[携帯モード] [URL送信]

小説(魔法少女リリカルなのは:二次小説)
第22話 『着実に迫る祭りの時間?』



なのはとフェイト、ヴィヴィオとお昼を食べながら、シオンとお話。

なお、リインは八神家とお食事です。まぁ、同じ食堂に居るんだけど。

で、キャラチェンジとキャラなりというものについて、詳しく聞くことにした。





というか、なぜに今その話? 僕はビックリなんですけど。










「・・・・・・キャラチェンジは、しゅごキャラの力を借りてのパワーアップ。
そして、キャラなりはしゅごキャラと一体化することによって起こる、変身なんです」



パワーアップと一体化による変身・・・・・・え、マジでそんな能力使えるの?



「ほえー、恭文パパとシオン、そんなこと出来るんだ」

「とりあえず、キャラチェンジはともかく、キャラなりは試さないと分かりません。
なお、この段階まで話さなかった理由は簡単です。・・・・・・忘れていました」

「その重要なお話は、忘れないで欲しかったんだけどっ!?」



あぁ、やばいやばい。なのはやフェイトが『みんな見てるよっ!?』って顔で僕を見る。

というか、師匠とかシグナムさんの視線が突き刺さる。やばい、落ち着いていかないと。



「仕方ないじゃありませんか」



何が一体どういう具合に仕方ないのかすっごい聞きたいんだけどっ!!

くそ、とにかくそのキャラなりやキャラチェンジについては、後で実験だ。そうしないと、何も判断出来ない。



「・・・・・・あれ、ヴィヴィオ。ピーマン残してる」



僕達の様子をなんか呆れつつも見ていたなのはが、そう呟く。

で、ヴィヴィオの皿を見ると・・・・・・あ、ホントだ。ピーマン残ってるし。



「ダメだよヴィヴィオ、好き嫌いしちゃ」

「うー、苦いの嫌いー」



オムライスに入っていたピーマンが、ヴィヴィオは苦手らしい。

白い皿の端には、緑色の悪魔(ヴィヴィオ視点)が存在していた。



「ね、フェイト。それになのはも・・・・・・まず突っ込むところ違わない?
なーんで、オムライスに入ってるピーマンが輪切りなのさ。おかしいでしょ」

「「そう言えばっ!!」」

「でもヴィヴィオ、好き嫌いはあかんよ?」



後ろで僕の様子を訝しげに見ていたはやてが、口を開いた。

で、ヴィヴィオを微笑ましく見ている。



「好き嫌いしとったら、ママ達みたいに美人になれんし、大きくなれんよ」

「確かに。蒼凪も嫌いなものがありますし、小さいのはそのせいという可能性もありますね」

「ほえ、どういうことですか?」



や、やばい。僕に矛先が回るのは非常にマズイ。

とりあえず、八神家全員に視線で言う。僕はみんなに厳しくするので、弱みをバラさないでと。



「失礼な、僕は普通に好き嫌いないじゃないのさ。
ほらヴィヴィオ、僕は特に残したりとかしてないでしょ?」

「・・・・・・そうだね、パパは好き嫌いないんだね」



やばい、スバルやティアがなんか見てる。でも気にしない。

というか、ここでバレたら今後の僕の立ち位置が微妙になる。なので、やめて欲しい。



「これこれ、嘘ついたらあかんよ? あんなヴィヴィオ。恭文は、トマトが嫌いなんよ」

「今日の蒼凪のランチにはトマトが入っていないからな。好き嫌いをする理由がない」



きゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ! バラされたっ!!

ちくしょお、お前ら普通に僕になんか恨みあるっ!? あぁ、スバル達が温かい目で僕を見ているっ!!



「パパ、そうなの?」

「・・・・・・あ、僕シャーリーに呼ばれてたんだっけ」

「ヤスフミダメだよ、逃げるの禁止。・・・・・・そうだ、それなら・・・・・・はい」



フェイトとなのはが、サラダに入っていたトマトを僕の皿の上に乗せた。

なお、僕のじゃない。・・・・・・これ、なんでしょうか?



「ヴィヴィオ、ヤスフミパパも嫌いなもの克服のためにがんばるから、ヴィヴィオもがんばってみようよ」

「パパと、一緒?」

「そうだよ、一緒」



きゃー、やっぱりこういう話だったかっ! ちくしょお、鬼だ・・・・・・鬼が居るっ!!



”ヤスフミ、せっかくなんだしトマト嫌い直そうよ”

”フェイト、知ってる? 大人になると数学の授業で習った数式を、日常ではあまり使わない。
同じように、逆上がりなんて滅多にしない。つまり、トマトを食べられなくても大丈夫なんだよ”

”だめ。というか、話が繋がってないよ”



きゃー! なんか気づいてたー!? くそ、最近のフェイトはスペック高いなぁっ!!



”私、ヤスフミの彼女だもの。甘い顔ばかり出来ないよ。それにほら”



・・・・・・ヴィヴィオを見る。なんか、瞳の色が強い。

『パパと一緒なら、頑張れるかも』という顔をしている。



”・・・・・・ちくしょお、お父さんは辛いよってか?”

”うん、そうだね。ただ、本当に無理だったらその時は仕方ないよ。
でも、やるだけやってみてもいいんじゃないかな”

”うー、分かったよ。頑張るよ”



なので、僕はフォークで赤い魔王を突き刺して、持ち上げる。

で、ヴィヴィオにニッコリと笑いかける。



「ヴィヴィオ、パパと一緒に頑張ろうか」

「うん♪」










あははは・・・・・・その素晴らしく柔らかい笑顔はずるいなぁ。逃げる道が全て断たれたよ。





・・・・・・こうして、赤い魔王との戦いは決定した。それはもう盛大にやり合う感じで。





















魔法少女リリカルなのはStrikerS Remix


とある魔導師と古き鉄と機動六課のもしもの日常


第22話 『着実に迫る祭りの時間?』




















◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



「・・・・・・ギンガさんとスバルは定期健診か」

「うん、クラナガンの医療センターまでだって。それでヤスフミ」



オフィスで、フェイトと一緒に書類をポチポチ。まぁ、恒例のお仕事だね。

で、フェイトは念話に切り替えて聞いてくるのだ。



”さっき教えてくれたキャラチェンジやキャラなり・・・・・・だっけ?
ここに来る前に、少し試したんだよね”

”うん、試した。・・・・・・興味、あるの?”

”そうだね、かなり”

”そっかぁ、かなり・・・・・・かぁ”



これ、教えないわけにはいかないんだよね。うん、分かってたよ。



”あのね、試しにやってみたら、凄い事になった”

”凄い事? ね、もしかしてさっきから顔色悪いのって、それが原因なのかな”



フェイトは、とっても頭がいいと思う。だから、すぐに分かる。

・・・・・・どうしよう、説明して引かれたりしないかなぁ。



”・・・・・・キャラチェンジってさ、そのしゅごキャラの力が使えるようになる能力なのよ”

”うん”

”で、キャラがチェンジ・・・・・・ようするに変わるの。つまり、その・・・・・・”



少し言いにくいけど、フェイトには今後とも協力してもらう必要があるかも知れないので、話すことにした。



”僕のキャラがシオンになるのよ”

”・・・・・・え?”

”なんかよく分からないんだけど、髪や目や服装がシオンになって、身体も完全にシオンに支配されて・・・・・・あぁ、アレは嫌だぁぁぁぁぁぁぁぁっ! 僕は女装趣味なんて無いのにっ!!”



あの想像を絶する体験を思い出して、頭を抱える。

それにフェイトがオロオロと、僕の背中を撫でる。



”だ、大丈夫だよっ! そういう能力なんだし、私はヤスフミの事それで嫌いとか、別れたいなんて思わないからっ!!”

”そう言ってくれるのは嬉しいけど、それでも嫌なのぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!”

”あ、それならキャラなりはっ!? それはまた違うんだよねっ!!”



フェイトはきっと、話を変えようとしてくれたのだろう。だから僕は・・・・・・当然のように、崩れ落ちた。



”・・・・・・キャラなりって、なりたい自分の姿になるらしいの”

”うん?”





シオン曰く、しゅごキャラが生まれるのには、二つのパターンがあるらしい。

一つは、今の自分の延長線上に『なりたい自分』があり、それが産まれるパターン。

もう一つは、今の自分に足りないものを補完する形で産まれるパターン。



どうやら、後者の場合はキャラチェンジで性格が大きく変わるようだ。



そう思う理由? だって、僕がそうだったんだもの。





”・・・・・・ようするに、ヤスフミにとってシオンは、足りない部分が補完された形なんだね”

”だから女装ってのは正直ありえないけどね。
シオンにどうにかならないのかって聞いたら、どうにもならないって即答されたし”





まぁ、何がどういう具合に補完されてシオンになったのかは、この際置いておく。

とにかく、キャラチェンジもそんな感じなので、キャラなりも違いが出るのだ。

訂正、違いが出るらしい。実際にどうかはシオンにも分からないらしい。



つまり・・・・・・そういうことである。





”・・・・・・そのキャラなりって言うのは、出来なかったんだね”

”うん、さっぱりだった。ただ、よかったのかも。
これで万が一シオンだったら・・・・・・ショックのあまり、思わず少しだけ気絶しちゃってたかも”



フェイトがどう言っていいかわからないという顔をする。・・・・・・そうだよね、そういう顔をするよね。

まぁ、だからってシオンを否定するつもりはないけどさ。でも、あれはどうしよう。普通に使うのを躊躇う。



”ちくしょお、まさか自分が良太郎さん方式を味わうとは思ってなかった。てーか、よりにもよって女装って”

”で、でも・・・・・・あの、えっと・・・・・・だ、大丈夫だよっ! 私はヤスフミの彼女なんだからっ!!”

”うぅ、フェイトありがとー!! ・・・・・・あ、そう言えば”



そうだ、それで思い出した。思い出したくないけど思い出してしまった。



”なに?”

”シオンが、キャラチェンジすれば意識は自分が表になるから、フェイトやみんなと話せるって喜んでた”

”あ、そう言えばそうなるよね”



しゅごキャラの状態だと、シオンはフェイトやなのはには見えないから、そうなる。

でも、すっごいはしゃぎようだった。・・・・・・今も肩の上で、うれしそうにハミングしてるし。



”話、する?”

”してはみたいけど、ヤスフミが沈むのは嫌かも。あの、無理しなくていいんだよ?”

”・・・・・・ありがと”



ちくしょお、だからって僕の意識が表に出ないっておかしいでしょ? キャラ持ちってみんなこうなのかな。



”ヤスフミと同じようなキャラ持ちの子が近くに居れば、色々と相談出来るんだろうけど・・・・・・それはちょっと困っちゃったね”

”うん。ちくしょお、見える人間が居るのはいいけど、仲間が居ないってのはそれはそれで寂しい”

”あ、ヤスフミ。それならあの子に相談してみたら? メールアドレス、教えてもらってるよね”

”あの子? ・・・・・・あ、歌唄”

”うん。あの子なら、色々教えてくれるんじゃないかな”





・・・・・・フィアッセさんのコンサートに行った時に、僕はちょこっとだけある女の子と話す機会があった。

その子の名前は、月詠歌唄。金色の長い髪にツインテールが特徴的な、大人っぽい子。

歌手の『たまご』で、フィアッセさんのコンサートを見に来ていた、今年で中学1年の女の子。



なお、今の段階でも僕より身長が4センチ近く高かった。・・・・・・何かが色々間違ってる。





”一応歌唄から、日本に帰りついたみたいな報告メールは来てたんだ。
けど・・・・・・そうだね、相談してみよう。じゃないと、色々戸惑いまくってるし”

”うん、そうしてみた方がいいよ。でもヤスフミ、あの子とは本当にすぐに仲良くなれたね。
少し話しただけのはずなのに、お別れする頃には、親友同士に見えたもの”

”なんでだろ、波長が合うの。それもものすごく。うーん、珍しいなぁ。年齢も離れてるってのに”



なぜかその時側に居たフェイトは覚えてなかったのに、僕の事は覚えていたのが不思議だ。

まぁ、きっと僕は包帯だらけだったからそのせいでしょ。うん、間違いない。



”あの、余所見とかはダメだけど・・・・・・仲良くなれたりしたら、いいよね。
だって、こんな偶然も、あんな風に仲良くなれる事も、めったにないんだもの”

”そうだね。まぁ、フェイトに余所見してるって思われない程度に仲良くするよ”

”うん、それでいいよ”





で、後で歌唄にメール・・・・・・出来れば電話で相談することにして、仕事に精を出す事にする。



したんだけど、それは長くは続かなかった。突然、僕とフェイトに呼び出しがかかったから。





「・・・・・・部隊長室? はやてだよね」

「うん。でも、何かあったのかな。なのはも一緒に呼ばれてるみたいだけど」










・・・・・・平和な時間は、無限じゃない。戦うようになって、知った事のひとつ。





ここから、祭りまでの本格的なカウントダウンは、始まろうとしていた。




















◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



というわけで、なのはも合流して三人で部隊長室に向かった。





今日ははやての仕事を手伝っていたリインも一緒にある話をすることになった。





とりあえず、部隊長室の応接用のソファーに腰を落ち着けて・・・・・・お話です。










「・・・・・・今日、というかついさっきですね。聖王教会の方から、最新の予言の解釈が届いたです」

「でな、それによると、9月14日に行われるミッドの公開意見陳述会が、狙われる危険性が高いらしい」





公開意見陳述会とは、時空管理局・ミッドチルダ地上本部の運営に関しての話し合いである。

本局や地上部隊のお偉方も出席する。で、確かカリムさんも出席予定のはず。

行われる場所は、ミッドの中央本部。公開という名が付くので、テレビ中継もされたりする。



1年に一回行われる会議なんだけど、今回はあっちこっちから、かなり注目されている。

理由は簡単。レジアス中将が押しまくっている、アインへリアルの運用について協議されるから。

そのために、警備はより厳重になっているし、人員も増やしているとは、はやての談。



で、六課もその警備に回る事になった。一番近くにある大きなイベントで、一番何かが起こりえる場だからってことか。





「内部警備に入れるんは、うちら四人とシグナムだけになりそうや」

「リインは多分ヴィータちゃんについて、外の警備ですね。うぅ、恭文さんと離れ離れなのです」

「まぁ、それだけ居れば大抵の事は何とかなるよ」



まぁ、確かにこの面子なら・・・・・・いや、待て。それはないだろ。

今のフェイトの言葉に、凄まじく違和感を感じた。それはもう盛大に。



「そうだね、副隊長達もフォワードのみんなも、シッカリ鍛えてる。
明日からは、フォワードのみんなのリミッターもサードまで上げていく」

「そやな。それに、多分この一件を上手くクリアすれば、事件は思いっきり進展してく。しっかりやろうな」

「うん。大丈夫・・・・・・きっと大丈夫だよ」

「全然大丈夫じゃないでしょうが」



なので、当然のように僕が水を差すのだ。それはもう遠慮ナシに。

なにを普通に、問題なしみたいな体で話を締めようとしてるのさ。僕はビックリだし。



「ヤスフミ、気になる事があるの?」

「気になる事だらけでしょうが」



お手上げポーズで答えたくもなる。・・・・・・まぁ、外はいい。問題は中の警備だ。

今回の警備、実は色々と問題点がある。はやてがくれた資料を読みつつ、話を進める。



「まず一つ、デバイスや武装の持ち込み禁止ってありえないでしょ」

≪あぁ、そこは同感ですね。私の出番が減るじゃないですか≫

「そこじゃないわボケっ! 普通に警備の仕事が出来ないって言ってんのっ!!」



おのれらは何しに行くの? 警備でしょうが。普通に、人を守りに行くんでしょうが。

それで武装無しとか、ありえない。真面目にありえない。



「恭文君、そこは大丈夫だよ。みんな居るんだし」

「・・・・・・なのは、それを恭也さんや美由希さんに言ってみなよ。絶対泣くから」



今のなのはのバカさ加減を痛感して、泣き崩れるから。もうね、賭けてもいいね。絶対僕は勝てるよ。



「そ、そんなことないよっ! 大体、お兄ちゃん達がやるのと、私達がやるのとでは色々違うんだよっ!?」

「あー、号泣だ。これはもう盛大に号泣だ。凄まじく号泣するよ」

「しないよっ! お兄ちゃん達だって、分かってくれるんだからっ!!」





・・・・・・なお、色々あったけど全てが無事に片付いた後、高町家にこの発言をリークした。

なのはがその後、士郎さんを筆頭にお説教されまくったのは、自業自得として欲しい。

そう、なのはの認識は甘かった。分かってなど、くれなかったのだ。



だって、ねぇ? ありえないでしょ。いつぞやのフェイトレベルの発言だよ。





「ヤスフミ、デバイスはみんなに預けて、合流地点を決める。
何かあった場合、そこにすぐに向かうというのじゃ、納得出来ないかな」

「そうだよ、それがこういう場合の警備の基本だよ?
それで、基本的に何とかなるんだから、納得して」

「納得出来るわけがないじゃん」



まぁ、それが局の常識なんでしょ。でも、納得なんて全然出来ない。

フェイトもそれが分かってるから、なのはと違って僕の返事にも、特に表情を変えない。



「大体、僕達はアルト達を受け取るため、スバル達は、僕達が預けたアルト達を渡すために、無駄なアクションを使うことになるよ?
実際に襲撃が起こっている状況を考えるなら、一分一秒の遅れは命取り。その状況で、そんな無駄な事していいわけがないでしょうが」

「でも、すぐに合流すれば・・・・・・もしかして、合流出来ない可能性を考えてる?」

「フェイト正解。そもそも、みんな大事な事を忘れてる。
僕達の中には、狙われてる人間が多数居るのよ?」



フェイトに僕に、スバルにギンガさん、エリオ・・・・・・ほら、これだけ居る。

そういう面から見ても、一部でも部隊員を武装無しで現場に送るのは、絶対にアウトだと思う。



「でも恭文君、外の警備もしっかりしてるから、簡単には中に侵入なんて出来ないよ。
ううん、例え防壁を破れたとしても、それだってかなりの時間がかかる」

「その間に、僕達はパートナーを確実に受け取れると。横馬、本気でそう思ってんなら、おのれはバカだわ」

「・・・・・・どうして、そうなるのかな。バカは恭文君だよ。
常識的に考えて、こっちを先回りして襲撃なんて、絶対に出来るはずが」



なのはは、言いかけて言葉を止めた。

そして、僕を真剣な瞳で見る。だから、頷いてやった。



「・・・・・・あぁ、うちもアンタの言いたい事分かったわ。確かに、なのはちゃんの言ってる事はナンセンスもいいところやな。
アンタ、例のドンブラ粉が使える戦闘機人や、召喚師の事を気にしとるんやろ。もしくは内部の人間の裏切り」

「ドンブラ粉・・・・・・あの召喚師を逃がしたと思われる、戦闘機人だね。
確かに、魔法関係の探知に引っかからない物質透過能力を持つであろう、あのISなら」



多分、ノーチェックで通れるだろうね。大体、あれはそのための能力だろうしさ。



「まぁ、一人でどうこうってのは無理でも、一箇所だけは完全制覇とかは可能だと思う。
例えば・・・・・・中央本部の司令部とか。ゲリラ的な戦法やるなら、あの能力は怖いよ」

≪あの能力を使って、内部に直接的に戦力を送り込むのも、問題ないでしょ≫



まぁアレだ、僕の結論を言おうか。てゆうか、さっきから言ってるんだけどさ。



「中の警備をする人間は全員、武装するべきだと思う。これでマジで大負けしたら、洒落が効かないよ?
僕達が目指す勝ちは、向こうには何一つ奪わせない勝ち。隙なんて、絶対に見せちゃいけない」

≪そこは私も同感です。ハッキリ言って、ルールだからでこれをやる人間の気が知れませんよ≫

「でも・・・・・・やっぱり、ルールはルールだもの。隊長である私達が、それを破るわけにはいかないよ。
それを、部隊員である恭文君に、許すわけにもいかない。ね、二人も私と同じ意見だよね?」



・・・・・・この横馬は、やっぱり少々頭がボケてると思う。リアルに自分で考えて判断するという事が出来てるのか、たまに疑問だ。

だけど、それでもフェイトとはやては顔を見合わせてから、なのはの言葉に頷いた。僕の予想通りにである。



「ルールどうこうというのは抜きにしても、六課の立場を危うくしたら、そもそもの意味がなくなっちゃう。
ヤスフミ、全員持ち込みはダメだよ。私達は隊長という立場に居る以上、それは出来ない」

「そやな。そないな真似したら、即時査問の可能性もある。そうなったら、六課はおしまいや。
アンタの言うてることはもちろん分かるけど、うちらがそれやるんはダメなんよ」





・・・・・・まぁ、分かってた。フェイトやはやての言う事も、決して間違いではないから。

六課自体が事件をこれからも追いかけられなくなる可能性を考えると、下手な事は出来ない。

色々と思うところはあるけど、これが部隊で、組織ってやつなんでしょ。うん、やっぱ局は嫌いだわ。



こんなバカな事を当然のようにルールにする組織になんて、背中預けたくない。





「だから恭文君、納得してくれないかな。別に、難しい事をお願いしてるんじゃないと思うの。
ただもう少し、局を・・・・・・・ううん、私や六課の仲間を、信じて欲しいだけなんだ」



横馬は、やっぱりこういう時弱いと思う。だって、普通に寝言だもの。

みんな信じて、どうにかなるようなレベルの話じゃないでしょ。これはさ。



「・・・・・・とにかく、アンタに納得して欲しいんは、たった一つだけや。
うちら隊長ズが、武装を持ち込みっちゅう手が取れんことだけ。ただ・・・・・・アンタはちゃう」

「え?」



なのはが固まる。はやてとフェイト、リインが・・・・・・・じっと僕を見る。

その瞳には、申し訳なさと懇願するような何かがあった。



「うん、そうだね。正直、ヤスフミにまた面倒な事を押し付けちゃう形にはなるんだけど」

「いいよ別に。てゆうか、普通に頼まれなくてもそうするつもりだったし」

「私達に内緒で、ヤスフミの勝手で?」

「そうそう」





まぁ、しゃあないでしょ。僕が今からやろうとしているのは、僕の勝手。

はやてやフェイト達の命令どうこうじゃなくて、最初からこうするつもりだったんだから。

あいにく、僕は隊長でもなんでもない。局員でもなんでもないし、組織なんてくそ食らえなのだ。



そして・・・・・・守るためにそこに行くのに、何の武装もしないなんてこと、絶対嫌なのである。





「二人とも、まさか・・・・・・恭文君に武装させた上で、警備させるつもりなのっ!?」

「そうや」

「『そうや』じゃないよっ! なんでそうなるのっ!? 私は絶対反対っ!!」

「なのはちゃん、アンタがどう言おうと、恭文にはやってもらう。
・・・・・・いや、もうコイツはそのつもりやろ。うちらが止めても、全く意味が無い」



なのはが僕を見る。必死に、『そんなことしないで』という目で。

なので、僕は遠慮なく首を横に振るのである。だって、マジでイミフだから、従う必要ないし。



「てゆうか、今の話を考えると、マジで武装無しはナンセンスやもん。
ホンマやったら、うちらも武装は持ち込みたい。そやけど、それが出来ん」

「六課の立ち位置がミッド地上の中で微妙なのは、きっと変わってないだろうしね。
それなのに、隊長である私達が明らかなルール違反なんて、出来ない」



僕が武装を持ち込めば、少なくとも、デバイスなしのところを戦闘機人が狙ってきて・・・・・・ということがあった時でも、ガードは出来る。

だからこそ、僕である。僕はこういう状況は得意な方だし、フェイトもはやても、それが分かってるから今話している。



「だけど、正直心苦しい。ヤスフミにまた全部任せる形になるし、問題になる可能性も消えないから」

「そこだけはマジや。うち、アンタに貧乏くじばっか引かせてもうてるしな。本来なら、やって欲しくないくらいや」

「でも、絶対に必要です。というか・・・・・・武装も無しに誰かに襲われるのは、すごく怖いですから」



何か言いたげだったなのはは、そんなリインの言葉で口を閉ざした。

リインが何を言っているのか・・・・・・分かったらしい。というか、僕も分かった。



「恭文君、武装するって言い出したり、そこに相当こだわってるのって、だからなの?
もしかしなくても、みんなどうこうじゃなくて・・・・・・思い出したから」

「・・・・・・まぁね」



僕も、本当に最初の頃に経験がある。武装も、経験も、知識もなくて襲われた事が。

それがどんだけ怖いことか、よく知ってる。正直・・・・・・ごめんかな。



「横馬、僕は横馬が止めても武装は持ち込む。・・・・・・守りに行くんだ。そのための手段もなしなんて、だめでしょうが」

「それは、その・・・・・・やっぱりだめだよ。もちろん、気持ちは分かるの。
だけど、恭文君がそんなルール違反をしたと分かったら、六課の立場が」

「大丈夫、そこも対策は整えてる」



横馬が、驚いたように息を飲む。・・・・・・うん、今話してて気づいた。普通じゃだめなのよ。

僕は、なんだかんだで六課メンバーだもの。『僕』がやったとなっちゃうと、やっぱ問題になる。



「普通にやったら、絶対に問題になる。僕、仮にも六課所属だし」



で、リインの隣で黙って話を聞いていたシオンに、僕は視線を向ける。

シオンは・・・・・・それだけで僕が何を言いたいか分かったらしい。すぐに頷いた。



「そこで、武装してるとバレても、六課に絶対に迷惑がかからないようにする」

「ヤスフミ、どうするの? というより、絶対というのはちょっと無理なんじゃないかな」

「大丈夫。・・・・・・いい? 僕は警備の日、公式的には風邪を引いて休む。
そうだね、すっごい高熱で、本局の医療施設に運ばれるわけですよ」

『はぁっ!?』



まぁまぁ落ち着いて聞いて欲しい。ここからがかなり重要なんだから。



「で、僕の代わりにどこからともなく増援がやってくる。なお、性別は女性。
名前は・・・・・・まぁ、ここはいいか。身分は、聖王教会のシスターって感じかな」

「恭文君? あの、私は話がよく見えないんだけど。というか、どうしてそんな話になるのかな」

「全く、横馬は相変わらずバカだね。
いい? 警備するのは、僕じゃなくてそのシスター。それで」



で、小声でアイディアを話した。まぁ・・・・・・嫌だ。正直嫌だ。

ただ、六課の立場を悪い方向にしないためには、これくらいしか手がないのだ。



「・・・・・・アンタ、マジか? いや、それ自分で言い出すっておかしいやろ」

「自分でもそう思うよ。だけど、一番いい手ではある。
『僕』が内部で警備するよりは、ずっと危険が減る。違う?」

「まぁ、警備するんはアンタやのうて『聖王教会所属のシスター』なんやから、問題はないんよな。
なんたって、その人間はこの世界には存在してないんやから、責任の追及しようがない」

「確かに、私達もたまたま紹介されただけという話にすれば・・・・・・。
でも私としては、ヤスフミが本当に辛くなっちゃうのが心苦しいけど」



まぁ、いいよ。こうなったら乗りかかった船だもの。

てーか、武装も無しで警備よりは100倍くらいマシでしょ。うん、これでいい。



「なら、決まりやな。そっちの方は、カリムとシスター・シャッハと相談の上で、上手いことやっとくわ」

「お願い」

「それでな恭文、うちとシグナムは、多分今回の一件でガチに動く事は出来ん」





この割り振りだと、二人は会議室に直接入って警備だっけ? それも武装なしで。

・・・・・・マジで管理局は、どうなってんの? これは、もしかしなくてもあれですか。

警備組織は、自分達が襲撃される事を一切考慮してないってアレですか?



だから、こんな余裕ぶっこいた通例がそのまま通るのよ。これ、レジアス中将が改善してくれないかなぁ。





「ね、はやて。会議場でレジアス中将に頼んでよ。こんなアホな通例を潰して欲しいって」

「・・・・・・そやな、マジそうしてまおうか。どっかの高官の盾になるとかは、さすがにごめんやし」



はやては、頭を抱え出した。どうやら、色んな矛盾に気づいて悩んでいるようだ。

もしかしたら、管理局の未来は明るいのかも知れない。ふと、そう思ってしまった。



「とにかくや、なのはちゃんやフェイトちゃんの事、頼んだで。
うちらはカリムに他の高官も一緒やろうから、どうとにでもなる」

「分かってる。なのははともかく、フェイトはしっかり守るよ」

「あの、私はともかくってどういうことっ!?」

「なのははみんなを信じてればいいじゃないのさ」



にっこりと、天使の微笑みで言ってやるのだ。いや、信頼ってすばらしい寝言だよね。



「横馬は、デバイス無しでも警備出来るんでしょ? さっき自分で、そう言ってたじゃないのさ。
だから、信じなさい。信じるものは、救われるんだから」

「問題大有りだよっ! 私だって恭文君に守って欲しいよっ!!」

「やかましいっ! おのれ、さっきは散々武装持ち込みはダメとか言ってたくせに、手の平返すなっ!!」

「・・・・・・あ、あれはその・・・・・・台本通りだからいいんだよっ!!」

「変なぶっちゃけ方するなバカっ!!」










・・・・・・とにかく、僕の作戦の要はシオンだ。シオンに手伝ってもらえれば、きっと上手くいく。





まぁ、シオンとはちゃんと話した上で決行するか。これでシオンが、たまごの状態に戻っても嫌だし。




















◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



部隊長室での秘密のお話を終えると、時刻はもう夜。僕の部屋で、フェイトとお話。





用件は当然・・・・・・陳述会の事。










「ごめん、結局またヤスフミに負担かけてる」

「いいよ、別に。僕は自分のやりたいようにやってるだけだもの。
てゆうか、シオンがやたらと乗り気なのよ。やる気満々過ぎて怖いくらい」

「あははは、そっか。ヤスフミの身体を借りるの、楽しいのかな」

「・・・・・・だろうね」



リインは、空気を読んではやてのところに行ってくれてる。

二人っきりの・・・・・・その、少しだけ甘い時間。



「でも、本当にいいの? 昼間だって相当だったのに」

「実は、かなり嫌。でも、武装も無しで警備するのとどっちが嫌かって自分で天秤かけて・・・・・・」

「こっちの方が軽かったんだね」

「うん。結果が出た時に内心泣いたよ」





我ながら甘いよ。でもまぁ、いいか。

目指すのは、何も奪わせない勝ちだ。

そのためなら、多少の毒は飲み干そうじゃないのさ。



そしてこれは、飲み干せる毒だ。





「それでね・・・・・・あの」

「うん?」

「また、いつものお話。ちょっと色々あって間が開いちゃったけど、将来のこととか、一緒に考えたいんだ」

「うん、いいよ」



まぁ、事件解決前なので・・・・・・そうだ、色っぽいことは抜きなんだ。

でも、二人で床に腰を下ろしてアレコレ話していくのは、楽しい。



「・・・・・・旅に、出たいの?」

「うーん、ちょっと言い方違った。この子の事、ゆっくり考えたいなって」



両手に乗せるのは、星の光のたまご。シオンとは別の、僕のもう一つの『なりたい自分』。



「そっか。確かに、今は少し慌しいから、ゆっくり考える時間はないかもね」

「・・・・・・そうだね。うし、絶対スカリエッティは半殺しにしてやる。
色々僕の邪魔をしてくれているだけでも、奴は充分万死に値する」



フェイトが苦笑してるけど、ここは気にしない。だって、マジにそうなんだから。



「いや、そもそもシオンがどういう『なりたい自分』が形になったかも分からないし・・・・・・うー、考える事は沢山だよ」

「確かにそうだね。というか、それは私もかな」



そう言いながら、少し俯いて自嘲するようにフェイトは笑った。



「まだ、よく分かってないんだ。ナカジマ三佐の誘いに対してのしっかりした答えを出すのは、まだ時間がかかりそう」

「ということは、僕達は似たような感じだね」

「うん、そうだね。でも、どっちも自分にとっての答えを探すところは変わってない」

「うーん、やっぱり厨二だね。真夏の夜に考えることだって、これ」



・・・・・・でも、必要な事。そして、自分の中にある答えを探していくのは、楽しい。

ある意味では、これも旅なのだ。心の中の旅。そう考えると、楽しさが増すのは不思議じゃない。



「あ、それとねフェイト」

「うん?」

「付き合ってる事・・・・・・もう話しちゃおうか。
まぁ、自分から盛大に触れ回る必要はないけど、身内関係にはさ」

「ヤスフミもそう思ってたの? 実は、私も。でも、誰に話そう」





まず、スバルは除く。理由? KY過ぎるからだよ。

で、昔馴染みにはあんまり触れ回らないようにと口止めした上でお話かな。

あとは、シャマルさん・・・・・・には、もう話してある。というか、バレた。



普通にバレて、普通に二人で話して、号泣された。そして納得してくれた。



うん、嬉しかったな。申し訳なさもあるけど。





「スバルに対してだけひどいね」

「だって、スバルのせいで僕は出入り禁止になったのよ?
あそこを含めたら、アレに話すのは絶対アウト」

「ヤスフミ、もしかしてかなり恨んでる?」

「かなりね」



正直、思い出すと頭が痛い。アレはまさしく黒歴史にしたい何かだと思うの。

あとは、エリキャロか。うーん、どういう反応を示すか中々に怖いな。



「ね、フェイト」

「うん?」

「僕は、フェイトの事・・・・・・離すつもりないから」



隣に座るフェイトを、見上げる。フェイトの頬に、少し赤みが差す。

うぅ、やっぱり可愛いよ。可愛過ぎてドキドキが止まらないよ。



「エリキャロが嫌だって言っても、離さないから。
・・・・・・好き、だから。やっと想いが通じたんだもの」





少しだけ湧き上がるのは、フェイトを独り占めにしたいという感情。でも、それはきっと無理。

だって、僕の彼女であるただのフェイトは、フェイト自身。でも、それがフェイトの全部じゃない。

保護責任者としてのフェイトや、執務官としてのフェイトだって、ちゃんとしたフェイトの一部分。



全部ひっくるめてフェイトだもの。全部認めて、受け入れなくちゃダメでしょ。





「・・・・・・ま、まぁあの、えっと・・・・・・少しだけ、わがままを言ってみた。
多分、彼氏としてのわがまま。うぅ、ごめん。なんというか、僕ちょっとダメだったかも」

「あの、ヤスフミ? そんなに申し訳なさそうにしなくてもいいよ。私、別に嫌な思いなんてしてないから。
エリオとキャロも、ヤスフミの事を見直し始めてるし、きっと大丈夫。認めてくれるよ。というより」

「というより?」

「私が、認めて欲しいの。あと、認められなくても変えたりしたくない。
だって、ヤスフミと付き合うと決めたのは、ただの19歳の女の子の私がした、初めての選択だから」



フェイトが右手をそっと伸ばして、僕の頭を撫でてくれる。優しく、本当に優しく。

少し子ども扱いされてるのかなと思ったけど、それはすぐに頬に回った。そのまま、撫でてくれる。



「その選択を、通したいの。だから、大丈夫。というか・・・・・・あの、私だってわがままだからいいの。
ヤスフミに余所見されたくなくて、独り占めにしちゃってるんだから」

「・・・・・・ありがと」

「ううん。ただね、問題はエリオやキャロよりも、アルフの方なの」



頭が痛くなった。そうだそうだ、家族関係が残ってたんだ。

というか、その辺りでうるさい方々が居たんだった。



「母さんはまぁ、大丈夫」



え、マジですか? そこはかなり難題だと思ったのに。

絶対この事と局入りの話を、結び付けられると思ったのに。



「でも、アルフはヤスフミが今のままなのを、納得してない」





ここは予想通りだった。アルフさん、なんで局に居る仲間を信じられないんだって、不満持ってるもの。

フェイトやアルフさんは、なのはだったりリンディさんだったりに助けられたから、ある意味当然なのか。

あとは、自分もフェイトと一緒に仕事をしてたから、分かる。局は悪い事ばかりじゃない。



普通に働いて、普通にやっていけるとか思ってるんだ。でも・・・・・・僕は、無理かな。





「私はしばらく連絡は取り合わないって言ってるからあれだけど、エイミィや母さんが色々話したりしたの。
だけど、やっぱり納得し切れてないらしい。自分の経験もあるから、余計に考えちゃうみたい」

「そっか」



・・・・・・マジで犬鍋にしてやろうかしら。



「てゆうか、僕はその話知らなかったんですけど」

「ごめん、どう話そうかと思ってて、今までタイミングを計ってたんだ。
ほら、シオンも産まれたから、下手な事言うと悪影響かと思ってて」



あぁ、それでか。うん、納得した。てゆうか、リンディさんまでこちら側とは。

なんでそうなる? しつこいくらいに誘って来てたのに。



「ただね。母さんは、これからもしつこいくらいに言うそうだから、ちゃんと考えた方がいいと思うな」

「・・・・・・そうなの?」

「そうだよ。しつこいくらいにね」





まぁ、アレだ。普通に考えておこう。犬鍋候補はともかく、リンディさんだ。

というか、フェイトの言葉は『納得させるだけの答えを考えようね』という風に聞こえる。

まぁ、僕もそこは必要だと思うので、そうすることにする。で、話を戻すけど、アルフさんだよ。



しかし、マジで腹立つなぁ。僕のことはともかく、エリオとのあれこれが腹立つ。





「まぁ、アルフさんはフェイトがまた家族が居なくなる事で、泣いたりするのが嫌なんでしょ。
あと、僕が局に入らない事を、仲間内の言葉を信じてない事と捉えてる。もちろん、フェイトも含めて」

「うん。あの、ごめん。私のせい・・・・・・だよね」

「違うよ。きっと、僕が悪い。だって、僕も・・・・・・フェイトと同じ。
今の自分の居たい場所を、探そうとしてなかったから」



あははは、こりゃあ荒れるなぁ。普通に荒れるよなぁ。うし、覚悟はしておこう。

ただ、荒れるにしても今はまずい。絶対に今はまずい。



「フェイト、アルフさんに話すの、ちょっと躊躇っちゃった」

「・・・・・・今ゴタゴタしたら、部隊運営に支障が出るとか考えた? 特に今は陳述会の事もあるし」

「かなり。うぅ、ごめん。アルフさんはフェイトの大事な家族なのに」



例え犬鍋候補だとしても、そこは変わらないのだ。というか、きっと変えちゃいけないこと。



「いいよ。そうやって申し訳ないと思ってくれるだけでも、ありがたいから。
でも、アルフにもちゃんと話さないといけない。やっぱり・・・・・・認めて欲しいから」

「だよね」

「ただ、正直私もしばらくアルフとは話したくないんだ。・・・・・・うん、本気で怒ってるから。
現に、エリオの状態もまだあまり良くない。本当に今回は、怒ってる」





とりあえず、フェイトがギュッと握り締めてた右拳を掴んで、優しく解くことにする。だって、怖いから。

・・・・・・うーん、この場合はやっぱり肉体言語になるのかなぁ。そうしないと、無理っぽい。

マジに言うと、これ以上身内で、ガチに潰し合いとかは、だめだろうなぁ。きっと、はやてが泣く。



でも・・・・・・はやてが泣くくらいだったら、やっちゃっていいのかも。





「これ以上、身内でゴタゴタはしたくないなぁ。てーか、疲れる」

「ヤスフミ、そんなこと考えてたの? ・・・・・・六課の事、好きになり始めてるのかな」

「違うよ。あぁいう疲れる喧嘩はしたくないってだけ」

「・・・・・・そっか」






フェイトの手が、変わらずに僕の頬を優しく撫でる。そして、嬉しそうに微笑む。



なんだろう、こう・・・・・・気恥ずかしい。色々見抜かれてるみたいで、辛い。





「というかフェイト、なぜに頬を撫でてるの?」

「撫でたいからだよ? だって、清い関係だから、あまり過激な事は出来ないよね。
だけど、ヤスフミとはいっぱいコミュニケーションはしたいし」

「納得した。というか、僕は嬉しいからいっぱいして欲しい。
でも・・・・・・僕も、していい? フェイトの頬、撫でたい」

「・・・・・・うん、いいよ。撫でて、欲しいな」

「お兄様もフェイトさんも、中学生日記ですね。見ていて少しいらいらします」










中学生日記、そんな言葉が、たまごの中で寝ていたはずのシオンから飛んできた。





でも、いいの。これでもすごく嬉しいし、楽しいんだから。




















◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



そして、翌日。僕とフェイトは・・・・・・あ、表現おかしいな。別に一緒の部屋で寝泊りしたわけじゃないし。





とにかく、隊長陣は教導を行っているなのはや会議で留守にしてるはやて以外は全員集まって、会議となった。





会議の議題は・・・・・・そう、エリオだ。










「・・・・・・蒼凪、率直に聞く。今のエリオをどう思う」

「ダメですね」

「またぶった斬るな。原因はお前だろうが」

「なに言ってんですか。エリオ自身の問題が大きいでしょ?
あと、アルフさんですよ。・・・・・・マジで余計な事してくれて」





そう、ここ最近のエリオの様子がおかしい。



通常訓練は普通にこなせてるんだけど、模擬戦などの戦闘の形を取ると非常にダメになる。



この間やった5対5の模擬戦でもそうだった。エリオは、これまでの精彩を欠いている。





「うぅ、ごめん。そこを言われると、私は何の反論も出来ないよ」

「まぁ、そこはいいじゃねぇか。フェイトはある意味、一番の被害者なんだしよ」

「・・・・・・確かにそうですね。それでね、フェイト。あと、シグナムさんもか。
実はこの間の出動で、エリオの様子がかなり変だったのよ」



一応、気づいていたこと。だから、ちゃんと話す事にする。

まぁ、体調の問題とかかなと思ってたけど、そうじゃないのかも。



≪攻撃の鋭さは以前とは悪い意味で比べるまでもなかったです。
そして、動きも鈍く・・・・・・T型だけを相手にしているから、まだよかったんです≫

「てゆうか、アレは多分戦ってるのを、怖がってるんじゃないかと思う」





今のエリオと理由や症状に差異はかなりあるけど、似たような人を見たことがある。

思い出すのは、ヒロさんに頼まれて行った『ヴェートル』という世界で巻き込まれた、大事件。

『カラバ』という管理世界で起きたクーデターをきっかけにして起こった、外交問題も絡んだ難しい事件。



その事件には、僕やアルト、リイン。フェイトやはやて達までも巻き込まれた。それはもう派手に。

そして、ある人達と一緒に、クーデターの中に隠れていた闇と戦った。今から、1年くらい前の話だね。

管理局の矛盾や、管理世界という概念の在り方。色々なものを考えさせられる事件だった。



で、その中で、今のエリオと同じような人と出会った。その事件やクーデターに、大きく関わっていた人だ。

その人がそうなった原因は、自分への恐怖。その人は、極端に自分という存在を嫌い、怖がっていた。

自分の現状に抗う事が怖くて、怯えて、自分の責務から逃げ出した。逃げて逃げて・・・・・・どんどん追い詰められていった。



自分には何も出来ないと、怯えて声を上げることさえもしなかった。まぁ、最後はそんな事無かったけど。

で、エリオの場合、今まで気づかなかった戦いの恐ろしさと歪みに気づいてしまったことが、原因。

借り物の想いを、道理を、僕が壊したから。多分、今のエリオが、本当の意味でエリオ・モンディアルだ。



そして、エリオはまだ自分自身の想いと道理を見定めてない。だから・・・・・・あれである。





「それはありえるな。なにせ、お前は容赦なく今までのエリオの戦う理由を砕いた。
アルフの言葉によってそれらが過剰に肥大していた分、その衝撃は大きかった」



シグナムさんの視線が厳しい。てゆうか、普通に今更そこを言われても困るよ。



「だが私は謝らない。だって、アレは見過ごせなかったですし」

「分かっている。あんな状態で現場に出られても、更に迷惑だと思う。
テスタロッサ、お前も隊長としてもそうだが、保護責任者としても同意見だろ」

「そうですね、正直・・・・・・あんなエリオは見たくなかったです。
もちろん、私の責任も大きいので、あまり言えないんですが」

≪・・・・・・それで、ライトニング両隊長としては、エリオさんをどうするつもりですか?
私も、その辺りが払拭されない限り、現場に出すのは危険だと判断しますが≫



正直アレはなぁ、普通に狙われそうだもの。

やっぱりこの場合は・・・・・・うーん。
 


「・・・・・・分隊長としては、エリオを前に出すのは危険と判断するよ。
今度の陳述会の出動メンバーから、エリオは外すべきだと思う」

「私も同じ判断だ。ヴィータ、お前はどうだ?」

「まぁ、一時的ってのが付くけどな。てーか、アイツがアレなのは今までの答えが砕かれたからだ。
アタシらからの借り物じゃない、自分だけの戦う意味と理由が見つかれば・・・・・・」





僕とフェイト、シグナムはその師匠の言葉に頷いた。

そう、今まではフェイト達からの借り物の理由で戦っていた。

だけど、それが砕かれた今、エリオは選択を迫られている。



その選択の答えが出るなら、エリオは一気に強くなる。

別に、最終的に魔導師をやめるって選択でもいいのよ。

大事なのは、今の自分と向き合って決める事。



そうして、これからどういう風に進みたいかを考える。



考えて、道を決める。それだけでも、成長でしょ。





「けどよ、そうすると下手すると事件終了後まで、エリオは出せない可能性もあるぞ? その問題はどうすんだよ」

「確かに、今のエリオの能力に遜色のない人間を見つけるのは大変だ」

「とは言え、考えないわけにはいきません。フォワードに穴が出来ますし」










なんだかんだでエリオはあの年でBランクを取ってる。その上、普通に六課の訓練でかなり成長している。

それだけの人間を今から陳述会までに探す。普通なら、かなり難しいのよ。

というわけで、かなり時間をかけてディスカッションした。それはもうしっかりと。





しかし、エリオはどうしたもんか。・・・・・・主人公属性、全開過ぎじゃない?




















◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



「・・・・・・おかしい。僕、普通に隊長の仕事してる」





ディスカッションを終えて、時間は一気に夕方。



・・・・・・かなり頑張ったなぁ。ティアナの一件の二の舞は嫌だから、がんばったし。



でも、そんな自分に少し疑問を持ってしまった。だって、いくらなんでもこれはありえないし。





「問題ないよ。だってヤスフミは、ナハト分隊の分隊長で副隊長で分隊員なんだから」

「え、その設定ありなのっ!? 僕はさすがに冗談だったのにっ!!」

「大丈夫、私も冗談だから」

「ちょっとっ!?」





あの濃密な会議を終えて、僕とフェイトは二人でご飯を食べていた。

時間的にちょっと早めで、二人だけのご飯。でも、幸せ。

だってー、これは恋人タイムだよ? 幸せにならないわけがないでしょ。



だけど、それだけじゃない。食べつつ仕事の話もしっかりするのだ。うん、頑張るのよ。





「陳述会まで、すぐに10日切るね。そうしたら、もう当日まであっと言う間だよ」

「そして、私が大活躍するまでもうすぐですね」



シオンがなんか言ってるけど、気にしない。うん、普通に気にしてはいけないんだ。

・・・・・・胃薬、シャマルさんからもらっておこうかな。僕、当日胃に穴が開くかも。



「あ、フェイトさん」

「会議終わったんですか?」



そう言いながらこっちに来るのは、四人と一匹。なお、当然のように訓練終わり。

また派手に汚れてるなぁ。てゆうか、今日も相当がんばってたのか。



「うん。それで、今はヤスフミと二人でその辺りを相談しつつお話中」

「というか、ギンガさんは? 一緒に訓練してたんじゃ」

「ギン姉は、『気になるとこが出来たから』って言って、なのはさんとヴィータ副隊長に相談してるよ」



あぁ、納得した。ギンガさん、かなり根を詰めるタイプだしなぁ。

僕と訓練した時もそれだったよ。おかげで予定時間をオーバーして仕事が大変だった。



「てゆうか、フェイトさん。そういう話し合いに、コイツが参加っていいんですか?
それも何度も。恭文は、別に隊長でもなんでもないのに」

「ま、まぁ・・・・・・もうそこは考えない事にしたから、ティアもツッコまないで欲しいな」

「よし、二人とも不満があるなら聞くよ? てーか、普通に隊長達が呼び出してるんでしょうが。
さすがに僕は『自重した方がいいよなー』とか思ってたのに」



夕飯のメインであるハンバーグをパクリ。・・・・・・うん、ジューシーだ。

苦笑いしてるティアやフェイトの表情が色んな意味で引っかかるけど・・・・・・まぁ、いいか。



「あ、シオンも夕飯なんだ。どう、美味しい?」



で、そんな僕達の様子はともかくとして、スバルとキャロがシオンを見てる。

当然のように、二人は楽しそうに話しかける。そして、シオンがご飯を食べつつ返事をする。



「はい。リインさんの食器を貸してもらって、目立たないように食べています」

「しゅごキャラって、人間の食べ物は平気なの?」

「問題ありません。特にネギを食べて体調を壊すということもありませんから」



シオン、それは何処の犬猫? てーか、スバルもキャロも見えるからって普通に話しかけるな。

ほら、フェイトやティアやエリオがポカーンとしてるし。



「ティアにも、見えないんだよね」

「えぇ。正直、現段階に来てもかなり存在を疑ってます。たまご形態は見せてもらったんですけど、それでも」

「そうなんだ。私は、たまごを触らせてもらったら疑う気持ち、無くなったんだけどな。
あの温かさには、言いようのない説得力があるもの」

「なるほど・・・・・・って、そう言えばアンタ、私達にたまご触らせてないわよね」



・・・・・・ち、余計なとこに気づきやがって。そして、その厳しい視線はやめて?

だって、ティアは信じてないじゃないのさ。それなのになーんで触らせる必要があるのか。



「まぁ、そこはいいか。でもフェイトさん、見えなくても信じられるものですか?」

「うん、見えなくても信じられた。ヤスフミ、ティアにも触らせてみたら?
スバルやエリオとキャロは見えてるみたいだし、そうしたらきっとティアにも見えるよ」

「いやいや、それは一体どんな理屈っ!? 普通にそれおかしいからっ!!」

「・・・・・・あの、みなさん」





エリオが、僕やフェイト、ティアを見て声をかけてきた。

何かと思ってなんとなしに見るんだけど・・・・・・固まった。

その顔に浮かぶ色は、戸惑いと不安。そして、恐怖。



さっきまではこんな深刻な顔はしてなかったのに、今はこれである。





「エリオ、どうしたのかな。というか、顔色悪いよ?」



フェイトが心配そうに声をかけるのは無理もない。さすがにこれは気になる。

そして、エリオは少しずつ・・・・・・口を動かし、やっと気持ちを表に出した。



「シオン、今居るんですよね」

「らしいわよ? ・・・・・・って、アンタは見えてるんでしょうが」

「見えないんです」



そこで、ようやく気づいた。さっき、ティアやフェイトと一緒にエリオもポカーンとしてた。

特に気に留めてなかったんだけど・・・・・・まさか、普通にシオンが見えてなかったことが原因っ!?



「スバルさんやキャロの様子で、シオンが居るのは分かるんです。でも・・・・・・だめ。
僕、シオンが見えないんです。おかしい、こんなのおかしい。昨日までちゃんと見えてたのに」










・・・・・・はぁっ!?



















◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



とにかく、フェイトが気にしてる様子なので、エリオの事をなんとかしようと思う。





まぁ、あの状態の原因を作った一人としては、ちょっとやっておきたいのだ。










『・・・・・・で、わざわざ私に電話をかけて来たと。全く、これでも忙しい身なんだけど?』

「そうだよね、歌手のたまごなんだもんね。ごめん」

『謝らなくていいわよ。アンタ、マジで周りにしゅごキャラ関係のこと、相談出来るのが居ないらしいし』



そう、歌唄である。メールなどで相談をさせてもらったりしてるけど、今回は急ぎなので直。

次元世界の事とかがバレないように会話をするのは、結構大変で、スリリングだなと、ちょっと思った。



『それで、まずはおさらいね。しゅごキャラはなりたい自分が形になったものなの。ただし、その形はあやふやであいまい。
口ではどう言おうと、宿主がそれを信じられなかったら簡単に消える。そこまでいかなくても、見れなくなる可能性は、確かにある』

「でも、エリオは今のところそういう子でもないんだけど」

『でも、今日突然見えなくなったんでしょ? だとすると、その子にはきっと有ったのよ。
こころのたまご・・・・・・ううん、もしかしたらしゅごたまが。普通より強い形で、なりたい自分があった』



だからこそ、スバルやキャロみたいにシオンが見えた。だけど、なぜか見えなくなった。

・・・・・・アレ、なんか読めて来たぞ。現段階では産まれてないにしても、そういう自分がエリオにはあった。



『今までの話を総合すると、その子はきっとそれを見失ってるのよ。アンタが徹底的に叩きのめしたんでしょ?』

「まぁね」

『そのせいよ』



あぁ、やっぱりか。歌唄にはっきり言われるまでもなく、すっごい分かってたよ。



『見えなくなるのにラグがあったのは、その子の中の迷いや疑いが、更に固まっちゃったから。ねぇ、何かなかった?
その子の自信喪失というか、そういうのが深まるような出来事が。アンタが今暮らしてるとこに戻って、今までの間に』



歌唄に聞かれて、思い出すのは・・・・・・まさか、この間の緊急出動?

その前の様子に関しては、なのはや師匠にも聞いたけど、普通だった。なら、直接原因はそれか。



『あるのね?』

「うん、歌唄の言いたい事は分かった」



あれがきっかけで、エリオの様子がボロボロ崩れた感じだった。ここは間違いない。



「で、対処法ってある?」

『ないわ。本人が自分で迷いを振り払わない限り、一生そのままかも。
てゆうか、自業自得よ。アンタやあのフェイトさんも、構わなくていいと思うんだけど』

「またキツイね。どうしてさ」

『簡単よ。知ってる? 夢やなりたい自分を、簡単に捨てたり見失ったりするような奴なんて、同情する価値すらないのよ』



歌唄の声に篭っているのは、明確な怒り。

そう、歌唄は怒っていた。会った事もないエリオに対して、強く。



『アンタに叩きのめされて、それまでの自分の価値観を壊されたくらいで見失うようなものなら、結局はその程度なのよ。
・・・・・・そういう奴を見ると、私はマジでイライラしてくる。てゆうか、許せないわ。そんな奴、もう放っておきなさい』



まぁ、ここまで会った事の無い奴に対して言い切る理由は分かった。

なんというか、この子とは通じ合えるようだ。電話越しでも、考えてる事がよく分かる。



「なるほど、納得した」

『なにをよ』

「歌唄の中には、しっかりとしたものがあるから、そう言うってこと。
・・・・・・もっと言えば、なりたい自分を、夢を大事にしない奴が嫌い」

『そうよ』



うん、この子はそう言えるよね。だって、なりたい自分や夢を本当に大事にしてる。

だから、エルとイルが居るし、歌手になりたいって話してた時の歌唄の目が、すごく輝いてた。



『私は歌をうたって、やりたい事があるの。だから、そんな半端な奴は嫌い。
・・・・・・って、私なにこんなマジキャラで話してんだろ。ここは必要ないのに』

「いやいや、非常に参考になったよ。歌唄、ありがと。
それとごめんね。嫌な話しちゃってさ」

『バカ。アンタが謝る必要ないでしょ? ・・・・・・それで、アンタはどうなのよ。メールを見て呆れたわよ。
キャラチェンジして、宿主がしゅごキャラに身体を乗っ取られるなんて、聞いた事ないし』



あ、あははは・・・・・・。うん、なんというかアレだよ。アレは僕もビックリだなぁ。

もう一つのたまごから産まれてくる子は、そういう事がないと非常にうれしいよ。うん。



「えっとね、なんとか上手くやってる。・・・・・・アクが強くて、振り回される事も多いけど」

『そう。ね、アンタはちゃんと信じなさいよ? しゅごキャラが産まれたって事は、アンタの中にはある。
アンタの夢が何かは知らないけど・・・・・・ちゃんと、なりたい自分や夢があるの。それを、信じ抜きなさい』



厳しくも、どこか優しい声。こうして話していると、歌唄は普通に12歳には感じられない。

まぁ、僕も色々あったし、歌唄もそうなのだろうと納得することにした。



『まぁ、アンタはその子と違って大丈夫だとは思うけどね。なんか、私と同じ匂いがするもの』

「・・・・・・歌唄、ありがと」

『別に礼なんていらないわよ』



あ、今ツーンとした顔が浮かんだ。うん、とってもいい感じでだよ。

やっぱりこの子はツンデレだったんだね。分かります。



『・・・・・・でも、ちょっと不思議よね。年も離れてるし、あの場で一度だけ、少し話しただけなのよ?
なのに、私は普通にアンタと友達みたいに話してるし、アンタも同じ』

「そうだね。旅先でのマジックっていうのとはちょっと違うよね。
だって、普通に今もお話出来てるし」

『確かにね。うん、これはなんというか、不思議だわ』










・・・・・・その後、少し歌唄と雑談をして、お話を終えた。





さて、こうなってくるとエリオへの対処が更に難しくなってくるなぁ。





不用意なことをしないように、また隊長達集めて話す・・・・・・あれ、なんかどんどん立ち位置がおかしいことに。




















(第23話へ続く)




















あとがき



恭文「さて、最近妙な拍手が連続で来て、頭が痛い蒼凪恭文と」

あむ「その話は初耳な日奈森あむです。・・・・・・そうなの?」

恭文「そうなの。で、雑記の『初めに』で色々諸注意書いてるのに、それでも来るのよ」





(なお、しっかりと処置はしたので、もう大丈夫。
同じような類のものも、バシバシ処置していくので、あしからず)





恭文「とりあえず、あれだよ。雑記の諸注意の『初めに』も書いてるけど、2ちゃんねるとかみたいなノリはナシ。
二次創作についての批判とか議論とかしたいなら、そっち行って。うちは、そういうのはナシなサイトなの」





(蒼い古き鉄、疲れ果て、呆れたように誰かに言う。というか、もう放り投げてる)





あむ「でも、普通に他の二次小説さんの紹介とかはありなんだよね」

恭文「悪口は削除するよ? てーか、他の二次創作の名指しの批判なんて、掲載出来るわけがない」

あむ「それこそ、どっかの掲示板の領域だって。
ここに送られても困るよね。・・・・・・でも恭文、こういうのよく来るの?」

恭文「いや。今までそんなのはなかった。うちの話を日常的に読んでくださってる方は、みんないい人達だもの。
そこの難しい事情を、本当によく理解してくれてるので、こちらが掲載しやすい拍手を送ってくれるのよ。うん、ここはありがたい」

あむ「まぁ、そこは普段から読者のみんなの理解と協力のおかげで出来てるってことでいいよね。
それで、今回の話は・・・・・・テレビ版の、第15話だよね。中央本部襲撃直前」

恭文「時系列的には、テレビより間は空いてるけどね。で、ここで出てくるツッコミどころは、会議場警備ですよ」





(そう、StSに出てくる問題点である)





恭文「まず、会議場と内部警備には、デバイスの持込が禁止。六課は、これに対して対処をしていなかった。ここが改善点の一つ」

あむ「前々から言ってたことだよね。あとは、狙われてる人間に対しての対処」

恭文「うん。でも、もう一つあるのよ。まぁ、ここは六課側ではなく、ナンバーズ側かな」

あむ「なに?」

恭文「デバイスを持たずに行動していた、なのはとフェイトを襲ってない」





(もっと言えば、やり口が徹底していないと、蒼い古き鉄は言いたいらしい)





恭文「例えばさ、ノーヴェとウェンディが、スバル達を襲撃したじゃない?」

あむ「うん、してたね。・・・・・・あ、そっか。同じように、なのはさん達も襲撃できるってことだね」

恭文「その辺りは、ミッション話でもガジェットがやってたことなのよ。
スバル達を襲ってきたってことは、六課側の動きを、少なからず知っていたはずだから」

あむ「ガジェットも引き連れていた様子だったし、普通に待ち伏せ・・・・・・だよね」

恭文「うん。ただ、今回はもっと徹底してやる。ミッション話では、あそこでナンバーズを関わらせるわけにはいかなかったしさ」





(トーレやセッテは問題なかったので、あれなのですが、ウェンディやノーヴェ、セインなどはアウトだったのです。もちろん、チンクも)





あむ「でも、今回はRemixだから、そこの辺りは大丈夫なんだよね。普通に関わってオーケー」

恭文「うん。でさ、そうするとなのはとフェイトがスバル達と合流するまでに入る邪魔も、また意味合いが違ってくるのよ」

あむ「どういうこと?」

恭文「ほら、この時って同時に六課隊舎も襲撃されてるじゃない?」





(現・魔法少女、頷く。StSは、一応予習済みなのだ)





恭文「合流しちゃって、フェイトが隊舎に連絡を取ったら襲撃がバレて・・・・・・って流れでしょ?
Remixでも、そこは変わらないの。ただ・・・・・・あ、これ以上はだめだな。やっぱりお話の中で説明でしょ」

あむ「そうだね、ここで言ってもきっとだめだよ。
とにかく、地上本部と六課隊舎襲撃事件は、少し色が変わるってことだね。

恭文「うん。あとは、やり口も少々鋭い感じに・・・・・・出来れば、いいなぁ。
あとは、ナンバーズに関しては、一つキーワードを設けました。これも改善点の一つだね」

あむ「あぁ、ちょこちょこ出てるアレだよね。えっと、『すばらしい世界』」





(この言葉の持つ意味などについては、やっぱりお話の中で解説です)





恭文「うん。やっぱり、敵方の集団だから、何か一纏まりになる目的が欲しいなと思って」

あむ「でも、ただナンバーズやスカリエッティが纏まるだけじゃ、違うんだよね。
例えばフェイトさんだったり、エリオ君だったり、スバルさんやギンガ、恭文も含まれないとだめ」

恭文「向こうから見るとって条件が付くけどね。で、そういうのを目指しているってだけでも、また深みが違ってくるのよ。
とにかく、ナンバーズは、ある意味妄信的にこれを信じてる。『すばらしい世界』の価値を。もっと言うとスカリエッティの『夢』を」

あむ「でもさ、スカリエッティはあんな感じだし・・・・・・どうなるんだろ」

恭文「そこも、次回かな。でもさ、前回のスカリエッティのヘタレ具合を書いて、大分とまと内でのスカリエッティのポジが固まった」





(なんだかんだで、スカリエッティ自体はとまとでは出番の少ないキャラなのです。
ミッション話の7話で書いた際は、テレビ準拠だったので、原作に近い風味でした)





恭文「というか、31話まで書いてるんだし、普通に固まってないと最終決戦とかアレになるんだけど」

あむ「あははは、確かにね。まぁ、そこのところはまたお話の中でやるとして・・・・・・どういう形で固まってるの?」

恭文「えっとね、洗脳エリオが徒党を組んでる感じ」

あむ「・・・・・・マジ?」





(悪の組織らしくというのと、全体的なキャラクター性強化を狙っててこ入れした結果、こうなりました)





あむ「待って待って。なんでそうなるの? てゆうか、あのエリオ君がたくさんは怖いって」

恭文「仕方ないのよ。スカリエッティやナンバーズが、悪役として中途半端なのも、StSの不満点だしさ。
あの連中は、悪役としてなりたってないのよ。もっと言えば、芯がない。なので、芯を入れた結果」

あむ「量産型エリオ君の集団になったと。で、その芯が『すばらしい世界』だと」

恭文「うん。もちろん、洗脳エリオとは全く意味合いも違うよ? でも、似た傾向にはなった」

あむ「作者さん、大丈夫かな。だって、フォン・レイメイもそうだったけど、作者さんが考えるオリジナルの悪役は、結構ぶっ飛んでるよね。
ナンバーズは原作キャラだから違うけど、ちょっとテコ入れしてそれになるって・・・・・・いやいや、絶対おかしいから」

恭文「・・・・・・まぁね」





(だって、スカリエッティもナンバーズも中途半端だから、徹底的なのをやろうとするとどうしてもそうなって)





恭文「もうね、気持ち悪いよ? 誰がとは言わないけど、あの二人は特に気持ち悪いよ?
ぶっちゃけ言うけど、意味合いは違うけど洗脳エリオ集団だから、気持ち悪いよ?」

あむ「そ、そうなんだ。じゃあ、その気持ち悪さも期待・・・・・・かな」

恭文「まぁ、テレビを超える気持ちで行きたいと思う。Remixは、テレビでの不満点を解消していくためのものだしね。・・・・・・あぁ、あとね」

あむ「なに?」

恭文「スカリエッティ、ヘタレじゃない? 実は、あそこまでヘタレなのには、とても大きな理由があるのよ」

あむ「・・・・・・え、そうなのっ!?」

恭文「うん。聞くも涙、語るも涙で、それだけで数話分出来るくらいの話なの」





(注:事実です。ちなみに、数年に及ぶドキュメンタリー方式だったりします。
もしかしたら、現代版の『おしん』になれるかも知れません。大賞取れるかも知れません)





恭文「その辺りも、10話くらい先でちょこっと説明するので、お楽しみに」

あむ「じゃ、じゃあ楽しみにしてる。・・・・・・とにかく、今回はここまでかな」

恭文「だね。それでは、本日のお相手は蒼凪恭文と」

あむ「日奈森あむでした。・・・・・・でも、あたしは出番なさそうだなぁ」

恭文「あむは、この段階だと転校した直後で、しゅごキャラも産まれてないしね。
ほら、あれだよ。人見知りなビビりキャラが、クール&スパイシーと勘違いされてたころ」

あむ「あぁ、そう言えばそうだね。じゃあ、関わるはずないか。てゆうか、関わってもまずいって」

恭文「むしろ、どうやって関わるのかを教えて欲しいよ
・・・・・・ちなみに、ヘタレの原因はドキたまの構成作家をやってる専業主婦さんだから」

あむ「そうなのっ!? え、マジで何やったのよあの人っ! いや、相当ドSだから、もう予想付くんだけどっ!!」

恭文「えっとね」









(そこで電波が乱れて、映像が消える。そして、そのまま終了。
本日のED:米倉千尋『FLAME』)




















恭文「さて、もうすぐ最終決戦ですよ。一応、32話の途中まで書いてるので、作者的にはもう突入」

フェイト「というか、今書いている段階だと、あまり魔導師っぽい戦闘してないんだよね」

恭文「作者の嗜好があるしね。リリカルなのは本編より、アニメのDB的な戦闘より、特撮とかDTBとかの戦闘が好きだもの」

フェイト「最近の雑記で話していたのだよね。えっと、高岩成二さん」

恭文「逆に、スバルとかなのはみたいに、DB的な戦闘してるのを書くのは、苦手になってきてるかな。
だから、21話だって若干手抜きなのよ。うーん、出来ればこの辺りもなんとかしたいなぁ」

フェイト「なのはだったりスバルも、戦闘時にキャラクター性を出すということだよね」

恭文「あと、劇中に出てきた『ヴェートル』と『カラバ』の話は、また落ち着いたら幕間とかで書くとして。
・・・・・・というか、全話書きあがったら出すとして。というか、2話くらい書いてるんだけど」

フェイト「うん?」

恭文「次回の大幅手直しだ。ようやく先が固まったから、合わせる形で直さないと」

フェイト「そう言えば、それがあったね。よし、一緒に頑張ろうか」

恭文「うん」










(おしまい)





[*前へ][次へ#]

27/31ページ

[戻る]


第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!