18
俺のせいで立ち止まってしまった紗恵の手を引いて、俺たちはまた歩き始めた。
「…練習ん時、ジロジロ見られちゃってゴメンな。
急に、紗恵とつきあってるコトが広まっちまって…。
別に悪気はねェと思うから…」
別に俺が悪いわけじゃねェけと。
たぶん、紗恵はいい気分じゃなかっただろうから。
一応、謝ってみた。
なのに。
途端に紗恵の表情が曇る。
あれ？？
ちょっとビックリさせたくらいにしか思ってなかったけど…
もしかして、かなり不愉快なコトだったか！？
歩幅が徐々に狭くなって、今度は紗恵が立ち止まってしまった。
俯く紗恵を覗き込むと、少し下唇を噛んでいるみたいで。
なんだか泣き出しそうな雰囲気に、俺は焦った。
「え？ 紗恵？？ どした？」
俯いてはいるけど、覗き込んでる俺と視線は合ってて。
それを反らされたりはしないけど。
でも、紗恵はしばらく何も言ってくれなくて。
「紗恵？」
待ちきれなくて、もう一度問い掛けた俺に返してくれた言葉は
「ごめんね」
だった。
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