異世界からこんにちわ《連載中》
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さっきも国王と話していたが神子とはいったいなんなのだろう。しかも柏原のことを神子って言ってたっけ。
「あの・・・神子ってなんですか?」
「神子とは神の子供のことです、聖なる力を持っており、邪悪な闇から救ってくださる救世主の方のことで、この国が闇でおおわれ始め泉にある聖杯が聖水で溢れるとき神子が神からこちらにつかいでやってくるというお話がこの国では語りつがられ、過去に何人もの神子様がこちらにおいでになって助けていたようで、文献でも残されています」
キリスト教や神話みたいなものなのだろうか。
それにしても柏原が神子なんて、絶対不幸しか呼ばない気がする。
崇めたら調子のるだけだと思うし、この国がダメになってしまう。
救世主って普通は民のために自己犠牲を払ったりするものだけど、あいつの場合自分第一の我が儘だからな。
「そうですか・・・柏原はその神子なんですね」
「・・・陛下はそうおっしゃってますが、私はヒカルさんも十分有り得ると思いますよ」
ふわりと笑うカゼルさん。
それはそれで無いような気がする。自分がそんな主役みたいな立場ではないと思うし。
あと俺の願望的に、はじっこで穏やかに過ごしたい。
「でも俺は駄人でなんの力もないって」
「実は聖なる力は何を条件にして覚醒するかは未だに不明なのです・・・それがわかれば確認できるのですが、申し訳ありません、神子の容姿については残っているのですが」
だから金髪がどうたらって話していたのか。
俺は真っ黒な髪の毛だからな。
やっぱり柏原が神子のような気がする。
「カゼルさんが謝ることじゃないですよ!こうやって優しく接してくれるだけで十分嬉しいですから・・俺信じていた人に裏切られちゃって、全員敵に回しても味方でいてくれてると思ってたのに・・・」
涼からあんな仕打ちを受けてから、人に優しくされるっていうことがなかったからカゼルさんの対応は素直に嬉しい。
よくわからない異世界だから、優しさをより感じるのかもしれない。
「あの、また会えますか?」
カゼルさんとはもっと仲良くなりたい。
今度こそ信頼できる人を作りたい。
「はい、ぜひ!私は個人的にはヒカルさんの方が好きですから、ヒカルさんが嫌っていってもここに来ます!」
そんなことを言われると思っていなかったので思わず面食らってしまう。
柏原よりも俺がいいっていってる時点で気が合いそうだし、なんだかこんなことを言われたのは久しぶりだから嬉しい。
思わず口許が緩む。
そして、涙が溢れた。
「ヒ、ヒカルさん!?なぜ泣いているのですか!?私がなにか・・・」
カゼルさんが俺の涙に驚いて慌てる。
「いえ、違うんです・・・嬉しいんです、ありがとうございます」
こんなに自然に笑顔になるのいつぶりだろう。
好意を持たれるってこんなにも嬉しいことだったっけ。
「・・・っ!?///・・い、いえ」
なぜだかわからないけどカゼルさんの顔が真っ赤で思わず笑ってしまった。
「カゼルさん・・・そろそろいかなくて大丈夫ですか?あまり俺と一緒にいると、陛下に気づかれちゃうかもしれませんし」
もしかしたら兵から、カゼルさんがここにいることを聞いているかもしれないが。
「そ、そうですね・・・ヒカルさんとまだ一緒にいたいですが、また明日来ます」
本当に悲しそうにカゼルさんが言うもんだからこっちまで悲しくなる。
誰かと離れるのはとても寂しい。それに怖い。涼みたいに俺から離れてしまうのではないかと。
カゼルさんは何度もチラチラとこっちを向きながら出ていった。カゼルさんと入れ替わりに先ほどオレを殴った兵が入ってくる。さっきまですごく幸せだったのにいっきに地獄に突き落とされたような気分だ。
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