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少年



「今日も大漁大漁!!」

竹で編まれたざるには大きな魚が2匹。若干まだビチビチ蠢いている。

「何にして食べよっかな〜。焼くか捌くか煮込むか…」

鼻歌を歌いながら魚にとって不穏なことを呟く袴姿の少年。
上下共に白い布地のそれはだいぶ水で濡れていた。
水に落ちたかのような濡れ具合なのは髪もグッショリと濡れていることから分かる。
その濡れた濃い灰色のショートヘアの頭頂近くの部位から、同じ色の狐耳が一対飛び出していた。
言うまでもなく和真である。
少し前までは子狐姿だった和真だが、ある日突然人の姿をとれるようになったのだ。その際尾が1本増えたのは置いておく。なんせ和真にも理由が分からないからだ。
忙しなく動く耳は周りの様子を窺っている。

「ん??」

ある方向を向いた耳がピクッと動きを止めた。

「誰かいるのか??」

進行方向をあっさり変えた和真はビチビチ蠢く魚を抑えながらぽてぽてと歩き出した。




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あきゅろす。
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