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小説(魔法少女リリカルなのは:二次小説)
第11話 『遊びで本気になれる人は、きっと人生を楽しんでいる。というか、きっと本当の意味での勝ち組』



・・・・・・テクテクと草原を歩く。僕達が目指した方向は北西。





このマップの端、その方角の突き当たりにある洞窟の入り口を目指す。

時刻はゲーム内では早朝の4時。まぁ、この辺りは特に関係しないので問題なしとする。

現実時刻とゲームの時間は、常にイコールじゃない。今は夜の7時くらい。全く問題ないのである。





しかし、おかしい。どう考えてもおかしい。





なんで知り合いとしかPT組んでないんだろ。これ、オンラインゲームのはずなのに。










「・・・・・・・・・・・・でね、うちの子ルーテシアも恭文くんの事大好きなのよ。アギトちゃんやゼスト隊長との事もあるから、最初から好印象だったみたいでね、良く話してたんだ。
それで一応ね、さすがに調子乗りすぎたかなーと思って、恭文くんと初めて会ってからルーテシアにそれとなく話したのよ。お父さん呼びはやめておこうねって」



そうだったんだ。そこは知らなかった。僕、なんだかんだであれから施設の方に行けなかったから。

・・・・・・あ、木を避けてと。



「というか・・・・・・まぁ、9割私のせいなんだけど」



どうやら、メガーヌさんにも一応の自覚はあるらしい。だから、こんなことを言うのだ。

うん、確かにメガーヌさんの勢いが凄かった。もう怖いくらいですよ。



「あの子、実のお父さんの姿を知らないんだ」



いきなり確信に触れたので、ちょっとドキっとした。てか、心臓に悪い。



「写真とかも、残してなかったから・・・・・・多分パパ呼びが止まらないのは、そういうのがあると思うの。
あの子が無意識にイメージ・・・・・・欲しいと思っている『お父さん』の姿に、恭文くんが割合近いんじゃないかなと」

「なるほど・・・・・・」



僕にターゲットをロックして、オートラン自動歩行モードをオン。

前方を歩く僕をそれにより自動追尾しながら、ゲーム内でリアルな問題について語るのは、メガーヌさんとフェイト。議題は、ルーテシアの『お父さん呼び』をどうするか。



「確かに、リエルやカエラ・・・・・・あ、私のお兄ちゃんの子どもで、この子達もヤスフミを『パパ』と呼んでるんですけど」



フェイト、なんでそこバラす? そこは関係なくないかな。



「・・・・・・恭文くん、ルーテシア以外でもそういう子が居たの?
というか、フェイトちゃんって言う本命が居るのにだめだよ。そんなに子ども作っちゃ」



作ってないよっ! てーか、ルーテシアに関してはあなたの悪乗りが決定打でしょっ!?



「メガーヌさん、出来ればその話題には触れないであげてください。
・・・・・・あんまりに懐き過ぎてるせいで、ヤスフミ、義姉との関係を疑われた事があるんです」



うん、疑われたね。もっと言うと、IFエイミィさんルート突入してるんじゃないかって協議されたのよ。



「あら、そうなんだ。でも、事実なら仕方ないと思うのよね」

「だから事実じゃないんですよっ! 本当にヤスフミもエイミィもそういうことはなかったんですからっ!!
・・・・・・・・・・・・ヤスフミ、そうだよねっ! それで大丈夫だよねっ!?」





大丈夫に決まってるから聞かないでっ!? てか、マジでDNA検査とかやめてー!!

『じゃあいいよ、これから実際に恭文くんと子作りして、恭文くんの子ども産むから』って言った時のエイミィさんの目は、マジでトラウマなんだからっ!!



「それでそれで、どうなったの?」

「今まで見たことのないくらいに怖い目でヤスフミを鍵付きの寝室に連れ込もうとしました。
それで、私と母さんとアルフ・・・・・・あ、私の使い魔なんですけど、三人で必死に止めて」



で、クロノさんに土下座させまくって、なんとか事無きを得た。

アレ以来、クロノさんもそういうことを言わなくなったので、安心して・・・・・・てゆうかちょっとまって? なんでこのことバラされてるのさ。



「なんというか、大変だったのね・・・・・・」

「はい、大変でした」





いやいやっ! なんか話逸れてないかなっ!? てゆうか、おかしいでしょこれはっ!!



ちくしょお、『三人』引っ張ってるからどいつもこいつも反論出来ないと思って、適当なこと言いやがってー!!





「と、とにかく・・・・・・二人もそれに近い感じなんです。兄は航海任務で長期間家を空ける事が多かったので、その分身近に居る男性で、自分達の面倒を見てくれたヤスフミがイコールお父さんになってるらしくて」

「なるほど・・・・・・」

「実はさ、私もメガーヌから話を聞いて、ゲンヤさんとかと一緒に協議したのよ」



ここで、ようやく三人目が口を開いた。そのお姉さんは僕を二人と同じように追尾して、遠慮なく話す。



「修正、難しいかも知れないよ? 現にその双子はやっさんがミッドに来て、そのお兄ちゃんより会う機会が少なくなっても、パパ呼びは変わらないし」



話に加わったのは、もちろんヒロさん。てか、あの・・・・・・みんなPT会話でリアルな話するのやめて?

僕、当事者だから何にも言えないけど、文字にされると結構辛いんだから。そして自動追尾やめい。自分の足で進んでいくこともMMORPGの醍醐味なのに。



「まぁ、アレだよ。二人がいいなら、あくまでもやっさんへの親しみを込めた『愛称』として、お父さんって呼び方は許してあげて欲しいな。一応あの子の友達としてお願い。
・・・・・・あの子は、ずーっと暗い世界の中で生きてきた。きっとさ、そう呼ぶのだって平気に見えてたかも知れないけど、無茶苦茶勇気使ってたかも知れないよ?」

「・・・・・・ヤスフミ」



フェイトのPCが僕を見ている。うん、当然だ。だって僕がフェイトを引っ張ってるんだから。ロックされてるんだから。

とにかく、その・・・・・・まぁ、僕は大丈夫。あくまでも愛称としてなら問題ない。某双子のように本気なのはさすがに困るけど。



「・・・・・・・・・・・・僕は、大丈夫です。ただし」



あ、木にぶつかった。



「本当に『愛称』としてですよ?」



そして、画面の中で僕のPCと、僕にロックしていたフェイト達が木の前で右往左往する。



「僕にはもう大好きな人と付き合ってますから、メガーヌさんと結婚して本当のお父さんになんてなれないですし」



画面上のPCだから、みんなの表情の変化は今ひとつ分からない。だけど、メガーヌさんとヒロさんは満足そう・・・・・・な、はず。

うん、やっぱり分からないや。



「私も、ヤスフミと同じくです。あの、本当にお父さんになるのはダメですよ? ヤスフミは私の彼氏ですから、絶対渡せません。その・・・・・・第三夫人は認めないってリインとも話していますし」



お願いだからその話やめてー! あぁ、やっぱり三人体制とか無理じゃないかなっ!? 主に僕の許容量の問題でっ!!



「恭文くん、フェイトちゃん・・・・・・・ありがと。あのなんというか、ホントにありがと」

「まぁ、私達からも話すけど、アンタ達二人からも頼むよ? やっぱそれが一番だろうしさ」

「「はい」」

「でさ、やっさん・・・・・・そろそろ進んでよ。アンタ、いつまで木とディープキスしてるつもり?
てゆうか、止まらないでよ。アンタが止まると、私達までそれだし」

「しゃあないでしょうがっ! どうしてもこうなんのよっ!!」










なんて話している間に・・・・・・到着した。そう、目的地である洞窟の入り口の前にだ。なお、僕達八人は先行して来た。

サリさんが開発局から連絡を受けたので、サリさんを含めた残り四人が組んだPTは、少しだけ遅れている。

で、四人でちょっと暇つぶしに装備の点検とか、作戦とか、中での行動とか、そう言うのについてミーティング。なお、議長はヒロさん。てか、PTリーダー。





そして数分後、四人がテクテクと走って来た。










「遅いよサリー!!」

「悪い悪いっ! 局長の話が長くてさっ!!」





なんて、通常会話で言いながら、サリさんとリイン、ジンになのはのPCが到着。



・・・・・・さて、いよいよだよ。いやぁ、楽しみだなぁ。





「んじゃ、ここからはこのチームのままアライアンスだ。
適当なチーム分けだったが、いい感じで戦力もバラけてるしよ」





同盟アライアンスとは、複数のパーティーの複合体である。このゲームでは、1PTには6人までしか入れない。なので、それ以上の戦力が必要な時は、アライアンスを組んで対応する。

そのアライアンスには、1組につき最大の3組のPTまでが入れる。つまり、アライアンスの機能を使えば最大18人のPTが組めるということだ。

アライアンスを組んだPC同士は、別PTのキャラクターの位置情報や現在のステータス情報が一目で分かるようになる他、PTを組んでいなければ他者に使えない回復・支援魔法を、アライアンスの別PTにかけられるようにもなる。



なお、3組以上の戦力が必要な場合は、複数のアライアンスを編成して対処する。会話や連絡などは、ギルド用会話モードを使うことが多い。

チャットの色を変えれば、どれがPTでどれが戦闘メッセージでどれがギルド用会話なのかが一目で分かるようになる。

ちなみに、そんな大人数で編隊を組む必要があるのは強力なネームドモンスター(一種のボスキャラ)相手か、PvPでの集団戦闘くらいである。



とにかく、こっちの僕・フェイト・ヒロさん・メガーヌさんで編成されたPT1と、サリさん・リイン・ジン・なのはで編成されたPT2の四人でこれからダンジョン攻略である。

レベルとかバラバラだけど、これはイベント戦闘を楽しくこなすための編成。そこまでこだわる必要はない。

というか、楽しくなるといいなぁ。なんだかんだでダンジョンに入るのは初めてだし。










「ヤ、ヤスフミ・・・・・・」

「なに?」

「なんだか私、緊張してきた」

「大丈夫だよ。ゲームなんだし、楽しくいけば」



モーションで僕はフェイトのPCにニコリと笑いかける。

すると、フェイトも少し遅れて・・・・・・同じモーションで笑いかけてから、頷いてくれた。



「はぁ? 何言ってんのさ二人とも。・・・・・・これは遊びじゃないんだよ、ゲームじゃないんだよ。
私達は今から決死の覚悟でダンジョン攻略なんだよ。油断したら、死ぬよ?」

「いや、ゲームだからこれっ! そして遊びだからっ!!
お前、なんでいきなり初心者脅すようなことしてんだよっ!?」

「え、だって私にとってはそうだから」

「お前、その廃人思考は今すぐ捨て去れっ!!」










とか言いながら、僕達は進むのである。





オークどもが犇めく前衛基地・・・・・・『愚か者どもの巣窟』に。




















魔法少女リリカルなのはStrikerS 外伝


とある魔導師と機動六課の日常 Second Season


第11話 『遊びで本気になれる人は、きっと人生を楽しんでいる。というか、きっと本当の意味での勝ち組』




















◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



洞穴を潜ると、見えたのは青空。どうやら、中が全部洞窟というわけじゃないらしい。

ここは言うなら天然要塞。NPCの話だと、元々この国の人達が使っていた近場の資源採掘場であったここを、オークが占拠したとか。まぁ、PRGではよくあるお話だ。

とにかく、地形をそのまま利用した天然の要塞の入り口を、少しずつ進んでいく。入り口周辺に居るオーク程度なら・・・・・・何とかなるか。





まだレベルの低いフェイトとなのはに絡んできたのだけを僕やヒロさん、サリさんが攻撃を受ける前に察知してサクっと片付ける。僕達のレベルなら、ここの相手は練習相手にもならない。



で、ジンも何気に頑張る。どこからかもちだしてきた銃を持ってきて、パンと撃つ。そして・・・・・・なんか動きが止まる。





「・・・・・・あぁ、銃楽しい。てか、このダメージ値が堪らない」





ジン、やっぱりそういう思考か。うん、分かってた。高ダメージ叩き出すの楽しいもんね。




でもさ、画面の前で光悦とした顔するのやめない? ここからは見えてないけど、確実にそうしてると思うのよ。





「そう言えばジン君の攻撃、すごいね。私はもちろんだけど、ヤスフミのより高い。普通に強いんだね」



フェイトが感心したように言う。ジンのPCがそれに照れ笑い・・・・・・って、こらこらジン?

なに初心者だまそうとしてるのさ。ちゃんとフェイトに種明かしをせんかい。



「あー、フェイトちゃん。ジン君のダメージが高いのは、秘密があるの」





その前になのはが歩きつつ種明かしし始めたけど。





「銃器関係の武器はね、銃器そのものと、弾丸の攻撃力が合わさった上で、攻撃力の判定がされるんだ」










・・・・・・銃器類というか、弓とかクロスボウなどの弓矢も含めた射撃武器は、今なのはが言ったように武器本体と弾丸(ゲーム内のカテゴリーでは、一まとめで矢弾と呼ばれてる)を合わせた上で運用される。

武器本体に当然攻撃力が設定されてるけど、弾丸も同じくなのだ。そのため、射撃武器はスキルをしっかり上げた上で命中さえすれば、普通に殴るよりずっとダメージが高くなる。

ただ、欠点もある。まず一つは、弾丸とか矢は一発撃つごとに一本ずつ消費する消費アイテム制。それが無くなったら、射撃攻撃は出来なくなる。





で、もう一つは・・・・・・矢弾が消耗品であるために、お金がかかるのだ。ようするに、使った分だけ買うなりしないといけない。攻撃力の高い弾類だと、当然のように価格も上がる。

そのために、射撃系スキルを多用するプレイヤーは、自分が使う系統の弾丸や矢を自分で作れるように、生産スキルを上げてることが多い。

ようするに、自作の方が素材の入手とか、スキルを上げて作れるようになる手間とかがかかるけど、安く済むのだ。





あ、武器自体にも特徴がある。例えばジンが使ってる銃はダメージ重視な設定で、射撃武器の中で一番ダメージが高くなる。でも、一番弾丸の代金が高い。

クロスボウ(ボウガン)は、攻撃力は射撃武器の中では低めだけど、命中させた相手を毒状態にしたり、防御力を下げたり、眠らせたり、ダメージを与えた分自分のHPを回復・・・・・・吸収したりなどの特殊効果を持ったボルトを使える。

ようするに、ダメージを与えつつ敵を弱体化させて、戦闘を有利に進めるのだ。スキルをしっかりと鍛えて強い相手にも当たるようにすると、とっても便利。







なお、クロスボウのスキルは射撃武器メインで使う人じゃなくても上げてることが多い。目的は戦闘時のサポート。

今話したようにそれらの特殊能力を活用すると、ソロ戦闘やPT戦闘などで、魔法関係が使えないPCでも敵の弱体化が可能となり、戦闘が非常に楽になる。

前のバージョンでもあったので、もう僕達はお馴染み。・・・・・・競売所で前のバージョンであったボルトは出てたから、またスキル上げとかないと。





弓はクロスボウと銃の中間くらいの攻撃力。そして、弓に限り属性付与の攻撃が撃てる。

理由は、いわゆる『炎の矢』とか『氷の矢』とか、そういう追加で属性ダメージを与える特殊矢があるから。なお、適切な矢を使えば、ダメージは一番高くなる。

ただ、どっちにしてもスキルを上げるためにお金をある程度消費しないといけない部分も確かにあって・・・・・・。





射撃武器使ってる人は、もしかしたら無茶苦茶ドMなのかも知れないと、仲間内ですごい議論になったことがある。










「ちなみに、武器のスキルを上げるのはスキルポイントを必要としないんです。その武器を装備して使うと数値が上がるのです。数値を上げるとその武器を使用した際の攻撃力や、命中率に補正がかかります。
ただ、ここで問題が一つ。スキル全体の絶対上限数値というのがあって、それを越える形でスキルは上げられません。そして、その固定された限界値だと、全部のスキルを満タンには出来ないのですよ」

「出来てもせいぜい三つか四つくらいなんだよね。プレイヤーは、そこも考えた上で自分の使う武器を考えて上げていくの。
そして、武器にはそれぞれ特徴がある。だから、プレイヤーは自分のプレイスタイルにあった武器を使うんだ」



なお、限界値を超える形で・・・・・・他のスキルを上げると、別のスキルが同じ分だけ下がっていく。ようするに、別の武器を使いたくなった時でも、もうスキルが上がらないからだめという事にはならない。

この辺り、オプションでどれを下げるかとか指定出来たりするので、下げたくないのまで下がるなんていうことにはならな・・・・・・って、あれ?



「ちなみに、私の装備してるロッドは物理攻撃は苦手だけど、魔法攻撃力強化の効果がデフォでついている」

「リインが使っている魔導書マジックブックは、ロッドよりも物理攻撃力は低いのですが、その代わりに回復魔法や攻撃魔法の効果を上げることが出来ます。
ただ、回復魔法の効果を上げている時には、攻撃魔法に属するものの効果が薄くなるのです。そして、その逆もまた然り。扱う場合は、状況に応じた切り替えが必要なのです」



・・・・・・なのは、リイン、誰に話してるの? よく考えたら誰に説明してる。フェイトじゃないよね。フェイトとは別の方向見てるし。

というかなんかついていけないから。この画面に残ったログが妙に気になるから。



「てかジン坊。アンタスキル上がってんの?」



いや、だからPCネームで・・・・・・あぁ、もういいや。どうせ身内しか居ないゆるゆるPTなんだし。

・・・・・・あれ、そう言えばさっきなのはも『ジン君』って呼んでたような。いつの間に名前呼びになったんだろ。



「私の知る限り、ここまで射撃武器ほとんど使ってなかったのに。
これで雑魚はともかく、ボスを撃って当たらなかったとかだと、正直嫌なんだけど」

「あぁ、そこは大丈夫です。ちょこちょこと使いつつレベル上げてましたから。
・・・・・・おかげで、財布が・・・・・・所持金の数字が二桁までしか」



・・・・・・序盤の序盤で銃弾使えばそうなるよね。普通に高いもんね。

一発だけならともかく、一発23ゴールドとかが100発とか200発とか必要だと、金額は相当になるし。



「・・・・・・アレだ、鍛冶スキル早く上げろ。そしてつるはし持って素材取り行け。そうすりゃ多少はマシになる」

「はい。でも、今度は鍛冶スキルを上げるのに金が・・・・・・」



そして泣くな。フェイトのPCがなんかオロオロし出したからやめて。



「ジン、知ってる? それって悪循環って言うんだよ」

「うん、知ってたよ。今更言われるまでもなく俺すっげー知ってたよ」



ちなみに、金属性の武器や防具を生産する鍛冶スキルは、生産系スキルの中でも1、2を争うくらいに上げるのが大変です。理由は、金属素材はどうしても高値になりがちだから。

一応情報サイトや競売所で価格などを見たら、ゲームが始まって少ししか経ってないのに、もう前バージョンと同じように高値になってた。・・・・・・恐ろしい。なにかにきっと操作されてる。



「いっそ自作するんじゃ無くて、金属素材をダース単位で売ったらどうかしら」





またまた絡んできたオークを、右手に持った短杖ワンドでポカリと殴りつつ、メガーヌさんがそう言った。

で、フェイトはそれのペット扱いになっていた四足歩行で茶色の体色をしたリザード(ファンタジーにありがちな大きいトカゲ)が襲ってきてた。

それにフェイトは、バトルアックスの刃を上から振り下ろし、胴に叩き込む。でも、一撃じゃ倒れない。



だから、連続で攻撃を加える。フェイトの身長ほどの長さもある戦斧は、左から真一文字に、今度は右からと、斬撃を加える。

だけど、リザードだってそのままじゃない。フェイトの方を向き、フェイトに噛み付こうとする。フェイトは後退ジャンプでそれを避けた。

そのすぐ後に魔法を発動。それは・・・・・・一本の雷の矢。まさしくソレっぽい形。それをリザードに向かって発射。



それにより、リザードのHPは0になり、ひっくり返って地面に仰向けになって倒れた。・・・・・・まぁ、手助けしてばっかもあれなので、黙って見てた。

何とか出来ることは自分で何とかしないと、ゲームとして楽しくないもん。大事なのは、フェイトがやってていい事も悪い事も含めて『楽しい』と思うこと。

そうじゃなきゃ、やる意味がない。手助けすることでそれが妨げられるなら、それは本当の意味で助けになってないのだ。



とにかく、絡んできたのは掃除したので、僕達は歩を進める。



・・・・・・そして、一つの洞窟に入る。この中の別のマップに入るとかではないので、画面の切り替えもなし。





「それで、話の続きだけど・・・・・・要は弾が手に入ればいいんだもの。買おうと自作しようと同じよ。
どちらにしてもまずは金策手段の確保ね。働かざるもの矢弾使うべからずよ」

「おっしゃる通りです。てか、返す言葉もありません」










なお、メガーヌさんがプレイヤーが作らないと入手出来ない矢弾を抜かした上で発言しているのを、留意していただきたい。

でも、確かにその通りなのだ。たいていのMMORPGは、敵を倒してもお金が手に入らないことの方が多い。

例えば僕やヒロさん達が最初に倒していた蜂やウサギなどの野生生物っぽいのとか、僕が海賊船で戦ったスケルトンがそれになる。





そういう明らかに貨幣を持っていなさそうな敵を倒しても、お金は手に入らない。そして、たいていのプレイヤーが戦うのはそういう連中。

一応、オークやゴブリンのような二足歩行で独自の文化があって、ある程度の知能がある(という設定)敵を倒すと、お金は手に入る。でも、それは本当に小銭レベル。

つまり、MMORPGでは普通のRPGのような金策方法が出来ないのだ(作品に寄ります)。では、欲しい装備などをどうやって買うかと言うと・・・・・・競売所を利用する場合が多い。





プレイヤー同士のオークション取引が日夜行われている競売所は、当然このゲームにも存在している。そこには、多種多様なものが出品されている。

武器・防具のような装備品。回復アイテムのような消耗品。生産素材・・・・・・エトセトラエトセトラ。

で、さっきも少し触れたけど、ゲームによって『このアイテムは他のプレイヤーに高く売れる』というようなものが決まっていたりするのだ。





今話に出ているような矢弾の素材だったり、消耗品の素材だったり、高性能な武器や武具だったり・・・・・・もうここまで言えば、懸命な皆様にはお分かりいただけると思う。

ようするに、ネットゲームの金策の基本は、競売所や個人売買バザーなどを利用した他プレイヤーとのアイテムを通じた売買取引なのだ。

アイテムを手に入れたら、まずは競売所なり他のプレイヤーのバザーなりを覗くことをお勧めする。普通にNPCの店売り価格が2000ゴールドだとしても、鵜呑みにしてはいけない。





ネットゲーム内のアイテムの価値は、NPCの売店の可愛いお姉さんが決めるのではない。プレイヤーが決めるのだ。その2000ゴールドのアイテムが、競売に出したら100万という値が付くことだってあるのだから。







「・・・・・・ということなんだけど、フェイトちゃん、付いて来れてるかな」

「だ、大丈夫。現実の経済の基本と似てるから」

「そっか」





なのはがその事について説明してた。まぁ、古参プレイヤーだしねぇ。とにかく、金策か・・・・・・。ここはジンだけの話じゃないんだよね。

だって、お金がないと装備品を整える事も出来ないんだから。金策は、全てのプレイヤーが頑張っていかなきゃいけない永遠のテーマですよ。

うーん、このレベルで、ここだとやっぱりまさかり(素材収集用アイテム)持って木材集めとか?



ほら、丁度木材が取れるポイントがここだといくつもあるし。僕も木工関係の生産スキルを上げれば、ボルト作れるし。

なお、木材なら矢とかボルト、装備品の中でもワンドとかに使う場合がある。これで価格がそこそこのなら・・・・・・。

あとは競売所の価格の変動か。人が使用している施設だから、当然のように売値(=買値)は固定じゃない。



場合によっては昨日まで無価値同然なアイテムだったのが、ある有効なアイテムを作るのに必要ってのが分かって、価格が凄い事になる時もあるんだから。





「てゆうかさ」



薄暗い洞窟を歩きつつ、周りを警戒しつつ、足を進める。さっきから黒いこうもりが何匹か出てくるけど、アクティブじゃないらしくて、襲ってこない。

ただ、強さ的にはさっき絡んでたオークよりも強めなので・・・・・・ちょっと警戒レベルは上がってる。そんな時、サリさんが話しかけてきた。



「やっさんは装備どうしたんだよ。刀とか防具も一新してるしよ」

「そうだよな、お前どうしたんだよ。俺が装備品調達も込みだったからアクセクしてたってのに」





・・・・・・実は、ここには理由がある。まぁ、元々競売所とにらめっこしつつ売れそうなアイテムは収集しまくってたから、貯蓄はあった。



そして、そこに臨時収入があったのだ。それは・・・・・・ネームドモンスター。





「あぁ、それなら簡単よ」

「メガーヌさん?」

「恭文くんのレベル上げを手伝ってた時に、丁度ネームドモンスターに遭遇してね。
それを倒したら、高額アイテム出したの。それで、私達二人揃ってプチ成金♪」

『はぁっ!?』





ネームドモンスターは、普通のモンスターよりも強く、定期的に、決まった場所に出現するモンスター。

で、性能が高くて高額なアイテムを落とす事があるのだ。それが以前話したモンスターの取り合いが起きる原因の一つ。

もうここまで言えば分かると思うけど・・・・・・他のプレイヤーに売っぱらったのである。



タイミングのいいことに丁度その場でそれを欲しくてネームドモンスターを狙ってた人が居て、交渉の末にそこそこの価格で売れた。

メガーヌさんもそうだし、僕やフェイト達が使うようなアイテムじゃなかったので、どうしたものかと考えていたらそれでした。

まぁ、100万ゴールドとか10万ゴールドとかそんな大金じゃあないけど、レベルの低い僕にとっては充分。意気揚々と2ランクくらい上の装備にしたのである。





「いやぁ、メガーヌさんが居てくれて助かりました。僕一人だったらちょっとダメでしたし」

「ううん。というか、私まで代金半額もらっちゃったし、おあいこだよ」

「・・・・・・メガーヌさん、ヤスフミと仲いいんですね」



言葉より文字の方がダメージがデカイ場合ってのは、往々にしてある。今がそれだ。



「というか、メガーヌさんうらやましいです。私、まだゲーム内でヤスフミと二人っきりで遊んだ事なんてないのに」



フェイトが顔文字も何もなく言ったその言葉で、今僕達が居る、日も差し込まない肌寒そうな洞窟の温度がリアルに伝わってきた。



「ヤスフミ、ゲームの中だからって余所見禁止だよ? というか、私もそのネームドモンスター退治やるよ」

「なんでそうなるっ!?」

「一緒に遊びたいから。というか、余所見させないようにいろんな意味でレベルアップしてくことにしてるもの。問題ないよ」



何がどういう具合に問題ないのかさっぱりなんだけどっ! や、やばい。フェイトがなんだかヤキモチモード入ってるしっ!! あぁ、なんでいきなりこれっ!?



「い、いや・・・・・・フェイトだとまだレベルが足りないし」



ネームドモンスターは、普通のモンスターより強めに設定されている。そのマップの同種の敵をさくさく倒せる適性レベルでも、物に寄ってはアッサリ負けてしまうこともある。

うん、レベルは必要なのよ? プレイスタイルによるけど、この場合は必要だって。



「じゃあ、上がったら二人で遊んでくれる? というか、別に他の人が居てもいいか。
ただ、私と一緒にだね。ヤスフミとこうやって遊ぶのも楽しいから、やってみたい」

「・・・・・・うん、そういうことならいいよ」

「そっか。ならいいんだ」



あ、あはは・・・・・・なんとか矛を収めてくれた?



「せっかくだし、本当に楽しく遊びたいな。仕事ばっかり子育てばっかりなのも、ダメかなって思うし」

「・・・・・・そっか」





というかなんだろう、文字だけだと表情の機微とかが分からなくて、いつもよりヤンデレ分が上がってるように感じる。

例えば、フェイトが頬を少し膨らませたつもりで、軽く『ダメだよー』みたいな楽なノリで言ったとする。

でも、なぜか僕には『・・・・・・ずっと私だけのものにしていいかな』ってレベルに聞こえる。ネットゲームって、やっぱり不思議だ。



この辺り、メールの文章と普段のしゃべりと印象が違うように感じることがあるのと同じと言えば、分かってくれるかな?





「不思議なのは恭文さんだけです。てゆうか、またイチャイチャラブラブ・・・・・・」

「あの、そんなことしてないよっ! 普通にお話してるだけだものっ!!
た、確かに恋人同士ではあるけど、ちゃんと節度を弁えて、互いに依存し過ぎないようにして」

『いや、やってるから。PC越しでも甘い空気出てるから』



なんだろう、みんなのPCの視線が微妙だ。微妙過ぎてちょっとあれだ。てか、そういうモーション使ってるし。



「・・・・・・それでサリさん。結構進んでますけど、こっちで大丈夫ですか?」

「問題ない。このあとここを抜けると」





なんて言ってると、画面が切り替わる。そして、別マップに入った。



このダンジョンの奥の方。上を見ると、青い空が広がっていた。



そして、辺りは高い壁。遠めに坂も見える。





「・・・・・・本当に自然要塞という感じの絵だね。
元の地形を活用して、簡単に進入出来ないようにしてる」



フェイト、視点を移してあっちこっちきょろきょろしてる。フェイトの操作に合わせて、PCの首も動くから、それで分かる。



「目的地はここの一番奥だから、もうちょっと進まないとダメっすよね」

「あぁ。で、こっからは全員ちょっと本気モードだ。高町教導官とフェイトちゃんのレベルだと敵は強めになるし、俺達も絡まれる対象になる。基本」





それ以上は、サリさんが言葉を続けなくても分かってる。

だから僕達は、何も言わずにそれぞれの獲物を構える。

刀を、槍を、二振りのロングソードを、銃を、ワンドを手に持って、戦闘体勢を整えた。



それに、リインとなのは、少し遅れてフェイトも続く。





「敵を片しつつ突撃と。メガーヌさん、リイン曹長になのはさんも・・・・・・知覚遮断魔法の回しは当然無理ですよね」



知覚遮断魔法というのは、簡潔に言えば敵から襲われなくなるようにする魔法である。種類は、知覚・聴覚・嗅覚の三種。

ただし、永続的にじゃない。効果時間が切れれば、こっちを襲ってくる奴からは襲われてしまう。



「うー、オークの知覚は視覚ですよね? リインはそこまでは使えないです。聴覚と嗅覚探知なら大丈夫ですけど」

「ごめんジン君、私も同じく」

「私は覚えてるけど、さすがに自分も含めて8人がけとか無理よ。
全部終わったと思ったら、最初の子が解けてるだろうし」





先ほども言ったけど、知覚遮断魔法には制限時間がある。ただ、その制限時間は一定じゃないのよ。最大で5分、平均すると3分前後。短いと1分ちょい(Wikiに載ってた検証データ)。

一応、同じ効果を持つアイテムはある。なお、こちらは時間は一定で5分きっかり。Wikiにはもう生産用素材まで載ってた。でも、僕達はそれを持ってきてない。理由は実に簡単。

・・・・・・まず一つ。競売所にも目に付くバザーにも、どこにもなかったから。そして二つ目。ここまでレベル上げ中心だったから、生産スキルを上げてない。ようするに、自分達で作れないのだ。



この辺りは、僕達の中で一番レベルの高いメガーヌさんも同じくらしい。料理(一種のブーストアイテム。食べると一定時間ステータスが上がる)の生産スキルは上げてるけど、それじゃあ無理。

僕達には決行までにアイテムを入手するルートも、製作する手段やツテも無かった。そして魔法での知覚遮断は、求められるものを使える人間がメガーヌさんしか居ない以上、現実的ではない。

結論として、僕達はここから最終目的地に着くまでオークから姿は隠せない。もうこうなったら強行突破しかないという算段である。もちろん、それが可能だからやるというのは、覚えておいてね?



あはは、なんでゲームの中までいつものノリなんだろ。なんだかんだ言いながら力押しっておかしくない?





「フェイト、ここからはちょっと頑張るけど・・・・・・大丈夫?」

「うん、大丈夫だよ。というか・・・・・・一緒に遊べるの、楽しいね」



そう言って、モーションでフェイトのPCが嬉しそうに笑う。・・・・・・文字だけだから、過大に受け取ってしまうのかも知れない。

だけど、フェイトがモニターの前で本当に嬉しそうな顔をしているのが見えた。



「そうだね」



だから、僕も同じモーションで返す。これで気持ちが同じだと伝わったら嬉しいなと、想いを込めてそのためのコマンドをキーボードで打った。

コマンドは『/smile』。比較的英語に近い文体のミッド文字だと、意味はそのまま笑顔。・・・・・・や、やばい。なんか楽しい。これすっごい楽しい。



「・・・・・・ネットゲーム内でもいつも通りにイチャラブするって。恭文君もフェイトちゃんもおかしいよ。
PCプレイヤーキャラクター越しでもいつも通りってありえないよ。フェイトちゃん、リアルでもすっごく嬉しそうだし」



あ、そうなんだ。だったら嬉しいな。だって、僕も同じだし。



「うーん、『あまあま』なのうらやましいなぁ。うー、フェイトちゃんが恭文くんの片思いに気づかないうちに、押し倒しておけばよかったー。シングルマザーにはこの糖分は毒よー」



なんか横で言ってるけど、気にしない。そしてメガーヌさん、あなたならきっといい相手見つかりますって。



「だから、アンタ達しっかりしなよ。これは遊びじゃないんだよ? なにいつも通りに糖分出してるのさ」



そしてヒロさんが横から僕達をジーッと見ながら・・・・・・だから、その前にあなたしっかりしてっ!? どんだけ『ネットがリアルで現実が出稼ぎ』的な思考してるのさっ!!



「だからその前にお前がしっかりしろよっ!!」



あ、なんかサリさんとツッコミがかぶった。・・・・・・ちょっとムカつく。



「これは遊びでゲームなんだよっ!? お前みたいに現実に捉えてたら常人は人生踏み外すからっ!!」

「分かってないね、サリ。人生を踏み外したなんて、誰が決めるの? 人生ってやつは、自分で、誰でもない、自分にとって正しい選択を作っていくのよ。
どんなにバカで愚かな道でも、それが自分にとって正しい選択なら・・・・・・それは、絶対に踏み外した人生なんかじゃないね」

「あーもうやかましいっ! お前のもっともらしい名言なんざ、誰も聞きたくないんだよっ!!
とりあえずお前は黙ってくれないかっ!? とにかく・・・・・・行くぞっ!!」










そして、僕達は右向け右。マップを下調べしてくれていたサリさんを先導に、それぞれの武器を片手に突撃した。




















◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



「はぁっ!!」





サリさんが、曲がり角で溜まっていたオーク三体に対して左から薙ぐように槍を打ち込んだ。

一体は格闘タイプ、一体は両手槍、一体は片手剣に盾の編成。画面上にダメージカウンターが出る。

で、そのダメージに目を通すけど、さすがにこれで退治というわけにはならないらしい。



三体は、自分に対して攻撃を加えたサリさんの方を向くと、一気に追い立てる。

サリさんは回り右で方向転換して、一気に離れる。

当然オークは追いかけてくる。その間に僕は、もう右側を取ってる。



左拳を握り締めると、その前方に出てくるのは魔力スフィア。それを一番近くに居た両手槍持ちに拳ごと叩き込む。





「アイシクル」





三体の敵の攻撃目標は、ヘイトの関係上で全てサリさんに向いてる。だから当然のように、僕の方は向かない。



がら空きな胴に向かってスフィアを叩き込むと、それはたちまち大きな氷の杭となった。





「ステークッ!!」





氷の杭は、画面上で密集するように重なっていた三体を貫き、同時に吹き飛ばす。連中の頭の上から、ダメージカウンターが出る。

ここのは僕一人で一体を楽に倒せる程度の強さ。スキルを使った上でなら、楽に勝たせる。連中のHPは、もう4割を切っていた。

そこを狙って、銃声が響く。それが両手槍のオークに命中し、HPを更に減らす。そして、フェイトが走りこんで、僕を狙って動いていたオークに斬りかかった。



そのアックスの刃先には金色の雷撃の力。その一撃は、通常のダメージだけではなくエンチャント使用時の追加ダメージも叩き出す。

まだ僅かに残っていたので、自分に対して突き出された槍の攻撃を右に動いて避けた上で、もう二撃打ち込む。それで、両手槍のオークは戦闘不能になった。

その間に、他のみんなも動いてる。なのはが構えたロッドの先から炎の弾が出て、剣持ちのに直撃。



その次に、氷の矢が飛ぶ。なお、僕ではなくリインの攻撃。サリさんは槍を突き出して、炎と氷の攻撃でダメージを受けているオークの胴を貫いた。



それにより、オークは倒れる。で、残りの一体はというと・・・・・・。





「えいっ! えいっ!!」





なんかメガーヌさんが格闘タイプのとポカポカ殴り合ってる。



なので、ヒロさんがテクテク歩いて、オークの胴に向かって右手の刃を突き出した。




「てや」





そして、格闘持ちは倒れた。





「・・・・・・・・・・・・うー、ヒロちゃんずるいー。とどめは私が刺したかったのに」



なんか不満そうに言うので、当然のようにヒロさんのモーションがため息を吐いた。

で、メガーヌさんが頬を膨らませる。・・・・・・なんだろう、普通にPCネーム呼びしなくなってるのがちょっと怖い。



「うっさいよ。てーか、PT組んでるのになぜにヒーラーが前に出て殴るのさ。
アンタ、まさかと思うけど野良PTでそんなことやったりしてないだろうね」





・・・・・・というかメガーヌさん、ヒロさんの言うように何故に殴る? 回復役なのに何故に殴る。





「さすがに野良PTではしてないよ。だって・・・・・・・だってー」



胸の前で両手を握って、身体をフリフリする。なんだろう、リアルにやっても可愛いのではとか思ってしまったのは。

やばい、僕なんか毒されてる。リアルに毒されてるって。



「回復ばっかりしてるとワンドのスキル上がらないもの。顔見知りばかりだし、少しくらい遊ばなきゃ」

「・・・・・・納得しました」

「でしょ? ほらヒロちゃんも、恭文くんを見習ってよ。
恭文くんは優しいから、ちゃーんと分かってくれてるし」

「バカ。私はやっさん見習うくらいなら、カマドウマを人生の師として崇めるよ」



ちょっとそれどういう意味っ!? もしかしなくても、僕はバカにされてるのかなっ!!



「てゆうかメガーヌ、なにバカなこと言ってんの? これは遊びじゃないんだよ。油断してたら」

「つーわけでこんな調子で行くぞ。全員MPは節約しつつも適度にスキル使用。
そうして、速攻で片して進軍してくから。んじゃ、いくぞー」

「・・・・・・というわけだから、ちゃんとやり」





そのまま、僕達は無言で前進する。というか、サリさん先導で猛ダッシュ。





「ちょっとアンタ達っ!? なんで私を置いてくのさっ!! こらー! 待てー!!」










とにもかくにも、そのまま僕達は全力全開で進み続ける。





襲ってくるオークやリザードを斬って撃って焼いて凍らせて突いて殴って(なお、誰がどれかは想像にお任せします)。

襲ってくる魔法を使うタイプのオークを、斬って撃って焼いて凍らせて突いて殴って・・・・・・。

道の途中、川を横切るときに襲ってきた空飛ぶお魚さんも、斬って撃って焼いて凍らせて突いて殴って・・・・・・。






その途中でフェイトとなのはのレベルが1つだけ上がったり(なんでも、レベルが上がる直前だったらしい)しつつ、僕達は立体迷路を駆け抜ける。

坂を登り、がけの上を走り、オークが作った(という設定)木製エレベーターにフェイトが関心してた。

そうしつつもそれで降りて、がけとがけの間を走り、オークを蹴散らし、また登ると、一つの洞窟に辿り着く。





そして、サリさんがそこを指し示すので、僕達は当然のように突入。突入して少し探索すると、マップが切り替わった。




















◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



「・・・・・・サリ、到着?」

「あぁ。・・・・・・うし、全員座って休憩。それやりながら改めて説明するぞー」



そこは、洞窟の行き当たり。だけど・・・・・・その行き当たりの一番奥には、禍々しい文様が描かれたドアが有った。



「あそこを調べて、昨日取得したクエストアイテムをトレードする。
すると、俺達はあの扉の向こうに入れる。そこがバトルフィールドだ」

「そこで戦闘でしたっけ」

「あぁ。そいつを倒せばクリアだ」



で、全員一応持ち物確認。・・・・・・うし、アイテムはある。

フェイトはどう?



「当然あるよ。出発する前もそうだし、こっちに来てからも何度も確認したんだから」

「そっか、いいことだわ」



隣で両足を伸ばした形で座るフェイトは・・・・・・うーん、可愛い。小さい頃がモデルって言ってたけど、写真で見た通りだ。

小さい頃のフェイト・・・・・・その頃に会ってたらどうなってたのかな。想像してみて、ちょっと面白くてリアルでクスリと笑ってしまう。



「リインも大丈夫ですー」

「俺もです。なのはさんは・・・・・・って、聞くまでもないですね」

「うん、大丈夫だよ。メガーヌさんはどうでしょう」

「私も大丈夫」



で、体育座りに近い姿勢のサリさんとヒロさんを全員が見る。二人は、頷いた。

うーし、これで一気にクリアだー!!



「・・・・・・お前ら、なにしてんだ」





声は突然にかかった。そちらに視点を移すと、ちょうど今入ってきたらしいハンマーを持った赤毛でボンキュッボンのスタイルをしたお姉さん。



・・・・・・あれ、すっごい見覚えアル。じゃなかった、見覚えある。PCネームは、『ヴィータン』。





「・・・・・・師匠っ!?」

「おう、師匠・・・・・・って、バカっ! 普通にリアルな呼び方するなっ!!」




















◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



「・・・・・・なんだ、ヴィータちゃんもイベントやりに来たんだ」

「まぁ、腕試しついでで。だって・・・・・・PT、誘われないし」



師匠が僕と同じPTに入って、一緒にやる事になりました。ただ・・・・・・誘われないのは当たり前だと思う。

もちろん、こう言うのも理由がある。決して師匠をシカトしてたとかじゃない。



「てーか、声くらいかけてくれよ。なんか寂しいじゃねぇかよ」

「ご、ごめんヴィータ。私まだよくわからなくて」

「というかさ、ヴィータちゃん」



あー、なのはは強いね。僕が触れようと思って触れられなかったところに触れるんだ。



「なんだ?」

「今ヴィータちゃんのことサーチしたけど・・・・・・『離席中』の表示になってるよ?」

「・・・・・・え?」





そう、なのはの言うように、師匠をシステムコマンドからサーチすると『離席中』の表示が出てるのだ。

なお、『画面の前に居ませんので、お返事できません』という意味のアイコンを出す機能があるのです。

僕達は目の前に直接居て、師匠が希望を出してたからすぐに誘えたけど、サーチ上から誘うのは無理だと思う。



そもそも、サーチ上からだと師匠は画面の前には居ないということになるし。

もちろん、僕もなのはも師匠を誘おうと思ったけど、どういうわけか毎回離席中。

内心、これはそろそろリアルで確認した方がいいんじゃないかとか思っていたのだ。



ただ、僕は僕で、フェイトの外回りに付き合ってたから、リアルで声かける暇もあんまなくて・・・・・・まさか、なのはも同じだったとは。





「・・・・・・あれ、マジだ」



どうやら師匠は、自分で自分のことサーチしたようだ。

そこで始めて、マジで離席中の表示になってることに気づいたらしい。



「おいおい、もしかして最初からずっとこれだったのかっ!? だからアタシ誘われなかったのかよっ!!」



え、真面目に気づいてなかったのっ!? 僕、さすがに何かのネタだと思ってたのにっ!!



「あ、そう言えばそういう不具合が出てるって、野良PTで組んでる人が言ってたわね」

「メガーヌ、そうなの?」

「うん」



画面の中のメガーヌさんのPCが頷く。てか、それは僕も初耳なので、ビックリしてる。



「なんでも、プレイヤーが参加希望を出すと毎回じゃないらしいけど、サーチ上だと離席中のアイコンに見えるんだって」

「マジですかっ!?」

「マジよ。私も一度それになったから。まぁ、すぐに戻ったんだけど」





・・・・・・この後、公式の掲示板を見たら、確かにそういう不具合が出てると書き込みが運営からあった。

結果的にこの不具合はすぐに直されて、師匠は改めてPTプレイを楽しむようになった。

僕、ちょっと話を聞いてて泣きそうだった。だって、メガーヌさんと同レベルなのに、ずっとソロだったんだよ? さすがに来るって。



とにかく、これで師匠の長年の疑問も万事解決した。いやぁ、よかったよかった。





「ヴィータちゃん、狩りしながら希望出してたんでしょ? それも人が少ない、あまり低レベル帯に迷惑のかからないところで。だから、他の人に気づかれにくかったんだよ」

「そっか、あぁ納得したわ。・・・・・・うし、ちょっとマジで離席する。公式入院させてくるわ」



そう言って、師匠の頭に離席中のマークが・・・・・・って、おーいっ!?



「師匠なにするつもりですかっ!? お願いだから落ち着いてくださいよっ! 入院させちゃだめだからっ!!」

「うっせぇっ! お前にアタシの寂しさが分かんのかっ!? いいじゃねぇか、アタシ自らが『公式は病気』だってタグをつけてやるっつってんだよっ!!」

「意味分かんないですからそれっ! てーか、どこのニコ動っ!? あと、そのタグはリアルに付けたらだめですからっ! 他人を入院させるためのもんじゃないでしょそれっ!!」



ま、まずい。さすがに師匠キレてる。あぁ、そうだよね。きっとそうだよね、知ってたよ。



「つーか、お前は絶対分かんないよなっ! あぁそうだよなわからねぇよなっ!!
どーせフェイトとゲームの中でもイチャラブしてたんだろっ!!」

「してませんからっ! 普通に一緒に遊んでて楽しいねって話してただけですっ!!」

「そうだよヴィータっ! その・・・・・・それだけだよっ!? 本当に普通なんだからっ!!」



そうそう、イチャラブなんてしてないよ? なんかみんなの僕を見る目があれだけど、してないよ?

PC上であれだけど、なんか伝わるものがあるけど、してないったらしてない。普通だよ普通。



「そうね、恭文くんは私とえっちぃトークをしてただけだもんね」

「それこそしてないよっ! アンタいきなりなにとんでもない踏み込み方してるっ!?」

「ヤスフミ・・・・・・そんなことしてたの?」

「してないからぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」





と、とにかく・・・・・・準備は整った。師匠を加えた9人PTで僕達はバトルフィールドに突入である。



装備品よし、薬品よし、料理もさっきメガーヌさんからもらって食べたから、攻撃力は上がってる。問題ない。





「そういや、敵ってなんになるんですか?」

「ヴィータちゃん、調べてなかったのか」

「いや、どっちにしてもぶん殴るのは同じですから、問題ねーかなと」



師匠、さすがにその発言はどうなんですか? 古参プレイヤーなのに。



「まぁ、どうせ一人で新規に始めたも同然だったんで、そういう事前情報無しがいいかなと思ってたんっすよ。それも面白いじゃないですか」

「あぁ、なるほど。そりゃ納得だ。・・・・・・じゃあ、教えない方がいいか」

「いや、お願いします」



PTで行動する以上、そこはちゃんとしておきたいらしい。ぺこりと師匠のPCは頭を下げた。



”・・・・・・ヤスフミ”



フェイトからテルが来た。てゆうか、どうした?



”ヴィータのPC・・・・・・リアルと全然違うね”

”・・・・・・フェイト、そこはツッコまないであげようね。きっと優しさだから”





とにかく、師匠の言いたいことは分かったので、サリさんが説明を始めてる。

・・・・・・なお、相手はサイクロプス。RPGでよく出てくる、一つ目の巨人である。

動きは鈍いけど攻撃力はあるそうなので、回避と防御・回復をちゃんするようにと説明を受けている。



まぁ、大丈夫でしょ。レベルが低くても倒せるそうだし、これだけ人数が居ればサクッといけるって。





「つーわけで、行くぞー!!」

『おー!!』




















◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



で、突入すると・・・・・・そこは今までと違って屋外。がけの合間に作られた通路の中には、円形のフィールドがある。





で、全員揃ってそこに入る。入って・・・・・・気づいた。





目の前に敵が居る事に。










「・・・・・・ヤスフミ、なのは」

「「な、なにかな」」





みんな、動きを止めてる。そのまま突入してオーケーなのに、全員ほぼ同じタイミングで足を止めた。





「私、あんまりRPGのモンスターって詳しくないんだけど・・・・・・あれもサイクロプスって、言うの?」

「え、えっと・・・・・・恭文君はどう?」

「・・・・・・僕に聞かないで」





理由はある。モンスターが色々と間違ってるのだ。





「ねぇ、ヴィータちゃん・・・・・・でいいかな」

「あ、はい。大丈夫ですよ。で、なんですか、メガーヌさん」





四足で、赤い甲羅でその身体を覆われて、二つの瞳とトカゲ類を思わせる顔の形に牙。





「アレを見て、どう思う?」

「すごく・・・・・・大きいです」

「そうよね、私もそう思うわ」





口から炎なんて吐き出してかけてるのが、バトルフィールドの真ん中で鎮座している。





「恭文さん、今きっと、リイン達は同じことを考えてると思うですよ」

「そ、そうだね。じゃあ、ちょっと合わせてみようか」

「はいです。・・・・・・せーの」

「「あれ、サイクロプスじゃない(です)よねっ!?」」





そして、鳴き声・・・・・・いや、咆哮を上げる。



けたたましくその場に響く咆哮は、空間を、僕達の思考さえも支配した。





「ちょっとサリっ! なにあれっ!? アレどっからどう見てもドラゴンじゃんっ! それもすっごいオーソドックスっ!!」

「そうですよっ! てーかありえませんってっ!!
なんでいきなりこれっ!? あれですかっ! お得意のボケが今ここで発動ですかっ!!」

「ヒロもジン坊も落ち着けっ! 俺だってビックリしてんだよっ!!
・・・・・・あ、待てよ。悪い、ちょっと確認するから、少し待ってくれ」



サリさん、なんですか。今更だけど、なんですか一体。・・・・・・だけど、サリさんのPCはそのまま動かなくなった。

そして、1分後。ようやく、サリさんが確認とやらを終えたのか、口を開いた。



「・・・・・・・・・・・・今、知り合いに確認したら、このイベントのボスキャラ、強さが変動性らしい」

『はぁっ!?』



つまり、PTの総合人数やキャラクターのレベルでその強さ・・・・・いや、場合によっては敵の種類さえも変わるらしい。

とは言え、人数が多いからってそこまでぶっちぎりではないとか。でも、これで納得した。



「こっちは、1PTってわけじゃないしね。あれはそのせいか」

「で、どうする? ダチもドラゴンなんて出たことないから戦法とか分からないって言ってるしよ」

「当然・・・・・・行くに決まってんでしょっ!!」



ヒロさんが、獲物である二刀を構えた。その瞬間、メガーヌさんが魔法を唱える。

僕達を白と翠の光が一瞬だけ包む。・・・・・・物理と魔法防御力を上げるもの。多少だけど、打たれ強くなる。



「よかったね、ヴィータちゃん。これで目的は達成出来るよ」

「そうだな。・・・・・・ま、派手にやるとするか」



なのはもロッドを両手で持って構える。師匠も、背中に担いでいた鈍い銀色のハンマーを取り出す。



「こうなると、やっぱりリインは回復中心ですよね」

「そうね。まぁ、頑張りましょうか。・・・・・・さすがにこれは殴れないわよね」

「メガーヌさん、そんなに殴るの楽しいですかっ!?」



リインとメガーヌさんも同じく。だから、僕達も続く。



「んじゃフェイト、そういうことだから行こう?」

「うん。というか、なんだろう・・・・・・すごく楽しくなってきた」

「そっか、そりゃよかった。んじゃ・・・・・・」





そのまま、僕達はそれぞれに獲物を構えて、飛び出した。





『突撃ぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃっ!!』










こうして、僕達VSドラゴンとの戦闘の火蓋は、切って落とされたのだった。




















(第12話へ続く)




















あとがき



古鉄≪さて、作者が新訳StrikerSなんて書いてしまったから仕上げるのが遅くなってしまったセカンドシーズン第11話です。
ネットゲームなんて、基本的にこういう不具合も起こります。古き鉄・アルトアイゼンと≫

恭文「作者、FF11に戻れる準備が整って、ワクワクだと言っていた蒼凪恭文です」





(問題なく動かせるスペックのパソコンを入手したらしいので、頑張るとか)





恭文「今まで使ってたのは、基本ネットオンリーな感じのもので、3Dグラフィックとか無理だったしね。
今じゃああれですよ、PC版のDMCとかMHFとか出来るそうだから」

古鉄≪結構ギリギリではありますけど。とにかく、ウィハン3編も一応佳境ですよ。多分次回でまた出稼ぎに出ます≫

恭文「いや、現実って言って? ネットがリアルとかだめだから。リアルヒロさんだから。というかはやての中の人だから」





(アレはそうとうに迷言らしい。というか、言ったのが文化放送の生放送だったので、編集も出来ずにそのまま)





恭文「とりあえずだよ、作者がペーパーマンってのを試しに下ろしてやってみて、チュートリアルまで終わったけど、ルームに入れずにそのままサヨウナラしたらしいね」

古鉄≪オンラインゲームを題材に書いてるので、一応調査のような感じですね。・・・・・・やっぱり、人と話すのがキツイようです。FF11はフレンドがまだ沢山続けてるので、問題なさそうですが≫

恭文「オフ会でかなり会ってるから、そこもあるのよ。でさ、僕も作者に付き合って、ネットゲームの市場調査して気づいたことがある」




(青い古き鉄、ちょっと辟易した顔をしている。どうしたのだろうか)





恭文「MMORPGって、いわゆるクリックゲームが大半だった。あんまりアクションしてるのって・・・・・・いや、ほとんどないか」

古鉄≪マウス一つで出来るから、お手軽なんですよ。というか、FF11だってそうじゃないですか。あれはPS2でコントローラーを使うから気にならなかっただけで≫

恭文「確かにね。ウィハンみたいなアクション出来るネットゲームはあるけど、それってモンハンとかみたいなMORPGだし・・・・・・やっぱ難しいのかな」

古鉄≪不特定多数の人間が同時に繋ぎますしね。あと、そういうので敷居が高くなると考えているのではないでしょうか≫





(なお、MMOとMOの違いについては、ウィキペディアなどを参照してください)





恭文「うーん、でもウィハンみたいなのやりたいんだよね。アクション出来るMMORPG。・・・・・・まぁ、ここはいいか。とりあえずFF11だもの」

古鉄≪もうすぐ復活ですし、楽しみですね。・・・・・・というわけで、本日はここまで。お相手は古き鉄・アルトアイゼンと≫

恭文「蒼凪恭文でした。それでは、またっ!!」










(そして、ネットゲームの未来について語り尽くす。
本日のED:水樹奈々『夢幻』)










恭文「Torchlightってのが面白そうなんだよね。ディアブロみたいなの」

フェイト「やってみたいの?」

恭文「まぁ、暇があれば。てか・・・・・・作者は最近オフラインゲームに興味が深々なのよ」

古鉄≪あぁ、言ってましたね。普通にPCゲーム楽しそうだとかって≫

恭文「よっぽどウィハン3編書くための実地取材でやったペーパーマンで、知らない人とチャットが怖くてロビーに入れなかったのがショックだったらしい」

フェイト「それはどうなのかなっ!? ・・・・・・でも、ゲームも度を過ぎなければ楽しいよね」

恭文「そうだね、適度な感じで遊ぶと、凄く楽しい。現に今、フェイトと遊べて楽しいもの」

フェイト「・・・・・・うん、私もだよ」(嬉しそうに微笑む)










(おしまい)





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