12 制服に着替え終わって、荷物をバッグに適当に詰め込んでいたら、ベンチの上に携帯が転がり落ちた。 拾いがてらに時間を確認したら7時半前… 「やべ…」 思わず声が出た。 部室に戻ってきたのは、たぶん7時過ぎのハズなのに… 思った以上に時間が経っていることに、ちょっと焦った。 それだけ紗恵を待たせている、ってことになる。 薄暗いうえに寒くなってきているのに、そんな中で長く待たせたくはない。 というより。 俺が、早く紗恵に会いたい。 「あんまり待たせちゃかわいそうだぞー?」 先輩のノンキな声に、軽くイラっとする。 そもそもオマエらが無駄に騒ぐからだろ! と思ったけど。 構ってる場合じゃなくて。 とにかく急いだ。 ロッカーのドアをちょっと乱暴なくらいに閉めて、バッグを担いだところへ 「タクミ、行くぞ」 サトシ先輩に声をかけられた。 [*前へ][次へ#] [戻る] |