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「…おつかれっす」
一応。
いや、まぁ、習慣的に。
でも、目を合わさずに、キャプテンに挨拶をした。
練習前みたいに捕まったら、今度はなかなか解放してもらえないだろうし。
たのむ!
今日は、放っておいてくれ…
そんな俺の気持ちなんか通じるはずもなく。
キャプテンからストレートな質問をされた。
「タクミ、今日は早いな。デートか?」
完全に声が笑っているキャプテンをチラリと見る。
「睨むなよ」
そんな俺を見て、キャプテンは笑い出した。
「睨んでないっすよ!」
周りの先輩も、面白そうにこっちを見てるし。
完全にからかわれてる…
ものすごい居心地の悪さに、急いでタオルを取ってシャワー室に行こうとしたら。
「最近、時々タクミが早く帰る日があるなぁと思ってたんだけどさ」
「あ、俺も思ってた〜」
「何があんのかと思ったら…、そういうコトだったんだなー」
「カワイーやつー」
「もっとウレシそーな顔して帰っていーぞ」
部室中からひやかしの声が飛んできた。
俺、こんなふうにイジられるキャラじゃねぇと思ってたんだけどな…
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