12
ぽつりぽつりと、麻美ちゃんと別れた後に起こった出来事を話した。
多分に私の主観を交えた説明に、麻美ちゃんは、相槌とアドバイスを返してくれて。
「嬉しい気持ちは、嘘じゃないでしょ?
ずっと想ってきた人でしょ?
勇気出して、一歩踏み出さなきゃ」
「うん」
携帯を、顔にぎゅーっと押し付けたまま、頷いた。
また、少し涙が零れた。
「がんばれ、紗恵」
最後に、そう言ってくれた。
麻美ちゃん、ありがとう。
「明日、ゆっくり話そうね」
と言って、電話を切った。
ふーっと大きく深呼吸をした
気持ちが落ち着いてくると、バスケ部の練習の音が気になり始めた。
部員の人たちの声。
監督さんの怒鳴り声。
応援する女の子たちの声。
床とバッシュが擦れる音。
とりあえず。
練習、見に行こう…
私は、少し薄暗くなった階段をゆっくりと上って、スタンド席への扉を開けた。
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