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小説(魔法少女リリカルなのは:二次小説)
幕間そのきゅう 『生きていると、やるせないと思うこともある 生きていると、色々考えて色々思うこともある 再び異国の地へ・・・編』:2




「・・・ツアー、もう終わりだったんですね」

「うん、それで恭也から恭文君がイギリスに来るからって聞いて、少しだけお休みもらったんだ」

「それでわざわざ車まで・・・。いやもう、なんつうかすみません。えっと・・・」

「エリス・マクガ−レンだ。・・・別に構わないさ。彼はキョウヤとミユキと同じく、フィアッセとスクールの恩人だ。これくらいはしなければ、バチが当たる」





そう、フィアッセさんの友達でクリステラ・ソング・スクールの警備担当であるエリスさんも居た。相変わらず皺一つ無い青いスーツが似合っている。

そして僕達は、エリスさんが運転するハマーっぽい車で目的地まで送ってもらえることになった。

あぁ、でも懐かしいなぁ。この車の窓から見える町並み。・・・本当にまたイギリスに来たんだなぁ。



でも、びびった・・・。イギリスがチャリティー・コンサートの最終地点とは聞いてたけど、まさかもう居るとは。





「私は校長だから、歌うだけじゃなくて色々と準備することもあるしね。それに、イギリスはスクールの本拠地。フィナーレの準備はしっかりしないと」

「納得しました」

「・・・でも、変わって無いようで安心した。うん、とっても」



なんでだろう。一番後ろの席で、僕の左隣りに座るフィアッセさんの微笑みが辛い。



「あ、そう言えばフィリス元気だった?」

「メールした通りです。いや、もう恭也さん様々ですよ。おかげで身体の調子も常にバッチリですし」

「フィリスの整体、すごいからねー。あ、でもちゃんと言う事聞かなきゃダメだよ? フィリスはいい患者さんには優しいけど、悪い患者さんには鬼になるんだから」



・・・知ってます。だって、恭也さん達の話になると角が出るんだもん。角が。



「・・・ね、恭文くん」

「ほい?」

「私が病気してた話って・・・フィリスや恭也から何か聞いた?」

「えっと・・・前にフィアッセさんから聞いた通りですけど」



なんだか体調崩して、その静養も兼ねて海鳴で歌手を休業して暮らしてた・・・なんだけど。

なんだろう、フィアッセさんの表情が、少し・・・重い。どこか苦しそうというか、なんと言うか。



「・・・そっか。ごめんね、変なこと聞いて」

「あ、いえ・・・」




そうしてまたフィアッセさんが微笑む。その笑みがやっぱり辛い。嫌とかじゃなくて・・・こう、気恥ずかしいの。あと、妙に殺気を感じる。

もっと言うと、僕の右隣に。



「・・・恭文さん、本当にフィアッセさんと仲良しですね」



そう、リインだ。笑顔で僕とフィアッセさんをすごい勢いで見てる。・・・訂正、見ているはず。とてもじゃないけど、視線を合わせられない。



「うん、とっても仲良しだよ。ツアーで一緒に居る間、いっぱいお話したから。ね?」

「そ、そうですね。いっぱいお話しましたよね」



あれ、なんでフィアッセさんはリインに対抗しようとしてるのっ!? な、なんかその深い微笑みが怖いっ!!



「・・・そうですか。でも、リインと恭文さんだって仲良しですよ? 一緒のお布団でギュってしながら寝たり、お風呂に入って洗いっことかしますから」

「ふーん、そうなんだ」

「ですです」



あ、あれ・・・なんか胃が痛い。すごくきりきりしてきたんですけど。



「でも、私も負けてないと思うな。恭文君と結婚の約束してるし」



瞬間、空気が凍った。その場に居た全員が、僕を見る。エリスさんまで、バックミラー越しに視線を送る。

そしてその視線が言ってる。『お前はマジで何をしている』・・・と。なお、視線が一番厳しいのは同率1位でリインとシャマルさんなのは、言うまでもないだろう。



「・・・・・・・・・・・・へぇ、そうなんですか」



そう言えば・・・はやてとかには言ってなかったような気が・・・。いや、言うとまたとんでもないことになりそうだし。

恭也さんや美由希さんはバラすような人じゃないから、安心してたの、もしかして間違い?



「そうだよ。7年後、お互いに相手が居なかったら、結婚しようねって言って、握手までして約束してるんだ。・・・ね、そういえばフェイトちゃんとはメールの通り?」

「そ、そう・・・ですね。えぇ、色々とございまして」





フェイト、最近子育て始めたしね。執務官の仕事で出会った一人の男の子。名前は・・・エリオ・モンディアル。現在4歳とかそれくらいだっけ? 少々事情のある子らしくて、現在は本局の特別保護施設で生活しているらしい。

で、フェイトはその子の様子をちょくちょく見に行って、世話しているのだ。なので、こう・・・デートしたりする余裕がどうにもなくて。あのさ、あの大喧嘩を超えてようやく時間出来たんだよ? 理解深まったんだよ?



なのになんでこれっ!? おかしいでしょうがどう考えたってっ! 僕、この話の主役のはずなのに、なんでその主役が好きな子とのフラグどころか立てるための時間すら取れないんだよっ!!

ちくしょお・・・恨むぞ、まだ見ぬ4歳児(なお、逆恨みという事実はスルーします)。





「そうなんだ。・・・なら、まだまだ約束は有効だね。私、期待してるから」

「は、はい・・・」

「・・・恭文さん」



な、なんでしょうリインさん。あの、もう見れないんですけど、視線が厳しいのを感じます。お願いだからもうちょっと柔らかい感じで僕を見ていただけると非常にうれしいのですが。



「リイン、やっぱり『+』じゃなくて『×』がいいです。だから、7年後に結婚してください」

「いったいなんの話っ!? 意味わからないからっ! それはマジで意味がわからないからっ!! そして7年後どころか10年後でも結婚できないでしょうがっ! 年齢考えなさいよ幼子っ!!」

「あ、それは困るな。恭文くんとは私のほうが先約だから」



フィアッセさんも対抗しようとしないでー!!



「問題ないですっ! リインは恭文さんのヒロインですからっ!!」

「え、それもう公式設定っ!? 待って待ってっ! ヒロインはフェイトでしょっ!!」

「なら・・・フェイトさんは現ヒロインで、リインは元祖ヒロインですっ!!」



なんか上に余計なモンがプラスされたっ!?



「でも・・・リインちゃんは元祖ヒロインではあるけど、婚約者ではないよね。それだけじゃあ、私には勝てないと思うな。私だって、一緒にギュって寝るのは出来るよ? お風呂で洗いっこだって・・・よし、イギリスに居る間にしてみようか。特に後者」

「しないからっ! それはしないからっ!! どうしていきなりそんな話になるっ!?」

「・・・そうですか。なら、白黒つけるです」

「そうだね、そうしないと話は終わらないと思うし・・・そうしようか」

「だからどうしてフィアッセさんも対抗しようとするっ!? つーか、僕はフェイトが本命だからねっ!? お願いだから勝手に話を進めないでー!!」




















◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



・・・なぁ、やっぱアイツおかしいと思うんよ。フィアッセさんとの年齢差って、ぶっちゃけ14〜5歳やんか。もう当年足せば四半世紀やんか。





なのになんであないに楽しげにフラグ立ってる人っぽい空気だしてるんやっ!?










”バカ弟子・・・。まじでツアーに参加した時になにしたんだよ”

”わからん。しかし、これだけ見るとテスタロッサが本命とは思えないのだが”

”シグナム、我もまったく同意見だ。なぜ、こうなるのかがさっぱりだ”





どうやら、うちの子達の大半は意見は同じらしい。せやけど問題はある。



それは、うちの末っ子と・・・うちの若奥様や。末っ子はフィアッセさんと笑顔であのバカの両腕取って腕組みしとる。で、バカは顔引きつらせとる。そりゃそうや。色々話しかけられとるから。





”・・・あとでたっぷりお話するから大丈夫です。えぇ、旅の鏡でも証でも湯煙でもなんでも使って私が・・・恭文くんの現地妻1号である私がしっかりと聞きだしますから”

”あぁ、それはお願いしたいわ・・・って、現地妻っ!? シャマルっ! アンタまだそんなとんでもない称号名乗ってるんかいっ!!”

”頼むからやめろよバカタレっ! ご近所にどう顔向けすればいいんだよっ!!”

”大丈夫よヴィータちゃんっ! 愛はどんな障害も乗り越えるのっ!! 不可能を可能にするのっ!! 問題なんて・・・なにもないのよっ!?”

”あるに決まってるだろうがぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!”










・・・・・・なぁ、もしかしなくても今のうちにアイツは抹殺とかした方がえぇんかな? なんや、このまま野放しにしといたらマジでハーレムとか構築しそうなんやけど。





もちろん、フェイトちゃん以外のメンツで。




















◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



とにかく・・・非常に辛いトライアングルの中心点からどうにか抜け出す事が出来た。





その理由は至極簡単。目的地に到着したから。










「それじゃあ恭文くん、またね。あ、コンサート必ず聴きに来てね。特等席、用意しておくから」

「はい。必ず行きます」

「・・・なぁ、その前に身辺整理とかした方がいいと思うぞ。いや、まじめな話だ」

「いったいなんの話っ!?」










そうして、ばかデカいハマーっぽい車はスクールへと向かっていった。これから最後のコンサートに向けて、準備で忙しくなるらしい。





そんな状況でここまで送ってきてくれた事に、感謝しつつ僕は頭を下げて見えなくなるまで、見送った。










「・・・ずいぶん心を許しているようだな」



声は後ろから。シグナムさんだった。



「まぁ、ご存知のとおり色々ありましたんで。・・・なんて言うか、すごい人ですし」

「そういうのを抜きにしても、好きなのだろう?」

「そう・・・ですね。でも、恋愛感情って言うのとは違うんです。僕はフェイト本命ですし」



なお、この時シグナムさんがため息を吐いたのは、気にしない方向で行く。



「多分・・・わがまま同士だからシンパシー感じてるんです。止まれなくて、折れることが出来なくて。だから、なんだか惹きあって・・・」

「・・・そうか」

「そうです」





そのまま、みんなと一緒に歩を進める。もう目的地の近く。というより目の前。それは・・・一件の民家。



どうやらこの辺りは郊外らしく、町の喧騒から離れてとっても静か。空気もおいしいし、なんだか落ち着く。近くには森まであるし。

そして、その民家のドアをこんこんとはやてが叩く。少しして、ドアが開くと・・・うれしそうな顔で出てきたのは、二人の女性と一人の壮健なご老体。

ショートカットとロングヘアーのウェーブがかかった髪に、黒のワンピース。そして男性は・・・またがっしりとしたおじいちゃんで。めがねをかけて、サンタクロースには負けるけど立派なお髭を蓄えてらっしゃる。





「ごぶさたしています。グレアムおじさん」

「・・・久しぶりだね、はやて君。君達も久しぶりだ。それと・・・」



僕とリインの方を見る。なので、いちおうペコリとお辞儀。



「初めまして。リインフォースU君と・・・蒼凪、恭文君。聞いてるかも知れないが、私がギル・グレアムだ。そしてこの子達が」

「リーゼアリアだよ。よろしくね」

「で、アタシがリーゼロッテっ! よろしくー!!」




















◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



とにかく、中に入れてもらった。落ち着いた調度品の数々で、掃除は行き届いているらしくてすごく綺麗にしてる。





そして、お茶も出してくれた。・・・美味しい。とても素晴らしい。





このお茶が、このスコーンとよく合うこと合うこと。いやぁ、幸せ感じてますよ、私。










「さて、早速だけど、恭文君。君ってリインとユニゾン出来るって、ほんと?」



紅茶を飲みながら、ぶしつけと言えばぶしつけな質問をしてきたのは、リーゼアリアさん。・・・訂正、アリアさん。そう呼んでいいらしい。

で、僕は頷いた。だって、事実だし。



「またすごいよねー。アタシもアリアも父様も耳を疑ったよ、リインははやてや守護騎士のみんなのために生まれてきたデバイスなのに、その適合者がもう一人出てくるなんて」



まぁ・・・もらい物な力なので、あんまり僕はそう言われてもピンと来ない。大事な繋がりで、想いの詰まった力。それがこの力の意味。

僕とリインで切れる最高の切り札。・・・本当に、感謝しないといけないよね。



「まぁ、そこはいいか」

「いいんですかっ!?」

「ごめん、ちと興味あったから。・・・で、くろすけから聞いてるんだけど、魔法兵装であれこれ悩んでるんだよね」



まぁ、そうですね。魔力量が並だから、どうしても魔法を使った攻撃だと制限が・・・って、くろすけ?



「あ、クロノのあだ名。ほら、アイツくろすけじゃん? 名前だけじゃなく外見も」

「・・・納得です」

「一応、君が望んでいる形に近いものはある。・・・ただし、タダで教えるってわけにはいかないね」



ロッテさんが、そう言って意地悪く笑う。まるで挑発しているみたいに。

・・・いや、これは挑発してるのか。つーか、からかわれてるね。



「仕方ないですね・・・。そういう事なら、クロノさんから聞いたロッテさんのあんなことやこんなことをバラすしかありません」

「にゃんでそうなるっ!?」

「だって『タダ』で教えるわけにはいかないんですよね? つまり・・・」



僕はその場でロッテさんをビシっと指差し、言い放った。



「ロッテさんをタダでは済まさなければ、教えてくれると言うことですよねっ! ようするに、ギャグ的に辱しめ潰してからかって弄ぶっ!!」

「違うわボケェェェェェェェェェッ! だからにゃんでそうなるっ!? おかしいからっ!! 君ぶっちぎりでおかしいからっ!!」

「・・・ギャグ的におかしくして欲しいんですか? アルトー!!」

≪では、私自慢の小話をいくつか・・・≫

「もっと違うからっ! いや、それは聞いてみたいけどっ!!」





聞きたいんかい。そういう返事が返ってきたことにちとびっくりですよ、私は。





「あー、ロッテ。とりあえず話進まないから、黙ってて」

「アリアひどいにゃー!!」

「・・・で、真面目な話をすると、私達と君って初対面なわけじゃない?」



まぁ、そうだよね。僕はリーゼさん達とは初対面だし。というより・・・。



「もし会ってたら覚えてますよ。お二人とも素敵なレディですし」

「・・・あ、ありがと」

「そ、そんなこと素な顔で言わないで欲しいな・・・。なんと言うか、照れる」



あれ、なんか顔赤い。・・・ふむ、意外とこういう返しに弱い人達なんだ。よし、覚えておこう。



「とにかく、初対面の子にあれこれ教えるというのもちょっと違うと思うんだ。・・・まず、私達は君という人間を知りたい。そこから始めさせてくれないかな」

「兵装に関してのあれこれは、その結果次第・・・ですか」

「そうだよ、クロノもそのつもりでここに来させたんだと思うけど・・・どう?」



・・・面白い。クロノさんの話では、このリーゼさん達はグレアムさんの優秀な使い魔であると同時に、自らも非常勤でアシスタントではあるものの、横馬と同じく教導隊出身らしい。つまり、すっごく強い。

ぶっちゃけ、横馬以外で教導隊レベルなのと戦えるチャンスはそう多くない(シグナムさん達除く)。今の実力、どこまでのものか試すにはきっといい機会だ。



「よろしくお願いします。というより、戦いたいです。さぁ、今やりましょうすぐやりましょうとっととやりましょうっ!!」

「な、なんかすごい食いついてきたっ!?」

「あはは・・・。やる気はあるようでうれしいよ。あ、ただし私もロッテも厳しいから、そのつもりでね」

「はいっ!!」




















◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



そうして、チビスケはリーゼさん達と一緒に早速模擬戦するために出てった。リインとうちの子達も見学や。





で、うちは・・・ちょっとお話。










「・・・君はいかなくていいのか?」

「まぁ、結果は見えとりますし」



多分、恭文が負ける。さすがに実力差はあるやろうしな。魔導師暦1年ちょいなあやつが、元教導隊スタッフなリーゼさん達倒す言うんは思えん。

・・・いや、手が無いわけやないか。アイツが持っとる手札をフルオープンすれば、多分いける。実際、アイツがオーバーSとやり合う時はそれや。せやけど、それはないやろ。その中には・・・魔法とはまったくちゃうのもあるわけやしな。あれは、言うたらアレやけど殺すための技や。この模擬戦で使うとは思えん。



「それに、グレアムおじさんと二人っきりで話言う機会も、そうそう無いですから」

「そうだな。・・・それで、局の仕事の方はどうだね?」

「ぼちぼち・・・言う感じです。色んな人に助けられつつ、教わりつつ、なんとかやってます。あと・・・」

「いい友達も出来たようだね」



そう言って、グレアムおじさんがある方向を見る。多分、見とるんは・・・恭文や。



「いい友達っちゅうか、悪友ですよ? もうすごい勢いで」



まぁ、あれだけ波長が合うて一緒に居て楽なやつも珍しいけどな。うち、意外と弱気な人見知りよ?



「彼は、局員になるつもりは?」

「なんや、最近そういう方向で考えてはいるらしいんですよ。うち、実は相談されとりまして・・・」



でも、聞いた時びっくりしたで? アイツそういうんの合うやつとは思えんもん。ただ・・・フィアッセさんとの一件でちと見えた言うてたな。

うちらやフェイトちゃんとのことや、昔の事だけが戦う理由とちゃう。誰かを助けたいっちゅう思いも、確かにある。そのために局入りするのも、選択ではあるしな。



「そうなのか。だが・・・」

「だが?」

「彼は、それで幸せになれるのか、正直私は疑問だ」



・・・・・・・・・え?

いやいや、合う合わないやのうて・・・幸せになれないっておかしいやないですか。なんでいきなりそないな話になるんですか。



「彼の経歴はクロノから聞いた。・・・あの年で、相当苛烈な経験をしているそうだね」

「そう・・・ですね」



苛烈・・・か。そりゃそうやろうな。うちもなのはちゃんもフェイトちゃんも、アイツと違うて人を殺したり、魔法なしで戦闘したりとはか無いもん。



「彼の師・・・ヘイハチ・トウゴウ氏の事は、私もよく知っている。一目見て分かったよ。彼は実にあの方に似ている。自身を律するのはその魂。強く、砕けない鉄をあの子も持っている。
しかし、逆を言えば・・・それ以外のもの、規律や常識、組織と言ったものに背中を預ける事を嫌う傾向がある」

「だからこそ・・・ですか?」

「だからこそ・・・だな。彼は例え居場所を見つけても、きっとそこを飛び出すよ。自身の正義とそこの正義が折り合わなければ、とても簡単に。君も知っているはずだが? ヘイハチ氏はそうやって・・・」

「そうですね、知ってます」










そうやって、現在は消息不明や。まぁ、元気してる思うけどな。恭文にだけは、よう顔見せたり手紙送ったりしてる言うし。





・・・恭文、アンタやっぱり、局員あかんかも知れんよ? だってな、うちも・・・同じこと考えてた。





確かに、局は人を守る組織や。でも、それだけとちゃう。色んな矛盾や問題も抱えとる。局員は、うちもそうやしなのはちゃんもフェイトちゃんもみんな、それらと付き合った上で、取りこぼすのも受け入れつつ局員続けとる。





でもな、多分アンタの魂は・・・鉄は、それを認められんよ。だってな、『魔導師だから』が止まる理由にならん子が、『局員だから・組織の一員だから』という理屈を受け入れられるわけが無いもん。




















◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



至近距離で拳を放つ。服装は局勤めしてたときにも使ってた黒のインナースーツ。あ、武装局員の共用ジャケットの下に着るのね?





とにかく、アタシは至近距離で拳を放つ。でも、それをこの子は刀の柄で受け止める。瞬時に刃を返し、アタシの首に打ち込んでくる。それをしゃがみ、そのまま後ろに飛んで追撃で来た上段打ち込みを避ける。





・・・ふーん、なかなかいい動きするね。





くろすけから『鼻をへし折って欲しい。色々調子づいてる部分がある』とか言われたけど・・・確かにその通りかも。こりゃ、調子付きそうなレベルだ。実力もついてきて、油断してもおかしくないレベルだ。





アタシは、あの子の斬撃を避けつつ、拳や蹴りを叩き込む。結構本気だしてのクロスレンジでのやりとり。でも・・・食らい付いてくる。どうやら、そうとう鍛えられてるらしい。さすがはあのヘイハチじいちゃんの弟子だよ。





・・・女に手の早そうな所もそっくりだったしね。くそ、あのエロじじいは妙な遺伝子を後世に残すなよ。





とにかく、アタシが魔力を込めて放つ拳は、あの子の相棒によって弾かれ、反らされる。追撃でかます蹴りもぎりで避けられる。でも・・・甘いっ!!





あの子が左から斬撃を打ち込んできた。それを見て取った瞬間、アタシの体を光が包む。打ち込まれた斬撃を・・・飛んで避ける。そしてそのまま、あの子の後ろに着地。そして、右の拳を引き、力を溜め・・・穿つっ!!




高速移動の魔法を使用した一撃。今のあの子のレベルなら、これは知覚出来ないし、このタイミングなら回避は無理。このまま・・・!!










「・・・遅い」










・・・え?





アタシの拳は、宙を切った。










「恭也さんや美由希さんの方が・・・!!」










あの子は、しゃがんでいた。そうして、私の拳を避けた。うそ、バリバリに反応してるっ!!





そのまま、身体を回転。右から胴に向かって斬り上げるように、鋭い何かが迫ってくる。アタシは悪い予感に従って、右にバリア展開。










「速いっ!!」










でも、そのバリアが青い閃光に斬られた。そのまま、腕を出してガード。局所的にプロテクションを発生させて、なんとか刃を防ぐ。

・・・く、なんなんだこの魔法っ! 普通のベルカ式の術式と違うっ!! つーか、反応だけじゃなくてカウンターまでっ!?





普通に魔力を付与して威力増強じゃない。これは・・・魔力そのものを極限まで圧縮して、そこからまた研いだ上で刃を形成してる。

でも、普通はこんな精度で研げないってっ! つーかアタシは無理っ!!










「はぁぁぁぁぁっ!!」





そのまま、あの子が力を加えて・・・バリアごと私を斬ろうとする。アタシがそれに抗おうかどうかと迷った瞬間、あの子の左手が開いて、私の胸元に向いた。



瞬間、アタシは抗うことをやめ、その勢いに任せて大きく左に飛んだ。





「クレイモアっ!!」





あの子がそう口にした次の瞬間だった。青い散弾が、アタシの居た空間を埋め尽くすように撃ち貫いたのは。

もしあの場に居たら・・・思わず寒気がした。非殺傷設定の魔力弾でも、あれはきっと辛い。衝撃も相当だろうし、散弾で魔力が一気に削られるのは苦痛の一言では済ませられれないだろう。

つーか、まてまてなんなのさあの過激極まりない魔法はっ! クレイモアってあれっ!? こっちの世界にある質量兵器の一種で・・・思いっきり殺る気満々な魔法じゃんっ!!



・・・くそ、マジで潰す気かっ! 確かに『本気でやらないと意味ないから、遠慮しないでかかってきなー♪』とか言ったけど、だからってこれは無いでしょうがっ!!





≪Struggle Bind≫





でも、アタシには動揺する暇も休む暇はなかった。足元に青い魔法陣・・・やばっ! とにかく大きく後ろに飛ぶっ!!



すると、そこから青い縄が何本も現れ・・・って、これストラグルバインドっ!? なんでこの魔法をあんな速度で発動でき・・・あ。





「ちょっとストップゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥッ!!」





アタシがそう叫ぶと、追撃をかけようとしていたあの子が止まった。すっごく楽しそうな顔をしていたのは、きっと気のせいじゃ・・・ない。





「・・・どうしたんですか? これからすごく楽しくなる所だったのに」



やっぱりだっ! この子もしかしなくてもむちゃくちゃバトルマニアっ!? なんでそういうところまであのエロじじいに似てるんだよっ!!



「あー、君もしかしなくても・・・なんかレアスキル持ってたりする?」

「いえ、もってないですけど」



・・・そっか、持ってないんだ。なら、なんであんな詠唱速度速いんだろ。さっき使ったクレイモアも、魔法陣無かったし。



「瞬間詠唱・処理能力持ちではありますけど」

「それだよぉぉぉぉぉぉぉぉっ! それレアスキルっ!! ただ認定されてないだけで、むちゃくちゃ有益なスキルだからねっ!?」










・・・くろすけぇぇぇぇぇぇぇっ! お前、こうなるって分かってて黙ってたなっ!? なにが天狗になってるから鼻を折ってくれだよっ!! そういうレベルじゃないだろこれっ!!




















◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



「くくく・・・。今頃リーゼ達は驚いているだろうな」

「・・・クロノ、リーゼさん達がどうしたの?」



ヤスフミがはやて達とまたイギリスに行ってから、すごく楽しそうにしている。それはもうとても。

おかげで、現在ここ・・・戦艦アースラのブリッジ(ようするに職場)はとても妙な空気に包まれている。いつものクロノと全然違うもの。だから、私もついついこうやって話をしてしまう。



「今回、恭文には一つ密命を帯びてもらっていてな」

「密命?」

「リーゼ達を潰せという密命だ」

「えぇぇぇぇぇっ!?」





つ、潰せって・・・どういうことっ!?





「安心しろ、別に闇討ちしろとかそういう話ではない。ただ、模擬戦で勝てという風に言っているだけだ」

「なるほど。でも、どうして? というより、それは無理じゃ・・・」



リーゼさん達、本当に実力者だもの。いくらヤスフミが強くなったと言っても、さすがに・・・。



「普通の状態ならな」



そう言って、クロノが笑う。普段は見せない・・・狡猾な笑い。



「実は、リーゼ達には恭文の能力の10分の1も教えていない。グレアムさんにもお願いして、その状態を保っている。
二人はおそらく『あのくろすけの弟子だけど、師匠と同じく魔導師になってからちょっと経験積んで、やたらと調子付いてるのが来る』・・・という認識しか無いだろう。だがフェイト、その状態で手札フルオープンな恭文と戦えば・・・どうなると思う?」

「そ、それは当然・・・」



ヤスフミの攻撃は基本的にあらゆる意味での『一撃必殺』を念頭に置いている。鉄輝一閃しかり、クレイモアしかり、氷結魔法しかり、バインドしかり、あんまり・・・使って欲しくはないけど、恭也さんと美由希さんから盗んだ技しかり。

相手の隙が突ければ、基本的にそれだけで終わるような攻撃ばかり。だからこそ、魔導師暦も1年と少しで、魔法資質も平均的かつ歪なヤスフミでも、オーバーS相手になんとかやれるんだけど・・・。



「そういう事だ。・・・恭文にはその調子で若干お遊びモードが入っているリーゼ達を叩き潰してもらう。そうして・・・恨みを晴らすっ!!」

「う、恨みって・・・リーゼさん達はクロノの師匠だよねっ!? どうしてそんな話が出てくるのかなっ!!」

「・・・実はな、恭文に魔法戦闘のあれこれを教えた話をしたんだ。僕の魔法を教えたと言う話も。そうしたら・・・」



そうしたら?



「奴ら、マジで冗談か何かと思ったらしくて、大笑いしたんだ。あげく修行中の恥ずかしい話まで持ち出して『あのくろすけが・・・師匠っ!? 笑えるっ! 笑えて死ぬっ!!』とか大笑いしてくれたからな。・・・許すマジ、リーゼ。もっと言うと、ロッテ」

「あ、あははは・・・。あ、でもその話ヤスフミは知ってる・・・よね、うん。分かってた。でも、よく引き受けたね」



ヤスフミの性格なら、断りそうだったのに。・・・あれ、どうしてクロノは私をそんなにまじまじと見るの? あの、どうしたのかな。



「いや、なんでもない。ただ・・・アイツも男だったと言う事だ。師匠が笑われて黙っているような奴じゃない。遠慮なく潰してきますと了承してくれた。きっと・・・がんばってくれているさ」



な、なんだろう。今すっごい隠し事されたような・・・。



「正直さ、フェイト。僕は勝ち負けはもうどうでもよかったりするんだ」

「え?」

「ただ・・・アイツが僕を『兄さん』と何度も呼んでくれたことが・・・うれしくて・・・!! そうだっ! 僕はアイツの兄さんなんだっ!! 恭也さんには負けていないんだっ!!」










・・・・・・なんだか、思い出したのか泣いた。泣き出した。すごい勢いで。





でも、いいのかな・・・それ。なんだか色々問題な気がするんだけど。





あ、そう言えばヤスフミ、私の事を『姉さん』とか『お姉ちゃん』って呼んでくれないなぁ。・・・フェイトって名前で呼んでもらえるのもすごくうれしいけど、やっぱり・・・そういう風に一度呼んで欲しいな。家族になって、もう1年経つんだから。










「あー、クロノ君、楽しそうなとこ悪いんだけどさ・・・」

「どうした、エイミィ」

「レティ提督から緊急通信。・・・結構急いでる感じだったよ」




















◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



問題ないよ? だって・・・フェイトのスクリーンショットもらったしー♪ 嬉し恥ずかし、僕と会う前のツインテールな初詣姿っ! もうもう素敵で幸せー!!





さーて、初手で潰せなかったのは痛いけど・・・まぁ、いいか。スクリーンショットのため、ここは絶対に負けられないっ!!










「さぁ、続きやりましょうよ」

「い、いや・・・ちょっと待ってもらえるっ!? あのバカ弟子に色々確認したくて」

「・・・ほう、ではどうしても戦えないと。では、敵前逃亡でこの試合は不戦勝ですね」

「いや、なんでそうなるっ!? つーか、そういうわけじゃなくて・・・君怖いからっ! すっごく怖いからっ!! どうして君はそんなに殺気出まくってるっ!? なんでそんな楽しそうにアタシを見て笑うのさっ!!」



だって、どきどきスクリーンショットのためだもん。なお、本当にどきどきだった。つい兄さんと何度も連呼してしまったさ。



≪まぁ、なんというか諦めてください。こういうノリの時に模擬戦持ち込んだのが運の尽きですよ。・・・大丈夫です、模擬戦ですから、再起不能だけは避けられます≫

「なにさその不吉な慰めっ! てーか、こんなふざけた戦い方していいと思ってんのっ!?」

「・・・バカじゃないの」



なんかバカなこと言い出したから、あざ笑ってやる。思いっきり、徹底的に。



「戦いってのは、ふざけてるとかふざけてないとか、そんなのじゃないのよ。どっちが強いかとかそういうもんでもない。戦いってのは・・・」



そのまま、アルトの切っ先をロッテさんに・・・いや、潰すべき障害に向ける。



「ノリのいい方が勝つんだよっ!!」

「な、なにそれっ!?」





見つけた答えの一つ。らしくあるために、らしく戦うために必要なもの。それはノリ・・・場の流れを掴み、支配すること。

ふざけてる? それのなにがいけないのさ。足元救われたら目も当てられないけど、だったらそういう隙を出さないように、しっかりふざければいい。相手のペースを大きく乱して、自分のらしさを徹底的に出せれば・・・誰が相手だろうが、きっと勝てるっ!!



・・・いや、それでも恭也さんや美由希さんには勝てないけど。もっと言うと、フェイトや師匠と言った面々にもまだ。うぅ、やっぱり修行が足りないなぁ。





「さ、続き・・・やりましょ? 大丈夫、徹底的にぶつかれれば、僕はそれで満足ですから」

「へ、へるぷみー!!」










なんか言ってるけど聞こえないー♪ つーわけで・・・突撃っ!!




















◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



「・・・ね、みんな」

「あー、すみません。アイツは元々ああいう奴なんです。最近輪をかけてまたおかしくなってきやがりまして・・・」

「そっか、そうなんだ。うん、それならしかたないね。というより・・・ロッテがあそこまで振り回されるなんて」



あ、アイツ・・・マジで手札フルオープンしとるしっ! なに初対面の相手にクレイモアやらストラグルバインドやら使いまくって暴れとるんやあのバカっ!!



「あ、はやてちゃん」

「父様」

「これはこれは・・・。なかなか派手にやっているようだね」

「グレアム殿、なんというか・・・すみません。あぁなった蒼凪は、我らの誰にも止められないのです。やはり、テスタロッサも連れて来るべきだったな。アレが居れば、速攻で止められたと言うのに」



ザフィーラの言うように、フェイトちゃん連れて来ぃへんかったのは、確かに失敗やったわ。まぁ、フェイトちゃんは子育てやら仕事やらで春休み潰れてもうたから、しゃあないんやけど。



「恭文さん楽しそうですけど、これは問題・・・ですよね」

「なんなら、アタシが突っ込んでアイゼンで殴りますけど」



そやなぁ、さすがにこれは・・・。



「いや、構わないよ。・・・実は、クロノからこうなっても止めないで欲しいと言われていてね」

『えぇぇぇぇぇぇっ!?』

「父様、それはどうしてまた」

「アリア、お前達が原因だ。・・・クロノは相当腹に据えかねたようだぞ? お前達に彼の師をやっていると言って笑われたことが」

「・・・いや、父様。大笑いしたのはロッテだけだから。私はあの小さな子がそこまでになって嬉しくて微笑んだだけだから」





ク、クロノ君。アンタはまた・・・。てーか、自分でやらんかい。恭文使ったらあかんやろ。しかし、アイツもよくそれで動いたなぁ。そういうのは遠慮なく断りそうな奴やのに。

いや、アイツの事やからもしかしてなにか取引の上で・・・。例えばフェイトちゃんのスクリーンショットとか。



・・・よし、今度うちも見習ってやらせてもらうわ。





「まぁ、ロッテも最近退屈してたようだし、問題はないだろう。それに・・・二人とも楽しそうじゃないか。私の若いころを思い出すよ」

「楽しそう・・・ですか」

「まぁ、バカ弟子は楽しそうですけど・・・」

「ロッテは・・・微妙だよね。というか、恐怖で顔が歪んでるし。すごく必死だし」



まぁ、あの状態の恭文相手に楽しそうに出来る人間は限られてるで? 例えばシグナムとか恭也さんくらいやなかろうか。



「・・・・・・蒼凪、楽しそうだな。そう言えば・・・最近相手をしていなかった。よし、後で少し打ち合うか」

「シグナム、マジやめてくれ。これ以上グレアムさんやリーゼ達に迷惑かけたくねぇんだよ」










・・・あぁ、あれ・・・どないなるんやろ。




















◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



「・・・・・・ちくしょー! 結局負けたー!!」



横薙ぎの一閃を打ち込んだら、右の拳を左の掌底で止められて・・・そこから頭に回し蹴り食らって吹っ飛ばされた。

うぅ、反応があと0.5秒早くできればー!!



「にゃはははー! さすがにまだまだやすっちに負けたりはしないってー!! ・・・いや、ちょっと危なかったけど」

「うぅ、悔しい・・・やすっち?」

「あ、あだ名付けたから。恭文だから・・・やすっちっ!!」



・・・なんか可愛いな、おい。と言うより、ノリのいい人なのか。

とにかく、僕は散々暴れたのでロッテさんと二人で辺りのお掃除を済ませてから、僕達は一番最後に帰路に着いた。一応結界の中ではあったけど、それでもこういうのは大事なのだ。



「あのさぁ、やすっち」

「ほい?」

「やすっちの戦闘経歴って、どんな感じなの?」



ロッテさんが歩きながら、そう聞いてきた。夕日に照らされた髪が、少し綺麗。



「いや、そんなたいしたことないですよ?」

「まぁ、いくらAランク相当はあるって言っても、魔導師暦1年ちょいだもんね」

「はい、オーバーSとよく単独で遭遇してタイマンするハメになったりするくらいですし。えっと・・・もうすぐ2桁いきますね」

「え?」



なんでだろう、僕・・・やっぱり運無いのかな。いくらなんでもこれはおかしいって。



≪あと、魔法無しで銃器を持った相手多数とドンパチしたこともありますね≫

「あぁ、あったあった」

「・・・え?」



あれも勉強にはなったけど、大変だったなぁ。でも、色々見えてきたから、きっと必要でいい経験だよ。



「まぁ、特筆するべきの無い普通の経歴だね」

≪そうですね≫

「・・・・・・んなわけあるかぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」



うお、びっくりしたっ! なんでいきなり叫び出すのっ!?



「どこが普通っ!? 一般的な魔導師は、魔法無しで銃器でどんぱちもしなければ、よくオーバーSとタイマン張ったりもしないよっ!!」

「大丈夫ですって。ほら、僕は世界のスタンダードですし」

「勘違いにも程があるよっ! ・・・で、普段はどんな訓練してるの」



どんな訓練・・・か。



「まず朝4時置きでランニングして・・・」

「うんうん」

「それから・・・えっと、なのはのお兄さんとお姉さんの訓練に付き合わせてもらってるんです。あ、ランニングもその道すがらって感じですね。それで、道場とか近くの神社とかで、木刀とか練習用の刀とか使って斬り合います」

「・・・え?」



最初は怖かったけどね。練習用って言っても、一応危険物なんだもの。



「れ、練習用の刀・・・って?」

「チタン合金で打ち上げた奴です。何十回と斬りあっても刃こぼれしないようにしっかりとしたやつ」

≪私を使ってもいいんですけど、万が一私が使えない場合に備えて、この人用のを打ってもらってるんですよ≫



もちろん、お金は僕払い。でも、アレでの練習もだいぶ慣れてきた。そして、それで死なない程度に徹や斬を食らったから、なんとか覚えられたし。

・・・士郎さん曰く、僕は身体に受けてそれで覚えるタイプらしい。理屈ではなく、本能や反射で覚えるとか。どんな青魔導師ですか、それ。



≪それで、昼は基本喫茶店でアルバイト。仕事があったり、魔法の訓練があるときはそっちですね≫



あと、鋼糸や飛針の訓練もだね。うぅ、まだまだ実戦使用には程遠いけどさ。



「あと、夜の実戦訓練ですね。私服でさっき言った刀やらを持ち込んで森に入って、実戦形式で斬り合うんです」

「・・・・・・え?」



あれも最初は意味が分からなかったけど、近頃分かってきた。・・・街中や森という場所色んなものがある場所での戦闘。そして、暗闇・・・しっかり気配察知が出来なきゃ、簡単に怪我をする。

でも、そのおかげで色々なものが分かるようになってきた。本当に少しずつなんだけど。



「え、えっと・・・バリアジャケットとかは?」

「使わないに決まってるじゃないですか」



装備に頼ったら、その分そういう察知能力が鈍るしね。こういう訓練もして、自分が如何にアルトや装備に頼ってたかよく分かったよ。

まだまだ道のりは遠いね。うん、頑張んないと。



「まぁ、これも至って普通の訓練ですよね」

≪そうですね、みんなやってますよ≫

「・・・・・・・・・・・・やってないからぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」



うわ、また叫んだっ!? というか、ビックリだよっ!!



「なにその一昔前の武芸者みたいな生活っ! いくらなんでもおかしいでしょっ!!」

「そんなことないでしょ。至って普通の生活です」

「んなわけ無いからぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」




















◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



『・・・クロノ、覚悟しときなよ? ロッテの復讐はキツイと思うなぁ』

「その覚悟ならとうに出来てる。・・・それで、恭文はどんな感じだった?」

『まぁ、あれからまたはやてとかにも詳しく聞いたけど・・・ぶっ飛んだ経歴の子だね』



少し所用があったので、アリアに通信だ。あぁ、あとでグレアムさんにも挨拶しないとな。



『何度もオーバーSとタイマン張って勝ったり、魔法無しで銃器相手の戦闘したり・・・てのも驚きだけど、あの年にして、初戦で人の命を奪う経験をしてるってのが一番だよ。・・・相当大変だったんでしょ』

「かなりな。だが、僕はほとんど何もしていない。実際はフェイトやリイン、ヴィータやトウゴウ先生のおかげだ」

『なるほどねぇ。ただ・・・私も父様も気に入ったかな。話してみて悪い子ではないし』

「そう言ってくれると助かる」



やはり・・・あれは少々好き嫌いが分かれる部類だと思う。嫌いと言う人間は、思いっきり嫌いだろう。理由はその思考。あまりに自由だ。そして・・・人を殺したという経歴。

現在、局でそのような経験をした人間はほとんど居ない。非殺傷設定がある分、どうしてもそうなりがちだ。そして、逆の言い方をすれば・・・それを使わずに攻撃する人間に冷たい目を送る輩も居る。腹立たしいことにな。非殺傷設定も殺傷設定も、根源は人を傷つけ、踏みつける力だと言うのに。



『ロッテも、だいぶ気に入ったみたいだよ? なんと言うか、二人で後片付けしながらあれこれ話してたみたいだし』

「まぁ、あれは心配していないよ。いつも通りなのは想像出来たしな」

『あ、それもひどいね。・・・ま、そこはいいか。それで、通信は恭文君のことだけ?』

「いや、違う」



・・・まったく、あれは本当に運が無いのか? どうしてこういう状況になるんだ。



「アリア、まずこれは確定情報じゃない。だから・・・慌てず、落ち着いて対処してくれ」

『なに、そうとう大事?』

「そうなるかも知れない。実は武装局員が数名、数日前から無断欠席をして、連絡がいっさいつかない」

『・・・は?』



通信の中のアリアがほうけたような顔になる。当然だ。これだけで事件どうこうという話になるはずがないのだから。



「そして、その局員は全員ある事件で親しい人を亡くし、その事件の主犯を、その根源となったあるものを非常に恨んでいる。
行方が分からなくなってそこから少し調べて分かったことだが、どうやらそれに関してここ数年に渡って詳しく調べまわっていたらしい。事件自体が解決した・・・今もだ」

『なるほど、全員揃ってそれに対して復讐のために動き出した可能性があると。それで・・・そのあるものって?』





言いにくいな。だが、話さないわけには行かない。これはリーゼ達にグレアムさんにも無関係というわけではない。





「それは・・・」





それについて話した時のアリアの表情が複雑なものだったのは・・・気にしないでもらいたい。色々あるんだ。本当に、色々と。



・・・・・・・・・・・・・・・とにかく、気をつけるようにと通信を終える。まぁ、リーゼ達も居るなら問題はないとは思うが、なんにしても今は目の前のことだ。幸い今のところは平和な航海任務。動こうと思えば動ける。

それになにより、これは下手をすれば次元間の犯罪。僕達本局が動かないわけにはいかないだろう。





「・・・フェイト」

『話は聞いてた。とにかく、こっちの方でも調査だね。でも・・・大丈夫、だよね』

「大丈夫だ。向こうにはリーゼ達にグレアムさん、それに恭文とリインも居る。簡単にはやられまい」

『・・・そうだね、ユニゾンしたヤスフミとリインは、とっても強いもの』



それに、アレは幼くてもあのトウゴウ先生の弟子だ。この状況でおいそれと負けるとは思えない。・・・あぁ、だめだだめだ。こんな事を考えていては。もう何か起きる事が決定済みじゃないか。

だが、やはり気になる。なぜこのタイミングで? もしや・・・いや、そこを考えても仕方ない。とにかく僕達は裏側だ。



「・・・フェイト」

『なに?』

「君は・・・恭文に忘れて欲しいと思うか?」



僕がそう聞くと、フェイトは意味が分かったらしい。表情が重くなる。そして、首を横に振った。



『前は思ってた。忘れてもいい。もう、戦って欲しくないって。でも・・・ね』

「今は違うのか」

『うん、少しだけ違う。・・・あれからヤスフミといっぱい話して、少し喧嘩もしたりして、それでヤスフミの強くなりたいと思う気持ち。目の前の泣いている誰かに手を伸ばしたいと思う気持ち、忘れないで、ちゃんと持っていたいと思う気持ち・・・ほんの少しだけかも知れないけど、分かったから。
だから、今は応援したいと思ってる。あの、心配なのは変わらないよ? あんな戦い方も、そのための技を習得するための練習も、出来るならして欲しくない。そこは変わらないけど・・・それでも、そうしたいの。またヤスフミに怒鳴られるのも嫌だもの』



最後は少しだけ冗談めいた笑みを浮かべ、フェイトはそう言った。・・・フィアッセ・クリステラ女史の一件だな。しかしあれも・・・あぁ、辛かった。いや、僕が恭也さんに対して失礼な発言をしたからだが。

なんと言うか・・・やっぱり兄として負けてるんだろうか。よし、もっと頑張ろう



『ただね・・・条件付きで、忘れて欲しいとも思ってる。これはヤスフミにも話してるんだけど・・・』

「それはまた・・・めんどうだな。どうしてだ?」

『忘れないことで、ヤスフミが不幸になるなら・・・私は、それをヤスフミの言うように必要で幸せなものだなんて思えない。もしそうなるなら、例え誰がなんと言おうと、忘れて欲しい。それを恥知らずで愚かだって言うなら、私はその愚かな事をする子の味方で居る』



フェイトの目が真剣なものに映る。・・・いや、実際真剣なのだろう。

今のところ男女の関係というものではなくても、フェイトにとって・・・いや、僕達にとって恭文は、大事な家族なのだから。決して、人殺しだけがアイツの全てではない。



『誰がヤスフミを否定しても、絶対に。何があっても、味方であり続ける。だって・・・私達、もう他人じゃない。家族で友達で・・・仲間だから。それが不幸になる姿なんて、私は絶対に見たくない』

「・・・そうだな、僕もだ」










罪人は、いつ許されるんだろうな。・・・あぁ、分かってるさ。それを許せるのは、その罪人が傷つけた人間だけだ。だから、その人間が許さなければ、それは絶対に許されない。もしその人間がこの世に居ないのであれば・・・もう罪人は一生許されない。





だが、それなら罪人は・・・どうすれば幸せになれる? 例えば恭文、例えば・・・。




















◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



「・・・そう言えばやすっちはさ」

「ほい?」

「はやての昔の事とか知ってるの? その・・・どうして魔導師になったーとかさ」



うーん、実はあんまり知らない。こう、色々あったーって感じにしか。



「そっか・・・。気にならない?」

「うーん、ならないと言えば嘘になりますけど・・・でも、いいかなと。・・・なんだか、リインのお姉さんが亡くなった時の話と大きく絡んでるみたいで、話すのみんな辛そうなんです」

「そう・・・だね、かなり絡んでる」

「あの狸顔にシリアスなんて似合いませんし、特に聞きたいと思いません」

「またヒドイこと言うねぇ。はやて、聞いたら怒るよ?」



問題ない。それはそれでしっかり対処していくだけだもの。でも・・・はやての昔の事・・・か。

歩きながら、夕日を見ながら考える。本当にそれでいいのかと。知りたくないのかと。



「うーん、やっぱいいです」

「ありゃま、なんか色々考えてたのに、結局いいんだ」

「思考読まないでください。・・・なんつうか、友達で仲間ではありますけど、それで全部知らなきゃいけない・・・なんてルール、無いじゃないですか」

「・・・そうだね」



いや、あの狸は僕の事をあれこれ知ってるんだよな。一応友達だし。うーん・・・なんか不公平だ。いや、仕方ないけど。

ここはそれ以外で秘密を掴んで・・・脅すか? こうギャグ的に。



「ね、やすっち。これは・・・アタシから君への秘密のお願いなんだけど」

「ほい?」

「もし、それがなにか知っても・・・はやてと友達で居てあげてね。距離取ったりとか、怖がったりとか・・・しないであげて?」

「当たり前じゃないですか。はやては・・・はやてでしょ?」



それにですよ、僕だってある。・・・知られたら、距離を取られかねないでかいのが。

今はみんなの輪の中で、知ってる人が大半だけど・・・もし、もしも・・・それ以外の人が知ったら、どうなるんだろ。



「・・・そっか、ありがとね。いやぁ、やすっちはいい子だなぁ〜♪」



そう言って、後ろから抱きかかえるようにロッテさんが抱き付いて・・・って、あの、もしもしっ!? いきなりなにすんですかアンタっ!!



「照れない照れないっ! ほら、私意外とあると思うんだけど・・・どう?」

「どうじゃないからっ! というより僕子どもっ!! 子どもを誘惑しないでっ!!」

「あ、そっか。子どもなんだよね。・・・なら、今日一緒にお風呂とか入っちゃう?」

「誰が入るかぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」










あぁ、なんでこんなことにっ!? こういうのはシャマルさんだけで十分なのにー!!




















◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



「・・・ギル・グレアム提督の家に居るのか」

「元・・・だな。しかし、悠々自適に旅行とは・・・腹立たしい。罪人風情が何様だ」

「まぁ、今は堪能させてやればいい。後で地獄を見せてやるのだけの話だ」

「だが・・・本当にやれるのか? ギル・グレアム提督は歴戦の勇士。それに使い魔も居る」

「あと・・・ガキが一人か。なら、コイツ人質にして脅すか? ガキならさらうのも楽そうだしよ」

「バカを言うな。そんなことをすれば我々もこの罪人共と同じレベルだ。いいか、これは粛清だ。世界を乱し、不幸を撒き散らした挙句、のうのうと我らが組織に腰を落ち着けた害虫共を駆除するための聖戦だ。
大丈夫、この見るも汚らわしい害虫共は我々に駆除される。もう、その定めを変えることなど出来んさ。・・・まぁ、我々は正しい事をなそうとしているのだからな。変えられるはずもない」




















(幕間そのじゅうへ続く)




















あとがき



古鉄≪さて、やっぱり事件に思いっきり巻き込まれてしまった幕間そのきゅう、いかがだったでしょうか? 本日のお相手は私、古き鉄・アルトアイゼンと≫

フェイト「・・・はぁ」

古鉄≪いや、いきなりため息吐かないでくださいよ。ちゃんと仕事してください、仕事≫

フェイト「えっと、最近あとがきでレギュラー化してきたフェイト・T・ハラオウンです。というよりね・・・私、ちょっと色々言いたい事があるのっ!!」





(閃光の女神、色々不満そうな顔して、机を叩く。もうドンと)





古鉄≪なんですか一体。アレですか? 体調悪いとか≫

フェイト「そういうことじゃないよ。あのね・・・この間あとがきで私言ったと思うんだ。『ヤスフミとは普通の付き合いで、いちゃいちゃなんてしてない』・・・って」

古鉄≪言いましたね。もう迷言ですよ、アレは≫

フェイト「どうしてそうなるのかなっ!? 私もヤスフミも、本当に普通の付き合いでそういうの無いよっ! なのに、拍手でなんかすっごい反論が来て・・・!!」

古鉄≪あぁ、来てましたね。そんなわけあるかとか、今なんて言ったかよく聞こえなかった・・・とか≫

フェイト「だから、本当にイチャイチャしてないのにどうしてそうなるのっ!?」





(やっぱり不満らしい。もう思いっきりギャグ顔で怒ってる)





古鉄≪ほう、そうですかそうですか。でも、まずその前に私の話を聞いてください。いいですか、確かにそういう意見もあります。ただ・・・少数派ですけど自重しろとかそういうのとは違う意見もあるんですよ≫





(閃光の女神、青いウサギのその言葉に納得顔。どうやら、イチャイチャしてないという自分を肯定する意見が来たと思ったらしい)





フェイト「うん、それは当然だよ。だってイチャイチャなんてしてないし」

古鉄≪どういうものかと言うと・・・『もっとやれ』とか『まだ糖分が足りない』とか『これが普通と思うのはおかしいのでしょうか』とか≫

フェイト「それは私とヤスフミがイチャイチャするのを応援してるよねっ! というより、現時点で私達がイチャイチャしてること前提だよねそれっ!!」

古鉄≪JACK POT!!≫

フェイト「大当たりじゃないよっ! ・・・わかった、アルトアイゼンや読者のみんながそう言うならいいよ。これからイチャイチャするから」

古鉄≪・・・・・・はい?≫





(閃光の女神、なんだか不思議な事を言い出した)





フェイト「つまり、みんなには今の私とヤスフミがイチャイチャしてるように見えるんだよね? でも、私達はイチャイチャしてないの。ちゃんと自重して、普通の節度ある付き合い方をしてるの。でも、みんな分かってくれない。だから、しばらく私達本気でイチャイチャするから。
それを見れば、私達が今までイチャイチャしてなかったってことが分かると思うんだ。というわけで、拍手でも言ったけど私とヤスフミは・・・これから色んなところでイチャイチャします」





(訪れるのは沈黙。もう痛いくらいの沈黙。そして・・・口を開いた)





古鉄≪・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・さて、本日はここまで。お相手は古き鉄・アルトアイゼンでした。それではまた≫

フェイト「え、どうしていきなり締めるのっ!? あの、私の話を聞いてー!!」

???「聞けるかボケェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェッ!!」





(ぱしぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃんっ!!)





古鉄≪おぉ、これはまた思いっきりなスリッパアタック。後頭部に直撃しましたね≫

フェイト「い、いた・・・え? ヤスフミっ!?」

恭文「そうだよっ! 恭文ですよっ!? 突然だけど・・・俺、参上っ! なんだよっ!! ・・・フェイト、マジでバカなんじゃないのっ!? いくらなんでもその発言はありえないでしょうがっ!!」

フェイト「だ、だって・・・」

恭文「だってもダッチオーブンもないっ! ・・・その、気持ち向けて、コミュニケーション取ってくれようとしてるのは・・・うれしいよ?
でも、最近はいくらなんでも甘えんぼ過ぎ。IFルートにも口出ししたり、独り占めしたり・・・あの、嬉しくないわけじゃないよ。それは、絶対。でも、僕・・・『審査中』ってだけで、フェイトが具体的に僕の事どう思ってくれてるのかとか、そういうのちゃんと聞いてない」





(その言葉に、閃光の女神、気まずそうに唸る)





恭文「まぁ、その辺りは本編でやらなきゃいけないことだから、拍手の中で進行・・・とか、話す・・・とか出来ないのは分かるけどさ。でも、そういうのちゃんと話してくれてないのに、フェイトはやりすぎだよ。・・・少し自重しないと、デコピンするよ?」

フェイト「う、うん。あの・・・ごめん」

恭文「いいよ。その・・・僕も早めにちゃんと言えばよかったんだろうけどさ。だから・・・アレだよ、アレ」

フェイト「うん・・・」

恭文「本編再開したら・・・話してくれる? 僕、ちゃんと聞くから。それで、二人でいい方法考えていこうよ。僕達・・・そうなったら色々初めて同士ではあるんだからさ。少しずつ考えて、クリアしていこうよ。どうかな?」





(その言葉に、閃光の女神頷く。・・・どうやら、本編で色々変化があるらしい)






恭文「もしくは、電王クロスでもいいよ。アレも一応本編の時間軸の話ではあるし」

フェイト「うん、なら・・・それで。あの、ちゃんと話す。あの一件で私、色々分かったから。色々・・・変わったから。その気持ち、ちゃんと伝えるよ」

恭文「・・・うん」

古鉄≪・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・すみません、この状況どう締めればいいんですか? いや、真面目になんかまたラブラブ光線出し始めましたし。えっと・・・終わります≫










(というわけで、そのままカメラ・フェードアウト。まるでもう終わらせたいかのようにいつもより倍速。
本日のED:KOTOKO『涙の誓い』)




















フィアッセ「でも、恭文くんとまた会えるなんて・・・うれしいな」

恭文「あ、あははは・・・そうですね」

フィアッセ「と言うわけで・・・はい、これ」

恭文「お風呂セット? ・・・あの、なんですか。これ」

フィアッセ「せっかくイギリスに来てくれたわけだし、婚約者としては友好を深めたいんだ。まず・・・お風呂で洗いっこだね」

恭文「はぁっ!?」

フィアッセ「じゃあ、いこうか。知ってると思うけど、スクールのお風呂は広くて気持ちいいんだよー」

恭文「ちょ、お願いだから離してー! それはマズイっ!! 絶対マズイからぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」










(おしまい)







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