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異世界からこんにちわ《連載中》
1
「んっ・・・・」

光が眩しくて目を開ける。
上を向いているようで、太陽の光が直に当たり眩しい。
木々が風に揺られているのが視界に入る
なんか冷たい、まるで水に浸かっているような―――。
はっとすると本当に水の上に浮かんでいたようで、急いで体を起こす。

一体ここはどこだろう。
こんなところ見たことない。ふと横を見ると杯から水が溢れているのが見えた。
こんなもの学園の敷地にはなかった。
状況がよくわからなくて頭が追い付かない。
確か魔方陣が急に現れて光って・・・・。

「お前かっこいいな!名前なんて言うんだ!?」

柏原の声が聞こえた気がして、声の方に顔を向けると柏原が金髪碧眼の男に声をかけていた。

「げっ・・柏原」

それよりもあいつの髪が金髪な上に、瓶ぞこ眼鏡がなくなり、綺麗な顔がクリアになっているのですが。やはりあれはかつらだったか。ちらちら地毛が見えていたので、気づいていたが。
この顔してれば、生徒会とかが惚れるのもわかる。ただ、俺の意志は変わらないけど。
こいつはどこまで付いてくれば気がすむんだ。
本当に俺専属の疫病神じゃないのか。
しかもお得意のイケメンハントをしている。

「陛下・・あちらにもう一人います」

金髪碧眼の男の横にいる赤いローブを着た男が、こちらに気付き見つめてくる。

「なぜもう一人いる?・・・しかも双黒とは・・」

金髪碧眼がこちらを見て眉間にシワを寄せる。
ああ、これは俺に対していい感情を持っていない人の顔だ。
嫌でもこの様な顔を見てきたのでわかる。
こんなよくわからない場所に来てまでこんな風に思われるなんて。

「今までに前例がありません・・どちらが神子かわかりません」

神子?なんの話だろう。
赤いローブを着た男は何やら困っている様子であった。

「カゼル、神子の特徴は金髪であったな・・・あれは双黒だし有り得ないだろう」

「ですが安易に判断なさるのはどうかと・・」

二人の意見が異なっているようだ。

「なぁなぁ!お前ら名前教えろよ!」

二人が話している時でさえも必死に名前を聞こうとしている柏原。
いつも顔で判断するなとわめき散らしているが、絶対にこいつ人を顔で選んでいるだろ。

「ああ、ほっといてすまない・・私は第58代シュザリン王国国王、トランス・レイ・シュザリンだ」

「私は城専属魔導師のカゼル・ヘプライタと申します」

二人が丁寧に柏原に挨拶をすると、柏原は国王だと言った碧眼の男にやけに食いついていた。
それにしてもシュザリン王国とは聞いたことがない。世界地図にもないし・・・・もしかして小説や映画などでよく見る異世界にトリップというものだろうか。

「神子よ・・お前の名はなんという?」

「俺か!?俺は柏原恵一だ!恵一って呼べよなトランス!」

柏原は国王に相手にされたのがよほど嬉しかったのか舞い上がっているように見える。
そういえばイケメンハンターでもあるが、権力大好き人間でもあった。

「陛下、この方を神子と決めつけるのは・・」

赤いローブを着た男がちらっとこちらを見る。
そう言えば、俺水に浸かったままだった。急いでここから出ないと。
自ら出ようとすると、国王と魔導師の後ろに控えていた兵がバッと前に出て剣の先を向けてきた。

「えっ・・・?」

なんで俺だけこんなことされるの?。
柏原はなにもされなかったのに。

「こいつは双黒をもっているし駄人だ・・処分しておけ」

――――処分。
俺っていらない存在なの?。
学園の時と変わらないではないか。

「ちょっと待ってください!処分ってなんでですか!?」

俺が質問すると柏原以外のここにいる人間が目を大きく開き驚いていた。
そんなに驚く部分が今あっただろうか。
不思議に思い首をかしげる。

「お前話せるのか・・・?」

「はあ!?」

今度は俺が驚く番であった。
話せるのかって、普通話せるだろ。
あっ、そっか。皆外人さんなのに普通に言葉も理解して話していることに驚いているのか。
言われてみればなんで異世界の言葉がわかるのだろう。

「陛下やはり様子をみるべきだと」

「どっからどうみても駄人だ・・しかしそうだな処分はやめよう、牢にでも入れておけ」

国王がそう指示すると何人かの兵たちが俺を拘束し始めた。

「ちょっと待ってください!なんで牢に入れられないといけないんですか!?」

わけがわからない。処分は免れたが牢に入れられるなんて。罪を犯したわけでもないのに。なんで柏原が大丈夫で俺はダメなんだ。
柏原を睨む。本当にこいつは疫病神なのではないだろうか。いや、もう疫病神ということにしとこう。
なんとか抵抗しようとするが逆に地面に押し付けられた。

「(いたっ・・)」

なんで俺ばっかりこんな思いしないといけないんだ。
俺が何したって言うんだ。こんなよくわからない場所に連れてこられて、よくわからないまま牢に入れられるなんて。
涙が出そうになった。
平穏な頃に戻りたい。時を戻せるならあの学園に入学せず他のところに入学したい。
全てをやり直したい。

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