4
体育館で練習をしていると思っていた遠藤君は、制服姿。
遠藤君が、ここに居ることにも。
遠藤君に呼び止められたことにも。
すごくすごく驚いたけど。
遠藤君が、私の名前を知っていたことに、驚きすぎて。
何も言葉が出てこない。
ただただ、こっちに近づいてくる遠藤君を見ていることしかできなかった。
縮まる距離に比例するように、胸のドキドキが早くなってきた。
「これから体育館に行くの?」
すぐ傍まで来た遠藤君は、とても自然に私に話しかけてきた。
ぅそーーーー!?
呼び止められたのだから、何か用があったんだろうし。
話しかけられたっておかしくないんだけど。
クラスメイトだった頃だって、こんな風に話しかけてもらった記憶なんて、無い。
ドキドキと、ちょっとしたパニックを起こしながらも、おどおどしつつ頷いて返事をした。
「そっか…。………あの、さ………」
遠藤君の言葉が途切れる。
思わず見上げると、ちょっと困ったような表情の遠藤君と、目が合った。
[*前へ][次へ#]
[戻る]
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!