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異世界からこんにちわ《連載中》
9
ばぁぁぁぁぁん!!!
勢いよく扉が開く。
俺今ならホラー映画の主人公の気持ちがわかる気がする。
怖すぎるんだよ馬鹿。こんな頑丈な扉の鍵を破壊するなんて、こいつは人間なのか。本当に疫病神なんじゃないのか。

「光!食堂行くっつたのになんで逃げんだよ!!」

ご丁寧に柏原信者ご一行様もいらっしゃる。

「柏原、俺はちゃんと断ったはずだよ?行かないって、俺以外のやつらで行けばいーだろ?」

「友達なんだから一緒に行くのは当たり前だろ!?」

何が友達だ。俺が親衛隊から制裁受けてるのも生徒会たちからも暴力受けていることも知っているくせに。
俺が協調性ないから嫌われるんだと友達らしからぬ発言したくせに。
そもそも友達なら俺のこと擁護してくれるし、俺のことを自由にしてくれる。こんな風に自分のもとに鎖で繋げようなんて思わない。
ってゆーか何よりもこいつと友達になった覚えは俺にはない。

「恵一、こんなやつほっといて早く食堂行こうぜ」

忌々しそうにこちらを見つめるかつての親友―――冴島涼。
あんなに仲良くて、隣にいて一番落ち着く最高の友達だと思っていたのにどうしてこんなことになっちゃったんだよ。
他の人に睨まれようが何されようが我慢できるが、涼のその冷たい視線、態度は耐えられない。
思わず俯く。そんな視線はやめて。俺をこれ以上どん底に突き落とさないで。
涙が出そうになるのを必死で堪える。

パァァァァァ

俯いたと同時に自分の足元に魔方陣が現れ、青白く光始めた。

「えっ・・・・」

そして次の瞬間誰かに足を引っ張られているような感覚に陥った。
嘘でしょ。俺の足―――――飲み込まれてる!!

抜こうとしても抜けない。
目の前にいるやつらも状況が飲み込めないようでこちらを驚いてみている。
先程からどんどん体がしたの方へと吸い込まれていく。
いったいこれはなんなんだ。下は床のはずなのに。なんで吸い込まれているんだ。

「おいっ!光!何してんだ!」

柏原の手がオレの腕を掴む。こんなやつに掴まれるなんてごめんだ。こんなやつに助けられるくらいなら、よくわからないこの床に引きずり込まれて死んでしまったほうがいい。

「・・・離せっ!」

柏原に捕まれたとこが丁度痣になっていたとこだったらしく、ものすごい激痛が走る。

「け、恵一!!危ないから離せ!」

会長が柏原を掴もうとした瞬間、魔方陣が今まで以上に光だし目が開けられなくなる。
薄く開いた目の前には、誰かいるようで確認する前に額に温かい何かが触れた気がした。その瞬間意識がブラックアウトした。


青白い光が消え、皆が目を開けるとそこには、いるはずの二人の姿もなく魔方陣も消えていた。

「・・・・消えた・・・嘘だろ」

誰かが一言言葉を発したがあとの者は何も言えず、放心し立ち尽くした。





そんな彼らを傍観しているものが一人。
彼女には最初のおだやかな微笑みはなかった。
放心している彼らをただ冷たい目で見ていた。




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