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「タクミ」


放課後の部活前の部室。

ベンチに座ってバッシュを履いていたら、隣にケンジがドサッと腰を下ろした。


「ん?」


ケンジの方を見もせずに生返事をしたら、ニヤニヤしながら顔を覗き込まれて。
仕方なく体を起こした。


「なんだよ?」


「お前、久田とつきあってんの??」



「えっ?」
「マジで?」
「タクミ、オンナできたの?」



俺が反応するよりも前に、部室に居たヤツらの声が返ってきて。
視線が俺に集中するのが分かった。

つきあってるって答えることに躊躇は無いけど。
ていうか、俺のだって宣言しておきたいくらいだけど。

なんか、こうも注目されると喋りづらい。


「あぁ」


「ぉぉぉ〜」


俺の返事に、周りがどよめいて。


「なんだよ、いつからだよ?」
「クラス、どこ?」
「可愛い?」


質問の集中砲火になった。


質問の中のいくつかに、同中で紗恵のことを知っているヤツが勝手に答えたりして、変に盛り上がってたけど。


「で、どっちから告ったの?」


ケンジの質問で、また俺に視線が集まった。




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