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私たちは、メアドと携帯番号を交換し合って。
駅までの短い道のりを並んで歩いた。
すごくすごく、不思議な気分だった。
遠くから見ているだけだった人が、すぐ隣を歩いていて。
私に話しかけてくれている。
正直、会話の内容なんてほとんど覚えていない。
緊張とか、現実味の無さとか、ドキドキとか。
とても平常心で居られる状況では無かった。
遠藤君とは、路線は同じだけど、降りる駅は1駅違い。
私が先に降りて、電車の窓越しに遠藤君を見送って。
電車が居なくなったホームで、わけもなく、急に恥ずかしくなってしまった。
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───−−−----
それから2週間。
あの日を含めて3回、遠藤君と一緒に帰った。
お昼休み、2回、二人でお弁当を食べた。
会っても会わなくても、1日に数回のメール。
時々、電話。
私にとっては、劇的な変化。
そして、一番大きな変化は…
遠藤君が、私のことを
「紗恵」
と、名前で呼ぶようになったこと。
まだ、呼ばれることに慣れないけど。
呼ばれて返事をする時、なんだか少し幸せな気分になることを知った。
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