10 私のことを覗き込んでいるせいで、傾いている遠藤君の顔。 近い! 近いですっ……… この状況に、今更ながらすごく恥ずかしくなって。 思わず、ぎゅっと目を瞑って俯いた。 さっきから、ずっと喋っていない私の意志を、 遠藤君が首の動きで判断していたこと… すっかり忘れていた。 「っしゃ!!」 声に驚いて顔を上げると、胸元で小さくガッツポーズをする遠藤君。 そこで、やっと気づいた。 今のは、頷いたわけじゃ………ない、んだけど…… OK、しちゃったことに…なっちゃた…… 嫌なんて、あるわけないけど。 このまま、誤解を解かなくてもいのかな… 嬉しそうな遠藤君を見ていると、少しココロが痛んだけど。 さっきのは、違うんだって言っても。 じゃぁ、私の気持ちは? 私はどうしたいの? って聞かれたら… まだ、よく分からない。 結局、言い出せないまま……… 付き合うことになった。 [*前へ][次へ#] [戻る] |