13
これから一緒に帰るぞ、とでも言わんばかりの雰囲気に、
「こいつ、デートらしいっスよー」
と、キャプテンが返事をした。
「そーそー。そっとしといてやって下さいよ」
ついでに、おまけの野次も付いてきた。
なんで勝手に返事すンだよ、とは思ったけど。
サトシ先輩だって、さっきからの騒ぎは十分聞こえていたハズなのに。
……なんでだ?
周りの声なんか、まるで聞こえてないような素振りで、サトシ先輩は部室のドアを開けながら、ちょっと呆然としてる俺を見て、軽く眉をひそめたように見えた。
ぅえ?
そんな顔されても…!!
ワケが分からないまま、慌ててドアの方へ向かう。
俺が動き出したのを確認すると、サトシ先輩は
「じゃーな」
と、手を上げて部室を出て行った。
俺は後を追うようにサトシ先輩が開けたドアを片手で支えながら、振り向いて頭を下げる。
「お先っス」
「おー」
「お疲れー」
「襲うなよー」
「別に彼女なんだから良くね?」
「あー、そーだな。じゃぁヤリすぎんなよー」
何とも下品な声に送られて、部室を後にした。
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