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「はぁ…」


教室で麻美ちゃんとお弁当を食べながら、また溜め息が出た。


「もぅ、紗恵ったら! 幸せが逃げちゃうよ!」

麻美ちゃんは、苦笑いしてる。


正直、自分でもビックリしてる。

こんなにもネガティブな気持ちになるなんて初めてだから。


いつもなら、何とかなるさ、とか、なるようになるさ、って思えるような事さえも。
最近は、不安でたまらなくなったりする。



「普通、付き合いはじめって、もっとキラキラしちゃうんだけどなぁ…」

麻美ちゃんが、ニコニコしながら、私を見る。

「やっぱり…そうなの?」

「んー。そりゃ、不安が無いわけじゃないだろうけど。
 それよりも嬉しい気持ちが勝ってるっていうか…」

「不安も、ある?」

「人それぞれだろうけど、私はあったよー」


麻美ちゃんも、不安…だった?

決して表立ってイチャイチャしたりしないけど、話を聞いている限りでは、すごくラブラブな感じだし。


少し意外な気がした。


何も言えなかったけど、私の表情で考えていることは伝わってしまったのだろう。
麻美ちゃんは、少し苦笑いして。

「哲(サトシ)は、あんまり言葉にしてくれないからね。
 告白したの、私からだし。
 OKしてくれたけど、ホントのところは
 どうなのかなー、とかね」

少し懐かしそうな表情で、微笑んだ。

こんなに可愛い麻美ちゃんでも、そんなふうに不安になったり…するんだ、って思うと、なんだか不思議な感じがした。

「紗恵が不安に思ってること、なんとなく分かるけどさ。
 遠藤君に言って、スッキリした方がいいかもよ」


あの日もそうだったけど、麻美ちゃんは、優しい。


私は、麻美ちゃんの言ってくれた事を噛みしめるように、頷いた。





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あきゅろす。
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