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小説(魔法少女リリカルなのは:二次小説)
第18話 『なりたい自分?』



・・・・・・とにかく夕方、僕とは別の部屋で寝泊りすることになったフェイトとリインを訪ねて、話した。





フィアッセさんには、エリスさんから話してくれるそうだ。きっと、ビックリすることだろう。





そして、当然のようにフェイトは・・・・・・すごく、苦い顔をしてる。










「恭也さんと美由希さんが居るなら、安心は出来るよね」

「そうだね」

「二人とも、すっごく強いですし、安心して任せられますよ」

「・・・・・・そうだね」



二人なら、大丈夫だと思う。てゆうか、僕がやるよりずっと安心だ。

安心だけど、そのまま帰っても大丈夫だとは思うけど・・・・・・。



「ヤスフミ、転送ポートの許可は難しいかも知れないけど、緊急の用事だって説明して、魔法の使用許可は取っちゃうよ。そうすれば、大丈夫だから」

「・・・・・・・・・・・・そうだね」

「心配なのは分かるけど、今ここで戻る事は、ヤスフミが六課を、居場所を大切にすることに繋がるんじゃないかな」



ベッドに二人に挟まれる形で腰掛けながら、僕は・・・・・・俯くことしか出来なかった。

本当にそれでいいのかと、考えまくってる。



「・・・・・・ヤスフミ」

「恭文さん?」

「そうだね」

「さっきからそれしか言ってないです」





変わっていく事、居場所を探す事、諦めるつもりなんてない。それをしたら、フェイトとの約束を破るから。

でも、だからってフィアッセさんが危ない目に遭うかも知れないのを、見過ごしていいのかと考える。

考えて、気づいた。これと同じことを、僕はずっと前にも考えた。リインと、出会った時。



リインがなにか厄介ごとを持ち込んでくる可能性も、出会った当初は考えてた。だけど、放置なんて出来なかった。

自分の安全のために、僕に優しく、暖かく微笑んでくれる小さな女の子を見捨てていいのかと、考えたから。

その笑顔で、リインと一緒に居るようになったことで、救われた事が、教えてもらった事が沢山あった。



だから、リインの事を絶対に守るって約束して・・・・・・あぁ、そっか。





「フェイト、リイン」

「うん、なにかな」

「なんですか?」





恭也さん達が居るからとか、六課があるからとか、そういうの、実のところあまり関係ないんだ。

僕は、このままなんて嫌だ。このまま戻ったら、絶対に後悔する。

だって、フィアッセさんやスクールの歌が素敵で、大好きだって思う気持ちは、確かに僕のものなんだから。



・・・・・・・・・・・・ヴァイスさん、すみません。だけど、逃げるわけにはいかないんです。



居場所どうこう、人どうこうの前に、僕から逃げるわけには、絶対にいかないんです。そんな事したら、僕じゃなくなる。





「二人は帰って。僕は、残る」

「「・・・・・・え?」」

「残って、戦う。今回のコンサートで不埒なことをやろうとする奴らが居るなら、僕は・・・・・・そいつらを叩き潰す」

「やっぱり・・・・・・なの?」



フェイトが、悲しそうな顔で僕を見る。・・・・・・やっぱり、傷つけていると、少し反省する。



「ヤスフミ、六課に本気で関わる覚悟を決めたって言ったの、嘘だったのかな」

「・・・・・・・・・・・・嘘じゃ、ない。でも、今ここで戻ったら、きっと結果を問わず一生後悔する」



フェイトの目を真っ直ぐに見る。フェイトは、それを受け止めてくれる。



「もし、もしも・・・・・・今、目の前で誰かが泣くかも知れなくて、それを見過ごすことが居場所を大事にすることだって言うなら」



だから、真っ直ぐに言葉をぶつけられる。嘘偽りのない、僕の全部を。



「僕はそれで掴める居場所なんていらない。そこに居ても、僕の願いは何一つ通せない。
・・・・・・大事な友達が危ない目に遭うかも知れないのに、見捨てたりなんて出来ない」

「恭也さん達が来るのに?」

「それでも。てーか、恭也さん達は関係ない。僕が・・・・・・そうしたいの。
だめ、なんだ。フィアッセさんやスクールの歌が消えるかも知れないって考えたら、止まれない」



フェイトは、ため息を吐いた。吐いて・・・・・・一言こう返してくれた。



「・・・・・・居場所にはね、居るために守らなきゃいけないルールがあるんだ。
規律もそうだけど、人と人との信頼関係もその一つ。ヤスフミの今の選択は、それを蔑ろにしてる」



うん、知ってる。僕のやろうとしてることは、それのルール違反だもの。



「だから私は、ここで戻って欲しい。恭也さん達が来るなら、ヤスフミが戦う必要はないと思うから。
ここで戻っても、誰も責めない。はやてやなのは、スバル達だって、それでいいって言ってくれる」



きっと、みんなはそうだろうと思った。それで大丈夫だからと、声をかけてくれる。

どうしようもないやるせなさを感じてたら、きっと一緒に背負おうとしてくれる。そういう連中だもの。



「その選択を取る事は、組織の人間として・・・・・・ううん、人としてだって、間違ってないんだから。
だけど、ヤスフミは納得なんて出来ないんだよね。フィアッセさんは大事な人だから」

「うん」

「強情だ。本当に強情だよ。強情過ぎて、私はたまにヤスフミのことが分からなくなるよ」

「・・・・・・ごめん」



ただ、それでも・・・・・・。



「ううん、いいよ」



フェイトは、僕の手を優しく握ってくれる。



「あのね、今私が言ったことなんだけど、見方を変えれば・・・・・・。
恭也さん達が来るならたいていの事は問題なく解決すると思うんだ」

「え?」

「だから、あくまでも私達はコンサートを観覧するためにここに居る。
それで、もしも巻き込まれたら・・・・・・その時はその時だよ」

「ですよね。というか、巻き込まれちゃったらどうしようもないのです。
それで文句をつけられても、リイン達は困るのですよ」



二人揃って、そう言ってくれた。それも、笑顔で。

と、というか・・・・・・あの、それでいいの? てゆうか、私達ってことは、二人も残るってことだし。



「あの、やっぱり二人は」

「帰らないよ。・・・・・・うん、帰らない。一緒に居るって、私は決めたから」

「リインも同じくなのです。というか、恭文さんが戦うなら、リインも一緒です。
古き鉄は、リインと、恭文さんと、アルトアイゼンの三人なのですから」



どうやら、反論の余地はないらしい。二人とも、視線で『言っても無駄』だと語ってるから。

それを見て、僕はため息を吐く。



「強情なのは、フェイトとリインもじゃないのさ。てか、局にバレたらどうするの?
それで六課どころか今の仕事をクビになっても、僕は一切責任取れないけど」

「バレなければ問題ないよ。それで、バレたら・・・・・・そうだな。
ヤスフミに、お嫁さんに貰ってもらおうかな。それで、専業主婦」

「あ、それはいい考えですね。二人揃って永久就職なのです」

「しゃあないね、それなら二人揃って引き受けて、幸せにしようじゃないのさ」










・・・・・・リインはともかく、フェイトが普通に受け入れてくれたのは、なんか嬉しかった。





ただ、どうしてなんだろ。





どうして、フェイトは僕の無茶を認めてくれたんだろ。前だったら、絶対に否定してたのに。




















◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



・・・・・・無茶するの、認めちゃった。というか、私こういうキャラだったのかな。

でも、ヤスフミにフィアッセさんが危険な目に遭うかも知れないのに帰れなんて、やっぱり無茶な相談。

ここに来るのだって、フィアッセさんが大事で、大好きだからそうなるわけで・・・・・・。





なんだろう、少しモヤモヤする。前だったら、嬉しく思ってたのに、モヤモヤする。

ヤスフミが他の女の子のこと見てると、好きだって感情を出してると、モヤモヤする。

前だったら、それで付き合ったりしたら嬉しいと思ってたのに、今はそうじゃない。





今は、余所見をされてるみたいで、少し・・・・・・嫌だ。私、ヤキモチ・・・・・・焼いてるのかな。

うん、そうだよね。焼いてるんだよね。だって私は、この子の事が好きで、彼女なんだから。

なんだか、自分でビックリしてる。私、こういう感情があったんだ。





でも、ビックリするのと同時に、すごく嬉しい。知らない私が、ちゃんとここにあることが、とても嬉しい。



















魔法少女リリカルなのはStrikerS Remix


とある魔導師と古き鉄と機動六課のもしもの日常


第18話 『なりたい自分?』




















◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



・・・・・・そして夜。イギリスは変わらず、平穏な時間を刻む。ただ、そうもいかなくなってきた。





それは、フェイト達とのお話の結果を伝えるために、エリスさんに会いに行った時の事。










「・・・・・・恭也さん達が二人揃ってこっちに来れないかも知れないっ!?」

「あの、エリスさん。それってどういうことですかっ!? だって、ヤスフミの話だと」

「その答えは、これを見てもらえれば分かると思う」



そう言って、エリスさんがテレビをつける。

そこに映ったのは、夜のニュース。なお、時差があるのでイギリスの時間で。



「今、世界中はこの話題で持ちきりだ。何しろ突然のことで、私も驚いている」



そして、その持ち切りな話題とは、とある航空会社の社員のストライキ。

ただし、世界中で一気に。それにより、そこの会社の便は全て欠航状態とか。



「あのエリスさん。確かこの航空会社って国際便が主でしたよね?」

「そう言えば・・・・・・前にヤスフミと香港に行った時も、この会社の飛行機だったような」

「『ような』じゃなくて、そうだよ。・・・・・・てゆうことは、もしかして二人が来れないのって」

「そうだ。キョウヤが居るドイツ、ミユキがちょうど滞在してた香港の最寄の空港二つも、このストライキの影響を受けている。
そして、イギリス行きの便はこのためにこちらへは飛ばないということらしい。その辺りの理由は、今君が言った通りだ」



で、ストライキだから当然のようにいつそれが復旧するかも分からない。

だから、恭也さん達も到着出来るかどうかわからない・・・・・・と。



「すまん、君の力を借りる必要が出てきた」

「いや、それは構わないんですけど・・・・・・なんつう間の悪い」



いや、ちょっと待てよ。フェイトの長距離転送魔法なら、二人を呼べるんじゃ。



「フェイト、長距離転送ってリミッターがあっても大丈夫だよね?」

「うん。それは・・・・・・あ、そっか。それで恭也さん達を呼べば」

「うん、多分大丈夫」





指し当たっての問題は、普通にフェイトにルール違反をさせてしまうこと。



ここはかなり心苦しい。なので、これは最後の手段。他に方法がないか、一応模索していく。





「エリスさん、月村の家の力でこっち来るってのも」

「ダメらしい。何しろ空港自体がパニックの真っ只中で、他の会社の便にまで影響が出ている。
まず便自体がチャーター出来ないし、入国許可も取れるかどうか微妙だ」



そしてなにより、時間がない。ドイツからでも香港からでも、やっぱりここまでは結構かかる。

割合近いドイツからでも、陸路で間に合う・・・・・・わけないよね。うん、分かってた。



「一応、君・・・・・・というか、キョウヤ達に頼みたかったのは、マスタークラスの相手が出てきた時の相手なんだ」





一種の達人が出てきた場合、その相手をするのが恭也さん達の役割だった。

もちろん、エリスさんもそのレベルだと思うけど、それでもだ。で、僕はそれを引き継ぐ形。

この辺り、警防の指示が大きいらしい。スクールのセキュリティは結構厳重。



それでもなお仕掛けてくるということは、それ相応の手札を持っている可能性があるとか。





「でも、僕だって正直マスタークラスかって言われたら怪しいですよ?
魔法なしなら、常に修羅場の中に居るエリスさんより下でしょうし」





ここは結構真面目に思う。魔導師として強くなるのと、魔法無しの純粋な戦闘者として強くなる事。

これらは決して、完全な形でイコールにはならないし、なり得ない。

それがイコールなら、例えばなのはだって、充分マスター級だもの。だけど、現実は全然違う。



なのは、運動関係ちょっとダメだしね。魔法が無かったら、普通の女性だよ。魔王じゃなくなっちゃうのよ。





「もちろん、君一人で手に余りそうな場合は、増援を送る。・・・・・・本当にすまない。
先ほどはあぁ言っておきながら、結局私達は、君の力を頼る事になってしまった」

「大丈夫ですよ。てか、こうなっちゃったらもう関わるしか選択肢ないでしょ。
ま、頑張りますさ。・・・・・・フェイト、それでいいかな」

「うん、私は言った通りだから、大丈夫だよ? 私達は、普通にコンサートを見に来てるだけ」



安心させるように、笑いかけてくれる。それが、少しくすぐったい。

なんというか、くすぐったいけど、嬉しかったりする。



「それで、たまたまどういうわけかそういうことに巻き込まれちゃっただけなんだから」

「・・・・・・ありがと」



非常に悪い意味で空気を読んだストライキな方々には、後で呪いでもかけるとしよう。

とにかく、僕もちょっとがんばらないといけない。指し当たっては・・・・・・少し、錆を落としますか。



「それでヤスフミ、長距離転送はどうする? やるならすぐにでも動くけど」



僕がその言葉に返事をしようとした時、エリスさんの携帯が鳴った。



「あぁ、すまない。・・・・・・はい」



エリスさんは一言断って、電話に出た。

そして、僕は錆落としのスケジュールを纏めて。



「なんだってっ!? それは本当かっ!!
・・・・・・あぁ、あぁそうか。それはよかった」





なんか色々と大変そうだ。でも、当然なのかも。だって、主任さんなんだから。

気苦労も多いと思いつつ、エリスさんの話を適当に聞いていた。

だからかも知れない。この後投げられる爆弾にビックリしたのは。



そう、時として『見ザル・聞かザル・言わザル』も、仇になるのだ。





「それでは、警防の担当者にはしっかりとお礼を言ってくれ。
あとで私からも連絡はするが、それでもだ。あぁ、頼む」



色々考えて・・・・・・あれ? なんで警防の話が出てくるんだろ。



「・・・・・・大事な知らせだ」

≪また真剣な顔ですね。どうしたんですか?≫

「君と君のパートナーに、今回のコンサートの護衛を頼む必要がなくなった。
というより、キョウヤ達も急いで呼ぶ必要が無くなった」



・・・・・・え?



「「えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!?」」










部屋の中・・・・・・いや、スクール中に、僕とフェイトの叫び声が響いた。





でも、仕方ないと笑って流して欲しい。あんまりにいきなりだもの。




















◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



「それでエリスさん、僕達が何かする必要がなくなったってどういうことですか?」

「あぁ、実は・・・・・・」





とにかく、エリスさんの話を聞いた。元々今回の一件は、元々警防が察知した情報。

なので、事前に何とか出来るなら何とかしたいと、向こうに居る美沙斗さん達が動いてくれていた。

で、襲撃をかまそうとしていた連中(幸か不幸か、香港から出ようとしてた)の足取りを掴んだ。



ただし、その時点でもう連中は普通に空港から出立する直前で・・・・・・寸前の差で止められなかった。

そのまま、賊はイギリスに到着。あとは襲撃をかますだけである。でも、そうならなかった。

連中はかけつけた警防隊員の皆様と、空港の警備員によって捕縛され、お縄に付いた。



なぜ捕まえられたかは・・・・・・もう、言わなくてもいいと思う。空港で起きた大規模なストライキだ。





「でも、本当に運がいいのか悪いのか・・・・・・。ストライキのおかげで、犯人達が足止めを喰らったなんて」

≪てゆうか、バカでしょ。普通に裏ルートでイギリスに入ればいいのに≫

「まぁ、それだって色々と手はずが必要だ。簡単じゃないよ」



あ、あはは・・・・・・。なんだろう、あんま喜べないのはどうして?

僕のさっきまでの決意とか、フェイトとリインとのお話タイムとか、色々返して欲しいんですけど。



「それでエリスさん。それだとヤスフミは」

「もちろん、いつも通りの警戒は必要だ。だが、君達はあくまでも招待客として、コンサートを楽しんで欲しい」

「・・・・・・分かりました。でも、何かあったら必ず連絡くださいね?
僕に出来ることなら、なんでもやらせてもらいます」



胸に手を当てて言うと、エリスさんは苦笑気味に『あぁ、分かっている』と頷いてくれた。

とにかく、よかったと思うことにしよう。というか、よかったじゃないのさ。普通に危険な目に遭わなくて済むんだから。



「ヤスフミ」

「うん?」

「よかったね」

「そうだね。・・・・・・うん、本当によかった」










・・・・・・うん、よかったんだよね。





戦いなんて、無い方がいいに決まってるんだから。




















◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



・・・・・・そして、お休みな時間が来た。平和な就寝タイムが来た。

まぁ、普通にコンサートを楽しめるようになったのは非常に嬉しい。

ただ、問題が一つ。そう、とても大きな問題が一つ。





・・・・・・なんで僕は普通にフェイトとリインの部屋で寝てるのっ!?










「・・・・・・リイン、相変わらず離してくれない?」

「くれないね。てゆうか、すごい堅いんですけど。
もう普通にバインドかって思うくらいに堅いんですけど」



あれから、部屋に戻ってリインにテロの危険がなくなった事を話した。

話したら・・・・・・普通に喜んで、背中から僕に抱きついて、そのまま寝た。



「結果、僕は動けなくてこのまま寝て・・・・・・てかフェイト、僕の部屋で寝てもよかったのに」

「ううん、大丈夫。というか、一人はやっぱり寂しいよ」



いや、そういう問題ではなくてですね。あの・・・・・・こう、あのですね?

寝室に男が居るってのが問題とは思わないんでしょうか。



「というか、ヤスフミと一緒の部屋で寝るのは、初めてだね」



嬉しそうに、黄色のパジャマを着たフェイトがニコリと笑う。

なお、ベッドは隣同士。だから、少し距離が近い。



「まぁ、それはね。さすがに一緒はまずいでしょ」

「道徳的なことを言えば、そうだね」



どうやら、一応は自覚はあるらしい。というか、有ってよかった。

だって、普通にまた天然or家族モードでこれかと思ってたから。



「でも・・・・・・私は楽しいかな」

「どうして?」

「ヤスフミともっと仲良くなれる感じがして、楽しい。
それで、嬉しいんだと思う。私、今とてもドキドキしてるけど、嬉しいの」



フェイトが、ベッドで横になりながら僕をどうもこう・・・・・・色っぽい瞳で見ている。

それにドキドキして、意識しまくっている。や、やばい。落ち着け僕。普通に落ち着け僕。



「ね、フェイト。それ、本当?」

「うん」

「僕、フェイトに変な事するかも知れないよ? フェイトとの約束破って、襲っちゃうかも」





少しだけ、フェイトの表情が曇った。そして、困ったような視線を僕に向ける。

僕の言っている意味が分かったんだと思う。てゆうか、僕はかなりやばい。

リインのおかげで動けないし、出来れば僕の部屋で寝てて欲しいというのが、本音。




色んな意味で理性が、コントロールを離れてリミットブレイクしそうで怖い。





「ヤスフミは、そんなことしないよ」

「そんなの分からないでしょ? フェイトが嫌がるのに、押し倒すかも」

「そんな事、絶対にしない」



・・・・・・また『家族だから』とか思われてるのかな。いや、ありえる。

理由? だってフェイトだし。普通にフェイトだし。恋人関係になっても、天然は変わってないと思う。



「ヤスフミは、優しいから」

「え?」

「ヤスフミは凄く優しい。だから、今だって私が怖がらないようにしてくれてる。
・・・・・・脅かしても、ダメだよ? 私、ずっとそういうの感じてるんだから」



出てきた答えはそんな意外なもの。僕の予想を大きく飛び越えたもの。

真剣な瞳で、僕に優しく微笑みながら、フェイトは言葉を続けた。



「あのね、何か勘違いしてるみたいだけど・・・・・・弟とか、家族とかそういうじゃないの。
だって、私はヤスフミの彼女で、ヤスフミは私の彼氏なんだよ? 私の彼氏は、絶対にそんなことしない」



弟とか家族とか抜き・・・・・・な、なんだろう。というか、だめ。

泣きたくなるくらいに嬉しい。普通に嬉しい。



「もしもその・・・・・・そうなっちゃっても、乱暴になんてしない。
私のことちゃんと見てくれる。私の言葉、ちゃんと聞いてくれる」



その言葉から、フェイトが本気で信じてくれてるのが、すごく伝わってきた。

なんというか・・・・・・彼女として、彼氏である僕の事を、ちゃんと。



「・・・・・・えっと、つまりその・・・・・・私は男の子としての、彼氏としてのヤスフミを、信じてるの。信じてるから、ここに居たい。分かった?」

「う、うん。あの・・・・・・ありがと。てゆうか、その・・・・・・嬉しい」

「ううん」










ど、どうしよう。なんか嬉しい。嬉し過ぎてフラグが立ちまくってる。





うぅ、僕フェイトにリードされまくってるなぁ。これ、いいのかな。




















◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



「・・・・・・ヤスフミ、執務官の資格を取るなら、本当に私の所に来る?
局員にならないからかなり難しいとは思うけど、勉強したことは無駄にならないと思うし」

「あのゲンヤさんとサリさんに騙されたも同然の話、まだ信じてたのっ!?
てゆうか、あれはちょっとおかしいからっ!!」





ここからは、二人でお話。内容は将来のこと。というか、ヤスフミのこと。



私の悩みを解消するヒントを見つけるために色々話してたら、いつの間にかこうなった。



・・・・・・うーん、これは色々とダメかも。私、もうちょっとしっかりしないと。





「あ、でも待てよ。フェイトの補佐官になればフラグをより強固に出来るし」

「だめだよ」

「なんか即答でダメ出しされたっ!?」



当然だよ。まぁ、確かにずっと一緒は嬉しいし、楽しいだろうけど、それでもだめ。



「そこで恋愛関係の話を持ち出すの、禁止。そこはそこ、これはこれだよ?」

「う、厳しい」

「当然だよ。だって、その・・・・・・私は、ヤスフミの」



は、恥ずかしい。かなり恥ずかしい。だけど、ちゃんと口にする。

ただの私が選んで、掴んだものがある。だから、ちゃんとそれを口にして、自分に刻み込む。



「ヤスフミの・・・・・・彼女なんだよ?」



胸が苦しい。苦痛というよりは、甘い疼き。六課にヤスフミが来てから、何度も感じたもの。

多分私、今すごく顔が赤くなってる。でもいい。諦めないって決めたんだから。



「彼女だから、優しいだけじゃないの。ちゃーんと厳しくもしていくんだから。分かったかな」

「うん、分かった。・・・・・・でも、僕が執務官か。捜査スキルの向上が全く見込めないのに、いいの?」

「・・・・・・た、多分大丈夫だよ。要は結果だと思うし」





いや、ダメかも知れない。だって、ヤスフミの運の悪さはもうギネス級。

普通に巻き込まれて普通に戦って普通に解決がパターン化してる。

早期解決するのはありがたいけど、さすがにこれは・・・・・・。



私が実際の現場に出ずにノウハウを教えても、本当の意味では身に付かないよね。

うん、付くわけがない。訓練や学習と実際の現場行動とは差が出る。

執務官資格を取る場合、補佐官になって担当執務官に付いて勉強するのが有効なのも、そこが理由。



お祓い、またした方がいいのかな。でも、前にやってもらった時は効果が全く無かったし・・・・・・。





「ね、そう言えば警防で美沙斗さん達には教わらなかったの?」



香港にかなりの頻度行ってたから、そこの辺りではどうなのかと思って、聞いた。

色々違いはあるけど、基本さえつかめていれば・・・・・・あれ、なんだかヤスフミが涙目?



「・・・・・・教えてくれようとはした。だけど、その途端に本命にぶち当たって戦闘に突入して解決というのが」

「あぁ、大丈夫だから。あの、泣かなくていいんだよ? こういうのは人それぞれなんだもの」





でも、ヤスフミが執務官か。運の悪さ故の捜査スキルの低さを除けば、適正はかなり高いかも。

戦闘技能は高いし、警防に出入りした関係で一応魔法以外のやり口やスキルもかなり詳しい。

・・・・・・そう考えるとやっぱり、ヤスフミが局に入らないのは、もったいないと考えてしまう。



嘱託じゃなくて、局員で執務官になったらきっとすごいのになと、本当に少しだけ。

ヤスフミなら、前に母さんが言った通り、局に入って色んなことを変えていけると思うから。

でもまぁ、ここはいいか。ヤスフミ自身が、局を居場所としては思えないんだから。



居られる場所じゃなくて、居たいと思う場所を見つける。

・・・・・・すごく大変だけど、頑張らないといけないよね。

というか、私も見つけたい。キラキラした、私の輝き。私の夢を。



やっぱり、あんな風になりたいな。私も、今の私の夢を見つけたい。





「うーん、勉強するくらいなら・・・・・・まぁ、いいかな」

「あ、やる気出したね」

「やりたいことに必要かも知れないとか考えたら、断れなくなった」

「うん、いいことだよ。・・・・・・ね、やりたいことってなにかな。
やっぱり、ヘイハチさんみたいになりたい?」



ヤスフミは、首を動かして、少し照れ気味に頷いてくれた。

それがなんだか嬉しくて、頬が緩む。



「やっぱりね、なりたいんだ。先生みたいな無茶苦茶強い古き鉄に。というか、あの・・・・・・」

「うん、どうしたのかな」

「・・・・・・魔法使いに、なりたいなと」

「魔法使い?」



なんだろう、魔法使い・・・・・・魔導師とは違うよね。

それなら、今この場で言うはずが無いし。どういう意味だろ。



「うん」



そして、ヤスフミはそのまま少し黙った。だから、私は当然のようにこう聞く。



「ね、それってどういう意味かな」

「あ、あの・・・・・・気にしないで? うん、大丈夫だから」

「ね、もし人に知られたくないことなら、誰にも言わないから教えて欲しいな。
・・・・・・ただね、本当に私にも話し辛いことなら、そこは無理には聞かないよ」

「別に、話し辛いとかじゃないよ。ただ・・・・・・その、馬鹿馬鹿しいかなと」



聞くべきか、私が迷っていると、ヤスフミにそれが伝わったらしい。

ゆっくりと、本当にゆっくりと話し始めた。



「・・・・・・・・・・・・僕ね、リインと初めて会って、リインに魔法の力があるって言われた時ね」

「うん」

「凄く嬉しかったんだ。魔法って、僕にとっては現実のものじゃなかったから。
ファンタジー小説とかアニメとか漫画の中だけの物」



それは、私が聞いたことの無い話。多分、本当にヤスフミが心の中に秘めていたもの。

その記憶は、ヤスフミが普段見せない・・・・・・本当に最初の頃の記憶だから。



「魔法や次元世界・・・・・・そういう知らないものに触れられて、嬉しかった。空っぽな灰色の世界が、そこで初めて壊れた。
それでさ、アニメとかに出てくるみたいな、ヒーローみたいに暴れられるとか、色んなことが出来るとか考えてたの」

「うん」



それは、少し分かる。ヤスフミ、ブレイクハウトみたいなアニメとか小説に出てきた魔法を、いくつか構築してるから。

それを知った時、微笑ましかったっけ。そういうのが好きな部分に、ヤスフミの子どもとしての面を見つけられたから。



「でも・・・・・・実際は違った。全然、違ってた。すぐにね、思い知ったんだ。
僕の魔法は、『魔法』なんかじゃないんだって。そんなの、無理なんだって」



何を指しているのか、すぐに分かった。リインを守るために、人を殺した事を言っている。

だから、ヤスフミは寂しそうな目をする。普段は見せない、本当に寂しそうな目を、している。



「本当に僕の魔法が『魔法』だったら、リインのこと・・・・・・ちゃんと守れた。
約束を破ったりなんて、絶対にしなかった。だけど、結局は守れなかった」



なんだろう、その目を見ているだけで悲しくなる。泣きたくなるくらいに、悲しくなる。

ギュっと抱きしめて、私のありったけで温もりを伝えたくなる。



「それだけじゃない。あの時のみんなのこと、傷つけたりなんてしない。守るためだけに、力を使うことが出来た。
僕の魔法は、『魔法』なんかじゃなかった。魔導師になってから何年経っても、それは変えられなくて、変わらなくて」



胸が締め付けられる。その寂しさがダイレクトに伝わって来たから。

ううん、今も伝わり続けてる。



「魔法使いってね、ようするに・・・・・・そういうことなんだ。
自分が守りたいと思ったもの全部を守れる、そんな『魔法』が使える魔法使いって意味なんだ」



それが、ヤスフミの夢。ヤスフミのなりたい形。私は、驚きを隠せなかった。

本当に大きくて、途方も無くて・・・・・・終着点もわからなくて。



「・・・・・・子どもっぽいでしょ? というか、バカみたいだよね」



そして、ヤスフミもそう思ってる。だから、こんな事を言う。

今にも泣きそうな、怯えたような顔で・・・・・・だから私は、首を横に振る。



「そんなことないよ」



自分をあざ笑うように、悲しく笑っていたヤスフミに、私はそう言った。

ヤスフミは少しびっくりしたような顔で、私をジッと見る。



「フェイト、ホントにそう言える?」

「うん。私は、子どもっぽいなんて、バカみたいだなんて絶対思わないよ」



思うわけが無い。だって、どんな形でもヤスフミの夢なんだから。

私やみんなとは違う。だけど、ヤスフミのとても大切な夢。絶対に、それを否定なんてしない。



「だから、安心して欲しいな。むしろね、とても素敵な夢だと思ったの」

「・・・・・・嘘」

「嘘じゃない、本当だよ。というか、どうして嘘だと思うの?
それはきっと、ヤスフミが自分でそんな風に思ってるからだよ」



まぁ、今までの私の発言のあれこれを考えると、確かにそうなる。うん、そうならないはずがない。

だけど、今はもう『今まで』とは違う。だから、ヤスフミの夢を否定したりなんてしない。



「お願いだから、そんな風に悲しく笑わないで欲しいな。自分の夢を、そんな風に諦めないで」





本当に、嬉しいんだよ? 嘘なんかじゃない。あなたの中にも、ちゃんとあった。やっと見せてくれた。

あなたの輝き、あなたの夢、ずっと知りたかった。見えなくて心配だった。すごく、不安だった。

人を殺した事を理由に、夢や理想を描く事を、諦めていたんじゃないかと、ずっと思ってたから。



でも、違った。ちゃんと、あったんだよね。あなただけの夢が。追いかけたい輝きが。





「私、そんなヤスフミを見てると凄く悲しくなる。そんなヤスフミ・・・・・・見たくないよ」



今のヤスフミは、あの時と同じ顔をしている。あの時、本当にショックだった。

だから、ちゃんと伝える。私の・・・・・・今の私の正直な気持ちを。



「私はね、教えてくれて嬉しい。だって、初めてそんな話をしてくれた。話すの、怖かったのかな」

「・・・・・・うん」

「・・・・・・そっか」



否定されると、思ってたんだよね。ううん、前だったら否定してた。現実味が無かったから。

どんな仕事に就きたいとか、何がやりたいとか、そういうことじゃないというだけで、壊してた。



「でも、『守りたいものを全部守れる『魔法』が使える魔法使い』・・・・・・だよね」



バカ、だよね。やっぱり、私は以前の自分が嫌い。そんなの、絶対に違うのに。

沢山の選択と、沢山の世界があるように、夢の形だって、沢山あっていいのに。



「ヤスフミらしい、とても大きくて、優しい夢じゃないかな」





・・・・・・聞けて、安心した。ヤスフミを見ていて、不安に思っていた部分の一つがやっと解消されたから。

ヤスフミにも、ちゃんとある。追いかけたい夢や自分だけのなりたい形が、ちゃんと。

今までは、それがあまりにヘイハチさんに偏り過ぎているように感じたから、気になっていた。



もしかしたら・・・・・・ヤスフミの言う『魔法使い』にヘイハチさんが一番近いのかも。



だから、ヘイハチさんを追いかけるんだと思う。なんだろう、本当の意味で納得したよ。





「その夢は信じてて、追いかけていていいんだよ? 例え誰が認めなくても、私は認めるから」



少なくとも、私はヤスフミの話を聞いていて、そう感じた。そう決めた。

さっきも言ったけど、ヤスフミがヘイハチさんを追いかけている理由も、納得した。



「というより、ヤスフミの夢なのに、誰よりもヤスフミが信じてあげなくてどうするのかな」



その夢は、あなただけのもの。そこから、沢山可能性が生まれる。

私は、そう思う。だから、伝える。だって・・・・・・私は、あなたが好きだから。



「ヤスフミが信じてあげなかったら、夢は消えちゃう。
そこから生まれる輝きだって、消えちゃう。そんなの、悲し過ぎるよ」

「・・・・・・フェイト」

「だから、信じて? 私は、信じるから」



・・・・・・ボロボロと、泣き出した。それも思いっきり。

だから私は・・・・・・ベッドからそっと起き上がって、ヤスフミの近くへ行く。



「今日のヤスフミ・・・・・・泣き虫さんだね」



左手を伸ばして、そっとヤスフミの涙を拭う。親指で、優しく。

私を見上げるから、安心させたくて優しく微笑む。



「だ、だって・・・・・・」

「・・・・・・よし、それなら」



私は、そのままヤスフミの布団に潜りこむ。

ヤスフミはびっくりして布団から出ようとするけど、私はそれを許さない。



「だめ」



両手を伸ばして、ギュっと抱きしめる。そして、頭を優しく撫でる。

リインは・・・・・・ヤスフミの背中に抱きつく形だから、問題ない。



「逃げるの、禁止」

「あの、フェイト」

「今日のヤスフミは泣き虫さんだから、こうしててあげるね。
・・・・・・エッチな事はダメだけど、ヤスフミの力になりたいんだ」

「いいの?」



少しだけ体を離す。ヤスフミの顔、凄く近い。

互いの吐息がかかるくらいの距離。それにドキドキしながらも、私は頷く。



「うん。・・・・・・大丈夫、死亡フラグなんて吹き飛ばしちゃえばいいんだもの。
というより、それ以上に生存フラグを一緒に立てればいいんだよ。そういうの、あるんだよね」



私が少し茶化してそう言うと・・・・・・やっと笑ってくれた。

それが嬉しくて、そっと頬を撫でる。ヤスフミは、少し体を震わせて、嬉しそうに微笑んでくれた。



「なら、あの・・・・・・フェイトに、甘えてもいい?」

「うん、いいよ。私もいっぱい甘えるから。
それで、生存フラグの立て方について、いっぱい考えようか」

「あはは、そうだね。・・・・・・あの、ありがと」










・・・・・・それから、その辺りも含めてリインを起こさないようにゆっくりと話した。

ヤスフミは本当に不安そうだったから、沢山伝えた。大丈夫だからと、沢山。

一緒に寝てることに関してもそうだけど、ヤスフミが話してくれた事についても、沢山。





だって、本当に素敵な夢だと思ったんだ。そこは嘘でもなんでもない。

守りたいものを全部守れる『魔法』。そして、そんな『魔法』が使える魔法使い。

ゴールがどこにあるかも分からない夢。でも、それでいいと思う。





だって、私の執務官を続けたい理由だって、同じようなものだもの。・・・・・・うん、ここだけは、ブレてない。

ただ、局の中でやる理由がわからなくなってるだけ。本当に、それだけなんだ。

だから思う。きっと夢って、そういうものじゃないかなと、心から。





決められたゴールも、終着駅もなにもない。だけど、それでも追いかけたくなるもの。

それが、夢じゃないかなと、ヤスフミと話していく中で私は思った。

というか、あの・・・・・・えっと、なんだろう。私、凄く・・・・・・幸せ。





ヤスフミの事、もっと抱きしめていたいかも。というか、離したくない。

そうすると、私の中の『好き』の感情がどんどん強くなる気がして、とても嬉しいから。

・・・・・・もっと、強くなりたいな。それで私はもっと、輝きたい。そうして、守りたい。





大好きなあなたと私の今を。そして未来と笑顔を・・・・・・守りたいよ。




















◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



・・・・・・朝の目覚めは、とても暖かくて、やわらかくて・・・・・・幸せな感触だった。

というか、瞼が重い。昨日泣いたせいかな。

てゆうか、フェイトの胸に顔を埋めて・・・・・・あの、えっと、その・・・・・・は、恥ずかしいです。





少し身体を動かす。動かすと、フェイトの顔が動いた。そして、パチリと目が開く。





当然のように、次の瞬間に二人揃って顔が真っ赤になった。










「あ、あの・・・・・・おはよ」

「う、うん。おはよう。というか、あの・・・・・・えっと」

「あのね、謝る必要ないよ? 私がそうしたかったんだから。もう、大丈夫?」

「うん。・・・・・・なんというか、ありがと」



フェイトは、首を横に振りながら、優しく微笑んでくれる。

なんというか、それが嬉しい。うん、とっても嬉しい。ドキドキして、胸が苦しい。



「んにゅ・・・・・・恭文さん、メイド服・・・・・・もう、エッチ過ぎですぅ」



・・・・・・後ろでぐっすりだったリインの寝言で全てぶち壊されたけど。

つーか、一体どんな夢見てるっ!? いくらなんでもこれおかし過ぎるでしょうがっ!!



「と、とにかく起きようか。今日はコンサートだし」

「そうだね」





そして、僕とフェイトが身体を起こしたところ・・・・・・違和感に気づいた。

僕達の身体の合間に、あるものが存在していた。それに、二人して顔を赤くしつつ目を向ける。

存在していたのは、二つのたまご。黒くて、青い点・・・・・・ううん、スターライトだ。



なぜか、それを見た瞬間に感じた。これは、スターライトだと違和感無く。

そして、もう一つのたまご。それは、翠色で銀の十字架の柄が描かれたたまご。

僕には全く見覚えの無い二つのものが、確かにそこにあった。というか、おかしい。



だって、見覚えないし、布団に入ってからもこんなのがあった覚えは全く無い。





「・・・・・・ヤスフミ、これなにかな? あの、私は覚えがないんだけど」

「僕も同じく。てーか、待って? ちょっと待って?
朝食のメインディッシュに使われるにしては、礼儀知らずでしょうが」



なんでベッドの中に、いつの間にかたまごっ!?

これ絶対おかしいからっ! あ、まさかリインがいたずらしたとかかっ!!



『残念ながら違います。というか、失礼です。人を指していきなり朝食のメインディッシュだなんて』





部屋に響いたのは、声。耳障りのいい、心に染み渡る優しい声。

だけど、僕でも、フェイトでも、今僕からようやく離れつつも寝ているリインの声でもない。

僕は部屋の中を見渡す。多少警戒しつつだ。だけど、それは無意味だった。



声は、僕達のすぐ近くからしてたんだから。





『私は食べても美味しくありませんよ? というより、食べられません』

「た、たまごが・・・・・・!!」

「動いてるっ!?」





・・・・・・ゆっくりと、翠色のたまごが僕達の目の前に浮かぶ。

その光景に二人して驚きつつも、たまごが割れた。真ん中からギザギザの割れ目が入って、パカリと。

割れたたまごは下に落ちず、光の粒子となって消えた。そして、その中から小さな子が出てくる。



出てきた子は、閉じていた瞳を開けて、僕を見てにこやかに微笑む。

髪はたまごと同じ色。瞳は青く、服装は・・・・・・なぜか聖王教会のシスター服。

多少デフォルメされたような体型の女の子を見て、完全に頭が固まる。



こ、この子・・・・・・一体なにっ!? てーか、たまごからなんか生まれたっ!!





「うーん、外の世界はやはりいいですね。とても心地がいいですわ」

「あ、あのヤスフミっ!? 今の何かなっ! というか、たまごがいきなり消えたんだけどっ!!」

「・・・・・・あら? もしかして」



その子は、僕と向かい合わせにベッドに座っていたフェイトの方へ振り返り、右や左に動く。

動いて・・・・・・『ふむぅ』と唸る。フェイトは、自分の眼前に居るその子に視線を合わせずに、僕ばかり見て慌ててる。



「どうやら、フェイトさんには私が見えていないようですわね。・・・・・・お兄様」



・・・・・・え、僕?

自分を指差すと、その子は首を縦に振った。



「お兄様は、ちゃんと私が見えているようですね。よかったです。
これでランスターさんルートの如く、1年もたまごの中とかではないですから」

「いきなりおのれは何の話をしてるっ!? てーかティアルートってなにっ! そんなの存在しないからっ!!」

「ヤスフミ、誰と話してるのっ!? というか、あの・・・・・・このたまごなんなのっ!!」



あー、お願いだからフェイトも僕の肩を掴んでぶんぶん振り回さないでー! 僕だってわけ分からないのー!!

というか・・・・・・そ、そうだっ! この場合はまずこの子に聞く必要があるっ!!



「まず、おのれは誰っ!? てーか、このたまごは一体なにっ!!」

「あ、そう言えば説明していませんでしたね。
・・・・・・初めまして、私はシオンと言います。お兄様のしゅごキャラですわ」

「・・・・・・しゅごキャラ?」




















◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



・・・・・・とにかく、フェイトをいったん落ち着かせて、騒ぎで目を覚ましたリインや、空気を読んでスリープモードにしてたアルトと一緒に話を聞く。





というか、僕が話を聞く。だって、なんか僕が原因らしいし。










「・・・・・・まず、このスターライトのたまごと、私が入っていたたまごは、しゅごたまと言います。
しゅごキャラは、そのしゅごたまから生まれてくる、とっても不思議な存在なんです」

「よし。不思議なのは分かるけど、自分で言うな。なんかムカつく」





子どものこころの中には、誰でもたまごがある。

それは、なりたい自分や夢、未来への可能性が詰まったこころのたまご。

大人になると、たまごはかえる。だけど、ごくたまにその前にたまごが変化する事がある。



その変化したたまごが、しゅごたま。で、そのたまごから産まれてくるのが、しゅごキャラ。

たまごを産んだ宿主の『なりたい自分』が形になった存在。

なお、たまごを二つ産むのもかなり珍しいとか。



・・・・・・いやいや、ちょっと待ってっ!? それおかしくないかなっ!!





≪この人、子どもじゃありませんよ? 普通にもうすぐ大人ですし≫

「そうそう、僕子どもじゃ・・・・・・え、なに普通に会話聞いてるっ!?」

≪見えてるから当然じゃないですか≫



はぁっ!? なんでフェイトが見えないのにアルトが見えてんのさっ!!



「あ、リインも見えてますよ。というか、シオン可愛いですー♪」

「リインさん、ありがとうございます」

「あ、あの・・・・・・何か居るの? 私はちっとも分からないんだけど。
というか、三人とも誰と話してるのかなっ!? ちゃんと私に説明してー!!」

「あぁ、フェイト落ち着いてー! 大丈夫、もうちょっとで話聞き終わるからっ!!」



やばい、フェイトがなんか蚊帳の外に置かれているせいか錯乱してる。

早めに話進めないと、まずいことになるかも。



「で、シオン。シオンやこのスターライトのしゅごたまを、僕が産めたのはどうして?」

「まず、先ほどの説明では子どもにだけ限定しましたが、こころのたまご自体は大人でも持っている場合があるんです」



・・・・・・どういうことですか? だって、さっきの話だと、大人になったらたまごはかえるんじゃ。



「大人でも夢を諦めず、一途に見続けている人の中には、ちゃんとなりたい自分が、たまごが存在しています」

「あ、もしかして恭文さんもそれになるですか? 恭文さんはもうすぐ大人ですけど、たまごを持ってた」

≪この人の持っていたこころのたまごが変化して、あなたシオンやこのたまごが産まれたと≫

「はい」



・・・・・・まぁ、納得した。というか、もしかして昨日そういう話をフェイトとしたから産まれたのかな。

ということは・・・・・・ちょっと待って? もし完全に諦めてたら、この子達消えてたんじゃ。



「その通りです」

「いきなりなにっ!?」

「いえ、表情からお兄様の考えを読ませていただきました」

「なんかすっごい怖いスキル保有してるっ!?」



とにかく、『なりたい自分』という概念はとてもあやふやであいまい。だから、消えやすい。

宿主がそれを信じられなければ、本当に簡単に自分達は消えるとシオンは話す。



「まぁ、お兄様がちゃんとなりたい自分を信じてくだされば、問題はないんですよ?」

「・・・・・・マジで追いかけろと?」

「はい。というより、そのつもりですよね。・・・・・・私はお兄様にとって、もう一人の自分です。
だから、分かります。お兄様の中の想いが、願いが、今までにないくらいに強くなっているのを」

「さぁ、どうだろうね」





それに対して、僕はお手上げポーズで答える。だけど、シオンは変わらずに、どこか嬉しそうに微笑む。



とにかく・・・・・・フェイトに説明した。このたまごの事とか、たまごは消えたわけじゃなくて、なんか産まれただけだと。





「・・・・・・・・・・・・嘘じゃ、ないよね。私のこと、三人で騙そうとしてるとか」

≪残念ながら違います。私もそうですし、リインさんも見えてるんですよ。声も聞こえるし話も出来ます≫

「なら、そのシオン・・・・・・だよね。どうして、私にはその子が見えてないの?
バルディッシュもサーチ出来ないって言うし、そこが分からないよ」

「なんかさ、しゅごキャラって誰でも見えるわけじゃないんだって。
同じしゅごキャラの宿主同士とかしか、見えないって言ってる」



もしくは、まだこころのたまごが生まれていないくらいに小さな子どもとか、霊感が強い人くらいしかダメとか。

まぁ、フェイトは大人だしなぁ。もしかしたら、見えてないのはそれが理由なのかも。



「というか、今フェイトの目の前で『あっかんべー』してる」

「うそっ!?」



残念ながら、事実です。今はフラダンス踊ってるし。



「・・・・・・あぁ、ごめん。私はダメみたい。本当に見えないんだ。
うぅ、なんか悔しい。リインもそうだし、アルトアイゼンにも見えてるのに」

「あぁ、落ち込まないで? 大丈夫だから。きっと見えるようになるから。
それでシオン、僕はこれからどうすればいいの?」



シオンはフラダンスを止めて、僕に向き直る。

表情は、どこか不敵にも見える微笑を浮かべたまま。



「特にここから何か戦いが始まるとかはありませんので、安心してください。
というより・・・・・・そうですね、それでは、一つだけお聞きしたいんです」



その言葉に僕は首をかしげる。かしげると・・・・・・シオンの表情が変わった。

少し真剣な顔で、僕を真っ直ぐに見ながら口を開いた。



「信じて、くれるんですか?」

「・・・・・・はい?」

「あまりにいきなりですし、正直今のフェイトさんのように、戸惑うのが正解だと思うんです。
だけど、お兄様は本当に私の事を受け入れてくれようとしているので」

「うーん、おかしいかな。というか・・・・・・なんだろ。
話を聞いてね、なんだか嬉しかったからかな」



もちろん、驚きや戸惑いはある。だけど、それ以上に嬉しい。うん、嬉しさでドキドキしてる。

知らなかった事、不思議な事、未知の領域に触れた事が嬉しくて、ドキドキしてる。



「あとは、この子を触ったからかな」

「もう一つのしゅごたまですか?」

「うん」



両手で大事に持っていたスターライトのたまごを見る。

・・・・・・やっぱり、スターライトだ。そうとしか思えないよ。



「・・・・・・触った時に、なんかすごく暖かくて優しいものを感じたんだ。
嬉しくて、ドキドキして、泣きたくなるくらいに感情が高ぶる何かを」



上手く言えないけど、信じられるのはそのおかげ。触ってるだけで、疑いの気持ちが消えた。



「だから、大丈夫だよ。シオンは僕のしゅごキャラなんだし、ちゃんと衣食住は面倒を見るよ。
ただ・・・・・・今かなり厄介な事件に首を突っ込んでるんだ。もしかしたら、かなり大変かも」

「その辺りについては分かっています」



分かってるんかい。あの、そこは色々ビックリなんですけど。



「・・・・・・大丈夫です。ただ、忘れないで欲しいんです。お兄様の願いを、夢を。
そして、『なりたい自分』を。何をしても、どこに居ても、決して忘れないでください」



シオンは右手で緑色の腰まである長い髪をかき上げて、自信に満ちた表情で、こう言い放つ。



「それが出来るなら、私のありったけで、あなたの想いを通す手伝いをします。
しゅごキャラはいつだって、宿主あなたの味方なんですから」

「・・・・・・ありがと」

「いいえ、お礼を言うのはこちらです。お兄様、これからよろしくお願いしますね」










こうして、新しい仲間が予期していない方向で加わった。





でも、しゅごキャラ・・・・・・こころのたまご・・・・・・。





やっぱり、嬉しい。ドキドキが止まらないや。




















◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



とにかく、シオンを連れて僕達はコンサート会場に向かうことになった。

関係者の方々に挨拶しつつ、会場のホテルを回る。

まぁ、知り合いも多いので、一応。で、次は・・・・・・フィアッセさんだね。





そして、色々と有名な方々に挨拶したせいか、フェイトが凄まじく緊張気味だし・・・・・・あの、大丈夫?










「う、うん。そう言えばヤスフミ」

「なに?」

「シオン、居るんだよね」

「うん、僕の頭の真横に」



人差し指でその箇所を指すと、シオンがフェイトに向かってニッコリと笑った。

まぁ、見えるどうこうはともかくとして、そうしたいらしい。



「やっぱり、昨日のお話が原因なのかな」

「・・・・・・そうかもね。なら、フェイトに感謝しないと」

「どうして?」

「だって、フェイトが僕の夢・・・・・・なりたい自分を、ちゃんと認めてくれたから」



リインとアルト、先生と師匠には、最初の頃に話したから知ってる。だけど、他には言えなかった。

ううん、言って否定されるのが怖くて、それでずっと黙ってた。



「あの、ありがと」

「・・・・・・ううん、お礼なんていいよ。だって、私がそうしたかっただけだもの。
でも、ちょっと残念だな。私もシオンとお話したかったのに」

「そうだね。・・・・・・でも、しゅごキャラの宿主以外も見えるみたいだし、もしかしたらフェイトもいつの間にか話せるようになるかも」

「だったら嬉しい。うん、いつかそうなってくれると本当に嬉しい。あ、それとね」



・・・・・・うん、どうした?



「私も、疑いが消えた」

「え?」

「ほら、ここに来る前にヤスフミにたまご触らせてもらったよね? ・・・・・・凄く、暖かかった。優しくて、懐かしくて、ドキドキした。
あの暖かさを感じたら、ヤスフミがすぐに信じた理由が分かった。なんだろう、上手く言えないけど、信じられたの」

「・・・・・・そっか。なら、嬉しいな」





そして、あれこれと話しながら僕達は、二人が待つ控え室に行く。



でも・・・・・・コンサート、やっぱり楽しみだなー♪





「・・・・・・恭文さんとフェイトさん、何があったですか? なんだか一晩で凄く仲良くなってるです」

「リインさん、色々あったんですよ。でも・・・・・・お兄様、失念していますね」

「何をですか?」

「クリステラさんとちゃんとお話をしなくてはいけないというのに。浮かれてばかり居ては、足元をすくわれるのがオチです」





・・・・・・シオン、失念してないよ。ちゃーんと分かってる。

フィアッセさんに、しっかり話さないとダメだよね。

なんて考えながら普通に歩いていたら、向かい側から歩いていた人と、ぶつかった



うん、僕じゃなくてフェイトがね? それで、フェイトは即座に謝る。





「あ、ごめんなさい」

「いえ」



ぶつかったのは、女の子。僕より少し身長が高くて、綺麗な子。



「あの、大丈夫かな」

「大丈夫です。というか、すみませんでした。・・・・・・あら」





金色の髪に凛とした瞳のその子は、真っ直ぐに僕を・・・・・・ううん、シオンを見ていた。

というか、僕もその子を見ていた。というか、その子の隣に浮かんでいた二人の子を。

白い服を着た金色の髪の天使っぽい子と、赤い服を着たショートカットの女の子。



体型的には、シオンと同じくらい。というか、あの・・・・・・ま、まさかこの子達も。





「そこのあなた、キャラ持ちなの?」

「・・・・・・あの、まさかとは思うけど」

「バッチリ見えているのですっ! しかもしかも・・・・・・たまごをもう一個持っているですねっ!?」



な、なんか白いのが僕の周りをバッサバッサと飛び始めたっ!? てーか、普通に赤いのが懐を探ろうとするしっ!!



「歌唄、どうする? ほら、もしかしたらエンブリオかも知れないしよ」



・・・・・・エンブリオ?



「別にどうもしないわよ。てゆうか、今は休暇中よ? 面倒な事はごめんよ。
・・・・・・でも、少しビックリした。こんなところでキャラ持ちに会えるとは思ってなかったから」

「というか、歌唄ちゃんと同じように、たまごを二個持っているのも珍しいのです」

「え、えっと・・・・・・あのヤスフミ、どういうことかな。私は今ひとつ話が分からないんだけど」

「簡単だよ。この子、僕と同じでしゅごキャラ産んだ子みたい」

「えぇっ!?」




















◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



それから、近くの休憩所で少し話す事にした。まぁ、旅の中の出会いを大事にしようとしたのである。





それで自己紹介して、向こうの名前も聞いた。名前は、月詠歌唄。





なんでもこの子は歌手の『たまご』で、その勉強のためにこっちに来ていたらしい。










「歌唄ちゃんは、元々フィアッセさんのファンだったのです。
それで、見聞を広げる意味合いもあって、一人イギリスに来たのです」

「どーだ、すげーだろ」

「えっと、月詠さんはお歳が12でしたよね。中学に入りたて」



シオンが、さっき聞いた話を纏める。なお、誕生日は11月の9日だそうです。

あー、そっか。確かにそれだとまだ12だ。今、8月の下旬なんだし。



「確かに、その段階でここまで一人旅は凄いです」

「そうです、歌唄ちゃんはすごいのですっ!!」



それで、向こうのしゅごキャラの事も教えてもらった。今話している白い子がエルで、赤い子がイル。

でも、しゅごキャラ産んだ日にキャラ持ちに会うなんて・・・・・・なんだろう、この引き。



「エルもイルも、余計な事言わないの。でも、アンタ・・・・・・」



なんだろう、僕の事をジッと見る。てゆうかなんだろう・・・・・・僕、この子と初めて会った気がしない。

うーん、どっかで見たような気がするんだけどなぁ。



「ね、どっかで会った事がない? 私、どうも初めて会った気がしないのよ」

「やっぱり? いや、僕も同じなのよ」

「ヤスフミ、この子と知り合いなの?」



でも、なんだろう・・・・・・こう、思い出せない。



”会った事あるじゃないですか”



いきなりそう言ってきたのは、アルト。・・・・・・え、何時?



”私も今この人を見て、過去のメモリーを調べたりして思い出しました。
ほら、あなたが恭也さんと美由希さんと一緒にコンサート警備をした時ですよ”

”それって、私とヤスフミが大喧嘩した時だよね”

”あの時に? ・・・・・・あ”





待てよ、確か・・・・・・フィアッセさんがアンコールが終わった時に、小さな子に花束を渡されてたっけ。

なんか、スポンサーの家の子とかなんとか。あぁ、有った有った。で、僕も側に居たわ。

それを微笑ましいとか思ってて・・・・・・そうだ、その子に包帯だらけの姿を見られた。



それで、泣きそうな顔で心配されたんだ。僕、おっさんストーカーとやりあった直後だったから。

その子は、金色の髪をツインテールにしていて、クリクリした綺麗で輝いた瞳をしてた。

今みたいに薄着で肩を出したラフな格好じゃないけど、それでも可愛くて・・・・・・。



そこを踏まえた上で、もう一度あの子を見てみる。・・・・・・あれ?





「もしかして、あの時フィアッセさんに花束を渡してた子っ!?」

「もしかして、あの時フィアッセさんの側に居た子っ!?」



そうだ、僕達はようやくそこで思い出した。本当にちょっとだけではあるけど、互いに面識があったのだ。



『それがなんでここに居るのっ!!』

「・・・・・・ぴったりハモったし」

「てゆうか、初対面なのに息が合ってるのです」

「お兄様と歌唄さんは似たもの同士な印象でしょうし、そのせいではないでしょうか」




















◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



それで、思いっきり意気投合して、フィアッセさんの楽曲の話とかになって・・・・・・。

まぁ、フェイトとリインを蚊帳の外にしてしまったのは非常に申し訳がなかったりした。

なお、後で謝り倒した。うん、すっごい謝り倒したもの。二人とも、笑って許してくれたけど。





それで、その場のノリでメールアドレスと電話番号を交換する話になって・・・・・・まぁ、デビューしたら教えてくれるとも言ってたっけ。










「・・・・・・てゆうか、恭文でいいの? 一応年上なのに」

「歌唄より小せぇけどなー」

「イル、うっさい」



てーか、そうなんだよね。普通にこの子、僕より3センチくらい高いんだよね。

最近の子どもって、発育いいのかな。・・・・・・いや、僕が悪いのか。



「とにかく、僕は呼び捨てでもいいよ? 年下とか年上とか、そういうの苦手だし」

「・・・・・・そう」



なんて言いながらも、どこか嬉しそうに笑う。・・・・・・でも、偶然って本当にあるんだなぁ。



「でもでも、異国の地でこんな形で再会するなんて、ロマンチックなのですっ! 運命の出会いなのですっ!!」



そしておのれは僕達の頭上でバッサバッサと羽ばたくなっ! うるさいからっ!!



「エルさんの羽の羽ばたき音は、あまりロマンチックではありませんけどね。一体どこのカラスですか」

「シオンが酷いのですー! エルはカラスじゃないのですよっ!?」

「じゃあ、ハゲタカですか?」

「それも酷いのですー!!」



・・・・・・しゅごキャラ同士で会話しているせいか、シオンはイルやエルと楽しそうに話してた。

というか、もう仲良しになってしまった。だから、そんなこと言いながら、名残惜しそうにハグなんてする。



「じゃあ、恭文。なんか用事あったら、メールしてきていいから。
・・・・・・アンタの周り、キャラ持ちとか居ないんでしょ?」

「全く居ないね。フェイトも、知らないよね」

「う、うん。今日の朝ヤスフミから聞いて、初めて知ったくらいだから。
多分、私達のコミュの中で知ってる人、ほとんど居ないんじゃないかな」

「なんかあったら、相談してきていいわよ。暇だったら乗ってあげる。
これでも、キャラ持ちとしては先輩だから」



ありありと『仕方ないなぁ』という体で言ってる。だけど、僕もフェイトも、リインもシオンも分かった。

この子、きっと優しい。なんだろ、こういうところにすごく親近感を感じてしまったのは。



「うん、じゃあそうする。歌唄・・・・・・ありがと」

「礼なんていいわよ。じゃあ、またね」

「うん、またね」





そのまま、歌唄達とは別れた。後ろから手を振ると、歌唄はこっちを見ずに振り返してくれた。

観覧する席が違うし、僕達はコンサートが終わったら、すぐに帰っちゃうから、このまま。

でも、なんだろう。やっぱり・・・・・・来てよかった。嬉しい事、楽しいことに、また出会えた。



シオンも、他のしゅごキャラとお話出来て本当に楽しそうだったし、よかったなぁ。





「ヤスフミ」

「なに?」

「お友達になれそうだよね」

「うん、なれたらいいよね」










月詠歌唄。歌手の『たまご』かぁ。それで、そのしゅごキャラのイルとエル。





なんだか、面白い子達だったなぁ。ん、やっぱり旅は面白い。




















◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



「歌唄、ホントによかったのか?」

「いいわよ」





コンサート会場の私の席に到着。そこに腰を下ろすと、イルが少し不満気に言って来た。

まぁ、原因は分かる。あの子が持っていたもう一つのたまごが、その原因。

あれがもしかしたら、エンブリオかも知れないって言いたいんでしょ。実際、私もそう思った。



キャラなりして奪い取るってのも考えたけど、やめたわ。

だって、せっかくの一人旅なのに、イースターの事を持ち出すなんて、バカらしいもの。

そう、今日の私は、コンサート観覧に来ただけ。イースターの業務なんて、知らない。



なにより・・・・・・なんか、そんな気にならなかった。なんでなのかしら。





「でもでも、エルもあのたまごは気になるのです。
こう・・・・・・今まで見てきたたまごとは、少し違うというか、なんというか」

「まぁ、シオンの奴がさりげなくガードに回ってたから、どうにもならなかったんだけどよ」

「なら、いいでしょ? コンサート前に、変な事言わないで」

「・・・・・・歌唄ちゃん、もしかして恭文さんにフォーリンラブですか?」

「違うわよっ!!」










・・・・・・・・・・・・あの包帯だらけの男の子の事、実はよく覚えてた。

というか、最初に会った時に気づいてた。とても印象的だったから。

ボロボロで、痛々しくて、だけどどこか誇らしげで、スッキリした顔をしてた。





それで・・・・・・輝いてた。うん、あの時の恭文は輝いてた。

側に居たフィアッセさん達とは違う輝きに、私は魅せられた。

それからずいぶん時間が経って、あの頃の記憶なんて薄れてたけど、それでも覚えてた。





でも、本当に偶然ってあるのね。それで恭文、あの時よりずっと輝いてたし。

そこは、嬉しかったな。・・・・・・って、私なに言ってるんだろ。会って二度目なのに。

でも、仲良くはなれそうなのよね。普通に話も合うし、ノリも似てるし、同じキャラ持ちだし。





まぁ、アレよ。メールなり電話が来たら・・・・・・ウザくない場合に限り、ちゃんと応対してあげましょ。




















◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



「・・・・・・フェイトちゃん達は今日の夜に戻りかぁ」

「しかし、この状況でフェイトちゃんがアイツの肩持つとは思わんかったよ。
やばいな、最終決戦前に変なフラグ立ってるんやないか?」

「それはまずいよね。普通にそういうのは死亡フラグだもの。
はやてちゃん、やっぱりフェイトちゃんには、恭文君以外にもう一人付けた方がいいよ」

「そやな。そうせんと二人揃ってお亡くなりとかありえそうで怖いもん」





夕方、部隊長室でなのはちゃんと旅行中の三人についてあれこれお話。

うちら親友としては、色々気になるのですよ。そりゃあもうとんでもなく。

フェイトちゃん、なんやあれから普通にフラグ立ってる人っぽいなぁ。



・・・・・・マジでどないしたんやろ。むしろへし折れる事ばかり続いてる思うんやけど。





「はやてちゃん、それはやてちゃんが言う権利ないって。
その折れる事ばかり続く最大の要因は、はやてちゃんだよ?」

「あぁ、そこは言わんといてよ。うちもめっちゃ反省しとるんやから。
アレよ。フェイトちゃんとマジであかん時は、うちの胸で恭文のバナナ挟むし」

「だからそれはもういいからっ! どうしてそっちにいっちゃうのっ!?」



そんなの簡単や。・・・・・・とりあえず、懐からあるものを出す。

それをなのはちゃんに渡す。なのはちゃんは首をかしげながらそれを受けとる。



「何これ?」

「『うち×恭文』のエロ本。勢いで書いてみた。なお、反省はしていない」

「だからなんで書いてるのかなっ! そしてどうしてそれを普通に制服に忍ばせてるのっ!!」



まー、そこは気にせんで欲しいわ。普通にうちの趣味やから。

ちなみに、『恭文×なのはちゃん』とかも書いてみた。こっちも力作や。



「・・・・・・それで、恭文君達は帰りは本局の転送ポートだっけ」

「いや、フェイトちゃんの長距離転送で、直接六課隊舎に戻ってきてもらうことにした。
メールも内緒の回線で送っといたし、ちゃんとしてくれるわ」

「え、局の施設使わないの? またどうして」

「一応二人して狙われてる身やからな。・・・・・・それに、なのはちゃんかて聞いてるやろ?」



六課に妙なねずみが入ってる可能性も捨て切れん。そのためにこれや。

局の設備を通してやと、妙な干渉をされる可能性もある。行きは大丈夫やったけど、それでもや。



「・・・・・・それなら、許可しないほうがよかったんじゃ」

「まぁ、アレよ。うち、アイツに関しては非常に迷惑かけまくってるやんか。
少しくらいはお返しせんと、バチ当たるやろ。せめてフェイトちゃんと二人っきり」



で、過ごせればえぇなと思って休みを許可した。いや、うちかて罪悪感くらいあるもん。



「・・・・・・やないんよなぁ」

「リインには空気を読ませるべきだったのかな。でも、私達でも止められなかったし」

「リインが居た方が、ユニゾンも使えるから助かるんは事実やけど、実質コブ付きやし、色っぽいことにはなるはずないか」



なお、現在居る部隊長室に妙なもん(盗聴器等々)が仕掛けられてないのを確認した上で話しとる。

警戒し過ぎなくらいでちょうどえぇやろ。六課は向こうから見ると鴨がネギしょってるのと同じやもん。



「とにかく、帰りの事は納得した。まぁ、コンサートは無事に終わったそうだし、もうすぐだよね」

「そやなぁ。帰ってくる直前にも通信かけてくるそうやし、のんびり待っておこうか。
・・・・・・次はコブ付きやない方向で旅行させてあげたいなぁ」

「あははは、そうだね」










・・・・・・ほんま、のんびり過ごせるよなぁ。まーた事件が全然進展しなくなってもうてるし。





これ、嵐の前の静けさっちゅうやつなんかな。なんや、厄介な事にならんとえぇけど。




















(第19話へ続く)




















あとがき



シオン「というわけで、私が生まれた話、いかがだったでしょうか?
最近、作者は『なぎひこさん×高町一等空尉』のイメージが離れないそうです」

恭文「いやいや、どうしてそこっ!? てーか、なんでそうなるっ!!」

歌唄「またとんでもないボール投げるわね。それ、ありなの?」

シオン「相性はいいのではないかということだそうです。というより、あの人はもうどうしていいのか分からないじゃないですか。
スクライア司書長は空気だし、フレイホークさんも同じ道を辿る可能性が高い。そうなると、新しい可能性は必要なんです」

恭文「確かに、なぎひこならまだなんとか・・・・・・ほら、将来性があるし、女心も分かるから、なのは相手でもやれるかも」

歌唄「というか、あの人は・・・・・・そこまで?」

恭文「残念ながら、同年代は全滅だしね。もう、それしかないと言えば、そうなるのよ。
あぁ、どうしよう。これでマジで『なぎひこ×なのは』が成立したら、本当にどうしよう」

歌唄「いや、泣かないでよ。なんだか大変そうだけど、泣かないでよ」

シオン「とにかく、こうしてお兄様はクライマックスになっていくわけですね。
あ、本日のあとがきのお相手はシオンと」

歌唄「やっと登場したわ。あと、デビュー前だから本名出演のほしな歌唄と」

恭文「なんか色々大変だった蒼凪恭文で、今回のあとがきはお送りしたいと思います。
・・・・・・てーか、ちょっと待ってっ!?」





(青い古き鉄、ドンと机を叩く。ちょっと怒っている様子)





シオン「どうしました、お兄様?」

恭文「なんでおのれ出て来るっ!? 前回のあとがきで10話先とか言ってたでしょうがっ!!」

シオン「・・・・・・そうでしたっけ?」

恭文「そうだよっ! ほら、証拠だってここにあるしっ!!」





◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



・前回のあとがきの一部分





あむ「それはもう無理だよ。だって、これはRemixであって、犬鍋のお話じゃないし。・・・・・・って、あれ?」

恭文「ちょっと待って。・・・・・今、誰が喋ったっ!? 僕じゃないし、あむでもないよねっ!!」

あむ「ち、違うよっ! てーか、アンタ誰っ!!」

???「それは・・・・・・『10話先』ですね」

恭文・あむ「「また結構先っ!?」」





◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



歌唄「確かに言ってるわね。ね、これどういうことよ。てーか、この『???』はアンタでしょ?」

シオン「はい、そうです」

恭文「だったら、これはなにっ!? ワケ分からないんだけどっ!!」

シオン「お兄様、その答えはとても簡単ですよ? ・・・・・・ただの誤字です」

恭文・歌唄「「なんか平然と言い切ったっ!?」」

シオン「あー、どうしましょう。報告が無かったので、全く気づきませんでした」

恭文「するわけあるかボケっ! 10000歩くらい譲ってこれが誤字だったとしても、報告されたら逆に嫌だよっ!!」

歌唄「そうよっ! さすがにこれはありえないでしょっ!?
・・・・・・さすがはアンタのしゅごキャラね。発言から規格外だし」

シオン「当然です。私という存在は、規格などと言う檻に押し込められるほど小さくありません」





(シスター、平然と言い切る。言い切りながら、右手で髪をかき上げる)





恭文「そういう意味じゃないよっ!? 全然そういう意味じゃないからっ!!
・・・・・・あぁ、もうここはいい。でも、なぜにシオンがしゅごキャラ?」

歌唄「そうよね、女装でシオンは出てないもの。まさかアンタ・・・・・・女装したいとか?」

恭文「そんなことないからっ! てーか、アレはダメージデカイのよっ!?」

シオン「そことは全く関係がないんです。・・・・・・私は、お兄様の理性的な部分の補完で生まれてますから」

歌唄「どういうことよ」

シオン「タイプ的には、日奈森さんのランさん達と同じということです。
今のお兄様の未成熟な部分を補う形で、私です。ほら、お兄様は脳筋じゃないですか」

歌唄「あぁ、そうよね。経験からしか物を言えない、頭の悪い子よね」

恭文「もしかして、お前ら僕のこと嫌いっ!? てーか、脳筋って言わないでー!!」





(それでもドS歌姫とシスターは、止まらない)





シオン「まぁ、この辺りは本編で詳しくやりますけど、私はお兄様の足りない部分を補完するしゅごキャラとだけ、言っておきましょう」

歌唄「今の自分のダメというか、足りないと思う部分を変えたいと思う事で、産まれたということね。
まぁ、あむや唯世とかは分かるのよ。なら、アンタは? というか、恭文は?」

シオン「お兄様の場合、自分に足りない理性的かつ論理的な部分を補おうとして、私なんです。
あとは・・・・・・性格ですか? お兄様はなんだかんだで、押しが弱い方ではありますから」

歌唄「戦い以外はヘタレだったりとか?」

シオン「それもありますけど、お兄様はいつも言っています。『自分は弱い』と。
だからこそ、野上さんのセリフなんです。何度も、何度も、唱え続ける」

歌唄「そういう部分から、アンタに繋がったってことかしら。
唯我独尊というか、最強キャラというか。でも、女性なのはどうして?」

シオン「お兄様の中で、そういう部分が強いのは、女性という印象があるんです。
多分、リンディさんなどを見てきた影響でしょうね。だから、私の髪も翠色」

恭文「なに適当な事言ってるっ!? てーか、そこは設定無かったでしょうがっ!!」





(今、適当に言ってみました)





シオン「とにかく、ここから八面六臂の大活躍ですわ。というか、私とキャラなりして、スカリエッティ一味は全員潰しますから」

恭文「そんなことしないよっ!? というか、出来ないでしょっ!!」

シオン「クロックアップすれば、遠慮なくやれます。聖王ヴィヴィオさんだって、瞬殺です」

歌唄「そんなこと出来るのっ!?」





(注:出来ませんし、しません)





シオン「でも、キャラなり時の身体能力が、魔導師のそれに負けていないのは、クロス28話の考察で証明済みですし」

歌唄「まぁ、そうよね。あむ達は単純に戦闘経験がなかったからアレなだけであって、能力的にはかなりのものだし」

恭文「いや、だからってキャラなりで戦闘は・・・・・・」

シオン「グダグダ言わないでください。私もあの人達叩き壊したいんですから」

恭文「なんでいきなりちょっとキレるっ!? てゆうか、思いっきりシオンの感情かいっ!!」
・・・・・・と、とにかく本日はここまで。お相手は、色々と頭が痛くなってきた蒼凪恭文と」

シオン「愛に往き、愛に殉じる女、シオンと」

歌唄「もっと出たいとか思ってしまうのは間違いじゃない、ほしな歌唄でした」

恭文「一応出番はあるとか言ってたよ? まぁ、ゲスト的というか、電話越しにだけど」

歌唄「そうなのっ!?」

恭文「うん。アドレスとか交換したから」










(そして、三人でやっぱり仲良さげに手を振りつつ、カメラがフェードアウトしていく。
本日のED:Buono!『ホントのジブン』)




















あむ「・・・・・・やっちゃったね」

恭文「もう引けない。もう引けない。そうだ、もう引けないんだ」

あむ「でも、これで歌唄IFは繋がらないよね」

恭文「いや、繋がる。ここからというか、前回のお話からのIFになっちゃうけど」

あむ「出来るのっ!?」

恭文「だから、僕がフェイトにあれで振られるでしょ? どうしても弟としてしか見れないって」

あむ「別にフェイトさんが諦めてるからじゃなくて、本気で考えて答えを出したってことだよね。
あと、ティアナさんIFで話に出た、恭文が人を殺したどうこうも、当然違う」

恭文「うん。それで、コンサートには僕一人で行くの。
というか、みんなに黙って、書置きだけ残す。なお、予定通りに3泊4日」

あむ「それはまた・・・・・・凄まじく大騒ぎになるって」

恭文「だって、傷心旅行だからいいのよ。それで、歌唄と会って、落ち込んでるのとか見抜かれるのよ。
今回フェイトが言ったのと同じ事を、歌唄の言い方でちょっとキツメに言われて」

あむ「恭文のたまごとシオンが産まれるってことかな。
それで、そこから時間経過でしゅごキャラクロスになって・・・・・・」

恭文「その間、僕とは友達付き合いが続くのよ。
だけど、エンブリオ事件で敵対関係になって、その中でこう・・・・・・意識し合うの」

あむ「なるほど、それならまだ・・・・・・あ、それならあたしやりまIFにも発展出来るよね。
本編よりは無理が少ない。というか、恭文が楽になる」

恭文「でしょ? ・・・・・・うし、これでしゅごキャラのキャラとのIFは、書けるようになった」

あむ「でも、やや以外なんだよね」

恭文「・・・・・・赤ちゃんキャラだしね。僕はもう認めてるけど、作者がイメージ浮かばないのよ」

???「あむちーと恭文・・・・・・は、まぁいいけど、作者が酷いよー! というか、ややだって頑張れるよっ!?」










(おしまい)





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