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小説(魔法少女リリカルなのは:二次小説)
act.35 『変調』


あの事件から一週間――ようやく私の周囲は静かになった。もうね、事件後は本当にうるさかったの。

挙げ句、恭文君は私の話を全く聞いてくれない。着信拒否は続いている。


伝えなければならないのに。

理解させなければいけないのに。

そうすればきっと上手(うま)くいく。


あなたは間違っていた。

だから私を信じなさい……私だけを認めなさい。

GPOとも関わらないで。質量兵器も、瞬間詠唱・処理能力も使わないで。


スカリエッティも逮捕された……フェイトに逮捕された。そう事実を広める。

家族のため、去年と同じように配慮をしていく。

それがあなたのためだと……なのになぜ聞き入れないの。


あの子はなぜ変わらないの。六課という私の成果を見ながら……その上。


「どうしてなの」


今日、突然ある部署の提督に呼び止められて話を聞いたら……嘆かわしいわ。

あんなことをした上で賞金を受け取るなんて、ありえない。

あの子は本当に異常になってしまったというの?


それもこれもGPOや高町家の方々のせいだわ。

あとはあの下品な歌ばかりうたう、歌手達かしら。

あの子には資質がある。普通でさえいれば、フェイト達にも負けない、局のエースになれる。


そうして一緒に世界を、組織を守る大人となる。

それがきっと、あの子が幸せになる道だから。

なのに、どうして……いいえ、そんなことは決まっている。あの子は異常なのよ。


なぜ瞬間転送や物質変換を使ってはいけないか。

それは他の魔導師が、そんな真似(まね)できないからよ。

なぜできないか。それは存在するだけでパワーバランスを崩す悪だから。


なのにあの子はそれが使える。現に見て……フォン・レイメイとの戦いを。

一般の魔導師ではついていけない、あのおぞましい戦いを――。

分かるでしょう? あんな戦いは、あんな戦いをできる魔導師は、存在してはならないの。


そんなことがあっては、フェイト達が【英雄】になれないわ。

フェイト達以上に、強い存在はいらない。

フェイト達以上に、頭の働く人間もいらない。


フェイト達がこの世界で最強。全ての人間はフェイト達以下でなくてはいけない。

だからこそ自らを省み、自分を預けなければならない。

そうしてこの世界のルールに則(のっと)る、正しい魔導師となる。


私の言う通りにしたフェイトが『英雄』となって、そうじゃないあの子がこのありさま。

それが私の論理を、このルールを正しいと知らしめる何よりの証拠。

これは、絶対に分からせなくてはいけないわ。今の自分が異常であり、私達が正常だと。


そのためにはあの子達の近くへ置くことが必要かしら。

まぁ何とかして、連絡を取って話せば大丈夫でしょう。

ちょっと褒めて理解の姿勢を示せば……本当はそれも必要ないことだけど、今ここで失踪でもされたら困る。


あの子は自分から『英雄』としての仕事を放り出そうとしている。

それは許されない。それは私達と世界への裏切り。

だから思い出してもらうわ。あの場所――機動六課で、自分のやるべきことを。


あるべき人の姿を貫くみんなの背中を見てね。

そうよ、今ならできるわ。あの子は自分の間違いを突きつけられている。

賞金のことも私から提督や部署に話を通して、受け取れないようにしましょう。


そうよ、そんなことをしては駄目よ。

そうなってしまっては、あの子は更に『英雄』から遠ざかってしまうもの。

英雄に賞金なんて必要ない。大事なのは無償の善意。それで組織に尽くしていく姿勢が必要。


クライド、応援していてね。

私はようやくあの子を幸せにできるの。

ずっと、ずっとこのときを待っていたわ。


「……お願い」


二年前……あの男に、その取り巻き達に罵倒され、付けられた心の傷――。

ソレがまた疼(うず)き、胸を揺らす。


あのときから何度も、何度も叫んでいる。でもまだ、手は届かない……まだ、痛みは消えない。


「私を、信じて」


私を、助けて。


私があなた達を守るから……大人であるなら、組織の一員であるなら、全力で導くから。


だからお願い……私を助けて――! この痛みから、今すぐ救って。


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


リンディ提督は狂っている。本来ならすぐに放逐するべきだろう。

だが今のままでは、本当にやりかねない……それはリンディ提督だけに留(とど)まらない。

彼女のシンパ……筆頭でもあるフェイト執務官も、明確な処分が下せない。


その声を、社会的信頼を、失墜させる必要がある。

いや、封殺する。そのために我々は、苦渋の決断をする他なかった。


……うちの孫娘よりも小さかったな、彼は。


見舞いのことを、そのとき交わした約束を思い出し、新たな戦いを始める。

リンディ・ハラオウン――ハラオウン一派の駆逐という、改革の第一歩。


「――これで諸々(もろもろ)の準備は完了しました。秘書となる”潜入官”達にも、手厚い保証が行われます」

「ありがとう、スコット提督」


秘書達は局員でもなんでもない。

こういうことに特化し、訓練されたエリートだ。

リンディ提督の動向を見張り、その指示をまず我々に通達。


その上で問題ないようなら、外に発信することになっている。

……まぁ、そんなことは”間違ってもあり得ない”のだが。

凶人の命令で組織を動かすことなど、もう二度とごめんだ。


ただ問題が一つ。

提督自らが”外部”の人間と接触、通達する場合は止められない。

なので彼女のプライベート通信も含めた、全ての動向を二四時間態勢で監視。


査察部の協力もあるし、年単位の状況にも対応はできるだろう。

なおそこには、”彼”にも協力してもらった。彼女の通信網をジャックしていたからな。

その辺りで得た情報も提供してもらい……違法? そうだな、否定はせん。


だが”ゆえ”はある。今必要なのは、あの”恥部”を射殺す猛毒だ。


「ですが本当によろしいのですか」

「熟考した上でのことだ。……本人の望み通り、組織を守るために尽力してもらおう」

「その積み重ねで社会的信用を奪い、彼女を社会的に殺す」

「それには今しばらくの時間が必要だ。査察部からも背後関係を洗いたいと言われていたし、ちょうどいい」


そう、ちょうどいい。ただ……そこで、あの子の顔写真を出す。

以前仕事を引き受けてもらった、あの無茶苦茶(むちゃくちゃ)な青年。その顔がモニターに映る。


「ただ、彼にも苦労をかけるが」

「……ただの嘱託魔導師だったはずなのに、いつの間にか大きくなったというか」

「去年はヴェートルを、そして今年は管理局を、ミッドチルダ全体を救った。
ヘイハチ・トウゴウ最後の弟子――その意志はデバイスとともに、受け継がれているわけですな」

「彼がアインへリアル発射直後に制御を取らなければ、本当にどうなっていたか。まぁアースラを掠(かす)めたのはアウトですが」

「仕方あるまい。制御系に難があったのは確かだ」


当然その辺りも問題視されたが、後の検証で『事故』と判断された。

そもそもどこにも落とせないと言われ、混乱しきっていた状況だ。冷静に判断できないとしても仕方ない。

そう……彼はミッドを救っている。少なくともフェイト執務官よりはずっと働いている。


それはあの事件に関わり、彼の動きを知る者なら、誰でも分かることだ。

だがそれは、機動六課の実働メンバーも同じだ。評価を改めなくてはいけない。


なのに――。


「……なぜリンディ提督は、それを認められないのでしょう」

「全くだ。彼を【英雄】とするなら、機動六課もまた【英雄】――想定以上の働きをしたと言えるのに」

「認められるはずがないさ。認めたら最後、人生が間違っていたと突きつけられる」


自分の理念を説き、教え、従わせた人形達が、栄光を得られる。

それこそが彼女の狙いであり、彼女の全て。だが現実はどうだ?

機動六課も、彼も、その教えに背き、真実を明らかにする戦いで勝利した。


その上で栄誉を手にした。それは人生の否定だろう。

だからこそ我々を、組織を脅した。

自身のやり方を認めなければ――そう言って、存在意義を取り戻そうと足掻(あが)く。


最高評議会の犯罪についても、デマだと頭から決めているようだしな。

そういう意味でも、あの女は狂っていた。だからこそ言える。

奴は間違いなく裏切り者だ。いずれ第二の最高評議会となり得る癌(がん)。


だからこそ裁きは下す。


「だからこそ愚かな女だ……管理局がなぜ、非殺傷設定を推奨しているか」

「なぜあれだけ暴れた戦闘機人達にも、更生の道を示すか。……ただ殺し合うだけでは、いずれ世界という器から人がいなくなる。
長い戦争時代で先人達は学び、非殺傷設定でその悪循環を断ち切ろうともがきました」

「それはつまるところ、”間違いと向き合い、やり直す道を示す”ことに他ならん」


機動六課は世界を救った英雄であると同時に、管理局員としての矜持(きょうじ)を、各々のやり方で体現したとも言える。

……だからこそ許せない。


「だからこそあの女とハラオウン執務官は、局員の資格をなくしている。
自らの間違いにすら向き合えないのなら……人の心を正すことなどできん!」

「その通りです。我々もまた、一人の人間として、組織と自らの罪に向かい合うときですから」

「そこから逃げるのであれば、否定するしかない。……たとえ、どのような相手だろうと」


そうして懸命に動き、戦った部下達の働き……奴らはそれすら踏みつぶした。

その愚行は必ず償わせる。たとえ時が必要だったとしても……必ずだ。


何度でも言おう。

奴らは局員ではない。我らの仲間でもなければ、家族でもない……それが現実だ。


そして我々が立ち向かう現実は、まだ多く存在している。


フェブルオーコードの完全な撲滅。

量産型オーギュストに関わる技術の完全封印。

我々が今まで逃げていた、セカンドセーフティの構築。


変わることは大変だ。だが成し遂げていこう……一つずつでも、確実に。




『とある魔導師と機動六課の日常』 EPISODE ZERO

とある魔導師と古き鉄の戦い Ver2016

act.35 『変調』




◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


嬉(うれ)しいことに満ち足りた生活を送っていると、余計に辛(つら)いことや悲しいことが目につく。

それは真っ白なテーブルクロスで、小さなシミが目立つのと同じことで……今日、悲しいことがあった。

例の提督が、私のお願いを聞けないと言ってきた。私はなぜかと問い詰めた。


あんな額の賞金を出すのは困るし、出せないようにするのは局に必要なことだと説いた。

そう、改革にはお金が必要なの。

あの子のやっていることはその邪魔も同然。それはこの世界に住む人間への裏切り。


そんな裏切りで罪がこれ以上増えないように、私達は配慮するべきだと……なのに。


――申し訳ないが、あなたの命令は聞けない……そういうことです。それに査察部も動いています――


査察部が動いてるから、そんなことはできないと言ってきたわ。

実際に呼び出しを食らっているとか。

だから私はこう返してあげたの。


――胸を張りなさい。私達は組織のために正しいことをしているわ。私を信じて……それだけでいいし、それだけが全てなのよ?――


……なのに、おじ気づいた。

正しいことを貫くこともできず、私と組織を裏切ってしまったの。

もうね、本当に悲しいわ。


なぜ組織のために、正しいことを貫けないの。

なぜ私の言葉を、誰も信じようとしないの。

私は特別総務統括官――世界を救った英雄なのに。


いっそ私が直接、あの子を説得しようと思った。

でもそれは駄目。だってそんなことをしてしまったら、私の計画が狂うかもしれない。

下手に機嫌を損ねて、また旅にでも出られても困るもの。


悲しいけど、ここは諦めるしかない。

まぁ、いいわよね。

その分局に入ったら、私のためだけに働いてもらう。


それが【英雄】よ。

理想とする世界の入り口が見えてきて、一人執務室で笑っていた。


そうよ、私は隔離などされていない。今はただ、時期じゃないだけ。

私の声は届く……人の心を動かし、世界を変える。

そう信じるのよ。じゃないと……私が、おかしい人みたいだもの。


信じ抜くの。成果を上げれば……あの子を取り込み、利用すれば……!

いいえ、あの子だけじゃない。機動六課よ……彼女達の力があれば、私ははい上がれる。

牢獄(ろうごく)のような場所から脱出し、真の親和を叫び、取り返すことができる。


クライド、あなたも笑ってくれているわよね。

これは神に近づいたからこそ、与えられた試練だもの。

愚者は英雄の足を引っ張り、その手柄を奪おうとする。


でも私は負けないわ。私は真実を叫び続ける――おかしいのは私じゃない、世界の方よ。


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


どうした……もんかねぇ。

内偵を始めた直後に、尻尾を出してくれるとは思わなかったよ。


しかもこれはあり得ない。

賞金っていうのはね、正当な対価だよ。

非局員が危険を承知で私らの仕事に――治安維持に協力してくれたことへの報酬だよ。


それで払い渋りなんてあっちゃいけない。

あっていいのは、それが正当に出すものだと審査する時間だけ。

では今回のはどうなっているかというと、明らかに正当だ。


もちろん受け取り手続きをした方がね。


「ふむ……」


自分の仕事部屋で、あの子が何度も書き直した、書類に改めて目を通す。

……これは明らかに払い渋りだ。

億単位の金額を出せないと渋って、するべきお礼を潰しかけた。


しかもそこには、本来無関係なはずのリンディ提督を巻き込んで……私らの組織はここまで腐っているのかと泣きたくなる。

ホント、レジアス中将を見習ってほしいよ。

レジアス中将――レジィ坊やは、本当にきっちりしていた。


まぁあの子がやらかしたことを考えると、嘘みたいだろうけどね。

あの子を昔から知っていた人間としては……いや、やめよう。

今度あの子の墓に行って、一言言えば済む話だ。


リンディ提督に同調していた関係者は、全員処罰対象にする。

あとは後のことだよ。


機動六課はこのままにはしておけない。

……心が本当に痛い。

今から取る行動は矛盾だらけ、そして卑劣だ。


私らはあの子達を散々利用した挙げ句、捨てるかもしれない。

こんなことをしてはいけない。これでは一年前と何も変わらないとも思う。

でも、逃げるわけにはいかないんだよ。


改めてこの組織と向き合い、矛盾や歪(ゆが)みを正す必要がある。

それがたとえ『奇跡の部隊』だろうと、必要なら消さなくちゃいけない。

もちろんそれが私らなら、私らも消える必要がある。


それがこの組織そのものなら……そういうことなんだよ。


「提督」

「悪いけどあの子、呼びつけてくれないかね」

「了解しました」


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


真山さんの求愛をすり抜け、鷹山さん達に背中を押され、旅は続く。

なお早苗さんについては……そ、その……ドキドキしたけど、ごめんなさい……ごめんなさい。


一旦本局へ戻り、フォン・レイメイの賞金三億を無事にゲット。

シグナムさんやリインも証言してくれたので、ここは……まぁ苦労はした。

どうも出し渋りがあったみたいでねぇ。その辺りはしっかり論破したので問題なし。


いやー、最後に【査察部に連絡しているから】と言ったときの、担当の慌てっぷりを見せてあげたいよ。


それじゃあ次の行き先へ――というところで、いきなり呼び出しだよ。

僕は人知れず本局の高層階へ。

一般局員は基本立ち入りな場所へ入ると、あのおばあさんが険しい表情で待っていた。


「ミゼットさん、早速ですけど、どついていいですか」


僕の軽いジョークに身構える取り巻き達を、ミゼットさんは左手で制する。


「それはやめとくれ。ここで殴られると、私がよくても周りが許しちゃくれない」

「理不尽ですよねぇ。許されないことをしたのはどっちなんだか」

「あぁ、そうだね。……単刀直入に言おう。リンディ提督から呼び出しを受けてるね」

「耳の早いことで。特別扱いされてるんですね、あの人は」

「そりゃあもう。VIP待遇も真っ青さ」


……やっぱり内偵は進み、あの人への監視体制は継続中か。

リンディさんの行動及び通信などの通話も、今はミゼットさん達に筒抜け。

いや、それは機動六課メンバーもなのかな。こうなったらもう、僕にはどうしようもない。


「そのVIPと仲良くして、いろいろ探れっていうならお断りだわ。もう面倒くさすぎるよ、アンタ達のおままごとは」

「察しがよくて助かるよ……と言いたいけど、さすがにないって。アンタも関係者だもの」

≪本当におままごとですよねぇ。部隊員達を利用した挙げ句、予定していたフォローも台なし寸前しょうから。
最高評議会に散々利用されたリンディさんも、逮捕されなかったとしても……もう出世は見込めない≫

「というか、ハラオウン一派全体が? 余りに巨大な派閥になりすぎたのが、利用された原因ですし……で、用件はなんですか」

「もし六課や局に入れと頼まれても、絶対に引き受けないでほしいんだ。というか……どうだろう。しばらく旅にでも出てみるのは」

「そのつもりですけど。というかもう出てます」


ここにも賞金受け取りのため、一時的に戻っただけだから。

なので肩を竦(すく)めると、ミゼットさんが拍子抜け。


なお旅に……というのは、”内偵が終わるまでは関わるな”ってお話だよ。

僕が関わると、いろいろ荒れて面倒なんでしょ。人気者は辛(つら)いねー。


「そうだったのかい。なら……旅費は私が出すよ」

「理由は」

「察している通りだよ。私らの『おままごと』が済むまで、六課や次元世界から距離を取ってほしいんだ。もちろん執務官達とも」

「その結果クロだったら、遠慮なく切り捨てると」

「……それが組織さ」


苦い顔で答えてくれたので、ため息混じりに首振り。

それから背を向けて部屋を出た。


「ありがとうございます。じゃあ領収書はタップリ付けておきますので」

「礼はいらないよ。……言われる権利は、本当にない」


それでも礼は必要と考えた。

やんわりと警告してくれたのよ。

……下手にかばうと、僕も危ないってさ。


行動や通話関係も筒抜けだから、接触したことで加速する可能性もある。

六課へ入るのはそれなりどころか、次元世界での社会的死というリスクが……もちろん、犯罪者となった上でね。


とはいえ、なぁ。

これは助けられないもの。

それに救いもある。


ハラオウン一派が臭いのは、トップとその娘だけ、とも言える。

はやてやなのは、機動六課の面々は、最終決戦の働きでそれを払拭した。

みんなもまた、そのトップに反逆したわけだ。だからこそリンディさんが荒(あら)ぶるんだろうけど。


……はやて達には、警告だけしておくか。内偵については説明できない。

でもリンディさんの状況と、そこから予測される行動は……それくらいは、いいよね。


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


そうして一億円を、クロスフォード財団の基金に募金。

事件・事故の被害者遺族に対するものでね、奴への嫌がらせに預けたのよ。

散々好き勝手してきたから、死んだお金で御奉仕しろってね。きっと地獄で苦笑していることだろう。


……僕はそっちに行けないだろうから、楽しんでくれるといいけど。


とにかくヒロさんのお父さん達が、責任を持って預かってくれた。お金が変なところへ行き着く心配もない。

では、残り二億はどうするのか――地球へ戻って、電車に飛び乗る。


――東京(とうきょう)から電車で三時間。

途中二回ほど乗り換え、最終的にはローカル線でのんびり進む。

日本海(にほんかい)側の豪雪地帯で、岐阜県(ぎふけん)との県境近くに所在。


鹿骨(ししぼね)市という地方都市の外れで、まずは隣接する興宮(おきのみや)地区の中心駅【興宮(おきのみや)駅】に降り立つ。

あのね、電車が通ってないのよ。更に路線バスなどもなく、雛見沢(ひなみざわ)には歩きで向かう。


そうして久々に降り立った興宮(おきのみや)……うーん、やっぱ空気が違うなー。

駅から出て伸びをすると、後ろに人の気配。


「忍び寄るとは趣味が悪いねぇ、魅音」

「……く、相変わらず勘がいいねぇ」

≪当たり前でしょ、私達ですよ?≫


振り返ると、翡翠(ひすい)色の髪をポニテにした、可愛(かわい)らしい女の子が立っていた。

スタイルはグラマーで、本日はセーラー服。あぁ、これは……興宮(おきのみや)の高校か。


「やすっち、久しぶりー! 出迎えにきたよー」

「久しぶり、魅音ー」


というわけで、ハイタッチ。いやー、このノリも久々だなー。


――この子の名前は園崎魅音。

興宮(おきのみや)界わいを牛耳る資産家【園崎家】の後継者であり、僕のお友達。

園崎家はこの辺りの経済のみならず、市議会にも顔が聞いてね。


更に分家は極道でもあるという……でもみんないい人達だよ? 面白いし。


「葛西に車も用意させてるから……まずは入江(いりえ)診療所?」

「うん。でも悪いね、圭一達にも内緒って」

「いいっていいってー。さすがに全部の行動をって言われたら、困ってたけど」

「圭一とデートもあるだろうに」

「んな! そ、そっちは別にいいから! 今日はデートとかなし! この後みんなで、出迎える準備中だし!」


そうそう……魅音には現在、前原圭一というボーイフレンドがいます。

それも親どころか、雛見沢(ひなみざわ)村民全員が認める公認カップル。

なので僕とアルトも、ほほ笑ましく見守っているわけで。


≪本当に残念でしたね。会うタイミングが前後していれば、魅音さんのバスト九十一・Gカップなオパーイはあなたのものだったのに≫

「「おいこら待て!」」

≪でもこの人、巨乳フェチですよ?≫

「あ、それは確かに」

「おのれも納得するなぁ!」


そう、応援しているんです……しているの! ほんと、ほほ笑ましいんだから!


「……で、例のものは」

「アルトに仕舞(しま)ってもらってる」

「念入りだねー。でもこてっちゃん、こういうときは便利だなぁ」

≪こういうとき? 便利? 違いますね……私は常時至高なんですよ≫

「……付き合うのが大変そうだけど」

「いつものことだから」


そうして到着したリムジンに乗り込み。


「葛西さん、お久しぶり」

「どうも」


グラサン・黒スーツな運転手――葛西さんに挨拶。

車は安全確実に走り出し、隣の魅音と改めて話。


「それでやすっち、本当にいいんだね。監督はもちろん、私も助かるんだけど……命がけで得たお金だし」

「自分の利益はしっかり確保してるって。それにほら、万が一研究が止まったら、僕もヤバいし?」

≪あなたは今のところ感染してませんけど、念には念を……ですね≫

「情けは人のためならず、かぁ」

「それほど立派じゃないよ。でも」


一応六月の……綿流しのときにも来てるんだけど、相変わらずの平和さで、窓から見える景色ににこにこ。


「相変わらず平和だね、ここは」

「そりゃあもう。……あ、でも高速道路が通ったら、また変わるかな」

「通りそうなんだ」

「もう祟(たた)りなんてないからね。陳情しまくりだよー」


はい、実は雛見沢(ひなみざわ)村、観光名所なども少なめではある。

あるんだけど……新しい高速道路が経由するそうです。

そうすれば中継地点として、ある程度の流通と経済効果が見込めるのよ。


それは雛見沢(ひなみざわ)及び興宮(おきのみや)を発展させるもので……だから魅音も嬉(うれ)しそう。

魅音も……それに他の仲間達も、この村が大好きだから。


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


というわけで、村で唯一の診療所――入江診療所に到着。

魅音が”監督”と呼ぶのは、診療所の長(おさ)である入江先生。

先生、雛見沢(ひなみざわ)ファイターズっていう少年野球チームで、監督もしているのよ。


落ち着いた茶色の髪に眼鏡という風貌で、先生はほほ笑みながら僕を迎えてくれた。


「蒼凪さん、お元気そうで何よりです」

「先生、お久しぶりです。それで……これが」


アルトからケースを取り出し、診療室の一角に置く。その上で開くと。


「お約束の研究費用、二億です」

「……本当に、よろしいんですか」


監督はこれだけのお金を前にしても、目の色一つ変えない。

僕を見て……心から、申し訳なさげにする。


「あなたにはこれまでも、多額の支援をしていただきました。これはその数十倍という額です」

「えぇ」

「確かにあの事件が解決後、”東京(とうきょう)”も潰れ、症候群の研究費用も厳しい状況です。
しかしそれは、今までが潤沢すぎたとも言えます。実際特効薬の開発も進んでいますし、これ以上はさすがに」

「監督、それはもうわたしが聞いた。自分の利益は確保してる……ホントだよね」

「一億五千万だよ」


というわけで、賞金支払いの明細書を見せてあげる。

……レジアス中将を確保する途中で倒し、フォン・レイメイと蹴散らした暗殺者集団。

更にスカリエッティのアジト確保やら、様々な善行により重ねた協力感謝費。


それらが合計五千万……それももらっているので、魅音と監督は安心させておく。


「大丈夫ですよ、無茶(むちゃ)はしてません。……トラブルが向こうから押し寄せてくるだけで」

≪毎回ハチャメチャなんですよ、奴ら≫

「そ、そう……ですか」

「やすっち、相変わらず運が悪いんだ……!」


……この村には、ちょっと特殊な風土病があってね。

入江先生は診療所の先生であると同時に、その研究機関の所長さんでもある。

ただスポンサー組織やら、その辺りの支援は、とある事件をキッカケに潰れてしまった。


それでも風土病撲滅の必要があって、国からある程度の支援はされている。

そういう状況になってから、実は……ちょくちょく、募金をしていて。

もちろん生活に支障が出ず、無理のない程度に。バウンティハンター生活は、それには持ってこいだった。


ただ入江先生としては、やっぱり心配してくれている。

そのために僕が、相当無茶(むちゃ)をしているのではと。

魅音も同じくだ。この話は圭一達にも黙っているから、余計に。


無茶(むちゃ)はしてないんだけど、確かに個人の出せる額じゃないからなぁ。


「それに」

「はい」

「この賞金の元となった奴は、本当にヒドい奴でして。欲望のままに人を殺すわ、女性を攫(さら)って辱めるわ。
……だから使ってください。沙都子や悟史、この村の人達を助けるために」

「蒼凪さん」

「あとは僕も感染したら、助けてくださいね」


僕のためでもある――そう念押しした上で告げると、先生はようやく表情を緩める。


「分かりました。ではこのお金は富竹さんとも相談の上、予算に計上させていただきます。
……それでお約束します。あなたの願い通りに、一円の無駄遣いもしないと……これまで通りに」

「お願いします、入江先生」


こうしてフォン・レイメイの賞金三億は、世のため人のため、奇麗に使われることが決定した。

本当はスカリエッティの賞金もプラスしたかったんだけど、仕方ないかー。


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


入江診療所を出た後は、再び興宮(おきのみや)に戻る。

先ほども言ったように、園崎家は本当に大きな家だ。

そのため商売も手広くやっている。飲食業、風俗……おもちゃ屋さん。


訪れたそこも、魅音と妹の叔父がやっているお店。ただ……えっと。


「ねぇ魅音」

「見ての通り、改築したんだよ」

「そっかぁ。でも、あの」


改築はいいんだ。問題は……それまで二階建てで、普通の民家サイズだった店が。


「いきなり近代化しすぎじゃない!?」


三階建ての立方体となっていた……それもデカい! 今までの三倍くらいサイズが!


≪しかもこれ、全部店舗ですよね。それまでの二階部分、住宅区画だったのに≫

「まぁまぁ。それも中に入ってからだってー」


そうして魅音に背中を押されて入ると……うぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!


「す、凄(すご)い……バトルベースだー!」


ガンプラバトルの真っ最中だった。

ただのバトルベースじゃない! ユニットを七機連結した大型タイプ……しかも!


「あれ、試作型だよね!」

「あ、よく分かったねー!」

「同じものを見たことがあるんだ。トオルの家で」

「あぁ、それで……知り合いから安く譲ってもらってね。OSや内蔵部品なんかはアップデートしてもらってるけど、外観はねー」

「まさか改築って」

「せっかくだからプラモ関係を大幅パワーアップしてみた」

「また気軽な!」


というか、ここでガンプラバトル……集客は望めるのだろうか。

そんな不安を感じながらも、店内を進むと。


「おぉ、やっときたか! 待ちくたびれたぞ!」

「魅ぃちゃんー、恭文くんー♪」

「こっちなのですー」


みんながいた……なので近づきながら、軽く手を振る。


「圭一、レナ、梨花ちゃん、ごぶさたー」

≪どうも、私です≫

「おう! ……大変だったらしいけど、相変わらずっぽいなぁ」

「楽しいパーティだったよ、今回も」


こちらの黒髪&ノーネクタイシャツ・スラックスの男子が、前原圭一。

雛見沢(ひなみざわ)分校の中学三年……と言っても、分校の人数はかなり少なくてね。

どの学年も一緒に勉強しているような状態で、学年分けには余り意味がないんだけど。


「もうね、見せてあげたかったよ。僕がアクシズを止めるところ」

「それは逆シャアだろ! というかそれだとお前、死んでるだろ!」

「恭文くん、相変わらずあぶない魔導師さんなんだね……だね」

「レナには負けるよ」

「レナは魔導師さんじゃないよ! というか危なくないもん!」

『え……』

「圭一くん達がヒドいよ! どうして首を傾(かし)げるのー!?」


オレンジショートの髪を揺らして笑うこの子は、竜宮レナ。

圭一と同じく中学三年で、魅音の後輩であり親友。


「そう言えば梨花ちゃん、羽入(はにゅう)は。というか悟史と沙都子、詩音も」

「四人ならあちらなのですよ」


ダークブルーの長髪を揺らし、店内の一角を指差すスレンダー少女は。


「そうなのですね……やっぱり恭文は羽入がお気に入りなのです。
大きいから……ボクのように、小さくないから」

「違うよ!?」


この子は古手梨花。

雛見沢(ひなみざわ)にある古手神社の跡取り娘。


今は金髪・ショートな同級生、北条沙都子と一緒に暮らしている。

それと紫髪・ロングで、角付きな”従姉妹(いとこ)”古手羽入とも……おぉ、いたいた。


羽入と沙都子は、揃(そろ)ってガンプラ作り。

なおその間には、魅音そっくりな女の子。こっちはストレートヘアーだけど。

それと沙都子に印象がよく似た、線の細い男の子がいる。


ストレートヘアーの子が、園崎詩音。魅音の双子の妹で、沙都子の”ねーねー”。

男の子は北条悟史――沙都子の兄で、最近復学したばかり。


「後でもいいかな、アレは」

「そうだねー」


レナも四人の様子がほほ笑ましいのか、ニコニコしながら見守っていた。

でも悟史……大変そうだなぁ。いや、工作がどうこうじゃないの。

詩音が……やたらとくっついている。こう、圧力を感じているみたいで。


それを沙都子が諫(いさ)め、詩音が突っ走り、羽入が慌てる。

わいわいしつつも、少しずつ自分のガンプラを作り始めていた。


「このお店ができてよかったよー。ガンプラバトルも今まで以上にできるし、道具もいっぱい揃(そろ)ってるしー」

「悟史に関しては、手先のリハビリにもなるしな」

「みたいだね。でも詩音、めっちゃくっついてない?」


ただその中で特筆すべきは、やっぱり詩音で……おのれ、こっちに気づいてるでしょ。

視線がちらちら向いているのよ。あとね……ちょっと殺気を向けるな!

分かったよ、邪魔しないよ! 今はラブラブしたいんだね、分かります!


「あ……恭文君! ごめん、気づかなく」

「悟史くん、駄目です! 今は私だけを見てくださいね……そう、私の鼓動を感じ取ってください」

「ガンプラ作りはどうしたの!?」

「そうですわよ! 詩音さん、ここをいかがわしい場所と勘違いしておられませんか!?」

「恭文ー♪」


そこで羽入が飛び込んでくる。

なのでしっかり受け止めハグ……あぁ、相変わらずいい匂い。

それにその、大きいのが……うぅ、いけないとは思うけど、ドキドキする。


「は、羽入……あの、くっつきすぎじゃ」

「いいのです……心配してたですよ。ぼくも、みんなも……あなたは本当に、運が悪いから」

「……ごめん」

「謝らなくていいのです。でも……寂しかったので、ちゃんと感じさせてください。あなたの鼓動を」


でもあの、やっぱりドキドキするんです……! だから胸を、ぎゅーってしないで!


「恭文、もういいのです……無理をする必要はありません。
ボク達はみんな知っています。あなたが……巨乳フェチだって」

「どういうこと!?」

「それは運命……そう、もはや運命なのです」

≪そうですね、運命です。避けられませんよ≫

「おのれ、散々運命は超えられるとか言ってなかった!?」

「何ですか、その中二病……嫌だ、怖いのです」

「おのれだぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」


そして光が飛ぶ――顔面にそれを受け、床に倒れてしまった。


「恭文くんの変態! そんな……お胸ばっかり見てるのなんて、駄目なんだよ!? というか、羽入ちゃんもくっつきすぎー!」

「ま、また反応しきれなかった……レナのレナパン」

「恭文、しっかりするのですー!」

「やすっちでもこれは避けられないかー」


そう、レナパン……レナは光速の拳を放つことができるのだ。

それは当然フェイトよりも、トーレよりも速い。

もちろんオーギュストよりも……僕があれらを一蹴できるのは、レナパンのおかげと言っていいだろう。


「レナもくっつきたいですか? ならぼくはウェルカムなのですー♪」

「ち、違うよ! レナ……恭文くんのことなんて、何とも思ってないんだからね!?」

「そう……よかった、僕と同じだね」

「む……!」

「また始まったぞ、おい……!」

「そこでやり返すのは、恭文さんくらいですわ」


なので立ち上がり……羽入にも一旦離れてもらい、笑顔でレナと対峙(たいじ)。


「それなら安心してほしいな。レナは恭文くんのこと、ニッパーで切り落としたダボ程度にしか思ってないから」

「僕はレナのこと、ヤスリがけしたときに出てくる粉程度にしか思ってないよ」

「むしろ空気かな、恭文くんは」

「なるほど、空気がなければ人間は死んでしまう……レナは僕がいなきゃ、生きていけないんだね」

「はう!?」

「凄(すご)い切り返しきたー! さすがやすっち、天性のカウンターパンチャー!」

「カウンターというか、ただのサディストでございましょう?」


沙都子が失礼なことを言いながら、こちらにやって来た。

え、詩音と悟史? 大丈夫、まだR18には突入していない。


「あれれ、それだと嘘をついたのかなー」

「嘘じゃないよ! 存在感がないって言ってるの! そ、そういう恭文くんこそ……レナのこと、空気みたいに大事って思ってるくせに!」

「いやいや、それはレナだよ。もっと素直になりなよー。僕のことが大好きなくせにー」

「恭文くんに言われたくないかな! 本当はレナのこと好きなくせに、意地悪するんだもの! しかも本命の人がいるのに……浮気者だよ!」

「あぁ、大丈夫」


そう、大丈夫……だって……ついあらぬ方向を見つめてしまう。


「本命フラグ、今回の件で潰れたから――」

「はう!?」

「あはははは、さすがに無理だろうなぁ……いや、でもなぁ……無理だよなぁ……戦略級砲撃、ぶちかまされたし」

≪百メートル圏内に着弾して、キロ単位の爆発でしたからねぇ。あれは間接的なお断りですよ≫

「そんなレベルじゃないのですよ!?」

「それでどうして生きてるのよ、アンタ達……」

≪「僕(私)達、運がいいから」≫

「嘘つくんじゃないわよ! そんな攻撃を受けている時点で、運が悪いって言うのよ……普通は!」


梨花ちゃんの口調が変わったけど、レナはそんなことにも気づかない。

明らかに動揺するも、すぐに腕組みしてそっぽを向く。


「そ、それは……それは、お気の毒様! でもレナは優しくなんてしてあげないから!
うん、素直じゃない子には優しくしないもん! まぁ、恭文くんが素直になれば……考えてもいいけど!?」

「それはこっちの台詞(せりふ)だよ」

「出ましたわ、恭文さんの必殺技! これをやられると」

「どういうことかな! レナは素直だよ! 恭文くんのことなんて好きじゃないし、何とも思ってないって正直だよ!?」

「それはこっちの台詞(せりふ)だよ」

「むかぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」


レナが激怒……なぜだろう、僕は真実だけを告げているのに。

あぁ、人と人が分かり合うのは、こんなに難しいのか。そりゃあ戦争も起きるわ。


「相手は無条件に、怒りを誘発されるのですよ。にぱー☆」

「ああもうやめやめ! というか毎回しなきゃ気がすまないの!? そのバカップル大会!」

「ホントだぞ! お前ら、どう見ても好き合ってるからな!? どう見ても思い合ってるからな!? ただのツンデレ同士じゃねぇか!」


そして閃光(せんこう)が突き抜ける――。

魅音とレナはリーチ無視の拳に撃ち抜かれ、そのまま床に倒れた。


「魅ぃちゃん! 圭一くんも何言ってるのかな! かな!」

「それは、こっちの……台詞(せりふ)だぁ」

「ぱーと……つぅ……」

「圭一達は迂闊(うかつ)だなぁ」

「「誰のせいだと……!」」


――これが、雛見沢(ひなみざわ)に済む僕の友達たち。

騒がしくて、馬鹿らしくて、でもみんな真っすぐで、面白い。

そんなみんなとの出会いも、いつか話せるときがくるだろう。


それはそれとして――やっぱ僕もバトルだよ、バトル! さぁ、楽しむぞー!


「恭文君」


そこでようやく、悟史と詩音が合流。

沙都子と悟史がアイサインをすると、沙都子が僕に一つの箱を渡してきた。


「これは……!」

≪HG ダブルオーガンダム――ガンダム00二期の主役機体じゃないですか≫

「今日入荷したばかりですのよ。一応の生還祝いということで、わたくし達からプレゼントです」

「え、いいの!? 最新キットなのに!」

「大丈夫ですよ、やっちゃん。というかそれ……値引きされて七二七円ですし」

「安!」

「一人百円ずつだったぜ……!」


なんて安いの、僕の生還! でも……最新キット……ダブルオー……なので優しく受け取り、みんなにお辞儀。


「ありがとう、みんな! よーし、早速作ってバトルだー!」

『おー!』


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


――というわけで、早速箱を開けて工作開始。

なお工具も持ってきたので、ぱちぱち……すると、何ということでしょう。


「あの可動範囲、恐ろしかったね……! 開脚した上で、両足がつくんだけど!」

≪あなたの苦手なABS素材も使われていませんから、加工も楽ですね。面倒なのははめ込み式のクリアパーツくらいですか?≫

「そっちも構成を見るに、何とか後ハメできる……かな」


そう言いつつも、バトルベースにダブルオー(素組み)をセット。


≪BATTLE START≫

「蒼凪恭文、ダブルオーガンダム――目標を駆逐する!」


アームレイカーを押し込み、カタパルトを射出――。

バックパックからアーム接続されている、二つの太陽炉が稼働。

メインの推進力となり、そのままダブルオーを押し出してくれる。


宇宙空間を滑るように飛び、その性能に驚いてしまう。


「おぉ……素組みなのに軽快だー! これが最新キットの力か!」


そう言いつつ、左手のマーキュリーレヴ<ガンユニット>を操作。

レールガンを展開し、チャージ開始。

更にツインドライブを前面に向け、粒子フィールド展開。


回転する二つの粒子が、放たれたザクマシンガンを受け止め、尽く散らしていく。

その間にチャージ完了――上昇して、狙撃ビーム三発を回避。

ツインドライブは両横に向け、左右交互に粒子噴射。


不規則なスラロームを繰り返しながらも、砲身をマシンガンの発射地点に向け……トリガーを引く。

稲妻とともに放たれた砲弾が、八百メートル先の標的を――作られたばかりのザクIIを撃ち抜く。


『はう!? 恭文がヒドいのですー!』

「やかましい!」


ツインドライブを前面に向け、粒子噴射。

後方への急加速で、展開していたドラグーンによる射撃を回避。

レールガン砲身を折りたたみ、ガトリング展開・掃射。


前面にまき散らされた弾丸を回避し、ドラグーンは上に昇る。


「サラッと僕対おのれらに」


……同時に加速する、ストライクフリーダムをチェック。

その鋭い斬り抜けを、ソードユニット中央のビームサーベルで受け止め、流しておく。


その上で刀っぽい形状の、片刃ブレードを展開。

逆手持ち状態で一回転し、飛び込んできたドラグーン四基をなぎ払い、両断する。


「なってるでしょうが!」

『これを防ぐ奴に言われたくないぞ! というか』


……そこで三時方向に鉄機反応。

というか、膨大なエネルギーを感知。


慌てて急上昇して、放たれた黄色い奔流を回避。

するとすぐさま通り抜けるのは、白い巨大なMA……てーか、HGのデンドロビウム!?


方向転換したデンドロビウムが、再加速――。

左のアームから大型ビームサーベルを取り出し、そのままなぎ払い。

当然受け止められる出力ではないので、その刃を、突撃をすり抜け、何とかやり過ごす。


……そのとき、ビームサーベルユニットを展開し、そのままデンドロビウムに突き立てる。

左側のコンテナは加速の勢いもあって、自ら中心部から切り裂かれてくれた。


結果中の弾薬が誘爆し、遠方でデンドロビウムが爆発。

……ただ武装コンテナの片側だけだから、また襲ってくるだろうなぁ。


『うがぁぁぁぁぁぁぁ! この日のために作ったデンドロビウムがー!』

『……恭文くん』


そう言いながら、サラッと背後を取ってきたのは……レナだった。

慌てて左にスライド移動。打ち込まれた鉈(なた)を何とか回避する。


レナは……うぉ、新機体か! サンドロックだけど、デカい鉈(なた)装備って!



『瞬間接着剤で合わせ目を消して、マーカーで部分塗装&スミ入れ。更にウェザリングとつや消しスプレー。
その上マーキュリーレヴを装備させたのは、素組みとは言わないと思うなぁ』

『ほんとですよ』


今度は詩音……そこで走る直感に従い、一気に身を伏せる。

頭上すれすれを通り過ぎる、サーベルでのなぎ払い。


それに合わせ、ビームサーベルユニットを再展開――。

後方に走るビーム刃が、姿の見えない襲撃者を貫く。


こっちはゴールドフレーム天ミナか! ミラージュコロイドは怖いって!


『……って、もうやられちゃうんですか、私! 悟史くんー!』

『む、むぅ……』


詩音には構わず踏み込み、ビームサーベルで左薙の切り抜け。

レナの鉈(なた)と衝突・交差しながら、一気に距離を取る。


「いや、何となく嫌な予感がしてたから」


てーかこのメンバーが集まって、ゲームでしょ? 絶対何か仕掛けてくると思ったわ!

ヤバい……【素組み】でコイツら相手とか、きつ過ぎるー! 特にデンドロビウムを持ちだした魅音!


『そう言えるのなら、恭文も立派に部活メンバーなのですよ』

『本当ですわ』


……そして、僕の前面に展開するのは、無数の機雷。

慌てて急停止し、四時方向・下四十度に加速すると。


『にぱー☆』


実に可愛(かわい)らしくデコレーションされた、アッガイがぶん殴ってきました。

その拳をガンユニット表面で受け止め、滑らせながら脇に流す。

すると今度は、ザクマインレイヤー――機雷の主が突撃。


そのまま跳び蹴りを胴体部に食らい、機雷の中心部にたたき込まれる。


「……おのれら、それでもいいの!? 僕に攻撃したら、生還祝いが粉々だよ!」

『恭文くんこそ、その発言はいいのかな! かな!』

『全員、やっちまえー! 心配かけたお礼参りだー!』

『おぉー!』

「この鬼どもがぁぁぁぁぁぁぁぁ!」


――そして機雷の連続爆発が発生――それをGNフィールドで防ぎ、加速ですり抜けつつも戦いは続く。

久々のバトルを。

全力で戦える喜びを。


受け止めてくれたみんなのおかげで、めいっぱい楽しんでいく。


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


母さんは私にこう言ってくれた。私とシスターシャッハが取った行動は、正しいことなんだと。

でも私達は、スカリエッティを逮捕できなかった。

母さんは、『それは違う』と慰めてくれた。


投降などは認められないし、認めてはいけない。

母さんはそう言って、私のために戦ってくれている。

ヤスフミにも、去年と同じように、大人の配慮をするようお話してくれている。


そんな自分を――それを正しいと言う自分を信じてほしい。

それが家族であり仲間だと……だから私はこう聞いてみた。

それならヤスフミはどうなるのかと。


母さんはそこで悲しげに、即答でヤスフミを『異常』と罵った。

自分達を信じていれば、誰も殺さずに済んだと罵る。

本当に愚かで可哀想(かわいそう)な子と……GPOも、同じように否定し続ける。


自分達は間違っていないのに、局への吸収が却下された。

それは自分達を信じない人間が多いから。だから一緒に、それを矯正するため頑張ろうと言う。


でも……アルフは、エイミィは違う。

エイミィは今回の件で、母さんに愛想を尽かしていた。


――エイミィ、待って。母さんは悪くないの。母さんは今、本当に傷ついていて……だから家族として思いやることが――

――無理。クロノ君とも相談して、同居は解消方向に進んでるから――

――エイミィ! アルフ、アルフも何とか言って! 母さんは今、信頼の手が必要なの! それは――

――分かんないよ――

――アルフ――

――アタシ、分かんない……もうどうしたらいいか、分かんないよ……!――


アルフもそれに乗っかる。ううん、それ以外も。


「……私を、執務官補佐に?」

「うん」


事件解決後――機動六課メンバーは後処理で手一杯。

それも落ち着いてきて、暇な時間も増えた。そんな中、ティアに声かけ。


アースラの食堂、その一角で向かい合わせに座り、笑顔でお話。


「私自身クロノ提督について勉強していたけど、やっぱり執務官資格を取るなら、実際の活動で学ぶことが必須だよ」

「フェイトさん、元々考えていたんだって」

「でもシャーリーさんが」

「私は内勤専門だし、戦闘力もあって、捜査活動もできる補佐官が欲しいなぁとは」

「だからティア、どうかな。六課を卒業したら」

「お断りします」


ティアはお茶を飲みながら、さっと断言。


「他の人ならともかく、アンタの補佐官なんてゴメンだわ。命令違反を犯した上、AMFに閉じ込められた無能執務官とか」

「……!」

「もちろん洗脳をかます同僚もいらない」

「ティア……その件については、本当にごめん。私も馬鹿だったと思ってる。だからもう一度よく考えて」

「じゃあシャーリーさん、もう一度考えてもらえます? こんな役に立たない人達について、勉強になるかどうか」


シャーリーは即座に顔を背けた。


「もっと言えば三佐やギンガさん達に、アインへリアルをぶつけるような人」

「クロノ提督に相談して、他の執務官を紹介してもらう……というのは」

「お断りよ。そもそもハラオウン一派とは、六課だけの付き合いにしたいし」

「ですよねー!」


そんなことないと、反論してくれない……それだけで、シャーリーの気持ちがよく分かった。


「ティア、誤解してる。アジトの件は命令違反じゃないよ。ちゃんとリンディ提督の許可はもらっている」

「フェブルオーコードでおかしくなった人の……でしょ?」

「それも誤解だよ。リンディ提督はおかしくないし、間違った判断は一つもない。フェブルオーコードなんて、存在しないんだよ?」


そうだ、存在しない。

最高評議会がそんなこと、するはずないんだ。

母さんはそう信じているし、その通りじゃなくちゃいけない。


私達もそう信じることで、母さんの痛みを和らげるの。それが家族であり、仲間なんだから。


「アインへリアルの件も……六課隊舎に落とそうとしていたんだよ? 六課はみんなが帰る家なのに」

「家は自宅謹慎中、あなたがずっといた場所でしょ。六課は職場よ」

「家だよ。それをこれ以上壊すなんて、絶対に駄目。止めなくちゃいけなかったの」

「で、千人単位の要救助者を出したと。すばらしい判断ですねぇ、フェイト隊長?」


……どうして、信じてくれないの。


「正直になりましょうよ。……狙いはあの場にいた古き鉄や戦闘機人達、ギンガさんでしょ。
スカリエッティを始末できなかったから、その腹いせに」

「違う……違うよ! ティア、どうして!? どうして信じてくれないの! 私は」

「スバルとエリオ達はそう疑ってますよ」

「え……」


母さんの言う通りに――母さんが望む通りに、お話しているだけなのに。

ティアを執務官補佐にするのだって、母さんの指示なのに。


「ティア、それって……いや、当然か。スバルに関しては、一度助けたギンガと三佐までドガンだし」

「エリオ達も、心底恥ずかしそうでしたよ。みんなの頑張りを、フェイトさんとリンディさんが踏みにじったって」

「そんな……だって、あれは母さんが」

「その”母さん”を信じているなら、アンタは一生信用されないわよ。まだ分からないの?」


ティアくらい優秀な子が執務官になれば、私の評価にも繋(つな)がるって。

それが去年のことを取り返し、私達がもう一度信じられる布石になるって……なのに、それが駄目になりかけている。


「そうそう……GPOや古き鉄が始末した量産型オーギュスト、その被害者が何人か知ってる?」

「ティア、話を逸(そ)らさないで。……ねぇ、もう大人になろうよ。ちゃんと私達のことを信じて。
私も、リンディ提督も、大人として……組織の一員として正しいことを」

「逸(そ)らしてないわよ。アンタが倒すはずだった奴らが、何人殺したかって話をしてるの。
中央本部だけで三八四人。決戦時にはゆりかごに突入した部隊やなのはさんが、危うく殺されかけた」

「ティア、お願い! ちゃんとお話をしよう!? あのね、難しいことはお願いしてないの!
ただ私の言うことを……リンディ提督の言うことを信じて、その通りにしてほしいだけなの! ただそれだけを」

「分かる? アンタ達が何もしなかったことで、四百人近く死んでいるのよ」


……言葉が通じない。ティアは私に冷笑を向け続ける。


「ヴェートルの英雄が聞いて呆(あき)れるわ。ハッキリ言う……アンタを信じることは、金輪際ない」

「ティア……どうして、分かってくれないの。私、悲しいよ。ねぇ、何がそんなに気に食わないの。
でも私は正しかった……母さんは正しかったの! お願い、そう信じて! 本当に、それだけでいいの!」

「だったら一生そう思ってなさい。……じゃあね、人殺し」

「違う! 私は人殺しじゃない!」

「じゃあなんで死んだのよ、あの人達は!」


ティアは伸ばした手を払い、私に背を向ける。


どうして……母さんが言うように、頑張ったのに。

その成果があれば、母さんは救われる。母さんはきっと、痛みを忘れられる。

私達は家族として、母さんを助ける――助けなきゃいけないのに。


どうして誰も、母さんを助けようとしないの――!


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


僕は梨花ちゃんと羽入の御厚意で、古手神社(本邸)に泊まることに。

古手神社の御両親はもう亡くなっていて、梨花ちゃん達も離れの小さい部屋で暮らしている。


だから本邸の方は、いろいろ手つかずで……お掃除とかはしてるんだけど。

ううん、してくれたんだよね。僕のために。

それに感謝しつつ、今日はもう就寝。


ダブルオーの修復は一旦切り上げ、後片付け。

それも終わり、布団に入ったところで……静かに気配が近づいてくる。


「羽入?」

『はう……やっぱり気づかれました』


そこですっと出てくる羽入は、いつもとは少し違う装い。

和風の寝間着を着込み、幼い印象を隠し、まるで母親のようにほほ笑んでくる。


「恭文、今日は一緒に寝ましょう」

「なんで!?」

「言ったはずですよ」


そう言いながら、布団に入ってこないでー!

しかも……羽入は僕を抱き締め、優しく頭も撫(な)でてくれる。


僕の頭は、羽入の豊かな胸に埋まり、その甘い匂いと感触を独り占めにしてしまう。


「あなたの鼓動を、感じさせてくださいって。……なのでお返しに、今日はいっぱい甘えてください」

「それ、自分が甘えたいだけじゃ」

「ギブアンドテイクなのですよ」

「……もう」


確かに、この感触は……なので羽入に受け止めてもらい、僕も羽入をそっと抱き締める。


「でも、ありがと」

「はいです♪ ……それと、誕生日プレゼントもあげますね」

「え……えっと、それは」

「拒否権はないのです」


そうして羽入はニコニコしながら、めいっぱい僕を受け止めてくれる。

……そんな温かさに甘えて、誕生日プレゼントも……その、内緒。


(act.36へ続く)







あとがき


恭文「というわけで、間をいただきましたがエピローグの前編です。
……ごめん、文量が増えて……次の話はすぐ出せるので、どうか」


(というわけで、自由に遊んでみた)


恭文「ちょうど時期的に被っている、ダブルオーの話もできたし、僕は満足だー。お相手は蒼凪恭文と」

あむ「日奈森あむです。恭文、アンタまた……!」

恭文「……は、羽入は中学一年だから」

あむ「んなわけあるかぁ!」

恭文「さすがは小学六年生で、同せい経験のある日奈森さん。マジぱねぇっす」

あむ「やーめーてーよー!」


(そういう意味では現・魔法少女、とっても大人でした)


恭文「いや、しかし大変だった……プリズマイリヤコラボイベント、ようやく全ミッション・クエストクリアしたし」

あむ「最後の方が面倒だったんだっけ」

恭文「凸礼装とクロエがいなかったら、一体どうなっていたか。てーか配布サーヴァントのクロエが強い……!」


(NPチャージ、アーツによる星だし、それに伴うクリティカルやら、NP増加――聖杯転臨、しちゃった)


恭文「そして今、サポート鯖には元気で走り回るクロエ(レベル87)が」

あむ「なんでだぁ!」

恭文「気づいたら、聖杯がつぎ込まれていた……オカルトだ」

あむ「そんなわけないじゃん! アンタのせいじゃん!」

恭文「でもこうなると、タマモに来てほしい」

あむ「あ、そっか。アーツ宝具だっけ。あの子」

恭文「サモさんもアーツだし、強化すると周回も捗りそう。……何せうちのカルデアは、カレイドスコープと限凸虚数魔術を手にして、周回速度が倍増したから!」


(これが、初期NP80近辺の世界……一年に亘る地道な戦いはなんだったんだ)


キャス孤「ふふふふ……そうでしょうそうでしょう! やっぱり私が欲しいんですね、御主人様!」

恭文「なのでまた石を溜める……地道に……地道に……というか、僕は最近気づいた」

あむ「うん?」

恭文「めしばな刑事タチバナの第二巻に、うな重弁当って話があってね。
三千円のうな重を食べるとき、人は『三千円払ったんだから』と期待値が高まっている。
逆に五百円程度のうな丼なら、『五百円だから』と低く見られる傾向がある」

あむ「まぁ、分かる……あれ、ウナギって適正価格は」

恭文「高いよ。三千とかザラだから。……つまりよ、お金がかかればかかるほど、そこには理想(ファンタジー)が生まれるわけだよ。
では五百円のうな重は一体なにか。そこにあるのは現実(リアル)だ。地に足の付いた味だ。
でも……それ故に、期待以上の付加を見つけやすい。それはあらゆるものに言えるよ。……そう、ガチャもね!」

あむ「結局そこ!? つまり……あれかな。ガチャを引くためにお金をかければかけるほど、理想が生まれて」

恭文「でも十連とかに留まれば、そこは現実――『引けなくても仕方ない』で諦められる。期待値がさほどじゃないから。
そして当たったとき、期待値以上のものがきたので、素直に喜べる。……だからここに僕は、リアル十連教を推奨して」

あむ「しなくていいから!」


(古き鉄、新しい宗教の設立に失敗しました。真・主人公にはなれないようです。
本日のED:栗林みな実『moving soul』)


恭文「次こそいよいよ最後……テレビでやったような話も盛り込むからー」

古鉄≪そしてもう九月も残り十二日。月が変われば、すぐ鉄血のオルフェンズ二期が放映開始……早いですねぇ≫

恭文「気温も下がってきているし、もう秋なんだなぁ」

古鉄≪私のメイスも天を突きますよ≫(ソードメイスをフキフキ)



(おしまい)





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