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小説(魔法少女リリカルなのは:二次小説)
第22話:おまけとあとがき



おまけ:帰ってきた高町・ヴィータ教導官による魔導師解説コーナー!!

特別編 『働く魔導師たちのお仕事』魔導師たちのお仕事を見てなりたい自分を考えてみよう〜』

(ゲスト:嘱託魔導師:恭文、自然保護官:エリオ・キャロ、執務官;フェイト、捜査官ギンガさん、戦技教導官はおなじみの二人)




















◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



(そうして、今日もチャイムがなる。そう、わかーめー♪)





海里「違います。普通のチャイムです。とにかく・・・起立、礼・・・着席」

師匠「うし、つーわけで・・・おいおい、なんか二人ほど増えてねぇか?」

なのは「ヴィータちゃん今更っ!? そこはこれがおまけになった時に私がツッコんだところだよっ!!」

師匠「大丈夫、冗談だ。・・・えー、とにかく、今日の授業はこれだ。魔導師のお仕事。まぁ、一部だけなんだが」

海里「確か、先生方やハラオウンさん、あとそちらの方々は時空管理局という組織に勤めていらっしゃる職業魔導師・・・でしたね」

ギンガ「そうだよ。・・・君、すごいね。ちゃんと予習してきてる」

海里「きょ、恐縮です」

やや「あー、いいんちょ照れてるー!!」





(なんでかみんなにやにや。まぁ、ここはしかたない。きっと仕方ない)





なのは「とにかく、話を進めるね。以前、クロノ君とリンディさん、途中乱入の恭文君とサリエルさんを交えて、時空管理局という組織のいい所や悪い所、そうしてどういう方向性の組織運営を目指しているのかを、みんなで勉強しました。
今回は・・・そこと前回の続きになるのかな? 実際に私達職業魔導師がどういう仕事をしているかを、説明して行きたいと思います。まず、一口に職業魔導師と言っても、そのお仕事は多岐に渡るんだ。今回説明するのも、あくまでも一部だというのは、覚えておいてね?」

全員『はーい』

なのは「うん、いい返事だ。それじゃあ・・・恭文君、みんなに簡単にでいいから私達の仕事について説明してあげて」

恭文「ゲストなのに? ・・・あぁ、まぁいいや。職業魔導師には二種類ある」










◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



・正式な局員と嘱託の違い





恭文「正式な局員として働く場合と、嘱託として働く場合。これはなのはやフェイト達が前者になるの。で、僕は嘱託。嘱託は一応局の関係者にはなるけど、正式な局員としての権限は無いの」

唯世「えっと・・・正式な局員というのは分かるんだけど、嘱託ってどういうことかな」

恭文「嘱託魔導師は一種の非常勤でね。局から仕事を依頼されて、それを受けて初めて現場に出るの。どこか特定のところに所属が決まっているわけではない・・・かっこいい言い方をすると、魔導師の傭兵というか、何でも屋みたいな感じかな」

空海「でもよ、なんでそんな制度があるんだ? 普通にみんな局員になればいいだろうに」

恭文「もちろん、ちゃんと理由がある。局は常に優秀な魔導師の人員を欲しがっているんだけど、例えば諸々の事情でずーっと局の仕事をしているわけには行かない人も居るの。なのはとフェイトもそうだったんだよ?
みんなと同い年くらいの頃から局で魔導師として仕事こそしていたけど、義務教育があったから、中学卒業までは一応嘱託と言う形をとって、両立してたの。そうじゃなくても、例えば・・・組織の一員で居るのがちょっと嫌だなとか、そういう自由を好む人が嘱託の道を選ぶ事が多い。僕もそうだし」

空海「なるほど・・・」

恭文「それで話を進める・・・前に、本日のゲストの紹介だね」





(そうして、ガーディアンの面々の前に並ぶのは、知っている顔とか、知らない顔とか)





ギンガ「えっと・・・またまたお邪魔しています。陸士108部隊に所属しているギンガ・ナカジマです」

エリオ「初めまして。辺境自然保護隊の隊員をしている、エリオ・モンディアル二等陸士です」

キャロ「同じく、キャロ・ル・ルシエ二等陸士です。えっと、私もエリオ君もみんなと年齢が変わらないから、気軽に名前で呼んでほしいな」





(ちびっ子二人を見て・・・ガーディアンの面々、驚いている。それはもうかなり)





りま「・・・ねぇ、恭文。この二人って私達と本当に同い年くらいなのよね。なのに、もう仕事してるの? というより・・・出来るものなの?」

恭文「あー、そこ疑問に思うよね。まず、時空管理局は前に言った通り、本局も地上部隊も、慢性的な戦力不足に悩まされているの。なので・・・優秀な人材をゲットしやすくするために、就労年齢とかかなり低めなのよ。
実際、この二人はみんなと同い年ではあるけど、優秀な陸戦魔導師よ? だからこそ、この年齢でも働ける。てゆうか、ティアナとスバルと一緒に四人チーム組んでたんだから」

フェイト「その四人は、みんなと会う前に私やなのは、ヤスフミも途中からだけど所属していて、はやてが部隊長をしていた機動六課のフォワードだったんだ」

唯世「なるほど・・・。僕、どうしてリンディさんがあんな普通に僕達の事を誘ってきたのか今ひとつ分からなかったんだけど、組織の体制から受け入れられる形に出来てるからなんだね」





(キングが納得したのを見て、他の皆も納得したようだ。でも・・・やっぱり、おかしいよね?)





恭文「んじゃ・・・みんなが納得してくれたところで、本題に入ろうか。まずなのはと師匠に付いてだね」










◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



・戦技教導官のお仕事





恭文「もう本編中でも話しているから、みんな知っているとは思うけど、おさらい的に軽く説明するね。二人は戦技教導官・・・魔法戦闘の技能を教える先生なんだ」

なでしこ「確か・・・教える対象は武装局員という既に実戦に出ている魔導師の方々。そんな人達に、より高度な技術を伝えて行くのが、戦技教導官・・・お二人が所属している教導隊の役目」

空海「つまり、何にも知らない素人をプロにするんじゃなくて、プロをより高い次元に持っていこうとするのが、なのはさんとヴィータさんのお仕事・・・だよな。例えば、JS事件で浮き彫りになった問題のひとつである、対AMF戦闘の練度の底上げ・・・とか」

恭文「そうだよ。それだけじゃなくて、局員が使う新装備の開発や、新しい戦術の研究なんかも行っている。まぁ・・・歴戦のエースが、特に事件も起こっていない平和な時にする仕事ってのが、一般的な認識かな」

空海「なるほど・・・」

恭文「なのは、師匠。どうやらみんなは簡単にではあるけど仕事内容は理解しているみたいだし・・・二人はどうしてこの道を選んだのか、みんなに説明してあげて。今日は『なりたい自分を考える』って題目もあることだし」

なのは「あ、うん。えっと、私は・・・みんなと同じくらいの頃に魔法と出会って、色々事件に関わったりとかして・・・。それでね、考えたんだ。私の魔法の力を、技能を、他の誰かに伝えていきたいなと。教導隊の理念にね、力・・・技能と一緒に、心も伝えていくって言うのがあるの。
それを受け取った誰かが、また別の誰かに伝えて・・・そうして、思いの連鎖が広がっていく。それを聞いた時に感銘を受けて、この道を選んだんだ。空を飛んだ私の教え子が、みんな無事に帰ってこれるように、力と心を伝えていきたいなと、そう思ったの」

師匠「でさ、アタシは・・・そんな立派な理念みたいなのは関係ねぇんだ。実は、バカ弟子が原因なんだよ」

あむ「恭文がですか?」





(小さい師匠、その言葉に頷く)





師匠「バカ弟子と出会った時に、コイツの剣の師匠・・・アタシはじいちゃんって呼んでるんだけど、ちょっと協力してくれって言われて、コイツに実戦形式で魔法戦闘の技能を教えることになったんだよ」

あむ「あ、だから師匠なんですね」

師匠「そうだ。で、教えてみたらこれが中々面白くてよ。ちょうど局でアタシの方針・・・というか、やりたいことがないかーって周りから言われてた時期でな。それで、教官資格を取って・・・だな」

エリオ「えっと、僕とキャロ、あと・・・みなさんが会った事のあるスバルさんとティアさんも、なのはさんとヴィータさんの教え子なんです」

キャロ「だから、なぎさんは私達にとって仲間で、友達であると同時に・・・教え子の先輩でもあるのかな」

唯世「そうなんですか・・・」

師匠「まぁ、ぶっちゃけ教導なんてめんどくさい事が多いんだよ。生徒と揉めることもごくたまにあるし、それですっげー落ち込んだりもするし、教えたら教えたであとはどいつもこいつも勝手しまくるしな。バカ弟子なんかがいい例だ」





(青い古き鉄、ちょっと居心地が悪い。確かに・・・勝手しまくってるから)





師匠「ただ、だからってなんかやめようって気にはならねぇんだよな。まぁ・・・あれだ、きっと向いてんだ。うん、そうに違いねぇ」

なでしこ「・・・なんだか、羨ましいです」

師匠「はぁ?」

なでしこ「だって、そういうご苦労があっても嫌いになったりしないものを仕事に出来る。これはきっと、一つの幸福ではないかと思うのです」

師匠「・・・なるほど、言われてみりゃそうかも。そっか、アタシ・・・今、幸せなんだ」





(小さい師匠、なんか納得。それを見て、全員が微笑ましい気持ちになる)





恭文「・・・というわけで、いい感じで締まったので・・・次は、エリオとキャロかな」

エリオ「わ、わかった。頑張るよ」

キャロ「エリオ君、しっかりっ!!」

エリオ「う・・・って、キャロもやるんだよっ!?」










◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



・自然保護官のお仕事





唯世「それで・・・そんなお二人が自然保護官というお仕事なんですよね」

エリオ「そうです。・・・次元世界のことはもう聞いていると思いますけど、世界の中にはまだ未開発の区域・・・人が住んでいないような世界も沢山有ります。
そして、その中には生物学的に稀少な生物や植物、自然が作り出した奇跡とも言うべき存在が沢山があるんです。それの現状調査と保護をしていくのが、自然保護官です」

やや「えっと、つまり・・・何をするの?」

海里「例えば、地球の方でも現在絶滅の危機に瀕している生物や植物が存在します。それは・・・わかりますか?」

やや「あ、うん。前に見たテレビで言ってたから」

海里「そういう生物は、定期的かつ慎重な生体調査を重ねて、個体数が減る要因を可能な限り減らし、数を増やしていこうとする試みが行われています。
生物が絶滅するということは、その種が消えるということですから」

やや「・・・あ、そっか。調査と保護って、そういうことをしていくお仕事なんだね。わわ、なんかすごいよ。だって、二人ともやや達とそんなに年齢変わんないはずなのに」





(どうやらエースは納得した様子である。そして、ライトニングの二人は感心したまなざしで見られているので照れている)





キャロ「あと、多分地球の方でも問題になっていると思うけど、希少生物は例えば毛皮とか角とか、もしくは観賞用に生きたままの状態などだね。そういうものを闇ルートにかけると、とても高い値が付くことがあるんだ。
これはいわゆる密売だね。そういうことで利益を得ようとするハンターと呼ばれる人達が、次元世界の中にも相当数居るんだ」

エリオ「それだけじゃない。それを目的とする人達を案内するツアー業者も存在しているんです。
僕達は密猟ツアーと呼んでいるんですけど、これがまた性質が悪くて・・・。デバイスとか質量兵器を持ち込んでいる事も多いんです」





(まぁ、ここは当然だろう。だって、そんなどこかのオーガじゃあるまいし、素手で野生生物は狩れるわけがない)





恭文「いわゆるライフルとかそういうのだね。この辺りは、地球のハンターとかとそんな変わらないのよ」

エリオ「とにかく・・・そういう人達を取り締まるのも、僕達の仕事なんです」

唯世「・・・なんだか、悲しい事ですよね。モンディアルさん達のように守ろうとしている人達も居るのに、逆に自分の金銭的欲望を満たすために、種として貴重な生物を奪おうとする人達もいる」

空海「そうだな。なんつうか、そういうのつまらねぇよな。・・・でも、もしかしてそれで魔導師が必要ってことなのか? 武装した相手とやりあうこともあるから」

エリオ「はい。ただ、ここには一つ問題があって・・・」

空海「問題?」

エリオ「仕事上、辺境・・・開発されていない場所に赴く事が多いんです。もしくは、そこに定置キャンプを作ってしばらく調査・・・とか。なので、中々定住する魔導師が居ないんです。
みんなやっぱり、普通にどこかの首都の近くで武装隊に入りたいと思っているらしくて。僕は、キャロが元々所属していたので、話を聞いて行ってみたいなと思って・・・」

キャロ「私はなんというか・・・性に合ってるみたいなんだ。植物関係の研究を今少しずつ始めてるんだけど、そのレポートや調査も出来るから、私は今の職場が好き。そうだな、みんなと同じでなりたい自分をその中で探している最中なのかも」

エリオ「僕も同じく。これからずっとここかも知れないし、別のところに行くかもしれないし。だけど、今の環境の中で、少しずつ探している最中です」





(・・・なんというか、それを見て思った。魔導師って、色々大変なんだと。というか、これで同年代というのは信じられないと)





あむ「もしかしてあたし、相当人生の過ごし方間違えてるのかな。エリオ君やキャロちゃんもそうだし、なのはさんも小さい頃から頑張ってるわけだし」

フェイト「そ、そんなことないよ。地球では普通の過ごし方だから。多分、私達が特殊なだけだよ」

恭文「とにかく、今エリオが言ったように自分から進んで自然保護官になろうって魔導師はあんま居ないのよ」

空海「いやいや、話を聞く限り居ないんじゃ困るだろ。そういう時はどうすんだ?」

恭文「僕みたいな嘱託向けに依頼を出す。それを受けてくれた人間が一時的に来て事態に対処・・・って感じだね。やっぱり、昇進の機会とか、職場の立地とかでNGって人が多いから」

唯世「話を聞く限り大変そうな仕事なのに、昇進の機会が少ないの?」

エリオ「普通に武装隊・・・あ、魔導師で組んだ、有事の際の鎮圧部隊のことなんですけど、そういうところみたいに毎日鉄火場・・・とかではないですから。
基本ノンビリ、基本静か、基本ゆったり。・・・なんだけど、たまに緊張するお仕事・・・という感じなんです」

恭文「僕もフェイトも何回か行ったんだけど、環境はいいんだよね。・・・あ、そういやエリオ。質量兵器の相手・・・慣れた?」

エリオ「うん、それはだいぶ。サリさんがちょくちょく来てくれて、稽古つけてくれてるから」





(いきなり不穏な話をし出したので、全員の目が見開く。つまり・・・どういうこと?)





唯世「そういえば、普通に聞き逃してたけど・・・質量兵器って言うことは、ピストルとかマシンガンとかを相手にすることもあるということですよね?」

キャロ「そうだね。ただ・・・魔導師の防御力ってとても高いの。バリアジャケットに各種の防御魔法がしっかり使えれば、銃弾くらいはあんまり怖くないかな。例えば・・・」

あむ「あ、その辺りのことは前の授業でやったよ。だから、大丈夫」

キャロ「ならよかった。でも、魔法が使えない状況に備えて、そういう時でも質量兵器に対処できる訓練はしているんだ」

やや「えぇっ!? それってかなり危ないんじゃっ!!」

エリオ「確かに怖いです。魔法も無しでの戦闘は、魔導師にとっては専門外の領域。
だけど、必要な事ですから。なにより、恭文はそれが出来てますし」

キャロ「私達としては、負けられないよね。なぎさんに負けるのって、なんだか屈辱だし」

恭文「・・・キャロ、ちょっとお話しする? いや、結構真面目によ」





(その言葉に、ガーディアンメンバーの全員が固まる)





あむ「・・・え、どういうこと? なんでそこで恭文?」

ギンガ「・・・なぎ君、何度か魔法無しで銃器を持った相手と戦ったことがあるの。それも実戦で」

あむ「また過激な・・・って、もしかしてアレ?」

恭文「うん、そのあれ」

空海「やっぱりAMF対策か?」

恭文「いや、違う。地球の方で、魔導師とかじゃない上に相当強い奴と戦ってさ。さすがに魔法が全くNGだったのよ。まぁ、もう8年とかそれくらい前の話なんだけど、それで大負けして・・・殺されかけたの」





(詳しくは、幕間そのごをお読みください)





恭文「でさ、感じたわけですよ。魔法無しだと一般人なんだと。魔法ってのは、絶対のものじゃないんだと。例えば地球とかではおおっぴろげに魔法が使えないしさ。皆が授業で説明されたAMFだってある。
・・・だけど、魔法無しだからとか、魔導師だからそれは仕方ないとか、そういういいわけして、守りたいものを守るために飛び込めないのも、躊躇うのも迷うのも嫌でさ。それがきっかけかな?」

エリオ「まぁ、恭文の言う状況は少し特殊なものなんですけど、AMF・・・あの、AMFやJS事件とかについても説明は受けているんですよね?」





(それに、ガーディアンの面々が頷く)





キャロ「なら、説明は省くね。実際、JS事件という大規模テロ事件が起きてから、そのAMFを発生させる装置を使って、管理局の魔導師を返り討ちにしようとする人達も、少しずつではあるけど出てきているんだ。
だから、魔法ばかりに頼らずに戦う手段の構築は、現場の魔導師にとって必須になると思う。実際、エリオ君との仕事中にもそういうことをやってきた人が居たから」

あむ「・・・なるほど。前の授業で聞いてはいたけど、これがこういうところにまで来るんだ。あたし、今更ながら改めて納得したよ」

恭文「ならよかった。えっと次は、フェイトとギンガさんだね」










◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



・執務官と捜査官のお仕事





フェイト「次は私とギンガです。というか、緊張してきた・・・」

ギンガ「そうですね、私も・・・。えっと、多分一緒に説明した方が分かりやすいだろうから、二人一緒に行くね。まず、私が捜査官で、フェイトさんが執務官というお仕事についています。
このお仕事は、事件捜査・・・そちらの世界で言うと、警官・・・刑事みたいな感じかな。あ、私の仕事はこの間話した108の業務に乗っ取って・・・だね」

やや「あ、今度は分かりやすいです。でも・・・名称が違いますよね。何か違いがあるんですか?」

ギンガ「うん。フェイトさんの役職・・・執務官は、私のような捜査官に指示を出したり、法的処理を行えるお仕事なんだ。現場での独自の自由行動の権限と、指揮官としての権限も持ち合わせている」

りま「つまり・・・捜査官に上に立てる偉い人ということかしら。いわゆる現場指揮官」

恭文「うん、その認識で間違いじゃないよ。地球で言うと・・・警察官と、弁護士と検事がくっついたような感じかな。
執務官は事件の捜査や、指示出しもそうだし、事後の法律関係の処理も出来るから、どこの部隊でも一人は欲しがるというスーパー職業なの」

フェイト「そ、そんなことないよ。というか、あの・・・あぁ、みんなそんな感心した目で見ないで? その・・・恥ずかしいよ」





(照れているのか、恥ずかしがっているのか、顔を真っ赤にしている閃光の女神を見て、みんななんというか微笑ましい)





恭文「ただ、問題が一つあって・・・」

りま「問題?」

恭文「執務官はそういうスーパー職業なんだけど、それ故に求められる能力の水準が非常に高いの。高い法的処理能力に、単独行動も多いから個人での戦闘スキルもかなりのレベルを要求される。
まぁ、ぶっちゃけちゃうと・・・この職に付くためには資格を取る必要があるんだけど、そのための試験が非常に難しい。合格率も極めて低い。だから、資格そのものを取得している人も結構少ないのよ」

海里「それゆえに重宝されて、どこの部隊も欲しがるというわけなのですね。ちなみに、合格率はどれくらいなのですか?」

恭文「えっと、法律関係などの問題が出る筆記試験と、単独での総合的な戦闘能力を見る技能試験があるんだけど・・・クリア出来るのは15%以下だね」

空海「おいおい、それだと・・・試験受けた大半が落ちるってことか?」

海里「しかもその割り合いだと、こちらの世界の弁護士の司法試験並みでは・・・」

恭文「そうなる。執務官試験は数ある資格試験の中でも最難関と言われてるんだけど、原因はそこなんだ。現に、フェイトが受けたのは8年近く前だけど、2回試験に落ちてるもの」

あむ「いやいや、それでも合格率15%以下の試験に通るってすごいって。あぁ、なんかフェイトさんが遠い人に感じる・・・」





(そう言って、また尊敬のまなざしを向ける。もうなんかスチームとか吐き出してるし)





恭文「ちなみに、この1年の間にJS事件の影響で綱紀粛正の動きが管理局全体で起こって、更に合格率が低くなってる。これから資格を取る人はすごく大変です」

空海「・・・つーかよ、合格させる気あるのか? 15パーセントより下って、どこの超一流校だよ」

恭文「さぁ、正直僕にはわからないよ」

あむ「でも、どうしてフェイトさんやギンガさんは執務官と捜査官になろうと思ったんですか?」





(そう、全員そこが気になる。というより、そこを聞くコーナーなので、しっかり聞いておこう)





フェイト「そうだね・・・。私、みんなと同い年の頃にロストロギアに関わってたって話してたよね」

あむ「あ、はい。ジュエルシード・・・でしたよね」

フェイト「うん。その時になのはとも知り合ったんだけど・・・その時、家庭の事情でかなりゴタゴタしていて、とても・・・苦しかったんだ。
悲しみと苦しみで、世界がそんな色で染まって・・・ずっとこのままなのかなって、思ってた。そこを、なのはとお兄ちゃん・・・クロノやリンディ母さん、他にも色んな人達に助けてもらったの」





(詳しくは、リリカルなのは無印のDVDをご覧ください)





フェイト「それでね、自分と同じように、悲しみと苦しみというフィルターを通してしか世界を見ることが出来ない人達を助けたい。そんな人達の今を少しでも変えたいと思った。
だから執務官になったんだ。この仕事なら、ヤスフミが言ったように、事後のことにも手を伸ばせるから、1番私の方針に合っているのかなと」

あむ「・・・フェイトさん、あの・・・なんていうか、すごいです。こういう言い方違うかも知れないけど、もうそうとしかいえなくて」

フェイト「そ、そんなことないよ。あの・・・うん、そんなことない。ほ、ほら。次はギンガの番だよ」

ギンガ「い、いきなり振らないでださいっ!! ・・・えっと、私は母さんも局員で、捜査官の仕事をしていたんだ。
だから、その影響かな。母さんみたいに強くて、かっこよくて、家庭も仕事も両立出来る大人の女性になりたかったの」

りま「それを追いかけて・・・ということかしら」

ギンガ「そうだね。でも、今はちょっと違うかな。捜査官の仕事をするようになって・・・やっぱり、悲しい事件とかもあるんだ。
そんなものを少しでも早く解決して、世界や、そこに住む人達の笑顔をほんの少しでも守れればいいなぁ・・・と、そう思って仕事をしてる」





(みんな、もうため息しかでない。もうどう言葉にしていいかわからない。そしてジョーカーは思う。やっぱりもうちょっとなんとかした方がいいだろうと)





やや「で、恭文は・・・みんなが頑張ってるのに嘱託・・・と」

りま「非常勤といえば聞こえはいいけど、いわゆるプータローよね」

あむ「そうだよね。ただ単にフェイトさんの側に居るから仕事があるだけで」










◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



・貫くべき自らの道理と組織の現実とのズレ。





恭文「ややにりまについでにあむ、なんでか僕はすっごいトゲを感じたんだけど。なんか鋭いトゲを感じたんだけど、気のせいかな」

海里「蒼凪さん、これは致し方ないかと」

恭文「海里も何気にヒドイこと言うのやめてくれないかなっ!? 僕だって傷付くんだよっ!!」





(・・・へー)





空海「でもよ、なんでお前は局員にならねぇんだ? 模擬戦の様子とか、はやてさんとかリンディさんやギンガさんの話し振りを見るに、お前だってなのはさん達に引けは取ってねぇだろうに」

なのは「・・・そうだね。実際、戦闘技能だけを見るなら恭文君はトップクラスだから。魔力の運用技術や魔法の詠唱・処理速度は教導官である私達以上。
とは言え、魔力量は平凡、誘導弾の類を大量生成とかは無理。恭文君は、凡庸かついびつな魔力資質の持ち主。だけど・・・手持ちの札をフルに使って、何度も格上の相手を一蹴してるんだ」

師匠「運の悪さが原因でもあるけど、魔導師ともそれ以外とも戦闘経験は多数だしな。『魔導師は 魔法無ければ ただの人』・・・ってのが通説だが、コイツの場合はそれに当てはまらねぇ。
実際、古き鉄って名前は表裏問わず相当有名だ。犯罪者からしたら恐怖の代名詞でもある。魔法アリ無し関係なく強いから、もう出会った時点で地獄行きって認識がまかり通ってる」

なでしこ「・・・あなた、一体なにしたの?」

唯世「蒼凪君、なんで目を逸らすのかな。なんで僕達と関わろうとしないのかな。僕、ちょっと気になってるんだけど」

師匠「犯罪者連中数十人を一人で半殺しにしたり・・・とかだな。・・・なぁ、アタシはお前の名前を聞いただけで失神した連中が居るって聞いたんだけど、マジか?」





(青い古き鉄、苦い顔で頷いた。あと、閃光の女神も頷いた。それを見て、なんというか・・・全員、どうコメントしていいか分からなくなる)





空海「・・・で、なんでそれでお前は局員やらねぇんだ? こんだけ認めてくれてるなら、なんだって出来るだろうに」

恭文「・・・・・・話さないと、だめ?」

あむ「だめ。・・・いいじゃん、あたしはどんな話でも聞くよ? まぁ、言いにくいって言うのなら仕方ないけどさ」





(その言葉に青い古き鉄、観念したようだ)





恭文「・・・少し重い話になってもいいなら」

あむ「重いの?」

恭文「少しね。・・・僕、ぶっちゃけると管理局って組織が嫌いなのよ」

唯世「それはまた・・・どうして? いい人達も多いみたいなのに」

恭文「まぁ、知り合い連中はね。ただ・・・以前も少し話したけど、局はバカデカイ組織の分、問題も多いの。正直、それに付き合い切れない。
それに付き合って取りこぼすのなんて僕は嫌だし、組織が変わるまで、ルールが変わるまで待っているなんて出来ない。あと、これが1番の理由なんだけど、こう・・・局員という立場の動き方と僕のやりたいことにズレを感じるの」

唯世「というと・・・どういうこと?」

恭文「例えば・・・普通の部隊に入っている部隊員は、事件が目の前で起きても、命令がなかったら出動出来ない。
もっと言うと、そこで誰かが死にそうになっていても、上の指示がないと動けない。動いたら命令違反で処罰対象になる」

なでしこ「そこはJS事件の説明の時に出た管轄問題の話に似てるわね。だけど先生方、実際はどうなんでしょうか? 恭文君の言う通り・・・ですか?」





(その言葉に、局員組は全員頷く)





ギンガ「まぁ、今なぎ君が言ったのは極論だよ? でも、事実なんだ。私達局員は・・・独自捜査の権限を持っている執務官も、基本的には上の人間の指示がないと動いてはいけない決まりになっているの。管轄が違えば、そこの管轄の部隊に許可を取る必要もある」

師匠「管理局って組織は、こっちの世界の警察機構・・・いや、軍隊に近い性質なんだよ。規律を重んじ、組織として事に当たるのを常としている。
その中で仕事をする以上、守らなくちゃいけない最低限のルールってやつがあるんだ。アタシもそうだし、なのはやフェイトも、そういうルールを守りながら仕事をしている」

フェイト「でも、管理局は今まで皆が勉強したように、管轄や縄張り問題でぶつかり合っているところもまだ多いんだ。許可を取ろうとしても『うちの管轄だからうちで処理する』なんて突っぱねられることもある。
JS事件と言うものを超えて1年という時間が流れても・・・それなの。そうやって、場合によっては、助けられたはずの人を助けられないということもある」

空海「・・・なるほど、お前としてはそんなことが起こったらすぐに助けに行きたいのにそれなのが気に食わないと」

恭文「まぁね。嘱託の方が自由気ままだし、そういう時にも好き勝手はしやすいから。あと、僕はどっちかって言うとルール違反をかます側の人間だからさ。部隊に入って人様にあんま迷惑をかけたくない」





(その言葉に表情を重くするお姉さんが居ることに、誰もが気づいていた)





唯世「でも蒼凪君、組織のルールを守る事は・・・正しいことでもあるんじゃないのかな? もちろん、それにイライラしちゃうのも分かるよ。
でも、管理局は世界という大きなものを守る組織ではあるんだし、多くのものを守るために、まず自分がルールを守ること。自分が正しくあろうとすること。これは必要だと思うけど」

恭文「僕、世界や組織の都合なんてどうだっていいもの。そんなもんのために戦ったことなんて、戦おうとしたことなんて、一度もない」





(あっさりと言い切ったので、ガーディアンメンバーは呆気に取られる。だって、あんまりと言えばあんまりだもの)





恭文「ついでに・・・僕は正しくなくていい。そんな風に認められなくていい。この手で守りたいと思ったものを守れれば、それでいいから。
それが出来ないルールなんざ、知ったこっちゃ無いし。僕が目指すのは、『最強で最悪』だもの」

あむ「最強で最悪?」

恭文「僕が知っている警備部隊の理念でね、法を守るために法を破り、悪を潰すために誰よりも悪である・・・って言うのがあるの。それに感銘を受けてさ、こうなりたいって思ったんだ。僕のなりたい自分の形の一つ」

あむ「それは・・・管理局の中では無理なの?」

恭文「無理だよ。フェイト達が話したように、管理局は『局員』が欲しいのであって、僕みたいなのは欲しくないんだから」

ギンガ「そうだね、そこは変わらない。でもフェイトさん、やっぱりなぎ君のこういう所も・・・変わりなし、ですか?」

フェイト「うん、変わらないよ。でも、それでいいと思ってる。ただ、ヤスフミの行きたい場所が、私達とは違うというだけなんだから」

ギンガ「・・・そうですね」





(なんだかこの二人は通じ合っているようだ。やっぱり・・・ねぇ?)





恭文「あと・・・唯世、ルールを守る人間が何かを守れるってのは、状況によりけり・・・ハッキリ言えば、間違いだよ?」

唯世「そうかな。ルールをしっかりと守れない人が、何かを守れるとは思えないけど」

フェイト「・・・ううん、ルールを守っても、何にも守れない事・・・あるんだ」





(若干落ち込み気味にそう言ってきたのは、閃光の女神。よく見ると、周りの方々も同じく)





唯世「どういうことですか?」

なのは「・・・前の授業で話した中央本部襲撃事件の話だね」

恭文「で、前にも話したけど会場内はデバイス持込禁止なのよ。安全面を考慮してね。唯世、この場合、唯世が中の警備につくとするよ? デバイス・・・預ける?」

唯世「それは当然・・・あ、そっか」

海里「以前の授業でやった範囲ですね。・・・なるほど、確かにデバイスを持ち込まないという選択を取った六課隊長陣は無駄足を踏みましたから」





(メガネがキランと輝く。・・・何故だろう、どこか全体的に輝いている)






フェイト「そうだね。なのは達が説明したと思うけど、会場全体にAMFを張られて、会議メンバーは全員閉じ込められたんだ。当然、この時点で魔法を使っての戦闘は無理。
中の警備に当たっていた私となのはもそれで出られなくなって・・・まぁ、なんとか脱出したんだけど」

なのは「だけど、外で警備をしていたエリオ達にレイジングハートを預けていたから、まずそこで合流してデバイスを回収するということのために1・・・ううん、3アクションくらい使ってしまったの。その間に、ミッドの地上本部は完全に賊に掌握された」

エリオ「相手は僕達のような魔導師ではなく、魔法とは違う別系統の能力を使う人達だったんです。つまり、AMFの対象外。
なので、そういう魔法が使いにくい状況でもその人達だけは普通に動けて・・・僕達は実際、現状確認と避難誘導だけで、賊を撃退するなどという手は全く取れませんでした」

師匠「いや、むしろ連中に返り討ちに遭って、怪我したりした。アタシやリインもそうだし、エリオとキャロ、スバルもだな。もうここまでかーって言うくらいに派手に負けたんだよ」

キャロ「その上、なのはさんとフェイトさんは、私やエリオ君達が合流する前に、賊が出した戦闘兵器数体に武装も無しで襲われたりしたんです」

フェイト「あれはね、反省したよ。私もそうだけどみんな、まさしく局員や周りのルールを守って何も守れなかったという状況だったから」





(なんかすっごい反省会ムード。暗い・・・ひたすらに暗い・・・)





やや「でもでも、それなら恭文はどうなるんですか?」

師匠「このバカは当然そんなことはおかまいなしでデバイスや飛針に鋼糸に小刀。使える武装のありったけを持ち込んでたんだよ。もちろん、内緒でな。
で、ちょっと知り合い連中にも絶対にバレないような変装をした上で、フェイトとなのはと接近しててよ、コイツらが武器も無しで襲われたのを助けたのも、こいつなんだ」

あむ「あぁ、そうなりますよね。やっぱりそうなりますよね。・・・でも恭文、またなんで持ち込もうと思ったの。やっぱり、海里の言う通り?」

恭文「当然でしょ。世の中にはね、魔法が使えなくたってやろうと思えば銃器持ち相手100人にだって、一人で勝てちゃう方々も居るんだから。そんなのを見ている身としては『みんな居るから』・・・なんて程度で安心は出来ないのよ。
なにより、あれは警備よ? まじで戦う力もない人達を守るために来てるのよ? ついでに、テロが起きる可能性高しって情報も入ってたのよ? それなのに護衛要員が武装も無しでうろうろ? ルールだから持ち込むな?」





(あ、なんか鼻で笑った)





恭文「ありえないでしょ、もう実は唯世が女の子だったって言うくらいにありえないでしょ」

フェイト「唯世君・・・そうなのっ!?」

唯世「違いますからっ! 例えてるだけですからねっ!? 僕は男ですよっ!!
・・・・・・と、とにかく言いたいことは分かったよ。うん、僕が間違ってたと思う」

恭文「うん、わかってくれてなによりだよ。・・・とにかく、僕はそんな組織の都合やルールよりも、そんなことよりももっと大事なことがあるの。
だから、従えない。従えないから、中に入るつもりもない。・・・まぁ、だからと言ってフェイトやなのは達に局員やめろとか言うつもりはないけどさ。ここは絶対だよ?」




(青い古き鉄、力いっぱい念押しをする)





恭文「だって、みんなが聞いたように、それぞれの仕事にはフェイトやなのは、師匠にギンガさん、エリオとキャロの夢が絡んでるもの。
僕がどうこう言うなんて間違ってる。でも、僕は・・・局員とかはいいかなって。組織のルールに従って取りこぼすのなんて、絶対に嫌なんだ」

あむ「でも、それは恭文のせいってわけじゃないよね。ようするに、管理局と言う組織の体制の問題で・・・」

ギンガ「あのね、私もそうだし、フェイトさん達も何度もその話をしたんだ。局員としてのルールに従った上で間違えても、取りこぼしても、手を伸ばせなくても、それは絶対になぎ君一人のせいじゃない。それは局全体の責任になる。
絶対になぎ君だけのせいにしないから、そんな風に考えないで。むしろ・・・従うのは正しい事なんだよ。飛び出さない事が正解で、大人になるために絶対必要なことなんだよって」





(色々難しいとは思うけど、ここは当然だと思う)





ギンガ「間違ってると思うなら、組織の中に入って、なぎ君の手で変えていけばいい。そういう憤りをみんなと共有しあって、少しずつ組織を・・・ううん、世界を変えていこう。なぎ君だけじゃなくて、私達も協力するから、一緒に頑張ってみないか・・・って。
でも・・・頷いてくれなかった。そんな言い訳をして、今壊れそうなものに手を伸ばさなかったら、自分が嘘になるからできないって言って、そうとう無茶したりもしてるんだ。何度止めても、何度も飛び込んで・・・」

空海「・・・なぁ、もしかしてそれがお前の方向性ってやつか? こう・・・ズレを感じるって言ってた」

恭文「そうだね。僕、結局バカなんだよね。『魔導師だから』魔法が使えなかったら戦えなくても仕方ない。『局員だから』中のルールに従うのは当然。
納得いかないなら時間をかけて直すのが当然。だから、今何とも出来なくてもそこは仕方ない・・・なんて、考えられなかったの。だって、僕は今手を伸ばしたいから」





(青い古き鉄、普段は見せない真剣な目で話を続ける)





恭文「まぁ、規律や組織そのものに不満があるなら、変えて行くのが普通の事で、僕の選択は、ただそれから逃げているだけの子どもの選択だって言われたら・・・その通りかな。てゆうか、リンディさん辺りから何度も言われた」

フェイト「そうなのっ!?」

恭文「・・・もう大人になるべきだって、かなりね。まぁ、フェイトと付き合うようになってからはさっぱり途絶えたけど」

フェイト「あの、ごめんヤスフミ。私、全然知らなくて・・・嫌な思い、させてたよね」

恭文「いいよ、気にしてないから。・・・だけど、そんなものを変える前に、変えたいものがある。手を伸ばして、掴んで、守りたいものがある」





(どこか、遠いものを見ながら・・・言葉は続く)





恭文「僕が守りたいのは、ちっぽけだけど・・・とっても大事で、それに比例するようにとっても重いもの。今という時間だから。
どこかのバカのために目の前で未来が消えるなんて、嫌なの。あと・・・その中で1番守りたいのは、フェイトの笑顔と今」

空海「お前、結局そこかよ・・・。いや、それがお前らしいって言えばお前らしいんだけどな」

恭文「でしょ? とにかく、僕は局員にはなれない。だって、局は『局員』が欲しいのであって、言い訳出来ない子どもはいらないから。そんなの、もうとっくに分かってることだもの」

あむ「そのために・・・なの? そのために、そんな、逃げてるなんて言われても、嘱託で居るの?」

恭文「居るの。それで・・・例えばもし、フェイトに何かあってさ、立場とか、状況とか・・・そういうので言い訳したら、きっと、死ぬほど後悔する。そんなの、嫌なんだ。だって、僕のなりたい自分は・・・そんな言い訳せずに飛び込んで、今を覆せるやつだもの。
で、大好きな人を守れる自分でありたいの。いつだってどんな時だって、ここだけは曲げたくない。世界より、組織より、そこに住む人間より、フェイトの今と笑顔の方がずっと大事だから」

あむ「恭文・・・」

やや「あの、ごめん。やや、ちょっと嫌味っぽいこととか言ったりして」

海里「俺も同じくです。すみませんでした」

りま「・・・ごめん」

恭文「いいよいいよ。言ってることは間違いじゃないんだしさ。とにかく・・・今日はこれで終了?」





(先生方を青い古き鉄が見る。すると、頷いた)





なのは「そうだね。・・・とにかく、私達は大人だけど、みんなと同じように子どもだったり、色々考えていた時期があって、そういうのを超えて道を決めたんだ」

エリオ「まぁ、僕達はさっきも言った通り、まだ考え中ですけど」

キャロ「そうだね」

師匠「ただ、そうやって自分の道を・・・こうなりたいってものを見つけていった。寄り道したり、迷ったり、悩んだりしながらな。お前らも、まぁ・・・アレだ。焦らずにじっくりいけ。
人生ってのは、大人になってからの方がずっと長いんだしな。誰でもない、自分が1番納得出来る選択を選んでけ。迷った時に振り返るべき基本はそこだ」

全員『はいっ!!』

なのは「というわけで、ゲストの皆さん、本当にありがとうございました」

フェイト「ううん。こんな話でみんなの参考になるなら、うれしいから」

恭文「とりあえず、僕がプータローだって認識は覆せたからいい。僕は自分の判断で嘱託やってるって分かってもらえたからいい」

ギンガ「同じくです。あ、また機会があれば呼んでください。いつでもお手伝いしますので」

なのは「うん、よろしくね。・・・というわけで、本日はここまで。委員長、お願い」

海里「はい。・・・起立、礼」

全員『ありがとうございましたー!!』










(きーんこーんかーんこーん♪ きーんこーんかーんこーん♪)




















(本当に続く)




















あとがき



あむ「・・・というわけで、しゅごキャラクロスの第22話、いかがだったでしょうか。今日のお相手は日奈森あむと」

歌唄「・・・ほしな歌唄・・・って、なんで私ここに居るわけ? おかしくない?」





(説明しよう、前回のあとがきがあんまりにもフリーダムだったので、ジョーカーが後書きを乗っ取ったためにこうなったのだ)





歌唄「納得したわ。それで現段階でガチに敵な私もここに居ると」

あむ「そうだね。・・・ということで、今回初登場の王子様のキャラなりだよー」





(ジョーカー、凄まじくテンションが高い。どうやらあれがそうとう嬉しかったらしい)





歌唄「あぁ、一部で防御力に定評があると言われているあれね。というより、防御力しか」

あむ「王子の悪口禁止ー! てゆうか、それニコ動じゃんっ!! 唯世くんのキャラなりは防御力以外もすごいんだよっ!?」

歌唄「服装とか?」

あむ「そうそう。まさしく王子様って感じでかっこいいじゃんっ!!」





(どこからか『王子って呼ぶなぁぁぁぁぁっ! 僕は王様だっ!!』・・・という声が聞こえたけど、気のせいだ)





歌唄「でも、キャラなりじゃなかったら普通にコスプレよね」

あむ「・・・歌唄、それは自分のことも含めて言ってる?」

歌唄「・・・・・・少しだけ棚に上げてたわ。というより、あむ」

あむ「なに?」

歌唄「私達でやると、話が盛り上がらないわね。前回の方が面白かった感じがするんだけど」





(なにかがジョーカーの身体に刺さった)





歌唄「と言うより、アンタがやっても方向性は変わってないわよね。だって、基本王子・・・唯世のかっこよさについてしか話してないんだから」





(連続で刺さる)





歌唄「いいえ、むしろヒドイわよね。だって、ノロケよノロケ。普通にノロケてるだけじゃないのよ。まだ相棒について2時間語ってた方が有意義だし」





(なんかまた刺さった)





あむ「そ・・・そんなことない。あたし、かなり頑張ってるし」

歌唄「頑張ってる? ・・・ふ、笑わせないでよ。これが頑張っているなら、蝶の幼虫が地面を這うように動いているのなんて超一大感動スペクタクル巨編になるわよ。世の中の人間がちょっとしたことで感動しまくりよ」





(あ、頭にタライが落ちた。・・・痛そう)





歌唄「・・・というわけで、あむが再起不能になったところで本日のあとがき、終了のお時間です。なお、次回は私とイクトがラブラブしちゃいます。
お相手はほしな歌唄と・・・ほら、挨拶しなさいよ」

あむ「ひ・・・日奈森、あむ・・・でした。うぅ・・・あたしの方が絶対進行上手く出来てるのにー! 普通に雑談とかじゃなくて作品について話してるのにー!!」

歌唄「ノロケが入ってるからだめよ」










(なんかまた突き刺さっている痛々しい姿のジョーカーを映しながら・・・カメラはフェードアウト。
本日のED相川始『take it a try』)




















恭文「・・・歌唄、容赦ないなぁ」

フェイト「そ・・・そうだね。でもヤスフミ、海里君逃げちゃったの?」

恭文「うん。さすがにもう知らんぷりは出来ない状況だから、話だけでも聞こうとしたんだけど・・・だめだった。てゆうかさ、フェイト」

フェイト「うん?」

恭文「海里、どうもCDがどうやって造られてるか本当に知らなかったみたい。CDの事を聞いている時、もうすっごい顔が青かったから」

フェイト「・・・そっか。とにかく、絶対に止めないといけないね。ほしな歌唄とイースターの行動もそうだけど、海里君も」

恭文「うん。・・・絶対に止める。てゆうか、やっぱりここはリリカル式に『お話』だって。それが手っ取り速いって」

フェイト「なんでだろうね、普通に話して理解し合えればいいのに」

恭文「元の主役があれだもの。しかたないよ」

???「それは一体どういう意味かなっ! というか、普通に私の扱いがひどいからー!!」










(おしまい)




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