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高校生になって半年。
彼氏いない歴16年を返上したのは、つい2週間前のこと。
幸せいっぱいのはずなのに、私の口からは、溜め息ばかり。
彼ができた、っていう実感が沸かない。
彼──遠藤拓海(エンドウ タクミ)君は、同じ中学出身で、1年生にしてバスケ部のレギュラー。
中学の頃から、ずっと憧れの存在だった。
中学3年生の時には同じクラスだったけど。
カッコ良くて、人気者の遠藤君に近づくこともできなくて。
教室の中でも、離れたところから見つめてただけ。
会話らしい会話もしたことがなかった。
それに不満とかは無くて。
そういうものだと思ってた。
片思いというよりは、”憧れ”っていうのが近い気持ち。
高校に入っても、それは変わらなくて。
大勢の女の子たちに混ざって、よく、バスケ部の練習を見に行っていた。
バスケの強豪校だからか、バスケ部専用の体育館があるんだけど。
放課後は、目当ての人を見に来る女の子たちでいっぱい。
夏の大会からレギュラー入りした遠藤君のファンも多くて、同級生だけじゃなくて先輩方からも
「拓海く〜ん♪」
なんて黄色い声援が飛ぶこともしばしば。
そんな中でも、私はやっぱり、黙って見てるだけ。
練習や試合のスケジュールはもれなくチェックしてるし、試合はちゃんと応援に行く。
でも、差し入れをしたりする勇気なんか1ミリも無し。
そういうものだと思ってた。
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