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遠藤君が練習に向かう後姿を見送った後。
ボーっと歩いて体育館にたどり着いたけど。

いつもなら…、さっきまでなら、ドキドキしながら上っていたはずの、2Fスタンドへの階段。
その手前で、座り込んでしまった。



去り際に「帰り、待ってて」って言われた。



どうしよう…

嬉しさよりも、困惑が先に立って、泣きたくなってきた。



彼のいるコたちは、みんなこんな経験をするの?

これって、必ず通らなきゃいけない道?



どうしてこんな時に、私、一人なんだろう…




麻美ちゃん……たすけて……



カバンから携帯を取り出して、震える指で履歴から麻美ちゃんの番号を選んだ。



───プルル………


「もしもーし」

「あ、麻美ちゃん……どうしよぅ……」


ワンコールで麻美ちゃんの声が聞こえてきて。
声を出したら、溜め込んでいた気持ちが一気に溢れ出たような気分だった。


「えっ? どうしたの? 何かあったの?」


第一声から、意味の分からない言葉だったのに。
麻美ちゃんは、そばに居るときと同じように優しい。

彼女の声に安心したせいか、涙が出てきた。


泣いてしまったせいで、ますますうまく喋れない私のことをなだめてくれて。
涙が止まるまで待ってくれて。

「ごめんね、麻美ちゃん。今日、用事あるって言ってたのに」

気が付いたら、携帯の通話時間は20分を超えていた。




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あきゅろす。
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