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小説(魔法少女リリカルなのは:二次小説)
第36話:おまけとあとがき



おまけ:辺里唯之介のこと




















◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



とにかく、僕達は冴さんに許可をもらった上で、唯之介もお食事タイムに引き込んだ。

そして、唯之介と色々話して・・・・・・分かった事がある。

それは、僕達が当たりも当たり、大当たりを引いた事。






とにもかくにも、みんなで牛鍋を食べつつ話すのである。










「・・・・・・じゃあ、しゅごキャラというのが正式な名前なんですね」

「そうだよ。しゅごキャラはなりたい自分、夢が詰まったたまごから産まれてくるの。
あ、ちなみにあたしだけじゃなくて、恭文もたまごがあるんだよ?」

「そうなんですか?」

「まぁ、たまごから産まれてないんだけどね。・・・・・・それで唯之介、なんでしゅごキャラ・・・・・・唯之介の言う『精霊様』のこと知ってるのさ」



僕がそう聞くと、唯之介が視線を下げる。下げて、涙目になる。

その様子に、僕達は顔を見合わせて困惑してしまう。



「実は・・・・・・僕にも、しゅごキャラが居るんです」

『えぇっ!?』



あ、だからラン達が見えるのか。うん、納得した。

でも、肝心のその子はどうしたんだろ。普通にラン達も気配感じてないようだし。



「ね、唯之介くん。その子って、どんな子なのかな」

「・・・・・・チアキと言います。まだ旅一座に居た頃、朝起きたらたまごが布団の中にあって」





で、あとはお決まりのパターンだ。たまごからその日のうちにそのチアキという子が産まれて、当然ビックリした。

しかも、旅一座の人達もそうだし、冴さんにもその子は見えない。最初は妄想か何かとも思ったけど、そういうわけでもない。

その子は恥ずかしがり屋らしく、無口であまり話さない子だけど、優しい子だったらしい。



家族も同然だった一座の人達を亡くした時も、そういう不安で負けそうな時、やさしく微笑んで励ましてくれていたとか。





「ただ・・・・・・あの」

「なにかな」

「・・・・・・・・・・・・実は」




















◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



・・・・・・時間は少しだけ遡る。ティアナさん達と桜井侑斗さんがジークって言う仲間を迎えに行くために、ターミナルって駅を出発した直後まで。





でも・・・・・・ビックリした。マジで時間の中に駅があるなんて。










「リインは恭文さんと一緒に前に来たことがあるのです。でもでも、あんまりゆっくりは観光してないのですよー」

「そうなんだ。でもなんていうか、アンタ達と関わってよかったわ。私の常識、いい意味で壊されていくもの」

「そうね、これはこれでおもしろいかも」

「それはいいことなのです」





即答でそう言い切ったリインに、私もりまも苦笑するしかなかった。アイツの第二夫人は、とっても強いらしい。





「でも、ここからは観光気分は無しだな。アタシの経験上、多少は引き締めねぇとそのモウリョウ団ってのに簡単に潰されるぞ」

「アギトちゃん、そこはもちろんなのです。でも・・・・・・なんのために京都を火事になんて」

「同時刻で他のとこが襲撃されてたなんて記述はなかったし、火事が最終目標・・・・・・いや、証拠隠滅か?
その場合、事前に色々動いて積み重なって・・・・・・リイン、もしかしたら火事の以前からなんか起こってるかも知んないぞ」

「その可能性は高いですね。いきなり火事で街一つが前振り無しで焼けるなんて、ありえないのです」










とにかく、原因は大体分かったわ。あの駅長って人が見せてくれた新聞記事の京都大火が唯世が消えた原因かも知れない。

で、その家事で辺里唯之介って言う唯世のご先祖様っぽいのが亡くなっている。

それを阻止すれば、唯世も元に戻るかも知れない。話を簡潔に纏めると、こういう事らしい。





右手を見る。そして、強く握り締める。私は、どうやらどうしようもなくバカらしい。

・・・・・・この間、死にかけたばかりなのに、また力が欲しいとか考えてる。

実は入院中に、ブラックダイヤモンドの強化の影響が残ってるかどうか、検査してもらったことがある。





結果は、だめだった。反応や身のこなしに身体能力・・・・・・アレのおかげで上がっていた能力は、普通の人間のレベルになっていた。

今の私には、あの時恭文とフェイトさんとぶつかった時みたいな力はない。戦う力は、ない。

多分、戦ってる時に出ても邪魔になるわよね。これは本当の意味で『戦い』になるはずだから。





それが少し、悔しい。一緒に戦えれば、アイツへの借りを返せるかなとか考えてしまう。

でも、それだけじゃない。・・・・・・唯世は、一応私の幼馴染になる。

色々迷惑もかけちゃったし、出来るなら助けたい。そのための手助けが出来るならしたい。





・・・・・・ま、らしくないから口には絶対出さないけど。










「でも唯之介・・・・・・」

「歌唄、アンタ何か覚えあるの?」



ティアナさんに聞かれて、私は更に考える。なんか引っかかってる。大事な事を忘れてると、脳が言ってる。

で、思い出す。思い出す。思い出す・・・・・・。



「歌唄ちゃんも。はい」

「あ、ありがと」



デネブが作ってくれた五目ごはんのおにぎりをかじりつつ・・・・・・ん?



「ねぇ、デネブ」

「なにかな?」

「これ、美味しいわね」

「ありがとー。いや、自信作なんだけど、気に入ってもらえたようでよかった。うん」



更に思い出す。お茶とたくあんも食べつつ思い出す。



「歌唄、お前普通によく食うな。アイドルなのに」

≪そうですね。いい食べっぷりですが、それで大丈夫なんですか? アイドルなのに≫



恭太郎もビルトビルガーもうっさい。私は食べたい時に食べたい物を食べる主義なのよ。

てゆうか、ちゃんと食べないと力出ないでしょ? 食は大事なのよ。



「というか、考え事しながら食べてると身体に悪いよ?」

「そうですわよ、シャーリーさまはフェイトさまの新フォームのアイディアを纏めるためにそれをして、体重が」

「だからそれは言わないでー! というか、もう戻したんだよっ!?」



とにかく、二個目にかぶりつく。かぶりついて、こんにゃくや鶏肉や野菜の程よいお味に関心しつつも思い出す。

そこまで考えて、記憶を本当に小さな頃まで引き出して、ようやく扉を開くための鍵が見つかった。



「・・・・・・思い出した」



だから、私は遠慮なく鍵を扉の鍵穴に差込み、回す。

回して、扉を開けた。



「何を思い出されたのですか?」



テディが聞いてきた。というか、みんなすごい疑問顔で私を見てる。

なんか『しいたけ入れるなっつってんだろうがっ!!』とか喚きながらデネブの首を絞めていた桜井侑斗も同じく。



「あの記事に載ってた唯之介って名前、どっかで聞いた事あるなって思ってたのよ。
で、考えて思い出した。その人、確か唯世の曾々お爺さんのはず」





私もそれほど詳しくは聞いてないんだけど、京都で暮らしてて、奥さんと出会って結婚して、それで曾お爺さんが産まれて・・・・・・とかなんとか。

小さい頃の唯世は、今の自分の世界の中にない『京都』という別世界に住んでいた曾々お爺さんが誇らしかったらしい。

お婆さんから話を聞いた後、私とイクトに自慢げに話していた。それも何回も。アレはたまらなかったわ。聞かないと唯世泣くもの。



だけど、今回はそれで助かったかも。これでちゃんとした確証が得られたから。





「幸太郎、どう思う?」

「歌唄が聞いた唯之介が、あの新聞記事で亡くなった奴と同一人物なら、当たりだな」



幸太郎の言うように、まだ確定じゃない。同姓同名の別人という可能性だってあるんだから。

でも、なんだろう。私の勘が告げている。それで正解だと、強く。



「ついでに言えば、それとモウリョウ団の連中と関係があるかは分からない。
巻き込まれただけって可能性が大きいとは思うがな。とりあえず、今は野上とチビ達任せだろ」



私達はまだ京都に向かえない。だから、先に向かった恭文達頼みと言いたいのは、すぐに分かった。



「フェイトさんやディードも居るから大丈夫だとは思うけど・・・・・・あぁ、まだ不安要素あったわ。確か、スバル居るのよね」



なんでも、その人はフェイトさんやリイン、恭文の元同僚の魔導師で、ティアナさんとはパートナーだったとか。

まさかそんなのが居るとは思わなくて、普通にティアナさんは幸太郎と侑斗(めんどくさいからこれでいくことにした)から話を聞いて、頭を抱えている。



「あの子、ちょっと空気読めないところあるし、バカやってなきゃいいんだけど・・・・・・」

「ティアナさん、それアタシすっげーよく分かるわ。空気読めない奴が居るとマジで大変だよな」

「イル・・・・・・あぁ、そうよね。アンタも何気にそういう苦労してるのよね」

「まぁな」





そして、ティアナさんとイル、そしてりまやリイン、咲耶に恭太郎がある子を見る。



クスクスとおかっぱのしゅごキャラと、楽しそうに日本茶を飲んでいるあの子を。





≪とにかく、答えは明治11年の京都にありですね。
先に向かわれた良太郎さんとおじい様が上手くやってくれてるといいのですが≫

「やってるわよ」





自分でもビックリするくらいに、私は遠慮なく言い切った。それに全員がビックリした顔で私を見る。



だから、不思議と笑いながら、私はまた言い切った。





「その野上良太郎って人がどれだけの人かは知らないけど」





だって、私は電王見てなかったもの。説明されてもよく分からないわよ。





「恭文なら大丈夫よ。だってアイツ、無茶苦茶強いもの」










恭文の強さに、私は助けられた。で、一応感謝してる。

他にも色んな人に助けられたとは思うけど、一番感謝してるのはアイツ。

てゆうか、アイツにはある。周りを巻き込んで、今を覆していく力がある。





そういう人間は、どんどん人を、世界を自分のペースに巻き込んで、色んなものを変えていかなきゃいけないと私は思う。

どうしようもない理不尽や常識、悲しみや絶望。それらを壊して、今を守り未来に繋ぐ。それが、アイツの力。アイツの輝き。

・・・・・・うん、好きかな。イクトの次くらいに。私は、アイツの強さに、輝きに惹かれてる。





だから、アイツの輝きがどこまでいけるのか、何を変えられるのか、近くで見ていたいなと強く思う。

第三夫人になれるならなってみたいなと思うのは、そこが理由かな。恋愛感情というよりは、興味。

あの強さを揺らぎなく、どこまで貫けるのかと、単純に興味がある。というか、貫いて欲しい。





その輝きは、誰でも持てるものじゃない。例え自分勝手な使い方しか出来ないとしても、死ぬまで貫いて欲しい。










「ま、そこは同意見だな。アイツは運も性格も無茶苦茶悪いが、そこそこやる奴だしよ」

「アギト、アンタもそう思うの?」

「思う思う。いやさ、アタシもアイツに助けられた事があんだよ」



赤い、小さな女の子はそのまま、私の前にプカプカと浮かびながら、私の目を見る。



「・・・・・・どうしようもなく憎い相手が出来た事があってな。アイツはそういうの全部引き受けてくれたんだよ。
ほぼ初対面で、30分前まで敵同士だったのによ。で、アタシの代わりに敵討ちしてくれた。それ以来、アイツにはなんか弱いんだ」

「そう。なんて言うか、バカよね」

「あぁ、バカだ。でも、バカだからアイツはすげーんだ。だからお前だって、そう言うんだろ?」

「まぁね。でも、同じくらいバカなのがもう一人居るわよ?
正直、あんま心配してないのはそこも大きいかな」





まぁ、嬉しそうな顔されるのが癪だから言わないけど、あむがそれ。

あむも恭文と同じ輝きを持ってる。とても強い力を持った輝きを。

一応、認めてはいる。まぁ・・・・・・友達、らしいし。



でも、絶対言わない。嬉しそうな顔されるの癪だもの。





「・・・・・・ふむふむ、そうなのですかー」

「それは大変だったねー」

「・・・・・・・・・・・・うん」





そしてエルもクスクスも誰と話してるのよ。こっちはシリアスムード全開だって言うのに。

そこまで考えて、私は気づいた。というか、全員気づいた。

この場に居るしゅごキャラは、イルとエルとクスクスだけ。イルはティアナさんとシンパシー感じまくってる。



なら、さっき横目でエルとクスクスと話してるのを見たおかっぱの子は・・・・・・えぇっ!?





「ちょっとエルっ!!」

「クスクスっ!!」

「ほい? 歌唄ちゃん、どうしたのですかぁ」

「りまもどうしたの〜」

「「どうしたのじゃないからっ!!」」





そう、普通にその子はこちらに視線を向け、ペコリとお辞儀した。



その子は、リインが拾ったしゅごキャラだった。というか、何時の間に目を・・・・・・。





「アンタ達、目が覚めたなら覚めたって教えなさいよっ! なに普通に報告も無しでその子と談笑してるのっ!?」

「歌唄ちゃんごめんなさいなのです。ただ、深刻そうなお話中だったので、邪魔をしたくなかったので」

「そこは邪魔していいからっ!! ・・・・・・で、どこまで話は進んだの?」

「とりあえず、この子の名前と宿主が誰かは分かりました」



お、久しぶりに偉いわエル。そこまで分かってるとは思わなかった。



「クスクス、あなたが頑張ってくれたのね?」

「うん。というか、大変だったよ? エルが話をすぐに脱線させるから」

「・・・・・・やっぱり」



エル・・・・・・アンタやっぱりそういうキャラ? てゆうか、返して。私の感心を返して。

てゆうか、ティアナさんや恭太郎達が微妙な目で見てるんだけど。あとりま、その嘲笑うような目はやめて。なんかムカつくから。



「それでね、この子チアキちゃんって言うんだってー。あと、宿主は辺里唯之介って子」

「・・・・・・クスクス、ちょっと待つです。辺里唯之介って」

「多分、間違いないよ? どこに暮らしてるのーって聞いたら、明治11年の京都だって教えてくれたし。ね?」

「・・・・・・・・・・・・はい」










それじゃあこの子・・・・・・唯世のご先祖様のしゅごキャラっ!?





なんでその子が現代に落ちて来たのよっ!!




















(本当に続く)




















あとがき



古鉄≪というわけで、色々楽しくなってきたしゅごキャラクロス第36話です。なお、あの人とか師匠とかCCOとか出てきませんから。てゆうか、纏められませんから≫

歌唄「この当たりはあの三人がスポット参戦扱いと同じ理由よね」

古鉄≪その通りです。というわけで、今回は明治という時代の風景などもちょこっと描きつつ、結局また不運スキル発動だと思った古き鉄・アルトアイゼンです≫

歌唄「そして、今回のおまけで主役扱いなほしな歌唄です。・・・・・・てゆうか、真面目に私エンド書かない?」





(ドS歌姫、普通に順位がアレだったのに、また無茶を言う)





歌唄「うるさい。だから順位を上げるために頑張りたいのよ。アレよ、フェイトさんに振られてちょっと恋愛恐怖症気味になってたのを、私が変えるのよ」

古鉄≪実力行使ですか?≫

歌唄「当然よ。てゆうかね、普通にあの順位が納得がいかないわ。あと、あむも」

古鉄≪そこは私もです。というより、今回は色々悔いが残っているんです。
だって、私真・主人公ですよ? 普通にありえないじゃないですか≫





(実際、作者も1位取られるならそこで耳をクシクシしている青いウサギと思ったらしい)





歌唄「アルトアイゼン、私達はまだまだ輝けると思うの」

古鉄≪確かにそうですね。私達、もっともっと上にいけますよ≫

歌唄「だから、頑張りましょうか。とりあえず次回から」

古鉄≪はい、頑張りましょう。・・・・・・それでは、本日はここまで。お相手は古き鉄・アルトアイゼンと≫

歌唄「ほしな歌唄でした。それではまた。で、具体的な案だけど」










(そこから、作戦会議が綿密に行われる。どうやら、真面目に気合が入っているらしい。
本日のED:ほしな歌唄『太陽が似合うよ』)




















あむ「・・・・・・うーん」

ミキ「あむちゃん、どうしたの?」

あむ「いやさ、なんかこう・・・・・・軽くショックでさ」

ミキ「警官隊や、唯之介くんのこと?」

あむ「うん。あたしはさ、まぁ割と普通に過ごしてきたわけよ。
ただ、ガーディアンになって、魔法と出会って、結構浮世離れしてるなと思ってたんだけど」

ミキ「だけど?」

あむ「もしかしたらさ、そんなわけじゃなかったのかも。昔の日本って、こういうことが普通に行われた時期があったのは事実で・・・・・・ごめん、上手く言えないや」

ミキ「大丈夫、なんとなく分かったから」

あむ「え、マジ?」

ミキ「マジだよ。だって、僕はあむちゃんのしゅごキャラだし」










(おしまい)






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