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異世界からこんにちわ《連載中》
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「とりあえずまだ寝てるってことにして…」

バァァン!

「人がせっかくあんたなんかのために朝食持って来たっていうのに寝てるなんてどういう神経してるのよー!!!」

目の前のドアは何故か開かれ、不機嫌な顔したキリさんが朝食片手に立っていた。

「えっ、キリさんどうやって…」

「どうやって?鍵使って入ったに決まってるじゃない!それより起きてたのに無視するなんていい度胸してるじゃないの」

ズカズカと俺の方へ歩いてくると、俺の胸ぐらをぐいっと掴んだ。

「キリ!ヒカルに乱暴しないで!」

フィスがキリさんの手を掴むと、キリさんの表情が変わった。

「な、なぜフィスク王子が…」

急いで俺から手を話すと、丁寧に頭を下げるキリさん。
そして睨むように俺の方を見る。

「キリ、僕が勝手にここに来ただけだから」

「フィスク王子、この様な場所に貴方の様なお方が来るべきではないです、今すぐお部屋にお戻りください」

キリさんは丁寧ではあるが、フィスに有無を言わせない様な強い口調でドアの方に促す。

「で、でも…」

「フィス、キリさんの言う様に戻った方がいいよ…」

フィスの背中をポンと押すとフィスが悲しそうな顔を浮かべる。
悪いことしてるみたいで俺までシュンとしちゃうよ。

「フィスク王子、私がお部屋までお連れしますので」

キリさんが部屋を出ようとするとフィスも渋々といった感じで後をついていく。

「ヒカル…また話そうね」

部屋を出る直前にフィスが振り返って、小さく微笑むと手を振って出て行った。

俺だってフィスとたくさん話したい。
どこか周りの目を気にせず話せる場所はないのだろうか。

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あきゅろす。
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