小説(魔法少女リリカルなのは:二次小説) 第12話:おまけとあとがき おまけ:Kの憂鬱 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ ・・・新学期が始まる少し前。フェイトさんとの電話を終えて、どこか憂鬱な気持ちを引きずりつつ・・・僕が足を踏み入れたのは・・・星の館。聖夜小の敷地内にあるプラネタリウム。 迷いそうな時、自然とその姿を現すなんて言う・・・そんな場所。その場所に、僕は来ていた。 もちろん、この場所は別にそんな迷信染みた場所じゃない。まぁ、かなり分かりづらい場所にあるからなんだけど。 「・・・こんな時間にプラネタリウムですか?」 僕は声をかける。その人の後ろから。僕と同じ金色の髪に、流した髪・・・というか、よく僕の大人バージョンと言われるくらいに似ている。 その人は僕の声に振り向く。そして、微笑みかける。 「管理人さん・・・いえ、初代キング」 ・・・そう、この人が初代のキング。ガーディアンの創立者。普段はここの管理人で、小説家の『たまご』。 まぁ、そこはともかく・・・僕はこの人の隣の席に座る。 「・・・で、今日はなんの御用です?」 僕がここに来た理由。それはこの人に呼び出されたから。 そして、初代キングは話し出す。 「うん、次の星回りのことで少しね。・・・ガーディアン、にぎやかで楽しそうだね」 「・・・まずいでしょうか」 「いいや、問題はないよ。中々に楽しそうな子達だ」 そう言って、にこやかに笑う。優しく、まるでそこにあるだけで人を癒す空のように暖かく・・・微笑む。 「特に、あの子・・・蒼凪、恭文君だっけ? 彼は面白いね。心・・・いや、その魂にとても強いものを持っている。 普通では持ち得ないくらいに、頑なだと思われても仕方のないくらいに強いものを」 「・・・そうですね、僕もそう思います」 蒼凪君・・・ううん、蒼凪さんはすごく強い。魔法の事とか、そういうのを抜きにしても・・・凄く。 あの人は、心に秘めている。鈍く輝く鉄を。最近、それがよく分かってきた。 だからかな、最近・・・今のままでいいのかなって考える。 これは、模擬戦の時に教えてもらった事。・・・蒼凪さんが使う魔法の術式を『近代ベルカ式』と言う。そして、ベルカ式を扱う優秀な魔導師の事を・・・『騎士』と呼ぶと。蒼凪さんはその騎士の称号を持っているらしい。 その話を聞いてから少し思った。これから先、蒼凪さんにガーディアンに入ってもらうということは、僕はキング・・・王として、騎士であるあの人の剣を預かることになるのではないかと。 いや、もう彼とリインさんをガーディアン見習いにして、力を貸してもらおうと決めた時から、きっと預かっている。ただ、僕が気づかなかっただけだ。 まぁ、結論だけを言うと、今の僕に、それだけの器量があるのかと、ちょっと考えた。 僕は蒼凪さんみたいに強くない。知恵も、経験もあるわけじゃない。 僕は王として、騎士の剣を預かるものとして、あまりにも非力なんじゃないかと・・・最近、少し悩んでいる。 「彼というランブルカードがこの場に現れた事で、星の動きはまた面白い形になっている。未来は誰にも分からないのが普通だけど、更に予想が難しくなったよ」 「あなたは、蒼凪君のことはどこまでご存知なんですか? まるで、彼の事を僕より知っているように聞こえます」 「多分、君よりは知らないね。彼が使う力も、彼が相棒と呼ぶあの刀も、僕の常識の中には存在しないから。 でも・・・それは、僕やそれを知らない人達の常識の中の話だもの。それについての追求や議論なんてしても、無意味だと思わないかい? 全て、もう君やガーディアンのみんなの前に存在しているんだからさ」 ・・・その言葉に、僕はうなづけなかった。というより、どう答えればいいのか分からなかったから。 「まぁ、そこは置いておくとして・・・君のことだから、彼を新ジャックに。あともう一人のリインちゃんを新クイーンに・・・というところかな」 「その予定です」 「ただ・・・そうはいかないかな」 初代キングが、また懐から二枚・・・いや、更に左手を使って三枚のカードを出した。それを僕に渡す。 それを見て、僕は驚く。だって・・・これは・・・あの。 「ロックとキーが近づき始めている」 そして、そんな僕の驚きを余所に、言葉は続く。静かに・・・ゆっくりと。 「その輝きに導かれて、物語は新しいページを迎えようとしている」 僕に手渡されたのは、QとJ・・・そして、三枚のジョーカーだった。 (おしまい) あとがき 古鉄≪・・・というわけで新年度。平和な時間を脅かす暗雲も感じつつ・・・話は進みます。本日のあとがきのお相手は古き鉄・アルトアイゼンと≫ 二階堂「・・・えー、話の中だと魔法の事とか全然知らないのに呼ばれた僕、二階堂悠です。ねぇ、名前も知らない君。僕・・・あれをどうすればいいの?」 古鉄≪今まで散々好き勝手やってた報いと思って受け入れてください。なお、私達は暖かく見守りますので≫ 二階堂「あー、そうくるんだ。見守ると書いて『絶対関わりません』と読むんだね。分かるよ。 ・・・あはは、どうしようか。いや、真面目にさ。蒼凪君は全然協力的じゃないし」 (担任、恨めしげにそんな話をする。・・・というか、生徒の一人に頼りきる先生ってどうなんだろう) 二階堂「でもさ、あの子なら力ずくでシメていけると思うんだ。ほら、一昔前の番長みたいに」 古鉄≪・・・それ、学校にバレたらクビですよ?≫ 二階堂「あぁ、そうだよねぇ。うん、すっごく分かってた。・・・えー、もしよければ、初日でクラス崩壊してしまった6年星組をどうやってよくしていけるのか、僕に教えてください。いや、まじめにですよ? 僕の評価に関わりますから」 古鉄≪とにかく、次回・・・事態が動きます。そして、みなさん楽しみにしているであろうあんなキャラも出たりします。お楽しみください。それでは、今回は少し短めですがここまで。お相手は古き鉄・アルトアイゼンと≫ 二階堂「二階堂悠でした。・・・まず、どうすればいいのかな。あの子、無茶苦茶手ごわそうだしさ」 古鉄≪口説けばいいと思いますよ?≫ 二階堂「それはとっても問題でしょっ! クビどころか捕まるからっ!!」 古鉄≪いいじゃないですか、捕まれば≫ 二階堂「さらりと言い切ったっ!?」 (担任の頭を抱える様子を映しつつ・・・カメラ・フェードアウト。 本日のED:『こころのたまご』) やや「でもでも、リインちゃんと同じクラスでよかったー! また1年よろしくねー!!」 リイン「はいです、ややさん」 やや「うーん、なんか違うなぁ・・・。ねね、もしよかったら、そのさん付けやめない? これからはリインちゃんも正式にガーディアンの仲間になるんだしさ」 リイン「なら・・・えっと、やや・・・ちゃんで、いいですか?」 やや「うんうんっ!!」 リイン「・・・ややちゃん、リイン・・・これからすっごく楽しくなりそうでワクワクです」 やや「そうだね、ややもわくわくだよ〜」 (おしまい) [*前へ][次へ#] [戻る] |