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小説(魔法少女リリカルなのは:二次小説)
第3話 『平和な日常?』



「・・・・・・せっかくだし、訓練に参加したらどうかな。そうすれば、きっとみんなと仲良くなれるよ。
それに、外回りの付き添いは、シャーリーも都合を合わせてくれるって言ってくれてるんだ」

「却下します」

「どうしてっ!?」



午後のお仕事は、オフィスでフェイトの事務処理の手伝い。外でも中でも、フェイトは大忙しなのだ。

で・・・・・・手伝いしながら、そんなことを言ってくる。当然のように却下した。



「ごめん、ちょっと待ってて」

「え? あのヤスフミ、どこ行くのかな」

「ちょっと大事なお話をしてくる」



とりあえず、オフィスから出て僕は通信をかける。それは・・・・・・あの空気を読まないバカに対して。

で、当然のように画面に出てきたので、ニッコリ笑って言い放つ。



「ね、シャーリー。お願いだから空気を読んでくれないかな。てゆうか地獄に落ちてよ。ね、今すぐ地獄に落ちてよ。
・・・・・・つーか地獄へ落ちろよこのバカっ! お前、そんなに僕にぶっ飛ばされたいのっ!? エロイムエッサイムエロイムエッサイムッ!!」

『いきなりなにっ!? 私、真面目にそんな呪いの言葉を言われる理由が分からないんだけどっ!!』

「よくそんなことが平然と言えるねっ! おのれ・・・・・・・僕がフェイトの外回りに付き合うのがそんなに不満かっ!?
お願いだから僕の六課に居る意義を奪うんじゃないよっ! フェイトと居られなかったら、六課に居る意味なんてないじゃんっ!!」

『なぎ君にとっての六課って一体なんなのっ!? いくらなんでも公私混同しすぎだよっ!!
・・・・・・あぁ、でもそういうことか』





そういうことだよ。察しが早くて非常に助かる。

おかげで僕は、とっても楽しく日々を送ることが出来そうだよ。

・・・・・・ずっと夢見てたんだ。今のような時間を。



フェイトの補佐官・・・・・・補佐官・・・・・・あぁ、そうだ。

今でこそ友達だけど、この女が面倒をかけてくれたんだ。

やっぱりあの時どんな手を使ってでも潰しておくべきだったのかな?



シャーリー・・・・・・もしかしたら、フェイトのフラグを立てる上で一番邪魔者なのかも。





「というわけでシャーリー、鉄輝一閃で微塵斬りにしていい? もしくはクレイモアで蜂の巣」

『なんでそんな話になるのっ!?』

「おのれがフェイトにフラグを立てる上で1番邪魔だと僕の中で結論が出たからだけどなにかっ!?
逆を言えば、おのれを潰せば僕は幸せになれるんよだっ! 四の五の言わずにこの世とアバヨしてろっ!!」

『いやいや、それワケが分からないからっ! てゆうか、お願いだからそういうことを言う前に私の話を聞いてっ!!』



なんだか必死に、涙目で言ってくるので、僕は話を聞くことにした。

まぁ、アレだよ。僕の心はマリアナ海溝より深いから。



「2文字以内で話してね。僕の心はマリアナ海溝より深いから」

『無理だからっ! そしてそれは深くないよねっ!! ・・・・・・とにかく、スバル達と仲良くしておかなきゃダメだよ。
なぎ君も前線に出る以上、なぎ君とスバル達との連携も考えておかないといけないでしょ?』



・・・・・・ふむ。それはまぁ、確かに。



『ちなみに、これはフェイトさんだけの意見じゃなくて、隊長陣みんなの意見。
頻度は少なめだとしても、訓練参加は避けられないと思うな』

「あははは、何バカなこと言ってんのさ。僕がスバル達と連携? ないない。やるだけ無駄だって」

『どうして? あのさ、もし実力差どうこうで言ってるなら、その認識はやめて欲しいな。
確かにちょっとゴタゴタこそしちゃったけど、スバル達だってすごいんだから』

「あー、違う違う。・・・・・・・・・・・・だって、結局は僕一人で格上とガチでやりあうんだろうし。こっちの意思とは関係なしにさ」



・・・・・・あれ、どうしてだろう。なんかすっごい泣きたくなってきた。いつものこととは言え、なんか涙出てくる。

そうだよね、連携なんて基本無意味だよね。だって、運悪く単独でやりあうに決まってるんだから。



『・・・・・・泣かないでよ。いや、分かるけど。そうなる可能性に関してはみんな危惧してたから分かるけど。
とにかく、外回りの件は私が空気読んでないとかそういう話じゃないんだ。隊長達の総意でもあるの』

「つまり、シャーリーに言っても無駄?」

『うん』



そっか。うん、分かった。というか、理解したよ。



「じゃあ・・・・・・地獄へ落ちてろ」

『だからそれヒドいよっ!!』

「大丈夫。シャーリーが居なくなった穴は僕が埋めるから。てゆうか、居なくならない?
主に『フェイト×僕』成立のためにさ。大丈夫、シャーリーなら出来るよ。空気読める子だもんね」

『あの、いくらなんでも私だって傷つくんだよっ!? そんな怖い目をしながら言うのやめ』



なんか言い出したけど、僕は通信を切った。で、オフィスに戻る。

とりあえず、フェイトと仕事しながら話すことにした。



「・・・・・・シャーリーから聞いた。僕の訓練、隊長達の総意だってね」

「うん。というか、そこを聞きに行ってたの?」



頷きつつ、席に戻る。・・・・・・くそ、シャーリーが空気読んでないだけだったら楽だったのに。



「まぁ・・・・・・その、単独でやり合う可能性が大きいのはみんなかなり気にしてたんだけど」



やっぱりかい。うん、分かってたよ。だって、僕も気にしてるもん。24時間365日ずっとさ。



≪あなたの普段の行動とそれに伴う結果を見れば当然ですよ。運の悪さだけなら特異点レベルじゃないですか≫

「言わないで、お願いだから言わないで」

「でも、ヤスフミにとってもスバル達にとってもいい勉強にはなるだろうし。
やって無駄になることは絶対にないと思うんだ。・・・・・・私は大丈夫だから、納得してくれないかな」

「嫌だ」



ポチポチと書類を打つ手を止めずに答える。・・・・・・なお、これに関しては何もフェイトのことだけで話をしてるわけじゃない。

訓練への参加、やっぱり躊躇うのだ。フェイトもそれが分かってるから、たしなめるような事を言わない。



「ね、ヤスフミ」



だから、僕に対して、こう聞いてくる。



「手札を知られるの、そんなに嫌なの?」



そう、こう聞いてくるのだ。僕が訓練への参加を躊躇う理由を、他に思いつかないから。



「うん」



僕も素直に答える。フェイトとは付き合い長いし、隠すのも違うから。



「・・・・・・まぁ、普通の魔力付与だけしか使わなくていいとかなら問題ないけど」

「それはだめだよ。連携強化の訓練でそんなことしたら、現場で絶対にスバル達が戸惑う。必要なら、使うでしょ?」



その言葉に僕は頷く。・・・・・・必要なら、手札は切る。切らずに死ぬのなど、僕はごめんだから。



「ね、スバル達なら大丈夫だよ。みんなのこと、信じてみようよ」

「嫌だ。別に友達でもなんでもないし」

「・・・・・・ヤスフミ、お願いだからそんな悲しい事を言わないで」

「だって、事実じゃん」



・・・・・・うん、現状では友達でもなんでもない。同じ職場の同僚だからって、僕はそこまで心は許せない。



「てーか、みんな温い。もうちょいビシビシいきなよ。結局アレから見ててもいつも通りなぁなぁだし」

「そ、そうかな。結構厳しくはしてるつもりなんだけど」

「全く。僕が気になってるのは、特にエリオとキャロだよ。
スバル達はまぁ自分でその辺り弁えられる。けど、二人に対してはもっと厳しくていい」

「・・・・・・うん」



僕は冷たいので、それだけを理由に、仲間だなんて思えない。

なので、僕はこう答える。フェイトの方に顔を向けて、結構マジに。



「だから」

「だから?」

「厳しく接して、もうちょっと人となりを知ってからかな。
僕は基本人に厳しいの。だから、すぐに信じるなんて無理」

「そっか」





その言葉で、フェイトが少し安心したような顔をする。

僕が完全無欠に拒絶してるわけじゃないのを、理解してくれたらしい。

まぁ、アレだよアレ。仲良くなってくって言ったし、その結果次第だね。



ちなみに、現段階では魔力付与以外は晒したくない。鉄輝一閃ですらだ。



・・・・・・・・・・・・もうなのはとの喧嘩で使ってるから、遅いんだけど。





「でもヤスフミ」

「なに?」

「手札のことはともかくとして・・・・・・どうしてそんなに私のこと気にしてくれるの?」



フェイトが、僕の顔を覗き込んで聞いてくる。ちょっと距離が近くて、その・・・・・・少し、ドキドキしてしまう。



「私、これでも執務官としてはベテランだし、それほど仕事出来ないとかでもないと思うんだけど。・・・・・・何か、ダメなところあるかな。
あの、エリオとキャロの事とかで気になることがあるなら、もっと話して欲しい。ヤスフミも含めた上で、出来る限りいい形にしたいと思ってるから」

「あぁ、フェイトどうこうエリキャロどうこうじゃないの。
・・・・・・フェイトの仕事手伝えるの、嬉しいから・・・・・・かな」



ここは、素直に答えることにした。まぁ、ツンデレばかりもあれなので。



「嬉しい?」

「だって、補佐官になるの断られたし」



それだけ言うと、伝わったらしい。申し訳なさそうな、嬉しそうな・・・・・・色んな物が混じった顔をし始めたから。



「正式じゃないけど、やってることはそれになるでしょ?
・・・・・・今だから言えるけどね、断られた時、すごくショックだったんだ」



書類を打つ手が止まってしまう。指を動かそうとするけど、だめっぽい。

どうしても、動いてくれない。あの時のなんとも言えない気持ちが蘇ってきて、なんか、辛い。



「フェイトが僕の事気遣ってくれて、心配してくれた上で断ったのは分かったけど、なんか・・・・・・僕、いらないのかなって、考えちゃったの」



そこまで言って、少し沈黙する。というか、フェイトが固まった。

固まって・・・・・・涙目になる。それで、ハッとなる。僕、とんでもない爆弾を投げたと。



「あ、あの・・・・・・ごめん。うん、大丈夫だよ? フェイトはそんなこと思ってないって分かってるし」

「う、うん。・・・・・・あの、ヤスフミ」

「なに?」

「ごめん」



別に、謝る必要なんてない。この場合、悪かったのは僕なんだから。

だけど、フェイトには通用しないらしい。両手を胸の前で握り締めながら、瞳に涙を溜めつつ・・・・・・こう言う。



「本当に、ごめん。私」

「だから、いいって」

「よくないよ。・・・・・・ね、それなら一つ聞いていいかな」



とりあえず、二人ともまた書類に向かって、キーボードの上で指を動かす。動かして・・・・・・言葉を続ける。



「なに?」

「私がヤスフミを自分の外回り・・・・・・もっと言えば、自分の仕事に付き合わせるの、迷惑じゃないのかな」

「・・・・・・うん、迷惑じゃない。楽しいし、嬉しい。
あと、やってて結構面白いかなとは思う」

「そっか」










まぁ、雑談してばかりなのもアレなので、そこからは最後まで仕事にひたすらに集中。





・・・・・・なんというか、ここの空気自体は、嫌いじゃないのかも知れない。






だったら、引っかかってるのはやっぱり、自分の問題か。




















◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



・・・・・・知らなかった。ヤスフミのこと、あんな風に傷つけてたなんて。

私は、ヤスフミに仕事を手伝わせるのが、正直嫌だった。

ヤスフミのやりたいこととか、そういうのを邪魔しているように感じてたから。





私のために、ヤスフミがそういうのを探すことが出来なくなるんじゃないかと思ってた。

だから、シャーリーに補佐官になってもらって・・・・・・もちろん、あの・・・・・・嬉しかった。

補佐官の資格まで取ってくれてると知った時には、本当に。





だけど、やっぱりヤスフミの邪魔をしている感じが消えなくて・・・・・・。

でも、それは私だけの考えだった。ヤスフミは私の仕事を手伝うことが嬉しくて、楽しいとまで言ってくれた。

なんだろう、あの・・・・・・すごく嬉しい。ドキドキして、泣きたくなるくらいに気持ちが高ぶっている。






もしかして、こういうの足りなかったのかな。話したり、一緒の時間を過ごすこと。

だから、ヤスフミのことが分からなくて、不安になったりする。

・・・・・・外回りに付き合ってもらうの、そこまで遠慮しなくていいのかも知れない。





一緒の時間を過ごすことで、こう・・・・・・相互理解を深めるためと思えばいいんだ。うん、そうしていこう。





というか、あの・・・・・・えっと、私もヤスフミが側に居ると安心する。それに、とても嬉しいから。




















魔法少女リリカルなのはStrikerS Remix


とある魔導師と古き鉄と機動六課のもしもの日常


第3話 『平和な日常?』




















◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



・・・・・・なんだか色々あった激動の一日を越えて家に帰りつくと、ヒロさんから通信がかかった。





夕飯の準備をしつつそれで話をしていると、ある頼まれ事をされた。





かなり不透明で、だけど・・・・・・ヒロさんにとってそれが重要だと分かる頼みごとだった。










「・・・・・・召喚師のデータが欲しい? それも映像関係」

≪あなた、またいきなりですね≫

『まぁね。でさ、もし今後アグスタの一件で襲ってきた奴の映像データとかがあったら、こっちに回して欲しいんだ』



サラダ用の野菜を切りつつ画面を見る。ヒロさん、かなりマジな顔してる。

それを見て、なんか事情があるのかなとは思った。そうじゃなきゃ、こんなこと言い出しはしないだろうから。



「一応確認ですけど、自分が何言ってるか分かってますよね」

『うん、分かってる。・・・・・・私らはもう引退組。そして六課メンバーでもなんでもない。
そんな私らに事件の実行犯の重要データを回すなんて、規則違反もいいとこだ』

「何か事情込みですか?」

『・・・・・・うん。ごめんやっさん、ちょっと今は話せないんだ。ただ・・・・・・少しあって』



野菜を切り終えたので、それをボールに入れる。入れつつ、言葉を続ける。



「データは回せません。それやったら、僕六課のみんなから総スカンじゃないですか」

『・・・・・・そっか』

「ただ・・・・・・召喚師、状況から見て相当腕が立つようなんですよね。
もしかしたら対処法とか、また色々と相談したくなるかも知れないんですよ」

『へ?』



・・・・・・色々お世話にもなってる。ZERONOSジャケットまでくれた。なのに、ここで断るのも違う。

『あの』ヒロさんがこれなんだ。こんなこと言い出すだけの何か・・・・・・相当重い事情があると見て、いいでしょ。



「で、その時にこういう能力だったってレポートをこの間みたいに送る時に、これまたもしかしたら映像データが紛れることも、あるかも知れないです」



・・・・・・まぁ、あくまでも『もしかしたら』だけど。



『・・・・・・そっか。やっさん、あの・・・・・・ありがと。マジで感謝する』

「いいですよ。ただし、絶対に悪用はしないこと。
で、事情はちゃんと話せる時が来たら話してください。無償でこんなこと、さすがに出来ません」

『分かってるよ。そこだけはちゃんとする』



・・・・・・部隊員としては最悪手。てゆうか、裏切りに等しい。でも、いいや。

なんというかこう・・・・・・上手く言えないけど、そうしなきゃいけないんじゃないかって、思っちゃったんだから。



『・・・・・・でさ、もう一つ話があるのよ』

「話?」

≪結婚でもしましたか?≫

『出来ればとっくにやってるよ。・・・・・・いい、二人ともよく聞いて。
多少六課の連中と距離を置いた方がいいかも知れない』

≪「はぁ?」≫



・・・・・・・・・・・・で、話を聞いた。六課の裏にある色んなあれこれについて。



「後見人にミゼットさん達っ!? で、でもはやてやクロノさんは何にもっ!!」

≪そりゃそうでしょ。非公式・・・・・・ようするに、隠してるんですから≫

『で、その上でアンタ・・・・・・いや、ハラオウン執務官やエース・オブ・エースにギンガちゃんの妹や部隊員の連中は六課に引っ張られてる』

「だけど、はやてやクロノさん達はその辺り全部承知の上と。・・・・・・ナメてやがるし」



そう、今話したようにはやてや後見人であるリンディさん達やカリムさんが、何かを隠している可能性があること。




『それだけじゃなくて、六課自体の立ち位置も少しおかしいでしょ。ミッド地上にありながら、本局所属。
まるで、本局がミッド地上の干渉を受けずに好き勝手したいがために作ったようなところがある』

「・・・・・・確かに。てーか、普通に海と陸は仲悪いのに、そんな部隊なんて作ったらどうなるか明白じゃないですか」

≪理由込みとは言え、また揉める原因にはなり得ます。私は一応気にはなってました。
ですが、そこに非公式にでもミゼットさん達が絡んでくるとなると・・・・・・マスター≫

「うん。六課はそうとうキナ臭い。
つーか、あのバカ部隊長と提督親子は・・・・・・!!」



そして、出来るなら面倒が起きた時、痛い目に遭わないようにスタンスを考えた方がいいとも言われた。

普通に辞めるの無理って話になった時にこれって・・・・・・ありえない。なんつうかありえない。



「・・・・・・・・・・・・話は分かりました。まぁ、気をつけてはおきます。
いや、マジでもうそれくらいしか出来ないんですけど」

『そうだね。てーか、もう辞めるのなんて許されない空気なんでしょ?』

「僕が辞めたら一人、気に病む人間が出来ちゃいましたから。
昔馴染みだけだったら、まだ振り切れたのに・・・・・・」





ただ、それだけじゃない。・・・・・・あの時、クビにされる道が却下される時、気づいたことがある。

はやての奴、別に温情判断で僕をクビにしなかったわけじゃない。一つ、選択権無しで仕事を押し付けてきた。

その仕事は、現状の六課では僕と師匠、シグナムさんとグリフィスさんくらいしか出来ない。



だから、僕を残した。・・・・・・あの狸は。人を巻き込んでおいて更にこれかい。

ふざけんじゃないぞ。つーか、だったらあのモノローグの大半は嘘じゃねぇかよ。

自分視点であっても嘘つくってありえないでしょうが。一体どこのレベル5?



あぁもう、頭痛い。まじめに頭痛い。どうしろって言うのさ、これ。





『アンタ、まさか仕事押し付けられたの? それも相当貧乏クジ』

「分かります?」

『分かるさ。これでも局員ではあるしね。まぁ、アレだよ。アンタだからお願いしたのかも知れないよ?
一週間で分隊長に喧嘩吹っかけて、ぶっ潰したアンタだから・・・・・・それでも迷惑だね』

「全くです」



まぁいい、あの狸にはしっかりと対価を払わせてやる。それも相当高価だ。

普通にフェイトフラグが成立しにくくなるかも知れないのに、これはありえない。



『まぁ、気をつけなよ? 六課って部隊は・・・・・・多分アンタ達が思ってたよりも、そうとう危険な事をやらされる部隊だ。
それも相当に大事。サリや私の予想以上に、アンタの昔馴染み連中はとんでもない事に首突っ込んでる』

「・・・・・・話通りなら、そうなるでしょうね。とにかく、気をつけておきます。
僕だけは痛い目を見ないように、適度に距離を取りつつ、のらりくらりと」

『そうだね、そうした方がいい』










とりあえず・・・・・・どうしよう。今この話をしても、きっとのらりくらりとかわされる。それじゃあ意味がない。





一応、フェイトには話しておいた方がいいのかな? エリオとキャロが居るし・・・・・・うーん。




















◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



・・・・・・そんな話をしつつも、日々は静かに、そして結構忙しなく過ぎる。

そう、過ぎていくのだ。ティアナの一件でゴタゴタしたからって、部隊運営を止めるわけにはいかない。

もう僕が来た当初のように、みんなそれぞれに自分達のやるべきことをやってる。少しずつ、そうやって前に進んでる。





僕はというと・・・・・・実は、結構こんがらがってる。理由は、あの一件でハッキリと自覚してしまったこと。

自分という人間が、現行の組織には馴染めず、その一員にはなれないと。なのに、辞めることも許されずにここに居ること。

それが自分でどうにもイライラしてしかたない。日中も、暇な時はよくそのことについて考えてる。





それだけじゃなく、六課という部隊でのスタンスや、例の話だ。この辺り、相当考えてる。

だけど、日常は僕のそんな思考を置いていくかのように進んでいく。

で、なぜかまたまた・・・・・・この四人とご飯を食べる。





ヒロさん、ごめん。アドバイスくれたのに、距離を置く事すら許されないみたい。










「・・・・・・ね、アンタそろそろ技能晒しなさいよ。他に色々使えるんでしょ?」

「嫌だ」



今日のお昼であるさばの味噌煮定食のさばをパクリと食べつつ答える。

で、当然のようにティアナが頭を抱える。うーん、なんでだろう。僕間違った事言ってないし。



「アンタね・・・・・・! いい加減にしなさいよっ!! アンタがちゃんとしてくれなきゃ、マトモに連携なんて取れないでしょっ!?」

「ティア、落ち着いてー!! ・・・・・・でも恭文、ティアの言う通りだよ。
お願いだから、もうちょっと色々話してくれないかな」

「嫌だ」



次は玄米ご飯をパクリ。・・・・・・いいお味である。なんというか、舌が飽きない。



「あの、『嫌だ』ではなくてですね・・・・・・・。ティアさんとスバルさんの言う通りですよ」

「私達だって、いきなりあのクレイモアとか使われたらビックリしますし。
あと、あのアクセル使用時の恭文さんの突進力が凄すぎて、私もサポートがやり辛いです」





そう、訓練だった。僕達対魔王&師匠という図式の模擬戦。

で・・・・・・ちくしょお、アクセルとクレイモア使っちゃった。

魔王のバリアを叩き斬るために、鉄輝一閃も使っちゃった。



我ながら、この負けず嫌いな性格は何とかしたい。自分の技を反射的に晒すのは、戦士失格だよ。





「・・・・・・キャロ」

「はい?」

「甘ったれんじゃないよ。お前、一体何様だ?」



キャロがビックリしたように目を見開く。でも、いいや。これも仕事の一つなんだから。



「それはハッキリ言ってフルバックとしてはまだまだだし、自分の無能さに対しての言い訳だよ」



思い出すのはあの人。



「人の動き方をどうこう言う前に、自分の動き方を磨くところから始めなよ。それになにより、一流のフルバックはそんなこと言わない。
誰が相手だろうが、その場で相手の動きと行動パターンと思考と性格を瞬時に読み取って、適切な支援魔法をかけて、ちゃーんとフォローしていくんだから」



初対面にも関わらず連携戦の訓練をやったら、すごかった。

普通にもう痒いところに手が届くようなレベルで支援魔法の数々でサポートしてくれた。



「で、一流はフルバックだけじゃなくて、一人で瞬時に全てのポジションを切り替えて戦うこととかも出来る。
キャロは本格的な訓練は始めて間もないから分からないかも知れないけど、それが一般的なフルバックなんだよ?」



僕がなぜそこまで出来るのかと聞くと、あの人は平然と答えた。

『そんなの、初動での動き方とか性格とか鑑みれば、大体の方向性は掴めるだろ』・・・・・・と。



「・・・・・・そんな相手の動きが勝手だからフォローし難いなんてこと言ってるようじゃ、全然ダメだね。というか、三流以下」



そんな風に、その人は言っていた。



「しにくいなら、しやすいように自ら動き、時には気づかせないように相手を誘導していくのも、フルバックの仕事でしょうが」



もっと言うと『あのバカを相手にしてると、嫌でもそういう舵取りが上手くなるんだよ。
・・・・・・あははは、俺なんかすっげー泣きたくなってきたんだけど、どうすりゃいい?』・・・・・・ということらしい。



「言い訳する前に、自分の動き方を反省していく。まず全部そこからでしょうが。
人にがたがた抜かすなんざ、100年早い。ふざけんのも大概にしろ。分かった?」

「は、はい・・・・・・。すみません」

「謝るなら最初から言うな。言われた方はいい迷惑だ」



というわけで、ほうれん草のおひたしをパクリ。・・・・・・キャロが涙目だけど、放っておく。

これも超一流のフルバックになるための試練だ。ぜひとも超えて欲しい。



「いやいや、なにもっともらしいこと言ってキャロが悪いみたいな空気作ってんのっ!? それも平然とっ! そして反省するのはアンタよっ!!
・・・・・・キャロ、謝る必要ないから。コイツ自分の事棚に上げて物を言ってるんだから。大体、例えそうだとしても多少は合わせていくのが常識でしょ」



・・・・・・・・・・・・ち、ティアナ鋭い。僕の口先の魔術に踊らされないとは。

スバルとエリオはなんか『確かにそうかも・・・・・・』って、ちょっと納得しかけてたのに。



「てか、そんなの出来るわけないでしょ? どんだけ無茶振りしてんのよ」

≪残念ですが無茶振りじゃありませんよ? 私とマスターの知っている人に、そういう人が居ますから≫





なお、誰かという補足をしておくと・・・・・・サリさんです。

先生の弟子で、僕の知る限り本当の意味でのオールラウンダー。

あの人の凄さに触れてしまうと、世の中の一般的なオールラウンダーが霞んで見える。



うーん、アレで引退して8年とか経ってるのが信じられないよね。普通に六課隊長陣レベルだもの。





「・・・・・・マジっ!? え、じゃあ一人で全ポジションを瞬時に切り替え出来るってのも」

「マジだよ」

「それ、フェイトさんとかじゃないわよね」

「全然違う。ハッキリ言ってフェイト・・・・・・いや、隊長陣より強い人達だよ。だからこそ、キャロにも要求してる。
これくらいは出来るようにならないと、現場で別の部隊の別の人間と即席チーム作った時に話にならないでしょうが」





サリさんの話はともかくとして・・・・・・うー、マジで普通の魔力付与までで済ませる予定だったのに。

よし、ここはすっごい反省だ。もう同じ間違いは繰り返さないぞ。マジックカードなんて使わないし、他のも同じだ。

戦いには駆け引きが必要なんだ。今のうちからそこをしっかりしておかなくてどうするのさ。



そう、駆け引きが必要なのだ。どこでどういう形で何が伝わるかなんて、読み切れるわけないし。





「とにかく、僕は他人に自分の魔法とかそういうの知られるの嫌なの。
少なくとも自分からは晒したくない。なので、教えない。はい、解決したね」

「するわけないでしょ、このバカっ!!」



なぜ人は分かり合えないんだろう。僕は決して間違ったことを言ってないのに、四人は納得してくれない。



「だからって、そんなこと言ってたら連携取れないでしょっ!? アンタ、自分がチームの一員になったって自覚ないでしょっ!!
というより、なんで身内に対してそこまで秘密主義なのよっ! いくらなんでもおかしいでしょうがっ!!」

「みんなが無警戒過ぎるだけなんだよ。魔導師ってのは基本これよ?」





てゆうかチームの一員なんて無意味だって。そうだ、どうせ・・・・・・どうせなんだ。

どうせ、いつもの調子で同じように、僕一人で格上とやり合うことになるんだ。

いつもの展開で言うとそうなるのは明白なんだ。むしろそうならなかったことの方が少ないよ?



・・・・・・付け合わせのほうれん草のおひたしを、また悲しい気持ちをかき消すようにして食べる。



で、しっかりと租借して・・・・・・飲み込む。





「てゆうかさ、みんなは魔導師をなんだと思ってんのさ。
・・・・・・ダメだね、全然ダメだね。みんなは魔導師としての自覚に欠けてる」

「は? なによいきなり」

「いい? 魔導師とは、魔導を修め、その道を進み、探求する者の総称だよ。そのためには、自分の力と研究に対して、徹底した管理が必要になる」



色々諸説あるだろうけど、僕はそういうものだと思ってる。

プログラム式とかそういう部分込みでも、ここは変わらない・・・・・・はず。



「ようするに魔導師ってのは、本来は薄暗い洞穴の中でねずみとゴキブリとお友達になりつつ、自分の研究に引きこもりかニートかって言わんばかりに没頭しなくちゃいけないのよ」



で、それは無理でも、基本的に自分の研究の成果とか、使える術に関しては他人には基本内緒。

つまり、絶対教えない。これがあるべき魔導師の姿。魔導師というものを体言した形である。



「つまり・・・・・・みんな魔導師としてはダメなの」

≪なるほど、それは納得ですね。みなさん、反省してください。そして謝ってください。主に私に≫



そうそう、反省しなさい。そして謝りなさい。アルトに謝らなくていいから、僕に謝りなさい。



「いやいやっ! それ絶対違うでしょっ!? てーか、それは一体どこのファンタジーの魔導師よっ!!」

「そうですよっ! そんなこと誰もしませんからっ!! お願いだからちゃんと僕達の話を聞いてくれませんかっ!?」

「私達、真剣にお願いしてるんですっ! このままだと現場で大変なことになるのは明白じゃないですかっ!!」



まだ言うか、この桃っ子は。どうやらお分かりいただけていないようなので、もうちょっと話す。



「キャロ、そんな言い訳してるようじゃあいいフルバックには」

「そこはもういいですからっ! ちゃんとこれから改善していきますっ!!」

『ちょっとキャロっ!? なに本気にしてるのっ!!』



なんか血圧高めに叫んでいる方々の話を適度に聞き逃しつつ、僕は味噌汁をすする。

・・・・・・あ、いいお味だ。うーん、調理スタッフの能力は高いね。ご飯が美味しいのはいいことだ。



「・・・・・・あのね、恭文」




なんかスバルがこっちをジーっと見てくる。その瞳に、ギンガさんの影を見つけるから不思議だ。



「私達は別に、変な事は言ってないと思うんだ。ただ、手持ちの技能とかそういうのを教えて欲しいだけなの。これから一緒に頑張ってくために、絶対必要だから」

「だから、そういうの嫌いだって言ってるでしょ? そして、みんなはもう充分変だよ。
・・・・・・いい? 魔導師というのは魔導を修め」

「もうそこはいいよっ!!」





信頼関係もなにもない連中に手札など教えたくない。

僕は才能豊かな天才でもなければ、厨二で邪気眼な能力持ちでもなんでもないのだ。

手札は信頼出来る人間以外には晒さない。切るべき状況じゃないのなら隠し通す。



それが僕の主義でありポリシー。





「てゆうか、手札もう教えてるじゃないのさ。それの何が不満なの」

「絶対アレだけじゃないわよね。他にもまだあるわよね。間違いなくあるわよね」

「いやいや、アレだけだよ? 僕、凡人だもの」

「嘘つくんじゃないわよっ! てゆうか、もしそうならこっちを見てっ!? ほら、ちゃんと受け止めてあげるからっ!!」




















◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



・・・・・・ま、また派手に揉めてるね。ヤスフミはそれでも平然とご飯を食べてるけど。





うーん、ヤスフミの秘密主義は何とか直したいよ。普通ならともかく、もういつもとは違うわけだし。





私達六課隊長陣、ご飯を食べつつも揉めているスバル達とヤスフミを見て、かなり頭が痛いです。










「恭文君、基本的に信頼してる人間には話すんだよね」



つまり逆を言えば、まだティア達とそこまでの関係が作れてない。だから、アレ。



「・・・・・・訓練への参加、ちょっと早かったかも」

「けどよ、いつまたこの間みたいに空気読まずにガジェットが出てくるかわかんねーし、やっとかないわけにもいかないだろ」



そう、訓練への参加を決定したのはそこが理由。現場で揉めるよりは今揉めた方がいいという判断。

だったんだけど・・・・・・失敗だったのかも知れない。だってヤスフミ、最初は本当に魔力付与だけで済まそうとしてた感じだし。



「ならいっそ、私達から恭文君の手札に関して・・・・・・あぁ、だめだ。そんなことをしたら、また揉めることになるよ」

「そうですよ。というか、そんなのぜーったいダメです。
恭文さんが手札を隠しているのには、ちゃんと理由があるんですから」



・・・・・・局という組織は、全てに置いて綺麗な組織じゃない。だから、内部からの裏切りもある。

そういうのに備えて、ヤスフミは手札を隠してる。だって、実際に局員から襲われたこともあるんだから。



「・・・・・・はやて、どうしよう」

「どうしようもなにも・・・・・・アイツ無駄に強情やから、うちらが『スバル達に手持ちの技能を全部教えろ』言うても、納得するわけない。
それに、実際にそうせんと危ない部分があるのも事実やし。そういうことが全く無いんやったらまだ言えるけど、あったやんか。それも何度も」

「その通りなのです。かと言って、それをスバル達に説明しても納得はしてくれないですよね。というより」

「納得しなかったみたいやな。なんか怒ってスバル達どっか行ってもうたし」










どうやら、手札を隠す理由をちゃんと話す事にしたらしい。

まぁ、それだけでもいいと思うことにする。だって、下手をするとそれすら隠すんだから。

でも・・・・・・あぁ、どうしよう。ここは隊長命令とか言った方がいいのかな。





でも、出来ればヤスフミもそうだし、スバル達にも納得出来るように決着をつけないと。




















◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



・・・・・・夜、自室で私はまだイライラしてた。それもかなり。





だから、クロスミラージュをこう・・・・・・結構頑張って磨いてしまう。










「なんか・・・・・・ギン姉と聞いてたのと、違うなぁ」

「ギンガさん?」

「うん。ほら、前にも話したけど、ギン姉と恭文、仲のいい友達なんだって」



床に座りながら、ジュースを飲んでいるスバルは、そう困った顔で話す。

その事については、以前教えてもらった。なんでも、アイツが108で嘱託の仕事をした時に仲良くなったとか。



「ギン姉は、素直じゃないところもあるし、何を考えてるか分からないところもあるし、秘密主義が人の皮を被ってるんじゃないかって思うような時もある。
だけど、それでも根は優しい子だから、きっとすぐに仲良くなれるって言ってくれたんだ」





・・・・・・ギンガさん、あの・・・・・・本当に友達なんですか? 前半部分というか、ほとんど欠点ばかりじゃないですか。

いや、それは私も同意見ですけど。・・・・・・なによ、あの味方からの裏切り行為もあるから、簡単に手札を知られたくないって。

それ、私達がそういうことする可能性があるって言ってるのと同じじゃないのよ。エリオとキャロなんて、ショック受けちゃってるし。



まぁ、一つの現実としてあるってのは、分かる。だけど、それでも納得は出来ない。あ、待てよ。それなら。





「ね、スバル」

「なに?」

「ギンガさんに相談してみようか。どっちにしろ、このままはまずいでしょ」

「・・・・・・あ、そうだね」










というわけで、早速通信をかける。ギンガさんが友達なら、頼らない手はない。





きっとなにか、いいアイディアを出してくれると信じて。




















◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



『・・・・・・なるほど。うーん、なぎ君も強情だからなぁ。私も直すようにとは言ってるんだ。
けど、実際に危ない目にも遭ってるから、聞いてくれないの』

「じゃあ、本当にそういうことがあったの? こう・・・・・・同じ局員から襲われるとか」

『・・・・・・・・・・・・うん、あったよ。私が知る限り一回は。ただ、それだけじゃない。
八神部隊長からお聞きしたんだけど、そういうことが何回かあったらしいの』



それにスバルと顔を見合わせる。・・・・・・で、納得してしまった。

なんかムカつくけど納得してしまった。てゆうか、実体験からじゃ私達は何も言えない。



『なぎ君、私やスバル、あと・・・・・・ティアよりも資質が低いの。そういうのもね、あの秘密主義に拍車をかけてるんだ。
手札を知られちゃうと、六課の隊長陣みたいなオーバーSの相手との戦いに不利になるから。勝つために、守るために、そういう手をいつも保持してる』



どうやら、ギンガさんもアイツの秘密主義に苦労しているらしい。表情からそれがにじみ出てる。

・・・・・・・・・・・・ん? いやいや、ちょっと待って。



「あの、ギン姉。なんでそこでオーバーSとかって話が出てくるの?」

『・・・・・・なぎ君ってね、すごく運が悪いの。クジではいつも外れ。というか、貧乏クジを引く』



うん、引いてるわね。とりあえず私は一つは知ってるわ。まぁ、私が原因なんだけど。



『そのせいで魔導師になった頃から、オーバーSの相手とタイマンというのが多いんだ。
それも全部が全部『運悪く』という状況で。援護も増援も間に合わないような戦いばかり』

「・・・・・・・・・・・・ギン姉、マジ?」

『マジだよ。私との仕事中にも何回かあったから』





そして、また納得した。そこに局の裏切りとかも含めると、確かに疑り深くもなる。

てゆうか、魔導師になった頃からそれって・・・・・・待てよ。

これが本当なら、オーバーSを単独で相手に出来る。てゆうか、出来なきゃ死ぬ。



もしかしなくてもアイツって、普通にすごい実力者なんじゃ。





「・・・・・・でも、だからってここでまでそれを通されても困るんですよ。
ここは部隊で、少なくとも私やスバルは裏切るつもりないんですから」



てゆうか、あったら怖いわよ。普通にありえないし。



「ギンガさん、何かいい方法ありませんか?」

「そうだよ。それに、私達は同じ部隊の仲間なんだし。
・・・・・・というか、ギン姉が知ってるのだけでも教えてもらうとかって」

『それはダメ』



ギンガさんは、スバルの言葉に喰い気味に返答した。そして、表情が険しくなる。



『・・・・・・あのね、スバル。なぎ君は自分の知らないところでそういう話をされるのを本当に嫌うの。
私もなぎ君に、勝手に人にバラさないと約束した上で教えてもらった。だから、私からは言えない』



ギンガさんは、言い切った。私達から事情を聞いてなお、無理だと。

その真っ直ぐな瞳を見て思った。・・・・・・これは、本当にダメだと。てか、ルール違反もいいところよ。



『というより、そんなことをしたら、私だけじゃなくてスバルもティアも、なぎ君からもう信じてもらえなくなっちゃうよ?
そうなったら、もうチームワークどうこうの話じゃなくなる。なぎ君を絡めたチームなんて、絶対に出来上がらない』

「そんなぁ」

「あの、ギンガさん。ギンガさんがそれということは、例えば隊長達に聞いても」

『多分、同じだろうね。だから、『隊長命令』という形でなぎ君に手札を公開することを迫れない』





どんな理由があろうと、自分の意思と反したところで隠し手を誰かに知られる事を警戒してるし、嫌ってもいる。

もし無理矢理迫ってこっちが知って満足しても、アイツは本当の意味で連携を取ってくれなくなるってことか。

付き合いが長くて、アイツの性格を知ってるから、隊長達も強硬手段に踏み切れない。それは望ましくないことだから。



でも、そんなことしてたら六課を辞めることに・・・・・・いや、ここは何の意味もないか。だって、アイツ嘱託なんだし。





『でも・・・・・・そうだなぁ』



画面の中のギンガさんが、すこし口元に左手を当てて考える。

考えて・・・・・・思いついたように話し出した。



『さっきも言ったけど、なぎ君は信頼していない人間に手札を知られるのが嫌なんだ。
つまり、フォワードのみんなは隊長達と違って、なぎ君から信頼出来る仲間だと思われてない』

「そう・・・・・・なるよね」

『だから、まずは信頼してくところから・・・・・・違うな。
なぎ君だけの話じゃなくて、互いに信頼し合ってくところから始めるべきなんじゃないかな』



私達を安心させるように、ギンガさんは微笑みながら話す。

それに少し、胸の痞えが取れる感じがした。



『例えば、スバルとティアだって、最初から仲が良かったわけじゃないでしょ? 私となぎ君だってそうだよ。最初から仲が良かったわけじゃないの。
ケンカして、仲直りして、笑ったり怒ったり、そういうことをして始めて、なぎ君・・・・・・少しずつだけど色んな事を話してくれたんだ。それだけじゃなくて、私も色んなことを話した』

「なら、私達もそうすれば大丈夫ってこと?」

『うん。それに、なぎ君は言ったんだよね。仲良くしたくないわけじゃないって。だったら、大丈夫だよ』

「・・・・・・ありがと、ギン姉。私達、ちょっと頑張ってみるよ」










スバルは納得したし、ギンガさんも『頑張ってね』と言いながら通信を終えた。でも、なんだかなぁ。

なんか、アイツが嘱託なのにちょっと納得してしまった。こんな思考、局員で部隊員だったら許されないわよ。

・・・・・・てゆうか、なんでこんなごちゃごちゃしちゃうんだろ。私、別にアイツのこと嫌いでもなんでもないのに。





むしろ・・・・・・仲良く出来るなら、していきたいのに。

理由はどうあれ、庇ってくれたこととかに対して、お礼も言いたいのに。

なのに、なんて言うか・・・・・・腹立つ。無茶苦茶腹立つ。





お礼を言うことすら許してくれないって何様よ。あぁもう、マジでムカつくし。




















◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



夜、エリオとキャロがヤスフミの事で相談に来た。なので・・・・・・談話室に二人を連れて、少し話す事にした。





ヤスフミが今まで局の不正や、上層部の汚職関連の事件に巻き込まれることが多かったこととか。





そのせいで局員や部隊というものにいい印象を持っていないこととか。










「だから、私達に対してどこか冷たいんですね。フェイトさん達と違って、私達に対しては信頼もしてくれない。
なら、どうすればいいんですか? さすがにこのままはダメですし。・・・・・・うぅ、私がフルバックとしてもっと動ければ」





・・・・・・キャロがかなり落ち込んでる。というより、自信喪失に近いかも。原因は、恭文にお説教されたこと。

それだけじゃなくて、ヤスフミの知り合いだという全ポジションが出来るスーパーオールラウンダーの方と比較されたとか。

その人のレベルがあまりに高くて、それが実在するものだと聞いて、とても強いショックを受けたらしい。



ヤスフミ・・・・・・私も話は聞いたけど、それはちょっと無茶振り過ぎるよ。



というより、ホントだとしたら、絶対その人は私達よりベテランだよね? 要求レベルが高過ぎるもの。





「あぁキャロ、もう落ち込まなくていいから。とにかく、そうだね・・・・・・まずは信頼関係を作っていくことからじゃないかな。
大丈夫、ヤスフミは二人の事を信じられると思えば、自然と教えていくよ」

「けど、いつ事件が起こるかわからないのに・・・・・・フェイトさん、今すぐは無理なんですか?」

「うん、無理だと思う。私達から教えるって言うのも考えたんだ。あと、命令するとか。一応部隊員ではあるから、それは可能。
でも、それをやると・・・・・・多分、ヤスフミはもうフォワードのみんなだけじゃなくて、私達のことも信頼してくれなくなると思う」





そうなったら、現場での連携やチーム作りどころじゃない。

というか、多分そうなったら六課を辞めると思う。もちろん、無理矢理。

・・・・・・うーん、やっぱり少しキツめでも言うべきなのかな。



とにかく、その辺りを悩みながらもアレコレ考える。考えて・・・・・・手を打つことにした。





「ただね、もしかしたらこれは普通のことなんじゃないかなと、少し思うんだ。
無茶を言っているのは、もしかしたらフォワードのみんなや私達の方なのかも」

「どうして、ですか?」

「例えば、二人だって秘密にしたいというか、人に話しにくいことがあるよね」



目線を合わせて聞くと、エリオとキャロは頷いてくれた。

・・・・・・何を考えたのかは、なんとなく察しが付く。



「今は大丈夫そうだけど、初対面な状態で例えば・・・・・・スバルやティア達にそれを話すのは、ちょっと躊躇っちゃうでしょ?
それを命令とか、部隊の都合とか、そういう理屈で心を許していない人に喋れと言われたら、困っちゃう」

「・・・・・・それは、その・・・・・・はい」

「私もです」



二人は頷いてくれた。私の言いたい事、伝わったのかなって、ちょっとホッとする。



「つまり、恭文さんも同じなんですか? 恭文さんにとっての言い難い事、知られたくない事の一つは、手持ちの技能になる」





私は、キャロの言葉に頷いた。・・・・・・確かに、話したくないよね。

クレイモアや他の魔法、手持ちの技能は、かなり過激だから。

それで私もそうだし、他の人とも揉めたりしたから、余計に。うぅ、なんというか申し訳ないよ。



もうちょっとすんなり話が進む事ばかりだったら、あそこまで意固地じゃなかったかも知れないのに。





「うん、私はそう思う。・・・・・・大丈夫だよ。私達からも、ヤスフミにはちゃんと言っておく。
確かに話しにくいことかも知れないけど、ヤスフミからも歩み寄る必要はあると思うから」










そうだね、さすがに甘い顔は出来ない。スバル達だけじゃなくて、ヤスフミにも厳しくだよ。

これはヤスフミからも本当に少しだけでいいから、歩み寄っていかないとダメなんだ。

秘密主義はもう仕方がないのかも知れない。それが必要なことなのは、事実だから。





だけど、それでも・・・・・・譲歩するべきところはもっとあるはずだもの。





だって私達は同じ場所で、差異はあるかも知れないけど同じものを追いかけていく仲間なんだから。




















◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



『・・・・・・蒼凪』

「なんですか?」



キッチンで中華鍋を振るいつつ、そう答える。なお、肉野菜炒めの作成中。

シグナムさんから丁度材料を炒め始めた時に通信が来たので、そのまま相手をする。



『お前・・・・・・仮にも上司からの通信に対して片手間で答えるとは何事だ』

「仕方ないじゃないですか。炒め始めたばっかりの時に来たんですから」

『通信を優先するのが常識と言ってるんだっ! いいからその手を離せっ!!
炒め物はあとでも出来るだろうがっ!!』

「・・・・・・バカ言ってんじゃないよっ!!」



鍋を動かしつつ、通信画面をにらみつける。



「肉野菜炒め・・・・・・いや、炒め物はスピードと勢いが命なんだよっ! 一度食材に火を入れたら、あとはノンストップでクライマックスまで独走あるのみっ!!
それなのに火を入れた状態でそれを後回しっ!? 出来るわけがないでしょうがっ! なにより・・・・・・そうやって食材を無駄にしていいわけがないでしょっ!!」



で、言葉をそのまま続ける。立て続けに、シグナムさんに反論の隙など与えないように。



「ご飯を食べるということは、他の存在の命を奪い、自分のものにするということっ! ならば、最高に美味しい形で調理して、美味しく食べてあげるのが捕食者としての勤めでしょっ!!」



ここで火を止めるということは、この鍋の中で踊る豚さんもチンゲン菜ももやしもキャベツもにんじんもたまねぎも全て無駄になるということっ!!

そんなことを、料理をする人間として許していいのかっ!? いいやよくないっ! 絶対によくないっ!!



「アンタ、それでも騎士っ!? 騎士であるなら、調理場に立った料理人を止めるような真似をすんじゃないよっ!!」



で、いい感じで火が通ったので、皿に盛る。持って・・・・・・通信画面に突き出す。



「見ろっ! これがこの成果だっ!! 全ての食材が渾然一体となり、今すぐ食べればとっても美味しい肉野菜炒め・・・・・・これこそが捕食者の真理だっ!!
そもそも、一般的には肉野菜炒めはポピュラーな料理とされているが、全くそんな事はないっ! 肉野菜炒めは・・・・・・愛が無ければ作れない料理なんだっ!!」





さて、なぜ肉野菜炒めが愛がなければ作れないのかについて触れておこう。

差はあるけど、基本的に重い鍋を何度も振るって、スピーディーに仕上げなくちゃいけない。

火の通りにムラがあると美味しくなくなるし、通しすぎるとシャキシャキとした食感が消える。



もちろん、火がちゃんと通っていなければ生野菜だ。

熱い火の前で、重い鍋を短い間に何度も振るい、仕上げる。それが、肉野菜炒め。

ハッキリ言って炒めると結構疲れる。だからこそ、愛情が必要なのだ。



食べてくれる人への愛。もっと言うと、美味しい肉野菜炒めを食べて欲しいと思う気持ちこそが、肉野菜炒めを美味くする。





「そもそも、料理の愛とは食材どうこうではなく」

『あぁもう、分かった分かったっ! 私が悪かったからそのわけのわからない話はやめてくれないかっ!? 頭が痛くなってくるっ!!』

「シグナムさん、これを『わけがわからない』って言うなんて、八神家失格ですよ? はやてだって全く同じ事を言うと思います。
この話に理解を示せないということは、自分の主に理解を示せないというのと同じなんですよ」

『そんなわけがあるかっ! 主はやてはお前よりずっとマトモだっ!!』





なお、後日試しにシグナムさんがこの話をはやてにしたところ、はやてはキレて僕と全く同じ事を言った。

そして、『そりゃあシグナムが悪いわ』と断罪すらした。そりゃそうだ。

だって、はやてだって仕事が忙しくて今はあんまりやってないそうだけど、根っこは料理人だもの。



当然のように、こだわりはあるさ。てゆうか、これは前にはやてが言ってたことだし。





「とにかく、話はなんですか? 仕事場じゃなくて家に通信をかけてきたってことは、なんかあるんでしょ?」

『まぁな』



野菜炒めを皿に盛ったので、それをテーブルに運ぶ。で、次はご飯を盛る。お茶碗出して・・・・・・と。



『まず、お前に謝っておきたい』

「なにに対してですか」

『色々とだ』



画面に視線を向ける。で、シグナムさんがそれを受け止めて、少し眉が動く。

だけどすぐに、いつもの冷静な表情に戻った。



『謝るくらいなら、最初から巻き込むな・・・・・・か?』

「えぇ。・・・・・・まぁ、適度にやってきますよ」



で、ご飯もそこに盛る。なお、画面は僕の動きに連動して追尾する。携帯端末の機能の一つである。

なんというか、便利だよね。技術の進歩ってすごいよ。



『ならいい。・・・・・・しかし、蒼凪』

「ほい?」

『お前、何を悩んでいる』



シグナムさんは脳筋なように見えて、実のところはそうでもない。

烈火の将・・・・・・ヴォルケンリッターのリーダーだから、人の機微には中々聡い。



「悩んでいることの一つは・・・・・・まぁ、狸の悪巧みの一端を見ちゃったってことですか?」

『主の?』

「えぇ。はやてが隠している、六課の設立の裏事情の一端。そして、あのバカはやてがそれに遠慮なく僕達を巻き込んでいること』



まぁ、巻き込むのはいい。それを言えば僕なんて散々やってる。

てーか、巻き込まれるのは僕の人生のデフォだもの。何を今更言う必要があるのか。



「だけど、スバルやティアナ、エリオやキャロ・・・・・・身内だけじゃない。
六課に夢を持って、それに近づくためにやって来た人間まで巻き込んでる」





一瞬、あのツンデレガンナーの顔が浮かんだ。・・・・・・よく考えたら、あの子が最もそれだよね。

スバルみたいになのは・・・・・・つーか、隊長陣の誰かに憧れがあるわけでもない。

エリオやキャロ、シャーリーやグリフィスさん達みたいに、縁やゆかりがあるわけでもない。



あの狸やクロノさんやリンディさんは、そういう人間を利用してる。理由の是非はどうあれ、そこは間違いない。





「うん、正直ムカついてますよ? それもかなり」

『・・・・・・そうか』



とにかく、シグナムさんは色々気づいている。だから、否定しても無駄かなと思って、素直に話す事にした。

盛ったご飯を入れたお茶碗を盛って、テーブルに移動しつつ、言葉を続ける。



「で、二つ目。これは、多分シグナムさんが謝ったことに関係してますね」



そう、関係している。だからこそ、こんな会話になってる。



「ぶっちゃけ、みんな甘くありません? もちろん、馴れ合いやら身内びいきはダメですけど、それでも甘いでしょ」

『・・・・・・確かにな』



そして、シグナムさんはとても聡明な人だ。そうじゃなくちゃ、師匠やシャマルさん、ザフィーラさんがリーダーと認めたりしない。

六課内でのみんなの隊長としての立ち位置やらなんやらの事を指して話していると、すぐに分かってくれる。



「例えば新撰組は、誰からも慕われ、尊敬される局長と憎まれるほどに嫌われていた副長の二人が居ました」

『あぁ、知っている。その二つの役職が同時に存在していたからこそ、新撰組はとても強い剣客組織として成り立っていた』





局長・・・・・・近藤勇のような人間は、六課に居る。

その役割を成すのは、なのはやフェイト、はやて達隊長陣だ。

ただ、副長・・・・・・土方歳三のような嫌われ役が居ない。



グリフィスさんや師匠、シグナムさんみたいに締める人は居るけど、それでも弱い。





「ぶっちゃけ、現状で誰がその嫌われ役するんですか? 神輿であるなのはとフェイトは無理。
そして部隊長はやてもダメ。このままじゃ六課は、部隊として、組織としては簡単に瓦解しますよ」



で、ムカつくことがある。そこがあの狸の汚いところだ。

あの狸は、僕を六課に残す時に暗に仕事を押し付けてきやがった。



「で、はやては僕にそれをやれと言ってきてる。だから僕を六課に残した」

『・・・・・・やはり気づいていたか』

「気づかないと思いますか?」





そう、僕に土方歳三の立ち位置をやれと言ってる。

気になるところがあるなら、なのはの時みたいにシメていけと。

だからこそ、僕を六課という場所に残した。マジでスケープ・ゴートですよ。



そう思う理由? 付き合いが長いから分かるよ。あの時の目やら話の流れからさ。

はやては普段こそ致命的にダメ人間(オタク的な意味で)だけど、バカじゃない。

ティアナがなんか言ったからって、僕をクビにしないなんて考えられないもの。



あのタヌキ・・・・・・マジでムカつくね。こりゃ、本気でシメないとダメでしょ。





『蒼凪、お前は少し勘違いをしている。・・・・・・正直に言うとだ』

「はい?」

『その役割をお前に押し付けたのは・・・・・・私だ』



・・・・・・またどうしてこんな重い話をいきなりしてくるのかと、頭が痛くなった。

てーか、どうしてそうなるのかが疑問だ。



『本来であれば、その役割は私とヴィータがしていた。いや、ヴィータはともかく、私はしていたつもりだった。
・・・・・・あの時、上司でもなんでもない個人として動いて、いたずらになのはの肩を持っているとお前達に指摘されるまではな』

「で、自信がなくなったとかですか?」

『そうだな。私は、お前の言う『ズルい隊長』の一人だった。
そんな状態でその役をしても、いいことがあるわけがない』



それで、シグナムさんはどうしたものかと考えて・・・・・・はやてに念話で直で相談した。



『この役は理屈はどうあれ組織の、集団の成立を考えられる人間でなければ勤まらない。
お前は型破りではあるが、どの辺りに成立と崩壊のラインが引かれているかをちゃんと知っている』

「僕、隊長でもなんでもありませんけど。てーか、僕にダメなとこシメられる部隊ってどうなんですか」

『だが、それでも今の私よりは知っているはずだ。だからこそ、なのはを止めた。
私はそう考えている。そして、お前だからこそ、誰が相手でもそれが出来ると思っている』





自分や師匠、グリフィスだけではだめ。六課という組織は、その内自然崩壊を起こしかねない。

だからこそ、シグナムさんはこの役を僕にやってもらおうと考えたらしい。

で、この話ははやてとシグナムさんしか知らない。二人も、他にするつもりはない。



てーか、されても困る。普通にうざったいだけだし。





「マジで色々と巻き込んでくれますよね。主も主なら、騎士も騎士じゃないですか」

『・・・・・・すまん。正直、そこを言われると私は全く反論出来ん』



まぁ、ここはいいか。どっちにしてもそういう役割にはなりそうなんだから。

・・・・・・・・・・・・さて、問題は次だ。僕が悩んでるのは、これが1番大きい。



「で、悩んでる事はまだあります。次は・・・・・・それとは関係ないですね。
あれから、よく考えるんです。このまま進んで、僕はどこに行くのかなって」

『また抽象的だな。・・・・・・その抽象的な思考の原因は、ティアナの一件か』

「はい。あの時、本当に・・・・・・反射で身体が動いてたんです。
で、気づいたらなのはに喧嘩売ってました」



椅子に座る。で・・・・・・さすがに食べ始められない。

通信中というのもあるけど、気分的にも、箸を手に取れない。



「あの時、ハッキリ分かりました。僕、マジでみんなと同じにはなれないみたいなんです」



僕は局員になって、部隊員なんて絶対に無理っぽくて。

僕の追いかけたいものは、なりたい形はそこにはないと、今までとは違う本当にハッキリした形で気づいてしまった。



「だったら、このまま嘱託で・・・・・・でも、その場合、どこに行こうかなって、なんか考えちゃって」



・・・・・・・うーん、もうちょっと簡潔に話すか。このままだとシグナムさんもワケが分からないだろうし。



「まぁ、要するに、例えばなのはは教導官、フェイトは執務官、はやては部隊の指揮官。
夢というか行き先というか、そういうの決めてるじゃないですか。なら、僕は・・・・・・なんだろうかと」





先生みたいになりたいって言うのとは、またちょっと違う。

なんというか、一つの形とか役職とかでは無いんだけど、そうじゃなくて・・・・・・うーん。

いや、一つある。誰にも言えない、リインだけが知っている僕のなりたい形。



でも、それはやっぱり途方もなく大きくて。というか、役職とかそういうのとはまた違って・・・・・・話すのが、怖い。





『頭を抱えるな。・・・・・・大丈夫、お前の言いたい事は分かるし、ちゃんと伝わった。つまり、悩んでいたのはそこなんだな?
その上、部隊員に、組織の人間にはなれないとハッキリ自覚・・・・・・いや、実感を持ってしてしまったのに、未だに六課に居るのが辛いというわけか』



シグナムさんは合点がいったのか、納得したような・・・・・・そんな表情になった。

それに、少し安心してしまった。なんか、おかしい。



『もしや、お前が身内以外と距離を取りがちになる本当の原因は、それか? 私や主の意図は全く関係ない』

「ですね」

『・・・・・・アレだ、蒼凪。一度シャマルなりヴィータに相談しろ。
何かこの場で解決策が言えればいいんだが、どうやら私には無理そうだ』



確かに、自分だけで抱え込んでどうにかなる問題じゃないかも知れない。というか、重い。

みんなと居るのに、ずっと一人で居るように感じるのは、やっぱりキツイ。



「すみません。なんか、面倒な事話しちゃって」

『気にするな、私が聞いたことだ。というより、これで色々と納得出来た。・・・・・・蒼凪』

「はい?」



シグナムさんは、いつものクールな表情に戻して言葉を続ける。

だけど・・・・・・響きが泣いているように感じた。



『すまない。そんな状態なのに、私は・・・・・・お前に自分の仕事を押し付けてしまった』

「えぇ、そうですね。それだけじゃなくて、普通にフェイトフラグ成立の邪魔までしてくれてます。
これでエリオとキャロ、フェイトの好感度がダダ下がりだったら、どうするんですか」





・・・・・・とは言え、話は分かる。今のシグナムさんは、組織の人間としての自分に、少し自信を無くしてる。

別にライトニング分隊・副隊長だったら、助ける義理立てなどない。見捨てたって心など痛まない。

だけど・・・・・・ただのシグナムさんは、仲間だもの。僕は、何度も助けられた。色々と相談にも乗ってもらった。



一緒にバカやってシャマルさんに怒られたりもした。・・・・・・だったら、やるしかないでしょ。





「まぁ、不成立の場合はシグナムさんに責任を取ってもらって? 僕の嫁にでもなってもらいましょうか。
それで毎晩エロですよ。もう毎晩R18的な意味で全力全開でエロですよ。そして毎朝腰砕けですよ」

『お前はいきなり何を言い出すんだっ!!』

「・・・・・・僕に自分の仕事押し付けるんだから、それくらいの覚悟はしとけってことですけど、なにか?」



少し睨み気味に視線を送る。すると、シグナムさんは納得したように頷いた。



『確かに・・・・・・そうだな。あぁ、それでいい。正直私は、お前にとって良き妻になれるかどうかは分からない。
だが、それが対価になるのなら、覚悟は決めておくことにする。・・・・・・蒼凪、すまないが、よろしく頼む』

「善処はしますよ。やっぱり、六課に居場所って感じられないですから」

『あぁ、それでいい。いや、それだけで・・・・・・十分だ』










通信を終えてから、ちょっとだけ冷めた肉野菜炒めに手を付ける。





・・・・・・出来上がってから時間を置いたのがいけなかったのか、ちょっとだけしょっぱくて、油っぽく感じてしまった。




















◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



翌日のこと、さっそくシグナムさんのアドバイス通りに医務室に訪れた。





で、話した。なので当然シャマルさんは・・・・・・心配そうに僕を見る。










「・・・・・・そう」

「そう、みたいです」

「先の事とか、色々考えちゃったのね」

「まぁ、そんなとこです」



医務室のベッドに二人腰掛けながら、そんな話をする。

・・・・・・なぜか、片手をシャマルさんに握られてるのが気になるけど、ここはいい。



「でもそうすると、六課を辞めてどうしたかったの?」

「・・・・・・旅にでも出て、あれこれ考えようかなと」



またイギリス行ってフィアッセさんと会って来るのもいいかなぁと、ちょっと思ってたりした。

香港に行って訓練とかも・・・・・・美沙斗さんが怖いけど、アレも楽しい。



「まぁ、それはこの一件が片付いてからでしょうけど。・・・・・・実際は、いつも通り、ただの僕として戦いたいんです。
そうすれば、それが出来るようになれば、なんかこう・・・・・・抱えてるものが多少は薄れるかなって」

「そう。まぁ・・・・・・しばらくはそういうわけにもいかないでしょうし」



・・・・・・やっぱりですか。僕は、そんな想いを込めてシャマルさんの方を見る。

繋いだ手はそのままに、ニッコリと頷いてくれた。なお、全然嬉しくない。



「これは定期的にカウンセリングね。さすがに今の状態を維持はよろしくないもの」

「はい。それで、今更ですけどなんで僕達は手を繋いでるんですか?」

「あら、いいじゃないの。今までだって沢山繋いでるんだし」



よくない。てーか、ここ職場。別に買い物に付き合って一緒に繋いでたとかそういうこととはまた別でしょうが。

だけど、それでもシャマルさんはなんだか嬉しそう。もうさっきからニコニコしてるし。



「大丈夫よ。人が突然入ってこないように、扉にはロックをかけてるから」

「一体なにが大丈夫っ!? そして、なんで医務室にロックをかける必要があるっ!!」

「だって・・・・・・もしかしたら、話している間にそうなっちゃうかも知れないでしょ?
恭文くんはもう年頃で、きっと色々溜まってるでしょうし。私も、恭文くんならOKだし」



なんかすっごい頬を赤く染めて、艶っぽく言い切ったっ!?



「そんなわけあるかっ! お願いだからその嬉しそうな顔はやめてっ!?
僕フェイトが本命だからっ! シャマルさんとそうなれないからっ!!」

「大丈夫よ。フェイトちゃんには内緒にしておくから。というか、私は恭文くんの現地妻1号だもの。
・・・・・・そろそろ、本当の意味で現地妻にしてくれてもいいのよ? ううん、して欲しい」



だからその艶っぽい瞳はやめてー! そして身を乗り出して僕に近づかないでー!!



「そんなに深く考えなくていいのよ? フェイトちゃんはフェイトちゃん。リインちゃんはリインちゃん。
それで、私は私だって思ってくれればいいの。・・・・・・私の全部、恭文くんにあげたいの」



や、やばい・・・・・逃げようっ! そうだ、逃げ・・・・・・・られないっ!?



「私の髪も、頬も、唇も、胸も、腰も、足も。それに心も・・・・・・全部、恭文くんのものにして欲しい」



なんかすっごいがっしり手を掴まれてるしっ! というか、なんでこの人こんな力強いのっ!!



「というか・・・・・・私じゃ、だめかな? 確かに恭文くんよりかなり年上だよ? フェイトちゃんとかに比べると、ダメかも知れない。
だけど、それでもあなたへの気持ちは本物なんだけどな。・・・・・・そうじゃなかったら、絶対にこんなこと言わない」

「だから出来るかぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ! 落ち着いてっ!? お願いだから落ち着いてー!!」

「落ち着いてるわ。落ち着いて・・・・・・あなたに迫ってるの。・・・・・・恭文くん」

「え、えっと・・・・・・あの、その・・・・・・だから落ち着けー!!」










・・・・・・やばい。普通に相談する人間違えたかなとか思った。





てゆうか、マジでやめてっ!? 僕はフェイトが本命だからー!!




















◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



私は、朝食を食べるために食堂への道を一人歩きながら、少し考えている。

原因は、昨日の夜。エリオとキャロと話した後にかかってきた通信。相手は、ヤスフミ。

そして用件は・・・・・・六課という部隊について。そして、エリオとキャロのこと。





確かに、私も気にはなってた。六課という部隊の局での位置とか、設立の意図とか。

そしてヤスフミは、エリオとキャロは理由をつけて除隊させた方がいいと言ってくれた。

二人はまだ子どもで、はやてやお兄ちゃんにリンディ母さんの業務上の意図とは全く関係がない。





そして、六課は何か大きな流れに巻き込まれている。そこはもう決定。まぁ、私やヤスフミはまだいい。

私達は、巻き込まれる覚悟は決めているから。だけど、二人までそうする理由はないと言ってくれた。

ただ、それがエリオとキャロだけじゃなくて、他の部隊員の人達の事も含めていたのは、すぐに分かった。





ヤスフミ、そういう子だもの。・・・・・・どうやら、私の心配はそれほど意味がなかったらしい。

というか、無意味だった。だってヤスフミ、ちゃんとエリオやキャロ、みんなのこと心配して考えていてくれてた。

今まではただ、見せなかっただけ。でも、色々気になってきたから、私に少し話してくれた。





・・・・・・まぁ、そこでニコニコしちゃって、少し怒られたけど。

でも、ヤスフミがそこまで言うからには、なにか確信があるんだよね。

多分、私よりもそれをハッキリと掴んだ。だからいきなりこんな話をした。





二人を除隊・・・・・・でも、現段階でそれは無理だよね。まず、二人が絶対に納得しない。

納得する理由を、そもそも今の私は知らない。うーん、ヤスフミともうちょっと話してみようかな。

さすがにアレだけだと判断に困る。・・・・・・でも、機動六課・・・・・・もしかしたら、私ミスをしたのかも。





私がここに来ることを決めたことじゃない。色々とそういうのを含んだ上で決めたもの。そこは納得してる。

一つは、エリオとキャロを六課の分隊員にしたこと。一つは、ヤスフミを六課という部隊に誘ったこと。

なんだか、私だめだな。保護者と家族失格だよ。知ってるならともかく、知らない子達まで巻き込んでる。





・・・・・・よし、事件を早く解決出来るように頑張ろう。大きな事に発展さえしなければ、きっと問題はないよ。










「・・・・・・フェイト、おはよ」



後ろから声がかかる。そうすると、とても疲れた顔のヤスフミが居た。

私は、微笑みながら手を上げる。・・・・・・というか、なんだろ。すごく嬉しい。



「うん、おはよう。・・・・・・どうしたの? すごく疲れた顔してるけど」

「色々あってね。てーか、シャマルさんから逃げてきた」

「相変わらず仲良しなんだね」





ヤスフミは、シャマルさんが闇の書のプログラムだと知らない。だけど、私は知ってる。

そのまま二人で歩きながら・・・・・・少し思う。なんだか、嬉しいなと。

シャマルさんがあんな風に変化するなんて、誰も予想してなかったから、どうしてもそう感じる。



ただ、少しだけ・・・・・・本当に少しだけチクンと胸が痛んだ。その理由を少し考える。・・・・・・よく、分からないや。





「仲良しは仲良しだけど・・・・・・あぁ、まぁいいや。それでフェイト、昨日の話なんだけど」

「うん。あれから少し考えたんだけどね、今の段階で二人を辞めさせるのはかなり難しい」

「・・・・・・やっぱりか」

「うん」





まず、代わりの人間を見つける必要がある。空きが出来る以上、ここは大事。

それも、今の二人の能力と比べても遜色のないレベルの人材。

一応フォワード候補は他にも居たけど、全員他の部隊に居るし、それを今から誘うのもまた難しい。



もしかしたら、本当にヤスフミの言うように辞めさせた方がいいかも知れない。でも、今の私達ではその手が取れない。





「・・・・・・ヤスフミ、いきなりこんな話をしてくれたということは、何か確信があるんだよね?」

「まぁ、一応ね。ちと知り合いの情報通から教えてもらったんだけど」



そのまま、ヤスフミは念話に切り替えて話してくれた。その情報通の人から聞いた話を。

非公式な後見人に伝説の三提督・・・・・・うん、納得した。確かに危機感を持つかも。



「正直さ、話すかどうかかなり考えた。でも・・・・・・エリキャロのこと、大事でしょ? 僕はなんかあっても責任取れないしさ」

「あの、ありがと。二人のこと心配してくれて。というか・・・・・・ごめん。せっかくの心配、無駄にしちゃって」

「いいよ、別に。難しいのは分かってたし。あと、僕は別に二人の心配なんてしてない。フェイトが泣くのが嫌なだけ」



少しそっぽを向いて、ヤスフミがそう言う。私はそれがおかしくて、少し笑ってしまった。

素直じゃないけど、とても優しいところは変わってなくて、それが嬉しかったから。



「そっか。・・・・・・ありがと。とにかく、気をつけていくよ。というか、機会を見てはやてと話す」

「そうだね、そうした方がいい。間違いなく面倒事になるのは決定だしさ。
あと・・・・・・向こうが隠してるもんが何か分かったら、エリキャロにも話した方がいいかも」



ヤスフミはその後に、苦い顔で『普通に話せることならね』と付け加えた。そして、そのまま言葉を続ける。



「結局、考えて選ぶのはあのちびっ子二人だもの。悩んで、選んで・・・・・・それでも覚悟決めて戦うってなら、それでいいんじゃないの?」

「・・・・・・うん、そうだね」

「あ、僕の時みたいに止めないんだ」

「そ、そこは言わないで? 私も色々と反省してて、二人がやりたいならちゃんと認めたいと思って・・・・・・うぅ、笑うの禁止っ! どうしてそうなるのかなっ!!」










そして、そのままヤスフミと話しながら食堂へ向かった。

なんだろう、この時間が凄く楽しい。そして、凄く大事に思える。

どうしたんだろう、私。ヤスフミと居るの・・・・・・今まで以上に楽しくなってきてるよ。





家族としてとか、友達としてとかとは違う感情。





なんだろう、この気持ちがとても暖かくて・・・・・・嬉しいよ。



















(第4話へ続く)




















あとがき



古鉄≪というわけで、新訳StSの第3話いかがだったでしょうか? とりあえず、14話まで書いてしまった作者は地獄へ落ちろと言ってやりたい古き鉄・アルトアイゼンです≫

サリエル「なんつうか、俺くらい出来る奴は五万と居ると思うサリエル・エグザだ。・・・・・・いや、マジでだぞ?」





(あ、なんか突き刺さってる。誰かに何かが突き刺さってる)





サリエル「で、今回は凪の時間。やっぱりやっさんは好感度上がりにくいという話だったわけだが・・・・・・でも、ぶっちゃけ普通じゃね?」

古鉄≪普通ですね。基本どこかの仕事場を手伝う時は最初はこんな感じですよ。
そこから徐々に距離を詰めていくところですね。あの人、ひきこもり体質ですし≫

サリエル「意外と人とコミュニケーション取るのもヘタレなんだよな。つーか、ヘタレキングだよな。
やっさんヘタレキングだよな。・・・・・・あ、大事なことだから二回言ってみた」





(最強の兄弟子、平気な顔してそう言い切る。それを見て、青いウサギがため息を吐く)





古鉄≪普通にあなたもヘタレじゃないですか。というか、しゅごキャラクロス23話で色々と株を下げてますし≫

サリエル「いやいや、アレは俺間違いじゃないだろっ!? やっさんなら絶対ノリでなんとかなるってっ!!」

古鉄≪なったら怖いですよ。ある意味役に立たないチートじゃないですか。
・・・・・・えー、そういうわけで全く反省していないサリエルさんに批判のお便りお待ちしております≫

サリエル「なんでそうなるっ!? ・・・・・・というか、今日はここまでか」

古鉄≪はい。それでは、本日はここまで。お相手は古き鉄・アルトアイゼンと≫

サリエル「サリエル・エグザでした。んじゃ、また次回になー!!」










(というわけで、二人揃って手を振る。それをカメラが映しつつ、フェードアウト。
本日のED:島みやえい子『奈落の花』)




















ヴィヴィオ「・・・・・・で、しゅごキャラクロスとか電王クロスとかとこの話が繋がる感じにするらしいけど、楽しみだよねー」

なのは「楽しみなのっ!?」

ヴィヴィオ「というかというか、それなら途中でヤスフミにたまごとか生まれないのかな? ほら、せっかくだし」

なのは「ヴィヴィオ、それは色々アウトだと思うんだけど私の気のせいかなっ!!」

ヴィヴィオ「大丈夫だよー。・・・・・・あ、それでね。ヴィヴィオは気づいたの」

なのは「うん、なにかな」

ヴィヴィオ「ヴィヴィオと恭文がこの段階で仲良くなると、普通にヴィヴィオは徹とか斬とか二刀流や鋼糸に飛針を扱えるようになると思うんだ」

なのは「・・・・・・・・・・・・そう言えば、そう・・・・・・なるよね」

ヴィヴィオ「それでね、万が一にもヒロリスさんとかサリエルさんとかが六課に来ちゃったら、フィジカルでもすごく強くなっちゃうの」

なのは「ずっと居る感じだと・・・・・・あ、そうなる。確かにそうなる」

ヴィヴィオ「どうしよう、ヴィヴィオすっごいチートキャラクターになっちゃうよー♪」

なのは「とか言いながらどうしてニコニコするのっ!? 私分からないよっ!!」

古鉄≪大丈夫ですよ。運の悪さも一緒に学習して、高町教導官がやられそうになったら、突然に上から盥が落ちてきて、それで負けますから≫

ヴィヴィオ「あ、なるほど〜」

なのは「ないからっ! そういうの絶対ないからねっ!? ヴィヴィオも納得しちゃだめー!!」










(おしまい)




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