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小説(魔法少女リリカルなのは:二次小説)
幕間そのよん 『時には二本立てになることもあったり無かったり 前編』



≪・・・さて、いい感じで期待されている今回の幕間です。私、古き鉄・アルトアイゼンです≫

「みなさん、いつもヤスフミや私達のことを応援してくださって、本当にありがとうございます。フェイト・T・ハラオウンです」

≪さて、3クール目では一回目の幕間です。今回の話は・・・≫

「ヤスフミとアルトアイゼンが海鳴で暮らすようになった直後・・・というか、二人が巻き込まれた事件の話になります」

≪なお、高町家との出会いなども含めると、分量が凄い事になったので、前後編です。
時系列で言うと幕間そのいちの前ですね。マスターの運の無さと天然フラグメイカーっぷりは、ここで決定したと言えるでしょう≫

「そ、そうなのっ!?」

≪そうですよ。それでは・・・幕間そのよん、ぶっ飛ばして行きましょうっ!!≫

「皆さん、どうぞお楽しみくださいっ!!」




















魔法少女リリカルなのはStrikerS  外伝


とある魔導師と機動六課の日常


幕間そのよん 『時には二本立てになることもあったり無かったり 前編』




















・・・一つの事件が起きた。





あるロストロギアと、一人の人間の悲しい夢。





それが中心核となり、世界を揺るがせた事件が一応の終結を迎えてから、少しだけ時間が経った。





まぁ、本格的な後処理やら、犯人グループの裁判やらは、これからなんだけどね。





ただ、僕の方はそうでもない。民間協力者という形で関わっていたのが、大きい要因なんだけど。





だから、大変そうな皆には心の中で謝りつつ、大事な相棒達と、新しい時間を始めることにした。





・・・感じるのは期待と不安。今まで感じたことのない、未来への感情。だけど、それが嬉しくてたまらない。





ま、そこはいい。いいのさ。・・・いいんだよ。





そういうことが問題じゃない。今問題なのは・・・。





僕に対して妙な殺気をぶつけてくる人だ。






















『・・・名前は?』

『人に名前を聞く時は、自分から名乗るものですよ?』










殺菌・・・もとい、殺気混じりで聞いてきたので、そう軽く返しただけなのに、瞬間、今いる喫茶店が妙なオーラで支配された。・・・なんでっ!?



つーか横馬っ! おのれは一体どんな事前情報を与えていたっ!? 最初からビシバシとなんかぶつけられてたのは、気のせいじゃないよねっ!!










"え、えっと・・・『新しく出来た大事な男の子の友達』って・・・。というか、また横馬っ!?
あの時みたいに『なのは』って呼んでよっ!!"

"うっさいバカっ! その前にこれをなんとかしてよっ!!"



明らかに僕に対して敵意ぶつけてるしっ! つーか『大事な』とか言わなくていいんだよっ!? それだよねっ! この恐怖の時間の原因はっ!!



"大体っ! 横馬でいいでしょうがっ!!"



サイドポニーだし。分かりやすいのが一番なんだよ。



"よくないよっ!!"

"気にするなっ! だいたい、魔王ってよばれ"



瞬間、椅子から立ち上がった。というか、飛び退いた。だって、オーバーSの砲撃が来る時とおんなじ気配がした。

そして、それまで僕の居た位置を突き抜けて、壁に何かが突き刺さった。というか・・・針? しかも1本じゃない。合計・・・4本



≪・・・暗器ですね≫



暗器って・・・あの、忍者やら暗殺者が使うあれっ!?

その針は、刺さっている位置、飛んできた方向を考えると・・・。あはは、考えたくないや。



「・・・ち」



舌打ち聞こえちゃったじゃないのさっ! つーかまてまてっ!! これ刺さってたら僕死んでるよねっ!?



「お兄ちゃんっ! 恭文君に一体なにしてるのっ!?」

「いや、不埒なことを考えているようだったから・・・」



念話が読まれてるっ!? まてまて、おかしいでしょうがっ! 本気でアレは何者だよっ!!



「前に話したでしょっ!? 恭文君、意地悪でひねくれてて性悪でいい加減でもうどうしようもないように見えるけど」

「ちょっとっ!?」

「でも、本当はすごく優しい子だから、誤解しないでねってっ!!」










・・・昨日のことだ。僕が事件の最初の段階でやらかしたことが、一応の始末が付いた。

そして、僕はここにやって来た。地球にある、海鳴という街に。





フェイトやリイン、はやてや師匠達が暮らしている街。僕は、ここのハラオウン家でお世話になることになったのだ。





ま、家の親はアレだしね。リンディさんが僕を引き取りたいと言ったら・・・うれしそうにしたらしい。厄介払いが出来るとか考えたんでしょ。





僕は今さら気にしちゃいないけど、フェイトやアルフさん、リンディさんの機嫌が非常に・・・まぁ、ここはいい。つーかあのピリピリ空気は辛い。





とにかく、僕がやって来たのは・・・高町なのはこと横馬の家族が経営している喫茶店『翠屋』。

家族に会わせたいと言われて、なのはにお店に引っ張ってこられ・・・なのはって呼んじゃった。だめだめ。

横馬はいじめてナンボ。一応友達というくくりではあるが、模擬戦での屈辱は忘れてはいけないのだ。べ、別にツンデレとかじゃ・・・ないからねっ!?










「恭文君、それ意味が分からないから・・・」

「気にしないで・・・のは」

「え?」



・・・うん、やっぱりたまにだ。こう、慣れない。



「なのは、今ヤスフミね・・・」

「フェイトもバラさないでいいからっ!!」



そして、嬉しそうな顔をするんじゃないよバカっ! 絶対名前でなんて呼ばないからねっ!? ・・・ほ、ホントにツンデレとかじゃないんだからっ!!



「なんつうか、その狙った反応はどうなんや?」

「まぁ、恭文さんは素直じゃない上にドSですから」

≪この人は、コアな路線を貫いていくんですよ。どこまでもです。キャラ設定見ても分かるじゃないですか≫

「・・・リイン、アルト、それ意味分からないから」





ま、ここはいい。とりあえずあの殺気をなんとかして? おちおち座ってもいられないの。

というか、身体が反応するの。『まだ戦闘中だ』って本能が警戒警報を出してるの。

・・・先生と組み手してる時や、オーバーSとやりあってるのと同じ感覚ってどういうことだろ。



いや、初っぱなにそれに当てられて、軽口で返した僕もあれなんだけど。





「でも、君すごいね〜。恭ちゃんの暗器を避けるなんて」

「いや、敵の攻撃は確実に避けられないと死んでるじゃ・・・えっと、どなたですか?」



そう言いながら来たのは、黒いエプロンを身につけた三人。三つ編みメガネな女性と、横馬大人Verなおねーさんと、男の人。

えっと・・・なんでだろう。こう、横馬の大人Verみたいな人以外から、危険信号を感じるのは。



「いや、ごめんね。恭ちゃん、なのはが男の子連れてくるって聞いてナーバスになってたから」

「そんな理由っ!? つかナーバスで殺されかけるってどういうことですかっ!!」

「それは私達からも言っておくから安心してくれ。・・・それで、蒼凪恭文君だったね」



僕はその言葉に頷く。うん、僕の名前だ。



「はじめまして、蒼凪恭文です。えっと・・・」

「私は高町士朗だ。なのはの父親だよ」

「私は高町桃子よ。・・・あ、なのはの母親ね」



うそ、お姉さんかと思ってたのに。



「・・・あー、お母さん。そんな嬉しそうにしないで。それで、私が高町美由希。なのはの姉なんだ。よろしくね」

「はい、よろしくお願いします。で、こっちが・・・」



胸元の青い宝石が、そこから離れる。そいて、喋りだした。



≪はじめまして。古き鉄・アルトアイゼンと言います。私もマスター共々、よろしくお願いします≫



そう言ってお辞儀。そして、顔を上げると・・・キョトンとされた。



「・・・あ、すまない。その・・・君はデバイスかな?」

≪そうです。高町教導官のレイジングハートやフェイトさんのバルディッシュと同じデバイスです≫

「恭文さんのパートナーデバイスなんですよ〜」



・・・そうとう喋るけど。



「そうか。しかし・・・なのはやフェイトちゃんの持っている子とは随分違うな」

≪そうでしょうか? 普通だと思うんですが≫

「いや、普通じゃないからっ! だって、なんかフランクな感じだし、凄い饒舌だしっ!!」

「あー、すみません。気にしないでください。アルトはこういう子なんです」



そう言いながら、慌て始めてる美由希さんをなだめる。まぁ、当然の反応・・・なのかな。



「でも、いいわね」



そんな中、桃子さんは冷静だった。なぜか微笑んでいる。



「いっぱいお話出来て、楽しそうですもの」

「・・・そうですね、それは思います。バルディッシュはちょっと無口ですし」





フェイト、最近それをよく言ってるね。まぁ・・・いいか。

とにかく横馬が説教したことで、僕の命の安全が無事に確保された。それに安心して椅子を元に戻して座る。



すると・・・みんなの目の前に、あるものが置かれた。





「あ、ありがとうございます」



フェイトがそう言うのには理由がある。置かれたのは、紅茶と・・・。



「・・・シュークリーム?」

「そうや、翠屋の名物なんよ」

「すっごく美味しいんですよ〜」



そうなの?



「ほら、ヤスフミ」

「あ、うん」



とにかく促されるままに・・・パクリ。



「・・・どうかな?」




















・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・泣きました。




















「アンタなんで泣くんやっ!?」

「だって・・・だって・・・! こんな美味しいシュークリーム、食べたことないんだよっ!!」





なにさっ! この噛んで味わうだけで溢れてくる幸せはっ!?

なんなのっ! この素晴らしい美味しさはっ!! 僕が食べてきたシュークリームは一体なんだったのっ!?



ごめん、涙が止まらない・・・。



なんか全員引き気味だけど、気のせいだ。





≪・・・あなた、こういうのに縁がありませんでしたしね≫

「きっと、良いことですよ・・・」










・・とにかく、僕はシュークリームをぼろぼろと涙を流しながら完食した。僕・・・生きててよかったです。




















◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



で、泣きながらシュークリームを完食したあと・・・なぜかアルトとリインと一緒に、キッチンに来ました。





訂正。連れてこられました。




















「・・・うん、似合うわね」



いや、なにがっ!?



「似合うですよ〜」

≪年相応に見えますね≫



いや、だからなにがっ!?



「・・・あの、桃子・・・さん」

「うん、なにかしら」

「僕はどーして・・・こんな格好を?」





こんな格好というのは簡単です。・・・クマさんエプロンを着ているから。



うん、クマさんなんだ。でも、意味が分からない。





「簡単よ。・・・恭文君」

「はい」

「明日から、君には翠屋の見習い店員になってもらいます」



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・はぁっ!?



「どういうことですかそれっ!?」

「だってあなた・・・学校に行くわけじゃないんでしょ?」



何故知っているっ!?



「リンディさんやなのはから、色々とね」

「あのおしゃべり共は・・・」

≪個人機密がだだ漏れですね≫



・・・そう、僕はフェイトや横馬達と違って、学校に行くわけじゃない。魔導師の仕事中心で動くつもり。その、それくらいしないと・・・ね。



「でも、あなたの年頃だと、勉強は絶対に必要ですもの。なので・・・ここで社会勉強ね」

「「な、なるほど・・・」」



あれ、僕達はなんで納得っ!?



「それで、仕事をしながら料理とかも教えてあげるわね」

「・・・え?」

「男の子でも、料理は出来たほうがいいのよ」



まぁ、言ってることは分かる。ただ、なんでこんな話になるのかがわからない。



「それに・・・」

「それに?」

「フェイトちゃんを捕まえたいなら、余計にね」



瞬間、身体が熱くなった。言われた意味が分かったから。だって・・・その・・・。



≪・・・桃子さん、どこで気付いたんですか?≫

「見れば一発よ?」

「さすがです・・・」



いや、僕的にはちょっと不安なんですけど。そんなに分かりやすいのかなーとか。



「でも、好きなのよね?」

「・・・はい。好き・・・です」





頷きながらそう答えた。その、僕が強くなりたい理由の一つ。

戦いの中で見つけた、守りたい今を構成するもの。・・・なんつうかさ、アレだよね、うん。



少しでも速く、強くなりたいのよ。フェイトをちゃんと守れるくらいに。





「なら、これから色んなことを頑張らないとね」

「色んなこと・・・ですか?」

「そうよ。強くなるだけではだめなの。心も、戦うこと以外でのあなたも、成長していかないといけない。
・・・本当なら、学校に行ったりしてもいいのに。学校や新しい友達は、そういう部分の成長に、きっと必要よ」

「・・・そうですね」



うん、無理だけど。・・・ランドセルしょって勉強してる暇があるなら、アルトを持って一回でも多く素振りしたい。

それになにより、本当に足りないしね。通したいことを通すためには、強さが。・・・僕、資質だけならフェイトや横馬には勝てないし。



「まぁ、ここはいいわ。とにかく、明日からよろしくね」





拒否権はない・・・ってことですか。まぁ、いいや。



きっと、必要なことなんですよね。・・・先生。





「あの・・・ご迷惑もたくさんかけるとは思うんですけど」



そこまで言うと、お辞儀をする。そして、続きを口から言葉としてつむぐ。



「明日から、よろしくお願いします。・・・えっと・・・」

「桃子さんでいいわよ? ・・・店長が誰か分からなかったんでしょ」



見抜かれてたか。むむ、なんかなのはのお母さんっていうのが納得出来た。



「それじゃあ、早速仕事の説明に入るわね。せっかくだから、リインちゃんも一緒に」

「「はいっ!!」」




















◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



「・・・なのは」





お父さんとお姉ちゃんが、かなり真剣な顔をしている。というか、話しかけられた。あ、恭文君とリインとお母さんは、何故かキッチンに居ます。



お兄ちゃん? 隅で反省してます。正座で。





「なにかな?」

「まぁ、フェイトちゃん達にも確認しておきたいんだけどさ。・・・本当なんだよね」



お姉ちゃんの一言で、皆の表情が重いものに変わる。その理由は簡単。



「本当・・・です」



フェイトちゃんがそう言うだけで、返事としては充分だった。



「・・・そうか。まだ小さいのに、重いものを・・・背負ってしまったんだな」





お父さんがそう言いながら、キッチンの方を見る。きっと見ているのは、さっきまで泣きながらシュークリームを食べていた男の子。

うん、きっと重いよね。まだ、半年も経っていないんだから。



あの子が背負ったのは、一つの事実。自らの手で、人の命を奪ったという、とても重いもの。





「それで、彼の身体は大丈夫なのかい?」

「お話した通りです。つかあれ、少し前に一度死にかけてる人間には見えませんよね」

「・・・ごめん、私には正直見えなかった」

「それで正解です」



思い出すのは、包帯だらけの姿。ケガしてない所なんて、探す方が難しいくらいで・・・。



「でも、リハビリ中だっけ?」

「はい。もうほとんどよくはなってるんですけど、細かいところはまだ・・・言う感じですね」





それでも、戦いの中に飛び込んだ。守れかった約束を、今度こそ、絶対に最後まで守り抜くと言って。

逃げてもよかった。誰も責めない。それでも、飛び込んだ。守りたいものを守り、壊したいものを壊す。そうやって、今を覆す。そう言い続けて。



正直、見ててハラハラした。アルトアイゼンが正式なパートナーになってくれなかったり、リインとのユニゾン能力がなかったら、どうなってたか。





「・・・それで、あの子は今後・・・聞いてた通りでいいのかな」

「はい。ヤスフミは・・・魔導師を続ける。そう言っています」

「またどうして? もう、事件自体は解決したんだよね」

「うん、してるよ。ただ・・・」

「魔導師として・・・いえ、自分として、戦って守りたいもの、壊したいもの、通したいことが出来た。そう言っているんです」

「うちらがどんだけ言っても聞かんのですよ。ホンマに頑固なやつで・・・」





その言葉に皆ビックリした。はやてちゃんの言うように、一応止めてはみたけど、ダメだった。

だって、事件が解決すれば、恭文君が戦う理由は、もう無いと思ってたから。



・・・通したいこと以外にも、戦うことをやめるのは、今までの事を無かった事にするみたいで嫌。そう言ってたね。

フェイトちゃんを筆頭に、無かったことにして、忘れてもいいとも言った。誰も責めないとも言った。10歳の男の子が背負うには、あまりに大きいから。

でも、恭文君は首を横に振った。そんなの、自分を許せなくなる。そうやって平和に生きたら、戦った意味がなくなる。・・・そう私達の言葉に答えた。



『忘れていいことなんて、リインとアルトに出会ってからの僕には、何一つ無い。全部の時間と記憶が必要で、幸せなんだ』・・・か。

どこから来るんだろ、あの強さは。私には、分かんないよ。





「・・・そうか、強い子なんだな。それでも前を見て、戦う道を行くのか」



強すぎて、たまに怖いけど。思考がぶっ飛び過ぎてるから。うん、やっぱりあの人に似てるよ。



「とにかく、話は分かった。うちはそういう部分での心構えも教えているしな。力になれることがあれば、なろう」

「いい子みたいだしね。うん、私も問題ないよ」

「・・・お父さん、お姉ちゃんも、ありがとう」



あの人、旅に出ちゃったしね。こういうのなら、お父さん達かなと思って相談したんだけど・・・正解だった。



「でも、私は」

「うん?」

「ヤスフミに・・・もう、戦って欲しくないです」

「・・・そうか」









フェイトちゃんが心配してる理由はわかる。でも、きっと止まらないし止められないよ。





今までだって、そうだったんだから。




















◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



・・・翠屋で、局で仕事のあるというフェイトとはやてと分かれて、僕となのはとリインは・・・あの、もしもし?










「・・・なんだ?」

「お願いですからもうちょい和やかな空気を出して欲しいんですが」





運転席に座るこの人・・・恭也さん。横馬のお兄さんだ。

そう、僕達三人は恭也さんの運転する車である場所に向かっている最中だった。



でもね、空気悪いの。何て言うか、恭也さんがね。





「・・・なのはが色々と世話になっているようだな」

「なんですかこの会話っ!? 文脈繋がってないしっ!!」

「・・・お兄ちゃん?」



・・・うん、やっと空気が良くなった。というか、なのはには弱いのね。



≪マスター≫

「なに?」

≪因果応報って、本当なんですね≫

「ですね。やったことは、自らに返ってくるですよ」










・・・うん、そうだね。僕もなの・・・横馬に対してこんな感じだよね。




















とにかく、目的地に到着・・・つか、何この大豪邸っ!?





無駄にデカイし、綺麗だし、なんか森とかあるし。




あの、ここは本気で日本ですか?





そんな事を思っている間に、車はガレージらしき所に止まる。そこで全員車を降りる。





そして、また歩きだした。・・・どこへ? いや、みんな慣れてるみたいだけど、僕は気持ち置いてけぼりよ?




















・・・そうして、その屋敷の中へ入り・・・待って。





なに? このアニメやなんかでしか見たことないようなデカイ玄関はっ! あの真正面にあるデカイ階段はなにっ!! つーか本当にここは日本っ!?










「・・・恭也様、お待ちしておりました」



へ?



「なのはちゃん、リインちゃんもこんにちは〜」

「こんにちは。ノエルさん、ファリンさん」



えぇ?



「忍はもう?」

「はい、首を長くしていますよ」





えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!? め、メイドっ! メイドが居るっ!! それも二人もっ!!



永遠の萌え要素であり男のロマンのメイドがっ!!

・・・あ、わかったっ!!





「リイン」

「はいです?」

「・・・・・・・・・・・・・・・・ここ、高級メイド喫茶?」

「違いますっ!!」

「えぇっ!?」

「なんで驚いてるですかっ!? というか、時系列おかしいですからっ!!」



気にしないで。・・・いや、待って待って。まぁ待とうよ。



「・・・じゃあ、こちらの方々は?」



まさか本職というわけでもないだろうしさ。



「・・・その本職だよ」

「え?」



本職ってことは・・・本物のメイドさんっ!?



「あの、恭也様。このちっちゃくて可愛い子は・・・」

「私の友達なんです。すずかちゃん達に紹介したくて」

「あ、自己紹介遅れました。蒼凪恭文です。あと、誰がナノミクロンですか?」

「そんなこと言ってないですよっ!!」




















・・・二人の姉妹メイドさん。一人は青髪ショートカットでクール&ビューティーなノエルさん。

そして、青髪ロングで言動や行動から萌え要素を感じまくっているファリンさん。この二人に案内されて、どんどん進んでいく。





しかし・・・。




















「メイドさん・・・なんですよね」

「そうだよ。でも、そんなに珍しい?」

「それはもうっ! というか、憧れだったんですっ!!」



あぁ、まさか憧れにこんな形で出会えるなんてっ! やっぱり生きててよかったー!!



「それも、ファリンさんみたいな素敵な女性がそうだなんて・・・」

「素敵って・・・私がっ!?」

「はいっ!!」



力いっぱい頷きました。



「あの、そんなことないよっ!? 私、すぐ慌てちゃうし、失敗も多いし、忍お嬢様達やお姉様にも、いっぱい迷惑かけちゃうし・・・」

「・・・そんなこと、ありますよ」



ゆっくりと、ファリンさんの両手に、自分の両手を添えて、優しく握りしめた。

そして、ファリンさんを見上げて、頬の赤い顔・・・瞳を真っ直ぐに見つめて、囁くように言った。



「それでも、あなたは頑張り続けているはずです。そんなあなたが・・・素敵じゃない? それは嘘です。
それでも頑張るあなたは、きっと誰よりも光輝いていると、僕は思います。お願いです。自信を・・・持ってください」

「や、恭文くん・・・。あの、そんな・・・熱い瞳で見ないで欲しいな。恥ずかしいよ・・・照れちゃうよ・・・」





あー、反応がどうしてこうもいちいち可愛いのっ! 犯罪だよこれっ!!





「あ、せっかくなのでメルアド交換しません? こうやって出会えたのも何かの縁ってことで」

「・・・私でいいの?」

「ファリンさんがいいんです」

「なら・・・よろしくお願いします」



そして、二人携帯を取り出して・・・。





「・・・恭文さん、キャラ違うです。というか、なんでナンパしてるですかっ!?」

「しかもファリンまで・・・」

「・・・なのは、アイツはああいうやつなのか?」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ちょっとだけ」





僕はなんにも聞こえない〜♪



さて、アドレス交換しつつも次なる目的地へ着いた。



ノエルさんとファリンさんが案内してくれたのは、テラスだった。お、森が・・・だから、ここは本当に日本ですか?

そして、そのテラスには二人の女の子と、一人の女性が居た。





「・・・アリサちゃんっ! すずかちゃんっ!!」



横馬がそう言うと、三人がこちらを向く。あ、ブラウンのショートカットと、紫ストレートの子が、すごく嬉しそうに・・・。



「なのはっ!!」

「なのはちゃんっ!!」



そして、横馬に駆け寄る。で、横馬も同じ。



「アンタ大丈夫だったのっ!?」

「いきなりそこっ!? あの、大丈夫だよ。というか、メールしたよね」

「何言ってるのっ!? ケガ治ったばかりで、なにやら事件に巻き込まれたってのは、とっくに調べがついてんのよっ!!」



・・・う。



「そうだよっ! それで、リインちゃんも行方不明とか、ケガが治ってからすぐに再入院とかっ!!」



・・・うぅ。



「その上、また大暴れしたって聞いてるわよっ!!」



うぅぅ・・・。



「いや・・・その・・・にゃははは・・・。」



・・・それでは誤魔化されないと思うよ? ま、そこはいいとしてですよ。僕はどうしたもんかねぇ・・・。



「・・・恭文くん、顔色悪いけど、どうしたの?」

「・・・分かりませんか?」

「ううん、分かる・・・」



あぁ、逃げたい。ファリンさんの言葉でも、その感情が止まらない。でも、横に居る『鬼いちゃん』からは逃げられそうもないな。

つーか怖いわっ! 話を聞いているのか、視線が凄く厳しいしっ!!



「まぁまぁ、すずかもアリサちゃんも落ち着いて。なのはちゃん困ってるじゃないの」



・・・うわ、綺麗な人。スタイルいいし・・・ん? 左手の薬指に・・・指輪?

あぁ、既婚者だったのね。でも、あんな美人の旦那さんって、誰だろ。



「・・・はい。なのは、ごめん」

「あ、ううん。それでね、紹介したい子なんだけど・・・」

「あの子だよね?」



二人の視線が、僕へ向く。とりあえず、お辞儀。



「ま、そこは詳しく聞かせてよ。時間、あるんでしょ」

「うん」

「さ、リインちゃんと・・・君も、こっちへ来て?」

「「はい」」





こうして、テラスに置いてあるテーブルに案内される



で、その途中ですれちがうようにして、さっきの綺麗な人とすれ違う。・・・ドキドキするのは、気のせいだ。





「恭也、遅いよ」



え?



「すまない」



えぇっ!? なにあれっ! なんなのあれっ!! なんですかあのラブラブ空気っ!!



「・・・あぁ、お兄ちゃんと、忍さんは婚約者同士だから」

「・・・あんびりぃばぼ」

「恭文さん、それは読みにくいですよ」




















・・・ファリンさんがお茶を持ってくるまでの間に自己紹介です。





「あの、蒼凪恭文です。よろしくお願いします」

「はい、よろしく。アタシはアリサ・バニングス。アリサでいいわよ」



・・・つんで



「殴るわよ?」

「思考を読むのはやめてもらえますっ!?」



くそ、なんだかんだで危険だな海鳴市。色々と命の危険を感じるよ。



「・・・自分が悪いって思考にはならないの?」

「気にしないでください」

「それで、私は月村すずか。私もすずかでいいよ」

「はい、よろしくお願いします」



うむぅ、この二人もフェイト達の友達なんだよね。なんていうか、色々なタイプが・・・。



「あ、それと敬語じゃなくていいわよ。アンタのこと、少し聞いてたけど、随分いい性格してるそうじゃないの」

「・・・横馬?」

「だ、だって・・・」

「だから、私に対してもそれでいいわよ」

「そうだね。私にも年上とか、そういうのは気にしないで接して欲しいな」



・・・ま、そういうことなら、いつも通り行くかな。



「じゃあ・・・アリサに」

「うん」

「すずかさん」

「はい。・・・私だけさん付け?」

「いや、さん付けなんです」



こう、オーラとかがね。そうしろと指令を送ってくる。



「すずかちゃん、気をつけて。恭文君、意外とプレイボーイだから。猫かぶりな時は狙われてるんだよ。さっきだって・・・」

「黙れ横馬」

「だからなんで私は名前ですら呼んでくれないのっ!?」

「恭文さん、ツンデレですか?」

≪もしくはドSですか?≫



いや、それも違うでしょーが。



「・・・なるほど、はやてから聞いてた通りね。つか、想像以上だわ」

「・・・具体的にどういうことを話してたの?」

「あのなのはを苛める勇者って言ってたわね。あと、ベジー○の影が見えるとか」



とりあえず、はやてにはお礼をすることが決定した。勝手に色々と・・・。



「でも・・・」



その声は・・・すずかさんからだった。



「どうしてなぎ君は」

「・・・え?」

「あ、ごめんね。勝手にあだ名付けちゃった」

「いや、構わないよ」



というか、あだ名なんて・・・初めてだし。うん、ちょっと嬉しい。



「・・・で、なぎ君はどうしてなのはちゃんのこと、名前で呼ばないの?」

「あだ名だから」

「違うよねっ!?」

「じゃあきっと見たまんまだからじゃないかなっ!? 多分そうだと思うよっ! うん、おそらくねっ!!」

「なんでそんな第三者よりな言い方してるのっ!? もっとちゃんと確信もって話してよっ! 自分の事だよねっ!!」

「・・・アンタ、勇気あるわね」



アリサがどういう意味で言ったかは、気にしないことにする。



「うーん、私の見立てだと・・・恥ずかしいとかかな。なのはちゃんがそれで嬉しそうな顔とかしちゃうのを見ると、照れちゃってそうなるんだよね」



・・・え?



「当たり?」

「外れです」

「うん、当たりだね」



会話になってないとか突っ込むのは・・・ヤボだよね。



「・・・そうなの?」

「違いますよ高町さん」

「そうだったんだ・・・」



会話になってないよねこれっ!? つーか僕の話を聞いてっ!!



「・・・アンタ、もしかしてすごい」

「違うよっ! 僕はアリサじゃないしっ!!」

「どーいう意味よそれっ!?」

≪いいじゃないですか。毎日名前で呼ぶ練習しているんですし≫

「「「そうなのっ!?」」」

「らしいですよ〜」










アルトもリインもバラすなっ! というか・・・お願いだから・・・!!










「そんな目で僕を見るなぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」




















◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



・・・こんな感じで、海鳴での日々は始まった。





ま、ちょこっと大変だったけどね。今までとは、ガラっと色んなものが違うし、クロノさんとの訓練も始まったから。





でも・・・楽しかった。すごく。新しい生活の全部が。





そして、これから2ヶ月の後、事件は起きた。うん、見事にね・・・。




















◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



・・・なぜだろう。ご飯を食べる。それだけの行為がすさまじく緊張を強いられる。





うん、きっとそれは・・・。




















「あの、恭也?」

「なんだ」

「なんだじゃないわよっ! どうしてあの子に敵意向けてるわけっ!? おかげでノエルとファリンが作ってくれたご飯が美味しくないしっ!!」





忍さん、いいツッコミですっ! もっとやれっ!! 正直、それを口に出すだけでもまた暗器が飛んできそうだから、これしか出来ないのっ!!



そう、ここは月村邸。月村家の方々に、お呼ばれされたのだ。・・・恭也さんもね。

つか、僕はどんだけ嫌われてる? そんなになの・・・横馬が可愛いのか。





「・・・すまない」

「と、とにかくご飯食べちゃおう? ほら、なぎ君も」

「うん、そうする」



このお兄さんの事など気にしていたら、せっかくのご飯がもったいない。僕は、気持ちを入れ替えて、食事を楽しむ事にした。



「・・・あ、ファリンさん。このポテトサラダ、凄く美味しいです〜」

「ありがとー! そう言ってくれると嬉しいよ〜」

「・・・ファリン、キャラ変わってない? というか、恭文君とどうしてそんなに親しげなの」

「「メル友ですからっ!!」」

「そ、そうなんだ・・・」




















◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



「・・・それで、ここが・・・私の部屋っ!!」

「・・・失礼します」



・・・うわ、女の子の部屋だっ! もうそうとしか言い様がないしっ!!



「というか・・・」

「なに?」



いや、最初に来た時から思ってたけど。



「すずかさん、もしかして猫好き?」

「うんっ!!」



嬉しそうに笑うのは、すずかさん。そう、食事が終わってから、僕はすずかさんの部屋に来た。



「だからなんだね・・・」



この家、やたらと猫は多いし、すずかさんの部屋は猫グッズだらけだし。



「なぎ君は、猫好き?」

「あー、好き。可愛いし。こう・・・にくきうが・・・」

「はやてちゃんと同じこと言ってるよ?」



なんて話ながらも、二人で部屋のベッドに腰かける。お、フカフカだ。



「・・・なぎ君」

「うん?」

「2ヶ月経つけど、もう慣れた?」



海鳴での生活のことを言っているのは、すぐに分かった。そうだな、慣れてる慣れてないで言うと・・・。



「まだ、慣れてないかも」



もちろん、楽しいのは事実。だけど、今までと違い過ぎてて、結構大変。



「そうだね。いきなりは無理だと思う。・・・それでね」

「うん?」

「フェイトちゃんと、最近上手くいってないんだよね」





その言葉に、僕は頷く。そう、上手くいってない。ケンカばっかりしてる。



原因は、僕が魔導師を続けること。僕はやる気満々だけど、フェイトはそれが嫌。何度も、魔導師をやめて平和に暮らさないかと言ってくる。

何度断っても、何度も・・・。昨日だって、ちょこっとやりあった。



この間なんて・・・やめよう。シャマルさんには感謝してるけど、思い出すと、頭が痛くなる。





「フェイトちゃんもね、気にしてる。すごく」

「・・・そう」



気が重い。正直、辛い。なんで平和に過ごせないのか・・・。



「ね、なぎ君は・・・どうして魔導師を続けたいの?」



どうして・・・か。うむぅ、どう話そう。



「例えば、魔法の力で、したい仕事があるとかなのかな」

「えっと、そういうのじゃないの。・・・僕、リインやフェイト、なのは達から、今をもらったって考えてる」

「今を?」





みんなに会う前は、一人だけのつまんない、一色だけの世界と記憶と時間しかなかった。でも、今は違う。

リインと出会えて、それがきっかけでみんなと出会えて、守りたいものが沢山出来た。

自分の中にある力で・・・ううん、そんなの関係無しで、通したいことが出来た。



僕の『今』には、みんなと出会ってからの記憶と時間には、沢山のものが詰まってる。悲しい事も、苦しい事も、楽しい事も、嬉しい事も、沢山。



確かに重い物もある。だけど、それでも全部が、幸せなんだ。一色だけじゃない、そんな記憶と時間を持てたことが、嬉しかった。

僕の過去は、みんなのおかげで、覚えて、思い出す意味を得た。今を、精一杯生きる理由を得た。だから・・・。





「だから、そんな時間を、それをくれたみんなを守りたい。それを壊す理不尽があるなら、覆したい。
誰のためじゃなくて、自分のためにそうしたい。そう思ってて・・・」

「・・・そっか。なら、それをフェイトちゃんに話せば」

「話した」





でも、ダメだった。それは自分が守る。僕が戦う必要はない。もう僕が危険に飛び込む必要はない。その一点張りで、納得してくれなくて・・・。



自分を信じて欲しい。その理由と意味を預けて欲しい。きっと叶えていく。そうも言ってたな。br>




「・・・ね、なぎ君は・・・大怪我したりもしたんだよね」

「うん。というか、死にかけた」



・・・よく生きてたよね。もうあれは嫌だ。



「フェイトちゃん、きっとそういうのが嫌なんじゃないかな。なぎ君も知ってると思うけど、なのはちゃんのこともあるから・・・」

「だと思う。現実問題として、僕はフェイトやはやて、師匠達みたいに強くないし。でも・・・」

「でも?」

「そんなの、自分がやらなきゃいけないと思うことを止める理由に・・・ならないんだよね。それでも、戦いたいの。自分のために」





・・・みんなや他者や世界や人間のためとかじゃない。僕が戦いたいのは、自分のためだから。

ぶっちゃけちゃえばわがまま。うん、自分勝手だ。でも、それでいいと思ってる。



つかさ、人のためとか言って、他者の事に干渉してくるやつは、7割方信用出来ないってのが、僕の経験談だしね。

人のやってる事に口出しして、自分の思うように変わるのが楽しいんだよ。というか、みんなと会う前はそんなのしか知らなかった。



・・・そんな偽善やるくらいなら、僕は最初から、自分のためとか、自分のわがままってやつを理由にする人間になりたい。先生みたいにね。





「・・・ごめん」

「なんですずかさんが謝るの?」

「余計な口出し、しちゃったから」

「そんなことない。その・・・心配、してくれたんだよね」



僕って言うよりは、フェイトをだろうけど。



「そうだね、心配だった。・・・なぎ君も」

「僕も?」

「そうだよ。だって私達、もう友達なんだから」



嬉しかった。笑顔で、すずかさんがそう言ってくれたのが・・・すごく。



「でもね、私分からないの」

「と言うと?」

「どうして、そこまでフェイトちゃんがなぎ君が魔導師を続けるのを反対してるのか。だって、フェイトちゃんも魔導師なんだよ?
それでなぎ君だけ辞めて欲しいなんて、ちょっとおかしい。・・・なんだかね、ケガのことや、そういう能力面だけの話じゃないように感じた」





まぁ・・・そうだよね。端から見てたら、分からないと思う。でも・・・僕は理由を知ってる。



でも、どう話そう。





≪簡単ですよ≫

「アルトっ!?」



そう、いきなり会話に入ってきたのは、アルトだった。・・・いや、あの・・・待って?



「えっと・・・」

≪詳しくは話せませんが、マスターは≫

「話さなくていいよ」



・・・え?



≪「どうして?」≫

「二人揃ってハモらなくても・・・。だって、話しにくそうだったから。というか、ごめんね、嫌なこと聞いた」

「あ、ううん。こっちこそ・・・ごめん。話聞いてくれてるのに」

「いいよ、別に。うん、私は大丈夫だから」










・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・優しい、人なんだよね。きっと。





それから、他の話題にシフトした。話しにくいことじゃなくて、話せることに。学校の事や、海鳴や翠屋のこと。沢山話した。





うん、すごく心地よくて・・・ドキドキしてたのは内緒。





で、結局・・・。










「・・・そうだ、なぎ君。せっかくだから泊まっていかない?」

「え?」

「それで、もうちょっとお話。・・・どうかな?」










・・・思えば、ここで頷かなければ話はここで終わっていた。でも、僕は頷いた。









「じゃ・・・リンディさん達に連絡をしてから」

「うん、なら決定だね。あ、アルトアイゼンともお話したいな。あんまり機会が無かったから」

≪分かりました。では、私の自慢の小噺でも・・・≫

「いや、それはいいから」










きっと、すずかさんは気遣ってくれた。帰っても、フェイトと話辛いとか考えて。





僕は・・・まぁ、すずかさんともっと話したいなと思ったから。





とにかく、こうして決定した。・・・外で、雨がポツポツと降りだした瞬間に。




















(後編へ続く)




















あとがき



≪さて、幕間そのよん、みなさんどうだったでしょうか?
本日のあとがきのお相手は、古き鉄・アルトアイゼンと・・・≫

「皆さん、どうも。フェイト・T・ハラオウンです・・・」

≪いや、なんでそんなに元気無いんですか≫





(閃光の女神、なぜか暗い。というか、後悔気味)





「だって・・・この時の私、ヤスフミの話を全く聞かなかったから・・・」

≪あぁ、そうでしたね。でも、今は違うからいいでしょ≫

「そ、そういうものでもないと思うんだけど・・・。とにかく、後編はこの続きなんだよね?」

≪そうです。現在、とらハ3の資料を見つつ構築中です。・・・幕間そのごですね≫

「そこは次回に期待と・・・。でも、ヤスフミ・・・いきなりファリンさんにあんなことしてたんだ」

≪してましたね。なお、あれがどうなるかなんて・・・言わなくても分かるでしょ?≫





(青いウサギ、カメラを見つつ、そう口にする)





「・・・そういうものなの?」

≪そういうものです。とにかく、今回はここまでっ! お相手は古き鉄・アルトアイゼンと・・・≫

「フェイト・T・ハラオウンでした。それでは・・・また次回にっ!!」










(カメラ、いつものようにフェードアウト。それに手を振る青いウサギと閃光の女神。
本日のED:『クラジャ○』)




















すずか「というわけで・・・お泊まりだね。なに話そうか」

恭文「うーん・・・海鳴のこと、色々聞きたいかも。まだ、よくわからないとこも多いし」

すずか「なら、それを中心にお話しようね」

恭文「・・・うん。なんか・・・楽しみ」










(おしまい)










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あきゅろす。
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