小説(魔法少女リリカルなのは:二次小説)
第3話 『異邦』
六課隊舎の準備――人払いと防護壁等の設置は完了。
僕達を追いかける理由作りも完璧。
スバルの願いも叶(かな)えたし、後は……仕方ないねぇ。
≪奴らのAMF濃度、七十二パーセントに減少。これなら魔法が通用しますよ≫
「通用するだけでも十分よ!」
奴らの機銃掃射をすり抜けながら、マイクを取り出し警告。
ティアナも一旦身を伏せ、クロスミラージュに持ち替える。
『あーあー……こちらは機動六課! みなさまの平和と正義をお守りする、本局・古代遺物管理部【機動六課】でございますー!』
「選挙アナウンス!?」
『ただいま国家転覆を狙う、アジュウ・ウコン一味と楽しいカーチェイス中!
市民のみなさんには巻き込まれないよう、迅速な退避をお願いいたします!』
『何だと……黙れ、逆賊がぁ!』
おぉおぉ、乗ってきた乗ってきた。火線が激しくなってきて、回避もどんどん難しくなっている。それでも笑みは崩さない。
「ティアナ、牽制(けんせい)・フォロー・囮(おとり)とガード、ついでに主砲もよろしく!」
「全部じゃないのよ、この馬鹿!」
さて……シメといきますか!
≪The song today is ”you're gonna lose Me”≫
そうしてかかる音楽――一気に展開する音響サーチ。
それを元に銃座の動き、弾丸の射線を読み取り、ハンドルを動かす。
加減速もしっかり交えつつ、奴の射撃をすれすれで、しかし的確に回避。
ティアナは喚(わめ)きながらも、助手席から身を乗り出し魔力弾連続射撃。
あれは……多重弾殻射撃<ヴァリアブルシュート>か。膜状バリアが弾丸を守り、AMFの壁を中和。
本命の弾丸は装甲へと届き、穿(うが)つ……相手が液体装甲でさえなければ。
やはり強度の問題から、装甲車は火花を走らせるだけ。まぁこれも挑発目的だし、問題ナッシング。
『下手クソだねー。そんなのじゃあ、セクシー大下さん譲りのドライビングテクニックを』
あえて曲がるべきカーブを見過ごし、降臨を滑らせドリフト。
そのまま奴の脇を抜けて、左の中型道路へ入る。
避難のため放置されている一般車両、それをスラロームですり抜けながら、奴との距離を稼ぐ。
『捉えることなんて一生無理!』
そうして機銃の射程距離を超えたので、ティアナも身を隠し、僕のマイクを奪い取り挑発。
『射撃教習、やり直した方がいいわよ! この素人が!』
『まだまだぁ!』
そして、主砲が発射――。
その砲弾を空間接続で飲み込み、奴にお返しする。
なお空間接続の範囲は思いっきり広げ、砲弾自体のAMFに干渉しないよう設定済み。
結果奴は自らの砲撃をまともに食らい、爆発に包まれる。
これでやられてくれると、問題ないんだけど……そうはいかない。
奴は爆炎を払い、未(いま)だ無傷で現れてくる。
「わーお、自分の主砲を食らっても無事か」
≪ただ砲身は歪(ゆが)みましたよ。まともな奴なら撃てない≫
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
あの車を潰すために、砲弾を放つ……だがそれがいきなり、蒼い歪(ゆが)みに吸い込まれ反射。
車体に直撃し、衝撃で激しく揺れる。だが健在……我の正義は、未(いま)だ健在!
「車長!」
「くそ……砲身にダメージ! もう主砲は使えない!」
「何を言っている! 撃て……撃て撃て撃てぇ!」
「暴発しますぜ!」
「ならばバズーカだ! ハッチを」
「魔法が使えるのをお忘れですか! 乗り込まれます!」
一つずつ、理想が踏みにじられていく。描いていた未来が、遠のいていく。
「ならば……踏みつぶせぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!」
「了解!」
まだだ……同志達がいる! ヴァイゼンなどの主要都市部にも、同じ軍を配置している!
例え我ら死すとも、逆賊を討ち果たし、お国のために立ち上がらん火は……決して消えん! そう、今我らは神風とともに突き進んでいる!
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
鋭く右にカーブし、隊舎までの道のりへと入る。
すると装甲車が外から周り、幅寄せ。レパードを潰そうとしてくる。
しかしカーブの内側を取っているのは、この黄金色に輝く車体。ギアと速度を上げ、その激突をギリギリで回避。
その上改めて距離を取り、ブレーキを活用してスピン。
「きゃあ!」
向こうの機銃掃射と、背後からの突撃をやり過ごしつつ、FN Five-seveNを抜いて射撃。
窓を狙い連続発射された弾丸は、火花を散らしながら枠や格子に次々着弾。
ち、さすがに細い弾丸と言えど、すり抜けは許してくれないか。
もう一度百八十度スピンした上で、機体の進行方向を戻す。
すると奴は急停止し、急速バック。それもスラロームですり抜けると、右サイドミラーが衝突・粉砕する。
抜いて、抜かれ、潰しにかかり、かわし――ギリギリなカーチェイスを繰り返していく。
『こちらアースラ! なぎ君、ティア、聞こえる!?』
≪私が応答しましょう。どうしました、ルキノさん≫
『改めてになるけど……アジュウ・ウコン宅から引き上げたデータで、バトズム一団は全員確保!
違法車両も全て確保しているから、残っているのはソイツだけ!』
その朗報にティアと二人、笑みが零(こぼ)れる。そうしながらも急ブレーキ。
更に左へと寄せて、装甲車の突撃を回避。
即座にギアを一段落とし、加速力を上げた上で十一時方向に走る。
背後の機銃掃射をすれすれで回避。そのまま装甲車の左脇を抜け、再度先を取る。
『あと、ソイツにはいろいろと容疑もかかっているから、できるなら捕縛を!』
≪報酬は上乗せで≫
『了解!』
「しかし……アンタ、まともじゃないでしょ!」
機銃によって、今度は左サイドミラーが粉砕。弾丸もレパードの装甲を掠(かす)めてくる。
「何を楽しんでるのよ!」
「危険と戦いは楽しんでいけって」
それでもあと六百メートル。隊舎内に入れば……!
「教わらなかった?」
「教わってないわよ!」
「そりゃあいけない」
今度は左への緩やかなカーブ。それをドリフト気味に駆け抜け、奴の追い越しを阻む。
さすがに機敏さでは、レパードの方が上だ。あの車体でドリフトはねー。
「なのはは一体何をしているのか」
「アンタよりまともなせいよ! で、どうするのよ! まともじゃないのはアイツらも同じだけど!」
「分かってるくせに……しっかり捕まって!」
「了解!」
術式発動――レパードの相対位置を固定。
一つのオブジェクトとして安定させた上で、加速術式発動。
砲弾としてそのまま突撃し、固く閉ざされた正門を突き破る。
更に奴からスモークディスチャージャーが発射。
いや、一発は……グレネードか! それは僕達の真後ろに着弾し、爆発。
そんな炎上を背後にしながら、機動六課隊舎へと飛び込んだ。
二発、三発と放たれるグレネードも回避しつつ、左へとドリフト。
そのまま重機場へと飛び込む。入り口を突っ切り、少ししてから術式発動――。
ブレイクハウトでカタパルトを形成。その上を走り、大きくジャンプ。
眼前に生まれている『池』を跳び越え、車体は左回りに回転を始める。
そう、カタパルトは横に傾けておいた。そのためバランスが崩れるけど、そこで転送魔法を発動。
その場で水平状態へ戻り、池から遠く離れ……五十メートルほどの位置に着地。
ドリフトしながらレパードを停車させる。では装甲車はどうなるか。
倉庫に飛び込んできた装甲車は、寸前でブレーキを踏む……でもそれじゃあ止まらない。
僕への怒りを抑えず、時速百二十キロで……しかもギリギリで追ってきたんだから。
『ぐ……!』
『避けろぉ!』
そして避けることもできない。長めに作っているので、気づいた瞬間には乗り上げている。
もちろん装甲車の自重で壊れることも、AMFによって消えることもない。
あれは既に形作られた結果――魔法の影響。AMFで消し去れるのは魔法そのものであり、その影響は対象外。
結果カタパルト上で装甲車が横転……そのまま飛び出し、一回転しながら池に突入。
砲塔が、全部機関銃が、上部ハッチが水へと沈み、電子機器へ水が直接触れたことでショート。
防水加工と言っても、水に漬けて無事なほどじゃない。だからこそ、止まる――。
ミッドを恐怖に陥れた装甲車は、こうして完全停止を余儀なくされた。
同時に音楽も停止――いい感じなのでお手上げポーズを取り。
「はい、いっちょ上がりっと」
そのままレパードから降りる。続いてくれたティアナがまた、僕達にあきれ顔を向けてきた。
「無駄な抵抗はやめなさい。アンタ達の仲間も、別世界で待機していた連中も、全員捕縛したわ」
「なん……だと……!」
≪元々本局がマークしていましたしね、当然ですよ≫
「そしてお前達は魔法も使えない……分かるでしょ」
そう、このために準備が必要だった。奴らがはまり込んだ、池の周囲には――。
「AMFが発生しているから」
そう、AMF発生装置を仕込んでいる。まぁ正確には、触媒を利用した儀式術式だけど。
「……覚悟しとけよ、クソガキども……ムショから出たら、復讐(ふくしゅう)してやる……!」
「そうだ! この世界を守る、新しき組織を誕生させるため、我々は負けん! 貴様らにも誅伐を加える!」
「コイツら、まだ……!」
「管理局が作る、虚実に塗れた平和などいらん! 古き鉄とGPOこそ、世界の秩序を任せるにふさわしい!
貴様らは呪(のろ)われて当然の存在だ! 真実を踏みにじり、嘘を続ける悪魔ども……それが貴様らの正体だぁ!」
祈るようなポーズを取りながら、術式発動――。
水に触れて、それを物質変換。ある物へ作り替える。
「なんだ、この匂い……ガソリン!?」
「古き鉄って知ってる? 知ってるよねぇ……名前を出してくれたわけで」
両手をさっと払い、装甲越しに奴らへ笑いかける。
「ソイツらは蒼い宝玉を埋め込んだ、刀型デバイスを使い……年の割に弾(はじ)けて、すこーしばかり小柄だそうだよ」
≪更に車の運転が上手なんですよ、あなた達が見た通りに≫
「……!」
そして奴らは理解する。見えるよね、前方窓ごしに……僕が今、セットアップしたアルトの姿も。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
蒼い宝玉を埋め込んだ刀。年の割に小柄で、過激な戦い方……そして、AMFで”魔法”を使える?
更に奴は黒塗りの拳銃を取り出し、安全装置を解除。それを我々に……いや。
我々を濡(ぬ)らす、ガソリンに向ける――!
「な、なぜだ……!」
「そうそう」
「なぜ古き鉄が、私の思想を否定する! お前は我々と」
「嘘吐(うそつ)きと一緒にするなよ」
「……!」
奴は笑う。窓越しに……我々に笑いかける、その表情は悪鬼そのもの。
「ある人が言っていた。この”街”の平和を欺瞞(ぎまん)とするなら、それを断じる”戦争”もまた欺瞞(ぎまん)――何より」
それで理解する。
車長達も本当の意味で恐怖し、小水を漏らす。
奴は我々を殺すことに、躊躇(ためら)いがない。
「仲間の名前を利用したお前達が、全くもって気に食わない」
≪それだけでも十分なんですよ、私達の戦う意味は……あなた達を殺す理由は≫
いや、そもそも……我々の思想には、何一つ興味がない。
ただ邪魔だから、ただ気に障ったから。
そんな、集まるハエや蚊を潰すような感覚で、引き金を引く。
それが怖い……怖い……死ぬのか。嘘吐(うそつ)きのまま。
汚され続けるのか。お国のため、世のためと……仲間達とともに決起した、この瞬間が。
誰に理解されることもなく、虚実の平和は続く。それを呪(のろ)うことすら許されず……!
「さぁ」
やめろと声を上げることもできず、我々は処刑される。
「お前達の罪を、数えろ」
だから、銃声とともに意識を手放した。
車長も、他の二人も一緒に……どうせすぐ燃やされ、苦しみを与えられるのに。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
止める間もなく……いいえ、止める隙(すき)もなく、奴はFN Five-seveNを取り出し、発砲。
それで上がる猛炎から下がった。いいえ、上がると予測したから、そう言うべきかしら。
……でも現実は、私の予想を裏切るだけ。炎は上がらない。
装甲車も、なぜか生まれたガソリンも、ただそこにある。奴らの断末魔だけが、場に響いた。
≪――搭乗員全員、意識喪失。派手に漏らしています。しかし、これは≫
「……空砲?」
≪それどころか成分分析の結果……ガソリンではありません≫
「はぁ!?」
≪簡単に言うと、”ガソリンっぽい水”です。発火の危険性も皆無……あなたは≫
待って。この水を配置したときは普通よね。生きていた水道管から持ってきて……物質を変換した?
ただの物質操作ならまだしも、そんな魔法……そうか、魔導師としてもコイツは。
「スバルの手前もあるしね。今回はサービス」
そんな甘いことを言いながら、FN Five-seveNをコートの中に仕舞(しま)う。
≪でもアイツら。肝っ玉が小さいですねぇ≫
「……あんな殺気を向けられたら、誰だってビビるわよ」
人が変わったみたいだった。いえ、本性を現したというか。
あの歌と同レベル……空気が震え、ガソリンの池が、液体装甲が揺れる。
魂を鷲(わし)づかみにされて、声だけで殺されそうな……そうか、これが。
「古き、鉄」
ヴェートルの英雄であり、JS事件でも要となった嘱託魔導師。
だけど妙に甘くて、だけど過激で……面白いじゃない。
魔法少女リリカルなのはStrikerS 外伝
とある魔導師と機動六課の日常 Ver2016
第3話 『異邦』
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
とんでもない要求と、決して見過ごせない計画。果たしてどうなることかと思っていたが。
「――そうか。無事に終わったか」
『何とかな』
はやてからの報告で、心から安堵(あんど)。
ミッドの厳戒態勢は解除され、後処理に入るそうだ。
犯人達も厳しい尋問が待っているだろうが、ひとまずの危機は去った。
『ただ……これもまた、変革の楔(くさび)になる』
「そうだな」
結局起爆剤となったのは、恭文なわけで……僕達だけではきっかけも掴(つか)めなかっただろう。
「バトズム――アジュウ・ウコン一味の主張は、決して間違ってはいない。
やはり必要なんだ。魔法に頼らない形のセーフティーが」
『クロノ君的には、第五世代デバイスだけでは駄目と』
「結局こういうのはイタチごっこだからな。……僕達が変わるなら、今日のことも忘れてはいけない」
『……そやな』
今日生まれた死も、破壊も、僕達の怠慢が生み出したものだ。
組織と一緒に変わっていくのなら、絶対に忘れてはいけない罪。
そうして生まれる、自分への怒りも……絶対に下ろしてはいけない荷物。
「サリエルさんに言われたことだ。心理学の一説だが」
『うん?』
「人は絶望を突きつけられたとき、四つの段階を経る。否定し、怒り、諦め、最後に希望を見つける。
……最初に聞いたときは、それで絶望したよ。こんなはずではないと否定し、それを過ぎても怒り、三つ目が諦めるときたもんだ」
『でも違うんやな』
「諦めは『受容』を内包しているそうだ。ようは現実を受け入れる……母さんやフェイト、僕達は第一段階で止まっている」
『……それ、フェイトちゃんには』
「話したよ。最高評議会に利用されたことを……傷つけられたことを、なぜ怒らないのかと。それでもまだ、目を背けている」
我が身を省みると、周囲を見やると、この言葉がよく突き刺さる。
僕達は六課が利用されていると、恭文が言ったとき……その事実を否定した。どういう形ではあれ、一度はだ。
そしてその事実に怒り、それは”変えられない”ものだと受容し、希望を見つける。
変えられない過去を、罪を背負っても、変わっていける……変わっていくという決意。それ自体が希望だった。
僕はまだ、そこまで突き抜けてはいない。だからフェイトにも同調しているのかと、少し反省していたところだ。
なら道は一つ。サリエルさんと金剛に問いかけられた通り――。
「だからアドバイスに従い、まず僕自身が怒ろうと思う。
積み重ねた怠慢に、自らの矛盾に……怒って、怒って、それに疲れ果てるまで」
『手本を示すと。お兄ちゃんは大変やなぁ』
「一応提督として貫く、新しい矜持(きょうじ)でもあるぞ?」
『そっか。……あー、それと恭文なんやけど、相手の目的が目的やから、今回は六課の一員って形で対処してくれた』
それは僕達的には有り難い……んだが、そうなると別の問題が出てくる。
『でも』
「分かっている、母さんのことだろ」
『うん。リンディさんが最初に要請して、そこからクロノ君が連絡して……やろ?
その流れやと、また無茶苦茶(むちゃくちゃ)をする可能性も』
「問題ない。三佐に協力してもらい、既に手は打ってある」
『ほんまか! ……で』
「恭文とも、改めて相談が必要だがな」
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
アースラに戻され、自室待機を言い渡され……飛び出そうとしても、グリフィスやルキノ達が邪魔をする。
そうこうしている間に、事件は解決した。犯人達はやっぱり、反管理局思想の人達で。
……こういうことが起こるから、母さんもみんなに『信じて』と言っているのに。
私が……ハラオウン一家が、スカリエッティ達を逮捕した。そういう話にするのだって、世界のためなのに。
なのに、どうして分かってくれないの。母さんは正しい……正しいはずだから。
――君は怒りを持たないのか――
なのにクロノも、ヤスフミも、シャマルさんも、わけが分からない話をする。
――僕達は利用されていたんだ、最高評議会に。夢だっただろう、六課は――
――クロノ、話を逸(そ)らさないで。違う……私はただ、ヤスフミに信じてほしいの。
母さんを支えるためには、ヤスフミが変わって、もう一度私達と一緒に歩かないと駄目なの。それとこれとは――
――関係している。……自業自得ではある。だが夢を汚され、怒りを持とうともしない君達は一生信頼されない――
――え……――
――まだ分からないのか。あの会議の場で、恭文が君や母さんの手を払ったのは……払い続けているのは!
二人揃(そろ)って、未(いま)だに怒りを持とうとしないからだ! 僕達を利用した奴らに……同じことをした自分自身に!――
――その通りよ、フェイトちゃん。ゆっくりでいいから、考えてみて……本当に怒りはないの?――
私は、進んでいないのかな。だから分からないのかな……違うのに、そういう話じゃないのに。
ただ家族みんなが仲良しで、一緒だった……あの頃へ戻りたいだけ。母さんの笑顔を取り戻したいだけ。
ただそれだけなのに。なのにどうして……何度も問いかけるけど、答えは出ない。
ただ頭を抱え、無力さに打ち震えるしかなかった。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
あの子は私の依頼を受けてくれた。だから現状に対処した……実に喜ばしいことだった。
そうよ、そうでなくては……これで私は、私を戒める誤解から解き放たれる。
そう思っていた。いや、思いたかった……私はまた、正しいと証明されたのだと。なのに――。
「どういう、ことでしょうか」
機動六課が、私達【英雄】が事件を解決した。そう報告したところ、上層部は怪訝(けげん)な顔をする。
そして第五世代デバイスのシステムも、古き鉄という優秀な魔導師も、局の一部となった。
もちろん彼は変わる……私が望むことだけを成す、すばらしい大人に。
そう誇った、信じてもらえるよう胸を張った。
「また嘘をついたのかね、リンディ提督……君は本当に飽きないねぇ」
なのに――私に飛んできた言葉は、賞賛ではなかった。
「仰(おっしゃ)っている意味がよく……それに嘘などではありません。彼は私の要請を受け、機動六課に入隊。
これからは局員としてその罪を購(あがな)っていくのです。そう……私が融和を、真の正義を説いたことで」
「そのような事実はありません」
「それこそ嘘です。現に彼は」
「現場介入及び機動六課の職員として行動したのは、君の要請ではなく」
そこで映し出されたのは、忌ま忌ましい戦闘機人の父親。本局ではなく、陸の人間……!
「第108部隊、ゲンヤ・ナカジマ三佐の依頼を受けてのこと。そのためにクロノ提督も協力したが、それだけのことです」
「それは間違いです。あの子は、確かに私の依頼を受けた」
「断っているはずですよ。それも衆人環視の前で」
「介入したのなら同じことでしょう! そう……伝わったんです。私の愛が、私の説く真理が。だからこそ」
「全く違います。……あなたが依頼主として、何より人間として、彼に信用されていない……何よりの証拠です」
伝わらない。
また、私の言葉は封殺される。
何度も、伝えているのに……その目を、やめて。
私をどうして、信じてくれないの。守ってくれないの……!
これは管理局のためになると、どうして分からないの!
「リンディ提督、これは問題ですぞ。虚偽の報告をして、それを手柄同然にわめき立てるなど」
「しかも、罪? JS事件でスカリエッティ逮捕にも大きく貢献し、アインへリアル誤爆からミッド地上を守った功労者に対して」
「なぜですか……なぜ、私の言葉を信じてくださらないのですか! あの子は何も守っていません!
ただ組織を、家族を信じず、私達が得るべき栄光を奪い去った! だからこのような事件が起きたのです!」
そうよ、あの子のせいよ。
あの子が大人しく、私達に手柄を奪われていれば……!
「私はその間違いを正したいだけなのです! スカリエッティを逮捕したのは機動六課であり、フェイト・T・ハラオウン!
そして管理局はGPOを吸収し、第五世代デバイスのシステムを獲得した! その事実があれば、諸問題を解決できる!
そう……彼らが大人になれば! ただ私達を信じ、その身を預ければ! それができないのなら、犯罪者と同じでしょう!」
「……本当に偽物ですね、あなたは」
「違う……」
そうしてまた、辱められる。
その尊厳を、在り方を……また、間違いだと貶(おとし)められる。
「人間として恥ずかしくないのですか? あぁ……恥ずかしくないのですね、なぜなら全てが嘘なのですから」
「違う! 嘘はあなた達よ! 私は間違っていない……間違っていない……!」
私は間違っていない、間違っていてはいけないのに……。
まだ私は、誤解という檻(おり)に閉じ込められていた。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
事件と厳戒態勢は終わり、アースラのブリッジにものんびりムードが漂い始めていた。
そして……そんな中かけられるのは、リンディ提督からの通信。
フェイトさんの端末にもかけているようだけど、それはいつも通り。
「シャーリー」
「”部外者”からの連絡はシャットアウト継続。でも……相当いら立ってるみたいだねぇ」
コンソールに移る着信履歴を見て、ほんとウンザリ。グリフィスも困り気味に頭をかく。
「この二時間で百二十回……ほぼ一分周期」
「ストーカーだな」
「この記録も査察部に送っておくよ」
「……あの」
そこでアルトが戸惑い気味に挙手。
「今更なんですけど、リンディ提督の通信を勝手にシャットアウトは……問題」
「ないぞ。彼女は既に六課後見人でもないし、最高評議会との繋(つな)がりも噂(うわさ)される問題人物だ。
更に言えば、フェイト分隊長への”洗脳行為”も問題視され始めている」
「洗脳行為!? あ……フェイトさんが相変わらずアレだから!」
「フェイトさんを引き取ったのも、なぎ君の後見人になったのも、出世の餌にするため。
だからこその”信じて”理論……悲しいかな私達は、信じる相手を間違えてしまった」
なお、自分にも言っています。そんな状態だと気づくことなく……あぁ、消えてしまいたい。
ティアにぶん殴られたのは当然だった。あのときの私……いや、現在進行形で痛い子です。決して一抜けでしたり顔はできない。
「とにかく問題はないよ。フェイトさんのカウンセリングにまで口出ししかけたし、一度引きはがさないと」
「了解です」
「そう言えばグリフィス、なぎ君の扱いは」
「クロノ提督と三佐が協議中だ。そろそろ結論が出るはずだが」
なぎ君も事情が事情なので、今回は”六課の一員”って形で対処してくれた。
ただそれだと問題が出るので……そこでグリフィスの席から、着信音が響く。
「噂(うわさ)をすれば?」
「だな」
「でもあの子、一体何者なんですか」
グリフィスが通信を繋(つな)いでいる間に、そっと呟(つぶや)いたのはアルト。それはもう、戸惑い気味の表情で。
「隊長達と懇意みたいですけど、それにしてはぶっ飛び過ぎているというか」
「簡単だよ。デバイスもセットで」
「えぇ」
「あ・ぶ・な・い・ま・ど・う・し――なんだよ」
「危ない……」
「そう、”あぶない”の」
そういう意味でも時代遅れ。決して出世はするタイプじゃない。
でも……そこから、何かが起爆する。そんな爆発力を秘めていて。
だからなのかな。この状況を変えるのも、あの子達のように思えて。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
――こうして管理局へのクーデターは防がれ、関係者も最初に死んでいった奴ら以外は全員確保。
アジュウ以下一号車の乗員達も、心をへし折られたまま救出。
結果引きずりだされた奴らは目もうつろで、髪は真っ白。
ゲロとガソリンもどき塗(まみ)れで、半狂乱になりながら連行された。
これで復讐(ふくしゅう)の無意味さも悟ったことだろう。
そんな処理もあらかた片付きつつある中、私とアイツは休憩を言い渡された。
まぁ最初から最後まで働きづめだったしね。そこをスバル達が強襲。
「くきゅー?」
「もうちょっとだよー」
そうしたら話の流れで、アイツはスケッチブックを取り出し、サラサラ――。
ホバリングするフリードは御満悦だけど、これはどうしたものか。時間もかかりそうだし。
「できた!」
『できた!?』
「……待て蒼凪、それは模写なのか……模写だよな、おい」
「これでどうだぁ!」
そうして見せられたものは……レイバーにすり潰された人達より、スプラッタだった。
『ぎゃあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!』
針金とスライムが融合した、奇妙きてれつな物体。それを見て私達は揃(そろ)ってどん引き。
「く……くきゅー!」
フリードは涙目で怒り、アイツの頭に何度もスタンプキック。
「よしよし……どうしたの、フリード。……あ、この翼のラインか! 確かに描写が甘かった!」
「くきゅー!」
「いや、翼……どこでしょう」
≪ごめんなさい。この人、センスが独特で……あなた、模写で書き直してください≫
「え、なんで」
≪いいから。私もそれは最高だと思いますけど、一般人には理解できないんですよ。この芸術美が≫
ちょっと、こんな口が悪いデバイス、初めて見たんだけど! ていうかサラッと私達の審美眼に駄目だししてる!?
≪「……はぁ」≫
揃(そろ)ってため息を吐くなぁぁぁぁぁぁぁぁ!
”ティ、ティア……!”
”現実を受け入れなさい”
”受け入れ難(がた)いよ!”
そう、このデバイスもやっぱりただ者じゃあない。それはよく分かった。
でもこれ、受け継いだっていうか、押しつけられたんじゃ! こんなストレスマッハなデバイスと一緒とか無理!
とにかくサラサラと……まるで漫画のような速度で、模写が描かれた。その結果。
『えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!』
「くきゅ!?」
文句なしに、こっちが上手(うま)かった……てーか写真みたいな陰影! 線も正確だし、何これ!
「や、八神部隊長……あの、フリードが化け物からドラゴンに!」
スバルがよく分からないことを言ってきたので、一応肘打ちで止めておく。
みんなと一緒にきた部隊長達は、絶望と静観が入り交じった……複雑な表情だった。
「……恭文はな、美術力自体はかなり高いんよ。絵も描けるし、ガンプラもうちらの中では一番上手(うま)く作れるし」
「ガンプラバトルも強ぇしな」
「ガンプラ……あ、アニメのプラモデル」
「ただアルトアイゼンが言ったように、センスが飛び抜けていて」
うわぁ、すっごい言葉を選んでるわ。飛び抜けていてって……センス最悪って意味じゃないの?
「模写を徹底させればいいんだが、蒼凪はそれだと毎回不満そうで。というか」
「恭文さん、リインも最初の方がいいと思うですよ? フリードの野性味溢(あふ)れる印象が表現できていて」
「だよねぇ……というわけでフリード、お近づきにこっちをプレゼント」
「くきゅー!」
「え、模写の方がいいの? でもこっちの方がカッコいいよ?」
「くきゅくきゅー!」
フリードがスケッチブックから外し、丸めた模写を渡されにっこり。そのままキャロのところへ戻ってくる。
「あ、ありがとう……ございます」
でもその姿に、全く安心できない。だって……だって……!
「リイン曹長も、なんですか。いや、そう言えば怪しいところは、ところどころ見えていたような」
「ち、ちなみに……矯正は」
「できると思うか……!」
「しかも腹の立つことに、アイツらの方が審美眼もあるんだよ! 高い美術品とか、絵とか、アッサリ分かるしよ!」
「「「「ですよねー」」」」
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
フリードに絵をあげてから、そっと急設テントを出る。
これにて一件落着――すっかり暗くなった中、六課隊舎内で空を見上げる。
海辺に座り、潮風と瞬く街の光を見つめる。
≪街は変わらず、時を刻み続ける……ですか≫
「当然だよ。この平和が嘘だと言うのなら、奴らが生み出した闘争もまた嘘だ」
≪えぇ≫
「――はい」
するとティアナがドリンクを持ってきた。冷たい缶を受け取ると、ティアナが隣に座ってきたので。
「お疲れ」
「お疲れ様」
一応乾杯。それからポカリスエットをぐいっと……あぁ、この清涼感が心地いい。
「ありがと」
「何が?」
「三佐の要請とはいえ、こっちに合わせて対処してくれたでしょ」
「あの馬鹿どもに乗っかるのも、それはそれで面倒だしね」
≪私達だけじゃあ手が回らなかったでしょうし、問題ありませんよ≫
「それでもよ。上には頭のおかしい分隊長と、窓際族の母親がいるのに」
ティアナは疲れ気味に天を指差す。
「で、アンタはこれからどうするのよ。……部隊長から聞いた。失踪状態だったって」
「六課とは関わるなって、いろんな人から言われてるしね。おのれこそ出世したいなら」
「言われるまでもなく、ここだけの縁にするわよ」
≪それが妥当ですね≫
「……だがよぉ」
そこでゲンヤさんとはやても登場。ティアナ共々立ち上がろうとすると、右手で制される。
「この街も寂しそうだったぞ、お前さん達がいなくて」
「街が」
≪まぁ仕方ありませんね、私達が主役ですし≫
アルトの言葉に頷(うなず)きつつ、またドリンクを一口。
そうして遠くに広がる……営みを取り戻し、輝く街並みを見やる。
「なのでどうやろ。しばらく六課にいるのは」
「関わるなって言われてるんですけど」
「うん、それはよう分かる」
≪リンディさんを調子づかせるの、嫌なんですけど≫
「それも分かる。ただ……スバルやエリオ達がなぁ」
はやては苦悶(くもん)の表情で頭を抱える。
「アンタの活躍やら、実際を見て興味津々で……! 模擬戦をしたいとか、話を聞いてみたいとか滅茶苦茶(めちゃくちゃ)迫ってて!
お願い! うちらだけやと抑えられんから、相手してあげてよ! 入隊しろとは言わんからー!」
「何それ! ちょっと、ティアナ!」
「ごめん、それなら多分……私も抑えられない」
「どんだけ興味津々!?」
「でもうまみはあるで。……三佐の要請でうちにいる。つまり」
そういう話になってるのか。ん、まてよ……つまり!
「六課にいるけど、リンディさんの要請ではない。その辺りで嫌がらせができる――!」
「そう!」
「いいねいいね……それであの気に食わない馬鹿どもを、胃潰瘍に追い込むわけか!」
「それで納得ってどうなのよ! ちょっと三佐!」
「あいにく、そういうのが大好きなんだよ……!」
フェイトのアレも何とかしたい……そういう気持ちはあった。
ミゼットさん達には怒られるかなぁ。だからその分、好き勝手をしよう。
「じゃあ給料十倍」
「んな!」
「除隊時には、レパードもちょうだい」
「なにぃ!」
「僕達は六課の命令系統には加わらないし、いつも通り暴れさせてもらう」
「ちょ、それはさすがに……入隊しなくていいって言うたの、うちやったー!」
「そうそう」
「アンタ」
ティアナにはお手上げポーズを返し、術式発動――。
缶の水分を全て蒸発させた上で、形状変化。
アルミのキーホルダーに作り替えた上で、はやてにプレゼント。
「ほら、三百円もあげたし」
「三百円もするんか、これ!」
「じゃあそういうことで」
そのまま脇を抜けて歩いていく。そしてまた、僕達は旅人に戻る。
「アルト」
≪えぇ≫
「もう少しだけ、付き合ってあげようか」
≪ですね≫
そう、今一時の旅を楽しむ。それもまた、大事な夢だ。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
……本局で入院生活を送っていたら、朝っぱらからスープを吹き出す羽目になりました。
だって、装甲車って……レイバーってぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!
慌てて部隊長(はやてちゃん)に連絡したけど、説明を聞いて絶望。
けが人でリハビリが義務づけられたなのはには、何一つできません。そんなわけでやきもきを続けること数時間。
「じゃあ、けが人はなし!?」
『まぁ六課内ではな。強いて言うなら、レパードが入院することだけ』
「……よかったぁ」
はやてちゃんからようやく……ようやく連絡をもらい、ホッと一息。
同室のヴィヴィオも脇に寄ってきて、笑顔を見せてくれる。
『六課隊舎も、恭文が上手(うま)いことやってくれたからな。ペンペン草も生えないような場所にはなってないよ。修復作業も予定通り始まる』
「そう。じゃあなのは達の入院コースも」
『予定通りでお願いな。ヴィヴィオもちょお退屈やろうけど、今のうちにしっかり休んでおこうか』
「はいー。でも部隊長」
『なんや』
「その”やすふみ”って人、そんなに強いの? だって手も足も出なかったロボットや装甲車、こてんぱんにしたって」
『……実力で言えば、シグナムやなのはちゃん達以上や』
ヴィヴィオが目を丸くして、なのはを見上げてくる。なのでまぁ、それには苦笑しか返せない。
「まぁ、魔力資質や経験では……自慢するようだけど、私達なんだけどね。ただ恭文君の場合、魔法に偏ってないから」
『魔導師としても、戦闘者としても型破りやからなぁ。……局がこれから模索する”魔法以外の保険”を保有しているとも言える』
「GPOなどと同じく、変革の一例なんだよね」
最高の敵は装甲車だった。ただし魔導師に限り……それが今回の件で、改めて突きつけられた現状。
これからの教導は、そういう部分も含めてやらないと。うぅ、何だか体の中が……かっかしてきた。
「だからそんな恭文君が……まぁ一時期だったとしても、六課に滞在してくれるのは有り難いな」
『第五世代デバイスのシステムを渡せとか、言わんようにな』
「さすがにないってー。だって」
はやてちゃんの冗談めいた釘(くぎ)刺しには、手を振って否定……そこから一気に顔を背けた。
「EMP分署にしょんべんどころか砲撃を吹っかけたなのはに、ここまでよくしてくれたのに……!」
『……それがあったなぁ』
「ヴィヴィオの件も、さすがに遠慮したんだよ!? でも、でも……聞いて、はやてちゃん! あの人達は天使だよ! 女神だよ!」
「長官達にすっごく気づかってもらえて、ママ的には感動みたいですー」
『うん、知ってたわ。それもまぁ後々聞くから……で、教導官的には何を考えてるんや。模擬戦とか』
「それも実例だけど」
実は入院生活が暇で、作っていた教導草案がある。それを通信で送って、はやてちゃんに確認してもらう。
『えっと……ヴェートルなどへの出稽古!? それにIMCSルールでのトーナメント!?』
「やっぱり実際を見て、勉強していくのが大事だって思うんだ。まぁ、自分への反省も込みで」
『アンタもフェイトちゃん達と同じで、恭文が魔法なしで戦うの、止めたがってたからなぁ』
「忍者資格を取られてからは、もう何も言えなくなりましたが……!」
とにかくそういう忌避感から、実際を……現場を見ていないのは、駄目かなぁと反省。
エリオ達もまだまだ新人さんだし、こういう”社会研修”的なのは考えていたんだ。
あとはやっぱり……うん、なのは自身の興味も大きい。
変わっていく組織、変わっていく社会……そんな中を飛んでいく、私達魔導師。
なら世界を知らないと、駄目なのかなって。局や魔導師って枠に閉じこもるだけじゃ……この子との約束も、守れそうにないから。
「そう言えば恭文君は? もしかしてアースラに」
『いや、もう別れたよ。元々旅回りの途中やったし』
「じゃあ、隊舎が復活したら合流かな」
『その予定。でも次の行き先は聞いとるよ、確か』
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
管理局最大の敵は、レイバーと装甲車だった。世界がそんな恐怖に苛(さいな)まれたが、それも解決した直後――。
「「……馬鹿なの!? 死ぬの!?」」
「ヒロさん達はヒドいなぁ」
「当たり前だろうが! ミゼット提督からも言われてたよな、六課には関わるなと!」
「副隊長や風見鶏達からもね。アイツらも呆(あき)れかえるよ、きっと」
≪私達がカッコよすぎるせいですね、きっと≫
「だねぇ」
≪≪「「絶対違う!」」≫≫
本局内の飲み屋で、やっさんと合流。それで聞かされた話が……またアホな!
そりゃあ言いたくもなるさ! よりにもよって今は……あぁ、絶対厄介なことになる!
「大丈夫ですよ。一応預かりとしては108になりますし、そこからの出向ですから」
「……それ、心から言ってるか?」
「嫌だなぁ。僕は生まれてからずっと、嘘をついたことがないので有名」
「それこそ嘘だろうがぁ!」
≪で、ボーイとしてはアレか。未(いま)だ迷走中なハラオウン執務官を放っておけないと≫
いやいや、この状況で……ある意味最大のお断り行為<戦略級砲撃(アインへリアル)>を食らったんだぞ。
それでそんな、フラグ構築を狙うとか……そう思っていたのにやっさんは、俺とヒロから顔を背けた。
「……をい」
「やっさん……もう、いいじゃないのさ。シルビィちゃんが、フィアッセさんがいるでしょ? リインちゃんやシャンテだって」
「シャンテとリインは入れないでください……年齢的に」
「何、そんなに状態が悪かったの?」
「怒りを持たないんですよ、あの馬鹿」
あぁ……リンディ提督と同じかぁ。やっさんもその現状を見かねているのか、苦い顔でカルーアミルクを飲む。
なおやっさんは酒や辛(から)いものもいけるが、基本甘党。カルーアミルクはお気に入りだ。
「敵・味方揃(そろ)って、そんな腑抜けばっかって……なんだろうねぇ。アギトやノーヴェもそうだったし」
≪そんな連中に世界の命運を握られていたこと自体、末代までの恥ですね。……ただ、それも結局は一部にすぎない≫
「はやて達や、スバル達フォワードは違うしね。みんな気合いも入っていたし、それは真実だ。
……だからこそ、放っておけないというか……せめてフェイトには」
そこに饅頭(まんじゅう)をもぐもぐ……なお合うそうだ。俺は試したくないが。
「自分がそれを嘘にしているって自覚くらい、持ってほしいなぁと」
「それもまた、地獄だろうがな。実際部隊内でも手の平返しをされている上、隊長職も強制解雇だろ」
「いいじゃないですか。生き地獄で、生きている喜びをかみ締めれば」
「お前のそういう、容赦のないところ……ほんと尊敬するよ……!」
≪「いやぁ、それほどでも」≫
「褒めてねぇ!」
コイツら、本気で照れやがった! まさか思っているのか……本気で思っているのか!
自分達がカッコ良すぎると! それゆえにJS事件でも狙われたと、本気で!
うわぁ、確認したいが、したらしたで不幸な答えしか返ってこないだろうし、絶対やめよう!
「まぁ三佐主導なら、ある程度言い訳もできるだろうけど……気をつけなよ。今の機動六課、やっぱどう転んでもおかしくない」
「大丈夫ですよ、危なくなったら逃げますから」
「よろしい。……で、話は変わるけど……今、マルヤマを励まそうって話が出ていて」
「え、励ますって何を」
「……株で大損をこいたらしい。ほれ、JS事件での急激変動で」
「あれかー! そっかそっか……かなり手堅い株もやられていましたよね」
こうして無茶苦茶(むちゃくちゃ)な弟弟子と相棒は、更なる戦いへと飛び込む。
嘘だらけの部隊に存在する、確かに輝く”宝”を守るために。……そういう奴なんだよ、コイツは。
いいものはいい――キラキラしているものを見ると、いても立ってもいられない。
瞳の輝きだけは変わらないので、それにはヒロ達と安心する。そう、キラキラしていたんだ。
コイツが報酬代わりに要求した、改造レパードはなぁ……! そうだよ、そのために六課での仕事をこなすんだよ! お前はぁぁぁぁぁぁ!
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
フェイトとも、エリオ達とも連絡が取れない。そしてエイミィはカレル達とともに出ていってしまった。
全てが壊れていく……世界を救う英雄となったのに、世界がおかしくなっていく。
それにあの子も……六課へ腰を落ち着けるというのに、それは地上部隊からの要請。
私の手柄にはならない。私は部外者として爪はじきにされる。裏切られた……裏切られていく。
私はただ、家族を、組織を信じて、大人になってほしいだけなのに……!
『――そんなことを、延々言い続けているの』
「そうですか」
……とは、通信画面に映る、レティ・ロウラン提督の談。
レティさんはうちらが入局時からお世話になっている方で、リンディさんの親友でもある。
同時にグリフィス君のお母さんでな。それもめっちゃ美人さんや。
リンディさんに負けないプロポーション……以前触らせてもらったとき、凄(すご)い感触やった。
髪の色はグリフィス君と同じで、その艶(つや)やかな長髪を一つ結びにしている。
機動六課設立にも協力してくれていて、うちらの出世も喜んで……ただ、今はとても物憂げで。
『私も、本当に駄目ね。……恭文君に一時期だけでも、合わせてもらえればとか……どうしても思ってしまうのよ』
「レティさん」
『分かってる。というか、本人に言われたわ。それはいつまでかって』
「言ったんですか!」
『うちにお泊まりしたとき……もう五年とか前ね。お風呂に入って、ぎゅってしながら』
どんなシチュやぁ! というかサラッと言うな! ほほ笑ましそうに言うなぁ!
でもよかった、五年前ならギリギリセーフや。今やるともう、偉いことになるけど。
『あの子自身は、入局について真剣に考えているの』
「そうなんですか!?」
『あなたやフェイトさん達に影響されたみたい。ほら、それぞれやりたいことがあって、そのためのお仕事でもあるでしょ?
そういう……夢を育てる道の中に、局があるのならって。でもそうじゃないなら』
「そうやったんですか。でも、うちらにはそんな話は一言も」
『それはもう、本音を引き出すために頑張ったもの』
そう言ってレティさんは、いたずらっぽく笑う。
あぁ、だからお肌とお肌の接触回線と……ちょお、恭文。
まさかとは思うけど、アンタ……いやいや、ないかー。
幾らオパーイ好きとはいえ……あれ、そもそもレティさん、旦那さんいたっけ。
グリフィス君はいるし……あれ、アカン! ど忘れしてる! 前に聞いたはずやし!
よ、よし……後で、シャーリーにこっそり確認しよう。多分これは、アレや。
最強の敵が装甲車とか、そういう台なしなことが起こったせい……OK?
『あとは……やっぱり、サツキ・トオル君のことね』
「それは、聞いてます」
サツキ家は世界的大企業『イースター社』の乗っ取りを受け、全ての資産を奪われた。
ガンプラバトルを通じて知り合った友達……でも、その約束は今も継続中で。
それはアイツが旅とガンプラバトルを続けていることで、よう分かる。
『未(いま)だに手掛かりはなし、よね』
「みたいです。恭文、うちやシャマル達には……というかフェイトちゃんにも、前々から言うてたんです。
いずれは地球へ戻って、そっちに集中するって」
『局員になったら、いろいろと難しいのも事実。だから私も納得したんだけど……さすがに長期化は予想外よ』
「うちらもです。……あとはIMCSも』
『来年こそは、出場できる環境作りをしましょう……!』
何だかんだでアイツ、夏は鬼門やからなぁ。今年も、去年も……リインと会ったときも。
なのでレティ提督と二人、決意を固めてしまった。可愛(かわい)らしい表情の提督を見て、ちょっとときめきもして。
『もう、局員になれなんて……言えないしね』
「提督」
『もう、言っちゃいけないのよ。……”あの子”を止められなかったのは、私なんだから』
レティさんは眉を寄せて首振り――。
レティさんは知っていたそうや。最高評議会に褒められた件……本人から聞いて。
それはもう、めっちゃ嬉(うれ)しかったらしい。闇の書事件も片付いて、いろいろ肩の荷が下りたからな。
クライドさんの死後、母親として……上司として、懸命に働いてきたリンディさん。
その頑張りが……まぁ、いろいろな偶然に助けられたとはいえ、認められた。……嬉(うれ)しくないはずがない。
それでこれからも頑張っていく、そうほほ笑むリンディさんの背中を押した。親友として――仲間として。
今、この人はそれすら後悔している。
一体誰がそれを”悪”だと責めた? ううん、誰が責められる?
この人が全部知っていたならともかく、そうやないなら……当然のことやんか。
頑張ってきたリンディさんの苦労が報われて、旦那さんにもいい報告ができて。
そうして喜ぶ友達の背中を、優しく押した。たったそれだけのことを、どうして責められる。
でも……うちには、何もできん。自嘲するレティさんを止めることも、慰めることも。
その権利がない。ないと思ってしまうほど、あの人の流した涙は……とても、重くて。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
恭文絡みの処理も終えて、六課隊舎修復も完了……いよいよ明日からかぁ。
いや、もう今日だな。何だかんだでここ数日は忙しくて、隊舎に泊まり込み。
今日もどか盛り朝食定食が美味(うま)い……美味(うま)いで思い出した。
「……あ」
ギンガにこの件、話していなかった。ついソーセージをバキバキ言わせながら、血の気が引く。
「……なぁカルタス」
「はい?」
「お前、ギンガに言ったか。恭文がう回ルートで六課入りするっての」
「言ってませんが……まぁ大丈夫でしょ。スバルが言っているはず」
「だがアイツ、ここ数日は隊舎復旧作業を手伝ってたって」
「え」
「土方体験で、楽しそうだったぞ」
あとはアイツとティアナは、レスキュー所属だったからな。
アジュウ・ウコン一味が起こした事件のせいで、今はどこも人手不足。
自分達から買って出たんだよ、工事中の安全確認ってやつを。
というか、それなら俺のとこにもメールとかが……そこでカルタスが、顔を青くする。
「だ……大丈夫、ですよ! ほら、知らなかったとしても、問題らしい問題は」
「でもアイツ、うちから出向って形にしただろ? それでまた局入りを考えようとか、面倒な話になったら」
「まさかー。ギンガだって……そんな……それほど……そこまで……愚か……愚民じゃ……ない……と」
……そうして俺達は震えながら、静かにみそ汁をすする。やべ……味が分からねぇ。
ギンガに自覚はないが、あれはべた惚(ぼ)れだからなぁ。距離が近ければ嵐になり……!
「――あ、いたいた!」
そこで走り込んできたのは、アニタだった。それも制服に着替えず私服。
秋らしいロングコートを羽織り、それを盛り上げる女性らしいボディライン……おっといけねぇ。
俺はクイント一筋、クイント一筋……男二人みそ汁を飲みほし、やましい気持ちを封印。
「部隊長、カルタス主任もおはようございます!」
「おう、おはよう」
「フランク二尉、おはよう。だがどうしたんだ、着替えもせず」
「それどころじゃないんですよ! 蒼凪くんから緊急連絡が!」
「恭文から?」
「三佐や主任に繋(つな)がらないから、あたしに」
この朝っぱらから、アイツから緊急連絡。……俺達は顔を見合わせ、塩じゃけと香の物をさっと食べきり、ご飯をかっこむ。
「何でも」
「もういい、大体分かった」
「はい?」
「また出くわしたんだろ、ばったりと」
「はい……」
しかし携帯……取り出して確認するが、電波不良なのかアンテナが立っていなかった。
カルタスも同じらしく、首を傾(かし)げていた。……だが、アンテナはすぐに復帰。
なので早速恭文に確認してみる。さて……今日は何が待っていることやら。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
十一月目前――十月もあと一週間というところで、ようやく隊舎は復活。
四月の……最初のときを思い出させる配置で、ロビーに集合。
身が引き締まる思いで壇上に立ち、演説開始。
『あの襲撃事件から二か月――ようやく戻ってこられました。アースラに乗り込んでくれていたクルーを始め、みなさんには本当に苦労をかけました』
アジュウ・ウコン達の起こした事件はもちろん、JS事件での反省点……改善するべきところは多数。
一気には無理だから、一つ一つ。その節目ということもあり、つい身震い。
しかも、六課の戦力も本調子ではない。……なのはちゃんとヴィータは、ゆりかご戦の後遺症があるしなぁ。
ヴァイス君やザフィーラ、ロングアーチ&バックヤードのスタッフも同じ感じ。
ほんまな出勤して、働くだけでも厳しい人間も……それでもみんな、堂々と立っている。
『私のような未熟者についてきてくれたこと。ただただ感謝する他ありません。
ほんとに……今日ここに来てくれて、ありがとうございます』
それに感謝しつつ、演説を続ける。
『さて、湿っぽいのはここまでにしましょう。……先日お伝えした通り、108からの出向という形で』
”……主はやて”
そこでシグナムから念話。あれ、なんかめっちゃ慌てているような。
”蒼凪が……まだ、来ていません”
『……え』
声に漏らしつつ振り返ると、いない……確かに、いない。
あれ、なんで!? 隊舎再始動の日も伝えたし、今日にはミッドへ入ってるって!
”ちょ、なんで!? ヴィータ、アンタは迎えに”
”行ったけど、自宅にはいなかった。というか連絡もつかない”
”揃(そろ)って何しとるんや、あのコンビ! ちょ、どうしよう! 話……話し繋(つな)がんと!”
”では、今後の訓練や運営方針について軽く説明しつつ、時間を稼ぐ方向で”
”それや!”
よーし、頑張るでー! とりあえず……不審がるみんなや、一般隊員として、スバル達と並ぶフェイトちゃんには、愛想笑い。
『そ、それは一旦……置いといてー。いや、ごめんなさいね。もっと話すことがありましたー。えっと、まずは』
そう言いかけたところで響く、地響きのような音。いや、それくらいに鈍く重いエンジン音、やろうか。
「なんだ、この音は」
「……クラールヴィント」
『ごめんねー、遅くなったー』
ちょ、この声は恭文! しかも外から聞こえたので、部隊員のみんながキョロキョロ。
そうしてスバル達は背後――うちから見ると、真向かいの前面ガラスを見やる。
そこへ近づいてくるのは、どう見ても十トンとかの大型トラック……!
≪これは……隊舎入り口を抜け、大型トレーラーが突撃! こちらへ向かっています!≫
「見れば分かるわよ! え、まさか……あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
「はやて、運転席に馬鹿弟子が!」
「それも見れば分かるわぁ!」
とにかく全員で、慌てて外に出る。するとトレーラーは突撃とは名ばかりに、安全確実に停止。
そのままエンジンを止めて、アイツも運転席から降りてくる。その上で気持ちよく伸び。
「恭文ぃ!」
「やっほー、みんなー。108の要請を受けて、しばらく利用させてもらうよ。よろしくー」
「言っとる場合かぁ! アンタ……これ、何! え、これで通勤するん!?」
「違う違う。いやさ、たまたまカラーギャングの馬鹿どもが、女性を無理矢理(やり)連れ去ろうとしているの、見つけちゃって」
「カラーギャング!?」
≪それを止めたら、あれよあれよと言う間に、上位のシンジケートと大企業も撲滅することになりまして≫
「なるかぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
え、まさかこれは……恭文が後ろに回るので、うちらもついて行き。
「組織の構成員については、もうゲンヤさん達に連絡して、確保してもらってる。でね、問題は」
開けられたコンテナ……その中身を見て、がく然とする。
そこにあるのは骨とう品の数々。ただしそのどれもが、一定の”魔力反応”を示していて。
そうや……どうしてすっ飛ばしてたんよ! これら全部、ロストロギアやないか!
「お、おい……蒼凪、まさかこれは」
「奴らが所持していた、違法な密輸ロストロギアです。あ、封印処理はしていますので」
「多すぎるだろ!」
≪デカい取り引きの直前だったみたいです。それでゲンヤさんの方から、連絡すると言ってたんですけど≫
「いやいや、きてないよ! 今朝礼」
そこで着信音が響く……三佐からやった。
「……タイミングがズレたみたいやなぁ」
「それは何より。はやて、いきなりで悪いんだけど」
「分かった! みんな、悪いけど朝礼は中止! 今すぐこれらの保管・調査作業開始や!」
『了解!』
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
おぉおぉ、みんな張り切っちゃって。どうやらこの”お土産”は気に入ってくれた様子。
しかし凄(すご)いなぁ……これだけでも二十億くらいするでしょ。……あんな大事件が起きた後で。
≪まぁ、仕方ありませんねぇ≫
「だね」
改めて海を――広がる街並みを見る。潮風に髪をなびかせながら、不敵に笑ってしまった。
「今この街は」
≪「僕(私)達がいないと……駄目だから」≫
「どんだけ自信過剰なのよ、アンタ達――!」
なぜか脇に回っていたティアナが、そうツッコんでくる。
それも気にせず僕は、街を見続けた。
本当に、世話の焼ける街を――だけどもう少しだけ、付き合ってあげよう。
(第4話へ続く)
あとがき
恭文「というわけで、デカい土産を持って六課に出向。次回はタイトルは暴走……これが実質の初回。いっそVガンダムみたいに」
(『やめてー! あのシーンは……母さんって、母さんって……ふぇぇぇぇぇぇぇぇ!』)
恭文「そして暴走では、過激派の家に踏み込んだら爆弾がなくなって」
あむ「それはまんまアレの初回じゃん! ……あ、日奈森あむです」
恭文「蒼凪恭文です。さて、ろんぐらいだぁずが当たりアニメでほくほくしつつ≫
あむ「疾走感や自転車の苦楽、景色の流れる感じがいいよね。あたしも大好き……でも、自転車って……あんなに……あんなに……」
恭文「高いものには、高いなりの理由があるんだよ。どんな分野にもね」
(自転車は安全運転でいきましょう。せめてブレーキとライトはつけよう)
恭文「ライトなしは危ないしね。そして今だと歩きスマホしている人も多いから」
あむ「た、確かに……あれは歩いていても怖い」
恭文「作者も自転車ではなく普通に歩いているとき、歩きスマホしている人が前からやってきて……一メートルほど近づかないと、全く気づかないんだよ。
こっちが念のために止まっていても。そしてやたらと歩き方がフラフラしてる」
(なのでスマホを弄(いじ)るときは、必ず止まるように……え、自転車に乗りながら? そんな器用な真似(まね)は最初から無理です)
恭文「作者は悲しいかな、手放し運転やら二人乗りやら、同年代の子が軽々できたことを一切できなかったという……筋金入りのぶきっちょ」
古鉄≪一度に一つのことしかできないんですよね、死ぬまで≫
(もう慣れた)
古鉄≪そして鉄血のオルフェンズ二期も盛り上がり……ルカ様演ずるあの方が、レギンレイズが初戦闘≫
恭文「二刀流でワイヤー、そして高機動……う、頭が」
ルカ(ゴーカイ)『だからあたしじゃないっての!』
(げし!)
恭文「か、海賊だー!」
ルカ(ゴーカイ)『アンタも海賊でしょ! ……でもハロウィンって、これでいいの?』
古鉄≪バッチリです。はい、というわけでジャックランタン主導でハロウィンの準備。ルカ様にはレギンレイズのコスプレをしてもらっています≫
恭文「なおガチです! 顔とか見えていません! 擬人化とかないから!」
(うぃーん、がしゃんがしゃん)
ルカ(ゴーカイ)『……ねぇ、これは脱いでいい?』
恭文「なんで!? せっかく作ったのに! レギンレイズ型スーツ!」
ルカ(ゴーカイ)『コスプレの領域を超えてるでしょ!』
ジャックランタン「今年のハロウィンも、楽しくなりそうで嬉(うれ)しいホー」
ジャックフロスト「カボチャのランタン、いっぱい作るヒーホー♪」
ジャックランタン「ヒーホー♪」
(そしてダブルランタンは、せっせと作業中。古き鉄達もすぐ手伝いに加わりました。
本日のED:GRANRODEO『少年の果て』)
恭文「さぁ、次回もドンパチするぞー」(ウキウキ顔)
ルカ(ゴーカイ)「その前に……一つ質問が。お肌とお肌の接触回線って何?」
恭文「……ち、小さかった頃の話なので、どうか」
ルカ(ゴーカイ)「へぇ、そうー。じゃあ今の話ってことでいいわよね」
恭文「誰がミジンコじゃああぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
ルカ(ゴーカイ)「うっさい馬鹿! そんなんだから、ハーレムネタで弄(いじ)られ続けるのよ! ちょっとはしっかりしなさいよ!」
アイム(ゴーカイ)「……」(ちょっと面白くなくて、膨れ顔)
古鉄≪アイムさんも飛び込めばいいんですよ≫
アイム(ゴーカイ)「そうさせていただきます。欲しいものはこの手で奪う……それが海賊ですし」
古鉄≪なお今年のハロウィンは盛り上がってますよ。エリザベートさんもブレイブとなり、宝具レベルMAXですから≫
ジガン≪制限バトルも戦力が揃っていたから、そこまで難しくなくてよかったの。なおデオンちゃんと茨木ちゃんが活躍したの≫
茨木童子(ぱんにゃコス)「イベント補正もあるが、ようやく……レベルマックスだからな! ふはははははは! これぞ鬼の力よぉ! だからチョコをよこせぇ!」
古鉄≪そしてここからは追記です。実はこんな拍手が届いていました≫
(※ ところでずっと疑問だったのですが、聞いてもいいでしょうか?
ver.2016 act.34 『爆発』で、アインへリアルの弾道砲撃を受けて
生きていた恭文なんですが、あれはこういうことだったのでしょうか?
砲撃着弾直前 オーラロードが開く
↓
恭文、オーラロード経由でバイストンウェルへ
↓
恭文、なんやかんやでシーラ様、エレ様にフラグ建てる
↓
地上に戻ろうとオーラロードをくぐろうとするも、別のバイストンウェルにいってしまう
↓
恭文、色々あってサコミズ王と仲良くなる
↓
このあたりで、砲弾が着弾し爆発
↓
爆発が収まったころ、恭文がオーラロードで戻ってくる
なんというか、死んでも不思議じゃないというか、むしろ生きてることの方が
不思議という事態になった場合、だいたいオーラロードが開いて聖戦士になってる
フラグだと思うんです。
で、結局のところ、どうなのでしょう?)
恭文「拍手、ありがとうございます。……実はそうなんです。ダンバインにも乗りましたよー」
古鉄≪楽しかったですよね≫
リイン「なのでオーラ斬りを身につけたのですよ! 聖戦士恭文さんなのです!」
はやて「んなアホなぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ! あれは【もっともあぶない刑事】のオマージュやろ! それ以外の何者でもないやろ!」
古鉄≪リターンズも混ざってますね≫
(おしまい)
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