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異世界からこんにちわ《連載中》
3
このカゼルという人は敵なのだろうか、味方なのだろうか・・・味方だったら牢には入れないよね。話ってきっと尋問されるんだろうし・・・俺ってなんでこんなにも運がない人間なのだろう。



頑丈な牢の扉が閉まる。
足枷と手枷がなされ自由がなくなった。
カゼルさんが二人っきりにしてほしいと頼んだようで見張りの兵は部屋を出ていった。

「手荒な真似をしてすみません・・・私も王に仕える身、確証もなしで王に意見することは許されない」

カゼルさんは申し訳なさそうに謝ってくる。

「いえ・・・あなたが悪いわけではありません」

柏原と離れたい離れたいと思っていたが、まさかこんな形で離れると思っていなかった。
知らない土地にきてこんなことになるなんて。
きっと一生この牢で暮らして死んでいくのだろう。
なんのために俺はここに来たのだろう。

カゼルさんが目を大きくし驚いてる。

「あなたは、なぜそんなに優しいのですか?普通は自分をこのような場所に放り込んだ奴を許さないでしょう?」

「先ほども言いましたがあなたのせいじゃありませんよ、あの国王俺に対していい感情持ってなさそうでしたし、変に俺のこと庇ったらあなただって同じ目に遭ったかもしれないでしょ?」

カゼルさんの目元が潤み始める。
こんな風に同情してくれる人がいるというのは、まだよかったほうなのかもしれない。
しかし、俺だって泣いてしまいたい。本当はこんなところに入れられて、ただ死ぬのを待つなんて怖くて怖くてつらい。
学園で暴力受けて、こんな風に人間として扱われないまま死んでいくなんて。
しかし恐怖と共に、早く解放されたいと思っている自分がいる。死んだら柏原から解放される。

「あの、あなたのお名前は?私はこの城の専属魔導師カゼル・ペプライタと申します」

「あっ、ごめんなさい・・・・俺は月城光です、光って呼んでくれると嬉しいです」

カゼルさんの纏っている雰囲気のせいだろうか、ふっと自然に笑みが零れる。

「ヒカルさん・・・あなたはカシワバラケイイチとはどの様なご関係なんですか?」

「俺とあいつは同じ学校に通う同級生です・・・ただ同じクラスだった友達でもなんでもない赤の他人です、そして疫病神です」

疫病神と言うとカゼルさんが驚いていた。
普通はそうだよね、誰かとの関係聞かれたときに疫病神ですなんて答えない。
とりあえず俺が嫌いだということが伝わったのか、カゼルさんが苦笑いする。

「そうなのですか・・・では、どの様な経緯でこちらに?」

「俺もわからないんです・・・いきなり足元に魔方陣がでてきて光出して、柏原に腕を掴まれたと思った瞬間光が強くなって目が開けられなくて・・・そのまま気を失ったみたいで・・気づいたらここに」

カゼルさんが俺の話を聞き、考え始める。

「魔方陣ですか・・・おそらくは神が召喚のために儀式を行ったのでしょう、それとこの世界とヒカルさんがいた世界はきっと別世界です」

やっぱり、薄々感づいてたけど異世界だったんだ。
すごいところに来てしまったな。
こんなことって現実世界にあるんだ。

「文献にも神子様は異なる世界からいらしてわれわれの国に幸せをもたらすものと言われております」


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