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異世界からこんにちわ《連載中》
8(???side)
待ちに待った神子様に会える。
小さい頃から神子様のことは、絵本、伝記などでたくさん学んできて想いを馳せてきた。僕が神子様を守ると誓ってきた。
それなのになぜだろう。僕は今神子様の事を心から受け入れることができないでいる。

「トランスートランス!!オレもっと食いてぇ!!あと洋服もトランスみたいなの着たい!」

くちゃくちゃと音をたて周りにご飯を撒き散らしながらご飯を食べる恵一。
周りの使用人たちは困った顔をしながらこちらを見ている。

「そうだな、ケイイチにはもっと華美な装いが似合うな・・・食事ももっと持ってきてもらおう、ダリル!料理人に作るよう言ってこい」

「か、かしこまりました」

トランスは愛しそうに恵一を見、周りを見ていないようだ。
兄様はどうしてしまったのだろう。
確かに神子様であるケイイチは綺麗な容姿で惹き付けられるかもしれないが、本で読んできたような聡明さがまるで見られない。

『何あの暴れ馬・・・あー早くヒカル様に会いてぇ』

お皿に乗っている葡萄をつまみながら気だるそうに答える赤い髪をしたワイルドな精霊が気だるげに答える。

『ヒカル様・・・?フレイン、それは誰なの?』

精霊が誰かの事を様付けして呼んでいるのなんて珍しい。

『ヒカル様は精霊神様に愛された子でとてもお優しい方なんだ・・・フィスもきっと気に入るぜ』

『フレインが誰かを誉めるなんて珍しいね・・・その人はどこにいるの?』

そう尋ねるとフレインは眉間にシワを寄せ始めた。

『それがヒカル様の魔力が急に小さくなったんだよ・・・何かあったのかもしれない、近くにいるはずなんだけどな』

『近くにいるって、この王都にいるってこと?』

こんなにフレインが興味持つ人なんてそうそういないから僕もみたいなー。

『いや、この城のなかにいるはずだ・・・でもさっき探してみたけど見つかんねーだよ』

『この城の中に?・・・城仕えの者の中にいるってこと?』

その様な人物がここにいただろうか。

『違う違う、今日こっちの世界に来てるはずなんだよ』

『今日こっちに?それって神子様のことなんじゃ・・・』

あっ、でも確か神子様と一緒に駄人がいたとか仕えの者達が話してたな。もしかしてその人のことなのかな。

「ねぇ、それって・・・」

「おい!フィス!誰と話してんだよ!オレと話せよ!」

駄人のことを話そうとしたら神子様が話しかけてきた。

「フィス・・・ケイイチの言う通りだ、今は晩餐の場、精霊となら部屋で話なさい」

兄上は僕が精霊と話せることを知っているので、僕が独り言などを言うと精霊と話していることがすぐわかる。
テレパシーで話すこともできるのだが、上手にできなくていつもポロッと普通に話してしまうのだ。

「ご、ごめんなさい」

叱られたので仕方なくフレインとの話を切り上げ食事に集中する。


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あきゅろす。
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