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小説(魔法少女リリカルなのは:二次小説)
第18話:おまけとあとがき



おまけ:帰ってきた高町・ヴィータ教導官による魔導師解説コーナー!!

今回のお題『JS事件の概要 ガジェットとAMFの説明』

(ゲスト:ヒロさんサリさん)




















◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



(きーんこーんかーんこーんー♪)





海里「起立・・・礼、着席」

師匠「うし、それじゃあ今日も授業を・・・こらそこ。なに食ってんだ」

空海「す、すみません。今日寝坊して朝ごはん抜いてきたもんで」

師匠「そうか。なら早く食べろよ。アタシは5分間だけお前の手に持った弁当箱に関しては見えないことにしといてやる」

空海「ありがとうございますっ!!」





(・・・平和だなぁ)





なのは「平和じゃないからっ! お願いだからそう言うときは先生として止めてっ!? というか、どうして空海君も隠そうともせずに早弁なのかなっ!!」

空海「大丈夫ですっ! もう食べ終わりましたっ!!」

なのは「早っ!!」

師匠「うし、つーわけで授業始めるぞー。今日もゲストが来てくれている。ヒロさんとサリさんだ」

ヒロリス「なんつうか・・・自由だよね、このクラス」

師匠「えぇ、なのはが先生やるとこうなるみたいで」

なのは「私のせいじゃないよー!!」

サリエル「・・・とにかく、今回はJS事件についてだな。あと、ガジェット」





(その言葉に、先生方二人は頷く)





なのは「本当はガジェットとAMFに関してだけだったんですけど、それを説明すると、どうしてもJS事件の話をする必要があって・・・」

ヒロリス「まぁそうだよね。アレが原因でこの事件が始まったようなもんだしさ」

あむ「あの、JS事件って・・・確か前回少し話が出たのですよね」

ヒロリス「そうだよ。JS・・・ジェイル・スカリエッティ事件。新暦の75年・・・あ、新暦ってのはミッドの暦なんだ。約1年半前に起きた大規模テロ事件の総称。
今回は、この話をメインにガジェットと呼ばれる戦闘兵器と、AMFというものについても説明するね。んじゃま・・・まずはこちらの映像をどうぞ」





(そうして出てきたのは・・・あれ? なんか違う。なんかキリン装備の女の人がティガレックスとか狩ってる)





サリエル「そうそう、これがまた大変でな。怒り状態の突進がまた怖くて・・・ってアホっ! これは普通にモンハンの映像だろうがっ!! しかもPCネームがお前のキャラだしっ!!」

ヒロリス「あー、ごめん。ディスク間違えた。こっちは私の勉強用だったよ。えっと・・・こっちこっち」





(そして、空間モニターがまた開いて、映像が出る。映るのは・・・俵型のおにぎりと、赤い結晶体と、白い服を着た青い髪の男)





あむ「あの、ヒロリスさん。これは? というか、この人は誰ですか?」

ヒロリス「まず・・・こっちの白い服の男の名前が、ジェイル・スカリエッティ。JS事件の実行犯だよ」

唯世「もしかして、名前をそのまま・・・ですか?」

ヒロリス「まぁ、分かりやすいからいいでしょ? 時空管理局は意外とこういう名称の仕方が多いの。で、次にこっちが・・・」

やや「わわ、この宝石・・・綺麗」

ヒロリス「これがロストロギア・レリック。約300年前に製造された高エネルギー結晶体・・・まぁ、エネルギーの塊だね。スカリエッティは、このレリックを集めていたんだよ」

なでしこ「集めていたということは・・・複数あるんですか? このレリックというロストロギアは」

サリエル「そうだ。ただし、普通に集めていたんじゃない。違法に、なんの許可もなくだ。当然、ブッチギリの犯罪。しかもそれだけじゃなくて・・・」





(画面が変化する。ずらーっと文字の列がすごい勢いでスクロールしていく)





やや「わわ、なんかやや・・・目が悪くなりそう。これ、なに?」

サリエル「ジェイル・スカリエッティが行ってきた犯罪の罪状だ。ちなみに、100とかは簡単に超えている」

空海「あの、それってすっげー重犯罪者じゃないですか」

サリエル「あぁ。しかも、スカリエッティ自体の存在は10年以上前から音声や画像データなどで確認されていたが、JS事件の最終局面でハラオウン執務官・・・フェイトちゃんに捕縛されるまで、犯罪者仲間以外は実物を見た人間が居なかった」

やや「わわ、このおじさんをフェイトさんが捕まえたんですか? なんというか、すごい・・・あれ、でもちょっと待ってください。やや達が生まれるより前から、誰にも実際に姿を見られてないっておかしくないですか?」

唯世「あの、もしかして・・・このスカリエッティという人は、フェイトさんが捕まえるまでそういう・・・逮捕暦とかが全くないのでは」

サリエル「そうだ。まぁ、その辺りの事情は後で説明するよ。そして、事件当時そのすっげー重犯罪者の手足となっていたのが・・・この機械だ。名前はガジェット。JS事件の発端は、このガジェットがレリックを狙って出てきたことだったんだ」










◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



・JS事件の簡単な概要





師匠「お前ら、ロストロギアの保守と管理が管理局の目的の一つってのは、もう知ってるよな?」

唯世「はい」

師匠「ロストロギアは、お前らが探してるエンブリオっつったけか? それみたいに願いをかなえるとか、そういうもんもあったりする。で、当然のように悪用しようとする奴らも多いんだ」

なのは「今あなた達が争っているイースター社のように、自己の目的のために使おうとする場合もあるし、闇ルートで高値で売りさばく場合もある。ただ・・・往々にして、そういうことをされるとロクなことにならないの」

あむ「だから、フェイトさんが万が一の場合にはエンブリオを確保するって言ってたんですね。・・・それなら、このスカリエッティというおじさんは、その悪用しようとした人」

ヒロリス「簡単に言えばそうなるね。ただね、さっきも言ったけど、ガジェットが最初に確認されてから新暦75年の五月ごろまで、コイツは全く姿を現さなかったのよ。
しかも、ガジェットの出現パターンもあっちの世界に出たかと思えばこっちの世界、今度はそっちの世界・・・って具合に、出現の頻度や場所がバラけてた。そのため、前回話した管轄ごとの縄張り意識のために、協力して捜査しようという動きが出てこなかった」

師匠「ヒロリスさんの言うような状況・・・まぁ、散発的ってことだな。そういう状況だったから、レリックやガジェットの問題は、4年近く進展なしだったんだよ。で・・・そんな状況に歯止めをかけるべく作られた部隊がある」





(そして、映像が切り替わった。そこに映るのは・・・ガーディアンのメンバーもよく知っている顔ばかり)





なでしこ「なのはさんにフェイトさん・・・あ、はやてさんにヴィータさんも居ますね」

空海「あとリインにスバルさんやティアナさんも居るな。つーか、また地味な色合いの制服来てるなぁ」

なのは「・・・やっぱり地味なんだ」

あむ「というか、センス無いと思います」

なのは「け、結構気に入ってたのに・・・。とにかく、私やフェイトちゃんにヴィータちゃん達、あとスバルやティアが参加して、はやてちゃんが部隊長を勤めていた部隊・・・機動六課。
この部隊は、さっき言ったように全く進展してなかったレリック関係の事件に対処していくための部隊なんだ」

師匠「まぁ、1年限定という形だったから、もう解散してるけどな。それもだいぶ前・・・もう1年も前の話だ」

なでしこ「なるほど・・・。でも、ヒロリスさん達・・・は、もう現役の魔導師ではないそうですからいいとして、恭文君の姿はありませんよね」





(その言葉にみんなが気づく。そう、あの影の濃い人がいない)





ヒロリス「あー、そういや説明してなかったね。やっさんは最初の段階では六課に居なかったのよ」

やや「え、なんで? だってだって、これを見ると知り合いばっかりなのに」

なのは「恭文君、部隊に入って常駐・・・って言うのが嫌なんだ。だから、私やフェイトちゃんが能力的にも大丈夫だからって誘っても、全然聞いてくれなくて・・・」

師匠「まぁ、諸事情で事件が解決した後に来ることになるんだけどな。・・・で、最初の段階ではまだスカリエッティがこの事件に関わっているなんて分かってなくてよ。
なんにしてもレリックを取ろうとするガジェットより先にそれを確保・・・ってのが、アタシらの仕事だったんだ。ただ、ガジェットには厄介な能力があってな。それがAMFだ」

あむ「AMF・・・?」

サリエル「あむちゃん、俺が初めて会った時に『魔法を無効化する技術もある』って言ったの、覚えてるか?」

あむ「はい・・・あ、そう言えば確かあのときにも同じこと言ってましたよね」

サリエル「そうだ」





(画面が切り替わる。そこに映るのは・・・模擬戦の様子。ツンデレガンナーが撃った魔力弾が何かにかき消され、犬っ子の空の道が消えたりする)





やや「ねね、弾丸消えたよね。あの・・・あれだよ、模擬戦の時に見た防御魔法で防いだ感じじゃなくて、普通に消えたよね?」

唯世「うん、そうだね。こう、かき消されたように見えた・・・。あの、これは一体」

ヒロリス「これがAMF・・・アンチ・マギリング・フィールドだよ。私らが魔法を使うとき、体内の魔力を結合して、それを走らせたプログラムで一つの形にして撃ち出すんだけど、このAMFってのは、その結合を解いちゃうの」

りま「ようするに魔法を無効化・・・こちらが撃った魔法が通用しなくなるの?」

ヒロリス「そうだよ。それだけじゃなくて、これは一種の範囲攻撃でね。フィールドを全開・・・ようするに、広範囲に広げちゃうと、その中では魔法の発動が困難になるの」

海里「つまり、ただの防御用・・・シールドのような技術ではなく、その中に相手を閉じ込めて無力化も出来る・・・ということですね」

ヒロリス「正解だよ。これ自体はかなり高度な魔法として昔から存在してるんだけど、ガジェットは1メートル前後のサイズでこれを発動できる装置を搭載している。
これはそうとうすごいことなんだよ。ちなみに、私やサリが何も知らずに1から作ろうとしたら・・・数年かかると思う」

やや「でもでも、魔法が通用しないんじゃ大ピンチじゃないですかっ!!」

あむ「そ、そうだよね。だって、魔法が無いのにこんなのに勝つのなんて」

サリエル「それなら問題は無い。どんなものにも、完璧なものなんてないんだ。一見AMFは完璧に見えるが、実は穴がいくつかある」





(そうして切り替わった映像の中で・・・ガジェットが杭に貫かれている)





あむ「これ・・・恭文の魔法ですよね? 確か、ブレイクハウト」

ヒロリス「そうだよ」

やや「でもでも、あのフィールドがあると魔法がだめなんじゃ」

ヒロリス「これがAMFの穴の一つなんだ。例えば、やっさんがスティンガーを撃ったら・・・多分AMFで消される。スティンガーを構成する魔力の結合が解除されちゃうから。
だけど、これは大丈夫なの。だって、ガジェットを攻撃しているのはやっさんが魔法を使った上で発生した効果の方だから」

あむ「あ、あの・・・すみません。もうちょっと分かりやすく・・・」

海里「ジョーカー・・・あの杭は蒼凪さんが地面操作で発生させた物理的な攻撃です。ここまでは・・・わかりますね?」

あむ「う、うん。なんとか」

海里「AMFは、あくまでも魔法・・・魔力に対しては高い効果を発揮しますが、物理関係には防御効果を発揮しない・・・つまり、魔法に頼らないのを前提とした上で殴ったり蹴ったり斬ったりする攻撃ならば、例えAMFが発動していてもその威力が弱まることにはないんです」





(ジョーカー、必死に考える。考えて・・・ひらめいた)





あむ「そっか。あれはあくまでも魔法で地面が杭になってるだけだから、AMFで消される対象にならない・・・かな?」

海里「正解・・・で、よろしいですよね」

ヒロリス「うん。それでいいよ」

唯世「でもクロスフォードさん、蒼凪君がフィールドの中に居る場合はどうなるんですか? それだと、地面に対しての操作が出来なくなるのでは」

ヒロリス「それなら大丈夫。・・・魔力の体内結合技術って言うのがあってね。まぁ、細かい説明は省くけど、それをやるとAMFの中でも変わらずに魔法が使えるの。かなりの高等技術ではあるんだけどね」

サリエル「あと、どんな魔法の結合でも解除出来るわけじゃないんだ。たとえばアイシクルキャノンだったり、ヒロのアメイジアのサーペントモードでの魔力付与の斬撃だったりは、全ての結合を解除しきれずに火力でフィールドを突き破れる。まぁ、多少威力は減衰しちまうけどな」

海里「ようするに、高火力の攻撃での力押しも可能・・・ということですね」

唯世「それがさっき言っていたAMFの穴の一つなんだね。じゃあ、もしかしてさっきナカジマさんやランスターさんがやっていた訓練は・・・」

なのは「うん。レリックを追いかける以上、ガジェットとやりあうことになるのは決定事項だから、対AMF戦の訓練をしていたんだ」





(みんな、納得した顔になる。それはもうすっごく)





サリエル「ただ、問題がある。やっさんがやったようなのもそうだし、ヒロが言った魔力の体内結合とかも、基本的にはどれも高等技術。やろうと思って、誰でも『はいそうですか』で出来るもんじゃない。
そして、一般的な魔導師は事件後1年半が経過した今でも、大半は対AMF戦に慣れていない。事件中であるこの段階では更に慣れてない」

あむ「えっと、どういうことですか?」

なでしこ「ようするに、普通の魔導師の人達はAMFを使われたらなんの対抗策も無い・・・ということよ。でも、一般的な人達が使えない対抗策は対抗策と言えるんですか?」

なのは「にゃはは・・・。痛いとこ突くなぁ。確かにそこを言われると辛いんだよね。かと言って特性が特性だから、半端なものはダメだし」

師匠「バカ弟子やヒロリスさん辺りは、魔法無しでも一刀両断出来るが、さすがにそれはなぁ・・・。ただ、局としてはこの辺りに改善策を出してる。その先駆けが・・・アタシらが所属する航空戦技教導隊だ。
一応アタシらが所属している教導隊の方針としては、対AMF戦闘の練度を全体的に上げる・・・ようするに、魔導師全体がパワーアップしていくことで対処させていこうってことだな。そのための訓練メニューを少しずつだが始めてんだ」

空海「なるほど。そうすりゃ、AMFなんて怖くない・・・あれ? でも、事件は解決してるんっすよね。それにこのスカリエッティって言う辛気臭いおっさんも」

なのは「うん。さっきも少し話したけど、事件の最終局面でフェイトちゃんが確保・・・ようするに、逮捕したんだよ。スカリエッティが製作したガジェットも、そのほとんどが活動を停止している」





(なら、どうしてAMFの対策をするのかという疑問が、ガーディアンのメンバーの顔に浮かぶ)





なのは「ただ、さっきもヒロリスさん達の話の中であったけど、AMF自体は昔からあった技術・・・魔法の一つなんだ。スカリエッティはあくまでも、機械的にそれを再現していただけなの」

りま「もしかして、また同じ事をしてくる人達が出てくるかも知れない・・・ということかしら。だから、あなた達魔法の先生の出番もある」

なのは「そうだよ。というより・・・出てきた。みんなと会う少し前かな。恭文君とフェイトちゃんとティア、現場で犯人達にAMFを使われて、完全キャンセル化・・・ようするに、どうやっても絶対に魔法が使えない状態にされちゃったの」

師匠「AMFってのは濃度・・・ようするに、濃さがあってな。それが濃いほど魔法が使いづらくなるんだけど、ある一定を超えると体内結合も出来ない状態になんだよ」

やや「なるほ・・・それって大変じゃないですかっ! あのあの、それで恭文達は・・・大丈夫ですよね。そうじゃなかったら、やや達に会えてるはずないですし」

なのは「うん。特に恭文君は昔から魔法無しで戦えるようにって訓練してたから、もうあっさりと相手を叩き伏せたんだって。・・・アレ見たかな。袖や懐に仕込んでいる暗器」

あむ「あ、はい。・・・え、まさかアレって、そのためになんですか?」





(そして・・・魔王が頷いた)





なのは「魔王じゃないよっ!! ・・・魔法なしでの戦闘訓練を積んで、場数を踏み、そのための手段を構築する。恭文君だけじゃなくて、フェイトちゃん、ティアは、そういう方向で訓練もしてるの」

ヒロリス「つーかさ、私らもやっさんに稽古を定期的につけてるんだけどね。アイツ運が悪いから、いつか完全キャンセルされた中に閉じ込められるんじゃないかって危惧してたのよ。まぁ、JS事件中はなかったんだけどさ」

空海「で、それが俺達と会う前に来た・・・と」

ヒロリス「そうなのよ」

唯世「蒼凪君・・・そこまでなんだ。あ、でもひとつ疑問があるんです」





(キング、一応手を上げて発言。・・・こういうのは、大事ですから)





唯世「前回の授業で、管理局は過去の過ちを犯さないために質量兵器を基本的には禁止している・・・でしたよね」

師匠「そうだ。まぁ、ちゃんとした審査を通した上での所持は認めてるけどな」

唯世「でも、それだってこっちの世界で言うと拳銃レベル・・・ですよね。どうして、こういう事態があちらこちらで起きる可能性もある今の状況で、質量兵器を武装として採用しないんですか?」

海里「それは俺も同感です。魔導師殺しとも言うべきAMFですが、質量兵器に関しては問題なく通用するはずですよね」

なのは「あー、うん。そうだね。それは・・・あの・・・」

サリエル「実は、今唯世君や新入りが言ったのとは違う理由で質量兵器を導入しようとした人間が居る。・・・いや、居た」

唯世「僕達とは違う理由?」

なのは「・・・うん。ただね、その人と、その人を支援していた人達が・・・JS事件の本当の意味での首謀者なんだ。そのために、今の改革の方向性として、質量兵器導入は無しにしようと決まっているの」










◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



・JS事件の真相





サリエル「まぁ、いきなりこんなことを言われても分からないだろうから、しっかりと説明するよ。まず、これを見てくれ」





(画面が切り替わる。そこに映るのは・・・髭面のおっちゃん)





あむ「・・・えっと、この怖そうなおじさんは?」

サリエル「レジアス・ゲイズ中将。新暦75年の9月中旬まで、時空管理局・ミッドチルダ中央本部の実質的なトップに立っていた人だ」

なのは「レジアス中将はみんなもそうだし、私やヒロリスさん達が生まれるずっと前からミッド地上の平和と安全を守ってきた功労者の一人なんだ。そして、前回話した海と陸の問題に、その間ずっと悩まされ続けていた」

師匠「結果、その大元の原因である本局がすっげー嫌いになってな。特にはやてみたいに本局所属で出世しまくってるのは凄まじく嫌われていた。で、中将も本局のお偉方の連中から嫌われていた。あんまりに強引なやり口で自分の方針を押し通す人だったからな
ただ・・・すごい有能な人ではあるんだよ。確かに強引で横柄な物言いが目立つけど、それを言うだけの成果も残してるし、この人が頑張っていたから、現在のミッドの平和に繋がっているって言う人間が多いくらいんだ」

ヒロリス「このおっちゃんね、何度か質量兵器を導入しようとしてるんだよ。ミッド地上は戦力が足りない。このままでは、地上の人々の平和と安全を守れなくなる・・・って、声を荒げてね。まぁ、本局から止められたんだけど」

唯世「でも、この人とJS事件と、どう繋がるんですか?」

サリエル「結論から言えば、レジアス中将はスカリエッティを囲っていた。ようするに・・・自分の監視下に置いて、利用していたんだよ」

あむ「それってつまり・・・管理局の偉い人が、犯罪者の仲間やってたってことですかっ!?」

サリエル「そうだ」





(その言葉に、全員が驚く。というか、多分関係者も当時はすっごく驚いた)





サリエル「ただ、別に営利目的で私服を肥やしてどうこうってわけじゃないんだよ」

海里「どういうことでしょうか?」

サリエル「もうみんなガジェットの話を聞いて想像はついてるかも知れないが、スカリエッティってのは犯罪者でこそあるが、天才科学者でもある。そして、そんなスカリエッティの専門は・・・生体研究だ」

ヒロリス「ミッドにはね、クローンを作る技術がもう実用化レベルであったりするのよ。それを用いて、人工的に魔導師の素養を持った存在を生み出そうとしたり、そういうのとはまったく別の・・・戦闘機人って言うのを生み出したりしてる」

やや「戦闘・・・機人?」

ヒロリス「まぁ、分かりやすく言うとサイボーグみたいな感じかな。ただ、身体が違うってだけであって、心・・・中身はみんなと同じなのよ。私らのよく知ってる子にも、何人かそういう身体を持った子がいる。
・・・まぁ、アレだよ。普通と違うとか、人間じゃないとか・・・そういうので怖がらないであげてね? 本人達にとっては、何よりもキツイことだから」

やや「は、はい・・・。とにかく、それが生体研究って言うのなんですよね。でも、それっていいんですか?」

サリエル「もちろんダメだ。法律的にも禁止されているから、もしちょっとでも手を染めればその時点でお尋ねものだ。
人道的な意味でもそうだし、技術的な意味でもまだまだ不安が残っている」

なでしこ「不安と言うと、どういうものでしょうか」





(その言葉に先生方、一度顔を見合わせて・・・頷いた)





なのは「例えば、遺伝子レベルでの身体の不調で短命とか、例えば調整が上手くいかなくて能力が暴走して、そのまま死亡・・・とか、例えば死ななくても一生付き合っていかなきゃならない何かしらの障害が残る・・・とか」

あむ「・・・あの、あたし・・・そういうのとは全く関係なくて、こう・・・よく分からないんですけど、なんか・・・嫌ですね」

ヒロリス「まぁ、そうだね。さすがにこんなマッドサイエンティストみたいな真似はねぇ。・・・とにかく、なのはちゃんの言うように色々な問題があったのよ」

サリエル「ただ・・・スカリエッティは違う。あの野郎は有り余る才能を使いに使いまくって、その辺りの問題を全て解決したんだよ」

なのは「スカリエッティは、通称ドクターという通り名があってね。その通り名は、そういう生体技術関連での高い能力が原因なんだ。
その成果をJS事件の際、自分の手足となる実行部隊にもしていた。そして、そんなスカリエッティとレジアス中将は手を組んだ」





(なんだか、魔導師組の表情が重いのは気のせいじゃない)





なのは「レジアス中将は、スカリエッティにそういう強い力を持った子達を作らせて、それを色々名目をつけて自分達が接収して、ミッド地上の戦力にしようとしたの。
質量兵器の導入もだめ。魔導師は本局に吸い上げられててだめ。ダメ尽くしの中で・・・最後の手段を取った」

師匠「そうやってでも、ミッドの平和を守りたかったんだろ。・・・色々間違ってはいるけどな」

あむ「・・・なんですか、それ。そんなことして、意味あるんですか? だって、ヒロリスさんがさっき言ってたじゃないですか。そのために生まれた子達にも、あたしや唯世くん達と同じように心があるって。
それなのに・・・そんなの、あんまりじゃないですか。そうやって生まれてきたその子達は、結局そんな勝手な理屈のために危ないことさせられて・・・そんなの、あんまりですよ」

サリエル「そう、あんまりだ。どう理由を作ろうと、自分の目的のために色々なものを弄んだことには変わりないからな。ただ・・・まだここで終わらない。唯世君、何か気にならないか?」

唯世「え?」

サリエル「実は、俺らは意図的に話していないことが一つある。なんだと思う?」





(そう言われてキング、考え込む。考えて・・・気づいた)





唯世「そう言えば、どうやってレジアス中将はスカリエッティと手を組んだんですか?」

りま「キング、手を組む・・・というより、取引じゃないの? 協力してくれたら自分はあなたを見逃す・・・とか」

海里「なるほど、司法取引ですね。確かに、スカリエッティが先生方の言うように天才科学者であるなら、その可能性は極めて高い・・・いえ、ありえない」

空海「そうだな。実物には犯罪者仲間以外はフェイトさんに捕まる時まで会えなかったって言うし・・・どこでどうやって連絡取ったんだよ」

ヒロリス「捕まえたんじゃないの。・・・紹介されたのよ」

空海「はぁっ!?」

ヒロリス「管理局には、陸と海を合わせた実質的トップってのが居てね・・・。それが、最高評議会。
管理局が出来た当初から、世界の平和を願い、局の進むべき道を見守ってきた功労者・・・つーか、神経腐ったジジイどもだよ」





(最強の姉弟子、なんか苦い顔でそう言う)





唯世「えっと、このタイミングでその最高評議会の話が出てくるということは、まさか・・・」

あむ「その管理局のトップの人達が、スカリエッティをレジアス中将に紹介したんですかっ!?」

サリエル「・・・そうだ。あと、疑問に思われるだろうから言っておくと、スカリエッティは最高評議会が局の繁栄のためにさっき言ったような生体技術で生み出した存在だったんだよ。つまり、スカリエッティは管理局トップの飼い犬だったというわけだ」

唯世「・・・・・・それはまた、すごい事実ですね。なら、もしかしてスカリエッティがそれまでずっと捕まらなかったのは」

サリエル「あぁ。最高評議会の連中がかくまってたからだよ。そうして、安全に自分達の利益になるような研究をさせて、その成果の報告をスカリエッティに命じていたんだ」

空海「あ、ありえね・・・。一体どこの悪の組織だよ。つーか、それならあのおっさんは普通に中ボスの立ち位置だしよ」

サリエル「奇遇だな、空海君。俺も同じ事を思った。・・・とにかく、そんな背後関係でJS事件は進んで行った。
途中でスカリエッティの手ごま連中が出てきたり、俺やヒロ、やっさんも六課に居なかったにも関わらずこの事件に深く関わることになるのが決定したりした・・・んだけど」

あむ「だけど?」

サリエル「悪い。もう終わりの時間が来た」





(その言葉に、全員が『えー』と叫ぶ。でも、これはしかたない。もう仕方ない)





やや「な、なんですかそれっ!? やや、すっごい先が気になり出したのにー!!」

ヒロリス「でも、このあとはまた話が長いからさ、今日のところはおしまいで、続きは次の授業で・・・といことで」

やや「うぅ、それなら・・・まぁ。でもでも、絶対に続きはお願いしますね?」

ヒロリス「うん、任せて。ほいじゃあ・・・次回はこの続き。機動六課という部隊の足跡を追いつつ、JS事件について講義するから。みんな、それでいい?」

全員『はーい』

なのは「というわけで・・・本日はここまで。委員長、お願い」

海里「はい。・・・起立、礼」

全員「ありがとうございましたー!!」










(きーんこーんかーんこーんー♪ きーんこーんかーんこーんー♪)




















(本当に続く)




















あとがき



古鉄≪さて、今回のお話は前回のお話の後編とも言うべき話です。なお、りまさんの両親のことなどは、また次回以降にメインの話があったりします。なお、原作ではりまさんを励ます役はあむさんがやっていたりします。
そんな挨拶から始まった今回のあとがき、お相手は古き鉄・アルトアイゼンと≫

スバル「どうも。あとがき二回目の登場のスバル・ナカジマです。・・・あのさ、アルトアイゼン。私はさっそくだけど一言言いたいの」





(犬っ子、なんかエンジンかかってる。最初から最後までクライマックスらしい)





古鉄≪はい、なんでしょうか≫

スバル「恭文のフラグ・・・は、まぁいい。あれはいい。もういつものことだから」





(なんかまた叫び声が聞こえたけど、気のせいだ。つーか、まじで20人超えそうな気がする)





スバル「あれだよね、絶対に恋姫無双とかとクロスしたらダメだよね。そんなことしたら、とんでもないことになっちゃうよ」

古鉄≪ガチでハーレムが作られそうですしね。もちろん、本人の意思とは関係なく。・・・それで、話はなんですか?≫

スバル「あ、そうだ。唯世君・・・ひどいよね」





(そう、あの『アミュレットハートが好き』発言に対して物を言いたいらしい)





古鉄≪そうでしょうそうでしょう。私も作者も原作を読んでいて中々に衝撃が来ましたから≫

スバル「そうだよねー。あれは嫌だよねー。だって、良太郎さんにモモタロスさんとかが付いた状態を好きって言うのと同じでしょ?」

古鉄≪それもまた違いますよ。完全にランさんの意識が出てるわけじゃないんですから。ただ・・・言いたいことはわかります≫

スバル「うーん、これも大変だよねぇ。でもでも、恭文やフェイトさんが横からアレコレ言うのも違うし・・・」

古鉄≪やっぱりまず、現状唯世さんがどう思っているか・・・ですよね。あむさんの気持ちとしては、それでも頑張りたいということなんですから≫





(つまり・・・周りが出来るのはあくまでも応援と、相談されたときの聞き役になるということだけ)





古鉄≪そうなんだよね。あー、もどかしいなぁ≫

スバル「・・・いや、それは私のセリフ。お願いだから言わないでよ。・・・とにかく、次回だね」

古鉄≪はい。それでは次回、いよいよ明かされるJS事件の経緯に期待しつつ≫

スバル「そうだね・・・って違うっ! それは普通におまけの話だよねっ!!」

古鉄≪そうですね、違いました。・・・次回、まだまだ続くりまさんが絡むお話。それはなんと≫

スバル「何と?」

古鉄≪当然、次回です。それでは本日はここまで。お相手は古き鉄・アルトアイゼンと≫

スバル「スバル・ナカジマでした。とにかく・・・あむちゃんファイトー! 私はあむちゃんの味方だよー!?」

古鉄≪そこまでですか?≫

スバル「そこまでだよ。だってだって、やっぱりそういうのは辛いと思うし・・・」










(なんかすっごい語り出した犬っ子はまぁ・・・ともかく、平和に終わろう。
本日のED:『超Climax Jump』)




















恭太郎「・・・というわけで、今日の食事は俺が作ってみた。みんな、どうかな。あ、ちなみにメニューはシラスと梅のあえご飯に、サトイモの煮っ転がしに、ほうれん草のおひたし。
たまねぎ入りの甘めのお味噌汁。そして、メインディッシュは、昼から下ごしらえしてた豆腐ハンバーグだ」

恭文「・・・美味しい。なんですかこの一部の隙のなさ。どんだけ和食好きですか」

リイン「それでいながら、遺伝子そのものに語りかけるこの優しくて深い味わい・・・たまらないですぅ・・・」

シャーリー「私はミッド生まれだけど、その意見はわかります・・・」

フェイト「・・・やっぱり頑張ろう。ヤスフミだけじゃなくて、恭太郎にまで料理の腕を追い越されてるよ。うん、頑張ろう」

ティアナ「しかしまた、これはまたすごいわ。アンタ、結構やるじゃないのよ」

恭太郎「えへへ・・・ありがとー」

ティアナ「ちなみに咲耶。こいつらの現地妻ズは、これ食べたことがあるの?」

咲耶「ありますね」

ビルトビルガー≪というより、落ち込んだ時にこの料理を食べに来てそれで・・・というパターンが多いです≫

ティアナ「・・・・・・あぁ、そういうやり口なんだ」

恭太郎「やり口ってなんだよっ! 俺は別にそんなことのために料理作ってるわけじゃないってっ!! ・・・いや、マジでだよっ!?」










(おしまい)





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