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  ”デブ専”




そんな言い方されるなんて、考えてもみなかった。


私が、自分の体型の事でいろいろ言われちゃうのなら、それは仕方の無いことだけれど。
遠藤君まで、そんなふうに言われるなんて。


悲しくて、怖かった。




「麻美ちゃん、今日は、帰る、ね」


涙が出そうになるのを一生懸命こらえて、言った。

床に置いていた鞄を取ると、麻美ちゃんも鞄に手を伸ばそうとしていたから、慌てて止めた。


「大丈夫だから…」

「ぜんぜん大丈夫じゃないでしょ!」


麻美ちゃんも、泣きそうな顔してた。

私のせいで、こんな顔させちゃってる…


「ひとりに、なりたいから…」


一人になるのは、怖いけど。
一緒にいてもらったら、この前以上に甘えてしまうと思うから。

精一杯、強がるしかなかった。


「今日は先輩と帰る日なんでしょ? 待ってなきゃでしょ?」

「紗恵だって、今日は一緒に帰るんじゃなかったの?」

「……メール、しとくから、大丈夫」


それだけ言って、くるりと麻美ちゃんに背を向けて、走り出した。


「紗恵!」


麻美ちゃんの呼ぶ声が何度か聞こえた気がしたけど。
振り返らずに必死で走って、体育館を出た。



そこから、どうやって家まで帰ったのか、よく分からないくらい私の頭の中はぐちゃぐちゃで。
部屋に入ってすぐに、ベッドに倒れこんだ。



ショックと、悲しさと、怖さと。
今まで溜め込んでいた不安と。



いろんなことが相まって、どんどん涙が溢れてきた。


泣いても泣いても、止まらなくて。



部屋が暗くなってしまうまでずっと泣いて。




いつの間にか、泣きつかれて眠ってしまっていた。




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あきゅろす。
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