18
「はぁ…」
教室で麻美ちゃんとお弁当を食べながら、また溜め息が出た。
「もぅ、紗恵ったら! 幸せが逃げちゃうよ!」
麻美ちゃんは、苦笑いしてる。
正直、自分でもビックリしてる。
こんなにもネガティブな気持ちになるなんて初めてだから。
いつもなら、何とかなるさ、とか、なるようになるさ、って思えるような事さえも。
最近は、不安でたまらなくなったりする。
「普通、付き合いはじめって、もっとキラキラしちゃうんだけどなぁ…」
麻美ちゃんが、ニコニコしながら、私を見る。
「やっぱり…そうなの?」
「んー。そりゃ、不安が無いわけじゃないだろうけど。
それよりも嬉しい気持ちが勝ってるっていうか…」
「不安も、ある?」
「人それぞれだろうけど、私はあったよー」
麻美ちゃんも、不安…だった?
決して表立ってイチャイチャしたりしないけど、話を聞いている限りでは、すごくラブラブな感じだし。
少し意外な気がした。
何も言えなかったけど、私の表情で考えていることは伝わってしまったのだろう。
麻美ちゃんは、少し苦笑いして。
「哲(サトシ)は、あんまり言葉にしてくれないからね。
告白したの、私からだし。
OKしてくれたけど、ホントのところは
どうなのかなー、とかね」
少し懐かしそうな表情で、微笑んだ。
こんなに可愛い麻美ちゃんでも、そんなふうに不安になったり…するんだ、って思うと、なんだか不思議な感じがした。
「紗恵が不安に思ってること、なんとなく分かるけどさ。
遠藤君に言って、スッキリした方がいいかもよ」
あの日もそうだったけど、麻美ちゃんは、優しい。
私は、麻美ちゃんの言ってくれた事を噛みしめるように、頷いた。
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