14
クラブハウスの廊下をサッサと歩いていくサトシ先輩を少し早足で追いかけて、横に並んだ。
「…あの……」
「麻美が一緒に待ってるんだと」
「え??」
俺の言葉を遮るように言われたことの意味が一瞬分からなくて。
ぽけっとサトシ先輩の顔を見てしまった。
「俺だけ先に行ったら、オマエの彼女、一人になンだろうが」
「…え?……あ!!」
そういうことか!
ようやく理解した俺をチラリと見て、サトシ先輩が小さく溜め息をついた。
サトシ先輩って、男の俺から見てもかなりぶっきらぼう、というか、無愛想な感じなんだけど。
実は、いろんなことに気づいてくれたり、助けてくれたり。
すげェ優しいんだよな…。
部活の前だって、結局のところは助けてもらったわけだし。
今だって。
俺に、というよりは紗恵のことを気遣ってくれてる。
先輩が声かけてくれなきゃ、もっと遅くなってた可能性だってあった。
「ありがとうございます」
ポソっと言うと、先輩は何事も無かったかのように
「あ?」
と返してきた。
俺たちは、それ以上何も喋らずに彼女の待つ場所へと歩いた。
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