・・・・・・京都の外れの雑木林。比叡山近くの闇の中。そこに、童は居た。





しかし・・・・・・今日はまた少ないのぅ。たったの15人とは。










「キュウビ様、仕方ないかと。ほぼ毎晩のように狩りを続けておりますし」

「そうじゃのう」



なら、そろそろ捨て時かも知れんのうぅ。まぁ、よいわ。ここがだめでも、全国と考えるなら数は充分。

童の願いを叶えるには、きっと充分過ぎるくらいの数じゃ。大丈夫、きっと見つかる。



「ヤシロウ、スケロウはまだ帰って来んのか」



あの者が持っていたたまご、童と同じものじゃった。普通のものとは色もそうじゃが、力が違う。

そして・・・・・・あぁ、居るのぅ。童の仲間が。しかも、三匹も産んでおる。もしかすると、この中かも知れん。



「はい。・・・・・・キュウビ様、やはりあのような面妖な術を参考にしたのは、間違いだったのでは」

「仕方あるまい。そうしなければ、アレを追いかけることが難しかったのじゃから」



あの娘・・・・・・まぁまぁ役に立ってくれたのぅ。後で誉めて遣わそう。

大丈夫、生きてはいるから、童の気持ちは受け取れる。



「ところでヤシロウ」

「は」

「お主、つけられていたぞ」

「・・・・・・なんですとっ!?」





左手を、ゆっくりと上げる。童の手の先に、赤い炎が燃え上がる。

そして、それを球として放つ。球は放物線を描き、童の餌達を飛び越える。

球は、それから真っ直ぐに飛び、雑木林を焼く・・・・・・はずじゃった。



銀色に光る札のようなものが投げつけられると、砲弾は瞬時に凍り、砕け散った。





「・・・・・・ほう。陰陽師でも居るのか」

「違うよ」



出てきたのは、20歳くらいの男と子ども。その子どもは・・・・・・たまご持ちか。

もう匂いで分かる。じゃが、疑問じゃの。なぜにヤシロウの尺八で釣れなんだ?



「君達が、かえでさんをさらった人・・・・・・・いや、モウリョウ団だよね」



モウリョウ団・・・・・・あぁ、そう言えばそんな名前で呼ばれていると、スケロウが言っていたのぅ。

全く、品の無いことじゃ。童の趣味には合わん。



「話は全部聞かせてもらった。かえでさんとあむちゃんと唯之介君・・・・・・いいや、この子達全員、帰してもらう」



男の方が、直球で言い切った。かえで・・・・・・あぁ、あの者の名前か。

他の二人は知らんが、そこは覚えておる。童は慈悲深いからのう。



「で、せっかくだから、僕から礼をしてあげるよ」

「ほう、それは嬉しいのぅ。して、どんなものじゃ?」

「良太郎さんの言うように、すぐに帰せば、美味しい料理を振舞ってあげる。
だけど、帰さないなら・・・・・・お前ら全員、叩き伏せる。さ、どうする?」

「そうじゃのう。お前さん方も捕まえて、一緒にもてなす方向でいくかの」



その瞬間、ヤシロウが尺八を吹く。・・・・・・こうすれば、誰でもすぐに童の僕になる。

じゃが、様子がおかしい。子どもの方が全く平然としておる。そしてそのまま、童に突進。



「うぉりゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」



童は、右手をかざして金色の障壁を張る。子どもの両手の刀には、青い力が宿っていた。

障壁は、いとも簡単に斬られた。そのまま童は、刀を手で掴む。



「・・・・・・ほう。主はヤシロウの尺八が効かんのか」

「さぁ、どうだろうね」

「なら・・・・・・これはどうじゃ」



童は、眼光をぶつける。じゃが、それすらもいとも簡単に跳ね返された。・・・・・・ほう、面白い。

どうやら、この者には暗示や催眠の類が、全く効かんようじゃのぅ。童は、刀ごと子どもを投げた。



「・・・・・・ヤシロウ、無駄な事はやめておけ。この者らは、小手先で敵う相手ではない」





子どもは、受身を取り童を見る。また飛び込もうとしていたので、先手を打つ。

そこにまた火の球を投げつけるが、もうそこに子どもは居なかった。

相方の男の方に戻っていた。男の方も、どうやら効いてないらしい。



なぜか珍妙な帽子を被って、瞳が紫になっているが。





【リュウタロス、大丈夫?】

「大丈夫大丈夫っ! ちょっとキツイけど、これくらいなら平気っ!!」




















◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



「・・・・・・でも、良太郎もよう考えたな。催眠能力が使えるリュウタに、向こうの手を中和してもらおうやなんて」

「でも、リュウちゃんかなりぎりぎりみたいですよ? これって危ないんじゃ」

「しゃあねぇだろ。その催眠なんとかってやつで操られるかも知れねぇって、青坊主がうるせぇしよ」



だから、良太郎と恭文だけで追いかけた。フェイトさん達がいないのは、そこが理由。

向こうがどういうやり方でそれをやってくるかがわかれば対策も立てられるらしいけど、現段階ではそれは無理。



「恭文は平気だったみたいだけど、現に唯之介君とあむちゃんが捕まってるしね。まぁ、大丈夫じゃないの?」

「やとえぇんやけどな。見る限り・・・・・・ありゃ、めっちゃ強いで?」




















◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



・・・・・・納得した。だからこそ、この者達はこの場に来れた。それ相応の歓迎はせんといかんだろう。





童は、礼儀も正しいのだからな。これも一つの余興じゃ。存分に楽しめ。










「キュウビ様、お下がりください。ここは私めが」

「いや、お前一人では荷が重かろう」





右手を上げる。そして、童達の足元に丸く、金色の方陣が浮かぶ。

術式を示す漢字が幾つも描かれ、線が模様を作る。そして、童達の姿が消えた。

それを見て、向こうの童が止めようとしたが、無駄じゃ。・・・・・・これで、問題ない。



童の夢の礎、簡単に帰すわけには行かんのう。





「童も少し、暇を持て余していたところじゃ」





ゆっくりと、童は両手を上げる。そこに現れるのは・・・・・・×がついたたまご。

赤い落ち葉の柄はくすみ、白を基調としたその色は、黒へと変貌している。

童に力を与えてくれる、至高の宝玉。そして、童の願いが詰まったたまご。



さぁ、童に力を貸してくれ。それだけは、出来るのだから。





「さぁ、見よ。童の真の姿を」




















◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



「・・・・・・あぁもう、私達も行ければいいのにー!!」

「ダメだよ、スバル。ヤスフミや良太郎さんは大丈夫みたいだけど、下手に飛び込んで催眠で操られたら、意味がない」



でも、リュウタロスさんが催眠耐性持ちなんて、知らなかった。

・・・・・・そう言えば、ディスクで人を操っていたシーンがあったよね。思い出したよ。



「現に、あむさんと唯之介さんが操られています。・・・・・・悔しいですけど、今の段階で近づくのは危険です」



悔しい。本当に悔しい。二人だけで向かうのは危険だって分かってるのに、結局後方から援護という形しか取れない。

向こうの催眠や暗示能力、私達の常識外のものだから、対策も難しいし・・・・・・これじゃあ、居る意味がないよ。



『・・・・・・みんな、聞こえる?』

「おじいさん、どうしました」



ヤスフミから、通信がかかってきた。その声には、動揺の色が混じってる。

何かあったのかと思い、私達みんなに緊張が走る。



『敵の親玉らしいのと遭遇した。ごめん、あむ達・・・・・・さらわれた。
転送魔法みたいなので、一気に跳ばされたの。だけど・・・・・・なんで』

「ヤスフミ、どうしたの? 何があったのか、説明して」

『敵の親玉、×の付いたたまごを出して、キャラなりしてるのっ!!』

「・・・・・・キャラなりっ!?」




















◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



闇に輝くのは、金色の獣。顔に付けられているのは、狐の仮面。

黒い羽衣を金色の体躯の上から纏い、身体の後ろから金属で出来た9本の尻尾。

この尻尾は、元々あの女が生やしていたものに装甲が被さったもの。ここで現れたものじゃない。





瞳は黒く、絶望を映し出している。だけど・・・・・・これは、鬼とかの変身じゃない。





これ、キャラなりだ。時間の犯罪者の中に、キャラなり出来る奴が居るなんて。










「・・・・・・自己紹介が遅れたのぅ。童は、キュウビ。常夜の闇を流離う、女王じゃ」





闇の中に、金色の狐が降り立った。それは、今まで僕が見たどのキャラなりとも違う。

感じるのは、禍々しい感情の波。未来への可能性なんて、微塵も感じない。

あのたまごは、本来なら夢や希望が詰まってたはずなのに、今は全然違う。



詰まっているのは、単純な破壊の力。絶望と、闇をごちゃまぜにした混沌だけ。





「キャラなりって・・・・・・アレだよねっ!? あむちゃんや恭文が、ランちゃんとかと出来るやつっ!!」

【ど、どうしてあの人がっ!? というか、あのたまごって・・・・・・!!】

「×たま・・・・・・あれ、×たまです」





間違いない。あのくすんだ色に白い×。×たまだ。

前に×がついたムサシやダイヤを見た時と同じ・・・・・・暗い印象が、これにはある。

でも、それだけなの? これは、余りにも淀んでいる。そして、どす黒い。



なんで僕・・・・・・フォン・レイメイの事とか、思い出してるんだよ。なんで、印象が被ってるのさ。





「・・・・・・良太郎さん、リュウタ、あの女は、僕がやる。二人は、あの笛吹きを」

「恭文、なに言ってるのっ!?」

【そうだよっ! あの人、きっと凄く強いのにっ!!】



分かってる。分かってるけど・・・・・・くそ、なんだよこれ。普通に倒したら、たまごが壊れるよね?

あの女のたまごかどうかも、現段階では分からないし・・・・・・やるしか、ない。



「僕の魔法なら、あれを浄化出来る。浄化して、元に戻せる。だから、やる」




















◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



「・・・・・・はぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!? おいおい、青坊主の奴、なんかとんでもないこと言い出してんぞっ!!」

「あぁもう、この状況でそれってあり? ちょっと無茶過ぎるでしょ」

「だよなっ!! ・・・・・・てーか、浄化やらキャラなりってなんだ?」

「桃の字、お前はあむや恭文の話、聞いてなかったんか?」



なんか、しゅごキャラの力を借りて、×が付いちゃったたまごを、元の白いたまごに戻せるって話だね。

で、どういうわけか恭文はランちゃん達みたいなキャラがまだちゃんと生まれてないのに、それが出来るとか。



「・・・・・・恭文くんは、全く。時の運行と、モウリョウ団の首領のたまご、どっちが大事だというんですか」

「ならオーナー、恭文ちゃんを止めますか?」

「いいえ。というより、止めても聞かないでしょう」

『ごもっともです』




















◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



「で、でもでも、あのおばさん悪い人だよっ!? それなのになんでそこまでするのさっ!!」

「・・・・・・そうだね、助ける理由なんてないね。でもさ、リュウタ。助けない理由も、そのための言い訳も、無いんだよ?」



闇の中で、良太郎さんに取り付いたリュウタの顔を見上げる。見上げて・・・・・・笑う。



「こころのたまごの中には、未来への可能性が詰まってるんだ。どんなたまごでも、そう」



で、もう一度見すえる。金色の獣を。獣は、腕を組みながら余裕かましてる。



「それが壊れるなんて、やっぱ悲しいじゃん。なにより、あの女のたまごかどうかも、僕達には分からない」

【つまり、別の誰かのたまごに×が付いて、それをあの人が勝手に使ってるかも知れないってこと? え、そんなこと】

「出来ます。現に、この間まで僕達がやり合ってた女の子がやってました」

≪月詠歌唄という、マスターの友達がそれをやって、この間まで大変だったんですよ。・・・・・・なので、可能なんです≫





・・・・・・ガーディアンとしては、『なりたい自分』を目指す身としては、見過ごせないでしょ。

とりあえず、×を取ればこんなバカなことが止まるかも知れない。可能性は、かなり低いけど。

てーか、甘いよね。うん、知ってたわ。もう、とっくの昔に・・・・・・知ってた。



さて、気合いを入れますか。このノリなら、僕の領域だ。





「・・・・・・分かった」

「いいの?」

「いいよ」



ま、またアッサリと言い切ったなぁ。もうちょっとゴネるかと思ったのに。



「だって、恭文の頑固は良太郎レベルだもん。僕や亀ちゃん達が言っても、絶対聞かないでしょ?」

「まぁね」

「ほら、やっぱりー。・・・・・・それじゃあ恭文」



そう言いながら、リュウタは左手で銀色のベルトを取り出す。

そう、お馴染みのデンオウベルトだ。



「久々に、一緒に行くよっ!!」

「うんっ!!」



僕も、同じようにベルトを取り出す。なお、サウンドベルト。

僕達は一緒にそれを腰に巻いて、紫のボタンを押す。



「「変身っ!!」」



一緒に、パスをセタッチ。



≪Gun Form≫

≪Riese Form≫





リュウタのベルトから溢れるのは、紫色の光。その光を身体に纏い、スーツとする。

闇の中で生まれるのは、紫の竜の仮面を付けた電王。銀色のアーマーを装備し、降臨する。

で、僕は当然のように、リーゼフォームにセットアップ。なお、両手はもちろんNewジガン。



変身を終えた僕達は、闇の中でそれぞれの敵をしっかりと見据える。





≪The music today is ”Double-Action Gun Form”≫





鳴り響き始める音楽の中、僕達は顔を上げる。





「「・・・・・・お前達、倒すけどいいよね?」」





身体をくるりと回転させ、それぞれの敵を指差す。





「「答えは聞いてないっ!!」」










そのまま、僕達は踏み込む。・・・・・・さぁて、気合い入れていきますか。




















◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



「・・・・・・く、面妖な術をっ!!」



黒笠を被った人が、尺八の先を向ける。そこから、黒い針のような弾丸が撃ち出される。



「よっと」



リュウタは身体を捻りながら、恭文君のベルトから流れる音楽に合わせて、ステップを踏む。

そうしながら、次々に撃ち出されていく弾丸を避けつつ、デンガッシャーを組み立てていく。



「へへ、遅い遅いー!!」



組み立てる形態は、もちろん銃。四つのパーツが組み合わさり、一つの銃となる。

それをリュウタは右手で持って、笛吹きへと向ける。



「バンバンっ!!」





闇の中、リュウタが撃った弾丸と、黒い針がぶつかり合い、僕達の間で火花を散らす。

その火花で闇が照らされて、場違いにも少し綺麗。・・・・・・撃ちながら、リュウタが動く。

前へと前進して、間合いを詰めていく。だけど、それは向こうも同じ。



向こうは、上に跳んで弾丸を避ける。リュウタは上に銃口を向けるけど、そこに笛吹きは居ない。

笛吹きは、どう移動したのか僕達の前に来ていた。そして、尺八が二つに分かれる。

右手で口の部分を逆手に持って、抜き放つ。・・・・・・仕込みの短剣になっていた。



リュウタに向かって、どんどん短剣が打ち込まれていく。それを、リュウタは身を翻し避けていく。

・・・・・・ベルトの効果、あるのかな。いつもより動きがよくなってるし。

首元に右から突き立ててきた短剣を、リュウタは右手の甲で受け止める。・・・・・・あ、訂正。



相手の手首の部分を、受け止めた。そうして、リュウタはヤシロウと呼ばれた人を見る。





「・・・・・・遅いよっ!!」



踏み込みながら、相手の腹を蹴る。蹴って、距離を取った途端に、また銃を乱射。



「バンバンッ!!」



ヤシロウは、それを腕を組んで防御する。でも、命中した。

身体に火花が散り、僅かにたじろいでいく。当然、リュウタも僕もそこは逃がさない。



【リュウタ、一気にっ!!】

「分かってるっ!!」










踏み込みながら、リュウタは銃を乱射する。ヤシロウは、かまわずに突っ込んできた。

振るわれる短剣を持つ手首の部分を狙って、リュウタは受け止める。受け止めて、また蹴り。

後ろに跳び、そこからリュウタの左側に回って、ヤシロウはわき腹に短剣を突き出す。




リュウタは身体を回転させながらそれを避けて、至近距離で銃を乱射。それにたまらず、ヤシロウが後ずさりする。

当然のように、まだまだ乱射する。その全てが、ヤシロウの身を叩く。・・・・・・こっちは、優勢かな?

あとは、恭文君の方だね。恭文君は、かなり苦戦してる。敵の9本の尻尾の対処に、かなり必死。





だけど、大丈夫。何度も一緒に戦ったから、僕もリュウタも分かる。この程度じゃ、恭文君は絶対に負けない。




















◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆




・・・・・・闇の中で、刃と9本の尻尾がぶつかり合う。

金色の閃光が走る度に、銀色の刃がそれを斬り払う。

でも、その次の瞬間、残りが迫る。僕は、走りながらそれを避ける。





9本の尻尾の先は、地面や木々を穿ち、穴を開け続ける。





とにかく僕は、時計回りに走り続けながら、避ける。










「・・・・・・童、人間にしてはやるようだが、温いのう」





左手が動いた。瞬間、金色の力の奔流が僕に迫る。それを、アルトを逆袈裟に振るい、斬り払う。

目の前が、同じ色の爆煙で包まれた。それを切り裂きながら、女が迫る。右手には、金色の刃。

唾もない両刃の刃が光を纏い、僕を襲う。それを僕はアルトを左薙ぎに打ち込んで、受け止める。



一瞬ぶつかり、刃同士がすぐに離れる。そして、そのまま立ち止まり、斬り合う。





≪うぅ、上から目線なのっ! 思いっきり上から目線でムカつくのっ!!≫

≪全く同意見ですね≫





打ち込まれる刺突を身を捻りながらも避け、その隙を狙ってわき腹を突く。でも、硬い。

金色の鎧に傷はつけるけど、中身は叩けなかった。それから、僕は大きく後ろに飛ぶ。

僕の頭上から、尻尾の一本が襲って来ていた。尻尾の先は、地面をそのまま穿つ。



くそ、普通にこれキャラなりかっ!? いくらなんでも、戦闘能力がブッチギリでおかし過ぎるでしょうがっ!!

・・・・・・キャラなりで物理的殺傷攻撃が出来るのは、もう立証済みだ。海里だったり、猫男だったりがやってる。

でも、能力がおかしい。やっぱり、あのたまごのせいなの? たまごがおかしいから、まるで鬼の変身みたいになってる。



残りの尻尾が飛んで来る。なので、僕は自分の左側の木を思いっきり蹴り、90度右に急激に方向転換。

狐の尻尾達を、そうやって回避した。回避しながら、魔法を一つ発動。止まってる余裕は、ない。

攻め込まなきゃ、普通に負ける。左手の指先を向けながら、集中する。狙うは・・・・・・正確かつ鋭い一撃。



左手の人差し指に光が灯る。瞬間、その光は闇を切り裂きながら、女に飛んだ。





≪Stinger Snipe≫





後ろの方で、笛の先から針を飛ばす笛吹きと、リュウタがデンガッシャーで、撃ち合ってる。

その様子も気にしつつ、僕はスティンガーをコントロール。自然落下に身を任せながら、女を狙う。

撃墜のために動く尻尾の隙間を、螺旋を描くようにすり抜けた。そして、女の眼前へと迫る。



女は、右手の剣でスティンガーを斬り払った。青い粒子が女の前で、闇の中に散っていく。

そこを狙って、僕は着地。同時に、もう一つ魔法を発動。それは、ブレイクハウト。

僕へと迫っていた尻尾の全てを、地面から生えた拳が下から殴り、その軌道を逸らす。



なお、同時発動ではない。連続発動である。発動しながら、僕は再び女の懐へ潜り込んだ。





「鉄輝」





女が、刃を振りかぶり僕の顔面を狙って突きを叩き込む。鋭く、普通に食らったら死ぬようなレベルの攻撃。

僕は、金色の刃をアルトの柄尻で叩き、軌道を逸らす。刃が、二の腕とジャケットを少し斬る。

逸らしながらも更に踏み込む。掴んだチャンスは、絶対に逃がさない。戦いの、極意の一つだ。



僕は女の右わき腹に向かって、刃を右薙に叩き込んだ。徹も叩き込んで、一気に引き斬る。





「一閃っ!!」





金色の装甲を、青色の刃が斬る。刃を振り抜くと、女の身体に確かに斬撃の痕が残る。

女が、少しよろめいた。そこを狙って、僕はもう一つ魔法を発動。ジガンが、カートリッジを三発使用する。

左腕の手首、ドラム型の弾倉から、カートリッジがロードされた。その分の魔力が、身体に宿る。



こちらへ迫っていた尻尾は気にせずに、その魔力分を込めたスフィアが、僕の前面に形成される。





「クレイモアッ!!」





以前よりも大きく、巨大な力を宿したクレイモアは、女の身体をしっかりと撃ち抜き、吹き飛ばし、金色の装甲を剥がした。

僕は、すぐにその場を離脱。吹き飛ばされながら打ち込まれた刃をアルトを盾にして防ぎつつ、後ろに飛ぶ。

伸びてくる金色の尻尾の数々に向かって、僕は左手からマジックカードを取り出し、一気に投げ放つ。



9枚のカードは金色の尻尾に触れる瀬戸際で、巨大な氷へとかわった。なお、発動したのは空間凍結型の魔法。

尻尾が先から中ほどまで完全に凍りつき、その重さで地面を滑り、削っていく。それを、僕は右に大きく飛んで回避。

・・・・・・てーか、普通にクレイモアの威力が上がってるし。ジガンの改修でカートリッジの口径が、大きくなったせいか。



よく考えたら、機能テストもしないでここまで来たんだよね。・・・・・・あ、こんなことしてる場合じゃないな。

跳びながら、こちらの様子に目を向けていた笛吹きに向かって、左手を動かす。

そうして伸びるのは、アンカーワイヤー。それが笛吹きの首元に伸びて、綺麗に巻きつく。



まぁ、不要だとは思うけど、一気に潰すことにした。





≪Full Charge≫



それを見て、リュウタは即座に左手でパスを取り出し、セタッチ。パスをそのまま、前方に投げ捨てた。

そうして、デンガッシャーの銃口を笛吹きに向ける。笛吹きは抵抗しようとする。



≪甘いの♪≫



だから、僕とジガンは思いっきり電流を流してやる。

ワイヤーを伝わって、青色の電流が迸り、笛吹きに流れ始める。なお、魔力変換で生み出した雷撃。



「ぐがががががががががっ!?」

≪リュウタロスさんっ! 今のうちにやっちゃうのっ!!≫



それにより、笛吹きの身体が震え出す。震え出し・・・・・・その動きを止めた。

だから、ジガンがこんなことを言うのだ。リュウタはそれに頷く。



「・・・・・・最後行くけど、いいよね」



デンガッシャーの銃口の先に、丸いエネルギーの砲弾が生まれた。

リュウタはそのまま、引き金を引く。



「答えは聞いてない」





放たれた砲弾は、そのまま飛ぶ。狙うは、笛吹き。

それは、見事に笛吹きの身体に着弾する。・・・・・・訂正。

笛吹きの前に金色の障壁が現れ、笛吹きのことを守った。



そして、地面から金色の刃が生まれて、笛吹きを戒めていたジガンのワイヤーを、断ち切った。



リュウタの必殺技は防がれ、目の前に爆煙と衝撃波が生まれ、爆ぜる。






【えぇっ!?】

「な、なにこれっ!!」

≪ジガンのワイヤーに一体なにしてるのっ!? というか、誰・・・・・・ま、まさかっ!!≫




とりあえず、思いっきり右に飛ぶ。僕を追いかけるようにして、またもや尻尾が来てた。

そして、リュウタの横に来る。来たけど・・・・・・待て待て、アレでやられてないって、おかしくない?



「・・・・・・やるな、童」



湧き上がる爆煙の中から出てきたのは、金色の狐。でも、ダメージはあるようだ。

金色の装甲の大半が吹き飛んで、白い素肌が見えているから。



「やはりお主、陰陽師の類ではないのか? いや、にしては少々ハイカラな服装よのう。
そっちのは・・・・・・あぁ、主が噂の電王か。なるほど、スケロウは主らにやられてもうたか」



どこか、納得するような顔をしている。でも、僕達はさっぱり。はっきり言って、訳が分からない。

でも、女は構わずに右手を上げる。そこには、金色の光。



「主らのようなものが居るのなら、少々計画を変えようか。・・・・・・さらばじゃ」




次の瞬間、金色の光が爆発し、僕とリュウタを飲み込んだ。

爆発が収まると、辺り一帯に僕達以外の存在の気配は、消えていた。



≪・・・・・・主様、反応、掴めないの。というか、やられたの≫

【目くらまし・・・・・・だったみたいだね】

「ですね。・・・・・・くそっ!!」



色々ミスった。てーか、失敗した。まず一つとして、あむと唯之介がさらわれた事。

連中の情報を、あんまり引き出せなかったこと。そして・・・・・・仕留められなかった事。



「良太郎、恭文、どうしよう。あむちゃん達・・・・・・さらわれちゃった」



マジで連中、何者なんだよ。それに、あのたまごとあのキャラなりは・・・・・・。

もしかして連中が神隠ししてるのって、狙いは・・・・・・たまごっ!?



「・・・・・・恭文」



その声に、ハッとなる。僕達が草むらの奥の方を見ると、そこから・・・・・・ランとミキ、スゥが出てきた。



「恭文さんー!!」



で、スゥが僕の胸元に、凄い勢いで飛び込んできた。それを、優しく抱きとめる。



「スゥっ!? てーか、みんなもどうしてっ!?」

「恭文さんの修羅モードのおかげですぅっ! あれで、ゼロさんの時みたいに、催眠術が解けてー!!」

「あむちゃんも解けてたんだけど、ボク達を掴んで、それで・・・・・・ポイって」

「それで私達、今まで隠れてたの。・・・・・・恭文」

「あぁ、みんな泣かなくていいから。大丈夫、あむのことは、絶対助け出す。もちろん、他の子達もだよ」



だけど、手がかり・・・・・・いや、ある。さらわれた子達と、あのキュウビって女のことだ。



「良太郎さん。明日さっそく」

【うん、二手に別れようか。僕はハナさんとスバルちゃん達と一緒に、あのキュウビって人の事、調べてみる。恭文君は】

「ラン達と一緒に、被害者の子に会ってみます。多分、僕の予想通りになってると思いますけど」

【・・・・・・そうだね】




















◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



薄暗い・・・・・・本当に薄暗い石造りの牢に、あたしと唯之介君は入れられた。なお、唯之介君は気を失ってる。

こうやって牢に入れられた原因は、あたし達二人がたまごを持ってないから。恭文、気づいてくれたかな?

ううん、気づいてくれたはずだよね。良太郎さんやリュウタロスもしゅごキャラ見えるんだし、きっと大丈夫。





でも、どうしよう。ここがどこかも分からないし、ラン達居ないからキャラなりもキャラチェンジも出来ないし。





あとは、他力本願だけど恭文・・・・・・待つしかないのか。










「・・・・・・あなた」



牢に乱暴に入れられて、扉を閉じられた。それから、声がした。

それは、牢の隅。そこに蹲るように座っていた女の人が居た。その人は、あたしを見て驚いてる。



「もしかしてあなた・・・・・・あむ、おばあちゃん?」

「へ?」





緑色の綺麗な長い髪に、青い瞳。身長は私より少し高い。

恭文が仕事の時に着てる青いインナースーツに似たデザインの服を纏う女性が、隅に居た。

その人は、私を見て嬉しそうに走りよって来て、またしゃがむ。そして、両手を掴む。



・・・・・・あ、傷だらけだ。この人、怪我してる。





「あぁ、間違いないっ! あむおばあちゃんだっ!! というか、若い頃のおばあちゃんっ!!」

「あ、あの・・・・・・もしもしっ!? ちょっと待ってもらえますかっ! あたし、見ての通りおばあちゃんなんて年齢じゃ」



言いかけて、気づく。今と全く同じシチュが、前にもあった。・・・・・・思い出すのは、デンライナーに初めて乗ったばかりの時。

リースが目を覚まして、今と全く同じ事を、恭文やフェイトさん、モモタロス達を見て言った。え、もしかしてこの人。



「八神・A・かえで・・・・・・さん?」

「はいっ!!」



はやてさんの孫で、リースのマイスターの、かえでさん。・・・・・・え、こんな美人だったんだっ!!

てゆうか、あたしよりも年上だしっ! 普通にあたしが敬語じゃなきゃ、おかしいよねっ!?



「・・・・・・あ、私の事を知ってるということは、もしかしてリースから」

「う、うん。リースに話を聞いて、助けに来たんだ。恭文とフェイトさん達に、良太郎さん達も一緒」

「よかったぁ。あの子、ちゃんとたどり着けたんだ」



いや、全然ちゃんとじゃないけど。というか、かなりギリギリだったし。



「あの、かえでさん」

「あ、私はかえでで大丈夫ですよ? ・・・・・・って、それも変か。だって、私の方が年上なんだし」



本当に嬉しそうに、少し涙目になりながらかえでさんが喋る。そりゃ、そうだよね。

こんなところに閉じ込められて、不安に決まってるだろうし。



「なら、あむで・・・・・・大丈夫かな。あ、私は敬語なしでいいよ? やっぱりくすぐったいから」

「分かった。あたしも、それで大丈夫だから。・・・・・・かえでさん、ここどこ?」

「連中のアジトということだけしか、分からないの。それでね、連中の目的なんだけど」

「こころのたまご・・・・・・だよね」





かえでさんが、申し訳なさそうに頷く。

・・・・・・まぁ、恭文の修羅モードのおかげで意識戻ったから、私にも分かる。

あのキュウビって人、子どもたちからたまごを抜き出してたんだ。



そう考えると、警察署で聞いた話も、納得出来る。





「それで・・・・・・はやく止めないと。連中、私が持ってた術式を使って、時間移動も出来るようになってるの」

「そんなっ! てゆうか、あんなのがあたし達の時代に来たりしたら、とんでもないことになるじゃんっ!!」

「・・・・・・ごめん。抵抗、したんだけど」



悔しそうに、左手で自分の右手を押さえる。・・・・・・あんまり、言えないか。

多分これ、拷問ってやつのせいだろうし。あぁもう、せめてここがどこかくらい分かれば。



「でも、あの人達はなんでこんなことを? てゆうか、こころのたまごを狙う理由も分からないし」

「童のたまごを強くし、目覚めさせるためじゃ」



外から声がした。あたし達は身をすくませて、そちらを見る。

・・・・・・居たのは、キュウビというボスキャラだった。



「・・・・・・たまごって、あの×がついたたまご?」

「そうじゃ。あれは、童にとって大切なものでのう。
ずっと・・・・・・本当に長い間ずっと・・・・・・目覚めんのじゃ」

「でも、それと他の子のたまごと、どう結びつくか分からないんだけど」

「聞くところによると、エンブリオと呼ばれるたまごがあるそうじゃの」



・・・・・・え、ちょっと待って。この人、何を言ってるの?

まさかコイツ、イースターと同じようにエンブリオを探してたっ!?



「もちろん、それだけではない。童は抜かりないのも自慢でのぅ。
不要なたまごは、餌として再利用させてもらっている」



一瞬、言っている意味が分からなかった。だけど、それでも湧き上がる物がある。

それは、怒り。理由も分からないのに、怒りだけはちゃんと反応した。



「じゃが、だめよのう。そこらのたまごでは、童の子の餌に成り得ないらしい。
やはり、エンブリオというたまごでなければ、童の子は満足せんようじゃ」

「アンタ、たまごを・・・・・・どうしたのよ」

「全て童の子に、食わせたに決まっておろう。砕いて、力にして、あの子に注ぎ込むことでな」



アッサリと、言い切った。人の夢のたまごを、餌にしたと・・・・・・本当に、アッサリ。

それに、身体が震えた。そして、拳が握り締められる。・・・・・・あぁ、そうだ。アタシ、キレてる。



「だから、こんなことしてるって言うの? 自分と同じ、たまごを持った子の夢を奪って」

「それが下民にとっての喜びじゃ。童に尽くし、慕い、その身を捧げる。みな、喜んでおったぞ」

「ふざけたこと・・・・・・抜かしてんじゃないわよっ!!」



立ち上がり、牢の中から目の前のおばさんを睨む。そして、一歩一歩詰め寄る。



「アンタに自分のたまごの×を取ることなんて、一生出来ないっ! エンブリオが有っても、アンタのあの子はずっとあのまんまだよっ!!」

「・・・・・・なんじゃと?」

「出来るわけがないじゃんっ! 他の人の夢を、願いを、なりたい自分を『餌』って言い切るアンタには、絶対無理に決まってるじゃんっ!!」



また一歩近づく。おばさんの表情が険しくなっていくけど、全然怖くない。

そうだ、こんなの怖くなんてない。てーか、マジふざけんな。



「自分以外の誰かの夢だって、自分の夢と同じくらいに大事だって、なんで分かんないのっ!?
アンタ自身が変わろうとしなかったら、×なんて一生取れるわけがないじゃんっ! マジでバカじゃ」



瞬間、身体が吹き飛んだ。そして、奥の壁に身体が叩き付けられた。痛みで、一瞬意識が飛びかける。

そのままずるずると、あたしは地面に伏せる。見ると、おばさんが右手をかざしていた。



「・・・・・・無礼な口を叩くな、娘」



触れてもないのに、吹き飛ばされた? な、なんなのよ。この無茶苦茶な能力。



「このキュウビ、下郎の出に説教を垂れられる謂れはない。不愉快じゃ」



そのまま、キュウビはどこかへと去る。あたしは、身体を何とか起こす。



「不愉快は・・・・・・こっちだってーの」

「あむ、大丈夫っ!? あぁもう、無茶するのがこんな小さな頃からだなんてっ!!」

「あ、あははは・・・・・・つい我慢出来なくて」

「・・・・・・納得したよ。だから、恭文おじいさんと仲良くなったんだね。なんだかんだで、似たもの同士だから」





とりあえず、壁に背中を預ける。てゆうか、マジ痛い。ちょっと頭、打ったかな。

でも、こう言うってことは、未来のあたしと恭文、仲良しのまんまなのかな。・・・・・・それは、嬉しいかも。

会ってあと一ヶ月ちょいで半年が経って、その間今日みたいに色々有って、そうして友達になれた。



それが、ずっとずっと続いていくなら、あたし・・・・・・嬉しいな。まぁ、恭文には絶対言わないけど。





「・・・・・・ね、あむ」

「はい?」

「みんな、相当怒ってるよね?」



少し不安げにそう言って来たかえでさんの言葉に、あたしは・・・・・・頷いた。



「多分、すっごい怒られると思います。というか、恭文は恭太郎をシバいて未来に強制送還すると息巻いてます」

「そ、そうだよね。覚悟だけ、しておこうかなぁ」










でも、なんかおかしいなぁ。あたし達二人とも、普通に無事に帰られるかどうか分からないレベルになってるのに。





分からないけど・・・・・・帰れるよね。うん、帰れる。だって、あたし達だけじゃない。みんなも居るんだから。




















◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



・・・・・・あむと唯之介の事は、とりあえず置いておく。僕達は被害者の子に会うことにした。

とりあえず手がかりになればと思ったんだけど・・・・・・うん、手がかりはあったね。

連中の狙いが、こころのたまごを集めることだって言うのは、分かった。





で、僕達が昨日さらわれた子を助ける必要も、なくなってしまった。





そう言う理由? 簡単だよ。・・・・・・朝一番で全員戻ってきた。当然、あむと唯之介以外。










【・・・・・・じゃあ、被害者の子達は全員、こころのたまごが抜かれてたんだね?】

「ここは、恭文君とランちゃん達の予想通りという感じかしら」



良太郎さんとハナさんはこの辺りがよく分からないので、こう聞く。

なので、僕は街の中を歩きながらも、頷く。



「あむがキャンディーズを逃がしてくれて、よかったですよ。普通に色々分かったし」

「・・・・・・恭文、あむちゃんって強い子なんだね」



スバルが、少し落ち込んだような表情でそう口にする。・・・・・・昨日からずっとこんな調子。

まぁ、スバルはギンガさんがさらわれた時のトラウマがあるからなぁ。しゃあないか。



「だって、あんな状況なら普通パニック起こしてもおかしくないのに。
それで恭文のこと・・・・・・すごく信頼してる。だから、ランちゃん達のこと預けた」

「・・・・・・そうだね。うん、あむは強い子だよ?
良太郎さんやスバルに負けないくらいに、とっても強い子」

「そっか。なら、大丈夫・・・・・・かな」

「大丈夫だよ。だから、そんな顔するな」



左手を伸ばして、スバルの頭をクシャクシャに撫でてやる。

『はわわわ、やめてー! 髪が乱れるー!!』とか言ってるけど、気にしない。



「とにかく、被害者の子達があんな状態なのは、こころのたまごが抜かれたのが原因なのよね?
でも何のために? だって、人のこころのたまごを持ってっちゃっても、普通には使えないわよね」

【それなら、昨日みたいにキャラなりするためというのは?】

「良太郎、それ・・・・・・無理だから。忘れた?
全員が全員、あむちゃんや恭文みたいなキャラ持ちじゃないんだから。むしろ、その数は少ない」

【・・・・・・あ、そっか。しゅごキャラが生まれてないと、キャラなりは出来ないんだったよね】



というか、そのために人のたまごを狙うってのは考え辛いのよ。非効率過ぎるって。

だってキャラなりやキャラチェンジは、キャラ持ち特有の能力だから。現に僕もそれだった。



「なら、単純にたまご全般狙いということになるね。・・・・・・恭文、あとランちゃん達もだね。
僕達はその辺りが本当にさっぱりだから、ぜひ知恵を拝借したいなぁ」





なお、現在ウラタロスさんが普通に良太郎さんの身体を借りてる。・・・・・・そう、情報収集のためよ。

ただ、あんまり分かったことはない。キュウビという女の事もさっぱりだった。

うーん、単純に鬼とか牙王とかと同じ時間の犯罪者なのかなぁ。それならまだ納得がいくのよ。



で、それがたまごの力を使って悪役やってる? 今考えられるのは、こんなとこかなぁ。





「もしかして、エンブリオを探してるのかな? ほら、イースターみたいに」

「だからこそ、部下の力でたまごを抜き出しているのですね。
・・・・・・フェイトお嬢様、その可能性は私も高いと思います」

「それって、例の何でも願いを叶えるたまごのことよね?
恭文君が、あむちゃんとガーディアンのみんなと探してるって言うの」

【そんなすごい物が本当にあるなら、モウリョウ団が狙っていてもおかしくはないよね。うん、これは可能性高いんじゃないかな】



今フェイトが言ったようなのも、考えられる。だけど、何か引っかかってる。具体的にはあの×たまだ。

あのたまご・・・・・・なんかこう、おかしい。あれ一個に、色んなものが詰まっている感じがしたというか。



「それとぉ、あのキュウビという人のたまごも気になりますぅ。
スゥ達が思うに、あのたまごが全部の原因じゃないでしょうかぁ」

「恭文さんが仕留め切れなかった相手ですね。スゥさん、何が気になるんですか?」

「あのたまご、すごく怖い感じがしたんですぅ」



僕の右隣に浮かびながらそう話すスゥを見て、気づいた。

スゥ・・・・・・いや、キャンディーズの表情が全員、怯えたものになってる。



「こう・・・・・・どす黒いというか、力が詰まりに詰まっているというか」

「あのたまご、絶対にただ×が付いただけじゃないよ。
それにしては雰囲気がおかし過ぎるもの」

「それはボクも感じた。だからキャラなりがあんなに異質で、強力になるんじゃないかな。
・・・・・・恭文、次に戦う時は、キャラなりで対処した方がいいよ。あのたまご、絶対おかしい」

「そうだね、そうするよ」



てゆうか、普通にしゅごキャラ関連の話になってきたなぁ。

これ、歌唄とかりまも連れてくればよかったかも。



「あとはあむちゃんと唯之介君ね。・・・・・・ランちゃん達も、分からないのよね?」

「うぅ、スゥ達もサッパリなんです。なんとなくレーダーもダメっぽくてぇ」

「そんなのあるんだ。・・・・・・しゅごキャラって、すごいかも」



スバル、感心するのはいいけど、実はあんま凄くないのよ?

あー、だけどこの場合は手がかりになるんだよなぁ。なんとなくでもさ。



「・・・・・・ホントどうしようか」

【京都大火がどういう形で起こるかも掴めてないし、問題は山積みだね】



僕は、懐からあるものを取り出す。それは、金色のダイヤのたまご。



【ね、恭文君。その子もしゅごキャラなの?】

「ダイヤの柄ってことは・・・・・・あむちゃんのたまごかしら」

「はい。あむの四つ目のたまごなんです」

「それで、名前はダイヤですぅ」



なぜだろう、ハナさんが普通に呆れた表情になった。僕もスゥも、変な事言ってないよね?



「・・・・・・そのまんまね。ランちゃんがハートで、ミキちゃんがスペード、スゥちゃんがクローバーで・・・・・・ダイヤ、ねぇ」

【でも、かっこいい名前だよね】

「良太郎っ!? 私が思うに、そういう問題じゃないからっ!!」



キャンディーズはともかく、あむはダイヤのたまごは連れていかなかったらしい。

だから、枕元に大事に置いてあった。それを僕が預かっているのである。



「ダイヤが目を覚ませば、あむちゃんの居場所も分かるかも知れないね」

「そうなの?」

「はい。ダイヤ、とっても力の強い子ですから。うー、私達はさっぱりだしなぁ」





どうしたものかと考えながら、空を見る。雲が太陽を覆ったのか、暗くなった空を。

そして・・・・・・固まった。普通に、空の上にデカイ牛車が浮かんでいた。

赤く、柱が黒塗りで、どこかの巨人が乗るようなビックサイズの牛車。なお5階建てくらいの大きさ。



それを、青白い炎で出来た牛が、引いていた。空を踏みしめる度に、炎が揺らぐ。





「お、おじいさんっ! アレなんですかっ!?」

「恭文さん、あれは・・・・・・いったい」

「リースもディードも、僕に聞かないでっ!? てーか、聞かれても分からないよっ!!
待て待て、いくらなんでも超展開過ぎないっ!?」

「確かに、何の前振りもなしでアレはおかしいよっ!!
・・・・・・アレ? あの、恭文。ボクには、何かが降ってるように見えるんだけど」



降ってくるのは、緑色のゾンビみたいな連中。それが、京都中に降り注ぐ。



「奇遇だね、僕も同じくだわ。てゆうか、普通にたいまつなんて持ってるよね」

「うん、ボクも見える。・・・・・・まさか」

「京都大火が、始まろうとしてるですかぁっ!?」



・・・・・・な、なにこれっ!? いや、考えるまでもないっ! モウリョウ団の連中だっ!!



「フェイトっ!!」

「うん、すぐに対処だよ。・・・・・・でも、どうして? 京都大火は、二日後のはずだったのに」



まさか、昨日のアレコレで連中が予定を早めたとか? それなら、あり得る。

とにかく、僕はダイヤのたまごを懐にしまって、連中に対しての対処を。



『恭文君、待って』



声は右手で持ったままのたまごの中から。それが浮いて・・・・・・僕達の目の前で、たまごが開いた。

その中から出てきたのは、濃い目のオレンジ色の髪をツインテールにして、黄色いワンピースを着た女の子。



「・・・・・・ダイヤっ!?」



そう、あむのしゅごキャラのダイヤだった。普通に、僕にウィンクなんぞかましてきてる。

て、てゆうか・・・・・・あの、なんで今目が覚めてるのさっ!!



「恭文君、フェイトさん。それにラン達もお久しぶり。
・・・・・・って、初めましての方も居るわね」

「あの・・・・・・君は? というか、また可愛らしい子だねぇ」

「・・・・・・あなたも、しゅごキャラなの?」

「初めまして、私はダイヤ。あむちゃんの四人目のしゅごキャラよ」



普通に挨拶するなー! てーか、お願いだからウラタロスさんもハナさんも状況を見てー!!



「ダイヤ、なんでここで突然覚醒っ!? あの、てゆうかどうしたっ! グッスリ寝てたんじゃっ!!」

「当然、あむちゃんの危機を救うためよ。私が目覚める時は、あむちゃんにとって重要な何かが起こっている時だもの」

「てゆうか、状況分かってるの?」

「大丈夫、初めましての方とこの街並みを見て、大体分かったわ」



お前は一体どこのディケイドっ!? てーか、その『当然よ』って顔はやめてー!!



「ちょっと恭文、この子大丈夫なのっ!? まるでディケイドみたいなことを普通に言い出してるんだけどっ!!」

【というか、こういうキャラなんだね。恭文君とは、仲良く出来そう】

「いや、もう既に息ぴったりじゃない。・・・・・・私、あの子からこの子が生まれてきたって、信じられないんだけど」

「・・・・・・色々気になるけど、今は流すわね。とにかく、大体の事情は分かったわ。そして」



ダイヤが、天を指差す。いや、天に浮かび、人々を威圧する巨大牛車を見る。

僕達も、釣られるようにそれを見る。・・・・・・ま、まさか。



「あむちゃんはあそこに居るわ。それだけじゃなくて、あなた達の探し物二つも同じよ」



探し物・・・・・・かえでと唯之介っ!!



「ダイヤ、マジ?」

「マジよ。あむちゃんの中の輝きが、今こうしていても伝わっているから。あと、別の二つの輝きも感じる」

「・・・・・・さすがダイヤですぅ。普通に、色んな状況を解決しちゃいましたぁ」

「というか、やっぱり超展開だなぁ」

「まぁ、超・電王だから・・・・・・いいよね?」





いや、よくないから。・・・・・・じゃあ、アレがモウリョウ団の切り札兼アジトってこと?

でも、これは好都合だ。ピンチはチャンスに早変わり。上手く立ち回れば、全部が一気に解決する。

てーか、やっぱ僕と良太郎さんがダブルで居ると、普通にジョーカー引くなぁ。



僕はダイヤを見る。ダイヤは僕の顔を見ながら頷く。





「・・・・・・フェイト、こっちの事は全部任せちゃっていい? 僕、やることがあるから」

「え? ・・・・・・ヤスフミ、まさか」



そう、そのまさかである。あそこに乗り込んで、あむとかえで、唯之介を取り戻す。



「親玉に催眠系統の能力が使える奴が居る以上、僕がやるしかない。お願い」



フェイトは、少し考えるように黙って・・・・・・頷いてくれた。



「・・・・・・絶対に、あむ達と一緒に無事に戻ってくる事。あと、自分を守ること。それだけ約束だよ?
じゃなきゃ、私は認めないし行かせない。ヤスフミ、そこをちゃんと約束出来るかな」

「出来る。てーか、させて」

「分かった。なら、こっちは私と良太郎さん達でなんとかする。
リース、あなたもヤスフミと一緒に。あと、ランちゃん達もだね」



リースとキャンディーズは、力いっぱいに頷いた。

・・・・・・もう一度フェイトの目を見る。フェイトは、そっと頭を撫でてくれた。



「ダイヤ、あむの居るところって細かく分かる? 大雑把でもなんとなくでもなくて、細かく、正確に」

「大丈夫よ。あむちゃんの輝きの近くに、とても禍々しい感じがするから。
私だけじゃ無くて、ラン達も感じてる。そうよね?」



ダイヤが視線をキャンディーズに向ける。三人は、力いっぱいに頷いた。



「あむちゃんの方はともかく、禍々しいのは私達も感じてるよ。
というかこれ・・・・・・あのキュウビって人のたまごだよ」

「つまり、あむちゃんは今、そのキュウビという人の近くに居るわ。・・・・・・でも、どうするの?」

「それなら余計に雑魚戦やってる時間は多分無い。だから、一気に突貫する」

「・・・・・・納得したわ。恭文君、思いっきり頼っちゃうけど、お願い」

「任せて」










そして、僕達は上へ飛び出し、フェイト達は街を走り抜ける。





消えかけている沢山の今と、夢を守るために。・・・・・・消させない。





あんな奴のために、時間も、今も、夢も・・・・・・何も、消させない。




















◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



「・・・・・・侑斗、大変だぁっ! きょ、京都の街がぁっ!!」

「なんだよアレっ! てーか、野上とチビは一体なにしてやがるっ!!」





ジークを回収してすぐに、京都の街へ向かった。で、到着して・・・・・・とんでもないものを見た。

燃え始めている広い街に、その上を走る巨大な・・・・・・牛車、よね。

まぁ、牛が青い炎で形成されて、どこぞの神話に出てくるようなトンデモアイテムになってるけど。



てーか、もしかしなくてもこれ・・・・・・京都大火っ!? そんな、だって新聞記事では二日後なのにっ!!





「・・・・・・あぁ、俺分かったわ」

「幸太郎、アタシもだ。というか、予想の範囲内だよな?」

「幸太郎、アギトちゃん、どういうこと? ・・・・・・あ、まさか」



どうやら、デネブにも分かったらしい。というか、私も分かった。分かってしまった。



「そうだよ、じいちゃんズだ」

「あの二人、凄まじく運が悪いだろ? てーか、ネガタロスとやり合った時も、これだったじゃねぇか」



幸太郎とアギトが、電車の中に開いている空間モニターを見て、頭を抱えながら呟いた。そして、それにテディが続く。



「お二人の運の悪さは、みなさんもご存知のはずです。それが二乗化されて」

「コレかよ。・・・・・・なぁ、ティアナ。チビの運の悪さは、変わらずか? てーか、アイツ特異点でもなんでもないよな?
なのに、なんで野上張りに運悪いんだよ。あの姉ちゃんと付き合うようにもなってるのに、これはないだろ」

「私に言わないでください。私だって、不思議で不思議でたまらないんですから」



なお、一番不思議がっているのはアイツ自身というのが、また不思議だったりする。



「とにかくどうしましょう。状況は、既に動いていますわ」





あぁ、そうだ。とりあえずアイツと良太郎さんの運の悪さ二乗化問題は、この際置いておく。

・・・・・・いや、ちょっと待て? 運の悪さなら幸太郎や恭太郎も同じじゃ。

つまり、じいちゃんズと孫ズの四人で四乗化・・・・・・いや、気のせいよ。絶対気のせいだから。



怖い考えを押し込めつつも考える。フェイトさん達らしき影もあるから、私達もこれで対処よね。





「なら、もたもたはしてらんねぇな。うし、行くぜ」

『だめですっ!!』



立ち上がろうとしていた恭太郎を、リインさんと咲耶が抑える。

で、シャーリーさんがにっこりと笑って、デコピンする。



「い、痛ぁ・・・・・・なにすんだよっ! 俺、何も悪いことしてないよなっ!?」

「何言ってるですかっ! 恭太郎は、まだ傷が塞がってないですよねっ!!」



そう、恭太郎はあの狼とやり合った時の傷が、ちゃんと治ってない。

だから、恭太郎は出せない。だって、本来なら3日くらい安静だもの。



「今回、私達と一緒に恭太郎は待機だね。・・・・・・というか、動いたら気絶させるよ?」

「・・・・・・・・・・・・はい」



あ、素直に下がった。まぁ、そりゃそうか。だって、みんなが抵抗を許してくれないもの。

全く、到着早々クライマックスって、ありえなくない? しかも、相当緊急事態だしさ。



「それじゃあ、侑斗さんも」

「俺は行くぞ。・・・・・・てーか、野上やお前らだけに任せておけるか。デネブ、来い」

「・・・・・・分かった。やろう、侑斗」



止めても、無駄らしい。出来れば、マジで下がってて欲しいんだけど。

ま、仕方ない・・・・・・のよね。あのバカと同じだから、きっと止められない。



「歌唄、りま。それじゃあ二人はシャーリーさん達と一緒にジッと」

「してられないわよ。私達も、戦う」

「そうね」



そう言いながら、椅子から立ち上がり・・・・・・って、ダメに決まってるでしょっ!? アンタ達、素人なんだからっ!!



「あのね、ティアナさん。クスクス達、たまごの気配感じてるの」

「はぁっ!? たまごって・・・・・・こころのたまごっ!!」

「そうなのです。あのでっかい牛車から、気配を感じるのです。ただ・・・・・・これ、なんですか?」

「ネガティブな感情がぐちゃぐちゃのごちゃごちゃで、どす黒い。
・・・・・・なんだよコレ、こんなめちゃくちゃな気配のたまご、感じたことがねぇ」



戸惑い気味なのは、お馴染みのメンバーだけじゃない。机の上に座っているチアキも、同じく。

・・・・・・もしかして、こころのたまごの問題が関わってるって事? あぁもう、なによこのカオスは。



「とにかく、私とりまはあの中に向かうわ。・・・・・・どうやら、恭文も居るみたいだし」



歌唄が、立ち上がったモニターの中を見る。見ながら、微笑んでいた。

・・・・・・そこには、ラン達と紫色の髪の女性を連れたアイツが、空を飛んでいた。



「幸太郎、恭文おじい様と一緒に居るのは」

「あぁ、リースだ。恭文じいちゃんがリース連れてあれに突撃してるってことは、かえでもあの中か」

「とにかく、そういうわけだから私とりまは行くわ。・・・・・・それじゃあ早速」

「えぇ」



そうして、二人は両手を胸元の前へ持っていく。



「いやいや、ちょっと待てってっ! さすがにそれは」

「「私のこころ・・・・・・!!」」



あの街で暮らすようになってから、何度か見た光景。二人はそのまま、私達の前で鍵を開けた。



「「アンロックッ!!」」

「お前ら、俺達の話を聞けよっ!!」









・・・・・・最終決戦の幕は、私達の事を置いてけぼりにした上で、あっさり上がってしまった。





とりあえず、アレよ。置いてけぼりにされてる憂さは、連中を叩き潰すことで晴らして・・・・・・あれ?





やばいっ! なんか私、アイツみたいなこと言ってるしっ!! あぁ、これだめよねっ!? 人としてだめよねっ!!




















◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



いきなり、キュウビにある場所に連れてこられた。そして、現状を見せ付けられてる。

それを見て、あたしとかえでさん、あと目を覚ました唯之介君は、ただただ唖然とするだけだった。

緑色のゾンビみたいなのに京都の街が襲われて、少しずつ火の手が回り始めて・・・・・・。





それを、必死に電王とフェイトさん達が止めてる。でも、数が多くて圧されてる。










「・・・・・・なぜ、こんな。もう、やめて。もう・・・・・・お願い、だから」



唯之介君が、震えながらそう口にする。顔が、青ざめてる。

思い出してるんだ、きっと・・・・・・昔の事を。



「それはだめじゃ」



この牛車を操縦しているのか、船の舵のようなものをキュウビは楽しそうに回す。その度に、牛車が大きく揺れる。



「この街には、もう童の大事な子の餌が無いからのぅ。もう、いらない」

「・・・・・・ふざけるな」



あたしは立ち上がる。それを見てキュウビが振り返り、右手をかざしてくる。

そして、あたしの身体はまた吹き飛ばされた。でも・・・・・・立ち上がる。



「壊して、何が・・・・・・何が楽しいのよ。あんなに怯えている人達を、泣いている人たちを踏みつけて、何が・・・・・・楽しいのよ」

「楽しい? 娘、お前は勘違いしているのぅ。童は、虫を踏み潰しても楽しくなるほど奇特ではない」



コイツ・・・・・・! あの警官以上にムカつくっ!! 今、京都で生きている人達を『虫』扱いって、どういうことっ!?



「なら、なんでこんなことすんのよっ!!」

「言ったであろう? 童にとって、この街は無価値なものになった。
だから、壊しておるだけだ。更地にしなければ、新しいものは生まれない」



一歩、また一歩と踏みしめる。感じているのは、本気の怒り。今まで感じた事の無い位の、強い怒り。

かえでさんの制止を振り切り、唯之介君の横を通り過ぎ、それでもあたしは前へ進む。



「・・・・・・いや、虫はここにもいたか」



キュウビの姿が金色の狐に変わった。あたしはその尻尾の一つに簡単に払われて、左側に吹き飛ばされる。

地面を転がって、腕や頬をすりむいても、あたしは立ち上がる。これしか出来ないけど、それでも抵抗する。



「アンタ、勘違いしてる。そうだ、まず根っこからそんなだから、×が付くんだ」



迫るのは9本の尻尾の先。ため息交じりに、キュウビがあたしを襲う。

なんか、分かる。あたしのこと・・・・・・殺そうとしてる。



「あむ、逃げてっ!!」

「嫌だっ! 絶対逃げないっ!!」



だけど逃げない。逃げずに、一歩踏み出す。

逃げたくない。こんな奴からなんて、絶対に逃げたくない。



「無価値なものなんて、大事じゃないものなんて」



こんな奴になんて、絶対に逃げたく・・・・・・ううん、負けたくないっ!!



「どこにも・・・・・・! どこにもあるわけ、ないじゃんっ!!」



その次の瞬間、あたしが背にしていた壁の左側に穴が開いた。

壁を貫き、轟音を響かせながらこの場に飛び出て来た閃光が、キュウビの尻尾を4本、貫き粉砕した。



「ぐ、ぐぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!?」



キュウビが痛みにのけぞり、舵から手を離す。だけど止まらない。

青い閃光は再度間をおいて2発撃たれ、残りの尻尾も途中から粉々に粉砕した。



「これ・・・・・・おじいさんの超電磁砲レールガンっ!? ということは、まさかっ!!」



その閃光が場を通り過ぎる衝撃で、あたしとかえでさん、唯之介君は吹き飛ばされる。

その衝撃と痛みに顔を顰めつつも、視線をキュウビに向ける。キュウビは荒い息を吐きながら立ち上がっていた。



「・・・・・・あむ、よく吼えた。さすがは主人公キャラ」





青い閃光はもう一発撃ち込まれた。今度は舵を粉々に粉砕した。

そして外側から壁を蹴飛ばして、一人の男の子が乱入してくる。

壁を砕き、その子は滑るように部屋の床に着地した。



・・・・・・腕や身体から、青い雷撃が迸る。それが少し、かっこよく見えた。





「でも、これじゃあ僕のかっこよさが半減じゃないのさ。もうちょい配慮してくれると嬉しいんだけど?」

「うっさい。配慮して欲しかったらもうちょい早めに来てよ。あたし、超ヤバかったんだから」

「悪いね、ちょっと時間がかかった。・・・・・・キュウビっつったっけ?」



その子は白いマントを靡かせながら、右手でキュウビを指差す。



「お前、もう負けたわ」

「ふん。たかだか尻尾を吹き飛ばしただけで・・・・・・いきなり勝利宣言とは、面白い奴・・・・・・よのぅ」

「誰が僕に負けるって言った。いい? お前が『負けた』のは」



そうして右手を動かして、あたしを指差す。



「あむだ」



・・・・・・あたしっ!?



「なん、じゃとっ!!」



右手を動かして金色の弾丸をキュウビは数発放つ。

それをあの子は刃を抜き放って、全部斬り払った。斬り払いながら、言葉を続ける。



「あむはお前の攻撃にも怯まなかった。殺されると分かってても、一歩だって逃げなかった。でも、お前は逃げた」

≪あなたは逃げて、力で踏みつけるという安直且つ卑怯な道を選んだの。それは負けなの≫



声は目の前の子の左手から。



≪あなたはもう、負けてるんですよ。何の力も無い、弱くて、無力で。
あなたから見れば虫同然の女の子であるあむさんに、アッサリとです≫



言葉を引き継いだのは、あの子の右手の刀。

いつも通りの少しキツメな口調に、キュウビが怒り心頭という顔をする。



「まぁ、アレだよ。ここで首突っ込むのも、正直無粋だとは思うのよ。決着、もう付いてるんだから」



ゆっくりとその子は・・・・・・私の大事な友達は、刀を正眼に構える。古き鉄という自分の相棒を。



「でも、そうでもしないとお前、止まらないだろうしさ。・・・・・・さぁ」



恭文・・・・・・助けに来て、くれたんだ。てか、マジでギリギリなのは、なんとかして欲しかったな。



「お前の罪を、数えろ」

「・・・・・・童如きが、ほざくなぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」



キュウビは金色の剣を持って・・・・・・そのまま、恭文に突撃した。



「その童如きに完全敗北したてめぇが・・・・・・!」



袈裟から叩き込まれた剣を、恭文が右薙にアルトアイゼンを打ち込んで払う。

そのまま左手で鞘を持って、逆手でキュウビの狐の顔を殴った。殴ってキュウビを吹き飛ばす。



「ふんぞり返ってんじゃねぇっ!!」










キュウビは地面を滑るように転がるけど、すぐに立ち上がって、また恭文に踏み込む。

金色の刃と銀色の刃が薄暗い空間の中で、外から差し込む空の色を浴びながら斬り合っていく。

零距離で互いに一歩も引かずに、止まらずに・・・・・・刃は、世界を震わせていく。






キュウビの顔には確実に焦りがある。レールガンってのを受けたダメージも、ある。

だけど、恭文と対等に斬り合っていた。・・・・・・うん、あたしには対等に見える。

そして考える。あたしは今この状況で、何をするべき? ううん、何が出来るの?





ただ恭文に助けられて、守られてるだけで、本当にいいの?















(第38話へ続く)




















あとがき



古鉄≪・・・・・・というわけで、年始早々のとまとお年玉スペシャル第一弾、いかがだったでしょうか?
ようやく超・電王編の続きが出せて、とっても嬉しい古き鉄・アルトアイゼンと≫

歌唄「第二段は、StS/Remixの25話だと聞いてビックリした、ほしな歌唄です。
・・・・・・結局、電王よりというよりは、しゅごキャラよりにしたのよね」

古鉄≪はい。なお、あの劇中で散々言われまくったたまご、原作でも出てたりします≫

歌唄「・・・・・・いやいや、色々間違ってるから。ようするに、他のたまごのパワーを吸わせて、ひとつのたまごを強化する方法ってことよね」

古鉄≪そうです。まぁ、結果的にそうなってしまったという感じですか?≫





(色々考えたのですが、これが一番いいかなぁと)





古鉄≪お話の中心は、あむさんとマスターにすると決めてからは速かったですね≫

歌唄「・・・・・・だけど、あむがさらわれちゃったわね。もう無事っぽいけど」

古鉄≪これ、結構最初の段階から考えてたんです。というか、せめてこれくらいはやってヒロイン要素を強く・・・・・・≫

歌唄「今回の話だと、普通に唯世がヒロインだものね」





(消滅→助けられるのコンボは、明らかにヒロインの姿なのだ)





歌唄「唯世、男としてこれでいいの?」

古鉄≪大丈夫、唯世さんも後々覚醒しますから。・・・・・・というわけで、次回は決着のはずです≫

歌唄「いや、決着しないでしょ。あと2話とか3話くらいかけないと」

古鉄≪確かにそうですね。まぁ、次回どうなるのかとかも、色々含めつつ≫

歌唄「今回はここまでね。お相手は、半分以上書けているという次回が楽しみなほしな歌唄と」

古鉄≪古き鉄・アルトアイゼンでした。それでは、また≫










(普通に、二人で仲良さげに手を振りながら、カメラ・フェードアウト。
本日のED:ほしな歌唄『迷宮バタフライ』)




















???「・・・・・・おいフィリップっ! 頼むから検索はやめようぜっ!?」

???「そうよっ! てゆうか、普通に検索するくらいなら、その『蒼凪恭文』とか、『魔導師』とか、『日奈森あむ』ってのに会いに行けばいいわよねっ!?」

???「え?」

???「おい、亜樹子っ! いきなり何言ってんだっ!?」

???「だって、そうなるわよねっ!? その時間の歪みってのに、そんなのが絡んでるのは間違いなんいんだからっ!!」

???「・・・・・・なるほど。アキちゃん、やっぱり君は天才だよ。
よし、翔太郎。今すぐ彼らに会いに行こう」

???「はぁぁぁぁぁぁっ!?」










(おしまい)





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