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小説(魔法少女リリカルなのは:二次小説)
第11話 『決着っ! 鉄二人VS7つの剣と銃っ!!』



「えっと、前回のあらすじですぅ。・・・恭文さんとティアナさん対ヒロリスさんとサリエルさんで行う魔法戦闘を、ガーディアンの皆で見学に来ましたぁ。
でも、見ているスゥやあむちゃん達はドキドキハラハラ・・・恭文さんはヒロリスさんと斬り合ってジャケットがボロボロになって、ティアナさんも隠れてたのに、サリエルさんに見つかって大変ですぅ」

「ヒロリスさんもサリエルさんも、恭文の兄弟子というだけあって、すっごく強いしね。苦戦してるのは当然かも。
というより、ボクは・・・こう、見ていてインスピレーションが爆発しそうだよ。だって、みんなすごいんだもの」

「でもでも、恭文もティアナさんもこのまま負けたりなんてしないよっ!? 二人同時に切り札を出して、ここから反撃開始・・・という感じで、今回のお話はそこから始まるのっ! よーし、応援いっぱいするぞー!!」

「・・・ラン、どっちの応援するの?」

「え? えっと・・・みんな頑張れー! 頑張れー!!」

「結局選べなかったんですねぇ・・・。あ、スゥは決めてますよ? 恭文さんファイトですぅ〜」

「・・・スゥ、そんなに恭文好き? いや、分かるけど。あのシチュだとスゥはお姫様だからそうなるのは分かるけど」




















◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



≪・・・さて、本日集まってもらったのは他でもありません≫





時間はお昼休み。場所はロイヤルガーデンの隅っこ。私達しゅごキャラの遊び場というか、そんな感じの場所。外から日が差していて、ぽかぽかととても暖かい。

あ、あのそこはともかく・・・私は疑問があるんですけど。それもすごく重要な。



とにかく、私は目の前に浮かぶ私達より大きいふてぶてしいウサギのぬいぐるみに対して、手を上げて発言してみる。なお、ちょっと恐る恐る。だって、威圧感がすごいから。





「あの・・・アルトアイゼン」

≪はい、なんでしょう≫

「これ・・・なに?」



た、確か・・・前回まで模擬戦見てたような・・・。というか、ついさっき模擬戦の続きやりまーすって前回のあらすじ紹介したのに。



≪あれはアレでまたCM明けにやるから問題ありません≫

「いや、CM明けってなにっ!?」

「・・・というか、めんどくさいでち。なんでこんなとこに時系列無視でいきなり呼び出されなきゃいけないでちか。ペペは帰るで」



瞬間、寝っ転がりながら横着そうに話を聞いていたペペの眼前に蒼い閃光が着弾した。そして、全員が硬直しつつも、視線だけ見る。

いつの間にか腰からビームライフルを取り出して、銃口をペペに向けているうさぎさんを。というか、アルトアイゼンを。



≪撃ちますよ?≫

「撃ってから言うなでちっ! お、お前・・・何してるでちかっ!?」

≪私の話を聞かずに帰ろうとする存在は容赦なく撃つと言っているんですが・・・なにか?≫



当然のように言い切ったっ!?



「そう言いながら銃口をペペに向けるのはやめるでちっ! というか、この浮いている青い板みたいなのはなんでちかっ!?」



ペペがそう言うと、その板の先が上に向かって・・・あ、ビームが放たれた。そして、その先がまたペペに向く。



≪というわけなんですが≫

「どういうわけでちかっ! それ以前の問題として、その恐怖政治っぷりはやめるでちっ!!」

≪失礼な、私がボスだと言う事をあなたに知らしめているだけですよ。・・・あぁ、ビームライフルがダメなんですね。だったら≫



右手のビームライフルを腰の両側に納めてから、手を後ろに回して取り出したのは白い筒。

その先から・・・青い・・・え、ビームサーベルっ!? なんであんなものまで装備してるのっ!!



≪こっちがいいんですね。奇遇ですね。私も撃つより斬る方が楽しいし好きなんですよ≫

「そう言いつつ腰からビームサーベルはやめるでちっ! 何にも変わってないでちっ!! そしてどうしてそうなるでちかっ!?」



それは私達全員が思った事。そして、このウサギさんは当然のように答えてくれた。



≪このボディが某ストライクフリーダムを元にしてるからですよ≫

「バカモノっ! そういう意味ではないっ!! なぜその行動になるのかを聞いているのだっ!!」

≪仕方ないでしょう。世界と言うのはいつだって理不尽なものなんですよ。・・・PS:ペペさんをいじるのは楽しいから≫



なにかすごく大きなものに全部の責任押し付けたっ!? そしてそのPSはなにっ! むしろそれ本文だからねっ!!



「なに言うでちかっ! お前が理不尽なだけでちっ!! そしてペペは弄られるより弄る方が好きなんでちっ!!」

「あらあら、ペペはアルトアイゼンと仲良しさんね」

「てまりっ! これが仲良しに見えるでちかっ!? いくらなんでもおかしすぎでちっ!!」



とりあえず、私達は全員正座で話を聞くことにした。あのキセキでさえも同じ。だ、だって・・・撃たれたくないから。斬られたくないから。

というか、恭文はどうしてこんな武装付きのぬいぐるみを? 自立行動用に面白半分で作ったって言ってたけど・・・正直やめて欲しかった。



「と、とにかく・・・お前は何が言いたくて、僕達しゅごキャラを集めたのだ?」

「そうだぜっ! てゆうか、早くCM入って模擬戦の続き見せろよー! 俺は前回から無茶苦茶気になってるんだぜっ!?」

≪まぁまぁ、慌てないでくださいうさぎさん≫



いや、うさぎはあなただから。というか、これってあむちゃんと見てた33分なんとやらってドラマで言ってたような。



≪今回、みなさんをお呼びしたのは・・・この長編の方向性について話したいと思ったからです≫

「方向性・・・? アルトアイゼン、どういうことですかぁ」

≪知っての通り、この長編は原作追従型・・・つまり、しゅごキャラという作品のストーリーを追いかけていて、私やマスター、フェイトさん達リリカルなのは組は、それに介入している形です。もっと言えば、今の私達の立場は・・・≫



その言葉に、全員がアルトアイゼンに注目する。そしてアルトアイゼンは十分に溜めて・・・言葉を続けた。



≪漫画や小説という元々の原作があって、アニメ化された作品の、アニメの方と同じなんです≫

「・・・ねぇ、アルトアイゼン。よくわからないんだけど」

≪ランさん、あなたが分からなくてもそうなんですよ≫



なんだろう、それすっごくムカつくんだけどっ!?

でも、そんな私の言葉はともかく、ウサギは・・・あれ、なんでちょこっとだけ宙に浮いてるんだろ。とにかく、私達の前をうろうろしながら言葉を続ける。



≪そして、この場合危惧されるのは・・・原作にそれを追いかける私達が追いついてしまうことです≫

「はぁ? なに言ってるでちか。追いつくのはいいことでちよ?」



瞬間、また銃口が向いて・・・。



「だからその暴力行動はやめるでちっ! お前絶対おかしいでちよっ!?」

≪おかしいのは私ではありません。世界の方です≫



また当然のようにとっても大きなものに責任転嫁したっ!!



≪・・・なお、追いつくという事態は絶対に避けなければいけません。なぜか分かりますか?≫



アルトアイゼンの言葉に、みんなが頭を捻る。そして・・・答えが出た。

それは、ミキとキセキから。



「・・・あ、ボク分かる。つまり、その先にどんな話をしていいのか困っちゃうんだよね」

「現に、先日の二階堂編が原作で言うと単行本3巻の後半部分まで進んでいる。アニメで言っても26話近く・・・ようするに、2クール部分まで進んでしまっている。
このままでいくと、原作ないしアニメに追いついてしまうのだな? まぁ、原作自体が終了していれば問題はないが・・・」

「でも、しゅごキャラってまだ続いてるよな?」

「なかよしの方で絶賛連載中よ。ミュージカルもやるそうだし、まだまだ続きそうな感じはするわね」



ダイチとてまりがそう言うと、アルトアイゼンがうなづいた。

えっと・・・つまり、原作が続いているのに追いつくのはだめなんだね。うん、そこは私でもわかった。



≪ダイチさんとてまりさんの言うように、原作自体はまだ続いています。作者はもう終了すると見込んでこの長編を始めましたが、イースター社との戦いが終わった後にまた別の敵・・・という可能性もあります。
現に、某美少女戦士のアニメはそれで5年も続きました。中学二年生と三年生の夏休みが、そのせいで二回も来ました。進級してないのに季節ネタをやるから、そういう妙な状況になったりするわけです≫

「いや、それボク達分からないんだけど・・・」

「でもでも、それならどうするの?」

≪どうするかなど簡単です。・・・今のうちから私達はこの長編の迂回ルートを考えなければいけません≫



う・・・迂回ルートっ!? なにそれっ!!



「はわわ・・・迂回ということは、迂回するんですか?」

「スゥ、それはそのままだよ。・・・えっと、どういうことかな」

≪アニメなどであるじゃありませんか。原作でやってないオリジナルというのはまだいいとして、視聴者は望んでないのにそれが1年も続いたり。
そこまで長くなくてもオリジナルなせいか原作の話よりも作画が悪くて見れたものじゃない話だったり≫

「・・・なぁ、お前・・・それはどこのなんてアニメだ? 明らかに現実に存在している作品を指して言っているだろ。そう感じる僕はおかしいのか?」



だけど、アルトアイゼンはそんなキセキの言葉をよそに耳をクシクシといじって・・・む、無視してるっ! 完全に流してるっ!!



≪作品名出してもいいですけど、怒られますよ? あなた方が≫

「なんでペペ達なんでちかっ!?」



そうだよっ! 私達はなんにもしてないのにー!!



≪いや、当然でしょ≫

「なにがどういう具合に当然なのかを今すぐ僕達に説明しろっ!!」

≪説明してもいいですけど、怒られますよ? あなた方が≫

「どうして私達なのかしら?」



そうだよっ! 私達はなんにもしてないのにー!!



≪いや、当然でしょ≫

「なにがどういう具合に当然なのかを今すぐ僕達に説明しろっ!!」

≪説明してもいいですけど、怒られますよ? あなた方が≫

「はわわ・・・それは嫌ですー」

「待て待てっ! 会話がループしてねぇかっ!?」



だからどうしてそうなるのー! 私はわからないよー!!



「ランも落ち着けー! お前がループに一役買ってるんだよっ!!」

「あ、そっかっ!!」

≪・・・ち≫



し、舌打ちしたっ!? え、もしかしなくても遊ばれてたのかなっ!!



「と、とにかく・・・原作さんに追いつかないように、そういうオリジナルのお話を入れるのが迂回ルート・・・なんですね」

≪スゥさん正解です。しゅごキャラのアニメで言うと、なぞたま関連のお話などがそれですね。そういうのを入れつつお話を進行して、また本筋に合流するのが迂回ルート・・・または延命措置と言います≫



その言葉に、皆うなづく。だって・・・やっと話の方向性が見えたんだから。

でも、延命措置って言い方はやめた方がいいかと。ほら、色々あるし。



≪ただ、迂回ルートを通るに当たって、気をつけないといけない部分がいくつかあります≫

「え?」

≪まぁ、参考資料として銀魂のテレビ版第145話を見ていただければわかるのですが・・・≫



いやいやっ! 参考資料ってなにっ!?



≪例えば、迂回し過ぎて原作とこちらの設定が変わり過ぎて、もう合流出来なくなるという可能性があります≫



えぇぇぇぇぇぇぇっ!? そ、それはまずいんじゃっ!!



≪なお、最初からこちらはこちら。原作は原作として別の方向性で行くとするなら、例え合流できなくても問題はありません。例を出すと、第一期のハガレ○がそれに当たります。あれは原作の最重要ネタバレがなされていない段階でのアニメ化ですから。
なので、最初の段階で原作の荒○先生はアニメスタッフにオリジナル解釈で思いっきりやっていいと言ったそうです。元々放送が1年だと決まっていたのもその要因の一つですね≫



あ、アルトアイゼン・・・私が思うに、その発言って問題なんじゃ。

でも、このお話はそういうわけにもいかないよね? 原作追従型なんだし、原作の方もあむちゃん達がもうすぐ卒業って段階まで話が進んでるから、一応区切りとして終わりそうな感じだから、決着点を変える意味もないし。



≪ランさん正解です。そして、次にありえるのが、迂回ルート中にあんまりな出来に視聴率が低迷。こちらが打ち切りで終了・・・というのも、多いパターンです≫

「そ、それは・・・嫌でちね。でも、なんであんまりな出来になるでちか?」

≪まぁ、具体的な名前を出すとあなた方が怒られるので、抽象的に言うと≫



だからなんで私達っ!? 本当に何もしてないのにー!!



≪原作ものは、原作という形で絵や話の流れがあるわけですから、アニメを作る場合はそれに添えばいいわけです。あ、二次創作などで再構成する場合も同じですね。基本ラインがあるわけですから、そこから構成していくのは変わりません。
まぁ、労力と時間と血と汗と涙は当然のようにアニメスタッフの方が多く割いてますけど。・・・ただ、オリジナル話は完全にオリジナルです。原作者が手がけるとかでも無い限りは、本当にオリジナルです≫

「・・・まさか、オリジナルだから作画とか話の構成がひどくて・・・というより、原作の感じと離れ過ぎて、それと同じように視聴者も離れて、打ち切りでちか?」

≪正解です。そのパターンで多いのは、言い方は悪いですが技術が低く、雇用費用が少なくて済むスタッフばかりを外注でそろえて、製作・・・という方針を採っているからですね。
なお、そうならない場合はやっぱりスポンサーや元の原作の掲載雑誌の影響が大きかったりしますね。具体的に言うと≫

「具体的に言うのはだめー! 私達みんなで怒られるからー!!」



・・・私、恭文の苦労が分かった気がする。アルトアイゼンがアクが強いって言うのは沢山聞いてたんだけど、ここまでとは思わなかったよ。

恭文、ずーっとこれに付き合ってるんだよね。・・・よし、応援しよう。すっごく応援しよう。私は決めたよ。恭文の応援頑張るよ。



「でもでも、この話は個人の好きで書いてる二次創作でちから、こういう問題はないでちよね?」

≪はい、ペペさんの言うように、この話はアニメでもなんでもない・・・ただの二次創作ですから、この問題は起こりえません。打ち切るもなにも書きたいからこの話書いてるわけですし。
そして、そんなこの話で1番ありえそうなのは・・・迂回ルートを通ってもまたすぐに追いついてしまう・・・ですね。現にしゅごキャラのアニメがそれになります≫

「そう言えば・・・原作とアニメを見比べると、しゅごキャラのアニメはやたらとオリジナルの話が多いよね」

「私が思うに、その辺りはアニメが週1で、原作が月1というのが大きい要因のようね。普通にやっていたら、すぐに追いついちゃうもの」



だから、追いつかないようにオリジナルの話を入れて・・・だけど、アルトアイゼンの言うように合流できなくなっちゃわないように・・・気をつけながら迂回していると。



「ならば、僕達が進む自然と道筋は決まってくるだろう。アニメの話をやりつつ、オリジナルの話も交えつつ・・・だな」

「幸い、あむちゃんやペペ達が恭文達と絡んでいく話も盛り込んでいけば、オリジナル話は作りやすいでち。決して難しくはないでちよ」

「なら、あとはどういう話を作るかですね〜。えっと、スゥは・・・恭文さんともっと仲良くなるお話が欲しいですー」



その言葉に全員がずっこける。そして、見る。本当にそうして欲しいと言わんばかりの顔のスゥを。

え、えっと・・・あの事件以来恭文と楽しそうに話してること多くなったとは思ったけど、そこまで?



≪まぁ、方向性はいいかも知れませんね。スゥさんに限らず、例えば・・・マスターと唯世さん・・・とか、ティアナさんとランさん・・・とか、特定のコンビを主軸に置いて、仲が深まる様子を描くというのも、お話を構成する上での一つの王道ですから。
他の方々も、何かリクエストあります? 今回はこういうアイディアを出す話ですから、バンバン行きましょうよ≫

「リクエストかぁ。あ、それなら・・・」



ミキが恐る恐る手を上げた。それに全員が見る。というか・・・あの、なんでそんなもじもじしてるの?



「ボク、恭文とキャラなリ出来るようになりたい」



・・・え?



『えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!?』



キャ、キャラなりっ!? それも恭文とって・・・どういうことかなっ! 私はびっくりなんだけどっ!!



≪・・・惚れました?≫

「違うからっ!! ・・・あのね、原作でもアニメでも、あむちゃんとのキャラなリって、ランが多いんだよ。
というより、アミュレットハートがあむちゃんのキャラなリの基本形態みたいな扱いなんだよね」



そう言って、私を見る。どこか恨めしげに・・・じっと。

あ、あはは・・・そう言われるとそうだね。



「それでさ、拍手でもボクやスゥとのキャラなりの可能性についての感想もあるし、まだこの話ではやってないけど、自分のしゅごキャラが他の人とキャラなり・・・って言うのもあるでしょ?
まぁ、ぶっちゃけちゃうと・・・ボクの出番が欲しいのっ! 原作でもアニメでも、ボクが1番あむちゃんとのキャラなリの回数少ないんだからっ!! 1番目はランで2番目はスゥだよっ!? ボクが2番目に生まれたのに、キャラなリの回数で言うと上から3番目なんだからっ!!」

≪・・・ミキさん、そこまでですか?≫

「そこまでだよっ! この調子だと、この話の中でもそれだよっ!? さすがにそんなの嫌だよっ!!」



そんな必死の叫びに、みんな・・・表情を重くする。というか、私は何も言えない。だ、だって・・・出番奪い取ってるわけだし。



「でも、それなら恭文君じゃなくてもいいのではなくて? 恭文君は今のところ、キャラもちでもなんでもないもの」

「そうだぜ。それはちょっと無理が過ぎるんじゃないのか? それなら、まだ唯世とか空海みたいなキャラもちの方が・・・」

「でもさ、恭文は主役だから、出番は多いでしょ? というより、事件が起きたら真っ先に飛び込むキャラ。
その上、戦闘能力で言うなら、キャラなりが出来なくてもガーディアンのみんなとは比べ物にならない。つまり・・・」



キャラなリでの出番が確保しやすいし、活躍もしやすいと。

で、でも・・・いいのかなぁ。色々と原作破壊のような気がするんだけど。



「そう言えば、連載開始前にこの僕とのキャラなりという意見もあったな。・・・確かにせっかくのクロスだ。実際に原作ではそういう形のキャラなりを可能とする設定もあることだし、活用しない手はないな」

「でしょ? あと、ボクとのキャラなりアイディアもあったし、やってもいいんじゃないかと思うんだ。というより、むしろやって欲しい。ほら、イメージカラー青で、ボクっ子だし、ボクは恭文嫌いじゃないし」

「あぁ、それならそれなら、スゥも恭文さんとキャラなりしたいですー」



そう言ってスゥが乗ってきて・・・あれ、なんか話の趣旨ずれてないっ!? ちょっとおかしいと思うの私だけかなっ!!



「・・・スゥがキャラなりしても、恭文みたいに戦闘出来ないんじゃ」

「大丈夫です。スゥだって、やる時はやるんですよぉ〜」



スゥがシャドーボクシングをしながら私達にそう言ってくる。なお、右でフックをして・・・こけた。それを皆で見てため息を一つ。

いや、そういう問題じゃなくて・・・。



「ま、まぁ・・・お前らがアイツとキャラなリ出来るかどうかは別としてだ。そういう話も確かにオリジナル話としてはありだけど、他に作るとしたらどんなのがあるんだ? それやるにしたってせいぜい1話・・・前後編にしても2話が限度だろ」

≪ネタ振りで何話も稼げるわけではありませんしね。本当に丸々出来るのはそれくらいでしょう。現に、マスターがリーゼフォームになるのはそんな感じでした≫

「なるほど・・・。そこを考えるとやっぱり、二期でやっていたなぞたま関連の話かしら。あれをしばらくやるだけでも、かなり話数が稼げると思うの」

「・・・てまり、その言い方は色々台無しでちよ。いや、もうこの段階で色々台無しだと思うけどでち」



私達、皆揃って作品を長く続ける方向で話をしてるしね。メタな上になんだか台無しだよ。いや、言っても仕方ないんだけど。



「大丈夫ですよぉ? みんな恭文さんとキャラなリ出来るようにすれば、最低でも7話は」

「あぁ、そうだな。それならなっと・・・バカ者っ! いくらなんでもそれは無理があり過ぎだっ!! 真面目に僕達は怒られるぞっ!?」



あ、キセキノリツッコミ。むむ、中々高度だ。



「そうだよっ! やってもボクとスゥくらいで限度だと思うんだけどっ!! というより、ボクだけでいいっ! これで増えたらまたボクの出番が減るじゃないのさっ!!」



ちょっとミキっ!? それも違わないかなっ! というより、そこまで気にしてたんだっ!!



≪ライダーは自分だけでいい・・・的な発想ですか?≫

「うん、それそれ」

「ミキ、それ分からないよっ! というか、なんかその発言すっごく危ない気がするんだけどっ!!」

「とにかく・・・ペペ達は二人の後塵を被りたくはないでち。みんなキャラなリ出来る案は、却下でち」

「はぅ・・・残念です。あ、でもそれなら・・・」




















◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



「・・・ね、恭文。アルトアイゼンとラン達なに話してるのかな」

「さぁ、なんだろうね。なんか鵜飼いがどうとか言ってたから、その辺りじゃないの?」

「え、なにそれ。なんでラン達から鵜飼いの話が出てくるのか、あたしはわかんないんだけど」




















『とまとシリーズ』×『しゅごキャラ』 クロス小説


とある魔導師と古き鉄とドキドキな夢のたまご


第11話 『決着っ! 鉄二人VS7つの剣と銃っ!!』




















◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



吹き荒れるのは風。おかしいね、結界内だってのに・・・。でも、その風が胸に燃え上がる闘志を、更に高ぶらせる。





そうして見据える。目の前のあの人を。両手に持った刃を構え・・・飛び込んできた。

だから僕も、一鉄アルトを両手に持ち・・・踏み込む。背中のアクセルを羽ばたかせながら、一直線に。そして、袈裟に打ち込む。

ヒロさんはそれをアメイジアを交差させて、受け止める。刃と刃がそこでせめぎ合い、押し合う。










「・・・くく」

「楽しそうですね」

「楽しいさ。せっかくの舞台なんだしね」

「・・・僕もですよっ!!」



そのままアルトを押し込んで、ヒロさんの体勢を崩す。そこから刃を引いて、左から足を狙って打ち込む。

ヒロさんはそれを跳んで避けて右、左と続けてアメイジアを袈裟に打ち込んでくる。それを僕はアルトで受け止める。そこから、刃を振り払い、縦から唐竹割り。それをヒロさんは後ろに飛んで避ける。



「あー、でもせっかくなわけですし・・・」



左手からベルトを取り出す。そして、それを腰に巻きつける。で、ケータロスのエンターボタンを押す。



「もうちょっと派手にいかないと」

「・・・いいの? それを私相手に使って、どうなるか分からないアンタじゃないでしょうが」

「いいんですよ、楽しくなれば」



それから、左手でパスを取り・・・セタッチ。

ベルトから音楽が流れ始めた。



≪The song today is ”BLOOD on FIRE”≫



この曲は電王では使われていない。ただ・・・某サイトの電王MADではあったので、登録してみた。それで、リリカルなのはのMADにも使われているのだ。

ここに入っていても問題はないっ! いや、むしろ入っていなきゃおかしいっ!!



「悪くないね」

≪あぁ、ボーイにしてはいいチョイスだ。んじゃま・・・派手に行こうか≫

「それで、勝たせてもらうよ。いい感じでテンション上がってきたしね」

「なに言ってるんですか、勝つのは・・・僕達ですよ」










そして、アルトを構え・・・再び飛び込む。




















◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



「・・・なぁ、フェイトちゃん。アイツ・・・まだサウンドベルト使ってたんやな」

「う、うん・・・。結構使ってるよ? それで、本当に戦闘能力が上がるから私もなにも言えなくて」

「恭文君のあれは昔からなんですね・・・」

「なでしこさん、正解よ。あの子、『戦いはノリのいい方が勝つ』と言ってはばからないのよ」



ノ、ノリって・・・それはまたすごいキャラで。いや、今までの調子を見てたら分かるんだけど。

とにかく、恭文とヒロリスさんはその場で斬り合い・・・斬り合い・・・あの、なんかさっきより激しくなってませんっ!? どんどんジャケットボロボロになっていくし、剣と剣がぶつかり合って火花散りまくってるし、二人とも全然距離開こうとしないしっ!!



「でも・・・」

「あぁ、恭文もヒロリスさんもめちゃめちゃ楽しそうだぞ? つかよ、ヒロリスさんもなんか動きよくなってないか?」

「そう言えば・・・そうだよね」



唯世くんと空海がそう言ってきたので、改めてヒロリスさんの動きを見る。・・・あ、ほんとだ。さっきも動き速かったけど、今の方が速い。

恭文の斬撃を避けて、後ろに回りこみつつ一閃。それを恭文はホルダーから片刃で持ち手が刃に埋め込まれている剣を抜いて、受け止める。ヒロリスさんはそこから少し上に跳んで上段から一閃。それを恭文は・・・アルトアイゼンで受け止めた。



「これは・・・あれやな。サウンドベルトの弱点が出てもうてるな」

「弱点? あの、八神さん。それはどういう・・・」

「えぇか? あのベルトはノリ強化での戦闘能力アップが目的のもんや。基本的にその対象は恭文や味方連中。
でも・・・この場合、恭文と同じノリで行けるヒロリスさんの戦闘能力も強化されとるんよ」



えぇぇぇぇぇぇぇっ!? そ、それってダメなんじゃっ! というか、それでなんで恭文もベルト使っちゃうのっ!!



「そんなん、そっちの方が派手に戦えて自分が楽しくなるからに決まっとるやろ」

「そ、そういうものですか?」

「そういうもんや。さて、こっちはこっちでよしとして・・・ティアの方も白熱しとるなぁ」



というか、なんか映画のクライマックスシーンに出て来そうな形態だと思った。こう、武器のフル装備。

皆も同じ感覚なのか、屋根を飛び回りながらサリエルさんの追撃を捌いているティアナさんを輝いた目で見ている。



「あの、やや一つ疑問なんですけど」

「うん、なにかな」

「ティアナさんって、サリエルさんやヒロリスさん・・・あと、恭文と違って飛んだりしてないですよね。それってどうしてなんですか?」



あ、そう言えばそうだ。・・・あれ、でもそれってこの間ちょこっと聞いたような。



「結木さん、魔法の説明受けた時に言ってたじゃない。ランスターさんは陸戦魔導師だって」

「・・・あ、そっか。でもでも、細かくは聞いてなかったから」

「あ、そうやったんか。・・・えっとな、ティアは恭文やヒロリスさん達と違うて、飛行魔法を修得してへんのよ。
飛行魔法っちゅうんは、ある一定の適正がある人は最初から飛んで戦闘出来たりするんやけど、そうやないとちゃんと訓練する必要があるんよ。これが恭文にヒロリスさん達、あとフェイトちゃんになのはちゃんみたいな空戦魔導師」



えっと、つまりそのままだよね。空戦・・・空を飛んで戦える魔導師さん。

ん? ならティアナさんはどうしてその・・・陸戦魔導師に? 適性が無いのはともかく、訓練受けて飛べるようになるなら、受ければいいのに。



「で、その訓練受けるんも、教える人間も安全のためにちゃんとした設備も必要やし、なにより受けてもいいって局の方から認めてもらわんとあかんから、結構大変なんよ」

「だから魔導師の大半はまず、今のティアみたいに空を飛ばなくて戦えるように訓練して、陸戦魔導師になるんだ。あ、私もティアと同じ陸戦魔導師なの」

「なるほど・・・」



話を聞いて、あたしは思った。・・・魔法って、こう・・・イメージと違うなと。

恭文じゃないけど、ファンシーというかファンタジー色を想像していたのに、思いっきり現実味溢れる感じというか、もっと言っちゃうと夢が無いというか。



「・・・まぁ、デバイスって言う単語が出てくる時点でそうなるんだよね」

「だねぇ・・・。でもさ、進化した科学は魔法のそれと変わらないって言うよ? その逆もまたしかり」

「ならなら、やっぱり魔法なんですよぉ〜」



ラン達がモニターで戦闘の様子に注目しながらそんな話をしていた。

・・・というか、ミキがすごい。すごい勢いで絵を描いている。あとで見せてもらおうっと。



「・・・さて、問題はここからね。恭文君はともかく、ティアナさんの不利は変わらないもの」

「接近戦は専門じゃないらしいしな。つか、どうするんだろうな」




















◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



突き出された槍をしゃがんで避ける。そのまま、私はクロスミラージュの銃口を向け、連射。サリエルさんはそれを左に飛んで避ける。

避けつつ、魔力弾を生成して、私の方へと打ち込んでくる。私も左へ走り・・・屋根を飛び移りつつ、迫り来る白い魔力弾目掛けて生成した弾丸を発射。

白い魔力弾はそれを迂回するように大きく曲がってから、私のほうに迫るけど・・・意味がない。もう私の魔力弾はそのコースに立ちふさがってるから。





オレンジ色の弾丸と白い弾丸がぶつかり合い、爆発する。そして、その中を突っ切るように白い魔力の奔流が跳んでくる。私は更に左に飛んで・・・屋根に着地・・・いや、着地できない。

左のクロスミラージュを近くのビルに向けて、下の銃口からオレンジ色のワイヤー・・・アンカーを発射。アンカーはビルの壁にくっつくと。ミッド式の円形魔法陣が生まれる。そして、私の身体は引っ張られるように空を飛ぶ。

アンカーを切って、惰性を生かしてより遠くの場所にあった屋根にすべるように着地。・・・あそこ、設置型のバインドが仕掛けてあった。咄嗟にクロスミラージュが気づいてくれなかったら、ここで終わってたわよ。










「クロスミラージュ、ありがと」

≪問題ありません≫





そうこうしている間に私目掛けて大量の魔力弾が襲ってくる。私はクロスミラージュをホルスターに納めてから、背中のマシンガンに手を伸ばす。そして、それを左手で持ち、構え・・・狙い打つ。

ばら撒かれる弾丸によって、迫り来る脅威は次々と撃墜される。閉鎖結界の中の幾何学的な空とそれゆえに生まれる闇に、また爆煙という花が咲く。いくつも・・・いくつもそれは生まれて、全てが撃墜された。

そんな時、私の回りに光の粒子が溢れる。それを見て、私は左手のマシンガンを上空に放り投げる。それから、腰の両側のホルスターから銃剣を引き抜き・・・その場で回転した。



次の瞬間、私の回りに白い縄が表れ、私を縛ろうとするけど、無駄。銃剣の刃が縄を阻み、斬り裂くから。

白い縄が粒子となり、私の周りに舞う。それから私は左手の銃剣だけをホルスターに納め、その手を上に伸ばす。・・・落ちてきたマシンガンをキャッチした。

しかし、バインド攻撃絡めてくると・・・ちょっと厄介ね。あー、やっぱ気づかれてるんだ。こっちの狙い・・・連携強化って言うのが。





≪Sir!!≫





クロスミラージュから声がした。左から殺気。それは・・・いつの間にか距離を詰めてきたサリエルさんだった。

サリエルさんは金剛の穂先に白い魔力を込め、右からそれを打ち込もうとしてた。だから私は・・・銃剣を腰のホルスターに戻す。

そして、未だに背中に背負ったままのショットガンのグリップを手に取り、そのまま引き金を引いた。



銃口が露出した状態になっているホルスターだから、撃てば・・・当然のように弾丸は放たれる。なお、安全装置はクロスミラージュからでも解除可能。

至近距離で放たれた散弾は、サリエルさんを貫く・・・あ、防御された。

サリエルさんは右手をかざし、プロテクションを発生。散弾をそれで防ぐ。だけど、数発はそれを突き抜けて・・・サリエルさんのジャケットを貫く。それにより、サリエルさんが表情を重くする。



私はそのまま後ろに飛ぶ。左手に持ったマシンガンを腰ために構えて・・・乱射。サリエルさんはプロテクションを解いて移動する。移動しながら、数発の魔力弾を私に向けて発射。

速度重視のそれは真っ直ぐに私に向かって飛ぶ。だから私は、ホルスターからクロスミラージュを抜いて、銃口を魔力弾に向ける。

そのままよーく狙って・・・シュート。放たれた魔力弾を全て撃ち抜く。で、屋根に着地。



そこにサリエルさんが再び飛び込んできた。・・・クロスミラージュ、お願い。





≪Dagger Mode≫





クロスミラージュの銃身が上に向き、そこからすぐに刃が形成される。オレンジ色の魔力の刃が。私はそれを、左から振るい・・・突き出された槍を払いつつ、サリエルさんの脇を抜ける。

その時、僅かに肩をかすったけど・・・気にしない。サリエルさんはそれを見て、金剛の柄を私の顔目掛けて叩き込んでくる。しゃがんで、回転しながら回避。

起き上がるよりも早く、左手を動かし、マシンガンを乱射する。至近距離で放たれた弾丸の中にサリエルさんが飲み込まれ、爆煙が上がる。・・・そして、私はまた後ろに大きく飛ぶ。



・・・煙の中から、また魔力弾が・・・あぁ、やっぱりあれくらいじゃやられないわよね。分かってた。しかし・・・怖い。マジで怖い。

やっぱり近接戦闘は危な過ぎる。防いだり流したりするのがやっとだわ。アイツと近接戦闘の訓練するようになって、だいぶ出来るようになったと思ったけど・・・やっぱりまだまだか。

クロスミラージュ、距離の方は・・・どう?





≪いい感じで射程内です。これならギリギリですが、やりようはあります。なお、彼には連絡済みです≫





・・・さすが我が相棒。いい感じでこなれてきてるわ。おかげで私も、安心して対処できる。

例えば、また跳んできた魔力弾・・・とかにね。でも、それだけ脅威だ。

速く、鋭く、どこまでも届きそうな感じがする。一つ一つの基本動作と工程が本当に高いレベルだから、1発の平凡な魔力弾でも十分勝負を決められる札になるんだ。



私も・・・ここを目指さないといけない。精密型の射撃を札とするガンナーだから。なのはさんみたいな移動型砲台とは違うもの。小さく、鋭く、そして速く・・・よね。

そこまで思って、私はサリエルさんに感謝する。・・・きっと、私のために見せてくれてる。こんなことが出来る。ここまでやれるんだと。言葉ではなく、その姿で、その戦い方で教えてくれてるんだ。





≪・・・Sir、基本方針は変わらずですか?≫

「えぇ、この距離からアシストよ。・・・全く、バカよね。私。アイツに神速使わせればいいってのに」



あれなら、多分やれる。だけど・・・私はこの道を選んだ。きっと、ミスジャッジだ。



≪Sirは彼が好きなのですから、当然でしょう。対等でありたいのですよね? 預けるのではなく、預けあう≫

「まぁね」



マシンガンのカートリッジの残量を確認しながら、クロスミラージュの言葉に返す。もちろん、警戒は怠らずに。

やっぱり・・・アルトアイゼンとよく絡むようになって、すごく喋るようになったと思いながら。



≪・・・否定するかと思いましたが≫

「だって、好きだもの。もちろん、フェイトさんやリインさんみたいな意味合いじゃないわよ」





うん、好きよ? この1年、アイツと一緒に居る中で気づいた気持ちの一つ。私は、あのバカの事が好き。

ただ、あくまでも友達・・・背中を預けあえるパートナーとして・・・だけど。恋愛感情って言うのとはちょっと違う。

なんて言うんだろ、シャーリーさんや八神部隊長・・・あ、また部隊長って呼んじゃった。もう違うのに。



とにかく、あの二人と同じ感じ。男女の関係にはならないけど、大事な存在。それが私にとってのアイツ。アイツも同じ感じだと・・・ちょっと嬉しい。





「いきなり愛の告白たぁ・・・!!」



声は上から。私は躊躇い無くマシンガンの銃口を上に向ける。そして、乱射。サリエルさんはそれに構わず、私に金剛を叩き込む。ジャケットが裂かれても全く気にせずに。

・・・くそ、ダメージ覚悟で突っ込む方向で来たわけですか。確かにマシンガンなら、1発1発はたいしたダメージにはならないし、急所に当たるのさえ気をつければ問題は無いだろうけど。



「随分大胆になったなっ!!」










とにかく、私は後ろに大きく飛ぶ。金剛の十字の刃が、私が足場にしていた屋根に砕かれる。だけど、サリエルさんはそのまま刃を返して・・・飛び込む。その切っ先を私に向けながら。





私は空を飛べない。だって、飛行訓練はこれからの予定だから。だけど、サリエルさんは空を飛べる。だから・・・私は右手を動かしクロスミラージュの銃口を向けて、発射した。




















◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



・・・ヒロ、そっちはどうだ?










”・・・すっごい楽しいっ!!”





いや、そう言うことじゃなくて・・・あぁもうだめだ。完全にテンション上がりまくってるし。これじゃあこっちは連携は無理だな。結構近くでサーペント振り回してビルやら家屋やら斬ってる図が見える。この距離なら・・・連携は可能だ。俺らはこれだけど、向こうさんは可能だ。

ま、いいか。俺らの基本方針は変わらずなんだし。しかし・・・ティアナちゃんはまた動きがよくなってるなぁ。近づけば簡単に潰せると思ってたんだが、甘過ぎにも程がある。まさか数発もらうとは思ってなかったぞ。

それだけじゃない。弾丸の制度とコントロールが・・・徐々に上がってる。いや、盗まれてるんだ。俺の弾丸を。



なんつうか・・・楽しいねぇ。若い芽が徐々に育っていくのは、やっぱり楽しい。自分の事のように嬉しくもなる。

でも、これで終わりだ。悪いが・・・貰った。



俺は飛び込み、金剛の切っ先をティアナちゃんに突き立てる。もちろん、魔力ダメージでノックアウトである。・・・当然だろうが。俺は女の身体に傷なんざ、基本的にはつけたくないんだよ。

とにかく、タイミング的にはバッチリ。的確に白い魔力に覆われた切っ先はティアナちゃんを捉え・・・捉え・・・なかった。

ティアナちゃんの姿が消えたからだ。俺の攻撃は空振りに終わった。



つ、つーか・・・なんだこれっ!? いきなり姿が消えたぞっ!!

高速移動・・・いや、違う。あれは物理的にだ。でも、どうやって・・・。

俺はそこまで考えて気づいた。パッと左を見る。すると・・・ティアナちゃんが居た。右手のクロスミラージュからオレンジ色の縄が発生し、それがあるものを捉え・・・ティアナちゃんはそれに引っ張られるように空を移動している。





「・・・なっ!?」

≪アンカーですか≫




















◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



「・・・なっ!?」

≪アンカーですか≫





そう、私が発射したのはアンカー。オレンジ色のアンカーが捕らえたのは、丁度私の右横にあった電柱。そして、私の身体はアンカーに引っ張られ・・・って、横Gがきつい。いや、やられるよりマシなんだけど。

とにかく、それでサリエルさんの攻撃を回避。そのままマシンガンを背中のホルスターに納めて、クロスミラージュを取り出す。狙いを定めて・・・シュート。

タイミング的にはバッチリの攻撃。だけど、サリエルさんは左手をかざし、魔力弾を発射した。数は・・・二つ。一つは私の弾丸を撃ち抜き、もう一つは私へとまっしぐら。



私は落ち着いて・・・その弾丸に向かってもう1発発射。それでなんとかそれを打ち落とす。・・・アンカーの動きが止まる。私の身体は、どこかの忍者みたいに電柱に張り付く形になった。

そして、私はアンカーを解除。重力に逆らうことなく地面へと降り立つ。だって・・・すぐにサリエルさんが魔力弾を撃ってきたから。電柱の先が数発の魔力弾で吹き飛び・・・あはは、結界張ってなかったらアウトだよね。完全に破壊活動だもの。

とにかく・・・私は右のクロスミラージュを右側・・・歩道の先に向けて、発射。・・・これでよしっと。



多分この1発で限度。ま、これで十分よね。そして、すぐに右に動く。サリエルさんが上から屋根の上を伝いながら金剛の切っ先を向けて、魔力弾を乱射してくるから。全力で歩道を走りながら、私はクロスミラージュを向ける。

そして、そのままサリエルさんを狙いながら魔力弾を連射。オレンジと白の閃光が交差し、相手を狙い打つ。だけど・・・それらは通り過ぎるだけ。私の弾丸は空へと飛ぶ。サリエルさんの弾丸は、どんどん壁に穴を開けていく。





「・・・そこっ!!」




サリエルさんが止まる。そして、一気に私の元へと飛び込んできた。構わず私は乱射するけど・・・姿が消えた。

上に殺気。そちらを見ると、サリエルさんが槍を打ち込む直前だった。



私は・・・避けない。避けずに、魔力弾を作る。タイミング的に向こうが速い。間に合うはずがない。





「もらったっ!!」





だけど、そんなサリエルさんの言葉には意味がなかった。だって・・・横から空気を切り裂きながらあるものが飛んできたんだから。



サリエルさんはそれをプロテクションを張ってガード。だけど、青い光を纏ったそれは、遠慮なく斬り裂く。サリエルさんはしかたなく、それを金剛の柄でガードする。

それは回転しながら・・・金剛と火花を散らしながらせめぎ合い、目の前の敵を斬ろうと迫っていた。

そう、それは・・・青い鉄輝。青い宝玉が目を引く一振りの刃。



その名は、古き鉄。





「・・・アルトアイゼンっ!?」

≪どうも、私です≫










そう、それはアルトアイゼン。普通なら弾き返せるんだろうけど、私が見る限りいくつか一鉄状態に刃が合体してる。あの重さ・・・簡単には弾けない。





そうこうしている間に、私の魔力弾は生成完了。そのまま、引き金を引いた。





速度重視の弾丸はそのまま・・・サリエルさんの頭を顎から打ち上げるような軌道を描き、ぶっ飛ばした。もちろん、非殺傷設定でノックダウン狙いで。




















◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



ヒロさんと刃をせめぎ合い、斬り合い・・・少しずつティアナとサリエルさんの交戦地点との距離を縮めていく。距離を取り、襲い来る蛇腹剣の切っ先を飛びつつ、払いつつ、近づき・・・その時を狙う。





・・・互いにやっぱり余裕はない。多分、連携出来るのは一回限り。それ以上はきっとヒロさん達が許すはずがない。でも、それでいい。長々とやるつもりはない。





もうすぐ曲も終わるしね。





なんて考えながら、僕は横薙ぎに襲ってきた蛇腹剣をしゃがんで避けて、アクセルを羽ばたかせる。

ビルの一部を真っ二つにするけど、そこは気にしない。青い羽を先ほどまでと同じように撒き散らしながら、僕はヒロさんへと肉薄。・・・いや、ヒロさんも突っ込んできた。

そのまま、刃をぶつけ、交差する。振り返りつつ、二鉄をアルトに装着。片刃の大剣へと姿を変える。もう一度、それを両手に持ってヒロさんへと右から横薙ぎに振るう。





ヒロさんはそれを上に跳んで避けた。だから、僕は一気に上昇。ヒロさんの眼前へと迫る。左手から四鉄を逆手に持って抜いて、そのまま打ち込む。

ヒロさんはそれを右のアメイジアで防ぐ。続けて僕が打ち込んで来たアルトを左で防ぐ。そのまま・・・鍔迫り合い・・・にはならない。

右足を上げて、蹴りを叩き込むから。ただし、それはヒロさんも一緒。空中で互いのケンカキックがぶつかる。そして・・・僕が吹き飛ばされる。・・・くそ、バカ力が。いくらなんでも強過ぎだぞ。





ヒロさんは当然どうするか。追撃かけるに決まってる。だから僕は、アクセルを羽ばたかせ、空中で姿勢を整えてから四鉄をアルトの後ろの部分に装着した上で、アルトに魔力を込めて・・・ぶん投げる。

アルトはそのまま回転する青い刃となり、ヒロさんに迫る。ヒロさんはそれを少し上に飛んで、避ける。・・・狙い通り。

あのまま、アルトは自分のコントロールでティアナのとこまで行くでしょ。一瞬・・・一瞬でも隙を作れれば、ティアナなら絶対に勝てる。





それからすぐに、正面から突っ込んできた。今の僕の武装は手薄。・・・そして、そこを狙って、下からすくい上げるようにオレンジ色の閃光が空へと突き抜けた。

咄嗟にそれに気づいたヒロさんが、アメイジアで防御する。いや、斬ろうとする。だけど、弾丸は刃に触れた瞬間に爆発を起こした。ヒロさんがそれに飲み込まれる。

そして、すぐに上に逃げた。きっと僕が追撃をかけてくると思ったんでしょ。でも・・・甘い。




僕は魔法を発動。それは・・・ソニックムーブ。アルトが無くても、これくらいは出来るように訓練してるから問題はない。

そうして上に回りこむ。ヒロさんはそれに気づく。そのまま身を翻して両手のアメイジアで左から魔力を纏わせ、打ち込んで来る。刃を包み、刀身に走るのは白い雷撃。

僕はホルダーから三鉄を右手で引き抜く。左手には六鉄。片刃の直刀が右手、幅広の短剣が左手に備わった。そして、青い魔力を纏わせる。もちろん、両方に。










「・・・鉄輝」

「ブラスト」





そのまま、ヒロさんと同じように左から打ち込む。





「双閃っ!!」

「スラッシュっ!!」










ヒロさんの身体を、青い二条の閃光が斬り裂く。





だけど・・・僕の身体も、斬られた。ヒロさんの電撃を込めた一撃は、ジャケットを抜き・・・僕にしっかりとダメージを与えた。




あはは・・・攻撃ごと斬ったと思ったんだけど、そう上手くはいかないか。





そして、意識をそこで奪われた。




















◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



「・・・レイジングハートッ!!」

「アイゼンっ!!」





様子を見ていた私達は、慌てて魔法を発動。そのまま落下していくヒロリスさんと恭文君の真下に、ピンク色のネットと赤色のネットを張る。それに二人は落ちて・・・身体が弾み、ネットが揺れる。

ネットの四つ角には、私の桜色の魔力の色をしたミッド式の魔法陣と、ヴィータちゃんの赤色のベルカ式の魔法陣。そして、二人は・・・動かない。

どうやら、さっきの一撃で相打ちになったらしい。まぁ、相当派手に斬り合ってたし、恭文君もヒロリスさんも、この前段階で魔力攻撃何回か食らってたし。



さて、そうすると・・・今回の勝負は・・・ヴィータちゃん。





「引き分けだな」

「そうだね」




そうして、私達はもう一つのモニターを見る。・・・今の攻撃と全く同時のタイミングで決着が着いた二人を。そう、ティアとサリエルさんだ。

サリエルさんはあの魔力弾で顎を打ち抜かれて、そのままダウン。ただし・・・それはティアも同じ。



な、なんというか・・・恐ろしいなぁ。さすがはカタストロフ・ドッグの異名を持つ方というかなんというか。





「サリエルの兄貴、1発誘導弾作ってて・・・」

「それをティアナさまの後ろに回りこませて・・・」

「あのタイミングで後頭部を狙ってズドン・・・ですからね」





アギトと咲耶とリインが続けてそう口にする。表情は驚きと呆れが混じっている。多分・・・私とヴィータちゃんも同じだね。

・・・そう、あの顎への一撃が決まった直後・・・いや、ほぼ同時にティアの後頭部にサリエルさんの魔力弾が直撃した。

走り込みながらの魔力弾の打ち合いの中で、1発誘導弾を紛れ込ませていたらしい。それを、リインの言うようにスピードを上げた上で後頭部にズドン・・・である。




いや、サリエルさんに回避行動を取らせずに顎を撃ち抜いたティアもすごいんだけど





「・・・てかよ、こりゃボヤボヤしてると、アタシ達もあぶねぇぞ? 相打ちでもあのヒロリスさんとサリエルさん相手に引き分けに持ち込むんだしよ」

「そ、そうだね・・・」





なんだか、2年前に初めて会った時とは比べ物にならないくらいに強くなってて、嬉しくなってきた。六課を卒業してからもちゃんと精進してた証拠も見せてもらったしね。

ティアとは、その・・・色々あって、私もすごく反省して・・・その分可愛いというか、成長が嬉しいというか、まぁ・・・そんな感じです。はい。

まぁ、あと恭文君は・・・それとはちょっと違う。なんというか、胸の奥が熱くなって来る。



やっぱり、私達はこういう関係が合ってるんだと、心の中で苦笑する。普通の友達・・・じゃなくて、恋人とかでもなくて、全力でぶつかり合えるライバル。それが、私にとっての恭文君。

そのライバルがまた強くなってて、胸の中が言いようの無い熱さで満たされる。そして思う。今全力で戦ったら・・・どうなるんだろうと。

試験の時から、最後の模擬戦の時から、随分経っている。その時間の経過分の積み重ねが、なんとも言えない期待を抱かせてくれる。



・・・そうだ、こっちへの滞在をちょっと伸ばして、それで一回やろうかな。そうすれば





「・・・模擬戦はダメだからな」

「にゃにゃっ!?」



ヴィータちゃんが睨み気味で言って来た。え、えっと・・・どうして?



「また試験の時みたいにブラスター使われちゃたまらねぇからだよ。あと、もう週明けには帰るんだぞ? 週末はティアナの訓練集中的にやって・・・それで手一杯だろうが。やってる余裕ねぇよ」

「ど、どうしてもダメかな? ほら、ヴィータちゃんだって恭文君とやりたいだろうし」

「アタシはちゃんと、それように一ヵ月後に休み取ってるからいいんだよ」



な、なんでヴィータちゃんだけっ!? おかしいよねそれっ! というか、私と同じ教導隊勤めになったのに、どうしてそんなお休み取れるのかなっ!!



「・・・いや、なのはさん。アタシが思うに姉御はちゃんとオンオフ切り替えてワーカーホリックじゃないからだろ? なのはさんみたいに、休みも返上で働いたりしてないだろ」

「そういうこった。つーか、ちゃんと休みくらい取れ。ヴィヴィオもバカ弟子やフェイトがこっちで寂しいだろうし、そんなんだから今回の休みだってみんなからめちゃくちゃ驚かれたんだよ」

「アギトもヴィータちゃんもひどいよー! 私ちゃんと休み取ってるよっ!?」

「「いや、取ってないから」」




















◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



・・・こうして、模擬戦は終了した。終了した・・・んだけど。





ちくしょお・・・あとちょっとだったのに、勝てなかった。悔しい。










「私もよ。・・・あぁ、マジで悔しい。あそこで避けられれば、自動的に勝ちになってただろうに」

「それ言ったら俺らだって悔しいよ。あぁ、まさかあそこであんな無茶苦茶な手に出てくるとは。ヒロ、お前がテンション上がり過ぎてたからこうなったんだぞ」

「なにさっ! 私のせいじゃないよっ!! やっさんがサウンドベルト使って私のテンションをおかしくしたのが原因でしょっ!?」

「僕のせいにしないでくださいよっ!!」



現在、あれからすぐに目を覚ました僕達は、どうにも反省会モードでマンションに戻って、みんなからお疲れ様と言われてリビングでくつろいでいる。

いや、くつろいでないかも。やっぱり反省会モードだし。



「・・・恭文」

「ん? どったの空海。そんなすごい感心したような目をして」

「いや、お前・・・すごいよな。いや、お前だけじゃなくてティアナさんやヒロリスさん、サリエルさんもなんだけどよ。
俺・・・見ててめちゃくちゃ熱くなった。いや、ありがとな。見させてもらってすごいよかったわ」



そう言って、両手を掴んで僕をまじまじと・・・って、あの・・・空海? どうしたの、そんなにエンジンかかってる感じでさ。キャラ違わない?



「それは相馬君だけじゃなくて、僕や日奈森さん達もだよ。・・・みなさん、本当にありがとうございました。あの、なんというかすごく勉強になりました。
魔法の事も八神さん達に色々解説してもらったおかげで、だいぶ理解出来ましたし」

「あぁ、そんなみんなして頭下げなくていいっていいって。私の華麗な活躍は見せてあげられなかったしさぁ。・・・やっさんのせいで」

「だから、僕のせいにしないでっ!!」



こ、この人は・・・あぁ、しばらくこれ言われ続けるのかな? よし、覚悟しておこう。



「でも、恭文・・・身体大丈夫なの? 何回も斬られたりしたし、ティアナさんとサリエルさんだって弾丸食らったり・・・」

「そうだよ。顎とか後頭部とかにどがーんって」



ややとあむが心配そうな顔で言って来た。それに僕達は顔を見合わせて・・・ニッコリと笑ってから、うなづいて見せた。



「二人とも心配してくれてありがとな。でも、問題無い。俺もヒロもそこまでヤワな身体はしてないし、やっさんとティアナちゃんも同じくだ。攻撃するにしても、ちゃんと加減は考えてるしな」

「・・・なら、いいんですけど」

「・・・はい、ヤスフミ。お茶」



そう言って、フェイトがお盆に冷たく冷えた麦茶を盛ってきてくれた。お盆に乗ったそれを、僕は受け取る。あと、ティアナにヒロさん達に、あむ達も同じ。

みんなお礼を言いつつ受け取り・・・一口飲む。・・・あぁ、なんか一気に気が抜けた〜。



「夕飯・・・というか、お夜食になっちゃうけど、もうすぐ出来るから」

「はい。・・・あの、本当にあたし達手伝わなくていいんですか?」

「おいおい、日奈森。お前とややは料理出来ないだろうが。居てもむしろ邪魔だ」

「い、言うなー!! ・・・だってさ、リンディさんにはやてさん、あとなでしこも手伝ってるんだよ? さすがにこれで何もしないってのは・・・ねぇ?」



僕の方をちらちら見ながら聞かないで。・・・まぁ、あむの言う事は分かる。だって、働かざるもの食うべからずって言うし。なお、リインとアギトに咲耶になのはも手伝っている。つーか・・・宴会の準備が整えられていっている。

しかし、あむとややは料理だめなのか。そこでティアナに抱きつき始めた豆芝と同じだね。



「あー、恭文ひどいー。私だって料理出来ますー」

≪スバルさん、嘘っていけないんですよ?≫

「アルトアイゼンもひどいよー! 一人暮らしするようになってから、ちょこちょこ練習してるんだよー!?」



膨れるスバルを見て、表情を僕達全員が崩す。・・・この豆芝のこういう距離感の近い感じは相変わらずか。まぁ、よかったよかった。



「とにかく、料理の方は大丈夫だよ。なでしこさんもすごく手伝ってくれるし、恭文やティアにサリエルさんは模擬戦直後だから、疲れてるでしょ?」

「・・・ね、フェイトちゃん。私も居るんだけど」



ヒロさんが不満そうな顔でフェイトにそう言う。すると、フェイトが慌てたようにフォローを入れる。



「あ、あの・・・ごめんなさい。決してヒロさんの事を忘れてたわけではなくてですね、あの・・・なんというか、その」

「ふーん、いいよいいよ。私はそういうキャラだからいいよーだ」



だけど、ヒロさんはそっぽを向いて膨れるばかり。それを見て、フェイトは更に慌てる。というか・・・あなたは子どもですか?



≪姉御は料理さっぱりじゃねぇかよ。ブロンドガールはそれを知ってるから、あえて数に入れてねぇんだ≫

「なんだよそれっ! 私だってカップラーメンくらい作れるよっ!?」



誰か、この人に教えて欲しい。カップラーメンは多分に料理とは言わない可能性があると。お湯を注ぐだけなわけだし。

そんなヒロさんはともかく・・・リビングの方までいい匂いが漂ってきた。あぁ、なんかお腹が空いて来た。やっぱり派手に動いたからなぁ。



「でも、フェイトさん。僕達もご馳走になっていいんですか?」

「もちろんだよ。というより・・・なって欲しいな。母さんやはやてが、自分の息子や家族とよくしてくれてるお返しがしたいって言って聞かないんだ。ここで遠慮されると、むしろ私やヤスフミが困っちゃうよ」

「なるほど・・・。では、遠慮なくいただきます」

「うん」



でも、宴会かぁ・・・。まさか酒は無いよね。だって、小学生が居るんだから。



「・・・お酒は無いけど、カラオケはあるよ」

『・・・え?』

「はやてが携帯用のカラオケセット持ち込んでるの。音対策は、結界張れば大丈夫だからって言って聞かなくて・・・みんな、ごめん。付き合わせちゃうことになるんだけど」



フェイトが手を合わせて頭を下げる。それは、僕だけじゃなくてヒロさんやあむ達も対象。



「か、カラオケって・・・またいきなりそんな」

「サリ、どうしよう。この状況だと一曲は歌わないといけないよね。あぁ、私の美声で皆が酔ったら私どうすりゃいいのさ」

「・・・そうか。あぁ、そうだな。どうしようか、本当にさ」

≪すまねぇ、サリ。姉御は自覚ねぇんだ≫










・・・こうして、数分後。食事会も兼ねたカラオケ大会が行われ、盛況となった。当然、騒音対策のために部屋に結界を張って、音漏れしないように。





あむや唯世達も恥ずかしがりながらも歌い・・・ヒロさんが歌うと・・・皆、暖かく見守った。










「え、えっと・・・恭文。ヒロリスさんって・・・あの、なんて言うか」

「あむちゃん、頼む。言わないでやってくれて。さすがに俺も気の毒過ぎて何も言えないんだ」

「僕も右に同じくなの。あむ、お願い」

「・・・わかりました」










気持ちよさそうな本人を見るに、どうやら自覚は本当に無いらしい。ごめん、これ以上のコメントを求めないで?





それで・・・あの、えっと・・・。










『『手と手の温もりがー♪ 僕をー強くするー♪ 積み重ねた想いー♪ 空をー駆け抜けてー♪』』

「・・・ちょっとちょっと、奥さん聞きました? まぁ、最近の若い子は大胆やなぁ〜」

「そうだねぇ。というかさ、なんかラブラブ過ぎて直視できないよね。なんだろ、アレ。若さゆえの過ちかな?」





歌いながら・・・というか、人が歌ってる姿を見ながら、そんなアホな事を言ってくる狸と姉弟子をぶん殴ってやりたくなる。



というかみんながニヤニヤしてる。だけど・・・歌うことは止められない。





『『きっとー終わりは始まりの歌ー♪ 羽ばたいたー鳥の歌ー♪』』

「わぁ・・・フェイトさんも恭文もラブラブだぁっ! というか、手を繋げー!! 繋いでしまえー!!」

「いいぞー! もっとやれー!!」

「ゆ、結木さんに相馬君も落ち着いて。二人の邪魔になっちゃうから」

「いや、むしろチューやなっ! チューしてまえー!! なんで自分ら、チューしながら歌わないんやー!!」





出来るかぁぁぁぁぁぁぁぁっ! 出来るわけが無いだろうがぁぁぁぁぁぁぁぁっ!! 論理的にも物理的にも僕達の心情的にも無理なんだよっ!!





「八神さんもどうしてそこ乗っちゃうんですかっ!? そして、それはダメだと思うんですけどっ!!」

「あぁ、私は別に問題ないわよ? 娘夫婦が仲良くしてくれるなら、それに越した事は」

「リンディさんも乗らないでくださいっ! あぁ・・・恭文君もフェイトちゃんも赤くならなくていいからねっ!? そんなことしなくていいからっ!!」










僕とフェイトでデュエットして・・・って、ここはいいか。





とにかく、なんで冷やかされながら歌わなきゃいけないんだよっ! めちゃくちゃ恥ずかしかったしっ!!





なお、単独でも歌った。他の人とも歌った。当然歌った。だけど・・・おかしい。僕だけがおかしい。










「・・・やっさん、次はワイルドアームズ2のディスク2のOPね」

「いや、僕はけいおんのED歌おうと」

「うっさい、私の分かる曲歌え。つーか、私はTo LOVEる以外の萌えアニメは見ない主義なんだよ」

「なにその横暴っ!?」





と、ヒロさんに曲を入れられて。





「なぎ君、久々にデュエット行くよ。種の2番目のOP」

「え、あの・・・僕はHOWLING歌おうかと」

「却下」

「だからなんだよっ! その横暴はっ!!」





シャーリーとデュエットして、浮気だ浮気だとみんなに罵られたり。





「ねね、恭文。この曲分かる? 歌唄ちゃんの曲なんだけど」

「・・・あ、分かる分かる。この間CD買って聴いてるから」

「なら歌ってー! ややの見立てでは、恭文なら合うと思うんだよねー!!」





ややに曲を入れられて。





「恭文君、やっぱり男の子は演歌だと思うの。拳を利かせつつ歌うのが魅力だと思うわ」

「とか言いつつなに人からリモコン奪って、番号ボタンに指をかけてるっ!? おかしいでしょうがっ! そろそろ僕にHOWLINGとかDon't say “lazy”を歌わせろー!!」

「あ、この曲なら分かるから、アタシも歌っていいかー? これでも演歌は得意だ」

「えぇ、是非アギトさんも歌ってください。楽しみにしてますね」

「お願いだから僕を無視しないでー!!」





なでしこに曲を入れられて、アギトと演歌デュエットしたり。なお、浮気だ浮気だ・・・と、また罵られた。





「バカ弟子、キバのOPを歌え。師匠命令だ」

「いや、だから僕に歌う曲を選ばせ・・・はい、歌います。歌わせてください。お願いします」





師匠に曲を入れられて。





「やっぱりな、ここは愛の告白やろ。ぶっちぎりで君が好きだと叫んでしまうべきやろ」

「ごめん、それなら『絶対に誰も・・・』とか歌いたい」

「却下や、うちが面白くない。で、フェイトちゃんは『あなただけ見つめてる』な」

「はやてっ!? というか・・・あの、その曲分からないよっ! 分からないから歌えないよっ!!」





はやてに曲を入れられて・・・またフェイトと二人赤面したり。なお、フェイトが歌ってる時にみんなから『最低』とか『鬼畜』とか罵られた。

・・・僕がね。なお、理由は歌を聴いてください。そうすれば分かると思います。





≪というわけで、次は私達とですよ≫

「一緒にダブルアクション、歌うですよー♪」

「いや、あの・・・そろそろ僕も自分で曲を・・・あぁ、はい。歌おうね。歌おうか。うん、楽しく歌おうね」










・・・結局、僕が自分の意思で曲を入れるタイミングはずっとこなかった。おかしい、こいつら・・・揃いも揃って僕の人権をさりげなく否定してやがる。





とにかく、それでも楽しく宴の時間は過ぎ・・・お開きとなった。部屋だけは少し多めなので、全員バラけて寝る。





僕の部屋には・・・唯世とサリさん。あと、空海。・・・いや、男連中が一挙に集まっただけなんだけどさ。










「・・・楽しかったね」

「だな。つーかよ、こんなに夜更かししたの久しぶりだよな」

「そうだね。まぁ、明日は学校が休みだからいいんだけど。・・・でも、蒼凪君」



床に敷いた布団に転がりながら、唯世がこちらを向く。・・・なに?



「みんないい人達だね。あ、もちろんエグザさんも」

「・・・いや、分かってるからそんな付け加えなくていいぞ? まぁ、それは同意見だな。なんだかんだでお前は人に恵まれてるよ」

「僕も、そう思います」



ここは感謝しないといけないね。もう・・・10年近く経って、それぞれ立場も固まってきてる。そして、みんな忙しい。

でも、こうして集まったり出来る。すごく素敵な事だと思う。



「なんか、こう・・・少し考えたんだ」

「なに?」

「僕達も・・・こうして繋がれたらいいなって。蒼凪君やフェイトさん、高町さん達みたいに、10年経っても変わらなくて・・・変えられなくて」



どこか憧れているような感情を瞳に宿しつつ、唯世がそう口にする。それになんというか・・・僕も、空海も、サリさんも何も言えなかった。

なんだか、ただ憧れているのとはまた違う感じがしたから。どこか寂しげで・・・一度壊れてしまった何かを見ているような感じがした。



「・・・唯世、お前は何を言っている」



だけど、発言する人間が居た。それは・・・キセキだ。

唯世が傍らから置いていたたまごから抜け出し、宙に浮いて唯世を見る。僕達も見る。



「キセキ?」

「ずっと繋がれたらいい? そんなこと、出来るわけがないだろう。・・・お前自信が手を伸ばして、繋がりたいと思わなければ、誰も付いてなど来ないぞ。
繋がっていられるのではない。互いに繋がろうとするんだ。だから、絆と言うものは長い時間を経ても変わらず・・・いや、よき方向に進化するんだ。だから、まずは庶民達にお前の意思を見せろ。全てはそこからだ」



そんな、たしなめるようにも聞こえた言葉に、唯世は・・・優しくキセキに微笑んだ。



「・・・そうだね、ありがと。キセキ」

「・・・ふん」

「まぁ、アレだよ。唯世君」



サリさんがコホンと咳払いをしてから、そのまま唯世に対して言葉を続ける。



「はい」

「空海君もだけど、もしよければ、その中にやっさんも入れてやってくれ」



にゃにゃっ!? なんですか、いきなりっ!!



「コイツは思考・行動・言動・・・どれを取っても無茶苦茶な上に何考えてるか分からないところがあるし、その上バカだ」

「バ・・・バカっすか」

「あぁ、バカだ。結局突っ込むことしか出来ない時代遅れもいいところのバカだ」



ちょっとっ!?



「だが、そこがいいところでもある。俺やヒロ・・・いや、フェイトちゃん達も、そこが気に入っているから今キセキが言ったように、繋がっていきたいと思っている。
・・・まぁ、兄弟子から見てからの発言だから、二人が聞くと若干贔屓目かも知れないけどな」

「・・・いえ、そんなことありません。僕も・・・そこが蒼凪君のいい所だと思いますから」

「俺もっすよ。いや、俺はコイツみたいな面白い奴とつるめて、小学校卒業するのが惜しくなって来ましたから。もうちょい早く会えたらとも思ってるんっすよ」



・・・唯世、空海。な、なんというか・・・あの、ありがとうしか言えないよ。僕、色々やらかしてるのに、こう言ってもらえるんだから、ありがたい。



「でもよ、空海。中等部の校舎は敷地内の上に今までの校舎の裏手だから、来ようと思えば来れたりするんだよな。てゆうか、俺だけでも行ったりも出来るし」

「あはは・・・ダイチ、お前の言う通りだな。ま、ちょくちょく来るから、二人ともよろしくな」



・・・そう考えると卒業してもしんみりモードになりにくいなぁ。なんですか、この上級生は。



「・・・エグザさん、そういうわけなので・・・大丈夫です。蒼凪君も、あとリインさんやランスターさんも、もう僕達ガーディアンの一員ですから」

「・・・そっか、ありがとな」

「唯世・・・あの、空海もありがと」

「ううん。・・・あ、そうだ。蒼凪君、相馬君。ちょっとだけ話があるんだ」



そう言うと、空海の瞳が変わった。多分・・・ガーディアンのKとしての瞳になってる。



「実は・・・藤咲さんの事なんだ」

「藤咲の?」

「うん。・・・実はね、藤咲さん・・・もうすぐ居なくなっちゃうんだ」



・・・え?



「僕も今日、本人からここに来る前に話を聞いて知ったんだけど、終業式前に藤咲さん、留学しちゃうんだって」

「留学・・・?」

「うん。藤咲さんの家って、踊り・・・日本舞踊の家元なんだ」



・・・あ、なんか分かった。ここでなでしこの家の話が出てくるということは・・・もしかして留学目的って、踊りの修行?



「うん」

「・・・そうか。まぁ、そういうことなら仕方ねぇよな」

「それでね、これは藤咲さん本人から頼まれてるんだけど・・・出発までそれほど無いんだけど、それまで日奈森さんには黙ってて欲しいんだって。
あと、見送りや歓迎会みたいなものも大丈夫だからって」



その言葉に、僕と空海は表情を苦くする。だって、黙ってる理由が分からないから。あと、見送りもって・・・。



「・・・いや、俺は分かるぞ」

「サリエルさん?」

「多分、お別れモードになって、もう会えない・・・みたいな感じになるのが嫌なんだろうな」

≪それはありえますね。あなた方も別れが辛いのであれば、藤咲女史も辛いのは当然ですから。特に・・・藤咲女史は日奈森女史と仲が良いように見えます≫



金剛の言うことは合っている。なんでも、去年の春に同じクラスになってから、あむとなでしこは意気投合して親友同士になったそうだ。・・・あ、そっか。



≪はい、だから・・・というわけです≫

「藤咲の奴、意外とそういうのは苦手そうだしな。仕方ねぇっつったら、仕方ねぇんだろうな」



うん、なんか僕にも分かってきた。僕もそういう湿っぽいのは、やっぱり苦手だしね。だから・・・僕達も最後の最後で模擬戦したわけだし。

・・・終わった後に、吹き飛びへし折れ散りまくった桜の木達に皆揃ってごめんなさいと謝り倒したけど。だから桜の木は消してから模擬戦やろうと言ったのに、あのバカ魔王がこれで行きたいって強行するもんだから。



「・・・まぁ、そういうことならわかった。恭文」

「うん。・・・僕達も黙ってるよ。で、出発っていつなの?」

「それが・・・来週の火曜日」



・・・はいっ!? え、来週の火曜日って・・・ありえないでしょうがそれっ!!



「待て待てっ! もう今日が金曜・・・てか、土曜日だから・・・1週間どころか5日切ってるじゃねぇかっ!!」



つーか、またなんでそんな急に? 留学って事を考えると、やっぱり前もって決まってそうなのに。



「僕も二人と同じ事を言ったよ。でも・・・色々言い出しにくかったんだって。1年後には帰ってくる予定だけど、それでも・・・寂しいからって。
出る直前まで普通にして、またすぐに帰ってくるような感じで・・・出たかったんだって」

「そっか・・・。まぁ、まだ3日あるし・・・いつも通り行こうか。あむに悟られないようにね」

「・・・だな。まったく、藤咲には後でアイスでも奢ってもらわないと割りが合わねぇぞ」

「あはは・・・。そうだね」










・・・春、いろんなことが変化する季節。





どうやら・・・現在、小学生を演じている僕にも、その変化の波は襲ってくるらしい。天井を見つめながら・・・そう思った。




















(第12話へ続く)




















あとがき



古鉄≪・・・さて、模擬戦もなんとか終わり・・・あぁ、石を投げないでくださいよ。なんか引き分けってオチが面白いかなとか思ったんですから、仕方ないじゃないですか。
とにかく、そんな今回のあとがき・・・本日のお相手は古き鉄・アルトアイゼンと≫

なでしこ「あとがきでは初めまして。藤咲なでしこです。・・・でも、アルトアイゼン」





(Q、不思議そうな顔で目の前のウサギを見る。とりあえず・・・照れたように耳をクシクシ)





なでしこ「耳はクシクシしなくていいわよ。というか前半のあのメタ発言連発なのはなに? アレ・・・すっごく怒られると思うんだけど」

古鉄≪いや、しゅごキャラのみなさんだけで展開する話って、アニメとかで多いじゃないですか≫

なでしこ「あぁ、そう言えばあるわね。・・・あ、もしかしてそれにあやかって?」

古鉄≪そんなところです。余裕があればやってみたいんですよね。あと、基本的に今回は見えない人間も多数居る状態だったので、空気だったでしょ? その埋め合わせもあります。みなさんいいキャラしてますから≫





(その言葉に、Qは一応納得。確かにみんな、いいキャラしてるから)





古鉄≪出来れば前半みたいなことはまたやりたいんですよね。まぁ、ここまでのメタ発言は今回限りでしょうけど。いくらなんでも危なすぎます≫

なでしこ「そう、ならいいのだけど。さて、今回のお話は・・・」





(Q、手馴れた様子で台本チェック。というか、マジで慣れている)





なでしこ「模擬戦の決着。そして・・・私の留学の話ね。原作でも出たところではあるけど」

古鉄≪つまり、あむさん達が6年に進級する際、なでしこさんのクイーンズチェアと空海さんのジャックスチェアが空席になるわけです≫

なでしこ「ただ、そこに恭文君とリインちゃんが・・・というわけじゃないのよね。そんなことをしたら、6年生になってから出る新キャラが出れないもの」

古鉄≪正解です。まぁ、どんな人が出るかは新学期を楽しみに・・・ということで。さて、次回はこの続きです。果たして何が起こるか・・・楽しみですね≫

なでしこ「そうね。というわけで、今回はここまで。お相手は藤咲なでしこと」

古鉄≪古き鉄・アルトアイゼンでした。それでは・・・また次回に≫










(なんだかしっとりと締めた。きっと・・・Qのせいだろう。青いウサギ、ちょっとテレ気味にまた耳をクシクシ。
本日のED:フェイト・T・ハラオウン(水樹奈々)『Endless Chain』)




















あむ「・・・うーん」

ラン「あむちゃん、どうしたの?」

あむ「いやさ、こう・・・恭文にもっと信じてもらうのって、どうすればいいのかなって。今日の模擬戦見てさ、こう・・・ぶっちぎりで違うなって思って」

ラン「あむちゃんは、恭文がすっごく強いから、自分と違うから信じてもらえないって思ってるの? ・・・あのさ、恭文は絶対そんな子じゃないよ。
もしそうなら、あの時あむちゃんと一緒に戦おうとなんて、絶対にしないはずだよ。あむちゃんの言葉がちゃんと届いたから、私達みんなのこと信じてくれたんだよ?」

あむ「それは・・・そうだけど。でも、今のままじゃダメな気がするの。もっとこう・・・あたしも頑張らないといけないんじゃないかって思って」

ラン「あむちゃん・・・」

あむ「・・・うん、頑張らないと・・・ダメなんだよね。きっと」










(おしまい)





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あきゅろす。
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